1 マイナンバーカード利活用への取組について 2 地域活性化包括連携協定について 3 農業振興について 4 nuovo(ノーボ)について 5 その他
副議長(二木健治君)松浦多紋君。 〔松浦多紋君登壇〕(拍手) 松浦多紋君 皆様、お疲れさまです。県民の誇りを育む会、松浦多紋でございます。 通告に従い、早速一般質問を始めさせていただきます。 まず初めに、マイナンバーカード利活用への取組についてお伺いさせていただきます。 二○一六年から発行が始まりましたマイナンバーカード、普及率は二○一七年末では一○%強、二○一八年末で一二%強、そして二○一九年末は一五%弱となり、二○二○年末は二四%強、そして、二○二一年十二月三日時点で発行枚数五千六十九万枚を超え、四○・○%の普及率となっております。 普及率が上昇カーブを描き始めたのは、皮肉にも新型コロナウイルス感染症の感染者が出始めた頃からとなっております。 既にという表現が正しいのか、また、まだという表現が正しいのか国民の三分の一以上、四割の方がマイナンバーカードを持たれていらっしゃることとなります。 一昨日開催されました、第二百七回国会における岸田内閣総理大臣所信表明演説では、マイナンバーカードは、安全・安心なデジタル社会のパスポートであり、社会全体のデジタル化を進めるための最も重要なインフラである。マイナンバーカードと健康保険証、運転免許証との一体化、希望者の公金受取口座の登録を進めるとともに、本人確認機能をスマートフォンに搭載することで、利便性を向上させます。さらに、十二月二十日からマイナンバーカードを使い、スマートフォンによって国内外で利用できるワクチン接種証明書を入手できるようにしますと、その利活用における政府としての取組を表明されました。 十二月一日現在の山口県のマイナンバーカードの普及率を見てみますと、四一・九%、全国第七位となっており、各市町における御尽力のたまものだと思います。 山口県も同様に、コロナ禍により普及率が上昇した次第です。特に今年の三月以降の普及率増加には目をみはるものがあり、この頃行われたマイナンバーカード普及に対する取組を振り返ると、キャッシュレス決済サービスでチャージや買物をすると、そのサービスで利用金額の二五%分のポイントが付与されるという取組がありました。 マイナポイントの活用により、消費の活性化、マイナンバーカードの普及促進、官民キャッシュレス決済基盤の構築を目的に行われた事業ですが、マイナンバーカードの普及に大いにつながったと思います。 マイナンバーカードは、市町村単位で管理され、普及への取組を行っておりますし、マイナンバーカードを用いて行う行政サービスは、市町村での施策が大部分であると思われます。しかし、県が行う取組に対して活用されることも、今後あるのかと思われます。 マイナンバーカードを活用することで、今行っている新型コロナウイルス感染症ワクチン接種の状況把握も行いやすくなるのではないでしょうか。 自治体によっての普及、利用、活用の取組が、総務省行政評価局企画課から積極的取組事例集として、令和元年十一月に発表をされています。 健康情報提供、高齢者の移動支援等、図書館の利用、各種証明書発行支援関連、自治体の業務効率化等多岐にわたり、健康情報提供サービスでは、帯広市は市民が健康に暮らせるまちづくりの推進を図るため、妊婦、子育て世代向け、高齢者を中心とした全世代にニーズに応じた情報が提供等されています。 また、他市でも母子健康手帳に記録されている情報や子育てに関する情報提供、妊婦、出産、子育て期の切れ目のない包括的な相談支援体制の整備などを、マイナンバーカード認証機能の活用により提供されています。 高齢者の移動支援等サービスでは、マイナンバーカードを保有している市内在住の六十五歳以上の高齢者に乗車ポイントつきのオリジナルICカードを交付し、高齢者の日常の移動を支援するとともに、外出の機会の拡大を図り、高齢者の生きがいづくり等を通じ、福祉の向上とマイナンバーカードの普及向上を図られています。 また、自治体の業務効率化におきましては、三条市では選挙の入場受付等に活用したり、学校、保育所、消防等も含め、行政の労務管理に活用しています。 都道府県の取組では、徳島県がマイナンバーカードの顔写真を利用した顔写真入り職員証、マイナンバーカードによるパソコン等のログインでの利用等、マイナンバーカードの普及に取り組まれていらっしゃいます。 山口県がデジタル社会をリードしていくため、本年度からデジタル推進局が設置されました。デジタル社会推進のためにも、切り離すことができないものがマイナンバーカードだと思います。言わばデジタル社会へ向けた一丁目一番地の取組は、マイナンバーカードの普及であると考えます。 十二月一日現在、都道府県別マイナンバーカードの普及率一位は宮崎県の五二・○%となっておりますが、デジタル社会の推進のためにも、夢の普及率第一位となってもらいたいものだと思います。 そこでお尋ねいたします。デジタル社会を推進していくためには、事例で挙げさせていただいた普及と利活用が一体となった取組が必要だと思います。取得してはみたものの、大事にしまい込むカードではなく、もっとカードが利活用されるよう、山口県主導の下、市町と連携しての利活用をどのように進めていこうとされるのか、県の御所見をお聞かせください。 次に、地域活性化包括連携協定についてお尋ねいたします。 昨年のコロナ禍になる前には、頻繁に耳にすることがありました地域活性化包括連携協定ですが、ここ十年の間に都道府県、政令指定都市だけでも千百を超える協定が締結されているとお伺いします。 そのピークは、二○一七年から一九年、都道府県の平均締結数は十八、最多の五十四件の締結をした北海道を先頭に、四十七件の三重県、四十三件の大阪府が続いています。 ちなみに、締結企業数は四百五十社を超えており、協定締結数の多い企業上位三社は、イオン株式会社が六十三件、株式会社セブンイレブン・ジャパンが五十九件、日本郵便株式会社が五十八件、上位十社はコンビニ、物流、また保険等となっています。 山口県では、平成二十年七月から延べ十三件の地域活性化包括連携協定を民間企業等と締結されていらっしゃることは御承知のとおりです。 その意図は、地域の活性化に向けて県民生活の幅広い分野における協働の取組を実施するためとなっており、県民生活において利便性の高いもの、そして安心して生活できる環境をつくっていただいております。 当初はコンビニエンスストアや日用品量販店との協定が続きましたが、平成二十九年五月以降は、多岐にわたり協定を結ばれています。 流通関係の皆様との協定には、地産地消の推進及び県産農林水産物・加工品等の開発・販売に関することとあり、まさに山口県が力を入れて取り組んでいる農商工連携に係る政策を協定内で取り組まれていらっしゃいます。 また、県政の情報発信や観光振興に対する取組は十一の協定で実施をしていただき、その協定によって山口県を広くPRできているものとなっております。 地域防災、暮らしの安心・安全に対する取組は十二の協定の中に入っており、私たちが安心して山口県で生活できる礎となっており、心強く感じております。 さて、私たちにとりまして大切な地域活性化包括連携協定ですが、山口県で最初に結ばれた平成二十年七月から平成二十三年九月まで三件の協定が結ばれております。その協定内容には、「おいでませ!山口国体」、「おいでませ!山口大会」に関することとあります。 また、平成二十九年五月十三日に結ばれた協定内容には、山口ゆめ花博の推進に関すること、そして平成二十九年五月十八日から同年十二月二十日までに結ばれた協定内容には、明治百五十年プロジェクトに関することとあり、当時、山口県が力を注いで行ったイベント等に対しての協定が含まれております。 それらのイベントを遂行するに当たり、多大な御尽力を頂いたことに対しまして感謝の念に堪えません。しかし、イベントが終了した今もなお、その内容が残っていることに違和感を覚えます。それらを遂行した後には、協定を結んでいただいている先様と協議し、見直し等の変更を行い、さらなる山口県の発展のための地域活性化包括連携協定にすべきだと思います。 そこでお尋ねいたします。結ばれている地域活性化包括連携協定の内容を定期的に見直すことで、先様にとっても、山口県はもちろん、県民にとっても有益な地域活性化包括連携協定になると思いますが、県の御所見をお聞かせください。 社会的にも期待の大きいこのような官民連携を増やすことが可能であれば、山口県にだけではなく、全国の自治体が抱える諸問題に対し柔軟な対応ができるのではないでしょうか。 例えば、DXに対して力を注いでいる山口県にとって、4Gから5Gに移行している通信速度のエリア拡大を加速させるべく、通信事業者と地域活性化包括連携協定を協議する。 また、航続飛行時間が長くGPS等で飛行経路を管理でき、高性能な機能を有したドローンにより、繁茂した竹林の管理や県管理の道路、そして橋脚の状況管理を目的とした協定の締結、また、同様の機能を有するドローンによる信号機のない横断歩道における歩行者の安全確保のための取組や、交差点内における横断歩道の適正な管理等を目的とした協定の締結、そして、県管理の公園や学校等に設置してある遊具の安全点検等における、今よりももっと県民が安心して生活できる環境整備を目的とした協定など、山口県がさらに発展するための地域活性化包括連携協定を締結すべきだと思います。 そこでお伺いいたします。今までの地域活性化包括連携協定もしっかり生かしつつ、山口県が抱える身近な問題に特化した連携協定を積極的に行うべきだと考えますが、県の御所見をお聞かせください。 次に、農業振興についてお尋ねいたします。 時は慶長五年(西暦一六○○年)、関ケ原の戦いで敗れた毛利氏は、中国地方約百二十万五千石から周防・長門二か国約三十六万九千石に減封され、藩財政は非常に苦しい状況となりました。 そのため、内政の強化に注力する長州藩は、石高の向上を図るとともに、藩外に出荷して収入源にできる特産物として、米に加えて塩と紙、和紙に着目しました。 第七代藩主・毛利重就は、塩田の開発に加えて交易港の整備を進め、私の地元現在の防府市三田尻には、防長二か国の製塩の半分を占める規模──製塩業者二百一軒、塩の生産三十六万石に達するほどになり、播磨国赤穂に次ぐ国内第二位の大製塩地となりました。 江戸時代後期の時点で塩の自給自足ができていたのは、全国六十八か国のうち八か国と言われ、塩の専売は長州藩の貴重な財源でした。 紙、和紙の原料となるコウゾ、ミツマタは、痩せた土地でも栽培ができるため、水田が少ない中山間部──現在の山口市徳地、周南市の鹿野や須万、岩国市の一部である山代地方が主な産地となりました。 徳地和紙や山代和紙は品質が良いことで広く知られて、長州藩は全国の総生産高の三○%を占め、全国一の製紙国として藩財政に大きく寄与したとされています。 これに、天和元年(一六八一年)頃よりハゼノキの植付けを奨励し始め、紙、米、塩に、はぜろうを加えた防長四白の生産が積極的に行われました。 田布施町付近のハゼノキから抽出されたはぜろうは、良質であるために大阪の市場でいい評判を得ていたとのことです。田布施町宿井には、現存する当時のハゼノキが宿井のハゼノキとして山口県の指定文化財となっております。 このような三白とも四白ともいえる政策を含む努力の結果、幕末の長州藩は約百万石の内高になっていたとされています。平野部を中心とする米、海からの産物である塩、そして山からの恵みである紙と産地業種はばらばらですが、政策を打ち立て成果もしっかりついてきていました。 山口県における農業生産額は、農林水産省の統計では主穀類、園芸作物の合計金額で、一九九八年七百二十六億円、二○○三年五百六十六億円、二○○八年五百九億円、二○一三年四百七十億円、二○一八年は四百七十七億円と少し上向きますが、二○一九年四百五十一億円となっており、二十年間の間に二百七十億円以上、率にして四割近く減少していることに驚いた次第です。 主穀類だけに注目してみますと、五割近く減少している生産額ですが、きっと昨年二○二○年の統計では、トビイロウンカの影響により水稲における大打撃による生産額は一段と下がってしまう可能性もあるかと思います。 しかしながら、長期的に見れば、トビイロウンカによる被害対策も山口県の迅速な対応により対処できており、主穀類へのICT技術の成果も見込め、回復してくるものと信じております。 園芸作物では、特に果実類の生産額減少が顕著に見られ、一九九八年と二○一九年を比べると四四%近く減少しており、果実類に対してもっと山口県を挙げて奨励することで、数値回復と農業従事者の方のモチベーション向上につなげることができないものかと思います。 先ほどくどいくらい時間をかけまして説明をいたしました防長三白を、今の農業に当てはめることができないか。三白のうち米以外の二つ目、三つ目の白を農産品目の園芸作物である果樹から選定し、山口県の農業を強く、全国への出荷、諸隣国への輸出も視野に入れ、推奨することはできないか感じております。 出荷単価が高いものを農林水産省農産局果樹・茶グループの方に伺いました。高額な順から、サクランボ、ビワ、ブドウ、桃、スモモ、梅、栗、梨、リンゴ、柿、ミカンの順になっており、データには反映されていないそうですが、関東地区ではブルーベリーの人気が高くなっているとのことでした。 また、山口県では、基準年を令和元年度とし令和十二年度を目標年度とする、山口県果樹農業振興計画を立てられ取り組まれていらっしゃいます。 その計画で掲げられている十二品目のうち、出荷単価が高額なものの上位に入り、最近では価格の上昇している、ブドウ、桃、そして出荷単価のランキングには入っていないブルーベリーなどを特に力を入れることができれば、山口県における農業生産額は大幅に向上するものと思います。 ちなみに、ブドウ、桃、ブルーベリーは、皮をむくと白色になりますので、そのように感じておる次第です。 植付けから本格的な収穫まで時間を要す果樹ではありますが、その挑戦は防長三白と通ずるところもあり、山口県の農業振興において将来を見据えた取組になると思います。 そこでお尋ねいたします。農業生産額を回復させる上で、園芸作物における比較的単価の高い果樹農業振興は、山口県における農業全般の振興に大きく影響すると私は考えます。果樹農業振興に対する県の御所見をお聞かせください。 あわせて、現在山口県では、新規農業就業者定着促進事業を継続的に行われています。令和二年度までの過去五年間、毎年百人以上が新規に就農され、山口県の農業を支えてくださっていることは感謝の念に堪えません。 就農相談や広報活動、技術指導体制の強化、研修生支援、指導農家支援、新規就業者の定着支援、経営継承円滑化推進といった取組をされ、本県の農業の未来への基盤をつくっていただいております。 農業といっても、主穀類、園芸作物類、多岐にわたると思います。今の定着促進事業は漠然と農業への新規就業となっており、何の栽培の就農なのか不透明であると私は感じます。 私は、先ほども述べましたとおり、出荷単価が高い果樹栽培に力を注ぎ、それらの果樹に特化した新規農業就業者に定着してもらう取組が必要ではないかと思います。 山口県農業試験場の移転により山口県立農業大学校との連携が深まり、山口県の農業振興は格段に向上することが期待できます。畜産のさらなるブランド化はもちろん、水稲をはじめとする穀物類はもちろん、園芸作物類全般における栽培技術の進歩と品質向上、そのことを背景にするだけでも新規農業就業者が出荷単価の高い果樹栽培に特化する意義は大きく、農業への定着につながるものと期待しております。 そこでお尋ねいたします。新規農業就業者定着促進事業の現状の取組と今後の本県の農業振興にどのようにつなげていくのか、県の御所見をお聞かせください。 次に、nuovoについてです。 長野県にある一般財団法人日本笑顔プロジェクトが手がける、平時を楽しみ有事に備えるライフアミューズメントパーク「nuovo(ノーボ)」という施設があります。 二○一九年十月に発生した台風十九号では、千曲川による越水と決壊から、住宅地や農地に大量の泥が流れ込み、ボランティアによるスコップでの復旧作業は、効率は低く時間と疲弊感が増すばかりだったそうです。 私も、平成二十一年、防府市で起こった土石流災害で地元の消防団の一員としてスコップ片手に作業をいたしましたが、限定的な地域にもかかわらず、心が折れそうなほど苛酷な作業でした。 千曲川にボランティアに入った日本笑顔プロジェクトは、短時間で効率を上げるために、重機による復旧作業に着手。十一月から、重機&オペレーター、オペレーターのみ、重機のみ、その三パターンでボランティアを募集し、長野市長沼地区に重機ボランティアを結成し作業を開始したそうですが、オペレーターの不足に直面したそうです。 そこで、重機オペレーターを育成するプロジェクトを二○一九年十二月からスタートし、二月まで計六回の講習会で百十五名のオペレーターを育成。受講者は被災者や農地が被害を受けた農家、NPOやNGOボランティア、地域消防署職員、社会福祉協議会職員、主婦など多種多様な方々での参加だったそうです。 昨今の多発する大規模災害や今後の備えとして、重機免許取得講習を開催し、千名のオペレーターを育成させたいと計画されていらっしゃいます。 また、災害現場や農地復旧での重機操作は大変難しく、現場を想定した訓練場の必要性があるそうです。 それらの経験を生かし、薄れ行く災害や防災への意識をどう高め、維持していくか。その課題に対し楽しむという視点から構想されたのが、体験型ライフアミューズメントパーク「nuovo(ノーボ)」です。 nuovoとは、農業プラス防災で農防。農業の「農」という漢字と防災の「防」と書きます。平時を楽しみ有事に備える施設です。楽しいが世界を救う、楽しいことの延長で、災害に対する備えができたら、私は最高だと思いました。 支援活動を行う中で、本当に現場で役立ったものをピックアップし、それらをnuovoに集約し、体験・習得できる施設として運営されています。 長野県上高井郡小布施町の基幹産業である農業をベースとし、安心・安全な食の在り方を考え実践する場、非常時の食料補給の場としても活用し、表向きは幅広い年代に興味を持っていただくためアミューズメント化していますが、その根底には防災力の向上や食育などライフというテーマが含まれているそうです。 nuovoの目的である楽しむの延長に、防災力を高める、健やかに生きる知恵を身につけるが隠されているそうです。 長野県上高井郡小布施町と同様に、山口県の基幹産業が農業とは言いませんが、本県にとって農業は重要で貴い産業であることは間違いありません。そして本県には、県立農業高等学校、同西市分校、大津緑洋高等学校、田布施農工高等学校や県立農業大学校による農業、園芸等についての学びに力を入れられ、農業分野に力を入れていらっしゃいます。 しかし、農業分野における問題として、荒廃農地に関して、直近の数値で申し訳ございませんが、令和二年は減少しているとはいえ、平成二十七年から令和元年度までは増える傾向にあり、九千四百ヘクタール以上荒廃農地が存在しています。 さらに、想定の範囲内で収まらない豪雨による河川の越水や、土石流も一旦起こってしまうと激甚化してしまう傾向にある今こそ、災害に備える取組を強化しつつ、山口県が抱える荒廃農地対策、農業振興につながる取組の参考にnuovoはなるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。荒廃農地を活用し、災害が起こった際の備えとなる技術、農業体験などから安心・安全な食の在り方も学べる施設をつくることは、防災のみならず、荒廃農地の増加という課題を抱える本県の農業振興への有効な手段であり、参考にしやすく、積極的に取り組むべきだと私は考えますが、県の御所見をお伺いさせていただき、私の一般質問とさせていただきます。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)松浦議員の御質問のうち、私からは、果樹農業振興についてのお尋ねにお答えします。 平たん地から中山間地域まで、多様な地形や気象条件を有する本県において、果樹農業を持続的に発展させるためには、地域の特性を生かしながら、市場ニーズが高く、高単価が期待できる果樹の生産振興を進めていくことが重要です。 このため、温暖多日照の沿岸部や島嶼部ではかんきつ類を、寒暖差が大きい内陸部では梨、ブドウをはじめとした落葉果樹の作付を推進するなど、多彩な果樹産地の形成を図ってきたところです。 こうした中、担い手の高齢化や生産コストの上昇など、果樹経営を取り巻く環境が厳しくなっていることから、私は、昨年度、果樹農業振興計画を策定し、その着実な実行を図るため、優良園地の継承とデジタル技術の推進に重点的に取り組むこととしています。 まず、優良園地の継承については、今年度、県内三か所の果樹産地をモデル地域に設定したところであり、現在、映像や数値によって継承資産を可視化するとともに、地図情報とリンクした形でデータベース化を進めています。 次に、デジタル技術の推進については、遠隔操作で高品質かつ安定的な生産が可能となる、県が開発した通信型マルドリシステムの現地導入を図ります。 さらに、地域性を求める消費者ニーズに対応するため、県産オリジナル品種のせとみや南津海シードレス等の導入を支援します。 私は、本県の果樹産地の維持・拡大に向け、関係団体と緊密に連携しながら、市場ニーズの高い果樹の生産を進めることにより、本県果樹農業の振興を図ってまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)平屋総合企画部長。 〔総合企画部長 平屋隆之君登壇〕 総合企画部長(平屋隆之君)マイナンバーカード利活用への取組についてのお尋ねにお答えします。 マイナンバーカードは、これからのデジタル社会において、オンラインでの本人確認を安全・確実に行うための最も重要な基盤となるものです。 このため、県では、まずは県民の皆様にマイナンバーカードが担う役割やその必要性、利活用のメリット等をしっかりとお伝えし、全県でカードの取得が進むよう、国のマイナポイント事業等とも連携をして、広報誌や新聞広告などにより、普及啓発や広報活動に取り組んでいるところです。 また、各市町においても、カードの速やかな普及に向けて、休日窓口の開設や出張受付などの様々な工夫が行われています。 こうした取組やコロナ禍においてデジタル化が注目され、マイナンバーカードの必要性が広く認識されたこともあり、県内での交付率は、令和元年度には対前年度比三%の伸びであったものが、令和二年度は約一四%、今年度は十月末までに約一一%と、確実に取得が進んでいます。 これに併せ、マイナンバーカードの利活用の促進に向けた取組も、市町とともに着実に進めてまいりました。現在、国の自治体DX推進計画に示された、特に住民の利便性向上に資する行政手続については、県及び七市の延べ四十九手続でカードを使った申請が可能となっているところです。 さらに、令和四年度末までには、全市町において、国が示した全ての手続にマイナンバーカードが活用できるよう、県と市町で構成する連携会議のワーキンググループで検討を進めており、その早期実現に向けて、市町の取組を支援していくこととしています。 国においては、このたびの経済対策に盛り込んだ第二弾のマイナポイントの付与などにより、カードの普及を一層進めるとされています。 県としては、こうした国の取組としっかりと連携を図りながら、デジタル社会の実現に向け、市町とともに、引き続き、マイナンバーカードの普及と利活用の一体的な促進に取り組んでまいります。 次に、地域活性化包括連携協定に関する二点のお尋ねにお答えします。 少子化の進行や人生百年時代の到来、頻発化・激甚化する自然災害、さらには急速に進む技術革新など、本県を取り巻く環境は、大きくかつ複雑に変化を続けており、そうした中で生じる様々な社会課題への的確な対応が求められています。 そして、その際には、多様な主体と緊密なパートナーシップを築き、互いの資源やネットワーク、ノウハウ等をうまく融合させながら対応を図っていくことが効果的であることから、県では、お示しの地域活性化包括連携協定の締結を積極的に進めてきたところです。 お尋ねのうち、まず、この協定の内容を定期的に見直すことについてです。 協定内容については、企業等側の地域貢献に関する意向と県政の課題解決の両面から連携項目を協議し、合意をもって決定していますが、社会経済情勢の変化などを考慮して、項目の設定は大枠にとどめ、定期的な意見交換も行いながら、具体化を進めることとしています。 このため、イベントへの支援など協定内容の一部には既に終了している項目もありますが、これをもって協定全体の見直しを行うという取扱いとはしていないところです。 次に、身近な問題に特化した連携協定を積極的に行うべきとのお尋ねですが、地域活性化包括連携協定は、その名称のとおり、県と企業等が県政の幅広い分野で包括的に連携を図ることを目的としています。 これとは別に、例示をされましたような個別の課題については、例えば、5Gを活用し、僻地の医療機関での診療を遠隔でサポートする取組や、ドローンを使った災害時における被災状況の把握など、それぞれの分野で課題に応じた連携協定の締結を進めているところです。 県としては、今後とも、様々な主体と効果的に連携をしながら、県政の課題解決と地域活性化に取り組んでまいりたいと考えています。 副議長(二木健治君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業振興についての御質問のうち、新規農業就業者定着促進事業の現状と今後の本県の農業振興についてのお尋ねにお答えします。 まず、新規農業就業者定着促進事業の現状については、果樹をはじめとして収益性の高い園芸品目を中心に、就農相談会や技術習得に向けた実践研修の開催に加え、就農後の最長五年間の定額給付などを実施しているところです。 その結果、昨年度においては、自営就農四十二名、法人等への就業六十名の合わせて百二名の方が新規に就農し、県内で活躍されています。 次に、農業振興にどのようにつなげていくのかとのお尋ねについては、地域を支える担い手の定着が本県農業の振興につながることから、果樹をはじめ、高単価が期待できる品目を新規就業者自らが選択し、高い収益を確保できるよう、経営と生活の両面での寄り添った支援を行っているところです。 県としては、引き続き、市町やJA等の関係機関と連携しながら、新規就業者の確保・育成を通じた本県農業の振興を図ってまいります。 次に、nuovoについてのお尋ねにお答えします。 荒廃農地は、抜根、整地、区画整理等を行うことで再生可能な農地と、既に森林の様相を呈しているような再生不可能な農地に分類されます。 県としては、再生可能な農地については、景観形成作物の作付や山口型放牧の促進、日本型直接支払制度の活用等により、農地として維持・再生できるよう、市町と連携して取り組んでいます。 また、再生不可能な農地については、市町農業委員会において、農地台帳から外して農地として取り扱わないこととする非農地判断を迅速かつ適切に実施するよう、国から通知がなされているところです。 さらに、再生不可能な荒廃農地の多くは、道路に面していないなど、条件不利地に点在している実態も踏まえると、お示しのnuovoのような施設を荒廃農地に設置することは難しいと考えています。 副議長(二木健治君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時五十二分散会