1 知事の今後の県づくり・県政運営に向けた決意について 2 デジタルの実装による地域活性化について 3 脱炭素の流れに直面する本県産業の現状について 4 観光産業の復活について 5 防災・減災、国土強靭化の推進について 6 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第二 代表質問 日程第三 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで 議長(柳居俊学君)日程第二、代表質問を行い、日程第三、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 河野亨君。 〔河野亨君登壇〕(拍手) 河野亨君 皆さん、おはようございます。自由民主党の河野亨であります。令和三年十一月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事さん及び教育長さんに質問いたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 今年の十月は、まさに選挙の秋となりました。岸田文雄新政権の下での初めての国政選挙として、十月二十四日に投開票が行われました参議院議員補欠選挙山口県選挙区では、我が党の公認候補が、多くの県民の皆様からの御支持・御支援を頂き、見事な成績で当選を果たすことができました。そして、その一週間後に行われた第四十九回衆議院議員総選挙においても、我が党は、県内全選挙区において圧倒的な得票率で勝利を収めるとともに、全国でも、絶対安定多数となる議席を獲得することができました。 今回の選挙結果は、引き続き自公政権の安定した政治の下で、この国の未来を切り開いてほしいという民意が示され、岸田新政権の下で進めようとする政策への信任が得られたものと受け止めています。 また、先月十日に発足した第二次岸田内閣において、本県から、岸信夫防衛大臣、林芳正外務大臣と、国家運営の基軸となる外交・防衛を担う二人の大臣が同時に誕生いたしました。私どもは、地元から両大臣をしっかりとお支えしなければなりません。 政府においては、早速、政権公約に掲げた、新しい資本主義を起動し、成長と分配の好循環を実現していくための経済対策の策定など、スピード感を持って全力で取り組まれています。 また、新型コロナへの対応についても、先日来、世界的に新たな感染拡大が懸念されているオミクロン株に対して、間髪を入れず水際対策を強化するなど、危機意識を持った迅速な対応が取られています。 我が党は責任政党として、岸田政権の下で、国民・県民の皆様の声をしっかりとお聞きしながら、感染症から命と暮らしを守り、強い経済を取り戻す、そして、私たちの国を守り、新しい時代をつくり上げていくために、全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。 加えて、このたびの総選挙で政権公約の柱として掲げた憲法改正についても、新型コロナウイルス対応や近年の大規模災害を経験し、憲法における、緊急事態条項新設の必要性が、国民・県民に理解されてきています。我が自由民主党は、国会の場において、国のあるべき姿や、時代の変化を的確に捉えた真摯で建設的な憲法議論が進められるよう全力を挙げるとともに、憲法改正に対する国民・県民の皆様の幅広い御理解を得るための活動にしっかりと取り組んでまいる決意を申し上げ、通告に従い質問をいたします。 初めに、知事さんの今後の県づくり、県政運営に向けた決意についてお尋ねいたします。 村岡知事さんの任期も残すところ、あと二か月と迫ってきました。平成三十年二月に二期目の県政運営をスタートされた村岡知事さんは、産業、大交流、生活の三つの維新への挑戦を掲げ、本県の強みである産業力の強化を活力創出の基盤としながら、観光振興や新たな海外展開、子育て・教育環境の充実、さらにはポストコロナを見据えたデジタル改革などに、果敢に取り組んでこられました。 これらの取組の成果は、企業誘致による雇用創出や新たな産業の集積、産業・交流の基盤となる新たな道路整備の着実な進展、教育ICTの早期導入など、県下の様々な分野において目に見える形で実を結んでいます。 一方で、村岡県政二期目は、予期せぬ事故、緊急事態に対峙する局面も多く、知事さんの危機管理手腕とリーダーシップが問われる四年間でもあったと思います。 平成三十年十月には、大島大橋がマルタ船籍貨物船の接触によって損傷し、長期にわたる通行規制と断水により、住民生活や地域産業に深刻な打撃を与えるという重大事故が発生しました。 また、昨年十一月には、上関大橋に突然段差が生じ、復旧の見通しが見えない中で、長期にわたって上関町民の生活や地域経済に様々な影響を及ぼすという想定外の事故も起こりました。 これらの事故に対しては、私どもからも、不十分と思える初動体制や地元支援体制について、厳しく意見を申し入れることもありましたが、知事、執行部には、私どもの意見をしっかりと受け止めていただき、解決に向けて全力を挙げていただきました。 そして、特に、この二年間は、新型コロナウイルス感染症という未曽有の危機との闘いに明け暮れる日々が続きました。 感染拡大が長期化する中で、我が会派からも、県民、事業者、関係団体の切実な声が届けられ、時には意見具申し、様々な対策の具現化も求めてまいりましたが、知事さんには、こうした声にも正面から応えていただき、医療体制の確保や地域経済の回復に向けたきめ細かな支援に鋭意取り組まれ、とりわけワクチン接種では、県下の全市町と連携した周到な準備により、本県は全国トップの早さで接種を進めることができました。 また、コロナ禍を乗り越えるための原動力として、我が党が強く訴えたデジタル改革についても、新たに策定された基本方針の中で、推進の核となるデジタル推進局を新設するとともに、やまぐちDX推進拠点を開設するなど、今後のデジタル改革の進展に期待が膨らむ取組を着実に進めていただいています。 こうした取組の積み重ねにより、ここに来て県内の感染状況には落ち着きがはっきりと見られ、コロナからの反転攻勢に向けた明るい展望が開けつつあります。 このような状況にある中で、村岡知事さんは、先般、新型コロナから県民を守り抜き、傷んだ経済を再生させる責務を継続して果たさなければならないと、三選を目指し立候補する決意を表明され、我が自民党県連としても、このたびの知事さんの決意をしっかりと受け止め、三選に向けて県連組織を挙げて支援すべく、推薦候補者として機関決定をいたしたところです。 現在の山口県には、幾多の課題、難題が立ちはだかっています。最大の課題となっている人口減少、少子高齢化は、この四年間でますます進行し、対策は待ったなしの状況です。 まずは、コロナの第六波への備えを万全にしつつ、コロナで傷んだ県経済の元気を早期に取り戻していかなければなりません。県経済を確かな成長軌道に乗せていくためには、コロナを経た消費行動の変化や進行しつつある資源高騰、そして脱炭素化が及ぼす本県産業への影響など、経済全体の動向にも危機感を持って目配りをし、必要な対策を講じていかなければなりません。 また、地域の活力を高めるためには、コロナの感染拡大以降、中断や頓挫を余儀なくされている、海外をターゲットにした産業・観光面からの新たな取組についても、コロナ禍を乗り越えるべく、今後、目に見える形で戦略的に進めていかなければなりません。 さらに、米軍岩国基地をはじめ、国策に関わる政策課題に対しても、知事さんのリーダーシップの下で、関係者との連携を密にし、地元関係市町の意向もしっかりと踏まえた的確な対応が求められます。 課題を挙げれば切りがありませんが、村岡知事さんには、二期八年で培われた経験と行政手腕で、困難な局面に真正面から対峙していただき、次なる四年間も、山口県の明るい未来をつくり出すための挑戦を続けていただきたいと考えています。 私ども自民党も、知事さんが常々申されている、言うべきことは言う県政与党として、引き続き村岡知事さんの県政運営をしっかりと支えてまいる所存です。 そこでお尋ねいたします。村岡知事さんにおかれては、二期目四年間の県政運営をどのように総括され、今後の県づくり、県政運営にどのような思いを持って臨もうと考えておられるのか、その決意を改めてお伺いいたします。 次に、デジタルの実装による地域活性化についてお尋ねいたします。 本県では、今年度からデジタル改革が本格始動し、様々な分野でデジタル技術を活用する取組が進められています。先月には、推進拠点となる「Y─BASE」もスタートしました。私も視察しましたが、5G環境や全国初の技術を備えた体験・相談機能を持ち、県内外からの問合せも多いと伺っており、大変心強く感じたところです。 一方で、デジタルは課題を解決するための手段であることを、常に念頭に置いておかねばなりません。本県の目下の最重要課題は、人口減少、少子高齢化を乗り越え、活力を創出していくことです。 県では、これまでも国の地方創生政策としっかりと連携しながら、地域の活性化を着実に進めてこられており、その取組は我々も高く評価していますが、先ほども申し上げたように、本県の人口は減少の一途をたどっており、経済社会の土台が弱体化しているという厳しい現実に向き合っていかねばなりません。 もとより、東京一極集中の是正と地方の活性化は、一朝一夕に完遂できるものではなく、国と地方が一体となり、何としても成し遂げていくという強い決意と、たゆまぬ取組が必要です。 岸田内閣においては、成長戦略の柱に、デジタル田園都市国家構想を掲げ、地方からデジタル技術を実装することで変革の波を起こし、都市と地方との差を縮めるとの方向が打ち出されました。 今般の経済対策においても、テレワーク、ドローン宅配、自動配送などのデジタル技術の実装や、意欲ある地域を応援する交付金が盛り込まれるなど、その具体化に向けた取組が早くも動き出しています。 地方においても、こうした動きにしっかりと呼応していかねばなりません。とりわけ本県では、デジタル改革が既に順調に滑り出しています。新内閣が推進する取組と軌を一にして、この改革を一層加速させることで、人口減少、少子高齢化が進む中でも、さらに豊かな県となるデジタル改革を目指し、その取組をしっかりと進めていただきたいのであります。 そこでお尋ねいたします。国において、デジタル田園都市国家構想の実現を柱とした成長戦略が進められる中、知事さんはデジタル改革を本県の活性化につなげるためどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素の流れに直面する本県産業の現状についてお尋ねいたします。 我が国は現在、二〇五〇年温室効果ガス排出ゼロを目標に掲げ、さらに二〇三〇年度四六%減を国際公約としています。地球温暖化の影響が年々顕著になる中、脱炭素を進めていく努力が重要であることは言うまでもありません。 一方で、我が国は資源に乏しく、国土の制約上、再生可能エネルギーの大規模な導入も困難であることから、現在も発電の約三割を石炭火力に依存しているのも厳然たる事実です。 こうした中、イギリス・グラスゴーで開催されたCOP26においては、石炭火力発電の廃止が大きな焦点となり、段階的な削減の方向が合意文書に盛り込まれるなど、石炭への圧力は一層強まっています。 エネルギー政策は国家運営の根幹であり、安定供給の確保と将来を見通した明確なロードマップを示すことは、国の責務であります。しかし、全国有数の工業県である本県は、こうした世界や国の動向に無関心ではいられません。 繰り返し申し上げてきましたが、本県の屋台骨は、瀬戸内沿岸を中心に集積する産業力であります。これにより生み出された雇用や税収がエンジンとなって、経済を回し、医療・福祉や教育を支えています。 その産業競争力は安価で安定した石炭火力に支えられており、だからこそ本県は、コンビナート連携や国際バルク戦略港湾施策などを、産業戦略として推進してきました。脱炭素は、こうした県経済の根幹に関わる、ひいては、県民の雇用や暮らしに影響を与えかねない、重大な課題なのであります。 八年後に迫った二〇三〇年度を前に、産業現場から、今後に対する様々な不安や懸念の声が、我々の元にも届いています。石炭火力への圧力がさらに強まる中、本県の産業界にとっては、場合によっては巨額な設備投資、事業や雇用の転換といった対応が必要となる、差し迫った課題なのです。 産業力を活力の基盤とする本県は、こうした不安や危機感にしっかりと耳を傾け、現場に寄り添った対応をしていかねばならないと思うのです。 我が会派は、これまでも産業力強化を強く推進してきた立場から、この課題には強い危機意識を持っており、今後、議会特別委員会において必要とされる対応方策が取りまとめられるものと強く期待していますが、現下の厳しい状況に関し、改めて、県はどのように受け止めておられるのでしょうか。 世界的に脱炭素の流れが加速する中で、本県経済の屋台骨である瀬戸内産業の置かれた現状について、知事さんはどのように認識をされているのか御所見をお伺いいたします。 次に、観光産業の復活についてお尋ねいたします。 令和元年には、訪日外国人数が約三千二百万人と過去最高を更新するなど、我が国の観光産業は地域経済の維持・拡大に寄与する施策として、着実に成長を遂げてきました。 その後、コロナの直撃により観光需要が蒸発、令和元年には約二十二兆円あった日本人の国内旅行消費額も半減以下の約九・九兆円に激減し、地域経済に深刻な影響を及ぼしています。 このため、県では、国の「Go To トラベル事業」等の経済対策と連携し、プレミアム宿泊券による観光需要の喚起策を講じるなど、観光の灯が消えることのないようきめ細かに取り組んでこられました。 現在、感染拡大の一服に伴い、観光にも少しずつ明るさが見え始めた面はあるものの、旅行需要の本格的な回復には至っておらず、観光産業が疲弊している状況に変わりはありません。 観光事業者の収益力が戻らないまま、融資の返済が始まれば、旅館・ホテルの休廃業が増加しかねません。年末、年明け以降が山場であり、猶予は残されていません。 こうした状況を受け、我が党では、十月に商工観光部会を中心に、県内の宿泊施設を対象にした緊急訪問を実施しました。経営状況が非常に厳しいなどの切実な声を頂きながら、観光需要の喚起や宿泊施設の改修など必要な支援策を取りまとめ、先般、村岡知事さんに対し、観光産業への支援策の拡充について要請を行いました。 知事さんからは、趣旨を踏まえ早急に対応を検討するとの力強い回答を頂きましたが、早速、このたびの補正予算に関連経費を計上されたことは誠に心強く、高く評価する次第です。 国では、新たな経済対策の中で、観光立国の復活に向けて、「Go To トラベル事業」の再開など、観光産業の立て直しを図ることとしています。 また、県では、新型コロナウイルス感染症の危機を乗り越えるため、今後目指していく観光振興の方向性を定めた、山口県観光V字回復プランを策定されたところであり、国の施策とも十分に連携しながら、安全・安心な旅行環境を整えた上で、人々の旅心を後押しする施策を進めていかねばなりません。 そこでお尋ねいたします。県では、今後、疲弊した観光産業を復活させるため、山口県観光V字回復プランの実現に向けて、どのように取り組んでいくのか、知事さんの御所見をお伺いいたします。 次に、防災・減災、国土強靱化の推進についてお尋ねいたします。 近年、気候変動の影響によって、全国各地で自然災害が頻発化・激甚化しており、従来の想定を超える災害への対策が求められてきています。 また、地震大国である我が国においては、南海トラフ地震をはじめ、いつ起こるか予測できない巨大地震への備えについても、スピード感を持って進めていかなければなりません。 さらに、高度経済成長期に集中的に整備された公共インフラは、一斉に老朽化が進行しており、維持管理や更新など適切な対応を講じていかなければ、我が国の社会経済システムの機能不全を招くおそれがあります。 このような切迫した状況を乗り越え、国民の生命・財産を守り、安定した社会経済活動を維持するために、国家百年の大計として、防災・減災、国土強靱化の取組を強力に推進すべきであることは論を待ちません。 こうした危機感の下、国は、自然災害への備えや老朽化対策などの取組の加速化・深化を図るため、昨年末に防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を策定し、令和七年度までに約十五兆円を投じて、各種対策を重点的・集中的に進めています。 さらには、新たな経済対策の柱の一つに、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保を掲げ、先日閣議決定された補正予算案においても所要の事業費が計上されたことは、国土強靱化の取組をさらに加速化させていく意思の表れであると考えるところです。 本県においても、毎年のように自然災害による被害が発生しており、防災・減災対策の充実強化や、山陰道をはじめとした強靱な道路ネットワークの整備、公共インフラの老朽化対策など、災害に強い県づくりに向けた課題が山積しています。 自然災害の激甚化や公共インフラの老朽化が今後一層進行することが見込まれる中、最も求められていることはスピードであります。 県には、経済対策の趣旨も踏まえ、事業効果と経済効果の双方が早期に発現されるよう、国の動きに呼応した対策に一刻も早く手を打ち、防災・減災、国土強靱化の取組を一気呵成に進めていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。県民の生命・財産を守り、安定的な社会経済活動を維持するため、県は、今般の経済対策等を踏まえながら、防災・減災、国土強靱化の取組について、今後どのように進められるのか、知事さんの御所見をお伺いいたします。 最後に、教育行政についてお尋ねいたします。 県教委では、平成十七年に、第一期の県立高校将来構想、平成二十七年には、第二期構想を策定され、特色ある学校づくりや学校・学科の再編整備など、高校教育の質の確保・向上に取り組まれてきました。私の地元、光市でも、令和二年に光高等学校と光丘高等学校を再編統合し、新たな光高等学校を開校するなど、学校・学科の再編整備により、学校規模の拡大を図り、活力ある学校づくりが進められています。 こうした中、本県の中学校卒業者数は、本年三月には、ピーク時のおよそ四割に当たる約一万一千二百人まで減少が進み、十五年後の令和十八年三月には、現在よりさらに約三千人減少する見込みとなっています。 今後も、中学校卒業者数の急激な減少が予測される中、生徒の幅広い選択が可能となる教育の推進や生徒同士が切磋琢磨しながら成長できる教育活動を展開していくためにも、引き続き、一定の学校規模を確保していかなければなりません。 こうした状況を踏まえ、県教委では、現在の構想の終期である令和六年度末を待たずに、第三期構想を策定することとされ、十月末の策定に向けた検討協議会にて、素案の検討資料が示されました。 国では、令和の日本型学校教育の構築に向けた中央教育審議会の答申等を踏まえ、本年三月に、高等学校の特色化・魅力化など新しい時代の高校教育の実現に向けた制度改正が行われています。来年度から高校での新たな学習指導要領が順次実施されることとなっており、本県の高校でも生徒が新しい時代に対応できるよう、充実した教育環境を整えていくことが必要です。 さらに、小中学校卒業時に県外学校への進学が多く見られることから、この流出を食い止めるために、子供や保護者のニーズを十分に把握した上で、生徒等が魅力的と感じる学校づくりを進めることも重要です。 本年三月策定の山口県新たな時代の人づくり推進方針で掲げられた、ふるさと山口に誇りと愛着を有し、高い志と行動力を持った人材の育成に向けて、県立高校には大きな役割が求められています。 このたびの構想の策定に当たり、県教委には、中長期的な視点に立って、本県教育の未来に向け目指すべき県立高校のグランドデザインを描いていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。県教委では、新しい時代にふさわしい県立高校像をどのように描き、どのような方向性を持って第三期構想の策定を進められるのか、教育長さんの御所見をお伺いいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴、感謝いたします。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)河野議員の代表質問にお答えします。 まず、今後の県づくり、県政運営に向けた私の決意についてのお尋ねであります。 私は、知事就任以来、本県が直面する様々な課題を克服し、「活力みなぎる山口県」を実現するため、県内のあらゆる主体と力を合わせて、最重要課題である人口減少の克服と地域の活力創出に全力で取り組んでまいりました。 二期目のこの四年間においては、やまぐち維新プランに掲げた三つの維新への挑戦を積極果敢に重ねてまいりました。そうした中で、企業誘致件数や本県への移住者数の着実な増加、全国に先駆けて充実させた県立学校のICT環境など、県政の各分野で目に見える成果が現れてきています。 お示しのやまぐちデジタル改革についても、庁内はもとより、官民を挙げた推進体制を立ち上げ、拠点施設も整備し、デジタル技術を生かして地域課題の解決や新たな価値の創造を目指す様々な取組がまさに緒に就いたところです。 一方で、二年にも及ぶ新型コロナウイルスの感染拡大は、今なお予断を許さない状況が続いています。その影響によって、社会経済活動は著しく低迷し、観光振興や県産品の新たな市場開拓など、県づくりの一部の取組も足踏み状態を余儀なくされている厳しい現実があります。 これからの県政運営を思うとき、まず第一になすべきは、何よりも県民の皆様の命と健康を新型コロナウイルスから守り抜くこと、私はそのように考えております。そのために、医療が受けられない自宅療養者を決して出さない医療提供体制と徹底した検査体制の確保、そしてワクチンの三回目接種の迅速な実施に万全を尽くしてまいります。 第二に、大きく落ち込んだ地域経済と県民生活を再生し、本県の元気を取り戻していかなければなりません。事業活動の継続・活性化への支援や需要喚起に取り組み、県内経済を早期に回復軌道へ乗せるとともに、資源高騰等の経済情勢の変化にも適切に対応していく考えです。 海外をターゲットとした取組についても、今後の感染状況を見極めつつ、インバウンドの誘致や県産品の売り込み等の本格化に向けて、戦略的な情報発信や受入れ環境の整備に取り組んでまいります。 そして第三に、本県の新たな未来に向けた県づくりをしっかりと前に進めます。あらゆる分野でデジタル改革を強力に、そしてスピード感を持って推進し、三つの維新をさらに進化させるとともに、これまでの危機管理での経験や御意見も教訓として、将来にわたり、安心で希望と活力のある山口県をつくってまいります。 また、今後、重要な政策課題となる脱炭素化については、本県産業の構造的な特性を踏まえ、その国際競争力の維持に十分配慮しながら、官民連携による脱炭素社会づくりに取り組んでいきたいと考えています。 さらに、お示しの国策への対応に当たっては、住民の安全で平穏な生活を確保する立場から、引き続き、国に対して、言うべきことは言うとの姿勢を堅持し、地元の意向を尊重しながら、適切に対処してまいります。 コロナの脅威から県民の皆様の命と健康を守り抜くこと、そして傷んだ社会経済を発展的に再生させていくこと、その重大な責務を継続してしっかりと果たしていかなければならない、そうした強い思いで、次期知事選挙への立候補を決意いたしました。 県民の皆様の御信任が得られるのであれば、コロナ禍を乗り越えて、安心で希望と活力に満ちた山口県の未来をしっかりと切り開いていく、そのことに全身全霊をかけてまいりたい、そうした決意であります。 県議会の皆様方におかれましても、私の決意に御理解をいただき、今後とも御支援と御協力を賜りますよう、心からお願いを申し上げます。 次に、デジタルの実装による地域活性化についてのお尋ねにお答えします。 私は、デジタル化について、人口減少や少子高齢化が進む本県の今後の成長を生み出す原動力であり、県政各分野の課題を解決し、地域の新たな価値を創造する、そうした大きな可能性を有した重要な手段と考えています。 このデジタル化を社会全体に広げ、今までにはない手法で地域や社会の課題を解決し、県民の暮らしや社会経済活動を向上させ、それを本県の持続的な成長・発展へとつなげていく取組を、やまぐちデジタル改革と位置づけて、強力に、そしてスピード感を持って推進しているところです。 こうした中、岸田内閣においては、成長戦略の柱に、デジタル田園都市国家構想を掲げ、デジタル技術の活用によって、地域の個性を生かしながら地方を活性化し、持続可能な経済社会を目指すとされています。 まさに本県のデジタル改革と方向性を一にする構想であり、私としても、お示しのように、国の政策に呼応し、改革の取組をさらに加速したいと考えています。 国は構想の推進に当たり、地方からデジタルの実装を進め、新たな変革の波を起こし、地方と都市の差を縮めていくとの方向を示しています。 私は、その具現化に向けては、課題を抱える地方の現場で、優れたデジタル技術を有する企業等と協働して実証を進め、実践的で効果的なソリューション等をつくり上げ、確実に現場に実装していく、そうした取組が重要であると考えています。 この考えの下で、既に様々な取組がスタートしています。 まず、官民協働フォーラムによるオープンイノベーションでは、中山間地域でのドローンによるスマート物流や道の駅を核としたスマートフォンによる高齢者の生活支援などをテーマに実証を進め、先導的事例の創出を目指します。 行政とスタートアップ企業等が連携するシビックテックにおいては、粗大ごみの収集申込みや聴力の弱い方との意思疎通を支援するアプリ等の開発に向けた実証を、住民の参加も得ながら進めてまいります。 このほか、産業分野での工場のスマートファクトリー化やドローンによるインフラ点検の推進、交流分野でのMaaSなど、新たなモビリティーサービスの構築、生活分野でのAIによる子育て支援システムの構築など、県政各分野において、デジタルの活用とその実装に取り組んでいるところです。 さらに、先月開設した、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」においても、拠点に備えた実証環境等を生かし、デジタルによる課題解決の取組を支援していきます。 私は、国のデジタル田園都市国家構想と連携を図りながら、現場でのデジタルの実装を積極的に積み重ね、地域の活性化を早期に実現できるよう、やまぐちデジタル改革の推進に一層取り組んでまいります。 次に、脱炭素の流れに直面する本県産業の現状についてのお尋ねにお答えします。 コンビナート企業を中心とする基礎素材型や輸送用機械関連等の瀬戸内基幹企業群は、本県製造業における付加価値額の多くを創出するなど、本県経済と雇用の牽引役となっています。 こうした企業は、石炭を利用した自家発電による安価で安定的な電力と蒸気の熱利用等により、国際競争力を確保する一方、二酸化炭素を多く排出する現状にあります。 このため、お示しのとおり、国内外で脱炭素の流れが速度を増す中、脱炭素化に対応しつつ、国際競争力の維持・向上を図ることは大きな困難を伴い、的確に対応しなければ、事業の縮小や撤退、さらには雇用の場の喪失など、県民生活にも重大な影響を与えかねません。 脱炭素化と国際競争力の両立に向けては、石炭等に代わる低廉かつ安定的なエネルギーの確保が不可欠ですが、現段階において、その明確なめどは立っておらず、企業においては、エネルギー転換等に必要な設備投資の判断が困難な状況にあります。 また、技術開発面においても、二酸化炭素を資源として利活用する技術や次世代燃料として期待される水素・アンモニアの燃焼技術など、その多くは開発途上にあり、一層の加速化が必要となっています。 さらに、自動車産業においても、いわゆる電動化シフトに伴い、エンジン部品等を製造するサプライヤーの事業転換が必要であるとともに、将来見込まれる海外での環境規制に対応した自動車のライフサイクル全体での二酸化炭素の削減が、大きな課題となっているところです。 一方、本県コンビナートは、水素やアンモニアなど、全国的にも優位な次世代燃料の生産や港湾をはじめとした産業インフラなど、大きな強みを有しています。 このため、私は、こうした本県のポテンシャルを生かすとともに、技術開発や生産プロセスの高度化等の企業の前向きな取組を後押しするため、本県コンビナートの低炭素化構想の策定に着手したところです。 また、先般、中国経済連合会が設立した、中国地域カーボンニュートラル推進協議会の専門部会に参画し、企業、行政が一体となった電力のカーボンニュートラル化に向けた検討を開始しています。 これらの取組は緒に就いたばかりであり、また、カーボンニュートラルの実現と本県産業力の強化の両立は、決して容易ではありませんが、私は、今後とも、県議会特別委員会での調査研究とも連携しながら、この困難な課題に対し、全力で取り組んでまいります。 次に、観光産業の復活についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症拡大の長期化により、宿泊をはじめとした観光需要が大幅に減少し、本県観光産業はこれまでにない大きな打撃を受け、地域経済に深刻な影響を及ぼしています。 観光産業は、宿泊や飲食など関連する業種が多岐にわたり、地域経済に与える影響は極めて大きいことから、私は、この未曽有の危機に的確に対処し、著しく疲弊した観光産業を一刻も早く回復軌道に乗せていくことが重要であると考えています。 このため、本年十月に、山口県観光V字回復プランを策定し、強力な需要喚起により疲弊した観光産業の早期回復を図るとともに、観光DXの創出や新たなツーリズムの推進など、コロナの時代における社会変革に対応した観光振興に積極的に取り組むこととしています。 こうした中、私は、このたびの自由民主党からの要請をしっかりと受け止め、誘客の基盤となる宿泊施設に対し、来年度にかけて切れ目のない総合的な支援を行う、やまぐち観光振興支援パッケージを今回の補正予算に盛り込んだところであり、今後、さらなる取組の加速化を図ることとしています。 具体的には、新たな旅行ニーズに対応した宿泊施設の高付加価値化や収益力向上等を図る設備投資を対象に、従来よりも補助上限額を大幅に引き上げた補助制度を創設し、宿泊事業者の一層の事業基盤の強化を図ってまいります。 また、一月以降の閑散期における誘客の促進を図るため、現在実施している、旅々やまぐち県民割の実施期間を延長するとともに、新たに、割引率三〇%のやまぐち割引宿泊券を、中国、四国、九州地方を対象に三十万枚発行し、本県への観光需要を強力に喚起してまいります。 さらに、宿泊施設で行われる感染防止対策を徹底した催事への助成を行うとともに、旅行会社による宿泊を伴うバス旅行の造成を促進するなど、宿泊施設の一層の利活用につながる取組を積極的に支援することとしています。 また、こうした取組に加え、宿泊事業者等からの経営面や補助制度等に関する様々な相談に、きめ細かく対応する支援窓口を新たに県下各地に設置し、今後の事業運営の円滑化につなげてまいります。 私は、今後とも、感染状況や経済動向を見極めつつ、国の経済対策にも積極的に呼応し、市町や関係団体等と緊密に連携をしながら、本県経済を支える観光産業の復活と本県観光のV字回復の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、防災・減災、国土強靱化の推進についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも自然災害が頻発化・激甚化し、また、公共インフラの老朽化が進行する中、私は、県民誰もが安心して暮らし続けられる山口県の基盤を築くことが極めて重要であると考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、お示しの五か年加速化対策の予算も積極的に活用し、防災・減災対策の充実強化や強靱な道路ネットワークの整備、公共インフラの老朽化対策などの取組を進めてまいりました。 こうした中、このたびの国の経済対策では、その柱の一つに、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保が掲げられ、足元のコロナ禍で傷ついた経済を立て直し、自律的な経済成長を実現するため、可能な限り迅速な執行を図るものとされています。 私としては、この経済対策を最大限に活用し、本県が直面する災害に強い県づくりに向けた課題への的確かつ速やかな対応を図り、これまでの取組をさらに加速していく考えです。 そのため、本日、経済対策の趣旨を踏まえ、関連する補正予算を今議会に追加上程し、優先度が高く重要な箇所について公共事業予算を前倒しして計上したところであり、事業効果と経済効果の早期発現に向け、迅速かつ機動的な執行を図ってまいります。 具体的には、まず、防災・減災対策については、河川内の土砂掘削等の河川改修、砂防堰堤やため池の整備等を実施するとともに、災害に強い強靱な道路ネットワークを構築するため、緊急輸送道路等ののり面対策や橋梁の耐震化などの取組を進めてまいります。 加えて、公共インフラの老朽化対策については、予防保全の考えに基づき、橋梁やトンネルの補修等を実施するなど、緊急性の高いものから、重点的・集中的に進めていく考えです。 また、早期に執行するため、指名競争入札方式の適用範囲の拡大等により、入札・契約に係る事務負担の軽減や手続期間の短縮を図るとともに、工事現場に配置する現場代理人の要件の緩和により、企業が工事を受注しやすい環境を整備してまいります。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、災害に強い県づくりに向け、国の経済対策にしっかり呼応しながら、引き続き、防災・減災、国土強靱化の推進に、スピード感を持って積極果敢に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 情報化、グローバル化が進展し、少子高齢化が進行する中、国においては、子供たちが未来を切り開いていく力を一層確実に育成するため、令和の日本型学校教育の実現に向けた改革を推進しており、本県においても、新しい時代に対応した特色や魅力のある学校づくりを推進していくことが重要であると考えております。 こうした中、今後の中学校卒業見込者数の継続的かつ急激な減少や、教育を取り巻く環境の変化に対応し、高校教育の質の確保・向上を図るため、本県高校改革の基本的な考え方や施策展開の方向性を示す次期県立高校将来構想を策定することとし、十五年先を見据えて、目指すべき県立高校像について検討を進めているところです。 具体的には、高い志を持ち、主体的に未来を切り開いていく人材や、郷土に誇りと愛着を持ち、地域・社会に貢献しようとする人材を育成するとともに、人とのつながりや支え合いを大切にする心を育む学校を、新しい時代の県立高校像とし、この方向性に沿って、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を進めたいと考えています。 このうち、特色ある学校づくりについては、教科等横断的な視点を踏まえた教育課程の充実や、学校・学科の枠を超えて連携・協働しながら、新たな価値を創造する実践的・体験的な教育活動の充実に取り組むなど、各学校の社会的役割を明確にした上で、学校の特色化・魅力化を図ってまいります。 また、オンラインによる海外との交流や他校との合同学習等のICTを活用した学びを充実させるとともに、コミュニティ・スクールの仕組みを生かして、地域、社会と連携・協働することにより、学校運営及び教育活動の質の向上に取り組むなど、本県の強みを生かした教育を一層推進してまいります。 一方、再編整備については、今後も少子化に伴う学校の小規模化のさらなる進行が見込まれることから、お示しのとおり、選択幅の広い教育の展開や切磋琢磨する環境づくりなど、高校教育の質の確保・向上を図るためには、一定の学校規模の確保を目指した学校・学科の再編整備を進めることが必要であると考えています。 このため、分散型都市構造にある本県の特性を踏まえながら、全県的な視点に立って再編統合を進めるとともに、生徒のニーズを踏まえた大学進学等の進路実現につながる取組や、高度な専門性を持った産業人材を育成する取組等を拠点的に推進する学校をバランスよく配置することなどについても、検討を進めているところです。 県教委といたしましては、こうした学校づくりの方向性の下、中長期的な視点に立って、第三期県立高校将来構想を策定し、さらなる高校改革の推進に全力で取り組んでまいります。