1 今後の県づくりについて 2 県内の中小企業・小規模事業者の活性化について 3 マイナンバーカードの普及促進について 4 今後のコロナウイルス感染症対策について 5 教員免許更新制廃止後の研修体制について 6 サイバー犯罪・攻撃への対応について
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。会派を代表して質問をさせていただきます。 初めに、今後の県づくりに向けた知事の決意についてお尋ねいたします。 村岡知事におかれましては、二期目の任期が満了を迎えようとしている中、先日の記者会見で、引き続き県政のかじ取りを担っていくという意向を示されました。また先ほどは、友党である自民党会派からの質問に対し、次の四年に向けての決意を述べられたところでございます。 村岡県政の二期目を振り返りますと、知事は、県政の最重要課題である人口減少、少子高齢化を克服するために、産業、大交流、生活の三つの維新を掲げ、山口県の強みや潜在力を伸ばす取組に、全力で挑戦してこられました。その強いリーダーシップの下で、様々な分野で県を刷新する多くの取組が、着実に前に進んでおります。 その中でも、我が党が特に重視してきました、頻発する災害への対応や安心・安全な生活の基盤づくり、子育て環境の整備、さらには教育の充実などについて、村岡カラーとして力を入れてこられたことを、我々も高く評価しているところであります。あわせて、昨年からコロナ禍の危機対応に懸命に取り組んでおられることに、敬意を表する次第でございます。 我が党といたしましては、県政を引き続き担われる意を示された村岡知事の手腕により、次の四年間で山口県がさらに発展することに、大いに期待をしております。 一方で、我が国の経済社会は、デジタル化やグリーン化など、コロナ禍をターニングポイントとして大きな変革の中にあり、生活者には様々な課題が生じています。教育格差の是正や、子供の貧困への対応、子育てしやすい環境の一層の充実など、これまでも我が党が重視してきた課題に加えて、産業構造の転換や格差是正を図るための学び直しや職業訓練の充実、複雑化・多様化する子供や家庭環境へのきめ細かな対応など、目を向けていかなければならない課題は多くあります。 経済・社会構造の変化の中で、本県がしっかりと歩みを前に進めていくためにも、生活者に寄り添った、誰一人取り残さないという姿勢と、人への投資という視点が、ますます重要になってくると思うわけであります。 我が公明党といたしまして、村岡知事が、デジタル改革の実現やコロナからの経済回復など、本県が直面する数々の課題を着実に乗り越え、山口県の未来をつくり出す挑戦を今後とも全力で支えていく所存であります。同時に、福祉の党、教育の党として、生活者の声を県政に届け、誰もが希望を持ち安心できる社会を構築する責任をしっかりと果たしていく覚悟であります。 そこでお尋ねいたします。村岡知事は、社会変革の中で生じている様々な生活課題について、どのような課題認識を持ちながら、今後の県づくりに取り組んでいかれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 次に、県内の中小企業・小規模事業者の活性化についてお尋ねいたします。 我が国は、人口減少と急速な高齢化など社会経済の構造的な課題に加えて、度重なる自然災害の発生や、新型コロナウイルス感染症への対応に迫られており、中小企業・小規模事業者の経営は、非常に厳しい状況が続いております。 本県でも同じような状況にある中、県内のあらゆる業種の企業活動に極めて深刻な影響が出ており、特に中小企業・小規模事業者は、かつてない困難に直面し、経営に対する懸念、将来に対する不安の声が高まっております。 また県内では、イベントや旅行の自粛などにより、特に宿泊、飲食、運輸、土産品販売等の観光業界は大きな打撃を受けております。 こうした中、県におかれましては、中小企業者等の事業継続や経営の安定を図るための県制度融資の融資枠の拡大、中小企業事業継続支援金や補助金、小規模事業者応援キャンペーン事業、さらにはプレミアム宿泊券の発行など、様々な対策を講じられてきました。 今現在、新型コロナウイルス感染症の拡大は、落ち着きを見せているものの、またいつ拡大に転じるか、第六波を心配する声も聞こえてきます。 感染症の終息が見通せない状況の中、事業者の窮状や現場の実情を踏まえ、今後も引き続き、企業の活力を取り戻し、個人の消費を喚起していくための支援策を講じていく必要があります。 また、県内の中小企業・小規模事業者におかれましては、コロナ禍においても事業承継は、待ったなしの課題であります。 民間調査会社の調査によりますと、令和三年の県内企業の後継者不足率は七一・○%と前年より四・三ポイント改善したものの、全国平均の六一・五%を大きく上回っており、全国で五番目の水準となっています。後継者不足が廃業に至る大きな要因となっております。 県におかれましては、事業承継マッチングサイトの活用や集中支援期間の設定、また、国と連携して県内四圏域に専任マネジャーを配置し、御支援を頂いております。事業承継の推進には、時間をかけて対応しなければなりませんが、本県経済の基盤となる中小企業・小規模事業者の活性化が最重要課題であります。 また、コロナ禍で傷んだ中小企業・小規模事業者の活性化を図るためには、デジタル化による生産性の向上、付加価値の創出を促進する必要があります。 県では、デジタルを冠とする様々な施策を掲げられており、その中でも多様な主体のデジタル社会への参加を促すデジタルデバイド対策の充実強化について、地域社会の活力の源泉としている重要な役割を果たしている中小企業等は、その事業のデジタル化、DXの取組についてちゅうちょせざるを得ない環境にあります。中小企業者等のデジタルデバイドの解消には、人材、機器などの導入に対する支援が求められております。 そこでお尋ねいたします。県では、長引く新型コロナウイルス感染症禍における中小企業・小規模事業者の活性化支援にどのように取り組まれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 次に、マイナンバーカードの普及促進についてお尋ねいたします。 令和三年十一月一日現在、マイナンバーカードの交付率は、全国で三九・一%、山口県では、全国七番目、四一・一%となっております。平成二十八年一月にマイナンバーカードの交付が始まり五年がたちましたが、いまだ国民全員が持つには至らず、様々な場面で行政と国民の間でデジタル化の遅れが表面化してきております。 令和二年四月の特別定額給付金の支給に当たっても、国民一人一人が各市町村から送られてきた申請書に記入し、返送後、指定の金融機関に振り込まれる手順が取られました。各市町村によって支給される時期が一か月から二か月と差異が生じたこと、申請書の書き方が分からないなど様々な声が、我が党にも寄せられました。 また、オンライン申請では、申請者の入力ミスが数多く見つかり、自治体側の確認作業が負担となるため、途中から受付を中止せざるを得ない事態となりました。 令和三年九月一日よりマイナンバーカードの利用拡大に向けた取組などをデジタル庁が担うこととなり、今後の本格的なカード普及に期待を寄せております。 そのような中、我が党は、さきの総選挙を通して、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及と消費喚起を一石二鳥で進めるため、カードの新規取得者や保有者に一人当たり三万円分のポイント付与を掲げてまいりました。その後、政府との協議を重ね、マイナポイント第二弾が閣議決定されました。 マイナンバーカードを新規に取得した方や現行のマイナポイントの未申込者に最大五千円相当のポイント、健康保険証としての利用登録を行った方に七千五百円相当のポイント、公金受取口座の登録を行った方に七千五百円相当のポイントを付与する予定となりました。 また、本年十月二十日からは、オンライン資格確認等システムの準備が整い、マイナンバーカードの健康保険証利用が始まりました。山口県内では十一月二十九日現在、二百三十七の医療機関・薬局が登録しております。 私もマイナンバーカードと保険証のひもづけを行っていますので、先日、かかりつけの医療機関でマイナンバーカードを使おうとしましたが、読み取り装置をまだ設置していないため、紙の健康保険証を出しました。次に、薬局に薬をもらいに行くと読み取り装置が設置されておりましたので、健康保険証として私が認識されました。薬剤情報を閲覧することはまだできませんでした。 先日開催しました公明党の企業団体等の政策要望におきまして、医療機関におけるマイナンバーカードの利用促進、薬局とのシームレスな薬剤情報の利用など期待される声もたくさん頂きました。 また、消防庁が、このオンライン資格確認等システムを活用し、将来的には全国で救急車による搬送時に患者の個人情報を確認するため、マイナンバーカードの活用に乗り出す考えを示すなど、マイナンバーカードの利活用の在り方について検討が始められています。しかし現状は、まだまだその普及、利用は、緒に就いたばかりであります。 そこでお尋ねいたします。山口県でのマイナンバーカードの交付率は、さきに述べたとおり、全国七番目と高い位置にありますが、県行政のデジタル化推進にも資するマイナンバーカードの普及促進にどのように取り組まれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 次に、今後のコロナウイルス感染症対策についてお尋ねいたします。 本県では、本年八月以降、全国的にも猛威を振るった新型コロナウイルスのデルタ株の感染が急拡大し、県独自のデルタ株感染拡大防止集中対策を実施し、県民、事業者の皆様の御理解と御協力を得て、外出機会の半減や営業時間の短縮など、これまでにない厳しい対策に取り組まれた結果、今現在は感染が下火となっております。 また、県内各市町や関係機関と連携され、全国トップクラスの受入れ病床の確保など医療提供体制の確保に努められているとともに、全国一位の進捗でワクチン接種を進められるなど、感染拡大防止に全力で取り組まれたことに感謝を申し上げます。 我が党は、この夏の第五波での課題を踏まえ、地方議員チーム三千のネットワークを活用し、各自治体における課題を精査し、今夏のピーク時に比べ三割増の約三万七千人が入院できる体制構築や医療人材確保など医療提供体制の強化、追加となる三回目を希望者全員が無料で受けられる体制を整備するワクチン接種の促進、国産の飲み薬を含む治療薬の開発を後押しするため、一種類当たり最大約二十億円の支援や国内実用化を目指す飲み薬は、来年三月末までに約六十万回分を確保する予定など治療薬の確保、PCR検査などの積極的な活用を後押しするとともに、ワクチン接種証明書を年内にデジタル活用し、日常生活の回復を図る四つを柱に、感染力が今後さらに二倍になっても対応できるよう政府へ提言してまいりました。総選挙で訴えてきた主張もほぼ反映させていただきました。三回目のワクチン接種が十二月から始まりますが、国会での我が党の無料化提案を受け、既に岸田文雄首相が全額公費負担で行うと明言され、関係法令の改正が行われたところであります。 今議会で提出された令和三年度山口県一般会計補正予算案に感染拡大の防止、県内経済の下支え、消費需要の喚起など、いずれも緊急かつ重要な新型コロナウイルス感染症の事業であります。 とりわけ、医療提供体制については、県民の命と健康を守るため万全な体制を整備する必要があります。 デルタ株による感染拡大第五波については、すさまじい勢いで全国に感染が拡大し、本県においてもモニタリング指標がステージⅣに至り、ピーク時においては、一日最大療養者数は八百四人、そのうち重症・中等症患者、そして妊婦など、入院の必要がある要入院者数は二百三十人と、医療体制に非常に負担がかかった状態になりました。 現在では感染者数が落ち着きを見せているところですが、十一月二十六日、世界保健機関は、南アフリカなどで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株をオミクロン株と命名し、最も警戒レベルが高い、懸念される変異株に指定されるなど、まだまだ予断は許されない状況にあります。 そのため、今後の感染再拡大を想定し、重症化リスクの高い高齢者などに対して症状に応じた医療が提供できるよう、十分な病床数を確保する必要があります。 また、ワクチン効果により、軽症・無症状の感染者の割合も多くなってくることが想定されております。三回目のワクチン接種を速やかに進めるとともに、感染再拡大に備えた宿泊療養施設の確保や臨時病院などの整備、重症化予防のための抗体カクテル療法の実施拡大などにしっかり取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。今現在、感染は落ち着きを見せておりますが、新たな変異株が出現する中、感染拡大防止にどのように取り組まれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 続きまして、教員免許更新制廃止後の研修体制についてお尋ねいたします。 十一月十五日、中央教育審議会の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会は、教員免許更新制の発展的解消を検討するのが適当とする審議を取りまとめ文部科学大臣に報告されました。十年に一度の更新講習を行う現在の制度を改め、新たな研修制度などをつくることとしています。 中教審では、昨年秋より更新制の存廃を含めた議論を始め、学校の働き方改革が求められる中、更新制が教員の負担となっていることや、退職者等更新をしない教員が増えたことが教員不足に影響を与えるとの意見や、最新の知識を身につけるため十年に一度の講習を受けるという制度自体矛盾しているなどの意見が出されております。 これまでも中教審では、教員の受講の負担を軽減するため、更新講習のオンライン化の促進や、二年間で三十時間以上としている受講期間の弾力化などを検討してこられましたが、更新制の抱える課題の抜本的改善につながるとは評価されず、発展的解消の方向が示されました。 ポスト教員免許更新制として、キャリアステージに合わせて必要な研修を自ら受講するスタイル、その研修の受講履歴の活用が期待されております。 教員本人と管理職、そして教育委員会が、双方向で閲覧権限を持つ受講管理システムは、キャリア形成について対話をサポートする道具として有用であります。既に導入している大分県や京都府では、受講履歴を確認することで、各キャリアステージに応じた受講計画の立案や特定の時期に研修の受講が偏らないようにしています。 令和の時代、教員にとって定期的に知識や技術を刷新するためには、教員が必要とする時期に必要な研修が受けられる環境整備、例えば教員が学校を空けられるような時間的ゆとりを確保できるよう勤務体系と仕組み、例えばコンピューターによる受講で十分な内容であればオンライン化を進め、eラーニングなどの活用が求められております。 山口県では、新規採用前から採用前研修、採用一年目から初任者研修、二年目と三年目にそれぞれフォローアップ研修、四年から五年目のどちらかでステップアップ研修Ⅰ、六年目に六年次研修、七年から九年目のいずれかでステップアップ研修Ⅱ、十四年から十六年目のいずれかでミドルマネジメント研修と計画的・継続的に研修計画が立てられております。 また、このほかにも各学校で行われる校内研修や、より専門性を高めるために受ける希望研修、各教育委員会主催の研修等多くの研修があります。しかしながら、教員にとっては授業日の研修イコール出張は自習・補習計画の準備や事後処理等による業務負担が大きくなるため、研修は受けたいが、受けることをためらうという意見もたくさんあります。 また、中堅教諭等資質向上研修については、教員免許状更新講習期間終了後、教員免許状が更新された後に受講するようになっており、教員免許更新制廃止による影響を受けるため、不安を抱える教員も多いようです。 そこでお尋ねいたします。今後想定される教員免許更新制廃止後における、山口県の教員の働き方改革の視点も踏まえた教員研修の在り方について、どのように取り組まれるお考えか、御所見をお伺いいたします。 最後に、サイバー犯罪・攻撃への対応についてお尋ねいたします。 サイバー空間が重要な社会経済活動を営む重要かつ公共性の高い場へと変貌を遂げつつある中、ランサムウェアによる被害が大幅に増加しているほか、サイバー攻撃が多数発生するなど、サイバー空間における脅威は極めて深刻な状況が続いています。 昨年から急激に増加しているランサムウェアとは、感染すると端末等に保存されているデータを暗号化して使用できない状況にした上で、そのデータを復号する対価として金銭を要求する不正プログラムのことです。今までのランサムウェアは、不特定多数の利用者を狙って電子メールを送信するといった手口が一般的でありましたが、現在では、VPN機器から侵入等、特定の個人や企業、団体等を標的とした手口に変化しており、企業のネットワーク等のインフラを狙うようになってきております。 また、最近の事例では、データの暗号化のみならず、データを窃取した上、企業等に対し対価を支払わなければ当該データを公開するなどと金銭を要求する二重恐喝、ダブルエクストーションという手口が増加しております。 そして、企業、団体等におけるランサムウェア被害件数は、令和二年下半期の二十一件から令和三年上半期には六十一件と大幅に増加しています。 その他、国内の政府機関や研究機関等でサイバー攻撃による情報流出事案やサイバー空間における探索行為等と見られるアクセス件数の増加、インターネットバンキングに係る不正送金事犯は、発生件数が減少したものの、被害金額は微減にとどまり、引き続き高い水準にあります。 このような状況下で、サイバー犯罪、サイバー攻撃に対しては、これまでは都道府県警察が対応してきましたが、海外との連携の必要性が高まる中で、警察庁は令和四年度、大幅な組織改正を行って、新たにサイバー局を設置するとされました。 全国の警察との連携、サイバー攻撃に関する情報の収集・分析の体制を強化し、重大なサイバー犯罪に対応する専門部隊を新たに設け、全国からサイバー捜査に詳しい約二百人を集め、独自捜査に当たるとされております。 サイバー空間は、今を生きる私たちにとって欠かすことのできないインフラであります。ほぼ全てのICT機器は、電源を入れるとともにインターネット環境につながり、全国のどこからでもアクセス可能となります。それを防ぐためにアクセス機器の出入口のセキュリティーを高める必要があります。しかし、それの攻防は、いたちごっこになっているのが現状であります。 そこでお尋ねいたします。警察庁のサイバー局設置に当たり、県警察では、サイバー攻撃・犯罪から県内企業、そして県民生活を守り、安心・安全を向上させるため、どのように取り組まれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 質問は以上でございますが、最後に一言申し上げます。 先ほど村岡県知事から十一月補正予算案が追加上程されました。国のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づき、新型コロナウイルス感染症の拡大防止、ウイズコロナ下での社会経済活動の再開と次なる危機への備え、未来社会へ切り開く新しい資本主義の軌道、そして防災・減災、国土強靱化の推進など、安全・安心の確保の四つの柱で取り組むとされております。 今まさに燃料価格高騰の影響を受け、厳しい環境に置かれている交通事業者への燃料費の一部補助は、地域交通の維持・存続に資する大切な事業でありますし、ワクチン接種や検査による陰性の証明を示すワクチン・検査パッケージを活用して行動制限を緩和することは、傷んだ経済環境から脱却するために大変重要な事業と高く評価いたします。 また、我が党は、さきの総選挙でも令和三年度からの総額十五兆円規模の防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を計画的・効果的に実行すると訴えさせていただきました。 今般、国においても、災害に屈しない強靱な国土づくりを進めるため、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に基づき、流域治水対策や災害に強い交通ネットワーク・ライフラインの構築、予防保全の考え方に基づく老朽化対策、そしてインフラ部門のDX推進等に約四・六兆円の規模の予算立てをしています。それを受け、県においても、農地防災、道路改良、土砂災害対策などに百八十六億円強を計上されたことは、時宜を得たものと評価いたします。 我々も、今定例会に提出された議案、そして本日追加上程された補正予算案に対し活発な議論を行い、県民の皆様に生活の安心・安全を届けてまいることを約束しまして、代表質問を終わらせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の代表質問にお答えします。 まず、今後の県づくりについてのお尋ねです。 私は、活力に満ちた産業や活気ある地域の中で、県民誰もがはつらつと暮らせる「活力みなぎる山口県」の実現を目指し、市町や関係団体、企業の皆様と総力を結集して、これまでの県政運営に当たってまいりました。 二期目となるこの四年間は、お示しの三つの維新への挑戦を掲げ、本県の活力の源となる産業力の強化と、人や物の流れの拡大による地域の活性化、そして、誰もが希望を持って、安心して暮らし続けられる社会の基盤づくりに全力を傾けてきたところです。 これらの取組により、医療関連産業の県内集積や本県への移住者の着実な増加、子供や若者の育ちと学びを支える環境の充実など、様々な分野で目に見える成果が上がってまいりました。 しかしながら、二年にわたる新型コロナウイルスとの闘いの中で、外出や移動の自粛など、人と人との接触機会の低減が求められ、社会経済活動については、回復の兆しはあるものの、現在もまだ落ち込んだ状態が続いています。 このため、県内経済はもとより、県民の暮らしにも様々な影響が生じており、さらに、コロナとの共存を前提とした社会変革の動きは、例えば経済的な格差やサービス人材の不足など、生活に関わる従来からの問題を助長し、より複雑化・深刻化させる可能性もあると考えています。 こうした生活課題にしっかりと目を配りながら、何よりもコロナの危機から県民の命と健康を守り抜くと同時に、社会経済を発展的に再生させていく、私は、その責務を継続して果たしてまいりたいとの決意です。 私としては、今後、社会経済活動の再生に取り組む中で、人への投資を強化するための分配戦略を盛り込んだ国の新たな経済対策を活用し、お示しの学び直しや離職者に対する職業訓練の充実、子供や子育て家庭へのきめ細かな対応などに一層努めていきたいと考えています。 また、現在、やまぐちデジタル改革として取り組んでいる社会全体のデジタル化も、コロナ禍から生まれた社会変革の一つです。デジタル化がもたらす地域課題の解決と新たな価値の創造によって、県民一人一人が希望するサービスやライフスタイルを自由に選択でき、これまで以上の豊かさと幸せを実感できる社会の実現を目指しているところです。 その推進に当たり、私は、誰一人取り残さないという視点が特に重要であると考えています。やまぐちデジタル改革基本方針では、これを改革の基本姿勢に位置づけており、今後も、デジタルデバイド、いわゆる情報格差の徹底した排除によって、県民があまねくデジタル化の恩恵を受けることができるよう、取組を進めてまいります。 さらに、こうした新たな県づくりを支えるのは人であることから、山口県の未来を見据え、ポストコロナの新たな時代を担う若者を育成していくため、新たな時代の人づくり推進方針に沿った取組をさらに加速してまいります。 この方針においても、誰にも等しくチャレンジの機会をつくることを取組の視点として掲げているところであり、様々な環境にある子供や若者の学びをしっかりと支援してまいります。 来る二月の知事選挙において、県民の皆様の御信任を頂けるのであれば、私は、コロナ禍に起因する様々な生活課題の解決に取り組み、県民誰もが希望を持って、いつまでも安心して暮らし続けられる社会の実現に、引き続き邁進してまいります。 次に、県内の中小企業・小規模事業者の活性化についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化、今般の新型コロナウイルス禍など、厳しい経営環境に直面する中小企業・小規模事業者の活性化は、地域経済の振興・発展を図る上で極めて重要であり、このため、私は、中小企業等の事業継続と成長促進に向けた支援を充実強化することとしています。 まず、事業継続に向けては、感染症により売上げが大きく減少した事業者に対して、法人四十万円、個人二十万円の支援金を二度にわたって支給し、幅広い業種の事業者を支援しているところです。 また、今年度、県制度融資の経営安定資金において、前年度比七倍の四百二十億円の融資枠を設定するとともに、九月補正で、新型コロナ資金の据置期間の延長を行う際に追加で生じる信用保証料を支援する制度を創設するなど、手元資金の確保により経営安定を図っています。 さらに、新たな変異株の影響による資金需要に備えるため、国の経済対策に呼応し、経営安定資金の融資限度額を六千万円まで引き上げ、融資枠を三十億円増額するなど、資金繰り支援を充実することとしています。 これらの取組に加え、商工会議所等が行う消費キャンペーン事業への支援のほか、特に感染症の影響の大きい観光事業者には、このたび、割引宿泊券の発行やバス旅行の造成支援に係る予算を計上し、強力な消費喚起に取り組んでまいります。 こうした中、本県は、後継者の不在率が全国的にも高く、コロナ禍で中小企業等が廃業することなく事業を継続できるよう、円滑な事業承継への支援を強化することが必要です。 このため、まず、親族や従業員等への承継に向けては、商工会議所等と連携し、優遇税制等のPRや相談支援を集中的に行うとともに、本県基幹産業である製造業を中心に後継者育成プログラムの開催等を行います。 また、第三者への承継に向けては、事業承継・引継ぎ支援センターが保有する全国データベースを活用し、金融機関等による広域的なマッチングを促進しており、これらの取組を強力に推進することにより、中小企業等の事業継続を支援してまいります。 一方、中小企業等の成長促進には、生産性の向上により付加価値を高めていく必要があることから、今年度から、デジタル技術を活用し業務改革を進めるDXの取組に対し、重点的な支援を講じていくこととしています。 具体的には、従業員等のITリテラシーの向上に向けて、eラーニングによるDX基礎研修を開催するとともに、経営層のDXに対する理解促進を図るためのマネジメント研修等により、DX人材の育成に努めています。 また、情報処理システム構築への経費助成や、RPAの共同利用に向けた実証、さらには、十一月に開設した「Y─BASE」におけるAI等の利活用に関する技術的サポートなど、ハード整備やデジタル技術活用への支援を行い、中小企業等のDX化を促進してまいります。 私は、今後とも、関係機関と緊密に連携し、コロナ禍において様々な経営課題を抱える中小企業・小規模事業者の活性化が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。 次に、マイナンバーカードの普及促進についてのお尋ねにお答えします。 マイナンバーカードは、行政窓口等における本人確認など、身分証明書としての利用のほか、搭載された個人認証機能により、インターネット等によるオンライン手続や、コンビニ等での各種証明書の交付サービスなどにおいて、安全・確実に本人確認を行うために利用されています。 コロナ禍を契機として、国や地方の行政手続やサービスのオンライン化がスピード感を持って進められる中、オンラインでの公的個人認証の役割を担うマイナンバーカードの普及促進は、社会全体のデジタル化を推進する上で、その重要性が増しているところです。 しかしながら、本県のマイナンバーカードの交付状況は、全国七位と、相対的に高水準にあるものの、県民の約四割程度の交付にとどまっています。また、市町ごとの交付率にも差があることから、私としては、全県的に取得に向けた取組を強化していく必要があると考えています。 一方、国は、令和四年度末までにマイナンバーカードをほぼ全国民に行き渡らせるため、このたびの国の経済対策において、お示しの第二弾のマイナポイントの付与や、マイナポータルの利用環境の改善などを進め、さらなる普及促進を図ることとしています。 こうした国の取組は、カード取得の大きなインセンティブとなることから、本県においても、この機を捉え、市町等としっかりと連携しながら、取得の促進と、取得のメリットともなるカードの活用を拡大するための取組を積極的に進めていきたいと考えています。 まず、カードの取得促進に向けては、県と全市町で構成する連携会議で、市町に取得状況を踏まえた働きかけを行うとともに、県下や全国の効果的な取組等に係る情報共有を図ってまいります。 また、国のマイナポイント事業とも連携しながら、ホームページやSNS、広報誌等を活用した広報に取り組むとともに、デジタルデバイド対策として実施する高齢者向けのスマホ教室など、様々な機会を通じて、カードの取得や活用の方法等を紹介し、取得の拡大につなげたいと考えています。 カードの活用の拡大に向けては、連携会議に設置したワーキンググループにより、特に住民にとって利便性が高い子育てや介護などの行政手続について、できるだけ早期にマイナポータルによるオンライン申請が可能となるよう、市町の取組を支援してまいります。 これらの取組に加え、国に対しても、私が本部長を務める全国知事会デジタル社会推進本部を通じて、各種免許証等との一体化など、国民がマイナンバーカードの利便性向上を実感できる取組を確実に進めるよう、引き続き要請を行ってまいります。 私は、行政のデジタル化の推進、そして、本県のデジタル社会実現の基盤ともなるマイナンバーカードを広く県民の皆様に行き渡らせることができるよう、国や市町ともしっかりと連携をしながら、普及促進に向けた取組を積極的に進めてまいります。 次に、今後のコロナウイルス感染症対策についてのお尋ねにお答えします。 現在、県内の感染状況は落ち着いていますが、今般、新たな変異株、オミクロン株が出現するなど、いまだ感染の再拡大に予断を許さない状況が続いています。 このため、私は、感染が再拡大する事態においても、全ての感染者が安心して治療等が受けられるよう、医療提供体制のさらなる拡充を図るとともに、新型コロナワクチンの三回目の接種を促進することが重要であると考えています。 まず、医療提供体制の拡充についてですが、第六波に向けては、第五波における近隣県の感染状況も勘案し、最大療養者数を国推計の約一・七倍となる千四百人と想定し、新たな変異株にも対応できる万全の体制を確保することとしています。 具体的には、感染者の症状に応じ、入院または宿泊療養施設での療養を基本とし、受入れ病床については、十六床増床し五百四十九床にするとともに、宿泊療養施設についても、新たに、県央部と県西部に二か所開設し、六施設九百三十人分を確保したところです。 さらに、万が一、想定を超える感染状況となった場合には、緊急時対応の百床の運用を行うとともに、酸素投与や投薬などを行う臨時の医療施設を、新たに県内一か所、六十床整備することとしており、医療提供体制全般としては、推計を上回る千六百三十九人の受入れ体制を確保したところです。 また、生活習慣病の既往歴があるなど、重症化のおそれのある軽症患者に対しては、抗体カクテル療法により、早期の適切な治療を行うことで重症化を予防できることから、宿泊療養者等に対する専門外来を、県内一か所から三か所に拡充してまいります。 次に、新型コロナワクチンの三回目接種の促進についてです。 ワクチン接種は、感染予防や重症化予防などについて、大きな効果があることから、私は、これまで市町や医師会等の関係機関と連携し、積極的にその促進を図ってきたところです。 一方で、こうしたワクチン効果は、接種後、時間の経過とともに低下することから、追加接種が重要と考えており、私は、希望される方が一刻も早く追加接種していただけるよう、迅速で円滑な接種を進めてまいります。 まず、医療従事者については、一回、二回目同様、県において医療関係団体と接種体制等の調整を行い、十二月一日から接種を開始したところであり、コロナ患者を受け入れる入院医療機関や診療・検査医療機関を皮切りに、来年の二月中の接種完了を目指してまいります。 また、年明けの一月から高齢者への接種が、三月からは、その他一般県民への接種が各市町において開始されることから、県といたしましては、ワクチンの安定供給や接種に係る従事者の確保など、円滑な実施に向けた支援を行ってまいります。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、第五波を上回る爆発的な感染拡大にも十分対応できるよう、引き続き、市町や医療関係機関等との連携を密にし、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員免許更新制廃止後の研修体制についてのお尋ねにお答えします。 教員は、次代を担う子供たちを育てるという極めて重要な使命や責任を持つとともに、子供たちの人格の形成を担う存在であることから、研修をはじめとした資質能力向上の取組を充実させていくことが重要であると考えています。 これまで、国においては、教員が定期的に最新の知識・技能を身につけることで、必要な資質能力を保持することなどを目的として、教員免許更新制を実施しており、更新講習の受講による教員の学びの機会の拡大などの点において、一定の評価を得ているところです。 こうした中、更新講習を受講する教員の経済的・物理的な負担感や教員の確保に影響を与えているという声があることなどを踏まえ、このたびの中央教育審議会の審議のまとめにおいて、教員免許更新制の発展的な解消を検討するという方向性が示されました。 本県においては、これまで、教員免許更新制も考慮した研修体系を構築し、キャリアステージに応じた資質能力の向上に努めてきたところであり、今後、教員免許更新制が発展的に解消された場合においても、教員が必要とする時期に、必要とする研修を受講できるよう、研修体系の見直しや研修受講のための環境整備などに取り組んでいく必要があると考えています。 そのため、お示しの中堅教諭等資質向上研修を含む研修全体を再整理するとともに、学校のニーズも踏まえ、全県的に整備されたICT環境も生かしながら、オンラインと対面を組み合わせた研修講座を編成するなど、働き方改革の視点にも立った研修の在り方について検討してまいります。 また、現在、やまぐち総合教育支援センターで管理している教員の研修履歴について、今後の国の動向や他県の事例等も参考にしながら、効果的な活用を図ることにより、教員の主体的な学びにつなげてまいります。 県教委といたしましては、教員が自ら資質能力の向上に向け、積極的に研修等に取り組むことができるよう、教員免許更新制等に関する国の動向を踏まえながら、研修体制の一層の充実に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)谷警察本部長。 〔警察本部長 谷滋行君登壇〕 警察本部長(谷滋行君)サイバー犯罪、サイバー攻撃から県内企業や県民生活を守り、サイバー空間の安全・安心を向上させるための取組についてお答えいたします。 議員お示しのとおり、サイバー空間における脅威は極めて深刻な状況が続いており、国内においても、政府機関や企業等へのサイバー攻撃による情報流出事案や企業恐喝事案などの被害が発生しております。 このような状況の中、警察庁においては、来年度、警察庁の内部部局としてサイバー局を設置するとともに、関東管区警察局に一定のサイバー事案について捜査を行う組織を設置する準備が進められているものと承知しております。 県警察としても、サイバー空間の脅威から県民生活や社会経済活動の安全を確保するため、職員の対処能力向上、体制の整備等を進めているところであります。 サイバー犯罪、サイバー攻撃については、国境を越えた犯行が容易であるなど、地理的制約を受けないという特徴がございます。 県内においても、常に警戒が必要であり、県内企業や県民それぞれに、常日頃から、被害に遭わない、被害を拡大させないよう自衛措置を取り組んでいただくことが重要であると考えております。 県警察では、市町、教育機関、商工会議所等百六十団体との間で構築しているサイバーセキュリティパートナーシップや、県内のプロバイダー、金融機関、大学等で構成する山口県ネットワークセキュリティ協議会などと連携した情報発信・広報啓発活動を行っており、企業、団体の自衛措置に必要な助言と情報提供を行っているところであります。 また、電気、医療、金融など、サイバー攻撃による機能の停止により国民生活に多大な影響を及ぼすおそれがある事業所等に対しては、重要インフラ事業所等で構成するサイバーテロ対策協議会を通じ、民間有識者による危機管理セミナーや被害事例に関する情報提供等を行っているほか、制御システムへの侵入やネットワークの停止等を想定した産学官連携による訓練を定期的に実施しているところであります。 県警察としては、今後、国の機関が新たに整備されれば、しっかりと連携を取りつつ、引き続き、認知した事案に対する迅速な捜査を推進するとともに、SNS等を活用したタイムリーな情報発信と注意喚起を推進するなど、サイバー犯罪、サイバー攻撃から県内企業と県民生活を守り、サイバー空間の安全・安心を向上させるため、取締りと被害防止対策の両輪で取り組んでまいりたいと考えております。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時五十分休憩