1 基地交付金による地域振興について 2 コロナ後を見据えた本県観光の魅力向上について 3 カーボンニュートラルに向けた森林づくりの推進について 4 岩国・和木地域の道路整備の推進について 5 ダムによる治水対策について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 畑原勇太君。 〔畑原勇太君登壇〕(拍手) 畑原勇太君 皆様、おはようございます。自由民主党の畑原勇太です。 令和三年最後の定例会で一般質問の機会を賜りましたことに感謝申し上げます。 新型コロナウイルスとの闘いが始まってから、間もなく二年がたとうとしています。今年六月末頃から始まった第五波では、新規感染者数、入院患者数ともに過去最大となる一方、重症化率や致死率は大きく低下しました。 また、緊急事態宣言等が全面的に解除された十月以降は、それまでのようなリバウンドによる感染再拡大は見られず、全国的に感染状況は落ち着いた状況が続いています。 海外メディアは、現在の日本のこうした状況を驚くべき成功例と取り上げました。この要因として、私たちの行動変容が定着してきたことに加え、ワクチン接種の浸透が大きく影響していることは間違いありません。 ワクチンについて、野党は当初、海外の治験データによる特例承認に慎重な対応を求めていましたが、今年の通常国会終盤には、ワクチン接種の遅れは政府の失策であるとスタンスが大きく変わりました。 また、希望する全ての高齢者の接種を七月末までに完了することを目指す中、野党は自治体が置かれた実態を踏まえないまま、根拠もなく七月末と言ったのではないかと述べましたが、関係する全ての方々の御尽力により、予定どおり七月末に完了しました。 ワクチン接種のここまでの浸透も、現在の落ち着いた感染状況も菅前総理のリーダーシップなくしては、なし得なかったと思います。政治は、批判を受けながらも信念を持って、現実的な政策を着実に実行して結果を出していくことが、いかに重要であるかということを改めて感じています。 今後も警戒が必要である状況に変わりはありませんが、飲食店では、以前のようには客足が戻らないという話もお聞きしていますので、コロナと共存する社会経済活動に具体的な道筋をつけるべく、私も全力で取り組んでいく覚悟であることを申し上げ、通告に従い質問させていただきます。 まず、基地交付金による地域振興についてお尋ねします。 岩国基地に関する諸問題については、私は、その解決に向けて誰よりも大きな責任を負っていると自覚し、登壇の機会を頂くたびに質問してきました。 特に基地交付金については、住民生活の安心・安全の確保と基地周辺地域の発展に向け、制度の継続や拡充、運用改善などに努めていく必要があり、先月十一日にも、県及び二市二町の基地議連で構成する岩国基地問題議員連盟連絡協議会の幹事長として、顧問の柳居議長、代表の槙本先生らとともに、国に対して、市町への交付金制度の継続と恒久化、県交付金の確実な予算措置と運用改善などを強く要望してきました。 基地に関する交付金のうち、いわゆる県交付金は、米軍基地があることによってこれからも続く地域と住民の負担と、国策への貢献に見合う地域振興策として、広域自治体である県が市町の枠を超え、産業振興等の面で果たすべき役割に着目して措置されているものであり、これまで、道路や港湾、岩国錦帯橋空港の整備などに有効に活用され、基地周辺地域の発展に確実につながってきたと考えています。 そこで、県がこの交付金を活用して整備を進めている県立武道館と、現在検討中の県東部地域の産業振興支援機能の構築について質問させていただきます。 まず、県立武道館の整備についてです。 この夏、スポーツの持つ力が、コロナ禍に苦しむ世界を希望の光で明るく照らしました。 東京オリンピック・パラリンピック開催について、大会前、菅総理は、やめることは一番簡単なこと、楽なことだ、挑戦するのが政府の役割だと述べられました。 ホスト国のリーダーとして、この覚悟がなければ、このときのために鍛錬を積んできた世界のアスリートが晴れ舞台に立つことも、コロナ禍に苦しむ世界の人々に夢と希望を与えることもできず、私たちが連日、あれほどの感動を味わうこともありませんでした。 開催さえ危ぶまれた両大会が、多くの方々の御尽力により一年越しで開催され、最高の舞台で最高のパフォーマンスを発揮される選手の皆さんの姿に、改めてスポーツが持つ力を痛感し、スポーツの発展に尽力していかなければならない、県東部地域の県立武道館の整備を急がなければならないと意を新たにしました。 過去の一般質問でも述べたように、県東部地域では柔道や剣道などの武道系競技が盛んで、活動の場を求める声は非常に大きいものがあります。 また、東京オリンピックでの活躍も記憶に新しいところですが、愛知県から岩国工業高校に進学した加納虹輝選手が金メダルを獲得したフェンシングや、徳田新之介・廉之介両選手が兄弟でオリンピック出場を果たしたハンドボールなど、県東部地域には全国レベルの競技があり、地域の誇りであると同時に、本県にとって大きな財産となっています。 さらに、岩国基地と共存する地域として、スポーツを通じた日米交流も積極的に進められており、交流の促進や地域の活性化の面からも、県立武道館の整備には大きな期待があります。 こうした地域の実情を踏まえ、私は、今年二月定例会の一般質問において、基本計画の策定に当たり、新たに整備する県立武道館が県東部地域の活性化とスポーツ交流の推進につながる施設となるよう、利用者の利便性を確保するとともに、国体等の全国規模の開催基準を充足しつつ、より安価な費用で整備・維持管理が可能な施設となるよう検討を進めていただきたいとお願いしました。 県が十月に発表された基本計画では、こうした点について十分な検討がなされ、その結果がしっかり反映されているものと評価しています。 今後は、基本計画に掲げるスケジュールに従い着実に事業を進めていただきたいと思いますが、着工が令和七年度、供用開始が令和十年度とまだまだ時間を要する事業であることから、地域のニーズや期待も踏まえ、整備後の有効活用も見据えながら、早期の供用開始に向けて一層の御尽力をお願いしたいと考えています。 そこでお尋ねします。県東部地域の県立武道館の早期整備に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、県東部地域の産業振興支援機能の構築についてです。 私は、令和元年六月定例会で、県東部地域の産業振興に関わる支援機能の構築について、地元市や商工団体等と連携した県の取組について質問しました。 本県の瀬戸内海沿岸には全国有数の石油化学コンビナートが形成され、岩国・大竹地区もその一角をなしていますが、岩国基地と共存する岩国・和木地域には、その制約から宇部・小野田地域や周南地域のような大規模で一体的なコンビナートは形成されず、都市基盤や産業環境の整備においても、建築物の高さ規制や土地利用の制限を受けてきました。 また、この地域の中小企業にとっては、やまぐち産業振興財団や産業技術センターなど、県央部に集中する県の産業支援機関からの支援や利活用も容易ではない状況があります。 こうした実情も踏まえ、県では、岩国市及び商工団体から要望を受け、平成三十年度から県東部地域の産業振興に向けた必要な機能の調査や課題の整理を行われ、導入する支援機能の絞り込みと、その導入に必要な設備や施設規模などを検討した上で、令和二年四月に基本構想を取りまとめられました。 しかしながら、その後の新型コロナの感染拡大などを踏まえ、現在は、新しい生活様式への対応や支援機能の充実など、基本構想の見直しを進められています。 地元商工会議所では、これまで、地域の事業者による外国人向けのビジネス展開や、新たなビジネスの創出に向けた支援など、事業者支援の強化に積極的に取り組まれていますが、コロナ禍という未曽有の事態が、事業者の意欲や経営に大きな影響を及ぼしている現在の状況にあっては、地域の産業と雇用を守るため、これまでよりも一段上のさらに手厚い行政の支援が必要と考えます。 そのため、県には、県東部地域における中小企業を守り育てるため、商工団体等の取組をしっかり後押ししつつ、事業者が抱える様々な経営課題などに対して、より専門性の高い支援を総合的かつ継続的に実施できる仕組みや体制を構築していただきたいと考えており、支援拠点の整備を含め、産業振興支援機能が早期に構築されることを期待しています。 そこでお尋ねします。県東部地域の産業振興に関わる支援機能の構築に向けて、地元市町や商工団体等と連携し、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、コロナ後を見据えた本県観光の魅力向上についてお尋ねします。 現在、本県の新型コロナウイルスの感染状況は、非常に低い水準で推移しており、社会は徐々に元気を取り戻しつつあります。 国においては、ワクチン接種の進展や治療薬の普及、感染防止対策の浸透を踏まえ、行動制限を段階的に緩和し、一日も早い社会経済活動の再開に向けた取組を活発化させており、とりわけ、地方経済の牽引役である観光業の復活が強く期待されます。 自民党山口県連においても、コロナ後を見据えた経済再生の取組をリードするため、先日、県に対し、本県の地域産業を支える観光業への支援策の拡充について要請を行ったところです。 こうした中、県では、プレミアム宿泊券、フェリー券や旅々やまぐち県民割といった観光需要喚起策を講じるなど、経済回復に向けた集中的な対策を積極的に展開されていますが、コロナ禍で落ち込んだ本県観光がもう一度輝きを取り戻すためには、私は、こうした短期集中的な対策だけでなく、受入れ環境の整備に地道に取り組み、本県観光のファンやリピーターを創出することが必須であると考えています。 その一つは、新幹線駅、空港、港湾など本県の玄関口となっている場所周辺の景観美化です。これらは本県の顔とも言える場所であり、県外からの観光客の第一印象がここで決まると言っても過言ではありません。 県内の駅や空港に降り立った県外からの観光客の皆様に、草刈りや清掃が行き届いた、整然として清潔感のある町並みで気持ちよく旅をスタートしていただき、そして楽しい思い出と本県への好意的なイメージを持って旅を終えていただく。玄関口にはそんな美しい環境が必要です。 そしてもう一つは、観光地におけるトイレの整備です。近年、他県や観光庁では、観光客の利便性や魅力向上の観点から、トイレの整備を着々と進められていますが、本県では、いまだ和式便器の公衆トイレも少なくありません。 私の地元岩国市では、錦帯橋や吉香公園をはじめ、主要な観光地では、温水洗浄便座つきトイレの導入が進んでおり、多くの観光客に気持ちよく利用していただいているものと思います。 また、二○一八年の道の駅全国ランキングで一位を獲得した道の駅北浦街道豊北では、響灘の絶景を見渡せる温水便座のついたきれいなトイレが整備されており、一位獲得の原動力にもなりました。清潔感があり機能性のあるトイレは、観光地のイメージに直結するものであり、おもてなしの観点からも計画的な整備が必要です。 感染状況が落ち着き、今後の観光需要の増大が見込まれ、本県観光の底上げを図らなければならない今こそ、こうしたこれまでなかなか対策の行き届かなかった分野に目を向けるべきと考えます。 そこでお尋ねします。本県観光の再生に向け、短期集中的な対策に加え、受入れ環境の整備に地道に取り組み、本県観光の魅力向上につなげていくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、カーボンニュートラルに向けた森林づくりの推進についてお尋ねします。 昨年十月、菅政権において、二○五○年カーボンニュートラルが宣言されました。 この宣言は、各種産業界において衝撃をもって受け止められる一方、先日、トヨタ、マツダをはじめとした五社の自動車メーカーが、カーボンニュートラルの実現に向け、内燃機関を活用した燃料の選択肢を広げる挑戦について共同で発表されたように、温室効果ガスの排出削減に向けた具体的な動きも始まっています。 本県経済は、瀬戸内コンビナートなど、石炭使用量が多い産業に支えられている構造にあることから、カーボンニュートラルを実現するためには、他県に比べて高いハードルを乗り越えていく取組が求められます。 カーボンニュートラルは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることであり、これを達成するためには、温室効果ガスの排出量の削減に加えて、吸収作用の保全と強化を進めていく必要があります。 そして、この吸収作用の強化に向けて最も高い効果が期待されるのが、森林が有する地球環境保全機能です。 農林水産省では、今年五月、持続可能な食料システムの構築に向け、みどりの食料システム戦略が策定されました。その具体的な取組の柱である、イノベーション等による持続的生産体制の構築において、農地・森林・海洋への、炭素の長期・大量貯蔵が位置づけられています。 本県では、平成十七年度から森林づくり県民税をいち早く導入し、県民の皆様の御理解と御協力を頂きながら、森林の整備に取り組んでこられ、国においても、森林環境税と森林環境譲与税が創設され、一昨年度から取組がスタートしています。 こうした制度を活用した森林整備は、環境保全機能の向上に大きく寄与する一方で、森林による炭素の長期・大量貯蔵に向けては、その整備だけでなく、適期の伐採とその後の植林を行う再造林の取組を推進するとともに、森林資源を有効に利用する好循環の仕組みを構築していかなければなりません。 私は、県土の約七割を森林が占め、二次産業に特化している産業構造を有する本県であるからこそ、全国に先駆けて林業の構造変革やデジタル技術の活用などにより、カーボンニュートラルを進めていくことが重要だと考えています。 そこでお尋ねします。カーボンニュートラルの実現に向けて、森林が有する炭素の長期・大量貯蔵機能が最大限発揮されるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、岩国・和木地域の道路整備の推進についてお尋ねします。 人口減少や少子高齢化の進展が、コロナ禍をきっかけに加速することも懸念される中、地域の強みを生かした地方創生や、人や物の安全で円滑な移動の確保、激甚化する災害への対応力の強化を図るためには、その基盤となる道路の整備が非常に重要です。 このため、私は、道路は地域の命、活力の源との思いを胸に、道路ネットワークの骨格を形成する幹線道路から、安心・安全な暮らしを支える生活道路に至るまで、住民の皆様の多様なニーズをしっかりとお聞きし、地域の課題や実情に応じて、その整備の必要性をきめ細かく訴えてきました。 しかしながら、岩国・和木地域の道路は、これまでの国や県、地元関係者らが一体となった取組により、目に見えて整備の成果が現れつつある一方で、市街地では慢性的な渋滞に加え、通学路における児童生徒の事故や災害時の集落の孤立のリスクがあるなど、依然として解決すべき多くの課題を抱えています。 現在、整備が進められている国道二号岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパスは、県東部地域の円滑な物流や交流人口の拡大に加え、大規模災害時の緊急輸送道路や避難路として国土強靱化にも資するものであり、その早期完成に向け、さらに強力に事業を推進していく必要があると考えます。 このうち、国道百八十八号藤生長野バイパスは、今年十月には地元説明会が開催され、国から詳細なルートや事業のスケジュールが示されるなど、事業が着々と進められており、バイパスへのアクセス道路の具体化も早急に行っていく必要があると考えます。 また、国では、本年六月、千葉県八街市で下校中の小学生五人がトラックにはねられ死傷した事故など、登下校中の小学生らの事故が相次いだことを受け、このような痛ましい事故が二度と起きないよう、改めて通学路の総点検を行い、交通安全のための緊急対策を拡充強化し、速やかに実行に移す取組が行われています。 岩国・和木地域でも、通学路として歩行者や自動車が多い県道北中山岩国線や県道岩国錦線など、子供の安全を守るため、歩道整備などの対策を加速する必要があると考えます。 そこでお尋ねします。岩国・和木地域の社会経済活動を支え、地域住民の生活の向上に大きく寄与する道路の整備を重点的・計画的に推し進めていくべきと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、ダムによる治水対策についてお尋ねします。 地球温暖化の影響による台風の大型化やゲリラ豪雨の頻発化に伴い、近年、水害から住民を守る治水対策の重要性が高まっており、国も流域治水をはじめとした防災・減災、国土強靱化の取組を推進しています。 今後の治水対策を考える上では、土地利用規制による被害対象の減少や、避難体制の強化による被害の軽減などの視点も必要ですが、まずは、氾濫を防ぐ取組を進めることが何より重要です。 本県でも、河川整備計画に基づいた河川改修など、ハード整備を着実に進める必要があると思いますが、その中でも、ダムの整備は、広域にわたって洪水調節に大きな効果を発揮するものであり、治水対策の充実強化を図る上で不可欠です。 現在、県内では、平瀬ダムをはじめ三つのダムの整備が進められていますが、激甚化する自然災害への対応を防ぐためにも、県には、地域への影響にも十分配慮しながら、各ダムの早期整備に向け、事業を着実に進めていただきたいと考えています。 また、ダムの洪水調節機能を最大限発揮するためには、その運用においても、実効性を高める取組が必要です。 例えば、錦川水系では、現在建設中の平瀬ダムが完成すると、水系内で六番目のダムとなるため、その運用に当たっては、水系にある複数のダムが連携を取り、効率的・効果的な実施が重要になってきます。 全国的に、ダムの事前放流を効率的に実施して、河川の氾濫防止を図るべきとの声が高まる中、本県の一級水系と二級水系に整備されている治水ダムについては、昨年度、事前放流の実施方針を定めた治水協定を締結されました。 新たなダムが整備された場合には、事前放流を含めたダムの運用について検討することになると思いますが、ダムの事前放流は、利水者への影響が大きいことから、河川管理者やダム管理者、利水者などが十分に協議を重ね、合意を形成した上で取組を進めていく必要があります。 県には、ダムの計画的な整備に加え、事前放流を含めたダムの運用の実効性を向上させ、洪水調節機能を一層高めることにより、県民の安全で安心な暮らしの確保を積極的に進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。水害から流域住民をはじめとした県民の暮らしを守るため、ダムによる治水対策について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)畑原議員の御質問のうち、私からは、基地交付金による地域振興に関する県東部地域の産業振興支援機能の構築についてのお尋ねにお答えします。 産業活動やまちづくりなどに様々な制約を受ける基地周辺地域の振興に向けて、私は、米軍再編に係る県交付金を有効に活用し、地元のニーズにしっかりと対応した支援策を講じていくことが重要と考えています。 このため、地元市町や商工団体の御意見等を伺いながら、産業振興支援機能の構築に向けた検討を進めており、デジタル化など社会変革の動きや感染症の拡大などへの対応を図る観点から、導入機能の拡充や候補地の見直しを図り、改めて基本構想案を取りまとめたところです。 まず、導入機能については、地元企業の支援ニーズを踏まえ、デジタル技術を活用した事業展開に向けたDX支援機能や、水素利活用など脱炭素化の動きにも対応した新たな付加価値の創出に向けたオープンイノベーション機能など、支援機能の充実を図っています。 また、岩国市内に防衛装備庁の試験評価施設が設置されたことを契機として、同施設利用企業によるサテライトオフィスとしての利活用を想定するほか、ウェブ会議の活用などによる新しい生活様式にも対応することとしています。 さらに、こうした機能を十分に生かし、東部地域の産業振興における企業支援やビジネス交流の中核的な拠点とするため、商工団体や公共施設との連携による拠点性の向上や交通アクセスなどを総合的に勘案し、岩国商工会館敷地を候補地に選定したところです。 今後は、この構想を基に、DX支援機能における高度専門人材の配置や最先端の機器整備、オープンイノベーション機能における企業間のコミュニティー形成に資する環境づくりなど、機能や整備内容を具体化してまいります。 さらに、産業支援機関のブランチ機能としての効果的な連携の在り方や、施設全体の推進体制、適正な事業規模、スケジュールなどを検討し、基本計画の策定につなげてまいります。 また、基本計画の策定に当たっては、県、地元市町や商工団体、産業支援機関、さらにはDXの専門家などで構成する検討組織を立ち上げて進めることとし、基地議連の御意見を十分お聞きしながら施設イメージを具現化し、整備内容等を取りまとめてまいります。 私は、関係機関と緊密な連携を図りながら、効果的な産業振興に係る支援機能の早期構築に向けて着実に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)県立武道館の整備についてのお尋ねにお答えします。 県東部地域の県立武道館については、大規模大会の誘致・開催や、競技の普及、競技力の向上を図る上で必要な施設として、岩国市をはじめ地元からの強い要望を踏まえ、整備の具体化に向け、本年十月、基本計画を策定したところです。 この計画では、県立武道館の早期整備を実現し、岩国市総合体育館との連携による全国規模の大会誘致や多様なスポーツ交流の促進につながるよう、必要な規模・機能を備えた施設を岩国運動公園内に整備することとし、これを計画的に進めるため、事業スケジュールを定めたところです。 具体的なスケジュールとしては、先月末に業者選定のための公告を行うなど、基本設計及び実施設計の準備を進めているところであり、今後は、令和六年度に設計業務を完了し、令和七年度に着工、令和十年度の供用開始を目指してまいります。 また、お示しのとおり、武道館の整備とともに、供用開始後の施設の有効活用を図っていくことが重要と考えています。 このため、大規模大会の開催等によるスポーツの普及や日米交流などを通じた、積極的な利活用が促進されるとともに、岩国運動公園との一体的な管理運営による効率的な運用が図られるよう、引き続き、岩国市と協議してまいります。 県としては、地元岩国市等としっかり連携しながら、県立武道館の早期整備に向けて、計画的かつ着実に取り組んでまいります。 次に、コロナ後を見据えた本県観光の魅力向上についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍により深刻なダメージを受けた本県観光の再生に向けては、観光産業の早期回復を図る短期集中的な取組に加え、コロナ収束後も見据えた魅力ある観光地づくりを積極的に推進していくことが必要です。 とりわけ、本県を訪れる国内外の旅行者が、快適な観光を楽しみ、満足していただくためには、お示しの景観美化やトイレ整備をはじめ、おもてなしの基本となる環境整備が重要です。 このため、県では、本年策定した山口県観光V字回復プランに基づき、感染収束後の観光振興につながる、観光客の受入れ環境の整備に向けた取組を進めていくこととしています。 まず、本県の玄関口となる空港等においては、その景観美化を図るため、施設管理者や地元市町、地域住民等により、清掃やバラの植栽、工芸品の展示などが行われており、こうした取組が県内でさらに促進されるよう、やまぐちDMOを通じて各地域の観光団体等に働きかけてまいります。 また、観光地におけるトイレの整備については、これまで、国の支援制度を活用しながら、自然公園や道の駅の駐車場に設置されたトイレの高機能化等を進めてきたところであり、今後も市町や関係団体と連携しながら、計画的な整備に取り組んでまいります。 さらに、こうした環境整備の取組に加え、自然景観など本県の強みを生かした観光資源の磨き上げや、観光客のニーズを踏まえた付加価値の高い観光コンテンツの開発を積極的に支援することにより、魅力ある観光地づくりを推進することとしています。 県としては、今後とも、やまぐちDMOをはじめ、市町や関係団体等と緊密に連携しながら、観光客にとって満足度の高い受入れ環境の整備等に積極的に取り組み、本県観光の一層の魅力向上につなげてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)カーボンニュートラルに向けた森林づくりの推進についてのお尋ねにお答えします。 県土の約七割を占める森林は、水源の涵養や県土の保全、地球温暖化の防止など、県民の豊かな暮らしを支える様々な機能を有しています。 こうした森林の持つ多面的機能が持続的に発揮されるよう、県では、森林づくり県民税により、荒廃した森林の整備等を計画的に実施するとともに、森林環境譲与税を活用して市町や関係団体等との連携の下、森林の適正管理に取り組んでいるところです。 こうした中、国において、二○五○年カーボンニュートラルが宣言されたことを踏まえ、今後、森林が有するCO2吸収機能や、木材利用による炭素貯蔵機能を最大限発揮させていく必要があります。 このため、県民税等を活用した森林整備と併せ、利用期を迎えている人工林について、主伐、再造林の着実な実施や建築物における木材利用等を促進し、切って、使って、植える循環利用の確立に積極的に取り組むこととしています。 まず、主伐、再造林の着実な実施に向けて、大きな費用負担や造林作業の担い手不足が再造林の支障となっている現状を踏まえ、新たな技術を取り入れた省力かつ低コストな造林体系の確立を目指します。 具体的には、レーザー計測やドローン画像等、複数のデジタル技術を活用した森林施業の省力化や、現在、個別に実施されている主伐と再造林の一貫作業化、さらには、成長に優れ、CO2の吸収が旺盛な早生樹の活用などを組み合わせた取組を、全国に先駆けて展開します。 次に、建築物における木材利用等に向けては、本年十月に施行された、いわゆる木材利用促進法の改正も踏まえながら、従来の公共建築物や住宅だけでなく、民間の非住宅建築物の木造化、建築物の内装や家具・建具等への木材利用を促進します。 加えて、こうした森林資源の循環利用から生じる伐採残渣や間伐材等の森林バイオマスは、化石燃料の代替となることから、そのエネルギー利用を一層進め、CO2の排出抑制にもつなげます。 県としては、関係団体等と緊密に連携しながら、CO2吸収機能等が最大限発揮されるよう、カーボンニュートラルにつながる森林資源の循環利用の確立に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)岩国・和木地域の道路整備の推進についてのお尋ねにお答えします。 岩国・和木地域では、これまでも、市街地における慢性的な渋滞の解消や安心・安全の確保等に向け、県道岩国大竹線森ヶ原バイパスなどの整備を進めてきたところです。 しかしながら、お示しのとおり、依然として多くの課題が残されていることから、県としても、これらを解消するため、幹線道路の整備や生活道路の安全対策等を推進していく必要があると認識しています。 まず、幹線道路については、国道二号岩国大竹道路や国道百八十八号藤生長野バイパスの早期完成に向け、柳居県議会議長をはじめ、地元県議会議員の皆様のお力添えを頂きながら、期成同盟会とも連携し、国への働きかけなどの取組を進めているところです。 具体的には、先月十一日の政府要望では斉藤国土交通大臣に、また、二十六日の地元期成同盟会による要望では泉田国土交通大臣政務官に、当該道路の早期完成を強く訴えたところです。 県としては、引き続き、こうした取組を強力に進めるとともに、国、県、市が一体となり、これらの事業の円滑な推進に向けた環境整備に取り組んでまいります。 また、藤生長野バイパスの整備効果を最大限に発揮させるためには、地区ごとの特性や交通課題等を考慮しながら、効果的なアクセス道路の整備を行うことが重要です。 このため、国及び岩国市との役割分担の下、五地区においてその整備を図ることとし、そのうち、県では、藤生地区及び黒磯地区で、市が進める福祉・交流まちづくり事業等と併せ、具体化を図っていく考えです。 次に、生活道路については、千葉県の事故を受け、学校、警察等と連携して実施した通学路の緊急点検の結果なども踏まえ、効果的な安全対策を速やかに実施することが必要です。 お示しの県道北中山岩国線の瀬田地区や県道岩国錦線の多田地区においては、歩道整備による抜本的な対策を鋭意進めるとともに、ドライバーに注意喚起を促す路面標示などの即効性のある対策も取り入れながら、早期の交通安全の確保に努める考えです。 県としては、今後とも、地域活力の創出や県民の安心・安全の確保を図るため、岩国・和木地域はもとより、県内全域の幹線道路から地域に密着した生活道路に至る道路網の整備を計画的かつ着実に推進してまいります。 次に、ダムによる治水対策についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する水害が全国で頻発化・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、河川やダムの整備等の治水対策は極めて重要であると考えています。 とりわけ、ダムは、洪水を貯留し、下流域の浸水被害の防止・軽減に極めて有効な機能を有することから、県では、現在、平瀬ダムなど三つのダムの整備に取り組んでいるところです。 具体的には、平瀬ダムについては、現在、ダム本体工事や地滑り防止工事がおおむね完了し、管理に必要な機器の設置等を行っており、令和四年秋頃から、ダムを満水にして安全性を確認する試験湛水を実施することとしています。 また、大河内川ダムについては、付け替え道路の工事等を進めるとともに、木屋川ダムについては、今年度から工事着手に向けた測量を開始したところです。 加えて、ダムの整備効果をより高めるため、県では、令和二年度より、利水者等と治水協定を締結し、県が管理する十七水系十九ダムについて、事前放流を行うことができる体制を整えたところです。 このうち、複数のダムを有する錦川水系については、平瀬ダムの運用開始に合わせ、各ダムの特性を踏まえつつ、相互に連携を図ることで、より効率的・効果的に事前放流を実施する必要があると考えています。 一方で、お示しのとおり、利水を目的としてためた水を放流する事前放流は、利水者への影響が大きいことから、事前に関係者の十分な合意形成を図ることが重要です。 このため、県では、工業用水や水道用水などの利水者とで構成する協議会を設置し、事前放流の実施方法等について、令和五年度の出水期からの運用開始に向け、具体的な検討を進めることとしています。 県としては、県民の安心・安全の確保のため、引き続き、ダムを計画的に整備するとともに、事前放流をはじめとしたダムの整備効果を高める運用を行うなど、治水機能の強化に取り組んでまいります。