1 インフラマネジメントの高度化について 2 企業による農業参入の促進について 3 児童虐待防止対策の推進について 4 犬猫の適正な飼育管理の推進について 5 学校における学生の適切な体験機会の確保について 6 県立高校の再編整備について 7 その他
議長(柳居俊学君)国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。 令和三年十一月定例会におきまして、一般質問の機会を頂きましたこと、心から感謝を申し上げます。 さて、去る十月二十四日、参議院議員山口選挙区補欠選挙が行われ、我が党公認の北村経夫さんが見事当選を果たされました。 北村先生は、私の地元田布施町の御出身で、平成二十五年に参議院議員比例代表全国区で初当選をされて以降、経済産業大臣政務官、自民党副幹事長、参議院議員外交防衛委員長などを歴任され、我が国と山口県の発展のために活躍されるとともに、山口県土地改良事業団体連合会会長として、本県の農業農村の発展にも御尽力をされておられます。 私は、本会の職員として、北村会長の下で仕事をさせていただきましたし、また、私が政治の道に進んでからは、同じ地域の未来を思う議員として、御指導、御鞭撻を賜ってきましたので、このたび北村先生が山口選挙区選出の参議院議員になられたことで、これまで以上にふるさと山口県のために御活躍いただけるものと大変うれしく、また、心強く感じている次第であります。 私も改めて責任与党、自由民主党の一員として、そして、地域の代表である県議会議員として、県民の皆様とともにコロナ禍を乗り越え、本県のさらなる発展に向け、一層の精進を積んでいく覚悟であることを申し上げ、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、インフラマネジメントの高度化についてお尋ねをいたします。 上関大橋損傷事故から一年余りが経過しましたが、この間、私は地元選出の県議会議員として、橋の完全復旧により、住民生活の安定が一日も早く実現するため奔走してまいりました。 県をはじめ関係者の方々の多大なる御尽力により、十月末には本復旧工事に着手されたところであり、これまでの関係各位の御努力に感謝申し上げますとともに、本年度末とされる復旧完了に向けて、工事を着実に進めていただきますよう、お願いを申し上げるところであります。 さて、同じく十月には、上関大橋の復旧などについて、専門的知見から助言を得るために設置された検討委員会の報告書が公表されました。 全国でも先例がない今回の損傷事故について、国や学識経験者等による徹底した調査検討の結果がまとめられた報告書には、同じ構造を持つ橋梁の今後の点検や維持管理についても示されています。 今回のような事故が二度と起こらないよう、県には報告書に基づいた維持管理や老朽化対策を着実に実施していただきたいと思います。 一方、県が管理する四千を超える橋梁は、一斉に老朽化が進行しており、これらの橋を今後順次、調査・点検していくとなると、膨大な時間と労力を要することが予想されます。 そうした中、私が、特に重要だと考えるのが、デジタル技術の活用などによるインフラメンテナンスの高度化であります。 二月議会でも申し上げましたように、調査・点検にAIやドローンなどのデジタル技術を活用することで、維持管理のスピードや正確さを向上できれば、異状箇所の早期発見・対応が可能となり、費やす時間や労力の大幅な軽減にもつながります。 先月には、笠戸大橋において、ドローンを使った三次元測量を実施されたと伺っており、今後一層、メンテナンスの高度化に向けた取組を進めていただきたいと思っております。 一方で、老朽化が進行している公共インフラは、橋梁だけではありません。高度経済成長期に集中的に整備された道路やダムなど、その他の公共インフラの老朽化対策も今後の大きな課題となっています。 県においては、今年度から、日本一の安心インフラやまぐちを掲げて、橋梁や河川の維持管理におけるデジタル技術の活用に取り組んでおられますが、今後は、その他の施設にも活用の対象を広げ、インフラマネジメントの高度化を推し進めるべきだと考えております。 そこでお尋ねいたします。今後、橋梁をはじめとした公共土木施設の老朽化が一斉に進行する中、迅速で適切な維持管理を図るため、県はインフラマネジメントの高度化にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、企業による農業算入の促進についてお尋ねをいたします。 農業は、これまで農地を所有する農家の皆さんが中心となって代々受け継がれてきた農地を守り、活用しながら営まれてきました。 しかしながら、農家の後継ぎ世代が地元を遠く離れ、県外で就職することが多くなっている現状においては、家族で農地を守ることが難しくなり、高齢を理由に離農された後、そのまま耕作放棄地の発生につながっている実態があります。 こうした中、県においては、全国に先駆けていち早く、集落単位で農地を守り、農業経営を行う集落営農法人を育成するとともに、こうした法人の農業生産性が飛躍的に向上するよう、積極的に圃場整備に取り組まれているところです。 さらに、集落営農法人を構成員とする連合体の育成は、農地を守りながらも、農業経営の規模拡大や若者の就業につながることから、本県独自の取組として全国から注目されています。 しかしながら、農家の減少や高齢化が進む現状においては、集落営農法人を育成したとしても、いずれ営農が困難になるという切実な声が数多く聞かれるようになってきました。 農家の減少や高齢化に歯止めをかけるためには、長期的な取組が不可欠で、一朝一夕に成果を出せるものではありませんが、私は、従来の農業の担い手に対する概念を広く捉えることで、この危機をチャンスに変えることができると考えております。 私の地元田布施町では、これまでも多くの企業が農業に参入されてきた歴史があり、また、平生町においても、県外の企業が農業参入を検討される動きがあるとも聞いております。 農業に興味を持たれる理由としては、雇用人材の活躍場面の創出や、所有する機材の有効活用、企業が有しているノウハウや販路の活用、さらには地域貢献など様々であります。 こうした企業や、企業が出資した法人は、農地法の制約により農地を所有することが難しいケースが多いものの、農地を借りることに支障はなく、現在では、農地中間管理機構により、優良農地の集積や栽培品目に応じた簡易な圃場整備なども可能になっています。 以前は、栽培技術を習得できず、経営が好転しなかったために、残念ながら撤退されたケースもありましたが、県や市町、JA等のしっかりとしたサポートがあれば、高い収益を上げる農業を実践することが十分可能であると考えております。 また、企業には、豊富な資金力や高いスキルを持った人材、さらには、異業種間のネットワークを有していることが多いため、私は県や市町、JA等の関係機関が一体となって農業分野への企業参入を積極的に進めていくことが、本県農業の新たな可能性を示すことにつながると確信しております。 そこでお尋ねいたします。農業経営に意欲を示す企業を農業分野に受け入れ、本県農業の活性化につなげることができるよう、今後、企業による農業参入の促進にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、児童虐待防止対策の推進についてお尋ねをいたします。 全国で七十八人、これは、令和元年度に発生または表面化した児童虐待により死亡した子供の人数であります。 私の地元田布施町で令和元年度に生まれた子供の人数が七十五人でありますから、それを超える人数の子供たちが、親からの虐待で命を落としている現実に私は衝撃を受けました。 スウェーデンの教育者、エレン・ケイは、一九○○年に出版した著書の中で、二十世紀こそは児童の世紀として、子供が幸せに育つことのできる平和な社会を築くべき時代であると述べたそうでありますが、こうした現実を見ると、残念ながら二十一世紀になった今もなお、児童の世紀が実現しているとは言い難いように思います。 数年前、児童が亡くなる痛ましい事件が相次いで発生したことで、児童虐待は社会問題として強く認識されるようになり、今や、その防止は、社会全体で取り組むべき極めて重要な課題となっています。 このため、毎年十一月の児童虐待防止推進月間には、児童虐待問題に対する深い関心と理解を得るため、オレンジリボンキャンペーンが展開されていますし、県では、子育てに悩む家庭をいち早く見つけ、早期対応につなげるため「一八九(いちはやく)サポーター」やヤングサポーターの養成、地域見守り活動に取り組む虐待防止全力宣言企業の登録などに積極的に取り組んでおられます。 しかしながら、児童虐待は減るどころか増える一方であります。 国の発表によりますと、十八歳未満の子供への児童虐待は三十年連続で増加し、令和二年度に全国の児童相談所が認定した児童虐待相談対応件数が初めて二十万件を超え、過去最多を更新いたしました。本県でも昨年度の対応件数は二十件増の七百二十九件と過去二番目の多さであります。 この背景には、児童虐待自体が増えていることも考えられますが、これまでは把握できなかった虐待が、学校や地域の方々の見守りや支えにより把握されるようになり、児童相談所などの行政機関で支援されるようになってきたことも影響していると考えられます。 そして、もう一つ、警察からの通告が大きく増えていることが、件数の増加につながっているとされており、警察からの相談件数が全体に占める割合は、十年前の一六%から、令和二年度には五○%を超えるまでになっています。 このため県では、平成三十一年四月から中央児童相談所に警察からの出向職員を配置し、児童虐待相談への対応体制を強化されていますが、警察との連携がここまで大きな効果を上げている状況を考えれば、今後、学校や地域による見守り活動を強化することに加え、警察との連携をさらに強化し、児童虐待の未然防止や早期対応に向けた社会全体の仕組みづくりを進めていくべきではないかと考えております。 そこでお尋ねいたします。子供を取り巻く状況が深刻さを増す中、本県の全ての子供たちが、困難な状況に陥ることなく幸せな日々を送ることができるよう、児童相談所に配置する警察からの出向職員の増員をはじめ、児童虐待の未然防止・早期対応に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、犬猫の適正な飼育管理の推進についてお尋ねをいたします。 一昨年、周南市で遺棄された野良犬が繁殖し、近隣住民とトラブルになったことが全国放送されたことを覚えている方もおられることと思います。 野良犬からしてみれば、好きで野良になったわけじゃないといったところでしょうが、市内中心部の周南緑地では、いまだに年間三百頭前後の野良犬が捕獲され、一方で、行政の進めるむやみな餌やりの禁止や捕獲に一部の動物愛好家が反対するなど、抜本的な解決には至っておりません。 本県では、平成二十六年度に、犬猫の殺処分数が四千七百三十匹と全国ワースト三位になったこともあり、県では、終生飼養の責務や地域猫活動の普及啓発とともに、里親探しの支援などの取組を強化され、殺処分数の削減に大きな成果を上げてこられました。 一方で、六月定例会で石丸議員も指摘されましたように、県の進める犬猫の里親探しについては、NPO団体などの協力によるところが大きく、例示された防府市内の動物愛護団体では、保健所に収容された犬猫をどんな状態であっても全て引き取ることで、六年もの間、市内での犬猫の殺処分ゼロを実現しているとお伺いしております。 しかしながら、こうした団体も、いつまでたっても終わらない犬猫の引き取りに加え、コロナ禍で活動資金不足や人手不足に直面し、活動停止の瀬戸際に立たされているのが実態であります。 本来、愛玩動物である犬猫は、人間の手で適切に飼育管理されるべきであり、犬猫の遺棄と自然での繁殖という負のスパイラルは、我々の力で止めることが可能であり、止めなければならないと考えております。 動物愛護法の改正により、来年六月からマイクロチップの装着・登録が義務づけられますが、その対象はブリーダーやペットショップなどに限られています。 このため、当面の対策として、里親探しや引取り先のない犬猫を飼育する動物愛護団体への支援や、野良犬の捕獲、野良猫の引取りは引き続き必要であると考えております。 また、飼い主が自覚と責任を持って適正に飼養することについて、より一層の普及啓発を行うとともに、幼い頃から動物への接し方や命の大切さを学ぶ機会を提供し、県民の動物意識の醸成を図ることも重要だと考えております。 一方で、犬猫を遺棄させない、自然繁殖をさせないためには、将来的には一定の強制力を持った手法を導入するなどしなければ、いつまでたってもこの問題は解決しないと考えております。 そこでお尋ねいたします。県内での犬猫の遺棄、自然繁殖という悪循環を断ち切り、犬猫が好きな方も苦手な方も納得できる適正な飼育管理を推進するため、従前より一歩踏み込んだ対策を検討すべきではないかと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、学校における学生の適切な体験機会の確保についてお尋ねをいたします。 コロナ禍は、社会全体に大きな影響を及ぼしていますが、中でも学生生活への影響は計り知れないものがあります。 感染拡大防止対策のため、一時期、学校は臨時休業になり、教室での授業が中止され、机を並べて共に学ぶ機会が奪われました。そして、学校が再開した後も、授業の実施に様々な制約が生じたほか、運動会や文化祭、修学旅行など、多くの学校行事が中止、延期、縮小され、教育現場における体験活動の機会が奪われてきました。 また、スポーツや文化活動などの部活動についても、スポーツに汗を流し、文化活動で共に作品を作り上げ、学校、全生徒を挙げて応援するといった学生時代だからこそ可能な貴重な体験の機会がコロナ禍の中、大きな制限を受けております。 例えば、夏の甲子園、全国高等学校野球選手権大会は、昨年、感染拡大の影響から、代表校を決める地方大会も含めて全ての試合が中止となりました。そして、感染防止対策が浸透してきた今年の夏は、予選の県大会が無事開催され、球場には自分の学校を応援する在校生の姿がありました。 一方で、今年十月二十三日から十一月十四日にかけて開催された第百回全国高校サッカー選手権大会山口県大会では、準決勝までの全会場・全試合で、対戦校の部員とその家族以外の観戦は認められず、在校生が応援できたのは、一般の観戦も可能になった決勝の高川学園対宇部工業戦だけでありました。 現在は、国内の感染状況が落ち着いてきたことから、外出やイベントの開催、プロスポーツの観戦等に関する制限も緩和されてきましたが、限られた学生生活の中で、母校の応援に行くことができなかった高校生の思い出は二度と戻ることはなく、残念としか言いようがありません。 感染拡大防止のために決められたルールは、当然守らなければなりませんが、学生や御家族のことを思えば、友達と一緒に自分の学校を応援するという学生生活の貴重な思い出づくりを全力でサポートすべきであり、それが可能な状況にあるのであればなおさらのことであります。 さらに、私が特に問題だと思っているのが、同じ県内で、野球は球場で応援ができて、サッカーは応援できないといった現実があったことです。 競技による違いや上部団体の意向もあるとは思いますが、高校生にとっては大変酷な話であり、大会運営の在り方や入場制限のルールは、学校や生徒の目線で考えていくべきだと考えております。 そこでお尋ねいたします。コロナの時代にあっても、学校における学生の貴重な体験活動の機会が適切に確保されるよう、県として積極的に関与し、支援していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、県立高校の再編整備についてお尋ねをいたします。 少子化により、中学校卒業者数の減少が見込まれる中、県教育委員会では、生徒の多様化するニーズに対応した選択幅の広い教育や活力のある教育活動の展開など、高校教育の質を維持し、さらに高めていくため、特色ある学校づくりに取り組むとともに、一定の学校規模の確保を目指し、県立高校の再編整備を進められています。 私としても、将来の山口県、日本を担っていく子供たちにとって、将来を切り開いていくための資質や能力を高めていくための教育環境づくりは、非常に重要であると考えており、そのために必要とされる高校の再編整備については理解をするところであり、学校の再編統合や分校化が最善かつ唯一の方策であるならば致し方ないと考えております。 一方で、特に人口減少や少子高齢化が進んでいる郡部においては、その地域に所在する高校は、活力の維持や創出に大きな役割を発揮しており、所在自治体や周辺地域は、再編整備によって学校がなくなることによる活力の衰退を大いに危惧しているところであります。 私の地元熊毛郡地域も、まさにこうした地域の一つであり、入学者が減少し、学校規模の縮小が進む熊毛南高校について、地域全体で盛り立てていくため、今年九月に熊毛郡三町の町長と議長等から構成する協議会が立ち上げられ、学校運営への支援活動について検討を進めていくこととされています。 例えば、特徴あるクラブ活動の活性化に向けて、県東部では唯一となる女子サッカー部への支援として、遠方からの生徒のための寮や練習場の確保、遠征のための町所有のバスの貸出しなど様々な支援内容について議論を深めているところであり、今後は田布施農工高校の活動支援についても検討を始められるとお聞きしております。 このように地域ぐるみで高校を支えていこうとする取組が進められている中において、折しも本県においては、全ての県立高校にコミュニティ・スクールが導入されており、今後一層地域との連携・協働した教育活動が深まっていくものと思われます。 こうした状況を踏まえ、今後の再編整備については、これまで以上に所在自治体や地域の学校運営や教育活動への関わりなどの実情をしっかりと把握した上で、再編整備の進め方を検討していく必要があると考えております。 また、デジタル社会が進展する中、県教育委員会ではICTを活用した教育の充実を図っていくため、県内の全ての県立高校に一人一台のタブレット端末や校内無線LANなどICT環境の整備を積極的に進められています。 今後、ICT環境を有効に活用し、一人一人に合った学びや、ほかの学校などとの共同した学びなどを充実していくことにより、生徒数の減少により、学校の小規模化が進む中においても、今まで以上に質の高い教育活動を展開していくことができるのではないかと期待をしております。 そこでお尋ねいたします。現在、今後の高校改革の基本的な考え方や方向性を示す次期県立高校将来構想の策定に向けて検討を進められているところでありますが、学校を取り巻く地域の取組の状況やICT教育の進展など、教育環境の変化なども踏まえながら、今後どのように県立高校の再編整備を進めていかれるのか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員の御質問のうち、私からは、インフラマネジメントの高度化についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の公共土木施設は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められています。 しかしながら、本県においても、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進み、今後、一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 そのため、私は、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、常日頃から適切に維持管理を行うとともに、施設ごとに長寿命化計画を策定し、計画的かつ効率的に老朽化対策を推進しているところです。 また、昨年、損傷事故が発生した上関大橋をはじめとした施設の老朽化や、近年、頻発・激甚化する自然災害などに適切に対応するため、新たにデジタル技術等を活用し、より質の高いインフラマネジメントを行っていく必要があると考えています。 具体的には、橋梁について、異状箇所の早期発見・早期対応を図るため、AIによる点検・診断システムや、ドローンによる三次元測量等のデータを活用し、将来の劣化を予測するシステムの構築を進めているところです。 加えて、全ての橋梁の補修履歴や点検結果等の膨大な情報を一元化するデータベースを構築し、AIにより優先的に補修する必要がある橋梁を即時に判断する先進的なシステムの開発にも取り組んでまいります。 また、河川について、迅速かつ的確に変状を把握し、河川内の土砂掘削などをより効果的に行うため、今年度から島田川において、衛星やドローン等による新たな監視手法の構築に着手したところです。 今後は、お示しのとおり、橋梁だけでなく他の公共インフラの老朽化対策も大きな課題となっていることから、橋梁や河川での取組などを踏まえ、インフラマネジメントの高度化について、トンネルやダム等にも対象を拡大し、検討を進めていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、公共土木施設の適切な維持管理を進めるとともに、デジタル技術等を活用し、計画的かつ効率的に点検や補修を実施することにより、日本一の安心インフラやまぐちを実現してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)企業による農業参入の促進についてのお尋ねにお答えします。 小規模経営が多く、集落を単位として展開されてきた本県農業を持続的に発展させるためには、地域を支える担い手の確保が重要であることから、これまで新規就業者や中核経営体の育成に積極的に取り組んできたところです。 こうした中、本県においては、担い手の減少や高齢化が進み、今後の地域農業の活力低下が懸念されることから、多彩な人材やノウハウ、ネットワークを有し、持続的農業の実践や地域雇用の維持・増進等が期待できる、企業による農業参入を促進していくことが重要です。 このため、農業を志向する企業がスムーズに参入し、定着・発展できるよう、事前相談から就農に至るまで一貫して支援するとともに、企業参入における大きな課題である技術習得等へのサポートを強化することとしています。 まず、一貫した支援については、企業からの問い合わせに適切に対応できるよう、市町や農業経営支援センター等と連携した相談体制を整備します。 特に、企業による農業参入に当たっては、その地域の理解や協力が不可欠であることから、参入前の段階で双方の話し合いの場を設定するなど、企業と地域が協力・連携できる仕組みを構築します。 また、参入の形態には、企業自らによる経営のほか、農作業受託や既存法人への出資等、様々な形があることから、適切な方法を選択できるよう、必要に応じて司法書士等の専門家を派遣するなど、企業に寄り添った対応を行います。 さらに、農地中間管理機構等を活用した農地の集積や、国や県事業の活用により、経営規模に適した機械・施設等の整備を支援します。 次に、技術習得等に向けたサポートの強化については、地域の特性に応じた栽培品目を選定できるよう、農林水産事務所やJAを交えた検討を行った上で、農業大学校の社会人研修制度の活用等により、技術習得や資格取得の支援に取り組みます。 県としては、本県農業を新たな視点で活性化できるよう、市町やJA等の関係団体と連携しながら、地域の重要な担い手となり得る企業の農業参入を積極的に促進してまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)児童虐待防止対策の推進についてのお尋ねにお答えします。 昨年度の全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、二十万件を超えて過去最多となり、本県においても過去二番目に多い七百二十九件となるなど、依然として深刻な状況にあります。 児童虐待は、子供の人権や生命に関わる重大な問題であることから、虐待を未然に防止し、早期発見・早期対応につなげることが重要であると考えています。 このため県では、次代を担う子供たちを虐待から守るため、児童相談所の体制強化や、社会全体で子育て家庭を見守る環境づくりを一層進めることとしています。 まず、児童相談所の体制強化については、専門的な相談体制の充実に向け、児童福祉司や児童心理司の計画的な増員を図るとともに、法的対応力を強化するため、昨年度から全ての児童相談所において、弁護士による助言や指導が、常時受けられる体制を整備しているところです。 また、虐待通告件数の増加を踏まえ、警察との連携強化を図るため、令和元年度から中央児童相談所に警察官一名を配置し、児童相談所の緊急時における対応力の向上に努めています。 こうした中、全国で重篤な事案が後を絶たないことから、子供の安全を最優先で確保していくため、お示しの警察官の増員も含め、今後とも警察との一層の連携強化を努めてまいります。 次に、社会全体で子育て家庭を見守る環境づくりについては、子育てに悩む家庭に助言等を行う「一八九(いちはやく)サポーター」や、若い世代から体罰によらない子育てを学び、友人等に広げていくヤングサポーターを養成しており、現在千名を超えるサポーターが地域で活動されています。 また、地域の見守り活動に取り組む虐待防止全力宣言企業については、現在三十五の企業等に登録いただいており、配達業務を通じた声かけや、各店舗へのポスター掲示など、企業の特色を生かした取組を行っていただいているところであります。 今後は、サポーターや登録企業のさらなる拡大に向け、オンラインを活用したサポーター養成研修の実施や、取組の優良事例のPRを行うなど、社会全体で子育て家庭を見守り支える活動の輪を広げてまいります。 県としましては、今後とも警察や関係団体等と連携し、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、児童虐待防止対策の一層の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)神杉環境生活部長。 〔環境生活部長 神杉さとみさん登壇〕 環境生活部長(神杉さとみさん)犬猫の適正な飼養管理の推進についてのお尋ねにお答えします。 人と動物とが共生する社会の実現に向け、県では動物愛護管理推進計画に基づき、動物の適正な飼養管理や愛護意識の向上等に関する諸施策を総合的に推進しているところです。 具体的には、県が収容した犬猫について、動物愛護団体の協力を得ながら譲渡を推進するとともに、譲渡後の適正飼養や動物愛護団体の負担軽減を図るため、マイクロチップの装着やノミ等の寄生虫の駆除を進めています。 また、野良犬による危害を防止するため、市町と連携した捕獲を行うとともに、野良猫の引取り数の削減に向けて、地域で不妊去勢措置や飼養管理を行う地域猫活動の普及に取り組んでいます。 さらに、児童への動物ふれあい会等を通じて、命の大切さを学ぶ機会を提供するなど、動物愛護意識の醸成を図っているところです。 しかしながら、依然として大きな課題である犬猫の遺棄や自然繁殖に歯止めをかけるためには、お示しのとおり、適正飼養についての一層の普及啓発や幼い頃からの動物愛護意識の醸成を図ることが重要です。 このため、新たに実施するe─ラーニング方式による飼い方講習会や、ペットとの同行避難訓練などの機会も捉えて、適正飼養を一層普及してまいります。 また、今年度設置した山口県動物愛護管理推進協議会において、学校教育と連携した動物愛護意識の醸成を図る取組等を検討してまいります。 こうした取組に加え、マイクロチップの装着による所有者明示は、犬猫の遺棄防止にも有効であることから、動物愛護管理法の改正の趣旨を踏まえ、山口県獣医師会と一体となって飼い主への周知を徹底するとともに、全ての犬猫販売業者に対する監視・指導を強化してまいります。 県としては、今後とも市町や関係団体等と連携して、犬猫の適正な飼育管理の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、学校における学生の適切な体験機会の確保についてお答えします。 運動会や文化祭、修学旅行等の学校行事については、子供たちにとって有意義な教育活動であり、特に、お示しの部活動の大会やコンクール等は、子供たちの思い出に残る貴重な成果発表の場であることから、その機会を可能な限り確保することが重要であると考えています。 このため、県教委においては、昨年度は、夏のインターハイや甲子園大会等の全国大会だけでなく、その予選となる県大会も中止となったことから、その代替大会として、やまぐち高校生2020メモリアルカップ及び文化発表会を県高体連や県高文連等との共催により開催いたしました。 また、今年度は、春から夏にかけて新型コロナの感染拡大が続く中、部活動の大会やコンクール等が安全に開催できることを最優先に考え、新たな対策として、全ての高校生等を対象とした一斉のPCR検査や、感染レベルに応じた随時のPCR検査を行うなど、部活動をはじめとした学校の教育活動が継続できるよう取り組んでいます。 こうした中、各種大会等の主催団体では、競技団体や施設の管理団体等が示す感染防止対策のガイドラインにのっとり、参加する生徒や運営に携わる教職員、観客等の安心・安全に最大限配慮され、準備段階から感染状況に応じた運営・実施方法について、総合的かつ弾力的に判断されているところです。 例えば、お示しの秋の大会においては、当初は無観客で開催予定であったものを、県内の感染状況等を踏まえながら、徐々に有観客に変更するなど、生徒や保護者の思いに寄り添った柔軟な大会運営をしていただいたところです。 さらに、コロナ禍においても大会等の開催や観戦・観覧ができるようリモートによる大会の実施や試合等の動画配信など、新たな取組も始まっています。 県教委といたしましては、今後とも関係機関や団体等と緊密に連携・協力しながら、子供たちの貴重な体験活動の機会が確保されるよう、全力で取り組んでまいります。 次に、県立高校の再編整備についてのお尋ねにお答えします。 子供たちが新しい時代に対応し、他者と協働して主体的に未来を切り開いていく資質・能力を育成するためには、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を推進し、より質の高い高校教育を提供することが重要であると考えています。 このため、年次的・計画的な再編整備に加え、全ての県立高校に導入したコミュニティ・スクールの仕組みを生かして、地域の声を反映した学校運営や地域の教育力を活用した教育活動に取り組むとともに、ICT環境の整備を進め、ICTを活用した教育の充実を図るなど、県立高校の特色づくりに努めているところです。 こうした中、今後も、中学校卒業者数の継続的かつ急激な減少が見込まれることから、選択幅の広い教育や、生徒が他者と協働しながら切磋琢磨する環境づくりなど、高校教育の質の確保・向上を図るため、引き続き再編整備を進めることが必要となっています。 再編整備に当たっては、お示しの熊毛郡地域の事例のように、学校と地域との連携が深まっているという状況もありますことから、学校を取り巻く地域の実情も踏まえながら、地域バランスや分散型都市構造にある本県の特性等を総合的に勘案し、全県的な視点に立って、適切な学校配置となるよう検討してまいります。 また、今後のICT教育については、これまでの教育実践とICTを組み合わせて、一人一人に応じた個別最適な学びを進めるとともに、学校・学科の枠を超えた協働的な学びを発展させるなど、ICT環境を生かした教育を一層充実させることとしています。 県教委といたしましては、新たに策定する県立高校将来構想に基づき、地元自治体とも連携しながら、引き続き特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を推進してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十一分休憩