1 中山間地域対策の推進について 2 社会起業家の育成支援について 3 地域における伝統文化の継承や保護、活用について 4 学校給食における地場産食材使用率のさらなる向上について 5 農業用ため池の防災・減災対策について 6 新たな定時制高校の学校づくりについて 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第七号まで及び第十一号から第二十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 俵田祐児君。 〔俵田祐児君登壇〕(拍手) 俵田祐児君 皆さん、こんにちは。自由民主党の俵田祐児でございます。 質問に先立ちまして、一言申し上げます。 先月、四期十六年にわたり、山口市長を務められた渡辺純忠氏が御退任されました。 合併後の山口市のかじ取り役として、「住んで良かった これからも住み続けたい山口市」の実現に向け、協働によるまちづくりをはじめ、広域県央中核都市づくりに向けた基盤整備等に御尽力いただきましたことに対し、深く感謝を申し上げます。 思い起こせば、私が市議会議員として政治の世界に踏み出した平成十五年、渡辺前市長は助役として、市政に関わる様々な調整を担っておられました。 その卓越した手腕に、私自身、合併後の市政をリードできるのはこの方しかいないと確信し、その後の市長選挙への出馬や選挙活動をお手伝いをさせていただき、市長に就任された後に、議会等の場を通じて市のまちづくりについて議論を交わし、共に市政の発展に尽くしてまいりました。 私が、県議会議員として活動の場を県政に移してからも、市政と県政をつなぐパイプ役の立場から、引き続き関係を密にさせていただきましたが、私も強く望んでいた産業交流拠点施設をはじめとした新山口駅ターミナルパーク整備など、山口・小郡都市核づくりをしっかりと前に進められ、形づくられた御功績に、改めて、心より敬意を表します。 御退任された今後につきましても、引き続き、市政・県政の発展にお力添えを頂ければと切に願っています。 そして、渡辺市政を受け継ぎ、新市長に就任された伊藤和貴氏におかれては、私もこのたびの市長選挙において、選対本部事務局長として、彼と共に戦い、勝利を収めたところですが、渡辺市政をそばで支え、市政を、市を知り尽くしている彼であれば、必ずや中核都市づくりの仕上げをはじめ、中山間地域でのスマートシティ推進など、新たな取組により、ずっと元気な山口の実現へと市政をリードしていかれるところと期待をしています。 私自身も、地元山口市の発展、そして県政の発展に貢献できるよう、自らの責務を全うしていくことを誓い、通告に従い、質問に入らさせていただきます。 まず初めに、中山間地域対策の推進についてお尋ねいたします。 昭和四十五年、議員立法として制定された過疎対策法ですが、今年四月に、通算四度目のリニューアルが行われ、山口市の秋穂地域が新たに過疎地域に加わりました。 過疎地域では、これまでの間、都市部との格差是正を目的に、過疎債を活用した基盤整備が実施され、道路舗装や下水道の普及など、ハード面での生活基盤を中心に一定の成果を上げてきました。 一方で、一向に止まらない少子高齢化や生産年齢人口の減少により、生活用品を取り扱うスーパーや病院などが地域から撤退し、バスなど公共交通機関の減便などにより、買物や通学・通院にも不自由を強いられています。 中山間地域、特に平成の合併により周辺部となった地域にお住まいの方々からは、合併して生活がよくなるとの期待が裏切られた、我々だけが取り残されているというお声を頻繁に頂戴いたします。 同時に、体が元気なうちは、多少の不自由はあっても、できるだけ今の場所で生活を続けていきたいという声も、様々な場面でお聞きします。 本県で中山間地域振興条例が制定された十数年前は、いかに地域を振興していくかに主眼が置かれていましたが、これからは、いかに地域を維持していくかに論点が移っていると言っても過言ではありません。 中心市街地の活性化も確かに重要だが、周辺地域も忘れないで欲しい、山口市の伊藤市長が、選挙活動を通じて地域を回る中で、改めて強く心に残った市民の声として真っ先に挙げられたのが、この言葉です。 選挙期間中、私も、伊藤候補と多くの地域を一緒に回らさせていただきましたが、多くの支援者を前に率直な思いを述べられたその姿に、地元山口市の発展を願う熱い思いを、同じ政治に携わる者としてしっかりと共有できていると実感しました。 また、同時に、山口市の今後の四年間を、伊藤市長に託した市民の判断に間違いはなかったと改めて確信したところです。 一言で中山間地域と言っても、頑張ることで持続可能な地域もあれば、それが困難な、いわゆる限界集落もあります。 現在の支援制度は、頑張れる地域を対象としたカンフル剤的なものが中心となっていますが、我が国が本格的な人口減少時代に突入した今、これからの中山間地域対策には、地域の消滅という、痛みを緩和するモルヒネの役割を持った対策も必要なのではないでしょうか。 また、今後の対策を進めるに当たって何よりも重要なことは、足しげく現地に赴き、その地域に住む住民の声に十分耳を傾けることだと考えています。 そこでお尋ねいたします。平成の大合併を機に、図らずも周辺部となった地域をはじめ、疲弊の著しい中山間地域の実態を踏まえ、県では、今後の中山間地域対策をどのように進めていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、社会起業家の育成支援についてお尋ねいたします。 自分の才能を生かし、誰かの役に立つことに勝る幸福はない、これは、山口県出身の林浩喜さんの言葉です。 林さんは、日本初のベーグル専門店「BAGEL&BAGEL」を創業し、一代で世界第四位にまで押し上げた実業家です。その後、教育を通じて、これまで培ってきたビジネスの経験を社会に還元したいと、昨年、社会起業大学の学長に就任し、社会起業家の育成支援に情熱を注いでおられます。 先日、私は林さんとお会いし、社会起業の可能性について熱く語る林さんの話を興味深くお聞きしました。 今、我が国は子供の貧困や不登校、高齢者の孤独、中山間地域の活性化など、数多くの社会課題に直面しています。 一方で、急激な人口減少、少子高齢化が進展する中、行政だけで全てに対処することは困難な状況にあります。 こうしたことから、ビジネスの手法を用いて収益を上げながら、継続して社会課題の解決に挑む社会起業家に、今、大きな期待が寄せられています。 社会起業大学では、これまで、コロナ禍でのリモートワークの場や不登校の児童生徒の居場所としてカフェを経営する方、プロ格闘家のセカンドキャリアと介護業界のマッチングに取り組む方など、多数の有為な人材を世に送り出してきたそうです。 私は、林さんの思いを伺い、社会課題が山積し、コロナ禍で閉塞感が漂う今こそ、よりよい社会の実現に向けた熱い情熱と志を持った社会起業家が、県下各地で生まれることが必要だとの思いに至りました。 県では、これまでも社会起業家の創業支援等に取り組まれ、モデルとなる事例も多数創出されていますが、その中心には県民活動に取り組むNPOや個人であり、社会起業が収益性を備えたビジネスとして、起業を考えている方にとって魅力のある選択肢になっていないのではないかと感じています。 未来を担う若者や既存の社会システムに違和感を持つミドルやシニアに対して、社会起業家という新たな選択肢を提案し、創業した社会起業家が収益を上げながら、ビジネスを通じて社会に大きな影響を与え、それに触発された社会起業家たちがさらに活躍の場を広げていく、こうした好循環を創出することができないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。これまで培った創業、新事業展開、経営安定化等の支援ノウハウを活用し、社会を変えたいとの情熱と、卓越したビジネススキルを持った社会起業家の育成支援に向け、取組を強化すべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、地域における伝統文化の継承や保護、活用についてお尋ねいたします。 先月、将棋の八大タイトルの最高峰、竜王戦の第四戦が宇部市で開催され、藤井竜王が史上最年少四冠を達成されました。 将棋は、長い歴史を持つ伝統文化ですが、現在十九歳の藤井竜王の所作や発言の落ち着き、向上心を見ると、伝統文化を担い、師匠の薫陶を受け、先達らと切磋琢磨する中で培われた部分も大いに感じられ、伝統文化の持つ力に改めて気づかされました。 今、将棋の例を取り上げましたが、我が国には長い歴史の中で生まれ、育まれた伝統文化が数多くあり、その中には、国や県、市町が指定等を行い、文化財として保護をしているものがあります。 その文化財の一つに、無形民俗文化財という、地域の踊りや祭り、伝統行事などがあります。 山口県内には、五件の国指定の重要無形民俗文化財と、三十四件の県指定無形民俗文化財があり、例えば、私の地元山口市ですと、地福のトイトイが国指定の、鷺の舞、小鯖代神楽舞、徳地人形浄瑠璃、陶の腰輪踊の四件が県指定の無形民俗文化財となっていますが、残念ながら、県民の方に十分知られていないのではないかと思います。 しかも、過疎化、少子高齢化による後継者や運営費の不足から、継続的な活動や次世代への継承が難しくなっていますが、一度途絶えてしまうと復活までが大変ですので、しっかりと後継者や次の世代の担い手に引き継いでいけるよう、取り組む必要があります。 文化財は、教育的な視点から見れば、地域で醸成された伝統文化の象徴であり、その継承を通じ、地域の歴史や背景を学び、どのように引き継がれてきたかを知ることは、ふるさとに誇りと愛着を持って主体的に社会に参画できる子供たちの育成や、親子孫の各世代相互の交流に役立ちます。 さらに、こうした文化財を広く県民に知ってもらい、身近に感じてもらうことで、活動に実際に参加する人だけでなく、見に来られる人や、伝統文化を生んだ地域に関心を持つ人が増えてくれれば、関係人口の増加や地域のにぎわいづくりにも寄与するのではないかと考えます。 今後は、文化財を地域づくりや観光振興等の資源として活用していく、そういう視点も重要ではないでしょうか。 そこでお尋ねをいたします。無形民俗文化財である地域における伝統文化の継承や保護、活用に向け、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、学校給食における地場産食材使用率のさらなる向上についてお尋ねいたします。 学校給食は、次代を担う子供たちの健康の保持増進や望ましい食習慣を養うことなど、目的を持って実施されています。 私の地元である山口市には、「チキンチキンごぼう」という、学校給食から生まれた料理があります。 「チキンチキンごぼう」は、約二十五年前に初めて、山口市内の小学校の給食で提供されたと言われています。子供のときに学校で友達と一緒に食した料理や味は、大人になっても忘れることはありませんから、学校給食が、地元を思い出す懐かしい話題や思い出につながっていると思います。 また、現在においては、栄養面だけでなく、地産地消を進めるため、地元食材が積極的に利用されており、県が毎年発表している学校給食地場産食材使用状況調査によれば、平成三十年度と令和元年度は、目標の使用率七〇%を達成されています。 学校給食は子供たちのためにあるものですが、本県の一次産業や流通業の活性化にもつながっているのです。このことは、昨年度、コロナ禍において、学校給食が休止となった際に、牛乳をはじめ、学校に納められている農林水産物や加工品の取引が中断され、生産者だけでなく、流通関係者も含めて大きな影響が出たことで、くしくも明らかになりました。 本県の各市町は、都市部と中山間地域などの周辺部で構成されていますので、学校給食で使用する食材を地域内で生産し、供給することは、中山間地域の活性化や生産者の生きがいにもつながります。 また、学校給食で取り扱ってもらうためには、事前に取扱量や価格などを決めておく必要がありますが、これは計画的に生産・加工できるというメリットでもあることから、学校給食における地場産食材の使用率を高めることで、生産者の所得向上にもつながっていきます。 私は、山口市議会議員を務めているときから、学校給食における計画生産・計画出荷の重要性を訴えてきた者として、多彩な食材が流通している現在、七〇%を超える使用率を達成されたことを高く評価するとともに、この率をさらに高めていただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。大人になって地元の料理や食材を通じて、故郷への思いを末永く感じてもらえるよう、また、中山間地域と農林水産業の活性化につなげるため、学校給食における地場産食材の使用率のさらなる向上に、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農業用ため池の防災・減災対策についてお尋ねいたします。 国においては、令和二年三月に見直された食料・農業・農村基本計画を踏まえ、本年三月、新たな土地改良長期計画が定められました。 この計画では、食料の安定供給や農業・農村の多面的機能を維持していくため、人口減少下においても持続的に発展する農業、多様な人が住み続けられる農村を目指す姿とし、それを下支えする土地改良事業の推進に当たっては、生産基盤の強化による農業の成長産業化、多様な人が住み続けられる農村の振興、農業・農村の強靱化の視点に立った取組が必要であるとされています。 農業の成長産業化や農村の振興は、農地や農業用施設が健全であることが前提であるため、近年、全国各地で多発する自然災害に、その前提を崩す集中豪雨に備えた防災・減災対策に積極的に取り組む必要があるとの思いを強くしています。 本県には、全国五番目となる約八千か所の農業用ため池があり、稲作中心の本県農業を安定的に続けるために不可欠な用水源である一方で、一たび決壊すると、周辺地域に非常に大きな影響を及ぼすことから、農業用ため池の防災・減災対策は特に重要であると考えています。 県においては、これまでも、県内全てのため池の定期的な実態調査や、ため池を管理する農家の方々と行う毎年の危険ため池点検パトロールなどを通じ、適正な保全管理体制の維持や、危険なため池の整備促進などに取り組まれてきたところであり、近年多発する豪雨においても、ため池に起因する大きな被害はなく、逆に上流の土石流を受け止める事例もあるなど、これまでの関係者による地道な取組によるものであると受け止めています。 昨年十月には、防災重点農業用ため池の防災工事などを、集中的かつ計画的に推進するため、いわゆるため池工事特措法が施行され、県では、今年三月、法に基づく推進計画を策定、四月には、ため池管理者等への技術的援助を行う、ため池サポートセンターやまぐちを開設され、安全性確保の取組を着実に進められています。 しかしながら、近年、気象が極端化し、いつ、どこで災害が発生してもおかしくないことから、ため池を管理する農家の方々も、また、ため池周辺にお住まいの方々も、不安を持っておられるのではないかと思います。 私は、こうした不安を払拭し、安心して農業を継続でき、多様な住民が暮らし続けられる農村づくりを進めていくため、農業用ため池の防災工事などの対応を、適時適切に実施していく必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。農業の成長産業化の実現に向け、農村の安心・安全を確保するため、農業用ため池の防災・減災対策に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、新たな定時制高校の学校づくりについてお尋ねいたします。 いよいよ来年四月に、新たな定時制・通信制高校である、県立山口松風館高校が新山口駅の北口に開校します。 本県において、校舎の新設による新たな学校の開校は、平成十六年に開校した下関中等教育学校以来十八年ぶりとのことです。 また、開設される定時制課程については、午前部、午後部、夜間部が用意され、県内で初めてとなる三部制の新たなタイプの学校となっており、多様化する学びのニーズに対応した学校として、私自身、大きな期待を寄せています。 高校の定時制・通信制教育は、従前から、主に勤労青少年への教育機会の提供の場として重要な役割を果たしてきましたが、近年では、社会経済状況等の変化に伴い、勤労青少年だけでなく、進路変更等に伴う全日制高校からの転入学者や中途退学者、生涯学習の一環として学ぶ社会人など、多様な入学動機、生活歴、学習歴を持つ生徒の入学もあり、その役割は変化しています。 こうした状況を踏まえ、県教育委員会では、定時制・通信制教育の充実に向けた取組の方向性等について検討を重ねられ、平成二十七年策定の第二期県立高校将来構想及び県立高校再編整備計画において、生徒が自分の生活時間に合わせて学ぶことを可能とする、新しいタイプの多部制定時制課程の設置を明確に位置づけられ、その実現に向けて取り組んでこられました。 このたびの三部制の新高校の実現は、県教育委員会をはじめ、関係方々の長年にわたる御努力のたまものと存じ、これまでの御労苦、御尽力に感謝申し上げる次第です。 新高校では、多様な学びのニーズに応える柔軟な教育システムを持つ新たなタイプの学校をコンセプトに、現在、開校準備が鋭意進められていますが、三部制だからこそできる特色ある教育活動を充実させ、魅力ある学校づくりを目指していただきたいと考えています。 また、新山口駅に近く、アクセス性が非常に優れているとともに、駅周辺では、山口市の産業交流拠点施設をはじめとしたビジネス環境等の整備が進んでおり、こうした周辺環境を教育活動に有効に活用し、専門学校等の教育機関や企業と連携した取り組みなどを展開していくことも重要と考えています。 さらに、県内の定時制課程は、山口市に三部制、下関市及び岩国市に午後と夜間の二部制、宇部・小野田地域、周南地域に夜間部の配置となりますが、三部制の新高校を核として、他校との連携を強化していくことに、全県的な定時制課程・通信制課程の充実につながっていくことも期待できます。 そこでお尋ねいたします。本県の定時制・通信制教育のさらなる充実に向けて、大きな期待のかかる山口松風館高校について、今後どのような学校づくりを進めていかれるのか御所見をお伺いして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴、ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)俵田議員の御質問にお答えします。 まず、中山間地域対策の推進についてです。 中山間地域は、急速な人口減少や高齢化によって、地域や産業の担い手が不足し、集落機能の維持に支障を来す地域も生じるなど、大変厳しい状況にあります。 また、中山間地域の多くは、合併後の市町の周辺部に位置しており、市町全体の均衡の取れた発展を図っていく観点からも、その維持・活性化は重要な課題と認識しています。 このため、私は、こうした中山間地域において、既存の集落の枠を超え、複数の集落が広域的に支え合う、やまぐち元気生活圏の形成を進めてまいりました。 地元市町との連携の下、生活サービス等の拠点機能を基幹的集落に整備し、機能の確保が困難な周辺集落とネットワーク化を図るとともに、六次産業の振興や生活交通の確保、移住・交流の促進など、地域の実情に応じた様々な取組を支援してきたところです。 これにより、元気生活圏づくりに着手した地域の数は、知事二期目の四年間で、三十七地域から現在七十八地域へと、大きく増加いたしました。 また、元気生活圏づくりが進んでいない集落の極めて厳しい実態に鑑み、これを速やかに打開するために、将来の元気生活圏づくりにもつながる集落機能の維持・活性化に向けた取組を集中的に支援してまいりました。 しかしながら、お示しのように、我が国が本格的な人口減少時代を迎える中で、その進行の速さは、地域づくりの歩みが到底追いつけないものがあり、中山間地域の人口減少は、依然として県全体を大きく上回るスピードで進んでいます。 さらに、長引く新型コロナウイルスの感染拡大によって、集落活動への制約や各種行事の中止など、地域づくりの取組にも深刻な影響が生じているところです。 このような状況を踏まえれば、今後の中山間地域対策については、これまでの対策の方向性は継続しつつ、まずは地域を維持することを最重点として取組を進めていく必要があります。 慣れ親しんだ地域で暮らし続けたいと望まれる方が、安心して暮らし続けられるよう努めていくことが、行政としての責務であり、私は、そうした住民の思いに寄り添いながら、市町と連携し、必要な対策を機動的かつ柔軟に進めていかなければならないと考えています。 お示しの新たな過疎法に基づき、八月に策定した山口県過疎地域持続的発展方針においても、集落機能の維持・活性化を重点事項に掲げているところですが、その具体化に当たっては、地域の維持を図る上で待ったなしの課題から、優先的・重点的に対策を講じてまいります。 また、同じく重点事項に位置づけたデジタル技術の利活用を推進し、新たな視点から、中山間地域が抱える課題の解決にスピード感を持って取り組んでまいります。 そして、その上に立って、元気生活圏づくりをさらに前へ進め、地域自らが課題を解決していくことのできる仕組みづくりと、地域の活性化に向けた取組を支援してまいりたいと考えています。 私は、自らもできる限り現地に赴いて、直接、地域の皆様のお声をお聞きし、これをしっかりと受け止めながら、引き続き、市町と一体となって、中山間地域の維持・活性化に全力で取り組んでまいります。 次に、社会起業家の育成支援についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進行による過疎化、産業の担い手不足など、様々な課題を抱える地方において、地域の活力を向上させていくためには、中小企業の源泉である創業の促進により、地域経済の活性化を図っていくことが極めて重要です。 このため、私は、創業応援施設mirai365を核に、商工会議所等とのネットワークによるきめ細かい相談対応等を行うとともに、農林業体験民宿等の社会貢献活動の事業化に向けた補助、さらにはスタートアップ企業の創出支援などにより、多様な創業の促進を図っているところです。 また、創業後の事業継続と成長促進に向けて、経営革新による付加価値を高める取組や、コロナ禍におけるDX化など、事業環境の変化にも柔軟に対応できるよう、関係機関と連携した専門家派遣等の支援を行っています。 こうした中、現在、貧困や環境問題など、社会における様々な課題を新たな仕組みやサービスを導入することで解決し、収益を上げていく社会起業という取組が注目されています。 お示しの社会起業大学では、自らが取り組むべき社会課題を明確化し、それをビジネスにより解決する手法の習得を支援することで、多くの社会起業を生み出しています。 こうした社会起業は、社会課題への対処だけでなく、多様な創業の促進を通じて地域経済の活性化にも資することから、本県においても社会起業を促進することが重要と考えています。 しかしながら、社会起業は非営利性が高いことから、融資や投資家からの資金支援が得られず創業が困難になることや、革新的で持続性のあるビジネス手法が習得できず、事業継続が困難になるなどの課題があります。 このため、県において、これまで蓄積した創業支援等に向けたノウハウの活用や資金面での支援に加え、社会起業大学が有する革新的なビジネス手法や幅広い人的ネットワーク等を活用し、社会起業家が活躍できる場の創出が図られるよう、検討を進めていきたいと考えています。 私は、関係機関等との連携を強化し、社会課題の解決と地域経済の活性化につながる社会起業の取組が促進されるよう、社会起業家の育成支援に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)学校給食における地場産食材使用率のさらなる向上についてのお尋ねにお答えします。 学校給食で地場産食材の使用を促進することは、次代を担う子供たちの地元産品への愛着を深めるとともに、地域で生産した食材の活用により、中山間地域の活性化や生産者の所得向上にもつながる重要な取組です。 このため、県では関係団体等と協働し、県産の御飯やパン、鯨肉等に対する価格補?を行うなど、本県独自の支援策を講じてきたところであり、お示しの「チキンチキンごぼう」をはじめ、全国二例目の県産原料一〇〇%パンなど、特色ある取組が定着し、地場産食材使用率も高い割合で推移しています。 こうした中、食材使用率を今後さらに高めていくため、これまでの支援等に加え、関係団体等との取組を一層強化するとともに、食材の計画生産・計画出荷の取組を拡大することとしています。 具体的には、まず、関係団体等との取組強化に向けて、市町や学校栄養士、生産者団体、食材納入業者、県等で構成する協議会において、地場産食材使用の目標や年間スケジュール、必要な食材の取扱量や価格等について、情報の共有化や合意形成等を促進します。 また、地場産食材を活用した特色ある学校給食が進むよう、現地圃場での生産者との交流会や新たな給食メニュー開発のための研修会の開催、動画を活用した子供たちへの食育活動など、地域の取組を支援します。 さらに、計画生産・計画出荷の取組拡大に向けては、特に、近年増加している大規模な学校給食センターの食材使用率向上を図るため、大ロットの食材供給が可能なJA生産部会や集落営農法人等に対し、食材の情報提供や生産・出荷の働きかけ、省力かつ安定的な生産技術の指導等を進めていきます。 県としては、関係団体等と緊密に連携し、子供たちがふるさとへの思いを育み、中山間地域と農林水産業の活性化につながるよう、学校給食における地場産食材の使用率のさらなる向上に積極的に取り組んでまいります。 次に、農業用ため池の防災・減災対策についてのお尋ねにお答えします。 農業の成長産業化や農村の振興を図るためには、農業生産基盤の自然災害への備えが不可欠であり、特に、農業用ため池は、決壊した場合に周辺地域に甚大な被害を及ぼすおそれがあることから、その防災・減災対策は重要であると考えています。 このため、県では、これまでに千六百五十八か所の老朽化ため池の整備や、市町によるハザードマップ作成への支援など、ハード・ソフト両面から災害の未然防止に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのとおり、近年、自然災害が頻発化・激甚化していることから、農業者が安心して営農を継続でき、住民も不安なく暮らしていけるよう、防災重点農業用ため池の防災工事等の計画的かつ迅速な実施や、農業用ため池の保全管理体制の強化を推進していくこととしています。 まず、防災重点農業用ため池の防災工事等については、毎年実施する劣化状況調査の結果に基づき、県、市町、ため池サポートセンター等で構成する、ため池対策推進会議における対策の優先順位づけなどにより、適切な施工時期を見極め、計画的に実施します。 その上で、ため池の利用状況等を踏まえながら、改修、規模縮小、統廃合などの中から、最適な対策が講じられるよう、ため池管理者等との協議を重ねるとともに、施工に際しては、国の防災・減災予算などを最大限活用しながら、整備を加速化していきます。 次に、農業用ため池の保全管理体制の強化に向けては、全てのため池の劣化状況等をデータベース化し、市町、センターとの共有の上、必要な対策の実施につなげるとともに、大雨時等のため池の状況を共有できるスマホアプリについて、ため池管理者へのさらなる普及を図ります。 県としては、農業の成長産業化の実現に向け、農村の安心・安全を確保するため、市町やセンター、ため池管理者等と緊密に連携しながら、農業用ため池の防災・減災対策に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、地域における伝統文化の継承や保護・活用についてお答えします。 踊りや祭りなど、地域における伝統文化の象徴である無形の民俗文化財は、長い年月をかけて醸成され、継承されてきた貴重な財産であり、これを次の世代に確実に引き継いでいくことが重要であると考えています。 このため、県教委では、これまで保存団体等が行う公演や舞台衣装の修繕などに対し、助成等を行うとともに、子供たちをはじめ、多くの県民が伝統文化に触れる機会が増えるよう、学校や地域での出前講座の実施やウェブサイトによる情報発信等に取り組んできたところです。 こうした中、本県においても、過疎化や少子高齢化の進行等により、地域の伝統文化を守り伝えてきたコミュニティー機能の低下や後継者の担い手不足等の問題が顕在化しています。 こうしたことから、県教委では、長年にわたり地域に根づいてきた伝統文化を、行政や専門家、保存団体のみでなく、地域社会総がかりで保護・活用を進めていけるよう、昨年三月、文化財に関わる全てのものが保護・活用に取り組む共通の指針として、山口県文化財保存活用大綱を策定したところでございます。 また、市町に対しては、それぞれの地域の歴史や文化的特徴等を生かし、文化財を地域づくりや観光振興等の資源としても活用していけるよう、取組の目標や具体的取組等を定める文化財保存活用地域計画の策定を支援しています。 さらに、来年十月、山口市において、地域伝統芸能全国大会の開催が予定されており、全国の優れた活動を行っている団体との共演などを通じて、県内の地域伝統芸能の活性化や担い手の育成等につなげていきたいと考えています。 県教委としましては、引き続き、国や市町、関係団体等と連携・協力しながら、地域における伝統文化の継承や保護・活用に取り組んでまいります。 次に、新たな定時制高校の学校づくりについてのお尋ねにお答えします。 定時制・通信制高校は、様々な入学動機や学習歴を持つ生徒が学ぶ場となっていることから、お示しのとおり、その役割はますます重要になってきていると考えています。 このため、多様な学習ニーズに応える新たなタイプの学校として、山口松風館高校を設置し、来年四月の開校に向けて、学校の特色化・魅力化について検討しているところです。 具体的には、定時制課程において、学習する時間帯を午前部、午後部、夜間部の三つのいずれかから選択できるようにするとともに、他の部の授業や通信制課程の科目を追加履修することにより、三年間での卒業を可能とするなど、生徒の生活スタイルに対応した学校づくりを進めてまいります。 また、生徒が興味関心や大学進学等の進路希望に応じて、学習する科目を選択できるようにするとともに、空き時間のある時間割を自分でつくり、空いた時間に自分のやりたいことに挑戦できるようにするなど、生徒一人一人の実情やニーズに応える教育システムの構築を図ることとしています。 さらに、自立して社会を生き抜くことができる人材を育成するため、立地環境も生かして、近隣の大学や専門学校、山口市の産業交流拠点施設にある、山口しごとセンター等と連携した教育活動を検討するなど、生徒の社会的・職業的な自立に向けたキャリア教育も推進してまいります。 また、定時制・通信制教育の充実に向けては、ICTを活用した交流活動や合同学習など、定時制課程を設置する全ての県立高校が連携・協働した教育活動の推進についても検討することとしています。 県教委といたしましては、生徒の多様な学びのニーズに応えることができるよう、山口松風館高校の魅力ある学校づくりを進めてまいります。 副議長(二木健治君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。