討論
議長(柳居俊学君)木佐木大助君。 〔木佐木大助君登壇〕(拍手) 木佐木大助君 日本共産党を代表して、本会議に提案された議案に対する討論を行います。 反対するのは、議案第一号、五号、六号、十九号、二十号、二十四号、継続審査中の九号及び十二号の八議案であります。 うち、議案第一号、五号及び六号に反対する理由は、期末手当の支給割合を○・一五か月分引き下げた給与関係費を約十四億円減額する措置が含まれているためであります。 この瞬間にも、多くの県職員の皆さん方が新型コロナへの対応に追われ、本年一月から八月までの間に残業時間が月八十時間以上となった職員は延べ五百六十人、うち百時間以上となった方は三百八十三人に及び、そして最長二百六十三時間の職員もおられました。 このようなコロナ禍の最前線で対応に当たっておられる職員の期末手当を削減すること、これはあまりにも理不尽ではないでしょうか。よって、関連する補正予算に反対をいたします。 議案第十九号及び二十号は、平瀬ダム地滑り防止工事の請負契約の一部を変更するものであります。現時点での見込みでは、平瀬ダムの総事業費は当初の約三百五十億円の何と約三倍、約九百二十億円にも膨れ上がっています。 平瀬ダムについて我が党は、もともと計画段階から治水効果が低い、その上に貴重な自然環境の破壊につながるということで反対をしてきました。今、国も治水対策の基本を、ダムや堤防に頼る治水から総合治水に軸足を移しています。時代遅れの巨大ダム建設はきっぱり中止をして、限られた財源は総合的な治水対策に投じるべきであります。 次に、継続審査中の議案第九号及び十二号です。 議案第九号は、二○二○年度県歳入歳出諸決算です。 本会議でも指摘しましたが、子育て世帯を応援するための子供医療費助成制度の拡充は十六年連続をして見送られ、二○○四年度、約十二億円だった決算額は約五億円と二分の一以下に激減しました。遜色ない水準だ、こうたかをくくっている間に拡充を進める都道府県との差はますます拡大し、子育て日本一、この看板が今泣いています。一刻も早く、知事は政治決断されるよう強く要望いたします。 新型コロナウイルスの感染防止の最前線である保健衛生機関の一つ、県環境保健センターの運営には四千四百七十万円計上されていましたが、うち調査研究費は百二十六万円、試験検査費は百六万円、設備整備費は七十五万円、いずれもこれで大丈夫なのかというような水準でした。 その後、新たな検査機器や検査試薬の追加購入など進んではいますが、今後も専門職員の増員や検査機器の整備など抜本的な拡充が求められていますし、この二十年間で半分に減らされた保健所・支所の再建と専門職員の大幅増員も欠かせません。 また、二○年度の目玉に上げられたSociety5・0の活用のため、様々な施策が盛り込まれましたが、自治体戦略二○四○構想、これを議論している総務省の研究会の報告書には、AIやロボティクスによって処理することができる事務作業は全てAI、ロボティクスに任せ、半分の職員数でも担うべき機能が発揮される自治体、これを目指す方向性が示されています。 デジタル化という新たな技術による社会生産活動、この発展の成果は、県民の暮らしや福祉、教育の充実にこそ充当、発揮されるべきであり、人員削減や賃金引下げなど職員の労働条件の切下げに悪用されることがないよう、改めて求めます。 次に、議案第十二号は、二○二○年度工業用水道事業会計の決算についてであります。 決算審査意見書でも指摘されていますが、当年度末の未契約水は日量十五万九千立方メートル、前年度より五千立方メートル増え、未稼働水も十四万五千立方メートルを抱えています。 これに加えて、工業用水道事業が抱え込んでいた弥栄ダム未事業化分、先行水源三万二千立方メートルは、百五十五億円で一般会計に移管されましたけれども、残された企業債四億五千万円余りは、これは一般会計でさらに負担しているほか、毎年約四千万円のダム分担金の支出が続けられています。 この未利用水の活用策については、県庁全体で組織されている水資源対策推進協議会の利用部会において、活用方策の検討が進められていますが、結局、利活用策は見いだせず、一般会計からの支出は膨らむばかりであります。 企業局は、同事業会計の赤字解消のため、一九九二年度から二○一二年度にかけて、引上げ協力金、また据置協力金としてユーザーから総額約二百十二億円を徴収していました。 二○年度の工業用水道の都道府県ごとの一立方メートル当たりの料金を比較すると、山口県は約十一円であります。これは全国四番目に安い水準です。お隣の広島県は約二十一円ですから、半分であります。ユーザーに改めて協力金の拠出を求めることも含めて、経営改善に当たる必要もあると考えています。 いずれにしても、当時の判断に間違いはなかったとの思考停止はもうやめて、こうした事態を招いた過大な需要予測の誤りを率直に認める、その要因をしっかりと検証をして、再発防止策を講じることが不可欠である、このことを指摘するものであります。 最後に、請願についてであります。 第一号、最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願を不採択とした委員長報告に反対します。 社民党の宮本さんも強調されましたが、本請願は、現状の最賃額では憲法第二十五条が保障する、健康で文化的な最低限の生活を営む権利すら満たせない水準であることを指摘しています。 さらに、最賃を千五百円に引き上げた場合の経済的な効果は、県内GDPを四・四%上昇させるという試算も示し、最賃の全国一律化と抜本的引上げについて、地域間格差を解消させ、山口県のような人口減と地域経済疲弊に苦しんでいる現状に歯止めをかける、そして地域経済再生のため、必要不可欠な経済対策であることを強調しています。 まさに、最賃の引上げは、山口県にとって欠くことのできない中小業者への支援拡充そのものである、この点でも極めて重要な内容であります。 よって、不採択とした委員長報告に反対をいたします。 請願第三号は、公立小学校の学級編制の標準、基準が四十年ぶりに引き下げられたことを受け、県内全ての公立小中学校において速やかな三十人学級の実現を求めるというものであります。 コロナ禍という厳しい試練を、子供たちをはじめ、保護者や教員など学校関係者が立ち向かう中で、子供たちの命と学びを守り抜くためには、さらなる少人数学級化が、山口県にも求められていることは明白であります。 よって、不採択とした文教警察委員会の委員長報告に反対をいたします。 最後に、第五号、子供たちに行き届いた教育、すなわち、二十人学級の実現、私学助成の増額、教育費の父母負担軽減、障害児教育の充実、これらを求めることについてであります。 学校現場では、いまだにコロナ禍での混乱に対応するために厳しい状況が続いています。 教室や教員の不足はもとより、これまでの教育条件の整備、これの不十分な面が一気に子供たちと教職員の命と健康を脅かしている現状は、一刻も放置するわけにはいきません。 防長教育の歴史と伝統などというならば、何よりもまず、全ての子供たちに行き届いた教育を進め、心が通う学校づくりに一層取り組むことが必要であります。 よって、不採択とした文教警察委員会委員長報告に反対をいたします。 以上で討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。