討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 宮本輝男君。 〔宮本輝男君登壇〕(拍手) 宮本輝男君 社民党・市民連合を代表いたしまして、議案第十九号及び二十号、請願第一号、三号及び五号について討論を行います。 まず、議案第十九号及び二十号は、錦川総合開発事業平瀬ダム地滑り防止工事に係る議案です。 この事業は、治水、水道用水、発電を目的に昭和六十三年から始まりました。この事業の目的は一定程度理解するものの、当初総事業費三百五十億円であったものが、事業費が膨らむ中で、令和二年度までの事業費が八百三十一億円に上り、現時点での令和五年度の完成までの最終事業費は九百二十億円とされ、約二・六倍にも達しております。 私は、先日、この平瀬ダムの工事現場を視察に参りましたが、もう既に完成の域に達しているということを目の当たりにいたしました。 しかし、今回の地滑り防止工事に関する請負契約の一部を変更することも含め、工事費の増額が繰り返されるこれまでの事業、工事の在り方に疑念を持ち、我が会派は一貫して反対してまいりました。今回もこの二つの議案に反対をいたします。 次に、請願第一号 最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求めることについて、不採択とされた委員長報告に反対いたします。 コロナ禍の中、景気低迷のために最低賃金の凍結を求める声もあります。しかし、コロナ禍で明らかになったのは、日本社会の脆弱性であり、その一つに諸外国に比べてあまりに低過ぎる最低賃金の問題があるということではないでしょうか。 メキシコでは、十二月八日に二○二二年の最低賃金は前年比二二%上昇させることが、経済界も合意の上で決定されました。 アルゼンチンも最低賃金三五%引き上げられました。 厚生労働省発表の二○一九年の非正規労働者は、男性二二・九%、女性五六・○%で、全体では三八・三%にも上っています。中でも女性労働者の五六・○%は非正規雇用労働者ですが、コロナ不況の下で真っ先に切捨ての対象にされています。 コロナ禍で雇用環境が悪化し、非正規雇用で働く人の雇い止めやシフト減が起きました。総務省の労働力調査によると、医療、福祉などや接客業で働く女性の割合が高いのが現状です。コロナ禍で、雇用不安定さはもとより賃金さえ低いままであれば、厚生労働省が述べているように、新型コロナの感染拡大による労働環境の変化が、女性の自殺の増加につながる要因の一つと考えられるとなっています。 もともと非正規労働者は、最低賃金すれすれの給料であり、もとより低過ぎる賃金が日本のコロナ禍での経済危機をより深刻にし、生活を脅かしています。 請願書でも述べられていますが、地域別最低賃金の二○二一年の改定で、山口県は八百五十七円、これでは毎日八時間働いても月十四から十八万円、手取り額で言えば十一から十四万円にしかならず、憲法が保障する、健康で文化的な最低限の生活はできません。 地域の衰退を止め、地域経済を再生させる上で、最低賃金の全国一律化と抜本的引上げは、必要不可欠な経済対策です。 また、中小企業の最低賃金を上げることに対し、厚労省では、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金、事業場内最低賃金の引上げを図るための業務改善助成金をつくっていますが、一部の制度では申込み多数で締め切られたものもあります。 中小企業者への支援策を最大限拡充することも必要です。 続いて、請願第三号 県内全ての公立小中学校において速やかな三十人学級の実現を求めることについて、五号 子供たちに行き届いた教育(二十人学級の実現、私学助成の増額、教育費の父母負担軽減、障害児教育の充実等)を求めることについての分離採決されたものは、委員長報告では不採択でしたが、不採択に反対します。 第二項について申し上げます。 文部科学省の学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル、学校の新しい生活様式には、集団感染のリスクへの対応として、三つの密を避けることが望ましいとされており、人との間隔は、地域の感染レベルがレベル三では、できるだけ二メートル程度、最低でも一メートル空けることを推奨し、児童生徒の間隔をそのように確保するように座席配置を取った場合の一クラス二十人の例の机の配置のイラストまで示しています。 つまり、文科省もレベル三地域では、コロナから子供たちを守るには、目安として分散登校などで身体的距離を確保した座席配置イコール二十人学級にする工夫が必要だとしているのです。 かつて、二○一一年度、全国に先駆けて小中学校の全ての教室で三十五人以下学級を実施し、一部の大規模校の小一で三十人以下学級を実施している山口県から、今度はコロナ禍を乗り越えた学校の新しい生活様式の実現、子供たちの命と健康を守るために、二十人学級を展望した少人数学級を実施、普及させるべきです。 これに関連し、請願第三号では、二十人学級を展望しつつ、コロナ禍における子供たちの健康を鑑み、全国に先駆けた少人数学級を実施した山口県独自で、速やかに全ての小中学校で三十人学級を実現するよう求めています。 第三項について、複式学級の解消です。複式学級の授業は、子供にとっても教師にとっても負担が大きい上に、毎年度の児童生徒の数により単式学級、複式学級、欠学年などの変動があり、このことにより学校体制が安定しにくいという状況が生じています。 そこで、学級編制基準の見直しを行うべきだと考えています。 第四項、正規の教職員を増やすよう国に要請することについてです。 教職員の働き方改革が言われる中、遅々として進まず、社会状況の変化が子供たちにも影響し、子供の数が減少しているにもかかわらず、教職員への負担は減っていないと思います。 いじめ、不登校、子供の貧困、ヤングケアラーなど、子供と向き合ってフェース・ツー・フェースのスキンシップで接し、信頼関係を築き、先生が子供の状態をいち早くキャッチすることが求められています。 官製ワーキングプアの臨時採用、非常勤の教職員を増やすのではなく、安心して働き続けられる正規の教職員を増やすことが重要です。 多いと言われる教職員の病気休職を減少させることにもつながっていくものと思います。 第九項では、特別教室や体育館にエアコンをということです。 文部科学省は、公立小中学校の普通教室のエアコン冷房設置率が、昨年九月一日現在、山口県は一○○%に上ると発表し、特別教室は三七・八%、体育館は○・八%にすぎません。ちなみに高校では、普通教室は一○○%、特別教室は三七・六%、体育館は○・七%、特別支援学校では、普通教室一○○%、特別教室九四・七%、体育館は六・七%となっています。 まだまだ特別教室の普及率は低く、ましてや体育館については特別支援学校は別にして、ほとんど手つかずの状態です。 体育館は、豪雨や地震などの大規模災害時には、公立小中の九割超が避難所となり、近隣住民らが体育館などで過ごすことになります。真夏の災害も少なくないことから、文部科学省は防災担当部局と連携し、想定避難者数や災害種別のリスクを十分に考慮の上、避難所となる学校施設の安全性や必要な機能、円滑な運営方法、教育活動の早期再開を踏まえ、整備することが重要としてきました。 令和四年度の概算要求で学校施設の老朽化がピークを迎える中、子供たちの多様なニーズに応じた教育環境の向上と老朽化対策の一体的整備が必要とし、防災・減災、国土強靱化の推進事項要求の中で、避難所として防災機能強化、バリアフリー化、空調設置、トイレ改修等上げています。 以上の観点から、不採択とされた項目は全て新しい学校の学びを支える安全・安心な教育環境の実現のため、そして、子供の将来にとって重要な項目ばかりだと考えます。よって、全ての項目は採択されるべきであります。 議員の皆様方におかれましては、御深慮の上、御賛同賜りますようお願い申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)