1 県内事業者の海外展開の促進について 2 中小企業の販路開拓支援について 3 建設DXの推進について 4 総合型地域スポーツクラブの普及・育成について 5 児童虐待防止に向けた体制強化について 6 部活動の改革について 7 その他
───◆─・──◆──── 諸般の報告 議長(柳居俊学君)この際、諸般の報告をいたします。 報告事項は、お手元に配付のとおりでございます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 西本健治郎君。 〔西本健治郎君登壇〕(拍手) 西本健治郎君 皆さん、おはようございます。自由民主党、西本健治郎です。 それでは、通告に従いまして一般質問を行います。 初めに、県内事業者の海外展開の促進についてお尋ねをいたします。 本県はもとより我が国は、今後、人口減少・少子高齢化の進展によって、国内需要が一定程度縮小していくことは避けようのない現実であります。そうした中、近隣諸国へ目を向けてみますと、ASEAN諸国をはじめ、台湾、さらにはインドなど、今後も確実に人口増加と経済成長が見込まれるアジア圏の玄関口に位置する本県にとって、その旺盛な需要を取り込み、本県のさらなる成長につなげていくことは、未来に向け不可欠な戦略であると考えています。 私は、先般、ある製造業の現場を視察いたしました。本州最西端の地にある同社は、規模こそ決して大きくないものの、独自の技術を駆使し、国内はもとより海外からも高い評価を得ており、技術力の高さで世界から必要とされる、そうしたものづくり企業が地元にあることを誇らしく感じたところです。 同時に、今後、国内需要は人口減少に伴い確実に縮小していくことを前提とした場合、新たな市場を求め、地方から海外に向けて挑戦する環境や機会を、もっと広げていかなければならないとの思いを新たにしました。 さて、県においては、平成二十八年にやまぐち海外展開方針を策定され、これまでも本県の豊かな農林水産物や加工品、日本酒などの輸出促進や、地元中小企業の海外展開支援にも取り組み、海外取引件数も着実に増加するなど、確かな成果を上げておられます。 加えて、現在、県内企業が保有する水産インフラを、荷揚げから保存・加工までの一体的なパッケージにして、ベトナムへ輸出しようとするプロジェクトも進められており、輸出先であるベトナムでは、今後十年間で中間層が約三千六百万人増加見込みであることや、リゾート開発による外国人観光客の食への需要増加も見込まれるなど、そうしたニーズに応える、高品質な本県水産インフラへの関心は、同国でも一層高まっており、今後の展開に大いに期待をしています。 このように本県の海外展開については、こうした成果を一つ一つ着実に積み上げていくことが何より重要です。現在、コロナ禍により、海外での活動が困難な状況にありますが、今後の交流再開を見据え、デジタル技術等も活用し、取組をさらに前へ進めていかなければなりません。 同時に、将来に向けて多くの事業者が海外を視野に事業展開できるよう、裾野を広げていくことも必要です。成功事例を切り口として、一部の企業だけでない、多くの県内事業者が高品質で信頼される製品力・技術力を掲げ、海外に挑戦する、県全体としての広がりを促進できるよう、さらなる後押しをしていただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。県内事業者の海外展開をさらに促進するため、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、中小企業の販路開拓支援についてお尋ねをいたします。 新年度予算において、村岡知事が主要な柱として位置づけている、コロナ禍で大きく疲弊した本県経済の再生には、それを支える中小企業が、コロナ禍の危機を乗り越え、しっかりと収益を確保し、再び成長していくことが重要です。 そして、企業の収益確保には、生産・業務プロセスの改善や提供価値の高い商品・サービスの開発、また新規顧客・販売先の獲得など、様々な面からアプローチすることが必要ですが、中でも販路開拓については、コロナ禍で大きく売上げを落とした事業者や、社会変革に伴う市場の変化をチャンスと捉える事業者にとって、まさに最優先の課題ではないでしょうか。 県では、これまでも、やまぐち産業振興財団などと連携し、中小企業の販路開拓を支援しながら、県内外で多くの取引成約につなげてこられましたが、今後も引き続きその取組を強化していく上で、最も重要なことは、コロナ禍での販路開拓における新たな営業形態への対応であると考えています。 今や、感染防止のため、三密を避けることが新たな日常として定着する中、従来の対面による販売や商談方式から、新しい生活様式に対応したオンラインと、IT・ICTサービスを活用した営業形態が、コロナ禍以降、急速に展開・普及しています。実際にこうした動きは、長引くコロナ禍とデジタル技術の進歩が相まって、大企業を中心にその対応が進んでいますが、一方で、いまだ中小企業の多くは、まだまだ取組への意識も乏しく、ノウハウも不足しているのが現状です。 私も、先般、新たな手法を取り入れ販路開拓に取り組む地元企業からオンライン商談のお話を伺い、またオンライン展示会のウェブサイトも幾つか閲覧をしてみましたが、従来の対面とウェブ上では、製品・サービスの魅力を伝える方法など、ノウハウを持つ企業とそうでない企業とでは、大きな差があることを感じたところです。 今まさに、オンライン化への速やかな移行が求められており、その対応こそ、今後の企業間競争を勝ち抜くためにも急務であると考えています。 県においては、県内企業がこうしたオンライン、IT・ICTサービスを活用した販路開拓に早期に習得・移行できるよう、さらに支援を充実させ、コロナ禍で落ち込む企業の売上げの回復、そしてその先の成長へつなげていただきたいと強く願っています。 そこでお尋ねをいたします。中小企業の収益力向上に向けた販路開拓支援に、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、建設DXの推進についてお尋ねをいたします。 建設業は、道路や港湾など私たちの社会経済活動に不可欠な公共インフラの整備を担うと同時に、地域経済や雇用を支える本県にとって重要な産業の一つです。また、昨今、全国で大規模な自然災害が頻発化・激甚化する中、国土強靱化の推進や災害応急、復旧活動など、その社会的役割はますます増大しています。 しかしながら、本県における建設業は、有効求人倍率が他の産業に比べ突出して高い水準を推移するなど、人手不足が慢性化しており、また、技術・技能者の高齢化も進行するなど、厳しい状況が続いています。 こうした状況に対し、これまで県では、若年世代の就業促進や働き方改革の推進に取り組んでこられましたが、私は新たな打開策として、建設現場の省力化、就労環境の改善を実現する建設DXの積極的な導入が、今後の大きな活路になるのではないかと考えています。 以前、建設DXを先進的に導入している県内企業のお話を伺う機会がありました。ドローンによる測量は一斉に地形を把握できるなど、労働日数の短縮につながり、また、そのデータを活用した三次元設計によって、事前の施工シミュレーションも可能となるなど、作業の効率化に大きく寄与していることがうかがえました。 また、ICT建機についても、技術が未熟な若手就業者の作業をサポートしたり、将来的には事務所などから遠隔操作も可能となるなど、現場のリスク軽減や作業の省人化を実現するツールとして有望視されています。 県には、本県の建設業が目指す建設DXの姿やその効果を分かりやすく示しながら、導入支援やデジタル人材の育成などに官民が連携して取り組み、建設DXのさらなる普及を図っていただきたいと考えています。 加えて、建設DXは、公共インフラの維持管理の面でも、現在、その効果が強く求められています。高度経済成長期に集中的に整備された本県公共インフラは、今後一斉に老朽化が進むことから、これら施設の維持管理が今まで以上に重要となってきますが、先端技術を活用した維持管理は、ドローンによる点検、AIによる損傷予測によって、異状箇所の早期発見・早期対応を可能とするなど、私たちの安心・安全な暮らしの確保につながっていくことは明らかです。 また、県では、これまで橋梁や河川の維持管理で行ってきたデジタル技術の活用を、来年度から、その他の施設へ拡大する事業を新たに開始することとしており、そうした積極的導入にも大いに期待をしているところです。 今後も、維持管理の高度化・効率化を進めながら、その活用範囲を多くの施設へ速やかに拡大することにより、村岡知事が目標に掲げている日本一の安心インフラやまぐちの早期実現を目指していただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。本県の建設業の生産性向上や維持管理の高度化・効率化を図るためには、建設DXを積極的に推進していくべきと考えますが、県は今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、総合型地域スポーツクラブの普及・育成についてお尋ねをいたします。 昨年、一年の延期を経て、約半世紀ぶりの自国開催を実現した東京オリンピック・パラリンピックでは、日本人選手の躍進に私たちは沸き、スポーツのすばらしさに勇気と感動を頂きました。また、コロナ禍での開催となる中、感染拡大を不安視する声も多くあったものの、見事に安全な大会運営を成し遂げた日本の底力を、世界中に発信することができたのではないでしょうか。 そして今、世界のアスリートたちに魅了された多くの子供たちが、スポーツに興味を持ち、オリパラ閉幕以降、全国のあちこちで、スポーツによるまちづくりが本格化しようとしています。 さて、スポーツへの機運がかつてなく盛り上がっている現在、県としても、盛況裏に終えたオリンピック効果を、確実に本県発展につなげていけるよう、スポーツを通じた人材育成や地域の活性化に取り組んでいることと思います。 しかし、一方で、本県の大きな課題である人口減少・少子高齢化の進行は、こうした子供たちが主体的にスポーツへ触れ合う環境にも、様々な影響を与えているのが実情です。 今から数十年前、私の少年時代でありますが、その当時、スポーツに触れ合う身近な入り口となっていたスポーツ少年団等は、校区単位で様々な競技が存在し、活発な活動が行われていました。皆さんの中にも、きっと放課後や休日、小学校のグラウンドや近所の公園で、仲間たちと必死に汗を流した経験があるのではないでしょうか。 が、昨今、これまでは子供たちの健全育成や競技力向上など社会体育の役割を担っていたスポーツ少年団などの地域活動も、団員数の減少等により、解散、または他地域との合同活動に移行・縮小するなど、減少傾向にあります。こうした子供たちにとって、身近で日常的なスポーツ機会が失われていく現状は、本県の将来を担う人づくりという観点からも、早急な対応が求められているのではないでしょうか。 こうした中、生涯にわたりスポーツ活動を推進する有効な取組として、現在、県が進める総合型地域スポーツクラブというものがあります。これはドイツが発祥とされ、幅広い世代の人々が各自の興味関心、または競技レベルに合わせて、様々なスポーツに触れることができる、地域密着型のスポーツクラブで、地域単位での運動機会の確保という、まさに時代の要請にマッチした活動になるものと、その普及が大いに期待されています。 また、幅広い世代の参加により、スポーツを通じた地域コミュニティーの形成や、参加者間での交流を通じた地域振興、ひいては高齢者の生きがいづくりや生活習慣病予防による医療費の削減など、スポーツ振興以外でも多くの効果が期待できます。 加えて、近年、中学校における部活動も、様々な要因から減少傾向にある中、今後は総合型地域スポーツクラブが、こうした部活動の受皿としての役割も担っていくときが、近い将来、訪れるものと確信しており、そうした視点からも、総合型地域スポーツクラブの普及・育成に向け、県としてもしっかり支援をしていただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。子供をはじめ、県民誰もがスポーツに親しむことができる環境の整備に向け、地域スポーツの拠点となる総合型地域スポーツクラブの普及・育成に、今後どのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。 次に、児童虐待防止に向けた体制強化についてお尋ねをいたします。 児童虐待は、人間の尊厳を踏みにじるものであり、虐待に至るまでの過程などいかなる理由があれ、断じて許すことはできません。 令和二年度、全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は二十万件を超え、過去最多を更新しました。 また、昨年八月、大阪府摂津市で発生した、三歳の男の子が熱湯をかけられるなどの虐待を受け死亡した事件や、昨年九月、岡山市で発生した、五歳の女の子が鍋の中に立たされたり、布団に巻かれるといった虐待を受け死亡した事件など、今なお深刻な児童虐待事件は後を絶ちません。 私は、今この瞬間にも、虐待に苦しんでいる子供たちがいるのではないかと憂い、また大人の身勝手で常軌を逸した虐待によって亡くなった子供たちの無念さを考えると、胸が締めつけられる思いです。皆さんも、その思いは一緒ではないでしょうか。全ての子供たちが祝福されて生を受け、愛されながら健やかに成長できる社会をつくり上げることが、私たち県民の願いであり、重大な責務であると考えています。 さて、こうした児童虐待を防止するためには、地域社会全体で虐待のサインを見逃さず、早期発見・早期対応を行っていくことが、何より重要です。 このため、県では、これまでも一八九(いちはやく)サポーターやヤングサポーターの養成、地域の見守り活動を推進する児童虐待防止全力宣言企業の登録など、地域社会全体で子育て家庭を見守り、支える取組を積極的に進めてこられました。 また、子育ての不安や育児疲れなど、悩みを抱える保護者や子供たち自身が気軽に相談できるよう、二十四時間三百六十五日体制で相談対応する、つながるやまぐちSNS相談窓口を本年一月に開設するなど、様々な問題の未然防止に向けた取組を、全国に先駆けて実施しているところです。 そうした中、令和二年度、本県の虐待相談対応件数は、過去二番目に多い七百二十九件となるなど、依然として深刻な状況にありますが、その背景には、こうした県や市町、地域の取組等により、児童虐待に対する社会全体での危機意識が醸成され、以前は発見に至らず埋もれていた事案が認知され、早期発見につながっていることも大きく影響していると思われます。 今後も、虐待のサインを見逃さず、早期に把握し、個々のケースに寄り添ったきめ細かな対応を行っていくためには、その中核を担う児童相談所の体制強化を図ることが重要であり、とりわけ、相談支援を行う児童福祉司等の専門職員の適切な配置や資質の向上、また、困難な事案に適切に対応するため、関係機関、特に警察との緊密な連携を図ることが、一層重要になると考えています。 さきの十一月議会において、健康福祉部長からは、児童相談所への警察官の増員も含め、警察との一層の連携強化に努めてまいると、力強い方向性を示していただいたところであり、悲しく痛ましい事件が二度と起こることがないよう、今後一層の取組を切に願っています。 そこでお尋ねいたします。児童虐待の早期発見・早期対応に向けては、児童相談所の体制の一層の強化が必要と考えますが、県では今後どのように取り組まれるのか、お伺いをいたします。 最後に、スポーツ・文化活動機会の確保に向けた部活動改革についてお尋ねいたします。 部活動は、勉学と並び、重要な教育活動の一環として、心身の鍛錬はもとより、生涯の仲間や生きがいとの出会い、さらには礼儀や挨拶の習得など、成長段階にある子供たちの人間形成に大きな役割を果たしています。私自身も学生時代は、部活動に打ち込み、すばらしい指導者との出会いをはじめ、様々な経験を通じて、現在にも生きる多くのことを学び、成長することができました。 しかしながら、近年、少子化の進行に伴う生徒数の減少や指導教員の不足などにより、部活動が持つ本来の役割、魅力が発揮できない状況にあります。また、教員の多忙化解消に向け、長時間労働の一因となっている部活動についても、働き方改革の推進が求められるようになりました。 こうした状況に対し、県教委では、これまでも、先生方に代わって技術指導等を行う部活動指導員の導入をはじめ、様々な取組を通じ、部活動が持つ多くの効果を、全ての生徒が享受できるよう努めてこられました。 しかし、昨今の少子化の進行は著しく、さらには教員の働き方改革の加速化も相まって、中でも複数の生徒の参加によって構成される団体競技や文化活動については、学校単位での活動が困難となるなど、部活動の維持が難しくなっています。 こうした中、昨年度、国においては、今後の部活動改革の方向性を示し、その中では、生徒にとって望ましい部活動の環境の構築と、学校の働き方改革も考慮したさらなる部活動改革の推進に向け、主に中学校を対象とした令和五年度以降の休日における部活動の段階的な地域移行を図ることや、合理的で効率的な部活動を推進していく旨の方向性が示されました。 さらに、今年度は、これらの方向性を踏まえ、運動部及び文化部において、部活動の地域への移行を着実に実施するとともに、地域において子供たちがそれぞれに適したスポーツや質の高い文化芸術活動に親しめる環境整備に向けた検討会議を設置し、地域における受皿整備や指導者確保などについて、本格的に議論を始めたところです。 本県においても、児童生徒数の減少は全国を上回るスピードで進んでいる状況にありますが、生徒にとって部活動が与える魅力や役割を考えた場合、その改革はまさに待ったなしです。県教委には、ぜひとも国の動きに呼応し、市町教育委員会とも連携しながら、少子化を言い訳にしない、本県ならではの人づくりを実践すべく、生徒が主体的にスポーツや文化活動に打ち込める機会の確保に向けた取組を、強力に推し進めていただきたいと願っています。 そこでお尋ねいたします。少子化が進み、学校単位での部活動の維持が困難な状況となる中、子供たちのスポーツや文化活動機会の確保に向けて、部活動の改革にどのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いし、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)西本議員の御質問のうち、私からは県内事業者の海外展開の促進についてのお尋ねにお答えします。 人口減少・少子高齢化の進展により国内市場が縮小する中、県経済の持続的成長を図るためには、本県の強みや地理的優位性を最大限に生かした海外市場の開拓が不可欠です。 このため、私は、やまぐち海外展開方針に基づき、県内事業者の取組を積極的に支援してきたところです。 とりわけ、本県の強みである高度な技術を有する中堅・中小企業の海外展開については、関係機関と連携し、マーケティングの強化や現地商談会への出展支援等に取り組んできたところであり、成約件数が、やまぐち維新プランに掲げる目標値を大幅に上回るなど、着実に成果が上がっています。 こうした中、コロナ禍の影響により、海外での活動が困難な状況となる一方、オンライン会議等の普及により、海外企業との直接商談が容易になってきており、今後は、海外展開に新たに取り組む企業の増加が期待されるところです。 私は、コロナ禍で生じた社会経済のこうした変化をチャンスと捉え、より高いレベルの経済成長を目指していくためには、デジタル技術など新たな手法も活用しながら、企業の海外展開への挑戦を、一層強力に後押しをしていくことが重要と考えています。 このため、やまぐち産業振興財団の海外展開支援拠点機能を強化するとともに、ジェトロなど関係機関と連携し、意欲ある企業の海外展開の取組を積極的に支援してまいります。 具体的には、来年度、ASEAN地域において、山口県海外ビジネスサポートデスクを新たに設置し、現地での情報収集や市場調査等を企業に代わって行い、オンライン相談等により、県内企業の海外展開に向けたニーズにきめ細かく対応します。 また、国内にいながら海外販路開拓が可能な越境ECの活用を促進するため、越境ECに対する理解促進を図る各種セミナーを開催するとともに、新たに参入する企業に対する商談機会の提供や、プロモーション活動に取り組みます。 さらに、お示しのベトナムへの水産インフラ輸出プロジェクトについては、県内事業者とともに水産インフラ輸出構想研究会を立ち上げて取り組んできたところであり、来年度は現地において鮮度保持システムを整備し、実証に着手する予定です。 県としては、実証後の現地での定着・普及に向けたオンライン商談会を開催するとともに、海外を視野に事業展開しようとする高い技術力を有する事業者に対し、研究会への参画を働きかけてまいります。 私は、これまでの取組成果や新たな手法を最大限に活用しながら、海外展開の成功事例の着実な積み上げを図るとともに、新たに挑戦する企業の裾野を拡大し、海外展開に積極的にチャレンジする県内企業の取組を全力で後押ししてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業の販路開拓支援についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍で落ち込んだ中小企業の売上げを回復させ、収益の向上を図っていくためには、展示会・商談会等の一層の活用により、販路拡大に取り組んでいくことが重要です。 このため、県では、これまで、やまぐち産業振興財団等と連携し、首都圏の展示会への出展や商談会の開催等により、本県中小企業の優れた技術や商品を発信し、県外企業とのマッチングを行うなど、販路開拓を支援してきました。 こうした中、コロナ禍において、展示会等は、直接商品の確認や商談を行う対面方式に併せて、オンラインを活用して遠隔地のバイヤーと商談等を行うハイブリッド型が増加しています。 しかしながら、多くの中小企業は、オンラインの特性を踏まえた商品PRのノウハウや経験等が不足しているため、来年度、オンラインを活用した新たなスタイルの販路開拓に対応できるよう、支援を強化することとしています。 具体的には、オンラインにおける効果的なセールス手法や動画の作成を習得するためのセミナーの開催に加え、デジタルコンテンツの制作に係る経費の助成や、ハイブリッド型展示会等への出展支援により、県内企業の販路開拓を促進することとしています。 また、コロナ禍で拡大するEC市場の需要を取り込むため、大手ECサイト等に、県内企業の商品を集めた特設サイトを新たに設置し、販売促進のための割引クーポンを活用したやまぐちフェアを開催するとともに、事業者自身のECサイトによる商品の送料支援も実施してまいります。 県としては、今後とも、関係機関等と連携し、県内中小企業の収益向上と成長に向けて、コロナ禍での新たな営業形態に早期に対応できるよう、販路開拓支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)建設DXの推進についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設業は、県民生活に密着した社会資本の整備や維持管理、災害発生時の応急復旧対応などを担う中核的な存在であり、また、就業者全体の一割近くを占めるなど、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を担っています。 しかしながら、就業者数の減少や高齢化の進行といった課題に直面しており、近い将来、社会資本の整備や災害対応等に支障を来すおそれがあります。 また、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進み、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 こうした課題に対応するためには、従来の取組に加え、デジタル技術も活用しながら、建設現場の生産性向上やインフラメンテナンスの高度化・効率化を図っていくことが重要です。 このため、ICT活用に係る技術者を養成するセミナーの開催やICT活用工事の実施、ドローン等による河川の変状監視、AIによる橋梁の健全度診断などに取り組んできたところです。 今後は、建設DXの取組をさらに深化させ、建設分野におけるデジタル化を一層進めてまいります。 具体的には、建設現場の生産性向上を図るため、来年度からICT活用工事を舗装工事の一部に広げるとともに、測量、設計、施工、維持管理の各段階における三次元モデルの活用促進に取り組んでいく考えです。 また、インフラメンテナンスの高度化・効率化を図るため、デジタル技術の活用を、トンネルやダムなど、河川や橋梁以外の施設にも拡大するとともに、各施設のデータの連携やオープン化に向けた検討を進めてまいります。 さらに、こうした取組を加速化するため、技術管理課に建設DX推進班を新たに設置し、DXの活用範囲の拡大を効果的・効率的に進めるとともに、建設業者への導入促進につながるよう、目指すべきDXの姿や効果を示し、官民が連携して人材育成などにも取り組んでいく考えです。 県としては、本県の基幹産業であり、地域の守り手である建設業が、将来にわたって、その社会的役割を担っていけるよう、また、日本一の安心インフラやまぐちの実現により、県民の安心・安全な暮らしが確保できるよう、建設DXを積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)総合型地域スポーツクラブの普及・育成についてのお尋ねにお答えします。 県においては、県民誰もが、生涯にわたってスポーツに親しみ、子供から高齢者まで世代を超えた交流の拠点として活用されるよう、市町等と緊密に連携し、総合型地域スポーツクラブの普及・育成に取り組んでいるところです。 こうした中、少子高齢化の進行や長引くコロナ禍の影響により、クラブを取り巻く環境は厳しい状況にあることから、県としては、クラブが自主的かつ活発な活動を展開できるよう、安定的な運営や会員の拡大に向けた支援を強化することとしています。 まず、安定的な運営に向けては、クラブ運営のキーパーソンとなるマネジャーを養成する研修会等を開催し、人材育成を進めるとともに、専門的な資格を有するスポーツコンシェルジュをクラブ等に派遣し、巡回指導や情報提供を行うなど、活性化に向けた相談機能の充実を図ってまいります。 次に、会員の拡大に向けては、複数クラブの連携により様々な種目が体験できる地域スポーツフェスタや、トップスポーツ選手を活用したスポーツ教室など、クラブと市町が協働して開催するイベントへの支援を行うこととしています。 また、本年度から、誰もが安心してクラブに加入できるよう、クラブの公益性や健全な運営等を認証する制度を創設したところであり、今後、当制度を活用し、認知度を高めることで、会員の増加につなげていきたいと考えています。 さらには、お示しのように、クラブが中学校の部活動の受皿の一つとして期待されていることから、来年度、新たに、受入れに前向きなクラブへのヒアリングを行うとともに、クラブや市町、学校等の関係者による検討会を開催し、対応の方向性を検討してまいります。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と連携し、県民誰もが生涯にわたって、気軽にスポーツに親しむことができるよう、総合型地域スポーツクラブの普及・育成に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)児童虐待防止に向けた体制強化についてのお尋ねにお答えします。 昨年度の全国の児童相談所における児童虐待相談対応件数は、過去最多を更新し、また、本県においても、近年増加傾向にあるなど、依然として深刻な状況が続いています。 児童虐待は、子供の人権や生命に関わる重大な問題であり、虐待を未然に防止し、早期発見・早期対応につなげるためには、その中心的な役割を担う児童相談所のさらなる体制の強化を図ることが重要と考えています。 このため、県では、増加する虐待相談に迅速かつきめ細かく対応できるよう、計画的に児童福祉司等の専門職員の増員を進めており、来年度も増員を図ることとしています。 また、複雑・困難なケースに適切に対応するため、職員の資質向上に向けた実践的な研修を実施するとともに、今後予定されている一時保護開始時の司法審査の導入にも適切に対応できるよう、研修内容の充実を図ってまいります。 こうした中、虐待により幼い命が奪われるという悲しく痛ましい事件が全国で相次いでおり、子供の安全を最優先で確保する上では、警察とのさらなる連携強化が必要と考えています。 このため、来年度、中央児童相談所に配置する警察官を一名から二名に増員し、県内全ての児童相談所の緊急時における対応力の向上を図ることとしています。 具体的には、まず、中央児童相談所に警察官一名を常駐させ、警察との迅速かつ円滑な連絡調整を行うことにより、各児童相談所や市町から警察への協力要請に速やかに対応できる体制の強化を図ってまいります。 また、各児童相談所を定期的に巡回し、保護者が強く抵抗するケースにおける子供の安全確認や一時保護、保護者面接への同席など、困難ケースにおける現場対応を強化してまいります。 さらに、保護者への対応や、警察との連携による立入調査の手順など、警察官の知見や経験を生かした研修を実施することにより、専門職員の対応力の向上に努めてまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、今後とも、児童虐待防止に向けた児童相談所のさらなる体制強化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)部活動の改革についてのお尋ねにお答えします。 部活動は、学校教育の一環として行われ、生徒の体力や技能の向上を図るとともに、人間関係の構築や責任感・連帯感の涵養に資することから、県教委では、これまで、その充実に努めてきたところです。 しかしながら、お示しのとおり、少子化や学校の働き方改革が進む中、これまで、学校が担ってきた部活動を学校単位で継続することが、困難な状況が生じるとともに、将来的に、生徒がスポーツ・文化活動に親しむ機会が大きく減少することが、全国的に懸念されています。 こうしたことから、国においては、昨年度、部活動改革の方向性やスケジュール等が示され、今年度から、全国各地の中学校で実践研究に取り組まれるとともに、部活動の地域移行に関する検討会議において、今後の子供たちのスポーツ・文化活動の機会確保に向けた方針や具体的な方策等についての検討が進められており、近く提言として取りまとめられる予定です。 また、本県においても、今年度から、国事業を活用し、県内二校の公立中学校で実践研究を進めるとともに、県内関係機関や団体等で構成する、やまぐち部活動改革推進協議会を新たに設置したところです。 本協議会では、改革の背景、趣旨等についての共通理解や、実践研究の成果及び課題の共有を図るなど、本県の状況に応じた取組の方向性等について協議を進めており、あわせて、本協議会の様子を各市町教委へ動画配信し、本改革の周知や研究成果の普及等にも努めているところです。 来年度は、国において示される提言や実践研究の検証結果等を踏まえ、生徒が持続的にスポーツ・文化活動に親しめる新たな環境整備に向けて、地域における実施主体や指導者の確保、大会の在り方等の具体的な方策について検討を進めることとしています。 県教委といたしましては、スポーツ・文化関係部局と一体となり、引き続き、各市町、関係機関・団体等とも緊密な連携を図りながら、子供たちのスポーツ・文化活動の機会の確保充実に向けた部活動改革を推進してまいります。