1 新型コロナ対策について 2 若年層のドナー登録促進について 3 未収金対策について 4 農業施設の円滑な継承について 5 柳井地域の道路整備の推進について 6 その他
議長(柳居俊学君)有近眞知子さん。 〔有近眞知子さん登壇〕(拍手) 有近眞知子さん 皆様、おはようございます。自由民主党会派の有近眞知子です。 質問に先立ちまして一言申し上げます。 今日は、十一年前のあの日と同じ三月十一日金曜日です。東日本大震災により犠牲となられた全ての方々に哀悼の意を表しますとともに、大きな犠牲の上に得られた教訓を未来につなげていくとの決意を新たにするべき大切な日です。 しかし、そんな今、世界は怒りと悲しみに包まれています。ロシアのウクライナ侵攻に何の罪もない人々が命を奪われ、住む場所を追われ、命からがら逃げ惑う姿が報道されるたび、何もできない無力感にさいなまれます。 今の私たちにできることは、山口県議会が先日、全会一致で決議したように、それぞれの立場からロシアの許されざる暴挙に強く抗議し、非難の声を上げるとともに、ウクライナ国民に寄り添っているというメッセージを発信し続けることだと考えます。 そうした思いから、私も今日ウクライナ国旗をイメージした青いジャケットと黄色いスカーフで登壇させていただきました。(拍手) 東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中、領土問題を抱える我が国にとって、今回の事態は決して対岸の火事ではありません。 また、エネルギー源のほとんどを海外から輸入に依存している我が国の危うさを改めて認識させられました。 国際社会の対応を目の当たりにする中で、今後、我が国の国防の在り方やエネルギー安全保障の確保についての議論を急がなければならないと感じています。 ウクライナの人々に一日も早く穏やかな日常が戻ることを心よりお祈り申し上げまして、通告に従い質問をさせていただきます。 まず、新型コロナ対策についてお尋ねします。 ジャネーの法則というものがあります。十九世紀のフランスの哲学者ポール・ジャネが発表した説で、人生の中で感じる時間の心理的な長さは、年齢の逆数に比例するというものです。 例えば、五歳児の一年は人生の中で五分の一、五十歳の大人の一年は人生の中で五十分の一になり、五歳児の一年間の心理的な時間の長さは、五十歳の大人の十年と同じだというものです。共感できる方も多いのではないでしょうか。 子供たちにとって、毎日は新しい経験、知識の連続です。行動範囲も、家庭から、地域や学校に広がり、わくわくするイベントも数多くあります。待ち遠しさも重なり、時間が長く感じられるのだと思います。 このように、子供たちの一年は、大人の十年にも匹敵する、比べようがないぐらい大切な一年であるとつくづく思います。 こうした子供たちの大切な日々が、新型コロナにより奪われてきました。学校は、休校になって、共に学ぶ機会が失われ、学校行事も中止になって、思い出もできないまま卒業を余儀なくされました。 また、外出自粛で外で遊ぶ機会は減り、部活動やスポーツ少年団の活動も長期で休みとなり、子供の体力低下に拍車がかかっています。 実際に、令和三年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査でも、山口県の小学五年生の体力合計点は、男女とも平成二十年度の調査開始以来、過去最低値となっており、スポーツ庁でも、新型コロナの影響により運動時間が減少し、テレビ、スマートフォン、ゲーム等による映像の視聴時間であるスクリーンタイムが増加したこと等がその要因であると分析しています。 当初、新型コロナウイルスが発見された際は、まさに未知のウイルスでしたが、現在のオミクロン株の感染が拡大した第六波で亡くなった感染者のおよそ九割が七十代以上で、特に基礎疾患のある高齢者に集中しており、十代や十歳未満の重症化のリスクは低いと考えられています。 加えて、保育や教育の現場では、感染防止対策に一生懸命取り組んでおられます。それにもかかわらず、子供たちや子育て家庭に対し、過度な感染予防対策を求める風潮も感じます。 ひどいものになりますと、報道で、子供から感染が広がっているとされるだけで、街角で高齢者から子供連れの母親が、子供を連れて外出するな、コロナを広げる気かと罵声を浴びせられることもあったようです。 こうした中にあっても、子供たちがコロナによる様々な制約にも負けずに順応して生きているのには、本当に勇気づけられます。 子供は、自分で環境を選ぶことも主張することもできません。その意味でも、私たち大人の責任は重たいと思います。 そもそもの考え方として、重症化リスクが少ない子供たちにいろんな制限をかけるのではなく、高齢者など重症化のリスクの高い人たちに適切な情報提供を行い、そうした方が率先して感染予防対策を実施していくことが重要ではないでしょうか。 その上で、日本の将来を担う子供たちの人間形成に大切な共同生活を学び、人との接し方を学ぶ時間、貴重な思い出づくりをする時間、地域に学校に愛着を生むべき時間を可能な限り確保していく、そういう視点が新型コロナ対策に必要だと思います。 そこでお尋ねします。将来の山口県を背負って立つ子供たちのためにも、子育て支援のためにも、子供や親の視点に立った新型コロナウイルス感染症の感染防止対策を行うべきと考えますが、御所見をお伺いします。 せっかくの機会ですので、以下、要望させていただきます。 新型コロナの発生から二年以上経過し、この間、ワクチンの接種や治療薬の開発も進み、様々なデータも蓄積されています。そのため、どういった特性があって、どのような人が、どれぐらい恐れる必要があるのかをデータをもって説明できる、また、すべき時期に来ていると思います。 こうした中、二類相当の新型コロナの感染症法上の位置づけを、季節性インフルエンザと同じ五類に引き下げる見直し論が出てきています。見直しを行うことで、保健所や医療機関の負担は減り、就業制限による社会活動の影響も軽減されますが、医療費の負担の問題や、新たな変異株が出た場合の対応等の課題もあり、すぐに法改正というわけにはいかないようです。 加えて、この見直し論に対しては、国民の命を軽視しているという批判もあるようです。 しかし、新型コロナによる医療逼迫により、ほかの病気の発見・治療や手術が延期される事例も出てきています。 また、外出機会やコミュニケーションの機会が少なくなることは、高齢者の体力低下や認知症の進行にもつながりかねません。 さらに、医療面だけでなく、経済的な困窮や社会的な孤立等を要因とする自殺者も増加していると聞いています。 県民の命は、常に様々なリスクにより危険にさらされています。新型コロナのリスクさえ下げればいいというのは無責任であり、様々なリスクのバランスを取り、多くの命を大切にすることが重要であると考えます。 二類相当から五類への見直しは、そのための有力な手法であり、それができるのは政治しかないのではないでしょうか。 村岡知事には、二類相当から五類への見直しについて御理解いただくとともに、ぜひ、知事会等で積極的に提言していただき、客観的データに基づき、見直しの議論をリードしていただくようお願いいたします。 次に、若年層のドナー登録促進についてお尋ねします。 先日、私は、公益財団法人日本骨髄バンクから、若年層ドナーの確保に向けた取組について御要望を頂きました。 日本骨髄バンクは、一九九一年の設立以降、骨髄等を提供するドナーと患者さんの希望のかけ橋として、数多くの命を救ってこられましたが、二○二○年度の国内患者移植率は五二・四%と、半数近くの患者さんが移植を希望しても受けられない状況にあります。 こうした中、新規ドナー登録者数は、二○一八年、二○一九年度には、水泳の池江璃花子選手の白血病公表等により飛躍的に増加しましたが、二○二○年度はコロナ禍で保健所や学校等でのドナー登録会が減ったことにより、前年度比五七・一%と大きく落ち込みました。 また、ドナー登録は、十八歳から五十四歳まで可能なんですが、現在、登録者が最も多いのは四十五歳から五十歳であり、今後この層が五十五歳を迎えて卒業し、さらにコロナ禍が長期化すれば、この先五年から十年間の間に登録者数が激減していくということが危惧されています。 そこで今、若年層ドナーの確保が喫緊の課題となっています。日本骨髄バンクによると、全国の人口千人当たりの登録者数は一位の沖縄県が三十七・五六人、全国平均は九・五人であるのに対し、山口県は六・四四人で全国四十位。さらに、十代から三十代の登録者の割合も全国平均を下回っている状況で、私は大変な衝撃を受けました。 若年層の登録が進まない要因には、実際の骨髄等の提供方法や身体への負担等、移植に関する正しい知識の不足が挙げられます。 また、登録しても、移植のために通院や入院で何日も休まなければならず、学業や仕事の都合をつけることが難しいという現実もあります。 本県では、骨髄等の提供に必要な通院や入院のためのドナー休暇制度を導入している民間事業者は、全国七百十四社中、山口大学など二社のみ、学生向けの公欠制度を導入している教育機関は、山口大学や県立大学を含めてゼロです。 池江選手が、白血病を公表した二○一九年、当時の安倍総理は、SNSを活用した若者に対する普及啓発や、ドナー休暇を導入する企業への働きかけの強化等を政府として対策の充実を打ち出されました。 いまだコロナ禍の収束が見通せず、先行きの登録者数の激減が危惧される中で、全ての患者さんが、最適な時期に移植を受けることができるよう、本県においても一層対策を強化すべきではないでしょうか。 そこでお尋ねします。若年層のドナー登録を促進し、確実に移植につなげるため、若年層に対する登録機会の拡充はもちろん、大学や企業を通じたよりきめ細かく、丁寧な普及啓発や、学業や仕事の都合に配慮した登録しやすい環境の整備に向けた働きかけなど、総合的な対策が必要と考えますが、県は今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、未収金対策についてお尋ねします。 県では、資金を必要とされる事業者や県民の皆様に対して、様々な施策を通じて資金の貸付けが行われており、コロナ禍で苦しむ方々への支援においても、貸付けは施策の大きな柱となっています。 貸付けは、当然のことながら返済を前提とするものですが、様々な事情から期限までに返済されないケースもあります。特に、行政による貸付けは、一定の資力以下の方を対象とする場合や、回収に当たって福祉的な配慮が必要な場合もあるため、滞納のリスクを内包している面があります。 しかし、滞納を放置することは、返済意識の希薄化につながるほか、きちんと返済されている方との公平性の観点からも大きな問題があります。 また、回収が事実上不可能な債権の管理にも人的・金銭的コストがかかるため、その放置は、回収可能な債権への対応などにしわ寄せがいくことも考えられます。 このため、本県では、債権管理の体制や手続を明確化し、債権管理の適正化・効率化を図るため、平成二十七年四月、山口県債権管理条例が施行されました。 しかし、こうした取組にもかかわらず、県の貸付金には依然、多くの未収金があり、令和二年度末現在の未収金額は、十三の貸付金で合計六十八億円、このうち約九割を占めるのが、中小企業高度化資金をはじめとする中小企業関連の資金です。 中小企業の設備投資などに資金を貸し付けるこれらの資金は、いずれも近年、新規の貸付けはありませんが、永続的な債権管理が必要なため、県では経験抱負な職員が業務に当たっておられるとお聞きしています。 滞納になった経緯や滞納期間の長さを考えれば、回収には様々な困難を伴うと思いますが、職員の皆さんの粘り強い取組により成果は着実に上がっており、適切な管理が行われているものと評価しています。 しかし、コロナ禍による財政支出も大きな負担となる中、未収金の額の大きさを考えれば、県の財源確保の観点から、例えば、期間を区切って集中的に取組を強化するなど、対策を急ぐ必要があると考えます。 新しい経営者の下、施設の運営を継続しながら、経営改善に取り組むことで、地域の活力が維持され、将来に希望をつないでいる地域もある一方で、施設の運営がストップしたことで地域の中心が活力を失い、閉塞感から新しい一歩を踏み出せずにいる地域もあります。 未収金対策が進むことは、県だけでなく、債務者や保証人にとっても、資金により整備された施設を抱える地域にとっても、次のステップに進むきっかけになるものであり、一刻も早い対応が求められます。 そこでお尋ねします。県の財源確保や地域活性化の観点から、中小企業関連の未収金対策に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、農業施設の円滑な継承についてお尋ねします。 柳井市には、県下有数のバラ生産団地があり、本県の花卉振興を牽引してきた歴史がありますが、ここ数年に及ぶバラ単価の低迷や資材コストの上昇などの影響を受け、残念ながら一昨年にその経営を閉じられました。 その後、約三ヘクタールの規模の温室が活用されない状況が続いていましたが、地元の通販事業者である株式会社アデリーが中心となって、農業法人ホシファームを設立し、その施設と農地の一部を買い取り、カーネーションなどの鉢物生産に取り組む施設として復活しました。 地元の関係者からは、施設を有効利用した企業による農業参入に対して歓迎の声が上がるとともに、残りの施設の活用について模索されていたところ、周南市に本社を置く、世界有数の総合化学メーカーである株式会社トクヤマが、障害のある方々を雇用することを前提に、この施設で最新鋭の設備を導入したリーフレタスの栽培を行うこととなり、一月十四日に進出に関する協定調印式が行われました。 今回の進出に当たりましては、県花卉団体の会長を務める星井榮仁さんによる栽培ノウハウを有する県外企業の紹介をはじめ、JA山口県による施設整備や農地の集積・確保など、関係者の方々による大変な御苦労があったと聞いています。 そして、多くの関係者の調整役を担ったのが、柳井市や山口県ということで、このたびの取組は、民間企業とJAグループ、地域、行政が連携したすばらしい取組であると高く評価しています。 私は、このたびの事例の大きなポイントは、放置されていた園芸施設の再活用にあると考えています。 本県においては、農業者の高齢化や後継者不足により農業経営を断念されるケースが増えていますが、それは、これまでの資産がそのまま活用されずに放置されることに直結します。 一方、世界的な資材価格やエネルギーコストの高騰により、若者たちが、花卉や野菜、果樹などの品目で新規に農業を始めようと思っても、初期の農業経営を大きく圧迫しています。 そのためにも、活用されていない地域の農業資産を、就農を志す若者たちに円滑に継承していくことが、さらに重要になっています。 私の地元、柳井市には、コチョウラン栽培をされている益永さん御夫妻、イチゴ栽培を行われている原さん御夫妻がおられます。 益永さんは、先ほど御紹介した星井さんと、原さんは柳井市で長年イチゴ栽培に取り組んでおられる大西さんというすてきな方と出会い、技術の伝承だけでなく、活用されていない施設のあっせんや住宅の確保までサポートを受けたことで就農に至り、現在でも生き生きと活躍されています。 もちろん、就農に至るまでには、地域の生産者だけでなく、JAや柳井市、県の支援がありましたが、私は新規就農者の初期投資の負担を軽減できるよう地域の関係者がばらばらで動くのではなく、一体となったサポートが重要であると改めて感じています。 そこでお尋ねします。本県農業の活性化に向けて、関係者が一体となり、現在活用されていない農業施設の円滑な継承にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、柳井地域の道路整備の推進についてお伺いします。 道路は、これまで、まずは都市部を優先して整備が進められてきたため、私の暮らす柳井地域をはじめとした一部の地域では、高速道路ネットワークから取り残され、地域の活性化や産業の振興、本県の最重要課題である人口減少対策等の面で様々な恩恵を享受することができず、発展のチャンスをつかみ切れずにきたと感じています。 私は、産業力の強化や交流人口の拡大、災害に強い強靱な県土づくり、地域住民の安心・安全の確保などのため、また、ウイズコロナ・ポストコロナ時代の新たな日常や社会活動を支えるためには、それらの基盤となる道路の整備が必要不可欠であると考えます。 こうした思いから、私は昨年十一月、東部高速交通体系整備促進協議会の一員として、柳居議長、国本県議、地元首長、関係者の皆様と国土交通省や財務省への要望活動を行う中で、道路整備の必要性や早期整備に対する強い思いをお伝えしました。 そして、これまで以上に、地域の声を訴え続けていくとの決意を新たにしました。 現在、柳井地域では、三つの道路の整備・検討が行われています。 まず一点目は、国道百八十八号柳井・平生バイパスです。 柳井市南町から平生町宇佐木間は、救急医療機関へのアクセス性の向上や物流ネットワークの強化、渋滞の緩和などを図るため、昨年度、国においてバイパス整備が新規事業化され、現在、調査設計が進められています。 このバイパスの事業効果を最大限に発揮するため、地元においてもアクセス道路の検討や工事着手に向けた環境整備が進められており、全線の早期完成を目指して、国や県、地元が連携して事業を推進していく必要があります。 二点目は、柳井─玖珂間の高規格道路です。 柳井市街地から玖珂インターチェンジ間は、広域交通拠点へのアクセス性の向上や災害時のダブルネットワークの形成などの観点から、道路の高規格化の早期実現が期待されています。 特に、柳井市古開作から中馬皿間は、交通量が多く、朝夕の渋滞や大型車の通行に支障がある箇所があるなど、早期に課題を解消するため、整備に向けた検討を進めていく必要があります。 三点目は、県道柳井上関線伊保庄バイパスです。 柳井市伊保庄地区では、安全で円滑な交通の確保や、上関町をはじめとした室津半島地域との連携を強化するためバイパス整備が進められ、これまで県の重点的な予算措置や計画的な事業執行等により、約四・五キロメートルのうち約一・三キロメートルが開通しています。 残る区間についても、道路の幅員が狭く、大型車とのすれ違いが困難な箇所も多くあり、早期に課題を解消するため、全線の早期完成を目指して、引き続き計画的に整備を推進していく必要があります。 そこでお尋ねします。柳井地域で進められている様々な施策の基盤となる道路ネットワークの充実強化が重要ですが、これらの道路の整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、一言申し上げます。 去る一月十五日、環境生活部長の神杉さとみさんがあの世へ旅立たれました。その明るく優しい人柄と面倒見のよさから多くの人に愛され、一緒にお仕事をされた皆様も、また、出身地である柳井市でもたくさんの方が早すぎる別れを惜しんでおられます。 神杉さんは、県の女性職員として初めて東京事務所の業務担当を務められたほか、令和二年四月には女性の事務職として初めて部長になられました。 また、商工労働部時代には、女性の創業を支援する事業を通じて、多くの女性の社会進出も支援されるなど、まさに本県の女性活躍のフロンティア的存在であったと思います。 県庁という大きい組織の第一線で女性として活躍される中では、時に苦労されることもあったと思います。また、十年以上の闘病では、つらい思いも悔しい思いもされてきたと思いますが、神杉さんはそうしたことをみじんも感じさせない明るさとバイタリティーで、最期の瞬間まで力の限り、懸命に山口県のために仕事をされました。 昨年八月、新型コロナの第五波がピークを迎え、様々な行事が中止となる中、県の女性サポート事業を受託した団体から、女性相談会の開催が危ぶまれているとの相談を受けた私は、神杉部長に相談しました。 神杉部長は、すぐに対応を検討してくださり、翌日には、こういうときこそ必要な事業だからと開催を決断してくださいました。県が即座に寄り添う姿勢を示してくれたことに団体の皆さんも心強さを感じられ、支援活動に安心して取り組んでおられました。 これはほんの一例にすぎませんが、正義感や決断力、面倒見のよさなど、私も同じ女性として見習いたい点がたくさんありますので、その姿をこれからも追いかけていきたいと思います。 神杉さんには、空の上でたくさんのお仲間とおいしいお酒を飲みながらゆっくり休んでいただきたいと思います。神杉さんの生前の御功績に心から感謝を申し上げますとともに、御冥福をお祈り申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)有近議員の御質問のうち、私からは新型コロナ対策についてのお尋ねにお答えします。 私は、幼児期から学齢期は、子供たちの人間形成に当たり、共同生活や人との接し方等を学ぶ貴重な時期であることから、コロナ禍においても、今しか得られない学習・経験の機会をしっかりと確保していくことが重要であると考えています。 このため、私は、県教委や市町等と連携して、子供に対する感染防止対策と、子供の学びを止めない取組を進めているところです。 まず、感染防止対策については、保育士、教職員等を対象として、感染症対策の徹底を図るための研修会を開催するとともに、オミクロン株の特性を踏まえた初動対応等についての動画配信や、感染の早期発見に向け、迅速な検査を行う抗原検査キットの配付等を行っているところです。 また、希望する保育士、教職員等が速やかに三回目のワクチン接種を受けることができるよう、市町と連携し、接種体制の拡充を図っており、三月上旬までにおおむね完了する予定です。 次に、学びを止めない取組についてですが、まず、保育所や幼稚園等においては、発表会や運動会は、子供にとって貴重な思い出となることから、密による感染リスクを避けるための参加人数の調整など、様々な工夫により継続して開催できるよう取組が進められています。 また、県立学校においては、各学校で学習内容や活動内容を工夫しながら学びを継続するとともに、教育の一環である部活動の大会・コンクールや、修学旅行などの活動が実施されるよう、安全の確保のためのPCR検査を行っています。 こうした学びを止めない取組については、地域の実情に応じ市町等でも進められているところですが、優良事例の情報共有等を通じ、さらなる促進を図ってまいります。 私は、コロナ禍にあっても、子供たちの健やかな成長と学びを止めることなく、豊かな心や創造性が育成されるよう、今後とも県教委や市町、関係機関等と連携しながら、子供の視点に立った感染症対策を進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)若年層のドナー登録促進についてのお尋ねにお答えします。 骨髄移植を希望する全ての方が、最適な時期に移植を受けるためには、一人でも多くの方に骨髄バンクへのドナー登録を行っていただくことが必要です。 本県では、現在、約三千四百人の方にドナー登録をしていただき、登録者数は着実に増加している一方、お示しのとおり、十代から三十代の方の登録者の割合が全国平均を下回るなど、将来にわたり安定的にドナーを確保していくためには、若年層のドナー登録を促進することが重要です。 このため、県では、日本骨髄バンクや民間支援団体等で構成する山口県骨髄バンク推進連絡協議会を設置し、相互の協力体制や役割分担の下、普及啓発と登録機会の確保に取り組んでいます。 まず、普及啓発については、日本骨髄バンクにおいて、若者をターゲットとしたテレビCMの放映やインスタグラムなどSNS等による情報発信を全国展開しているところであり、県でも、こうした取組に呼応し、若者が集まる場所におけるパンフレットの配布等により、幅広く周知に努めています。 また、十月の骨髄バンク推進月間に合わせた集中的な啓発活動に加え、来年度新たに若者への理解促進に向け、日本骨髄バンクと連携して、県内の大学等において講演会を開催するなど、普及啓発の一層の促進を図ってまいります。 次に、登録機会の確保については、保健所等の窓口における個別の登録に加え、今後、教育機関や大型商業施設等において開催している集団登録会を一層増加させるなど、登録機会の拡充を図ってまいります。 なお、お示しのドナー休暇制度等については、日本骨髄バンクと連携し、企業や関係団体等に制度の周知を図るなど、登録しやすい環境づくりに努めてまいります。 県としましては、骨髄移植を待ち望む方々に移植の可能性が広がるよう、関係機関等との連携の下、若年層のドナー登録の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)未収金対策についてのお尋ねにお答えします。 県では、中小企業等の行う共同施設の建設や設備導入等に対して、中小企業高度化資金等により貸付けを行い、その振興、発展を支援してきましたが、経済情勢の影響等を受け、返済が困難となり、延滞に至った貸付債権も生じているところです。 こうした延滞債権については、貸付先の経営状況等にも十分配慮しながら、分割返済や抵当権に基づく担保処分、さらには連帯保証人等への督促により、早期の回収に努めてきました。 特に、県債権管理条例の施行後は、債権管理の取組強化を計画的に進めるため、五年間の債権管理目標を設定した債権管理計画に基づき、返済による回収に加え、返済困難な案件は債権放棄等により、未収金の縮減に取り組んできました。 この結果、中小企業関連の貸付金において、令和二年度までの五年間で約十五億円の未収金の縮減が図られたところですが、その後の新規延滞債権の発生等により、現時点で約五十九億円の未収金が残っています。 未収金対策は、債権管理の一層の適正化を図り、公平かつ円滑な行財政運営に資するものであり、その縮減を図っていくための取組を強化していく必要があります。 このため、県としては、今年度から五年間の債権管理期間において、専門知識を有する債権回収専門会社や弁護士等を一層活用しながら、債権者の資産状況等も勘案し、回収の強化や回収の可能性のない債権処理を進めるなど、未収金の縮減に集中的に取り組んでいきたいと考えております。 また、未収金の回収に当たっては、担保物件の有する価値や地域で果たしている役割等を十分に考慮し、地域振興にもつながるよう配慮してまいります。 県としては、今後とも債権管理の一層の適正化が図られるよう、中小企業関連の未収金対策に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業施設の円滑な継承についてのお尋ねにお答えします。 新規就業者の経営を早期に安定させるためには、技術の習得や充実した生産基盤の確保が必要であることから、県では、農業大学校等での実践研修や技術指導、さらには住宅確保や施設整備への支援など、市町等と連携し、担い手日本一の施策を展開しているところです。 こうした中、お示しのように、高齢農家等の所有施設の継承が進んでいない状況にあることから、高い初期経費を必要とする施設園芸を志向する若者などが、少ない投資で経営を開始できるよう、施設などの農業資産を有効に活用していくことが重要です。 このため、リタイアされた農業者の施設等が次の経営者にスムーズに引き継がれ、地域の新たな担い手として円滑に経営を開始できるよう、資産の継承に係る一貫した支援と就農に向けたサポートを一体的に進めることとしています。 まず、資産の継承に係る支援については、現在、果樹産地で実施している農の継活推進事業の対象に、来年度から花卉や野菜などの施設園芸も加え、市町やJA、産地と連携しながら、活用されていないハウスなどの資産に対する継承意向の把握とリスト化を行います。 その上で、こうした資産が、園芸品目での就農を志向する若者や企業等にスムーズに継承できるよう、デジタル技術を活用して資産価値を見える化し、所有者との円滑なマッチングを促進します。 次に、就農に向けたサポートについては、まず、市町が作成する産地パッケージ計画に基づき、関係機関に加え、産地や生産者が一体となって技術指導だけでなく、住宅確保などの生活支援を行うとともに、就農時に必要となる機械・施設等の整備に係る負担軽減策を拡充することとしています。 加えて、今回の株式会社トクヤマによる取組は、施設を再活用してコストを削減するモデルケースになることから、農業への関心を持つ企業に先行事例として示すことにより、新たな企業参入の促進にもつなげていきます。 県としては、本県農業の活性化に向けて、市町やJAなどの関係団体等と一体となって、農業施設の円滑な継承に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)柳井地域の道路整備の推進についてのお尋ねにお答えします。 柳井地域は、高速交通体系から外れていることに加え、半島・島嶼部特有の複雑な地形であることから、県では産業力の強化や住民の安心・安全の確保などを図るため、広域交通拠点へのアクセス強化や、身近な生活道路の整備を重点的かつ計画的に進めています。 まず、国道百八十八号柳井・平生バイパスについては、現在、国により着実に整備が実施されているところです。 県としては、事業進捗を加速させるため、引き続き、地元協議会の皆様と緊密に連携し、整備促進を国に強く訴えるとともに、国や地元市町と協力しながら、アクセス道路の整備や、事業の円滑な推進に向けた環境整備を積極的に進めてまいります。 次に、柳井─玖珂間の高規格道路については、現時点では、高規格化に係る投資金額に見合う十分な整備効果が確認できないことから、引き続き地元市町と連携し、その整備の在り方の検討を進めるとともに、現道の安全性・走行性の向上に資する効果的な取組を進める考えです。 特に、柳井市街地では、お示しのとおり、朝夕の渋滞や大型車の通行に支障となる区間があることから、その早期解消に向け、右折レーンがなく、また、大型車が走行しづらいなど、課題の多い交差点について対策を検討してまいります。 次に、県道柳井上関線伊保庄バイパスについては、事業効果を早期に発現させるため、北側から順次工事を進め、段階的に供用を図ってきたところです。 こうした中、地域の皆様の御理解、御協力により、残る三・二キロメートルのうち約二キロメートル区間について、今月末に開通する運びとなり、これにより、通学路の安全確保や救急活動の迅速化など、一定の効果が期待されます。 今後は、こうした効果がより一層発現され、さらには地域間の連携強化にもつながるよう、全線の早期完成を目指し、事業を推進してまいります。 県としては、今後とも、柳井地域はもとより、県内全域の幹線道路から地域に密着した生活道路に至る道路ネットワークの構築に向け、計画的かつ着実に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十二分休憩