1 産業人材の確保・育成について 2 自動車産業のイノベーション推進について 3 地域公共交通の維持について 4 農業における新たな担い手確保について 5 サイバー犯罪における初動の対応について 6 高校コミュニティ・スクールの取組の充実について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 新造健次郎君。 〔新造健次郎君登壇〕(拍手) 新造健次郎君 皆さん、お疲れさまです。自由民主党会派の新造健次郎であります。 重要な予算議会、一般質問最後の質問者として登壇の機会を頂いたこと、全ての方々に対して心より感謝を申し上げます。 村岡知事におかれましては、三期目の御当選、誠におめでとうございます。希望と活力に満ちあふれる県づくりが実現されるよう、これからの御活躍を心より祈念しております。 また、十一年前の今日、三月十一日、金曜日、東日本大震災が起こりました。この災害を忘れることなく、これからも気持ちを一つにして、安心・安全で住みよい世の中になるよう精進してまいりたいと思います。 それでは、通告に従いまして質問をいたします。 初めに、産業人材の確保・育成についてお尋ねいたします。 県内企業が求める産業人材の確保や、職業能力開発の促進、技能・技術の円滑な継承と技能振興などによる本県産業を支える人材育成を図るため、県では、やまぐち維新プラン、また労働分野における個別計画である山口しごとプランに基づき、様々な取組を進めてこられました。 この取組により、高校生・大学生等の県内就職率や公共職業訓練受講生の就職率向上を目標に置いて、それぞれの成果が出てきており、この取組をこれからもしっかりと続けていただきたいと思います。 今後、その取組をさらに進める上で、産業人材の確保・育成両面においてデジタル化へ対応していくことが重要になると考えます。 産業人材の確保においては、コロナ禍を契機として一気に進んだ就職活動のデジタル化への対応も急務であります。 大都市圏を中心に日々進歩するデジタル技術を活用した各企業間の採用競争が現在繰り広げられています。県内企業においても、採用活動において何かしらのデジタル技術の導入を図ろうと取り組んでおられますが、大都市圏や近隣県の企業に比べると、取組は不十分であり、学生の望む形での採用活動ができていないのではないかと思います。 また、デジタル化の必要性を認識しながらも、急激な変化に戸惑い、導入に踏み出せない企業も多いと感じています。 本県産業を支える優れた人材を確保するために、県内企業が採用活動におけるデジタル化にしっかりと対応し、県外企業との人材獲得競争に勝ち抜くことが重要であります。 県においては、より多くの企業がそうした力を身につけるよう支援をお願いしたいと思います。 他方で、産業人材の育成においては、本県の強みである、ものづくり分野で進むデジタル化に対応した人材の育成が大きな課題の一つであります。 そして、人手不足の解消や作業負担の軽減、作業効率の改善など、労働生産性の向上に向け、デジタル技術の導入活用が多くの企業で進められる中、県の高等産業技術学校で行う職業能力開発においても、こうした時代の変化に対応した訓練を実施し、企業ニーズにマッチした人材の育成を図ることが必要であると考えます。 私は、県の高等産業技術学校を幾度か視察し、実技が必要であり対応が難しいことは承知しておりますが、コロナ禍においてはオンラインを活用した訓練の実施も求められているのではないかと思います。 社会変化に的確に対応した職業能力開発が、本県産業の振興につながるように期待しております。 そこでお尋ねいたします。本県産業を支える産業人材の確保・育成を図るため、とりわけ若者の就職、職業能力開発において、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、自動車産業のイノベーション推進についてお尋ねいたします。 山口県防府市にマツダ株式会社が自動車工場を設立して約四十年がたちます。今や自動車産業は、山口県にとって重要な基幹産業であります。 今、世界は、脱炭素へ向けて大きくかじを切りました。日本においても、この流れに逆らうことはできません。我が国の基幹産業である自動車産業もまた決して例外ではありません。 これまでも自動車産業界は、CO2削減、そして低燃費ハイブリッドな自動車を求め、それに対応した開発を進めてきました。 国内メーカーとしてグローバル競争で生き残るために、ライバル関係であったトヨタ自動車株式会社とマツダ株式会社が資本提携し、驚いたものでしたが、最近ではソニーが参入を表明するような時代であります。 二年前、私はトヨタ自動車の本社に行き、いろいろな話を伺いました。水素先進県山口を目指している山口県、周南市ですが、当時既にトヨタ自動車の本社のある豊田市では、路線バスとして水素バスが地域で運行しており、その水素バスにも乗りました。 FCV水素車は、トヨタが最先端を行っていると実感をしましたが、今や自動車産業界は、EVへとの流れとなり、トヨタでもEVへの四兆円の投資を発表するなど、EVシフトを進めています。 裾野の広い自動車産業におけるこの目まぐるしいゲームチェンジは、サプライチェーンの変更など、地元産業にも大きな影響を与えることになります。 県が産業戦略として立ち上げた自動車産業イノベーション推進会議は、こうした百年に一度と言われる自動車産業の変革期にあって、自動車部品関係以外の会社が独自に培った技術を、また発想の転換を図ることで自動車産業に生かせるのではないか、そのような可能性を一緒に考える機会となるようにとの趣旨で立ち上げられたと聞いています。 最初の研究会のゲストは、国際経済研究所の宮代シニアフェローが講演をされ、私も参加しました。まさに近未来のモータリゼーションについて語っておられました。 そのときは、こんな未来がいつかは来るだろうが、まだまだ先の話だと思って聞いておりましたが、世界的な脱炭素に向けた動きがそれを加速化し、現実的な世界になろうとしております。 化学コンビナートを中心に多くの企業が存在する我が県が、こうした転換にしっかりと対応し、さらにはこれを機に、EV産業に積極的に参画し、新しい自動車産業に向けた研究開発や製造へとつなげていくチャンスではないかと考えます。 そこでお尋ねいたします。先駆的に始めた自動車産業イノベーション推進会議での成果を生かしつつ、県内にある、様々ある技術を持った企業との共同研究や相互連携を一層深め、新しい技術や産業が生み出せるように期待しておりますが、県としてこれからどのように支援し、そして、どう企業間連携を促進していくのかを御所見をお伺いいたしたいと思います。 次に、地域公共交通の維持についてお尋ねいたします。 バス、タクシーなどの地域公共交通が危機にさらされています。人口減少や少子高齢化により恒常的に交通需要が減少する中、公共交通機関では、コロナウイルス感染症対策を十分に取られているものの、感染が拡大するたびに人々はどうしても移動を自粛してしまうため、利用者がさらに減少するという悪循環に陥っています。 利用率が低いバス路線は赤字となりますが、都市部の黒字路線の収益でその赤字を埋めていたのが今までの実情だと、運営するバス会社からお聞きしました。 バス会社としては、地域住民の移動手段を確保するという使命感を持って、通常どおりのバス運行に努めておられるとのことで、その姿勢には頭が下がる思いです。 また、近年は、高齢運転者の事故を背景として、運転免許証の自主返納件数が増加しています。免許証を返納し、交通弱者となった高齢者にとっての移動手段は、主として公共交通機関になり、バスやタクシーへの需要は今後高まると考えます。 中でも、中山間地域においては、公共交通機関がなければ、ますます不便で生活しにくい状況を余儀なくされると思います。 さて、近年は第四次産業革命の中で、AI、ICT等の技術やサービス分野におけるイノベーションが急速に進展しつつあり、交通分野においても、データ技術を活用したMaaSをはじめとした新たなモビリティーサービスが登場しています。 このような技術を活用し、例えば地域コミュニティーバスと他の交通手段が連携すれば、乗り継ぎがよくなり、路線バスが行かない場所へも高齢者の移動が可能となり、安心して病院や買物に行けるようになります。行きたい場所から場所へ効率的かつ無駄なく行けるようなシステムを導入することで、公共交通機関を利用する交通弱者が救われると思います。 また、私が平成二十八年六月議会において取り上げた、バス等による移動に際して荷物や物も一緒に運ぶ貨客混載の取組は、経営の効率化や運転手不足の解消という観点から、私は特に中山間地域におけるバス路線の維持に有効な手段と考えます。 本年一月から下関市では、生活バスの乗客と一緒に農産物や加工品を運ぶ事業が、県内で初めてスタートしました。今後、こうした動きが県内に広がることを願っています。 令和五年春には、交通系ICカードの利用範囲が山陽本線の徳山駅から西に拡大し、下関駅までの二十駅や山口線の一部駅で利用可能となるとの報道もありました。 四年前に我が党が、民間バス会社からICカードについての要望を受けて以来、路線バスでのICカード導入への支援が着実に進められております。そして、在来線と路線バスがデジタル技術を通じ、効果的・効率的に連携することにより、相乗効果が発揮されるものと大いに期待しています。 県では、こうした機会を逃すことなく、新たなモビリティーサービスを十分活用しつつ、利用者の利便性の向上に向けて、引き続き環境整備をしっかり行わなければなりません。 そこでお尋ねいたします。人々の移動が活発化し、地域の活性化や運転免許返納後の高齢者をはじめ、誰もが移動しやすい豊かな社会の実現に向けて、コロナ禍で疲弊している公共交通機関を支えていかなければならないと考えますが、デジタル技術を活用した地域公共交通の維持について、県としてどのように取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農業における新たな担い手確保についてお尋ねいたします。 私は、先日、障害のある方が生産した農産物や加工品の展示販売会であるノウフクマルシェを訪れ、ビールの主原料となるホップを栽培し、クラフトビールを製造・販売している障害福祉サービス事業所の方からお話を聞く機会がありました。 当事業所は、障害のある方を対象に、就労機会や生産活動を通じて、知識や能力向上に必要な訓練を提供しており、その一環として農作業や加工品の製造・販売に取り組まれています。 ホップを栽培し、クラフトビールを製造する取組は、施設利用者の工賃向上と地域の新たな特産品づくりを目指して二年ほど前から始められたとのことでした。 こうした障害のある方が農業分野で活躍する農福連携は、障害のある方の自立や社会参加を推進する取組として、近年県内各地で広がっています。 農業と関わり、生き生きと働く施設利用者の姿に手応えを感じている福祉関係者は多く、農業との関わりをもっと増やしたいが、どうすればよいか分からない。また新たな展開に向けてどうすればよいのかなどの悩みを抱える関係者も多いと聞きました。 農福連携の取組は現在、福祉的な就労支援の側面が強く、さらなる進展に向けては、農業サイドからの力強いサポートが必要ではないでしょうか。 こうした中、農業サイドでは、農業従事者の減少や高齢化が進んでおり、持続的な発展に向けて担い手をどのように確保し、育成していくかが大きな課題となっています。 県ではこれまで、新たな就業者を呼び込む取組に加え、担い手として農業を支えることができる強い経営体を育成するため、規模拡大や生産性向上に資する取組を進めてこられました。規模拡大によって農業は分業化が進み、先端技術の導入等によって初心者でも品質の高い農産物を生産できる環境が整いつつあります。 障害のある方には、単純化された仕事に黙々と丁寧に取り組むことが得意な方も多く、こうした農業における作業環境の変化は、障害のある方にとっても、より能力を発揮しやすいものになったのではないでしょうか。 私は、しっかりとした受入れ体制とサポートがあれば、障害のある方も農業の担い手として十分に役割を果たすことができるものと確信しています。そのために新たな担い手確保につながる農福連携のさらなる進展に向けて、農業サイドからの積極的な取組を期待したいと思います。 そこでお尋ねいたします。本県農業のさらなる発展に向けては、新たな担い手確保の取組として、農業サイドによる農福連携の取組強化が必要と考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、サイバー犯罪における初動の対応についてお尋ねいたします。 国の犯罪情勢を測る指標のうち、刑法犯認知件数の総数については、平成十五年以降、一貫して減少し、令和三年は五十六万八千百四件と前年に引き続き戦後最少を更新しました。 しかし一方で、サイバー犯罪の検挙件数においては増加を続けており、高い水準で推移していると聞きます。 また、平成二十五年以降、増加傾向にあったSNSに起因する事犯の被害児童数は、依然として高い水準で推移するなど、サイバー空間を通じ、他人と知り合うことなどを契機として犯罪被害に遭う事例が増えております。 事案の発生状況を正確に把握することは難しいものの、近年、国内外で様々なサイバー犯罪、サイバー攻撃が発生していることを踏まえると、サイバー空間における脅威は深刻な情勢が続いているのではないでしょうか。 サイバー犯罪は、被害者と対面することなく犯行に及ぶ匿名性の高い非対面型犯罪であり、対策に応じて絶えず犯行手口が変化するものも多く、また痕跡が残りにくい形での犯行を容易に反復することが可能となっていることから、被害が拡大する危険性も高くなっています。 また、聞いたことのある詐欺の手口だと分かっていたのに、だまされたという被害者の声もあるとお聞きしました。 県警では、新入学高校生を対象に情報モラル教室を開催し、サイバー犯罪の危険性などについて講習を実施し、啓発活動にも積極的に取り組んでおられると聞いております。 また、公式ホームページ内にサイバー犯罪相談サイトを設け、相談事例、対処法の対策を掲載するとともに、Eメールや電話で直接相談できる山口県警察サイバー犯罪相談窓口を設置し、県民の安心・安全な生活に御尽力いただいていることに感謝申し上げます。 しかし、私の知人からサイバー犯罪相談窓口において、相談事例から所轄の警察署の相談窓口を紹介され、警察署へ出向いた際、複数の課で同じ話をしたとの相談を受けました。 内容としては、平日八時半から十七時半という限られた県警相談窓口の対応時間に合わせて、サイバー犯罪相談窓口に電話をかけたら、最寄りの警察署の生活安全課か刑事二課へ行くよう指示を受け、警察署に行き、その経過を説明し、生活安全課を訪ねたら、時間をかけて説明した後に、この内容であれば刑事二課が担当すると言われ、刑事二課の刑事が来て、また同じ話を聞いたそうです。 都合をつけてまで相談し、時間を割いて警察署へ出向いた相談者に対し、複数の課にまたがり、何度も同じ話をしなくてはならない。このようなことが発生してしまうことは、相談者が警察に相談しにくいという考えにつながるのではないでしょうか。 そこで、県警本部長にお尋ねいたします。県民に対する迅速な注意喚起と早期の相談対応等によって、きめ細かな対策を進めていくために、専門ともいえるサイバー犯罪相談窓口をはじめ、相談を受理する全ての警察官に対する指導・教養を含め、県警として今後どのような取組をしていくのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、高校コミュニティ・スクールの取組の充実についてお尋ねいたします。 本県では、令和二年四月に全ての公立小・中・高等学校、総合支援学校がコミュニティ・スクールになり、現在、各段階を通じて、全県的な規模で、学校と家庭、地域が連携した取組が行われています。 このうち、高校については、テーマ型コミュニティ・スクールとして、学校や学科の特色や専門性に応じ、地域の活性化へ貢献する活動など、小中学校とは異なった高校ならではの取組を推進しています。 私の母校である新南陽高校においては、昨年、生徒一人一人が目的意識を持った志の高い進路選択ができるよう、コミュニティ・スクールの仕組みを生かして、地元の大人、サポーターから今の仕事に就くまでの経緯や人生観を聞き、対話することで、一人一人の生徒がどんな大人になりたいかを考えるきっかけをつくる新高マナビ場という取組が実施され、私もそのサポーターの一人として参加したところです。 そして、この経験を生かし、同校のコミュニティ・スクールとしての狙いである、地域貢献活動の推進による人間力の向上とキャリア教育の推進による学力の向上の実現に向けて、今般、新たなプロジェクトが動き始めました。それが新南陽OCHAプロジェクトです。 これは、地元にある高瀬茶業組合と生徒が連携し、お茶の勉強から茶摘み、そして製造・販売までを複数年次をかけて行うことにより、地域が抱える担い手不足などの課題解決や産業の活性化につなげるとともに、地元産業のお茶の生産販売に触れることで、キャリア教育の推進を図り、さらには地元のお茶を身近に感じ、郷土を愛する心を養うという取組であります。 私は、人口減少が進む中、このように地域課題の解決と各学校の目標の達成に向けて、高校コミュニティ・スクールの仕組みを生かして地域と協働し、さらに発展させていくことが、これからの高校にはこれまで以上に期待されているものと考えます。 折しも、国においては、外部有識者を含めた検討会議を設置の上、今後の活動の充実等を図る観点から、コミュニティ・スクールの在り方等について議論しており、先日公表された最終まとめの素案では、コミュニティ・スクールと地域学校共同活動の一体的推進の方向性の中において、コミュニティ・スクールを地域課題を解決するためのプラットフォームとして活用することが提示されています。 県教委におかれては、ぜひとも各校の取組を支援し、地域の活性化に貢献する高校ならではの取組を充実・発展させていただきたいと強く願うところです。 そこでお尋ねいたします。各学校における教育課題の解決や目標の達成とともに、地域の活性化に貢献する高校コミュニティ・スクールの取組を充実させていくべきと考えますが、県教委はどのように取り組まれるのかお伺いいたしますが、このたび、三月末をもって退職される副教育長に御答弁をお願いいたしまして、一般質問とさせていただきます。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)新造議員の御質問にお答えします。 まず、産業人材の確保・育成についてです。 人口減少が進む中、本県産業が持続的に発展していくためには、優れた産業人材の確保・育成が必要であることから、私は、若者の県内就職の促進や企業の成長を担う人材育成に取り組んでいるところです。 まず、若者の県内就職に向けては、山口しごとセンターにおいてワンストップで対応する体制を整え、県内企業の魅力情報発信や就職フェアの開催など総合的な支援を行っており、コロナ禍で急速に進展するデジタル化の流れも取り込んで、取組の強化を図っています。 具体的には、コロナ禍にあっても若者の就職や企業の採用活動が促進されるよう、WEB就職フェアの開催やオンラインインターンシップの導入支援、バーチャル環境での企業紹介映像の作成、PRに取り組んでいます。 また、大都市圏を中心に採用活動のデジタル化が拡大している状況を踏まえ、会社説明会、面接などの採用活動の各段階において、デジタルを効果的に活用するためのノウハウを習得できる企業向けセミナーを来年度新たに開催することとしています。 加えて、個別の支援を必要とする県内企業にアドバイザーを派遣し、セミナーと連動した伴走支援を実施することにより、県内企業における採用活動のデジタル化の取組を支援いたします。 次に、企業の成長を担う人材育成に向けては、DX推進拠点「Y─BASE」において、幅広い主体と連携・協働して、デジタル人材の育成を図るとともに、山口大学や都市部IT企業と連携したデータサイエンティスト育成講座の受講支援等によりIT人材育成を進めています。 また、本県の強みであるものづくり分野の即戦力を養成するため、東西の高等産業技術学校の全訓練生に対して、現場におけるデジタル技術の基礎知識を習得する訓練を始めるとともに、東部校の機械加工科を機械デジタル科に改編するなど、訓練内容を充実することとしています。 なお、コロナ禍では、オンラインを活用した訓練が必要となることから、学科訓練のオンライン化に対応したところであり、訓練効果や指導技法の検証・分析を行ってまいります。 私は、今後とも、産業界や関係機関等と連携し、デジタル化をはじめ社会変化に的確に対応した産業人材の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。 次に、地域公共交通の維持についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化の進展に加え、長引くコロナ禍の影響により、本県においては、公共交通機関の利用者が大きく減少し、バス路線の廃止や便数の減少が進行するなど、地域公共交通は極めて厳しい環境に置かれています。 このような状況の中、私は、将来にわたって県民の日常生活を支える地域公共交通の維持・確保が図られるよう、急速に進展しているデジタル技術も効果的に活用し、利便性の向上や新たな移動サービスの導入等、様々な取組を積極的に推進することとしています。 具体的には、まず、地域住民や観光客の利便性向上を図るため、令和二年度から、バス事業者における交通系ICカードの導入を支援しているところであり、令和六年度末までには、県内全てのバス路線で利用可能となる見込みです。 また、JRにおいても、来年春から交通系ICカードの利用区間が山陽線全線に拡大される予定であり、鉄道とバスの双方で利用可能となることで、利便性が格段に向上することから、県としては、利用区間が全県に拡大されるよう、JRに対し、引き続き要望していくこととしています。 さらに、来年度は、運行状況がリアルタイムで可視化できるバスロケーションシステムを県内に広く普及させるため、デジタル化した運行情報などを活用し、コストを抑えることで、小規模なバス事業者等にも導入できるシステムの実証事業に取り組むこととしています。 こうした取組に加え、JR新山口駅を中心とした交流人口の拡大に向けたMaaSの実証事業について、来年度、対象地域を宇部・美祢エリアに拡大して取り組み、二次交通のさらなる充実を図っていきます。 私は、今後とも、こうした取組を着実に進めることで、地域住民の日常生活や観光交流人口の拡大に不可欠な地域公共交通の維持・確保に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)平野産業戦略部長。 〔産業戦略部長 平野展康君登壇〕 産業戦略部長(平野展康君)自動車産業のイノベーション推進についてのお尋ねにお答えします。 本県の基幹産業の一つである自動車産業は、自動運転や電動化など、いわゆるCASEと呼ばれる技術革新の急速な進展により、百年に一度といわれる変革期を迎えています。 県では、この変革期を、本県の強みである基礎素材型を中心とした高度な産業集積や技術力を生かした産業振興の好機と捉え、素材メーカーをはじめ多様な業種で構成する山口県自動車産業イノベーション推進会議を設置し、企業間の連携による研究開発や事業化の支援に取り組んできました。 この結果、自動車の計器等の電磁波保護を目的とした多機能化シートや、生産工程を高度化する3Dビジョンセンサー搭載ロボットなど、異業種間の連携による新製品・新技術の開発が実現し、着実に成果が出てきているところです。 こうした中、脱炭素化に向け、自動車業界は電動化に大きくシフトしてきており、今後、電気駆動部品をはじめ、車体の軽量化や放熱等に資する高機能な素材・原材料の需要が一層高まることが見込まれています。 基礎素材型産業が集積する本県において、高機能素材等の新たな需要は、新規参入や事業拡大を図る大きなチャンスです。 このため、県では、これまでの取組に加え、新たに、次世代の電気自動車等に求められる素材や技術などに特化したセミナーを開催したところです。 また、来年度には、県内企業が専門家とともに電動車の分解部品を調査・分析する場を設け、企業が保有する技術等の具体的な活用分野や手法について研究し、多様な企業等の連携による新素材・新技術の創出につなげていくこととしています。 さらに、様々な企業の技術交流の場であるやまぐちR&Dラボも活用し、交流セミナーやワークショップの開催を通じて、イノベーションの創出に向けた共同研究等の取組を促進してまいります。 県としましては、今後とも、自動車産業イノベーション推進会議を核として、県内企業の共同研究や相互連携を一層強化し、本県の雇用と経済を支える自動車産業のイノベーション推進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業における新たな担い手確保についてのお尋ねにお答えします。 本県農業を持続的に発展させるためには、担い手の安定的な確保が重要であることから、県では、日本一の担い手支援策の展開とともに、多様な担い手の受皿ともなる中核経営体の育成に取り組んでいるところです。 こうした中、お示しの農福連携の取組は、担い手の減少や高齢化が進む農村地域において、中核経営体を支える貴重な担い手としての活躍が期待される一方、障害のある方の雇用や就労の場の提供に当たっては、専門的な知見が不可欠なことから、福祉団体等と連携して進めていくことが必要です。 このため、中核経営体における新たな人材確保と、障害のある方の地域での活躍が共に実現できるよう、農業サイドにおける受入れ体制の整備と、中核経営体と福祉団体等の連携によるサポート体制の充実を図ることとしています。 まず、受入れ体制の整備については、雇用等を必要としている中核経営体が、障害のある方の能力や適性に応じた詳細な作業項目を提示できるよう、福祉団体の協力を得ながら、栽培品目や時期に合わせた作業の選定や、その工程の細分化を進めます。 また、農業団体や福祉サイドの窓口となる山口県社会就労事業振興センター等と連携し、農福連携の取組に意欲を示す中核経営体や障害福祉サービス事業所等の掘り起こしを強化するとともに、昨年度開設した農業専門求人サイト等を活用してマッチングを行います。 次に、サポート体制の充実については、障害のある方が現場でスムーズに作業を進められるよう、農福連携に取り組んでいる経営体や事業所等の先行事例を活用することで、作業体系や労働環境の改善に向けた取組を一層後押しします。 また、新たに農福連携の取組を希望する事業所等に対し、農林水産事務所や市町、JAが一体となって相談対応を行うとともに、必要に応じて、農地の確保や技術習得等を支援します。 県としては、本県農業のさらなる発展に向け、市町や福祉団体等と連携しながら、新たな担い手確保につながる農福連携の取組を積極的に進めてまいります。 副議長(二木健治君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)サイバー犯罪における初動対応についてのお尋ねにお答えいたします。 近年、サイバー空間における脅威は極めて深刻な情勢が続いており、県警察が受理したサイバー犯罪に関する相談は、年々増加しており、昨年は過去最多の三千九百六十七件となっております。 こうした情勢の中、県警察では、警察本部にサイバー犯罪相談窓口を設置し、専門的な知識を持った職員が電話やメールなどでの相談に対応して、必要な助言や具体的な対応方法の教示を行うとともに、内容に応じて相談者の住所地を管轄する警察署に連絡を行うなど、適切な対応に努めているところであります。 しかしながら、議員御指摘の、電話連絡の後、警察署を訪ねたが、相談者が同じ内容の説明を何度も求められたという対応については、改善を要するものであり、関係部署で速やかな情報共有を行い、当該相談に係る調査や捜査を担当する職員が対応するなど、相談者の立場に配慮した対応が必要であったと考えております。 この種事案では、被害の内容を把握するために、ログの保存や相手方の特定など、デジタルフォレンジック等の専門知識が必要であり、相談受理時における被害者の負担軽減と迅速・的確な対応を実施するためには、サイバー犯罪相談窓口をはじめ、相談を受理する全ての警察官が、サイバー犯罪への対応要領を習得する必要があると考えております。 このため、本年度予算では、情報技術解析や情報セキュリティー対策に関する研修費を盛り込んでいるところであり、こうした取組を通じて、また、部門間の情報共有を図り、議員御指摘のような対応がないように努めてまいります。 サイバー犯罪には、子供から高齢者に至るまで幅広い年代が被害に遭うおそれがあることから、県警察では、引き続き、対象の年代に応じた効果的な注意喚起による被害の未然防止、拡大防止に努めるとともに、我々自身が対応能力を高め、被害者に、被害に遭われた方々に寄り添った対応を徹底し、県民の方々から信頼され、安心して頼っていただける県警察を目指して取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)西村副教育長。 〔副教育長 西村和彦君登壇〕 副教育長(西村和彦君)高校コミュニティ・スクールの取組の充実についてのお尋ねにお答えします。 各学校が、コミュニティ・スクールの仕組みを生かし、地域と育てたい生徒像や目指す学校像等を共有した上で、地域や社会の活性化に貢献する高校ならではの取組を充実させ、教育活動の質の向上を図ることは重要であると考えています。 このため、県教委では、地域とのコーディネーターとなるコミュニティ・スクール活動推進員を全県立高校等に配置し、地域との連携・協働体制の構築・強化を図るとともに、地域連携教育エキスパートを希望する学校に派遣し、学校運営協議会において活発な議論がなされるよう支援してまいりました。 こうした支援等により、高校においては、学校運営協議会に生徒も参加し、熟議等を通じて学校や地域の課題を自らのこととして捉え、様々な関係機関と協働して解決を図るなどの取組が広がってきているところです。 例えば、お示しの新南陽高校では、新高マナビ場や新南陽OCHAプロジェクトのように、学校運営協議会での協議を踏まえた先進的な取組を展開することで、学校の教育目標の達成を図るとともに、地域の活性化にも貢献しているところであり、その他の高校においても、生徒のアイデア等に基づく様々な取組が進められているところです。 来年度は、こうした取組をさらに充実させるとともに、モデル校において総合的な探求の時間の中で、郷土への誇りや愛着を育み、生徒の豊かな学びを実現するカリキュラムの開発と実践を行い、その成果の普及に努めてまいります。 また、地域連携教育推進室を課に改組し、教育庁内の組織体制の充実を図ることにより、コミュニティ・スクールの仕組みを活用した各学校の取組を一層支援していくこととしています。 県教委といたしましては、各学校が地域と連携した特色ある取組を通じて、それぞれの教育課題を解決し、目標を達成するとともに、人づくりと地域づくりの好循環の創出につながるよう、高校ならではのコミュニティ・スクールの取組を一層充実してまいります。 副議長(二木健治君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。