1 子ども達の体験活動を通じた教育について 2 今後のAI戦略に向けた教育改革及び、教育の情報化について 3 メタバースの参入について 4 年金制度改正を契機とした女性やシニア世代への支援について 5 プラスチック資源循環の構築について 6 HPVワクチンの積極的勧奨について 7 その他
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 公明党の猶野克でございます。通告に従いまして質問させていただきます。 初めに、子供たちの体験活動を通じた教育についてお尋ねいたします。 日々、医療の最前線で患者さんと向き合い、治療に尽力されている医療従事者の皆様、感染拡大に細心の注意を払いながら、高齢者の命と暮らしを支える介護、福祉現場の皆様、感染者増による学級閉鎖や休校だけではなく、感染の不安から児童生徒たちを守り、教育現場を支える皆様、逼迫した保健所等、コロナと闘いながら社会基盤をお支えいただいている全ての皆様に心から敬意を表するとともに、深く感謝を申し上げます。 いまだ先行きが見通せないコロナによる未曽有のパンデミックは、世界の歴史を大きく変える災害級の出来事であります。 国、県、市町が全力を挙げて、感染拡大を防ぐ一方で、コロナによる傷んだ経済をどのように再生させるかという難題も抱えています。 こうした長引くコロナとの闘いは、大人だけではなく、心配されるのが、大切な幼少期・青春期を学校で過ごす子供たちの成長であります。 コロナ禍で修学旅行や運動会、音楽祭、文化祭、水泳授業、お別れ会などが相次いで中止、延期、制限されています。極力、人との接触が避けられ、社会見学や職場体験、地域と関わり合うこともなくなりました。部活動の遠征も合宿も中止。給食の時間はできる限り、おしゃべりをせずに前を向いて食べる。友達の家には遊びに行かない。子供たちが長期間、多くの体験から学ぶ機会が減ったのは紛れもない事実であります。 コロナだから、みんなが我慢して当たり前というだけでは片づけられない、とても大切な成長、発達過程の貴重な機会が奪われているように感じます。 今年度、二年ぶりの実施となった文部科学省のアンケートによりますと、学校に行くのは楽しいかとの問いに、当てはまると答えたのは小六で四八%、中三で四三・四%と減少しており、今回小学校で初めて五割を切りました。 もちろん、学校現場の教職員、関係者の皆様は、コロナ禍にあっても、何とか子供たちが喜ぶように、試行錯誤しながら、影響がないよう献身的に御苦労されているのは、私も同世代の子を持つ親として十分承知しております。それでもやはり学校現場だけで補うのは、難しいのも事実だと感じています。 運動会が縮小されたある小学校では、四年生の児童自らが企画し、独自大会を開きました。失敗しても大人の知恵も借り、何のための大会かを問い直したそうであります。学級対抗ではなく学年を三チームに再編し、足の速い子は均等に振り分け、出たい競技に出られるように事前アンケートも行いました。 様々な学校行事の目的は何で、何をやり、何はやらないのか。形を変えて行うならどうするのか。話を聞く学び、意見を言う学び、折り合って物事を決めていくプロセスの学びにつながったそうであります。大人が決めた制限の中の大会ではなく、皆で知恵を出して、考えたコロナ禍ならではの機会となったそうです。 コロナ禍において、学校での体験活動を増やすために、特別活動をどうするか、子供や保護者に投げかけ、皆でいま一度立ち止まって考えていくべきではないかと思います。 そこでお尋ねします。長期間、様々な体験から学ぶ機会を失った子供たちへの影響も懸念される中、いま一度体験活動を見直し、子供たちの育ちを支えるべきと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、今後のAI戦略に向けた教育改革及び教育の情報化についてお尋ねいたします。 二○一九年に政府が策定したAI戦略二○一九は、これからのデジタル社会やSociety5・0の実現などを掲げる我が国において、とても重要な戦略に位置づけられています。 その戦略目的は、我が国のデジタル化の致命的な立ち遅れ、非常事態におけるデータ連携の制度不備や統治機能の不全など、社会課題の克服や世界との産業競争力を高めることにありますが、この達成に向けた具体的な取組として最初に提示されているのが教育改革であります。 これからのAI時代を生きる私たち、特に未来を担う子供たちに必要な力として、数理、データサイエンス、AIを全ての国民が学び、活用できるようにする教育カリキュラムがつくられています。 これら人材育成は、データサイエンスの活用を推進する本県の方向性にも合致し、県内企業の技術力・研究開発力の向上にも生かされる技術であります。 既に小学校では、プログラミング教育が始まり、GIGAスクール構想も前倒しされ、県立学校の生徒一人一台端末が導入されたところです。本県でも、やまぐちスマートスクール構想が打ち出され、ICT環境の活用と充実が推進されています。 今後は、年間約百万人と言われる全ての高校生がデータサイエンスやAIの基礎が学べるよう、新年度から情報Ⅰが加わり、教育現場では、情報科の教育支援強化も求められます。 この情報Ⅰは、国社数理英と同様に必修科目とされ、二○二五年の大学入試問題に課されるかも注視されています。 さらに、文系理系を問わず、年間約五十万人全ての大学生・高専生に対しても、国として数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度を構築するとされており、既に大学によっては、単位が取れる履修科目として運用が始まっています。 この国家戦略とも言うべきAI戦略実行会議の座長を務められた安西祐一郎先生に昨年直接お会いをし、懇談させていただく機会を得ました。 そこで安西先生が話されていたのは、「AI人材で育成したいのは、単に技術力のある人間ではありません。AIがあろうとなかろうと、どんな時代でも求められる人材像は主体性であり、思考力であり、感謝する心であり、実行力であります。ICTはこれらの力を伸ばす道具にすぎませんが、こうした力と技術力がなければ、AIを使いこなすことはできません」と語られておりました。AI戦略に込められた思いの一端を知ることができました。 一方、こうした教育の情報化の動きの中で、学校現場の教職員の役割と責任は大変大きなものであり、期待される反面、御負担も大きいと感じます。 高校の新学習指導要領では、ICTを使ったコミュニケーションやプログラミング、データベースの活用など、資質・能力の育成を図るための情報科目の再編となり、また各教科でも、ICTを活用して自ら情報収集を行い、それらを整理・分析したり、資料をまとめてプレゼンなどで表現したりすることが求められますが、それは専門性の高い分野であり、教員のさらなる指導力向上や人材の数がより必要と考えます。 さらに、高校生になる前の小中学校において情報活用能力を段階的に育成し、高めておく必要があり、小中学校の教育にも少なからず影響があると認識しています。 当然、今の学校環境だけで、働き方改革をしながら、新しく求められる情報教育の指導力強化の双方を実施するのは非常に困難であると思います。 校務支援システムの見直しを含め、これからの教育の情報化は、先生方の授業の助けとなり、業務負担が改善され、その先に子供たちが学びやすい環境になるように、両輪でICT化の整備を図る必要があると考えます。 その実現のために、行政はICT環境の整備を行い、学校はより高いICTの活用方法の検討と実施をしなければなりません。 さらに、今後の教育データの利活用については、将来的に、学校だけではなく、各家庭や塾、医療、大学、研究機関等の外部機関との連携をし、情報共有を図りながら幅広く汎用性を持つ必要があると考えます。 本県では、このテーマについて、まだ様々な課題が残されており、国の動向を待つ段階だとは思いますが、広く事例を集めながら、利活用に向けた検討を進めていただきたいと思います。 そこでお尋ねします。今後のAI戦略に向けた教育改革及び教育の情報化の実現は、今まさにその分岐点にあり、学校現場や教育委員会、行政の取組が非常に重要だと考えますが、県の所見を伺います。 また、先ほど申し上げたとおり、国は、大学教育、大学入試、高校教育が三位一体となった高大接続改革の議論を本格化させ、新年度高校一年生の生徒が三年生として大学入試を迎える二○二五年度からは、新学習指導要領に対応し、大学入試共通テストで新たに情報Ⅰを出題することが決定されました。 その教育改革の渦中にある当該受験生や保護者からも不安視する声が上がっていますが、県としても情報Ⅰの各大学入試への導入動向など丁寧な情報提供をはじめ、できる限りの支援をお願いしたいと考えますが、併せて県の所見を伺います。 次に、メタバースの参入についてお尋ねします。 メタバースという言葉を聞いたことがある人、何となく知っている人、全く興味ないという人も多くいらっしゃると思いますが、私たちが知ろうと知るまいと関係なく、既にデジタル上でつくり上げられた三次元の仮想空間は、私たちの想像を超えて、爆発的に広がっており、見たこともない未知のコミュニケーション空間がつくり上げられています。 私たちがふだん使っているスマートフォンに、clusterというアプリをインストールするだけで手軽に利用でき、選び切れないほど様々なバーチャル空間を体験することができます。 どれもアバターと呼ばれる自分の分身が、デジタルの立体空間で、ほかのアバターと会話を楽しんだり、音楽ライブやイベントに参加したり、ビジネス会議にも使われています。 既に、医療の分野では、医師が専用ゴーグルをかぶり、入院患者の臓器や血液の形が3Dとなって空中に浮かび、手術前に、どこにどうメスを入れて処置するかなど、医師がシミュレーションを行っています。従来では、白黒のX線画像を見て、ベテラン医師が予測し、手術で開けてみなければ分からないなど、リスクが伴いましたが、メタバースの活用で、安全かつ確実に処置ができるようになります。また、近未来ではアバター相手に若手医師が手術訓練をしたり、患者の数値情報を基に病気を予測し、シミュレーションしたりすることもできます。 メタバース世界では、三次元の立体空間で捉えられるからこそ、より自然なコミュニケーションを可能にします。 こうした昨今の技術革新により、メタバースをどのようにビジネスに活用できるかについて、多くの世界企業や日本企業が続々とビジネス参入を進めています。 国内で特にメタバース事業に力を入れているのがKDDIであります。一昨年、東京渋谷の町をメタバース上で再現した渋谷区公認のバーチャル渋谷を公開しました。これまでハロウイーンのイベントや、サッカー日本代表戦のパブリックビューイングなどをメタバース上で実施して、延べ百万人を集めました。 県内には、プロ野球のカープファンがたくさんいらっしゃると思いますが、今年野球観戦やファン同士の交流をメタバース上で行う新企画、メタカープも発表されました。 今後、世界のメタバース市場規模は、代表質問で上岡県議が述べたとおり、僅か六年で百兆円まで拡大し、いずれSNS四十二億人ユーザー数を超えるとまで予想されています。 私は、こうしたメタバースの活用に本県も積極的に参入すべきだと考えております。 大阪府では、全国に先駆けて、本格的にバーチャル大阪を立ち上げ、二○二五年大阪・関西万博の機運醸成、万博後の活用も見据え、民間に運営を委託する動きを見せています。 バーチャル大阪で観光名所を再現したり、中小企業の技術をアピールしたりして第二の大阪をつくり、万博後のレガシーにもなると期待を寄せています。 先ほど紹介したclusterの中にもバーチャル広島市という世界もあり、今後バーチャル○○という都市の参入はトレンドになると予想されます。 昨年十二月、我が公明党会派も、最新のメタバース情報を持つKDDI、東急、みずほリサーチ&テクノロジーズ、渋谷未来デザインの四社と今後のメタバースの可能性について、協議、視察してまいりました。 そこで、専門家から、バーチャル都市形成は、既に都市として知名度の高い渋谷や大阪に限らず、どの都市にも大きな可能性を秘めていますと語られていました。 さらに、メタバースの世界は、現在の都市を模倣するだけではなく、仮にバーチャル山口をつくる場合、萩城があった千六百年代の古きよき山口を映し出すこともできます。国宝瑠璃光寺五重塔の中にアバターが入り、よりリアルに体現することもできます。千年後の想像もできない近代デジタル国、山口をつくり出すこともできます。全て想像の自由を形につくり出せるのですと語られ、大きな夢と期待を持つことができました。 そこでお尋ねします。デジタル化が加速し、本県においてもDX推進が叫ばれる中、メタバースの圧倒的なポテンシャルを考えれば、本県もメタバースの参入を視野にウイングを広げ、時代の潮流に先駆けていただきたいと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、年金制度改正を契機とした女性やシニア世代への支援についてお尋ねいたします。 二○二○年五月に成立した年金制度改正法の適用が本年四月から開始されます。今回の改正では、パートなどの短時間労働者への年金適用拡大や繰下げ受給の上限引上げ、確定拠出年金の要件緩和などが含まれます。 女性やシニア世代の労働者が増加していることを受けて、多様な働き方に対応できる年金制度を目指したものです。例えば、短時間労働者の年金適用範囲を広げることにより、育児や介護でフルタイム勤務が難しい方やシニア世代の働き方においても、短時間労働という選択肢が加わります。また、受給開始時期の選択範囲の拡大や、在職中の年金支給停止の基準額の緩和により、シニア世代が仕事を続けやすくなります。 特に、新たに設けられた在職定時改定は、六十五歳以上の全ての在職中の被保険者に関わる制度で、対象者の約百五十万人分に該当すると言われています。 改正前の退職時改定では、毎月保険料を納めているにもかかわらず、六十五歳以上働いても、その効果が年金受取額として現れるのは七十歳以降でありました。そのため、シニア世代の従業員にとって、長く働いても退職しなければ年金に金額が反映されず、就労意欲がそがれる制度であると懸念されてきました。 しかし、今回の改正により、保険料の納付額を基に年金受給額が見直されることになりました。在職定時改定制度があることで、長く働くメリットを感じる方が増えると予想されます。 老後の経済的不安を抱える人が多い中、これからは、従来の定年という言葉に縛られず、仕事を続けることで金銭的不安を解消し、生き生きとした老後を目指すことができます。本県としても働き続ける生き方を応援していく試みが必要ではないでしょうか。 一方、企業にとっても、働く意欲のある人材を雇用形態にとらわれずに得ることができます。経験豊かなシニア世代や女性を採用することによって、新たな労働力の確保や生産性向上を期待することができます。 しかし、制度改正によりすぐに効果が現れるわけではなく、企業、従業員の双方に改正内容と意義が理解されるよう、積極的に周知・広報を実施する必要があります。また、相談の受付やセミナー開催、専門家派遣の仕組みを整備する必要もあります。 そこでお尋ねします。本年四月からの年金制度改正法の施行を契機とし、女性やシニアの働き続ける生き方を応援するため、県はどのように取組を進めていかれるのか、県の御所見を伺います。 次に、プラスチック資源循環の構築についてお尋ねします。 近年、海洋環境を汚染している海洋プラスチックごみ問題や、最近では軽石除去が大変問題視されています。本県では、海岸近くの地域住民がボランティアでごみを回収したり、漁業者と連携した海底ごみの回収・処理体制の確立を広げたりしてきましたが、環境問題の根本解決に至っておりません。 本年四月からプラスチック資源循環促進法が施行予定となっていますが、この法律は、プラスチックについて、単に捨てる量を減らそうではなく、捨てることを前提としない経済活動をしようとしているところが特徴であります。 本法律施行の背景には、前段申し上げた環境問題の深刻化や諸外国による廃棄物輸入規制強化の高まりがありますが、中でも海洋プラスチック問題は世界規模で注目され、SDGsにも該当する解決すべき課題に上げられています。 使用後廃棄されたプラスチックが適正に処理されないと、海へ流出、漂流しますが、プラスチックは数百年間も自然分解せずに残ると予測されています。 日本は、二○一九年の使い捨てプラスチックの総廃棄量が世界第四位で、世界的に見ても多くのプラスチックを消費・廃棄している国であります。しかし、諸外国は続々と輸入規制が強化されており、今後、日本は、これまで以上に責任を持って国内処理と脱プラスチックを推進するよう求められてきます。 本法律に特定プラスチック使用製品を提供する対象事業者は、小売業、宿泊業、飲食店、洗濯業などが該当します。これら事業者からは、今後求められる使用の合理化に対して、できる限り協力はしたいが、難しいところもあるとする声も寄せられており、加えてコロナ禍により売上げのダメージを受けた業界ばかりであります。 さらに、課題となっているのは、これらプラスチック使用製品の廃棄物をまとめて家庭から収集、リサイクルする市町等の動きであります。 環境省の調査では、施行後五年以内に一括収集の実施を検討している市町等は約一割と見られ、追加費用が生じることなどが理由で、慎重姿勢を見せています。 国はこうした状況から、新たに特別交付税措置を設けて市町等の取組を支援すると発表しました。財政的な負担を軽減することで、積極的なプラごみのリサイクル実施を促すとの見解ですが、それがどこまでの効果を示すか未知数であります。 三方を海で囲まれた本県にとって、海洋プラスチックごみから海を守り、海からの大切な恵みを後世に引き継ぐためには、市町、事業者など社会全体で取り組んでいかなければ、プラスチック資源循環の構築は前に進みません。 そこでお尋ねします。本県の美しい自然環境を守り、プラスチック資源循環の社会を構築していくために、本県としてどのように取り組まれるのか、県の御所見を伺います。 最後に、HPVワクチンの積極的勧奨についてお尋ねいたします。 以前、一般質問でも申し上げたとおり、今も年間約一万人近くの女性が子宮頸がんにかかり、約二千八百人もの女性が亡くなっています。国は一昨年と昨年の二度にわたり通知を発出し、各市区町村にHPV定期接種対象者へ情報提供の徹底を求めました。 しかし、厚生労働省から、やむを得ない事情がある場合を除き、個別通知とし、確実な周知に努めることと通知があるにもかかわらず、一部市町によっては、いまだ個別通知、郵送通知ではなく、学校を経由した通知にとどまっていることは問題だと考えております。 こうした中、昨年の厚生労働省の専門部会では、HPVワクチンの安全性や効果などを検討し、勧奨を妨げる要素はないと結論づけ、各都道府県に積極的勧奨を再開することが正式に通知されたところであります。 本県においても、今日に至るまで、私ども公明党に対して、医師会や小児科医会、接種機会を逃した市民などから、HPVワクチンの積極的勧奨再開を求める要望が大きくなっていました。 郵送による個別通知により、一人一人確実に情報が直接届けられることで、接種率が高まるとされていますが、本県においても、市町ごとに勧奨対応が異なるのではなく、全ての対象者に個別通知するよう市町に働きかけていただきたいと考えます。 さらに、定期接種の対象年齢を過ぎてしまった高校二年生以上の保護者からの相談も増えています。 二○一三年以降、積極的勧奨の差し控えにより、本県でも対象者への個別通知を取りやめました。そのため多くの対象者が必要な情報を得ることもできず、接種機会を逃してきました。 厚生労働省の専門部会では、積極的勧奨差し控えにより接種機会を逃した方への対応としてキャッチアップ接種について議論され、定期接種年齢を過ぎた高校生や大学生相当の女子も追加公費での接種対象にする方向で一致しております。今後救済する対象年齢等について議論され、新年度から接種が始まる見通しと報道されています。 そこでお尋ねします。制度の趣旨を踏まえ、全対象者に対し、国の方針が変わったこと及び積極的に接種をお勧めする旨の丁寧な案内を速やかに郵送通知でお届けするべきと考えます。 また今後、国のキャッチアップ制度が導入された際には、接種機会を逃してしまった全ての対象者にも、国の方針変更と新たに接種機会が確保されたことを速やかに個別通知で確実にお届けするべきと考えますが、県の御所見をお伺いします。 以上で一般質問を終わります。 御清聴、ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、メタバースの参入についてのお尋ねにお答えします。 私は、現在進めているやまぐちデジタル改革をさらに加速していくためには、日々進化するデジタル技術の動向を的確に把握し、改革の取組に迅速かつ効果的に取り入れていくことが非常に重要と考えています。 とりわけ、お示しのメタバースについては、インターネット上に三次元の仮想空間をつくり、現実世界に近い形での活動を可能にするものであり、国内外の大手IT企業が新たなビジネスチャンスを狙って続々と参入している、今最も注目すべき最先端のデジタル技術の一つであると認識しています。 今後、急速な技術発展と利用拡大が見込まれ、観光をはじめ、産業振興や福祉、教育など、幅広い分野で、これまでにはないビジネスやコミュニケーションを生み出し、新たな価値を創出する大きな可能性を有していることから、本県においても、その活用が不可欠なものになると考えています。 こうした考えの下、県下の様々な主体と各分野における将来のメタバースの活用をしっかりと見据えながら、まずは、メタバースへの知見を深め、利活用の促進を図る取組を、DX推進拠点「Y─BASE」を核に進めてまいります。 具体的には、今月、「Y─BASE」を中心に開催する最先端技術の普及啓発を図るイベントで、メタバースをテーマとして取り上げ、マイクロソフトなどの先進企業のセミナーや、仮想空間を体感できるアプリとその装置となるVRゴーグル等を紹介する体験会などを行うことにしています。 また、「Y─BASE」においては、引き続き、メタバースの関連装置などの展示や、最新の技術動向に係る情報提供を行うとともに、官民協働フォーラムによる仮想空間でのイベント等も企画し、県内企業や行政機関等のメタバース参入に向けた環境づくりを進めてまいります。 さらに、私は、県におけるメタバースの活用についても、積極的に取り組んでいきたいと考えています。 このため、私自らもメタバース等の先端技術をテーマとしたCIO補佐官とのミーティングや先進企業の視察を行い、技術動向やその可能性をしっかりと把握し、CIO補佐官の助言も得ながら、県の取組における効果的な活用手法等について検討を進めてまいります。 また、庁内での理解促進を図るため、デジタル推進局が中心となり、関係部局を対象としたメタバースの体験会や、VR等の関連技術をテーマとする職員向けセミナー等を実施しており、こうした取組を一層進め、メタバースの導入に向けたアイデアの創出等を図っていきたいと考えています。 私は、デジタル技術の新たな潮流にしっかりと目配りをしながら、今後もやまぐちデジタル改革を、全国をリードする取組とできるよう、メタバースへの参入をはじめ、県政の各分野における最先端のデジタル技術の導入に、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)平屋副知事。 〔副知事 平屋隆之君登壇〕 副知事(平屋隆之君)プラスチック資源循環の構築についてのお尋ねにお答えします。 様々な製品に使用されるプラスチックは、日常生活の利便性を高める一方で、海洋プラスチックごみ等による環境汚染にもつながることから、その排出抑制や再資源化は重要な課題であります。 このため、県では、プラスチックごみの削減に向けて、買物の際のマイバック持参など、県民総ぐるみの運動を展開するとともに、市町と連携した分別回収やリサイクルの促進、循環型産業の育成等に取り組んでいるところです。 今年度においては、市町や事業者等と連携をし、海岸清掃活動で回収されたポリタンクを原料に買物籠を製作し、県内の店舗で活用していく、こうした新たな資源循環の取組も推進しています。 こうした中、本年四月に施行されるプラスチック資源循環促進法では、スプーン、ストローなどの使い捨てプラスチック製品を無償で提供する事業者は、その削減に向けて、有償での提供や代替素材への転換などが求められています。 このため、県としては、こうしたプラスチック削減の取組が進みますよう、新年度から、事業者の取組を積極的に支援していくこととしています。 具体的には、飲食店等で提供されるプラスチック製ストローを紙製等に代えていくモデル事業を行い、取組における問題点や対応策等を取りまとめて事業者に提供することで、各事業者による円滑な実施につなげてまいります。 また、プラスチックごみの削減に積極的に取り組む事業者を、新たにやまぐちプラごみ削減パートナーとして登録をし、ホームページやSNS等で広く発信することにより、事業者を支援してまいります。 こうした一方で、事業者が取組を進めるに当たっては、サービスの受け手となる県民の理解と協力が不可欠であることから、本年一月に配信を開始したぶちエコアプリを使って、あるいは各種イベント等の機会も活用しながら、県民の理解促進を図っていくこととしています。 また、お示しの一括収集も含め、家庭から出るプラスチックごみの分別収集に向けた市町の取組が促進されますよう、国の支援策等について情報提供行うなど、市町への必要な支援・助言に努めてまいります。 県としては、今後とも、持続可能な循環型社会の形成に向け、県民や事業者、市町等と一体となって、プラスチックの資源循環の構築に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)年金制度改正を契機とした女性やシニア世代への支援についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や少子高齢化が進む本県において、企業が人材を確保し、持続的に成長・発展していくためには、高齢者や女性の就業を支援し、希望に応じて働き続けられる環境づくりを進めていくことが重要です。 このため、山口しごとセンターにおいて、高齢者や女性を対象としたキャリアカウンセリングなどを行い、本人の希望や能力、経験などを踏まえた就業支援を実施しています。 また、県のアドバイザーが企業を訪問し、短時間正社員等の多様な働き方の導入を支援するとともに、コンサルティングを通じて新たな雇用を創出し、高齢者等とのマッチングを行っています。 さらに、女性の就業を促進するため、子育て女性を対象とした託児つき職業訓練を実施するとともに、企業における女性専用トイレ等の整備費補助などを行っています。 こうした中で、このたびの年金制度改正は、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大等を図るものであり、その運用により、フルタイム勤務では体力面で不安のある高齢者や、育児等で時間的制約を抱える女性の働く意欲を高めることができるものと考えています。 こうした機運を捉え、さらなる就業促進につなげるため、働き方の新しいスタイルの導入に向けたワークショップを新たに実施し、年金制度改正の周知も図りながら、高齢者や女性が生き生きと活躍できる職場環境づくりに取り組むこととしています。 また、働く上で必要なIT知識や自分の強みを伝えるPR法等を習得するスキルアップ研修の充実を図ることなどにより、働く意欲のある子育て女性等の再就職を促進します。 県としては、今後とも、労働局等関係機関と連携し、高齢者や女性が働きやすい環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)HPVワクチンの積極的勧奨についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、積極的な勧奨についてです。 子宮頸がんの原因となるウイルスであるHPVの感染を予防するためには、ワクチン接種が有効であることから、その促進を図っていくことが重要です。 こうした中、国において、接種の安全性が再確認されたことにより、今年の四月からは、市町による接種対象者や保護者の方に対する積極的な勧奨が実施されることとなったところです。 このため、県では、一人でも多くの方にワクチンを接種していただくため、市町に対し、丁寧かつ速やかに全ての対象者等に、接種に関する個別通知を行うよう、文書で要請しているところです。 また、県ホームページにおいても、接種の必要性や安全性に関する情報を発信するなど、引き続き、市町と連携して、対象者等への確実な周知に取り組んでまいります。 次に、キャッチアップ接種制度についてです。 お示しのとおり、このたび、国においては、勧奨の差し控えにより、接種できなかった方に対し、定期接種の対象年齢を超えたキャッチアップ接種について、時限的に、本年四月からの三年間、実施する方針が示されたところです。 現在、国では、対象者等に対する周知や勧奨の方法について検討が進められているところであり、今後、具体的な取扱いが示され次第、全ての対象者等へ丁寧かつ確実に情報提供されるよう、適切に対応してまいります。 県としましては、子宮頸がん予防のため、今後とも、市町や関係機関とも連携し、HPVワクチンの接種の促進に向け、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、子供たちの体験活動を通じた教育についてです。 コロナ禍において様々な教育活動が制限されている中にあっても、修学旅行や運動会をはじめとした体験活動の充実を図り、直接自然や人、社会と関わる活動を行うことにより、子供たちの社会性や思いやりなど豊かな人間性を育むことは重要であると考えています。 また、学校における体験活動は、生活・文化体験や社会体験など多岐にわたっており、家庭や地域との連携が不可欠であることから、県教委では、全国に先駆けて全ての公立小・中・高等学校等に導入したコミュニティ・スクールの仕組みを活用し、体験活動の見直しや充実を図っているところです。 具体的には、学校運営協議会において、地域住民、保護者、教職員、児童生徒がそれぞれの立場で意見を交わしながら、様々な制約がある中でも、より効果的に体験活動が実施できるよう、その目的や方法、内容の精選を行っています。 こうした取組により、例えば中止となった修学旅行の代替として、市内の史跡を巡るウオークラリーのフィナーレを、地域住民がキャンプファイヤーで温かく出迎えた事例や、児童生徒が地域の祭りに参加して地域の将来構想を発表し、ユーチューブで配信した事例など、各学校において地域の特性を生かし、工夫を凝らした様々な体験活動が展開されています。 県教委としましては、今後も、コミュニティ・スクールの仕組みを生かした特色ある体験活動を一層推進し、市町教委と連携しながら、各学校の教育活動の質を高め、子供たちの豊かな心や創造性の育成に努めてまいります。 次に、今後のAI戦略に向けた教育改革及び教育の情報化についての二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、AI戦略に向けた取組についてです。 国のAI戦略では、教育改革として、数理、データサイエンス、AIの基礎などの必要な力を育むため、教育環境の整備やAIで地域課題等の解決ができる人材の育成などに取り組むとされています。 こうした国の動きにも呼応し、県教委では、一人一台タブレット端末の導入など、全国に先駆けてICT環境を整備したところであり、小中学校においても整備が進んでいます。 この環境を活用し、教育活動の充実を図るため、県のデジタル改革基本方針にやまぐちスマートスクール構想の推進を掲げ、知事部局とも連携しながら、デジタル人材の育成や教育データの活用などに取り組んでいます。 まず、デジタル人材の育成では、プログラミング技術等を競う高校生ICT活用コンテストや、AIなどの高度な知識や技術を学ぶ高校生データサイエンティスト育成講座を開催し、高校生のICTスキルの向上や、トップレベルの人材の育成を進めています。 また、教育データの活用については、県CIO補佐官から助言や提言を頂きながら、教育の質の向上や教育課題の解決を図るためのデータ活用の仕組みづくりを検討しているところです。 こうした取組を進める上では、教員の負担軽減を図ることが重要であることから、統合型校務支援システムのさらなる導入に加え、来年度、学校での技術的課題などに対応するやまぐちスマートスクール運営支援センターを新たに設置し、教員の支援を行ってまいります。 次に、情報Ⅰへの対応についてです。 来年度から実施される高等学校の新学習指導要領では、プログラミングや情報デザインなどを学ぶ情報Ⅰが新設されるとともに、二○二五年以降の大学入学共通テストに追加されます。 このため、県教委では、情報科担当教員を対象とした研修会などを継続的に開催し、専門性の向上や情報Ⅰの授業準備、大学入試等への対応に向けた支援に取り組んでいます。 また、来年度、新たに大学等と連携して、近年授業を担当していない情報の免許を持つ教員を対象とした基礎講座や、専門的なプログラミング等を学ぶ発展講座を開催するなど、教員研修を充実してまいります。 さらに、情報Ⅰの概要や大学入試の動向などをまとめたリーフレットを作成し、一人一台タブレット端末を活用して広く周知することにより、生徒や保護者の不安の軽減に努めてまいります。 県教委としましては、Society5・0時代を担う人材の育成に向け、やまぐちスマートスクール構想の一層の推進を図るとともに、新年度から始まる情報Ⅰの円滑な実施に向け、指導体制の充実や情報発信に積極的に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十一分休憩