1 知事の3期目の県政運営について 2 コロナ下での社会経済活動の再開について 3 産業戦略の推進について 4 医療提供体制の強化について 5 教育行政について 6 警察行政について
───◆─・──◆──── 諸般の報告 議長(柳居俊学君)この際、諸般の報告をいたします。 報告事項は、お手元に配付のとおりでございます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 友広巌君。 〔友広巌君登壇〕(拍手) 友広巌君 皆さん、おはようございます。自由民主党の友広巌です。令和四年二月定例会に当たり、自由民主党会派を代表して、県政の諸課題について、知事、教育長及び警察本部長に質問をいたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 先月二十四日、ロシアのプーチン大統領は、国際社会の反対を押し切り、隣国ウクライナに対する軍事攻撃に踏み切りました。さきの本会議でも、抗議決議が採択されましたが、れっきとした主権国家に対する明白な侵略行為であり、東西冷戦後の国際秩序への無謀な挑戦だと言わざるを得ず、断じて許すことはできません。県議会の動きと歩調を合わせ、県内の多くの市町議会においても、同様の抗議決議が次々と採択されています。 侵攻開始後のロシアは、停戦協議のテーブルに着きながらも、一方では、軍事攻撃をやめることはせず、ウクライナの非軍事施設への攻撃を増加させるなど、侵略の度合いを一層強めています。 これに対し、国際社会では、我が国を含む関係国がロシアに対して厳しい経済措置、制裁措置を科すとともに、三月二日の国連総会の臨時特別会合でも、欧米や日本など合わせて百四十一か国が賛成し、ロシアを非難する決議が採択されるなど、ロシアの国際的な孤立が深まりつつあります。 我々は、自由民主主義陣営の一員として、プーチン政権に対し、断固たる制裁による重い代償を払わせ、その軍事、政治的野望の達成を阻止することに全力を挙げて取り組む必要があります。 力による現状変更が国際社会で通用しないことを、侵略者に突きつけることができなければ、今後、世界中で同様の事態が起こりかねません。台湾や尖閣諸島周辺で挑発行為を続け、今回のロシアによる軍事攻撃を侵略だと認めない中国、また、間隙を縫って弾道ミサイルを発射した北朝鮮の動向からも、こうした事態が、日本を含む東アジアにおいても例外でないことは明らかです。 核兵器をちらつかせ、圧倒的な軍事力による一方的な現状変更の試みに直面した今、自国の領土は自らの手で守り抜くという覚悟はもちろんのこと、日米同盟を基軸とした国際連携のさらなる強化を進めていく必要があることを、改めて痛感をしたところであります。 さて、昨年以降、県内でオミクロン株に起因したコロナ感染が急拡大する中で選挙戦となりましたが、村岡知事におかれては、圧倒的な得票率により、三選を果たされました。まずもって心からお祝い申し上げます。 このたびの知事選挙は新型コロナ対応のため、候補者本人が遊説を控えるという異例の選挙戦となりました。選挙期間中、村岡候補の思いを直接聞きたかったという県民の意見も頂いたところではありますが、私ども自由民主党県連が総力を挙げて戦い、党推薦、村岡嗣政候補の圧倒的な勝利につなげることができたと確信をしているところです。 これからの四年間、村岡知事におかれましては、まずは当面するコロナの危機を乗り越えるとともに、山口県の明るい未来をつくり出すだめの挑戦をし続けていただきたいと考えております。 我が会派といたしましても、県政における最大与党として、知事の県政運営をしっかりと支え、安全で安心して暮らせる、未来に希望が持てる山口県を築き上げるよう、全力を挙げて取り組んでまいる決意であることを申し上げ、通告に従い、質問をさせていただきます。 初めに、今期の県政運営についてお尋ねをいたします。 村岡県政もいよいよ三期目に入りました。これからの四年間の県政運営について、県民の負託を受けられたわけであり、今期は、これまで以上に山口県の発展に向けて、村岡県政が何を成し遂げたかが問われる大切な四年間となります。我が党としても、本県の未来に対する責任をしっかりと果たしていく所存です。 その極めて重要な三期目の県政運営について、知事は、さきに公約でも掲げられた、新型コロナから県民の命と暮らしを守り抜く、地域経済再生にしっかりと取り組む、三つの維新をさらに進化させ山口の新たな未来に向けた県づくりを前に進めていくとの三つの方向を示されました。 コロナ禍はいまだ収束せず、医療・福祉現場で働くエッセンシャルワーカーの皆さんや飲食業をはじめとした多くの事業者の方々の切実な声を県政に届けてきた我が会派としましても、こうした方向を評価をしておりますが、まずは目の前にあるコロナ対策と地域経済の再生に、先手先手の対策を講じながら、しっかりと取り組まれるよう、改めてお願いをいたします。 他方、本県を含め、我が国は人口減少、少子高齢化がやむことなく進行しており、その中にあって、いかにして質の高い経済社会を維持し、さらに発展をさせていくかという大きな命題を抱えています。これにどのような道筋をつけていくかが国にも地方にも問われ続けているのです。 知事が掲げられた山口の新たな未来づくりに向けては、こうした状況の中で、知事が本県の未来にどのようなビジョンを持っておられるのか、今期で解決しようと考える課題や、特に力を入れていく政策は何かを県民の皆さんに伝え、共感を持ってもらうことが何よりも重要です。 また、国の進めるデジタル田園都市国家構想や人への投資などともしっかりと連携しながら、力強く成長する地域経済、社会への変革に取り組んでいかなければなりません。 そのためには、知事のビジョンを、乗り越えるべき課題を県政の新たな指針として形にし、県民にしっかりと示すことが必要と考えます。人口減少の克服をはじめ、様々に変化する県政課題に対して、知事のリーダーシップにより、分野を超えて英知を結集し、デジタル改革などをてことして、山口の新たな未来に向けた確かな道筋をつけていただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。三期目のスタートに当たり、今後の県政運営の基本的な考え方と、その一年目に当たる令和四年度当初予算の考え方について、併せて御所見をお伺いをいたします。 次に、コロナ下での社会経済活動の再開についてお尋ねをいたします。 最近の経済情勢を見ますと、日銀下関支店による企業短期経営観測調査によれば、昨年十月から十二月にかけての業況判断は、製造業、非製造業ともに改善しました。中でも、宿泊・飲食サービスなどの非製造業の改善具合が大きく、これは、四度目の緊急事態宣言が昨年九月末の期限で全面的に解除されたことで、外食や旅客輸送などのサービス消費が大きく伸びたことが影響したものです。 これからは、感染拡大が収まり、経済活動も次第に回復していくと思われていましたが、本年一月以降には、感染力の高いオミクロン株が猛威を振るい始め、本県をはじめ全国各地で、まん延防止等重点措置が適用される事態となりました。 飲食店では、会食自粛の広がりにより、新年会のシーズン需要を失い、歓送迎会など先の需要についても見通しが立たない状況となっています。酒・食材等の納入業者や生産者、タクシーや運転代行業などの関連事業者も同様です。 また、旅行業、宿泊業、運輸業は、コロナ禍以前の水準への回復がままならない中、何度もキャンセルが相次いで、不況のどん底からはい上がれていません。 寄せては返す波のように繰り返される新型コロナウイルスの影響により、県内の飲食や観光をはじめとした事業者は、依然として大きく疲弊をしております。我が党にも、先行きを不安視する声、国や県など行政のさらなる支援を求める声を多く頂戴をしております。 先般、国においては、事業規模約七十八・九兆円のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策が決定され、感染対策やポストコロナを見据えた地方創生に向けた臨時交付金の措置など、総合的な経済対策により、コロナ禍で傷んだ経済を立て直し、成長軌道に乗せる方針が打ち出されました。 本県においても、これまで時短営業を余儀なくされる事業者への協力金や売上げが減少する事業者に対する支援金が措置されてきました。このたびの当初予算案においても、コロナ禍に対応した活動を行う事業者への支援や需要喚起策など、我が党の要望を通じてお届けをした事業者の声をしっかりと受け止められ、本県経済の回復に向けて、現状下で必要な様々な支援策を計上されています。 今後は、三回目のワクチン接種の進展に応じた経済の回復を大いに期待をしていますし、そのためにもまずはしっかりと感染防止対策の徹底を図ることにより、県民に安心・安全を提供していくことが重要となります。 こうした中、本県では、一月下旬から新規感染者数が減少傾向に転じ、先月二十日をもって、まん延防止等重点措置は解除されました。これからは、疲弊した事業者の事業継続から回復軌道に乗せていくため、官民一体となった需要喚起策を展開し、民需主導の力強い本県経済の発展的再生を図ることが重要であると思うのです。 そこでお尋ねをいたします。感染拡大のリスクを適切に管理しながら、一日でも早く通常の社会経済活動を再開し、コロナ禍で傷んだ地域経済を回復させる必要がありますが、今後、どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、産業戦略の推進についてお尋ねをいたします。 村岡知事は、平成二十六年二月に就任されて以来、我が会派も強く推進してきました産業力の強化を、県政運営の重要な柱として位置づけ、県独自の産業戦略を構築し、推進してこられました。 その結果、道路や港湾など産業を支えるインフラの整備をはじめ、これらの充実した産業基盤と相まった企業誘致が着実に進んできました。 医療・医薬品分野では、医薬品生産額が二〇二〇年には四千七百六十八億円と、就任時点から約二・四倍に増加し、さらに新規雇用の創出は五千人を超えています。 こうした産業戦略の推進により、本県経済の基盤をしっかりと支えてこられたことを、我が会派としても高く評価をしています。 一方で、本県産業を取り巻く環境は四年前とは様相を異にしています。デジタルトランスフォーメーションの加速、脱炭素化の潮流、米中対立に伴うサプライチェーンの分断や緊迫する国際情勢、資源高騰など、時代の大きなうねりを感じるほどに、不確実な要素が多く存在しています。 とりわけ、脱炭素化への対応は、我々も繰り返し述べてきましたように、石炭火力の活用度合いが大きい基礎素材型産業や排ガス規制に直面する自動車産業が基軸をなす本県産業にとっては、極めて影響が大きい課題です。また、農林水産業や中小企業にも影響のある幅広い課題でもあります。 現在、特別委員会の提言が取りまとめられているところですが、自民党会派としても、地元産業界の実情が県の政策や国への要望に反映されるよう、引き続き、しっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。 こうした様々な不確実性の中でも、本県の基幹産業は海外需要を取り込みながら、その高い品質と技術力で業績を伸ばし、多くの雇用を維持しています。この力強い産業力が本県の経済社会発展のエンジン役であることは、三期目の村岡県政においても変わりはありません。 様々な企業がDXや脱炭素化への対応などに果敢に取り組まれ、直面する課題を乗り越えようとされています。競争環境が大きく変化をしている中にあっても、県内産業が競争力をさらに高めていけるよう、県としても、その現状に寄り添った実効性のある産業戦略を講じていかなければなりません。 産業インフラの整備や企業集積などの成果をさらに伸ばしながら、生産性の向上や成長分野への投資、イノベーションの促進に、時代の変化も見据えてしっかりと取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねをいたします。脱炭素化への対応など、本県産業が直面する大きな課題を乗り越え、本県産業がさらに成長するための産業戦略の推進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いをいたします。 次に、医療提供体制の強化についてお尋ねをいたします。 昨年末から、オミクロン株による感染拡大では、第五波のデルタ株を大きく上回る感染者・療養者が発生するなど、瞬く間に県下全域に拡大し、本県では初めてのまん延防止等重点措置が適用されました。 県における集中対策や医療従事者をはじめとした関係者の皆様の御尽力により、第六波感染拡大は収束に向かってはいるものの、コロナとの闘いは今後も長期化が想定され、引き続き予断の許さない状況が続いています。 こうした中、これまで幾度とない感染拡大により、本県における感染症医療・救急救命医療等の専門人材の育成やICUの整備の必要性・重要性を再認識させられました。加えて、多様化・高度化する医療ニーズへの対応、高齢化の進行等を背景とする循環器系・呼吸器系の疾病の増加、僻地の医師不足等、乗り越えるべき様々な課題が積み重なる中、県民が健康で安心して暮らしていくためには、本県の総合的な医療提供体制の強化が、これまで以上に求められています。 昨今のコロナ感染症の対応において、県立総合医療センターは、県内唯一の第一種感染症指定医療機関として、全県からのコロナ重症患者等の受入れを行ってきました。また、重症化を抑える効果が期待をされる抗体カクテル療法の専用外来を県内で初めて開設・運営するなど、県民の命と健康を守る医療を最前線で提供をしています。 さらには、県立総合医療センターは、総合周産期母子医療センターや基幹災害拠点病院、救命救急センター、地域がん診療連携拠点病院としての役割を担うなど、他の医療機関で担うことが困難な高度専門医療や不採算医療などに対し、積極的に取り組んでいます。 また、医師派遣による僻地医療の支援や専門医・総合医の育成など、地元のみならず、県域全体の医療を支える中核的な役割を担っています。 本県の医療提供体制のさらなる強化に向けては、県立総合医療センターが持つ機能を一層強化をする必要があることは、言うまでもありません。 しかしながら、昭和五十八年に竣工した本館棟は老朽化が著しく、繰り返しの修繕も限界を迎えています。併せて、救急棟や周産期棟など、増改築等により狭隘化も進行しており、新たな施設の建築や駐車場スペースなどの確保等も困難な状態となっています。 県立総合医療センターが本県医療の中核的役割を果たし、医療提供体制の強化に向けた取組を加速化させるためには、早期建て替えを進めることが不可欠です。 こうした状況を踏まえ、私ども自民党県連では、県立総合医療センターの建て替えによる感染症対応をはじめとした医療提供機能、医療人材育成機能の強化を、超重点要望として位置づけ、去る一月十一日、村岡知事に対し要望を行ったところです。 知事におかれては、私どもの要望をしっかりと受け止められ、県立総合医療センターのさらなる機能強化に向けた検討を行い、基本構想を策定するための経費をこのたびの当初予算に計上されました。 今後は、関係者や専門家等の意見を踏まえながら、スピード感を持って検討を進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねをいたします。本県の医療提供体制の強化に当たっては、県立総合医療センターが本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点、専門医・総合医の育成等の中核的な役割を果たせるよう、県立総合医療センターの建て替えによる機能強化を早急に進めていく必要があると思いますが、県は医療提供体制の強化について、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、教育行政についてお尋ねをいたします。 いわゆるSociety5・0時代の到来により、昨今、あらゆる場面でデジタル化が急速に進み、それに伴い産業構造や社会システムなど、社会の在り方そのものが大きく変化しつつあり、その変化は今後もさらに加速することが予想されます。 これからの時代を担うこととなる全ての子供たちには、変化に対応し、予測不可能な未来社会を力強く生きていくための教育を進めることが重要となります。 こうした中、本県では、国のGIGAスクール構想の前倒し等を背景に、全国に先駆けて一人一台端末の準備を進め、今年度から全ての県立学校においてICTを利活用した教育に取り組まれています。 現在、本県の学校現場では、先生からの出題に対して生徒が端末で回答し、その回答が電子黒板に一覧で表示されるとともに、その内容をクラス全員で共有しながら先生が解説するなど、ICTの活用により、一昔前では考えられなかった教育活動が行われております。 また、何度も流行を繰り返す新型コロナウイルス感染症により、学級・学年閉鎖や臨時休業等の措置を伴い、やむを得ず登校できない状況に至った場合にも、一人一台端末を活用して自宅で学習を継続するなど、子供たちの学びを止めないための取組も進められています。 このように、本県教育においては、ICT環境が整備をされ、学びの現場にICTが導入されましたが、これで全ての取組が完了するものではありません。重要なのは単に整備をすることではなく、教育の充実に向けてどう活用していくかであって、これから真価が問われることになります。 こうした中、先月、国においては、次期教育振興基本計画の策定について、村岡知事も委員を務めておられる国の中央教育審議会に諮問されました。その中においても、今後迎える超スマート社会を念頭に、オンライン教育を活用する観点からのデジタルと従来の対面授業などのリアルを最適に組み合わせた教育等の必要性が指摘されています。 また、先日示された、本県における県立高校将来構想の最終案の検討資料では、教育活動の充実に向けて、これまでの教育実践とICTのベストミックスによる授業改善などをはじめとした、ICTを活用した教育の推進が掲げられ、ICTを活用した教育を一層充実させていくこととされています。 ICT環境の整備が進んだ本県では、まさにこれらを真に実現できる優れた環境を有しており、少子化が進む中にあっても、本県の将来を担う人材の育成に向けて、そのアドバンテージを生かした取組をしっかりと進めていただきたいと考えています。 そこでお尋ねをいたします。全国に先駆けて整備をしたICT環境の活用による本県教育のさらなる充実について、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 最後に、警察行政についてお尋ねをいたします。 本年一月二十六日付の人事異動により、第三十八代目の山口県警察本部長として、中西章警視長が着任をされました。中西本部長は、着任の会見において、被害者に寄り添い、変化に対応できるしなやかな組織を目指し、山口県民の安全・安心を守り抜く覚悟であると抱負を語られました。 私も一人の山口県民として、中西本部長の力強い言葉を聞き、大変頼もしく感じ、また、しっかりとしたリーダーシップを発揮していただき、県内の治安維持、県民の安全・安心を確保していただきたいと、大きな期待をしています。 県内の治安情勢に目を向けますと、昨年中の刑法犯の認知件数は、前年を下回り、交通事故発生件数についても減少を続け、交通死亡事故については昭和二十六年の統計開始以後最少件数を更新し、死者数が三十四名となるなど、一見、県民にとっては喜ばしい状況であるとも見受けられます。 しかしながら、昨年中は県警が各種対策を講じているものの、県内におけるうそ電話詐欺被害が増加をし、百八件発生、約二億七千万もの被害が発生しており、中には、警察や官公庁を名乗るものによる手口もあり、悪質巧妙化し、多くの県民が被害に遭われています。 また、先ほど申しました、交通死亡事故件数は過去最少となっているものの、交通死亡事故者に占める高齢者の割合が約六割であるなど、集中的な対策の必要性があるものと感じています。 全国的にも、列車などの公共交通機関における無差別殺傷とも言える事件や猟銃を使用した立て籠もり殺人など、住民に大きな衝撃と不安を与えた事案も発生しています。 このほかにも、虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した数や配偶者や恋人からの暴力、いわゆるDVの相談件数は共に過去最多を更新しています。また、新たな脅威としてSNSを活用した誘拐事案等、県民の安心な生活を脅かす治安上の課題が多くあり、警察庁が行った治安に関するアンケートでは、治安の悪化を感じている人の割合が六割を超えており、体感治安が悪化していることがうかがえます。 こうした厳しい情勢を踏まえ、県警察におかれては、県民に不安を与える治安課題に積極果敢に取り組んでいただき、県民一人一人が安心して暮らせるまちづくりに御尽力を頂きたいと強く願っています。 そこでお尋ねをいたします。山口県民一人一人の安全・安心を守り抜くため、今後どのように取り組まれるのか、このたび着任をされた警察本部長の御所見をお伺いをいたしまして、自由民主党会派を代表しての質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)友広議員の代表質問にお答えします。 まず、私の三期目の県政運営についてのお尋ねです。 新型コロナウイルスの影響が長期化する中、県政最大の課題である人口減少や少子高齢化も、依然として進行しています。これらの難題に引き続き立ち向かい、山口県の確かな未来を切り開いていかなければなりません。 これからの知事三期目の四年間、私は、直面するコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させて、山口県の元気を取り戻す、そして同時に、その先を見据え、本県の新たな未来をつくっていく取組をしっかりと前へ進めてまいる決意です。 そのために、まずは、いまだ収束が見通せないコロナへの対応に引き続き万全を尽くすとともに、事業活動の維持・発展への支援や需要喚起等による地域経済の回復に最優先で取り組んでまいります。 この考えの下、来年度当初予算案では、全国トップクラスの医療・療養体制と一日最大八千件の検査体制の維持、ワクチンの三回目接種の四月末完了に向けた支援など、感染拡大防止対策を強化するとともに、県民生活の安定に向けた対策のさらなる充実を図ったところです。 また、中小企業制度融資の融資枠の確保等による資金繰り支援や、これまでにない大規模な消費需要喚起策などを実施し、コロナによって傷んだ県内経済をしっかりと下支えし、力強く再生させていきます。 そして同時に、本県の新たな未来に向け、感染拡大を契機とした人々の意識や価値観の変化と、デジタル化をはじめとする社会変革の動きをチャンスと捉えて、これまで取り組んできた三つの維新をさらに進化させ、より高いレベルの安心の確保と成長の実現を目指してまいります。 このため、来年度においては、いかなるときにも県民生活の安心を確保していくことができるよう、本県医療の中核的な役割を担う県立総合医療センターの機能強化の検討をはじめ、医療・介護や子育て支援等の一層の充実を図ります。 成長の実現に向けては、全国に先駆けて取り組んでいるやまぐちデジタル改革を加速し、産業面はもとより、県政各分野でのデジタル技術の活用と社会実装を推進するほか、本県への新たな人の流れの創出・拡大や、新たな時代に対応した人づくり等の取組を強化することとしています。 こうした県づくりを前に進めていくためには、本県が目指すべき将来像を示して、施策の方向性を定め、市町をはじめとする多様な主体と思いを共有し、そして連携・協働しながら、取組を計画的・戦略的に推進していくことが重要です。 また、お示しのように、国の政策ともしっかりと連携し、デジタルによる地域活性化や本県の将来を担う人材の育成あるいは官民連携による脱炭素社会づくりなど、新たな課題にも積極的に取り組んでいかなければなりません。 このため、私は、三期目の県政運営の指針となる新たな総合計画を策定することとし、県議会での議論も踏まえながら、本年中を目途に取りまとめたいと考えています。 県政を取り巻く現状を踏まえれば、未来に向けた県づくりの挑戦は厳しい道のりが予想されるところですが、私は、将来にわたって、県民の皆様の安心・安全をしっかりと確保し、希望と活力に満ちた山口県を必ず実現する、この強い決意で、今後の県政運営に全力で取り組んでまいります。 次に、コロナ下での社会経済活動の再開についてのお尋ねにお答えします。 長期化する感染症の影響は、飲食や観光をはじめ、関連する産業など、幅広い業種の事業者に広がっており、地域経済が大きく傷んでいます。また、年明けからの感染急拡大は全国的には依然として高い水準が続いており、予断を許さない状況にあります。 こうした状況を踏まえ、私は、ワクチン接種やPCR検査の支援、飲食店におけるさらなる認証取得の促進など、感染防止対策の徹底を図るとともに、大きく落ち込んだ社会経済活動をしっかりと再開、拡大していくことが、極めて重要と考えています。 このため、来年度予算では、感染拡大に係るリスク管理を進めながら、事業者が厳しい状況を乗り越えられるよう、県内経済の下支えを図るとともに、大きく落ち込んだ需要を取り戻す様々な喚起策を強力に展開してまいります。 まず、県内経済の下支えに向けては、県制度融資の経営安定資金において十分な融資枠を確保するほか、新型コロナウイルス感染症対応資金に係る利子補給や返済計画見直しにより必要となる信用保証料の補助を継続するなど、資金繰りを支援します。 また、拡大する電子商取引市場において、大手ECサイトを利用したやまぐちフェアの開催による販路拡大や、外国人材受入れに必要となる経費の補助による安定的な人材確保などを支援し、事業の継続・活性化を図ります。 次に、消費需要の喚起に向けては、観光をはじめ、飲食や県の県産農林水産物など、様々な分野における需要を強力に喚起するため、予算総額百億円、事業規模三百億円を超える規模で支援策を実施することとしています。 まず、店舗の資金支援と消費需要の喚起を図るため、クラウドファンディングを活用し、消費者が様々な店舗のプレミアムつきチケットを購入する、頑張るお店応援プロジェクト事業について、前回同様にプレミアム率を五〇%とし、規模を三倍に拡充して実施します。 また、観光の分野においては、国の事業を活用した全国規模の需要喚起策として、旅行商品の割引やクーポン券の発行を行う「Go To やまぐち事業」を実施することにより、観光事業者の反転攻勢を強力に後押しし、観光のV字回復に向けた好循環を創出します。 さらに、飲食店や食材を提供する農林漁業者を支援するため、やまぐち安心飲食店等で利用できる、本県独自のやまぐちプレミアム食事券を販売し、飲食需要の拡大を推進します。 加えて、消費の低迷が続き、大きな影響を受けている県産農林水産物の需要回復・拡大と生産者の経営安定を図るため、県産米の増量販売や花卉、日本酒、高級魚加工品の割引販売を行うキャンペーンを実施します。 私は、今後とも、感染拡大防止対策の強化を図りながら、国の経済対策にも呼応し、官民一体となった大胆な需要喚起策を効果的に実施することにより、早期に社会経済活動を回復させ、コロナ禍で傷んだ地域経済の発展的再生に向けて全力で取り組んでまいります。 次に、産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 私は、「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要と考え、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、産業界や関係機関と一体となって、本県の高度技術や産業集積を生かした産業戦略を積極的に推進してまいりました。 この結果、港湾や幹線道路網の整備、島田川工業用水道の給水開始などの産業インフラの充実をはじめ、二百件を超える企業誘致と五千人超の新規雇用創出、医薬品原薬生産額全国一位の実現など、目に見える成果が着実に上がってきています。 一方、新型コロナウイルスを契機としたデジタル化の動きやサプライチェーンの分断リスクなど、産業界を取り巻く環境は大きく変化しており、とりわけ脱炭素の潮流は、多くのエネルギーを必要とする基礎素材型や輸送用機械関連産業が集積する本県にとって、極めて大きな課題となっています。 私は、本県産業がさらなる成長を遂げるためには、環境の変化や直面する課題への対応を、新しい時代をリードしていく好機と捉え、大胆な投資やイノベーション創出につながる企業の前向きな挑戦を全力で後押ししていく、このことが県の役割であり、これにしっかりと取り組むことが重要と考えています。 このため、まず、喫緊の課題である脱炭素化に向けては、企業が挑戦しやすい環境をつくるため、企業等との協働の下、全国的にも優位な次世代燃料の製造技術等を生かしたコンビナート低炭素化構想の策定を進めます。 また、港湾については、国際バルク戦略港湾施策を進めている徳山下松港において、バイオマスの輸入拡大を踏まえ、当面のベースエネルギーの輸入拠点港としての整備を促進するとともに、水素・アンモニア等次世代エネルギーの供給拠点化に向けたカーボンニュートラルポート形成計画の策定に取り組みます。 さらに、自動車産業における電動化シフトに向けては、電動車の分解部品を活用して、その構造的特徴やコア技術を、県内企業が専門家とともに調査・分析する場を新たに設けるなど、サプライヤーの事業転換や新素材・技術の創出等を進めることとしています。 同時に、企業の生産性向上等に大きく寄与するデジタル化に向け、引き続き5GやAI等を活用した実証に取り組むとともに、新たな補助制度を創設し、デジタル技術の実装を支援するほか、医療や環境関連など成長分野における研究開発・事業化の促進や、製造拠点の国内回帰等を踏まえた企業誘致を強力に進めていきます。 本県産業が直面する課題の克服は、決して容易ではありませんが、私は、今後予定されている県議会特別委員会の提言をしっかりと踏まえ、企業に寄り添った産業戦略を推進し、本県の経済と雇用を支える産業力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、医療提供体制の強化についてのお尋ねにお答えします。 私は、新型コロナウイルス感染症に対応する中で、何より大切な県民の命と健康を守るため、本県の医療提供体制を一層強化することの重要性を改めて強く感じています。 お示しのとおり、県立総合医療センターは、本県唯一の第一種感染症指定医療機関として、新型コロナ感染症においても、他の医療機関では対応困難な患者を受け入れ、また、救急・周産期、がん医療等高度専門医療や、僻地医療の拠点として、県全体の医療を支える中核的な役割を担っています。 今後、県民から求められる医療ニーズが、ますます多様化・高度化する中、私は、医療面におけるより高いレベルの安心を将来に向けて確保するためには、県立総合医療センターの機能を抜本的に強化し、本県の医療提供体制を万全なものとする必要があると考えています。 このため、今年度、県立総合医療センターに調査検討会を設置し、同センターの現状や課題、感染症、救急及び僻地医療等の各医療分野や高度専門医療人材の育成など、求められる機能等について、様々な観点から検討を進めてきたところです。 この検討結果を踏まえると、県立総合医療センターの機能強化のためには、高度専門医療のための医療設備の導入、今後とも起こり得る新興感染症への対応、さらには、僻地医療の充実に向けた5G環境の整備など、施設の大規模な再整備が必要です。 また、病院本館は建設後三十八年が経過し、老朽化・狭隘化が著しく進行しており、施設の修繕や増改築では限界があることも鑑みると、建て替えが不可欠であると考えています。 このため、私は、県立総合医療センターが将来にわたって本県医療の中核的役割をしっかりと果たせるよう、アクセス性や患者の受療動向等も考慮し、同センターを近隣に全面的に建て替えることを基本に、機能強化に関する基本構想を来年度中に策定してまいります。 この基本構想においては、本県の医療提供体制における県立総合医療センターの役割や医療機能のほか、建設候補地及び整備スケジュールなどを取りまとめ、また、策定に当たっては、県に外部の有識者からなる検討組織を設置し、県議会や広く県民の御意見をお聴きしながら進めてまいります。 私は、県立総合医療センターが、将来にわたって、本県の感染症医療、高度専門医療等の拠点としての中核的役割を一層果たせるよう、今後、スピード感を持って、抜本的な機能強化を進め、県民の皆様が安心できる医療提供体制の充実強化に、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君) 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 Society5・0時代が到来しつつある中、デジタルトランスフォーメーションをはじめとする社会全体の変革などに主体的に対応する資質・能力を育成するため、学校においては、ICT環境を効果的に活用して、子供たち一人一人の可能性を最大限に広げる教育が求められています。 このため、県教委では、これまで蓄積してきた教育実践とICTなどの最先端の技術を最適に組み合わせ、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実させる授業改善の推進に取り組んでいるところです。 こうした中、国においては、お示しのとおり、オンラインの活用など、デジタルとリアルを最適に組み合わせた教育の必要性を指摘しており、全国に先駆けて一人一台タブレット端末の整備を行った本県では、そのアドバンテージを、今後、どのように生かしていくのかが重要であると考えています。 こうしたことから、県教委では、やまぐちデジタル改革基本方針の「デジタル・魁プロジェクト」に、やまぐちスマートスクール構想推進プロジェクトを位置づけ、ICT環境を効果的に活用した教育活動のさらなる充実・発展を図ることとしています。 具体的には、高校生のICT活用のスキル向上を目的に、本年度実施したやまぐちICT活用コンテストを、来年度は小中学生にも対象を拡大するとともに、総合支援学校の子供たちにとって特に重要となる社会体験活動をより充実させるため、新たに、VRを活用した職場体験や公共施設の利用体験などに取り組んでまいります。 また、新たな学びの機会を創出するため、一人一台タブレット端末を用いての全県合同の課外授業や資格取得のためのオンライン講座、海外との遠隔授業など、時間と空間を超えた教育活動の充実にも努めてまいります。 さらに、誰一人取り残すことのない学びの実現に向けて、障害や疾病等により通学が困難な児童生徒に対して、分身ロボットを活用して学びの機会を保障する取組を継続するとともに、不登校等の理由により、学校で直接相談することが難しい児童生徒に対し、オンラインを活用した相談・カウンセリングを実施する取組を推進してまいります。 こうした取組を推進するためには、ICTを活用して教育活動を行う教員の資質・能力のさらなる向上が必要であることから、ファシリテーション技術やICT活用に関する教員向けの研修コンテンツを作成し、各学校で活用するとともに、独立行政法人教職員支援機構と連携して、ICT活用推進リーダー養成研修を実施することとしています。 県教委といたしましては、本県の将来を担う人材の育成に向け、優れたICT環境を最大限に活用し、新たな時代を見据えた教育の充実に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)山口県民一人一人の安全・安心を守り抜くための取組についてお答えいたします。 県内の治安情勢につきましては、議員お示しのとおり、刑法犯認知件数や交通事故件数が年々減少を続けている一方で、うそ電話詐欺被害やストーカー、DV等の人身安全関連事案については、依然として高い水準で推移しているほか、交通死亡事故に占める高齢者の割合も高く、県内の治安情勢はいまだ厳しい状況と認識しております。 県警察としては、これらの課題に組織一丸となって、的確に対応していくことが重要であると考えております。 そこで、まず、犯罪から県民を守る対策として、制服警察官による街頭活動を一層強化し、県民が身近に感じる不安の把握と解消に努めるとともに、犯罪の検挙や抑止対策を推進してまいります。 ストーカー、DV等の人身安全関連事案については、被害者の安全確保と危険排除を最優先として、関係機関と緊密に連携して対処してまいります。 うそ電話詐欺に対しては、うそ電話詐欺警戒警報の発令や最新手口などの情報発信、金融機関やコンビニエンスストアと連携した水際対策を推進するとともに、犯行グループの検挙を徹底してまいります。 そのほか、県内の小中学校、高等学校において、SNSに潜む危険性などを教養する情報モラル教室の開催により、SNSを介した誘拐事案などの未然防止に努めるとともに、事案発生時の迅速な検挙・保護活動を徹底してまいります。 また、全国で発生している公共交通機関における無差別殺傷事件など、県民に衝撃と不安を与える事件に対しても、事業者や関係機関と連携した訓練を行うなどして備えてまいります。 交通死亡事故抑止対策については、御高齢の歩行者と運転者への対策が重要な課題であると考えており、強力に推進してまいります。 私は、着任時に、敢然と悪に立ち向かう強い警察、被害者の方に寄り添う優しい警察、そして変化に対応できるしなやかな組織づくりを目指したいと申し述べました。 新型コロナウイルス対策、デジタル社会の広がりなど、社会情勢が大きく変化する中で、県民の期待と信頼に応える、強く、優しく、しなやかな警察を構築するべく、全力で取り組んでまいりますので、皆様方の御理解、御協力をよろしくお願いいたします。