1 施策の実現とデジタル化の加速化について 2 新型コロナワクチン接種について 3 流域治水をはじめとした防災減災対策について 4 スマート農林水産業の推進について 5 18歳成人に向けた主権者教育、消費者教育について 6 特殊詐欺被害防止について
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 おはようございます。公明党の上岡康彦でございます。会派を代表して質問をいたします。 質問の前に、まず、村岡知事、三期目の御当選おめでとうございます。推薦いたしました公明党といたしましても、党員の皆様に全力で応援をしていただきました。コロナで大変なときのリーダーとして、御苦労も多いと思いますけれども、これまでどおり、若さと行動力で新しい時代を切り開いていただきたいと思います。公明党も応援いたしますので、どうぞよろしくお願いをいたします。 では初めに、施策の実現とデジタル化の加速化についてお伺いいたします。 令和四年度予算規模は、対前年度比四・四%、三百三十四億円増の七千八百六十二億四千四百万円となりました。二年連続で総額は増加し、過去十年で最大規模の予算総額とはなりましたが、知事の選挙公約でもありました、山口の元気を取り戻し、山口の新しい未来をつくるとの決意みなぎる予算だと評価しております。引き続き、再生と新たな挑戦へのかじ取りを、どうぞよろしくお願いをいたします。 令和四年度も様々な困難に立ち向かい、困難を突破するための知恵と工夫が盛り込まれております。公明党県議団として、一月に令和四年度の予算編成について要望を行ったところですが、公明党山口県本部として毎年十一月に県内の各種団体から政策要望をお聞きしておりますので、頂いたお声を反映し、百二十項目に及ぶ予算要望書を提出させていただきました。我々公明党からの要望についても、随所に新たに取り組む施策や予算の拡大に反映していただいておりますこと、感謝申し上げます。 また、あまりにも長期化するコロナ禍にあって、県民の健康を守り抜き、傷んでしまった県内経済を立て直し、産業基盤を強化するためにデジタル化の推進を図るなど、昨年に続き、今回の予算編成も大変に御苦労されたことと思います。 村岡知事自らも当初予算編成の説明で、コロナ禍の危機を乗り越え、安心で希望と活力に満ちた新たな山口県の未来づくりへ挑戦するための予算であると位置づけられ、政策の骨子たる三本の柱について説明をされました。 その一つ目の柱は、コロナの危機から県民を守るための取組であり、感染拡大防止対策や検査体制の確保、医療提供体制の強化など、医療・福祉を中心に安心・安全の県民生活への取組です。 二つ目の柱は、まさに経済対策であり、実際にコロナ禍での影響を受け続け、資金繰りもままならない県内中小企業への資金援助や、飲食をはじめとした消費需要の喚起対策など、本県独自の取組についても紹介されました。 そして三つ目の柱は、新たな山口県の未来づくりのためのデジタル社会実現に向けた取組であります。デジタル技術を駆使して生産性の向上や業務の効率化、医療や建設現場での遠隔操作などによるサービスの向上、そして企業のイノベーション創出による市場の拡大と、持続的成長を図るための取組を御説明されました。 様々な政策が縦横無尽に展開されており、その要はデジタル社会の実現にあるということがよく分かります。 政策の三本柱をつなぎ合わせているのもデジタル化であります。例えば、経済対策の中で、コロナで壊滅的な影響を受けた観光事業者を支援するため、「Go To やまぐち事業」や、やまぐち観光振興支援パッケージなど、消費需要対策が盛り込まれV字回復を図るとされています。お財布に優しいクーポンやプレミアムも非常に大事な施策であります。 一方で、私はデジタルを駆使した観光アピール、山口県の魅力がよりリアルに体験できる、メタバースと呼ばれる仮想空間サービスを利用するなどして情報発信することにより、一層需要の喚起を起こさせ、観光業を大きく後押しすることも可能だと思っております。 メタバースについては、猶野議員の一般質問で詳細は任せることにいたしますけれども、六年後には百兆円規模のマーケットになるとも言われており、仮想空間に自分のアバター、つまり分身が入り込み、相互のコミュニケーションを取りながら、仕事や買物、娯楽も楽しめ、あたかも自分がコンサート会場にいるかのような臨場感も味わえるようです。さながら映画、マトリックスの世界です。 一昨年、人気シンガーソングライター米津玄師さんが、日本で初めてバーチャルイベントを開催し話題を呼びました。国内では、バーチャル秋葉原、バーチャル渋谷などが先駆的に取り組まれています。 ちなみに、アメリカでは、メタバースにおける仮想土地が約五億円で不動産取引されるなど、バーチャルな世界でリアルに経済を動かしています。これがデジタル社会の現実なのかもしれません。 こうした最先端のデジタル技術の動向に目配りし、積極的に取り入れていくことも、施策の実現に必要なことと考えます。 そこでお尋ねいたします。全国知事会のデジタル推進本部長でもある村岡知事は、幅広い分野で施策を実現させるための根幹ともいうべきデジタル化を、今後、いかに加速させていくおつもりなのかお尋ねいたします。 次に、新型コロナワクチン接種についてお伺いいたします。 昨年の秋頃から、デルタ株による新型コロナウイルス新規感染者数も少し落ち着きを見せ始め、このまま終息してくれればと願っていたところです。ところが、年明けからは新たな変異株、オミクロン株が猛威を振るい、これまでにはない規模の感染急拡大が進んでいます。 本県でも、一月二十七日に過去最高となる四百四十五人を記録するなど、予想を上回る感染拡大は、社会機能の維持にも影響を及ぼすほど大きなダメージを受けました。県内感染者数は、現在も連日二百台後半で推移しており、高止まり状態、決して油断はできません。 現在、主流となっているオミクロン株は感染性・伝播性が強い上に、ワクチンの効果を弱める特性があり、症状も重症化しにくく、無症状や風邪に似た症状であることから見逃されがちなため、全国に急拡大したものと思われています。 心配なのは、高齢者の感染者増とともに子供への感染が広がっていることであり、本県でも高齢者施設や就学前施設にクラスターの発生が多いのは、オミクロン株の特性が顕著に現れております。 第六波のピークは過ぎたとの分析もある一方で、オミクロン株の中でもBA・2という新種の型も発見されており、ピークが二段階になる可能性を指摘し、長期戦を心配する識者の声もあります。 公明党は、感染収束の切り札としてワクチン接種を強力に推進してまいりました。発症予防や重症化防止などの有効性も示されており、原則八か月とされていた二回目からの接種間隔も公明党の強い訴えにより、六、七か月に短縮されました。 医療従事者や高齢者から順次接種が進められていますが、早くにワクチン二回接種を済ませた高齢者は、時間とともにその効果が薄れてきています。高齢者の重症化を防ぐために三回目の追加接種を急ぐべきであります。 県としても、これまでと同じく市町や関係機関と一体となって、高齢者はじめ県民への追加接種を促していただきたいと思っております。 また、五歳から十一歳の小児ワクチン接種が今月からスタートしています。ファイザー社製のワクチンを使用しますが、オミクロン株出現前の同社の治験データでは、五歳から十一歳の発症予防の有効性が九〇・七%に達したとしています。 日本小児科学会でも、小児へのワクチン接種について十二歳以上の健康な子供への接種と同様に意義があるとしています。しかし、オミクロン株については、小児における発症予防効果・重症化予防効果に関するエビデンスが必ずしも十分ではないことから、最新の科学的知見を踏まえながら接種を進めることとしています。 希望する子供や保護者が安心して接種できるように、丁寧な情報発信と接種体制をしっかりと確保していただきたいと考えております。 そこでお尋ねいたします。県では、高齢者へのワクチン追加接種の促進と小児へのワクチン接種の推進に関し、どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、流域治水をはじめとした防災・減災対策についてお尋ねいたします。 令和二年十一月議会の代表質問で、私は水害対策について質問いたしました。近年頻発する豪雨や台風により激甚化する災害に備え、従来の河川整備や貯留施設の整備などのハード整備とともに、避難体制の強化などのソフト対策においては、国や市町あるいは地域住民や企業と連携した流域治水に注力する必要があると訴えました。 そのときの知事答弁では、国が県内一級水系の佐波川と小瀬川において流域治水協議会を設置し、具体的な治水対策をまとめる流域治水プロジェクトが令和二年度中に策定されるため、こうした一級水系における検討状況を注視しながら、二級水系においても、流域治水プロジェクトの策定に向けた検討を進めていくと答弁されたところであります。 このたび、県管理河川における大規模氾濫に関する減災対策協議会・流域治水部会が主体となって、二級水系における流域治水プロジェクトを策定し、二月二十八日から県や市町のホームページで公表されました。 この流域治水プロジェクトとは、県内二級水系の百六水系の中から、過去に大きな水害が発生し、背後に人口や資産が集中している二十六水系を対象にしています。気候変動による水害リスクの増大に備えて、河川管理者等がこれまで実施してきたハード・ソフト対策に加え、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減させる取組、つまり流域治水の具体的な対策を取りまとめ、地図上にマッピングしたものであります。 その特徴は、様々な対策を三つの考え方、すなわち、一、氾濫をできるだけ防ぐ・減らすための対策、二、被害対象を減少させるための対策、三、被害の軽減、早期復旧・復興のための対策に分類し、具体的な対策を流域ごとに見える化したことと、その工程を示してあることです。 このたび対象となっている二十六水系と、昨年三月に国が中心となって策定した一級水系分を合わせると、県土の約七割の面積をカバーする流域治水プロジェクトが出来上がったことになります。 流域治水プロジェクト策定の目的は、流域全体の協働により、ハード・ソフト一体となった事前の防災対策を計画的に推進し、流域における浸水被害を軽減することです。私がこれまで口を酸っぱくして申し上げてきた、事前の一策は事後の百策に勝るという考え方と同じく、課題と事前対策を地域ごとに視覚化した、すばらしいプロジェクトになっていると評価しています。 そこでお尋ねいたします。来年度予算の中では、治水対策の強化として緊急浚渫推進事業に五億九千二百万円、災害に強い県づくり推進のための公共事業に百六十二億八百万円、ドローン等による河川の変状監視など、高度なインフラ監視・点検事業に二億円等々の防災・減災対策事業費が計上されていますが、流域治水をはじめとした防災・減災対策について、今後どのように進められるおつもりなのか、御所見をお伺いいたします。 次に、スマート農林水産業の推進についてお尋ねします。 令和四年度農林水産部予算の基本的な考え方として、デジタル化や環境負荷の低減など、本県農林水産業の生産力向上と持続性の両立の実現に向けた施策を重点的に展開するとともに、長期化するコロナ禍における県産農林水産物の需要回復・拡大対策に取り組むとされています。 生産者の高齢化や担い手不足が進む中、本県農林水産業の成長産業化を実現するには、私はデジタル化の取組をこれまで以上に強力に推進する必要があると考えます。 このような中、農林水産省においても、デジタル化の取組の一環としてスマート農業の導入加速化を図るため、昨年十二月の補正予算に新たな事業が盛り込まれました。 広域的で複数の経営者がいる産地を、あたかも一つの経営体のように捉え、生産から営農・労務管理、販売までの各段階の課題に対して、産地ぐるみでスマート農業技術を導入しようとする、スマート農業産地形成実証という事業です。 この事業の概要は、産地単位での機材やデータの共同利用あるいは作業の集約化を実施し、効率化を図ることで収益性の向上を狙うというものです。本県においても、産地ぐるみでスマート技術を導入することができれば、本県農林水産業も大きく飛躍することができるのではないでしょうか。そのためには、生産現場の実情に即した技術を開発し、現場へ導入・普及させていく取組が必要です。 私は、以前、生産者の方から、これまで開発されてきたスマート技術の数々は、全国どこでも使えるような標準的・画一的なものが多く、本県の生産者にとって必ずしも使い勝手がよいものばかりではない、という話をお聞きしました。 このため、本県の生産者が、生産効率を上げ、高品質化を図るためには、私は、本県の地形条件や気象条件などを考慮し、本県用にカスタマイズされた技術開発の必要性を強く感じているところであります。 また、スマート技術を現場へ普及させる際にも、克服すべき幾つかの課題があります。例えば、現在のスマート農業では、自動操舵のトラクターや自動で適切な餌やりをする自動給餌機の活用で、労働力不足の解消や労働時間の大幅な短縮には成功する一方で、機材やシステムの導入コストが高く、それを動かし続ける維持費・更新費といったランニングコストも、生産者の負担となっているようです。 それ以前に、先進技術を使いこなせるか不安だと感じている生産者も多く、こうしたコストや技術習得への不安から、スマート技術の導入になかなか踏み切れない生産者が数多くいらっしゃるのです。 令和四年度は、やまぐち維新プラン五か年計画の最終年度に当たりますが、次の五年を見据え、生産者の高齢化や担い手不足を克服し、農林水産業を魅力ある成長産業へと転換させるためには、本県の特性に則したスマート技術を開発し、生産現場へいち早く導入・普及させていくことが重要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。今後、本県独自の農林漁業DXの確立に向けて、どのようにスマート農林水産業の推進に取り組まれるのかお尋ねいたします。 次に、十八歳成人に向けた主権者教育、消費者教育についてお尋ねします。 本年四月から改正民法が施行され、成年年齢が二十歳から十八歳へ引き下げられることを契機に、十八歳、十九歳の若者をいかに賢明な消費者に育てるか、どうすれば消費者トラブルに巻き込まれなくて済むのか、消費者の権利と責任、消費者保護やクーリングオフ制度などを学ぶ消費者教育と、社会の形成や課題解決に参画していける主権者を育てるための主権者教育に、改めてスポットが当たっています。 こうした中、高校では四月から新たに必須科目となる、公共がスタートし、主権者教育や消費者教育が取り扱われることになります。日本で主権者教育が大きく動いたのは、御案内のとおり、二〇一五年六月に改正公職選挙法の成立により、選挙権年齢が十八歳に引き下げられたことによります。 さらに、二〇一八年の学習指導要領の改訂で、高校公民科の選択科目だった、現代社会が、新たに主権者教育を含む、公共に改編され、必須科目として新設されました。 主権者教育においては、現実社会の様々な課題を自分の問題として捉え、自らの判断で行動していく主権者の育成がその大きな意義であると言われています。また、世の中をよくしよう、社会変革を進めようと議会や政治家に意見を述べていく主権者を育成することも、主権者教育の大きな役割と言えます。その意味において、高校生県議会の開催も、本当に有意義な取組になっていると確信しています。 一方、消費者教育は、これまで高校の家庭科で取り扱っていましたが、前述のとおり、今後は公共の授業でも教えていくこととなります。高校生が十八歳になれば、現在でも公職選挙法上、成人として有権者になりますが、この四月からは、消費生活の中でも成人として扱われることとなります。しかしながら、十八歳になったからといって、すぐさま消費者としての知識や判断力が身につく訳ではありません。 最近では、気軽にインターネットを利用したショッピングも可能です。悪質なネット広告などに誘導される危険性もあり、在学中に消費者トラブルに巻き込まれないとも限りません。したがって、学校教育の中で、契約の知識やトラブル事例をしっかりと学び、怪しい広告や悪質商法に対する警戒心などを十分に養っていくべきだと思います。 そこでお尋ねいたします。社会の主体者としての若者の積極的な社会参画を強く望むとともに、まだまだ社会経験の浅い若者には、消費者トラブルから未然に身を守るための教育が大変重要だと考えます。 四月から成年年齢が二十歳から十八歳へ引き下げられる中、若者一人一人が自覚を深めていけるような主権者教育、消費者教育をどのように実践されるおつもりか、教育長のお考えをお伺いいたします。 最後に、特殊詐欺被害防止についてお尋ねします。 コロナ禍にあって人との接触をなるべく控えようとしている今、特殊詐欺、いわゆるうそ電話詐欺の被害が拡大しています。中でも、コロナ禍で医療費に係る関心が高まっていることに目をつけた、還付金詐欺が急増しているようです。 また、様々な手数料だとだまして電子マネーを購入させ、番号を聞き出し、現金を奪うという架空料金請求詐欺も増えているようです。 警察庁によると、令和三年の還付金詐欺の被害件数は四千件を超えて、対前年比二倍を超える数字を記録しました。金額ベースでも、令和二年の二十五億円から約二十億円増の四十五億円で、対前年比で一・八倍にも上っています。 還付金詐欺の手口の特徴は、自治体職員などを名乗り、医療費の還付があるといった内容の電話をかけ、言葉巧みにATMに誘導し、指定の口座にお金を振り込ませ、現金をだまし取るというものです。 コロナ禍で医療費への関心の高まりとともに、感染防止を意識して対面を嫌う人が多くなり、電話だけで送金へと誘導できる点も、還付金詐欺が増加している一因とも言われています。 また、見過ごせないのは被害者の九四%が高齢者だということであります。いつもなら直接会って相談できる友人とも、外出を控え在宅時間が増えており、接触機会が減っていることも背景にあると指摘する声もあります。 山口県でも全国の傾向と同じく、還付金詐欺と架空料金請求詐欺が急増しています。令和三年十二月未時点で、うそ電話詐欺件数は百八件で、前年からプラス四十件と大幅に増加しています。そのうち架空料金請求詐欺は対前年比二・一倍の四十六件、還付金詐欺は令和二年には二件だったのに、昨年は何と二十倍に跳ね上がり、四十件と激増し、両者合計で八十六件となりました。 つまり、うそ電話詐欺の八割がこの手の詐欺に当たります。しかも、被害者全体の約七四%が六十五歳以上の高齢者であることも、深刻に受け止めなければならないと思っています。 令和三年は、被害金額こそ微減とはいえ、急激に詐欺事案が増加し、二億七千万円もの被害が県内で発生していることは、誠にゆゆしき問題です。 実は、私の知人にもうそ電話詐欺の被害に遭った方がおられます。警察官を名乗るある男にキャッシュカードと暗証番号を渡してしまい、口座から全額引き出されてしまいました。家族にも内緒だと念を押されていたようです。慎ましやかに生活し、一生懸命に蓄えた財産を奪われ、相当落ち込まれていました。私には、まじめに生きてる年寄りにこんなことが起こらないように、厳しく取り締まってほしいと、怒りをあらわにされておられました。 そこでお尋ねいたします。このたび着任された中西警察本部長は、着任会見で、犯罪被害者や弱い立場の人たちに優しく寄り添える警察、変化に対応できるしなやかな組織づくりを目指すとの抱負を語られ、県内で相次いでいるうそ電話詐欺についても懸念を示されました。 一向に減らない高齢者のうそ電話詐欺被害を、何とか食い止めていただきたいと強く思うのですが、中西警察本部長のうそ電話詐欺撲滅に向けての御決意をお伺いいたします。 質問は以上でございますが、終わりに一言申し上げます。 公明党は、大衆党との立党精神を掲げて、今年六十周年の節目を迎えます。常に庶民に寄り添い、声なき声を行政に届けてまいりました。質問の中で、観光対策に少し触れましたが、おかげさまで、来る三月十二日のダイヤ改正で、JR山陽線の徳山駅までが交通系ICカードの利用が可能になります。 さらには、来春、山口線全駅と山陽線全駅と山口線山口駅、湯田温泉駅までICOCAの利用可能エリアが拡大されます。平成二十九年九月議会で私が取り上げ、交流人口の拡大、通勤通学や高齢者へのメリットを訴え、要望したものであります。 実は、この要望もある方の小さな声を酌み上げ、市議会議員、県議会議員、国会議員とつないで、村岡知事にも後押ししていただいたからこそ実現できました。今後とも、大衆とともにの精神で、現場第一主義に徹していく決意を申し述べまして、公明党の代表質問を終わらせていただきます。 御静聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、施策の実現とデジタル化の加速化についてのお尋ねです。 私は、コロナの危機を乗り越え、傷んだ社会経済を力強く再生するとともに、コロナ禍がもたらした社会変革の動きをチャンスと捉え、本県の新たな未来の創造につなげていくためには、デジタルの持つ力を積極的に活用し、その可能性を最大限引き出していくことが非常に重要だと考えています。 デジタルの力で本県が抱える様々な課題を解決し、新たな価値を創造して、県民一人一人が、これまで以上の豊かさと幸せを実感することができる社会を築き上げていく、そうした考えの下で、現在、全国に先駆けたやまぐちデジタル改革を推進しているところです。 私は、この改革の取組を今後さらに深化させ、県政のあらゆる分野で、デジタル化を一層強力に進めてまいります。 まず、全県的なDXの推進に向けては、昨年開設したやまぐちDX推進拠点「Y─BASE」でのコンサルティングや技術サポート、さらには官民協働フォーラムによるシビックテックの取組などにより、デジタルを生かした課題解決事例を数多く生み出し、その横展開を図ります。 また、県政各分野の施策においても、最先端のデジタル技術を積極的に取り入れ、施策自体の効果や事業の実効性をより高めてまいります。 具体的には、産業分野においては、5GやAI等の導入によるものづくり企業での付加価値の創出や、中堅・中小企業の生産性向上、ドローン等を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化やスマート農林水産業の推進など、各現場でのデジタル実装を積極的に進めます。 観光分野では、データに基づく観光地経営の実践に向けたワークショップの開催やビッグデータ等を活用した観光プロモーションと着地整備の一体的な展開など、データを駆使した新たな観光施策を展開します。 生活分野では、5G環境での遠隔医療提供体制の構築に向けた実証拡大や、介護施設等へのICTやロボット等の導入支援、AIを活用したシステムの本格運用による子育て世代からの相談対応など、デジタル技術により、医療や福祉サービスの充実・強化を図ります。 また、教育分野においては、県立学校での一人一台タブレット端末等のICT環境を活用した海外とのオンライン交流等の実施や、本県独自のVR動画の作成・活用による特別支援学校での社会体験活動の充実などにより、やまぐちスマートスクール構想を一層推進してまいります。 さらに、こうした取組に加え、デジタル技術は日進月歩であることから、お示しの仮想空間メタバースなど、最新のデジタル技術の動向を的確に把握し、「Y─BASE」等でこれを紹介するとともに、各種施策への効果的な導入に取り組んでいくこととしています。 私は、県政各分野で展開する様々な施策の実現に向けて、今後ともデジタル技術を積極的に活用し、山口県の新たな未来に向けた県づくりを、より高いレベルへと押し上げていけるよう、やまぐちデジタル改革の取組をさらに加速してまいります。 次に、新型コロナワクチン接種についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、三回目の接種の促進についてです。 ワクチン接種は、発症予防や重症化予防等に大きな効果がありますが、時間の経過とともに効果が低下することから、可能な限り、早期に追加接種を行うことが重要です。 このため、私は、接種の本格化に先駆けて、二月初めに、十九市町長会議や医療関係者等からなるワクチン接種対策会議を開催し、市町や関係機関との緊密な連携の下、接種スケジュールの前倒しなど、早期の接種に向けた体制の確保に取り組んできたところです。 その結果、現在、本県の全人口に対する接種率は、全国第二位の約三一%となっており、全国でもトップクラスのスピードで順調に進捗しています。 お尋ねの高齢者への接種については、重症化リスクの高い特別養護老人ホームや老健施設等の入所者を先行して開始し、二月中旬には、全ての高齢者施設入所者に対して、おおむね接種が完了したところです。 さらに、その他の高齢者についても、早期の接種促進に取り組んできた結果、二月末までの接種対象者のうち、約七割の方が接種を終えており、ワクチンの種類にかかわらず、早期に接種を希望される高齢者への接種は、おおむね完了したものと考えています。 県としましては、希望される全ての県民への四月末までの接種完了を目指し、今後とも接種の促進に努めてまいります。 次に、小児ワクチン接種についてです。今般、国において、五歳から十一歳の小児が、新たに接種対象者として位置づけられたことから、県としましては、希望する子供や保護者の方が、安心して接種できる環境整備が重要と考えており、接種体制の確保とワクチンに関する情報発信・相談対応に努めてまいります。 まず、接種体制については、市町や郡市医師会との連携の下、小児科医による個別接種を中心とした体制の整備に取り組み、現在、百八か所の接種医療機関の確保や、小児科医等による集団接種会場を設置するなど、全ての市町において、安心して接種を受けられる体制を整備しているところです。 また、接種への不安もあることから、市町と連携し、接種券送付時に、効果や副反応等の内容を記載したリーフレットを同封するとともに、ホームページやSNS等も活用し、広く啓発するなど、今後とも、分かりやすく正確な情報発信に努めてまいります。 さらに、個別の専門的な相談にもしっかりと対応できるよう、県が設置しているワクチン接種専門相談センターにおいて、医薬品全般に幅広い知識を持つ薬剤師による、二十四時間三百六十五日の相談体制を確保しています。 このように、子供や保護者の方が安心して接種できる環境の下、一部の市では、既に小児のワクチン接種が始まっており、今月中に全ての市町で開始される予定です。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、引き続き、市町や医療機関等との連携を密にし、新型コロナワクチン接種の促進に全力で取り組んでまいります。 次に、流域治水をはじめとした防災・減災対策についてのお尋ねにお答えします。 全国的にも大規模な災害が頻発している中、私は、防災・減災対策の強化により、県民の誰もが希望を持って、いつまでも安心して暮らし続けることができる山口県の基盤を築くことが極めて重要と考えています。 このため、やまぐち維新プランにおいて、災害に強い県づくり推進プロジェクトを掲げ、大規模な自然災害に備え、河川改修などのハード対策や、住民への的確な情報提供などのソフト対策に取り組んでいるところです。 さらに、気候変動による水害リスクの増大に備えるためには、これまでのハード・ソフト対策に加えて、河川流域全体のあらゆる関係者が協働し、水害を軽減する流域治水に取り組むことが重要と考えています。 このような認識の下、お示しのとおり、二級水系のうち、過去の被災状況等から優先度の高い二十六水系について、具体的な対策を取りまとめた流域治水プロジェクトを策定したところであり、残りの水系についても、関係市町の意見等を踏まえ、策定に向けた検討を進めていくこととしています。 また、私は、流域治水プロジェクト策定に併せて、関係機関と連携し、プロジェクトに位置づけた対策を着実に推進することも必要と考えています。 まず、ハード対策については、引き続き、川幅の拡幅、堤防の整備などの河川改修や、砂防堰堤などの土砂災害防止施設の整備等を進めてまいります。 さらに、こうした施設整備に加えて、緊急浚渫推進事業などの予算を活用し、河川やダム、砂防堰堤に堆積した土砂の除去を行うことにより、治水機能の保持を図ることとしています。 次に、ソフト対策については、引き続き、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、浸水想定区域図の整備や、防災行動とその実施主体を時系列で整理した水害対応タイムラインの運用など、市町と連携した取組を進めていく考えです。 また、県では、昨年六月から簡易型水位計と河川監視カメラの運用を開始したところであり、今後も、これらの機器の増設などにより、防災情報の一層の充実強化を図ってまいります。 さらに、こうした取組に加え、デジタル技術を活用したインフラメンテナンスの高度化・効率化を図るため、今年度から、島田川において、ドローン等により取得した三次元の地形データ等を比較検証するなど、新たな変状監視手法の検討に着手したところです。 今後は、この手法を確立させ、流域面積の大きい河川にも対象を拡大し、日本一の安心インフラやまぐちの実現につなげていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から、流域治水をはじめとした防災・減災対策のさらなる充実強化に取り組んでまいります。 次に、スマート農林水産業の推進についてのお尋ねにお答えします。 農林漁業の生産現場において、高齢化等に伴う担い手不足が進展する中、本県農林水産業の魅力ある成長産業への転換を図るためには、農林水産物の高品質化や生産性の飛躍的な向上等が期待できるデジタル技術を積極的に活用していくことが重要です。 こうした中、私は、民間企業や大学等と連携し、ドローンを活用した防除技術や、地上レーザーによる林業の測量技術、ICTを活用した漁場予測など、新技術の開発・導入に取り組んできたところです。 一方で、現在、新型コロナウイルスの感染拡大による社会変革を契機として、デジタル化が社会全体で進展しており、本県農林水産業においても、さらなる成長産業化に向け、AI等を活用したデジタル化の取組を加速化するとともに、新技術の迅速な普及・定着を進めていくことが必要です。 このため、まず、デジタル化の取組加速化に向けては、熟練者の技術を新規就業者へ円滑に継承するため、熟練者が持つ、長年の経験に基づく技術や知見等のたくみの技を、AI等のデジタル技術で再現・創出するなど、本県の地域特性に応じた山口型スマート技術の確立を進めます。 主な取組として、農業分野では、需要の増加が見込める県産小麦について、全国初となるAIによる穂数計測技術等を活用して、栽培管理・品質の改善に取り組み、生産現場の実情に即して、品質や量を安定的に供給できる生産体制を確立します。 林業分野では、作業の効率化や労働環境の改善を図るため、AIやロボット技術を活用し、伐採から搬出、造林、保育まで、一連の林業施業体系における自動化・無人化技術を導入していきます。 水産分野では、高級魚で需要が高いハタ類について、持続的な漁場・資源利用と操業の効率化を図るため、詳細な海底地形の3Dデータ化等により、資源量を把握するとともに、スマホ等で活用できる、漁船の位置や漁獲データ等と連動した操業支援システムを構築します。 これらの技術の確立に向けては、来年四月に供用開始する、農林業の知と技の拠点を核として、産学公連携による早期の課題解決や、その成果の生産現場への速やかな導入に取り組んでいくこととしています。 次に、新技術の迅速な普及・定着に向けては、農林水産業の各分野のスマート技術に関する協議会において、ドローンを活用した病害虫被害の画像診断など、実用段階にある技術の実演等により、導入効果の理解促進や技術習得に関する不安の解消を図ります。 また、スマート技術の導入コストなどが生産者にとって過度な負担とならず、安心して導入できるよう、地域の要請に即した専門家の派遣により、経営規模に適した機種の選定や複数法人での共同利用の推進など、生産現場への実装に向けた支援を行います。 私は、民間企業や関係団体等と緊密に連携しながら、本県の地域特性に応じた農林漁業DXを確立し、本県農林水産業の魅力ある成長産業化に向けて、全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)十八歳成人に向けた主権者教育、消費者教育についてのお尋ねにお答えします。 選挙権年齢が十八歳に引き下げられ、さらに成年年齢も十八歳へと引き下げられることから、積極的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度の育成に向けて、主権者教育及び消費者教育の一層の充実を図る必要があると考えています。 こうした中、令和四年度から実施となる高校の新学習指導要領では、公民科の必履修科目として新設された公共において、政治や司法に参加する意義に関する内容や、多様な契約における消費者の権利と責任に関する内容が重視され、家庭科においては、契約の重要性や消費者保護に関する内容の充実が図られています。 これを受けて、公共の授業では、政治や司法に関する知識・概念の学習や、社会の諸課題について多面的・多角的に考察し、公正に判断する力を身につける学習に加え、契約により、どのような責任が生じるか、契約の内容に問題がある場合にはどのような解決を図ることが適切かといった課題について、他者と協働しながら考える学習にも取り組むこととしています。 また、家庭科の授業では、悪質商法等による最新のトラブル事例を取り上げ、公共で学ぶ消費者の権利に係る法律等の知識を活用しながら、未成年と成年の法律上の責任の違いを考える学習に取り組むなど、教科等横断的な視点から、実践的な授業の充実を図ることとしています。 こうした授業での取組に加え、消費者教育を推進する関係団体と連携し、令和四年度から研究指定校において、家庭科と公民科が連携した、より効果的な消費者教育について実践研究を行うこととしており、その成果については、セミナーや教員研修会等において広く県内の学校に普及してまいります。 県教委といたしましては、高校生一人一人が、社会の一員として主体的に判断し、責任を持って行動できるよう、今後とも主権者教育、消費者教育の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)高齢者のうそ電話詐欺被害防止に向けた取組についてお答えいたします。 昨年、県内では、還付金詐欺や架空料金請求詐欺が多発したことにより、被害件数が大幅に増加し、被害者の大半を高齢者が占めるなど、議員御指摘のとおり、極めて厳しい状況にあると認識しております。 県警察では、うそ電話詐欺対策を最重要課題の一つとして位置づけ、広報啓発活動をはじめ、水際対策や検挙対策を強力に推進しているところであります。 まず、広報啓発活動ですが、被害防止のためには、高齢者の防犯意識の高揚を図ることが重要であることから、警察官が高齢者宅を訪問し、うそ電話詐欺の手口や被害防止のポイントを具体的に説明し、理解を深めていただく取組のほか、あらゆる警察活動を通じての、県民への情報の発信をさらに強化してまいります。 次に、水際対策についてです。 昨年、金融機関やコンビニエンスストアにおいて、店員の方などによる声かけにより、被害を防いだケースを約百件把握しており、阻止率では約五割、二件に一件は水際で防いだこととなることから、被害防止の最後のとりでとして、こうした対策は極めて重要であると考えております。 引き続き、高齢者がATMで現金を振り込む際や電子マネーカードを購入する際の積極的な声かけについて、協力を求めてまいります。 最後に、検挙対策ですが、発生したものについては必ず検挙するという強い意志を持って、不審電話や相談を認知した段階で、早期に大量の捜査員を投入し、初動捜査を展開し、現場付近での犯人検挙に努めるほか、還付金詐欺のように、犯行のほとんどが県外で実行される事案に対しては、他府県警察とも連携して犯人の追跡捜査を徹底するなど、事案の全容解明に努めてまいります。 また、うそ電話詐欺に利用される電話や預貯金口座などの犯行ツールに関して、電話の利用停止や口座凍結の設置を積極的に講ずるほか、悪質な電話事業者に対する取締りを強化するなど、供給遮断に向けた取組も推進してまいります。 県警察といたしましては、議員の御指摘も踏まえ、被害に遭いやすい高齢者を守るという決意の下、お一人お一人の心に届く広報啓発活動に努めるとともに、社会全体での水際対策の強化、そして迅速かつ的確な捜査活動を進め、卑劣なうそ電話詐欺の撲滅に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩いたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時五十分休憩