1 知事の県政運営について 2 長期化するコロナ禍の影響を踏まえた経済対策について 3 脱炭素社会の実現に向けた取組について 4 あらゆる差別や偏見のない社会の実現について 5 教員の多忙化解消と負担軽減について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 副議長(二木健治君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 戸倉多香子さん。 〔戸倉多香子さん登壇〕(拍手) 戸倉多香子さん 皆様、お疲れさまです。民政会の戸倉多香子です。令和四年二月定例会に当たり、会派を代表して質問させていただきます。 質問に先立ちまして、長引く新型コロナウイルス感染症への対応で、私たち県民の安心・安全のため、日夜御尽力いただいている全ての皆様に敬意と感謝を申し上げ、通告に従い、質問に入ります。 初めに、知事の県政運営についてお尋ねいたします。 村岡知事におかれましては、三期目の当選、誠におめでとうございます。知事は、二期目の任期のうち、後半の二年間については、ほとんど新型コロナウイルスへの対応に追われることとなり、大変御苦労されたと思います。 感染拡大防止につきましては、知事のリーダーシップの下、職員の皆様や市町などあらゆる関係機関と一丸となって取り組まれ、全国でもトップクラスの医療提供体制の確保に努められるなど、全力で取り組んでこられましたことに、改めまして敬意と感謝を申し上げます。 県民の命と健康を守る、これは、何をおいても最優先されることでありますので、引き続き、徹底した安心確保に向けて取り組んでいただきたいと思います。 また、暮らしの安定を確保するとともに、この間、傷んだ社会・経済を発展的に再生させていくことが喫緊の課題であるとの知事の御認識につきましては、私たち会派も、全く同じ思いでございます。 より高いレベルの安心の確保、成長の実現を目指して、新たな未来づくりへの挑戦予算として、令和四年度当初予算案が本定例会に提出されておりますが、それらに盛り込まれた事業をしっかりと確実に取り組んでいただきますようお願いしたいと思います。 知事は、当選後の会見で、記者から、三期目の四年間の県政運営について質問を受けておられました。 その中で、コロナ以外の点での県づくりの取組について聞かれ、まず、コロナ禍で、県民の皆様が、身近に切実なものと感じられることとなった医療や福祉の充実を挙げられました。その一環として、県立総合医療センターの建て替えにも触れられています。 また、成長支援やデジタル化など、コロナの前に戻るだけではなく、それ以上に、安心や成長、こうしたものをより高いレベルで実現できるような取組を、次の四年間しっかりと進めていきたいとも話されています。 さらに、人口減少問題については、企業誘致や産業の振興、雇用の環境整備などにより、魅力ある雇用の場をつくっていく、また、子育て、教育の充実、福祉の充実、様々やるべきことを当然ながら進めていくとした上で、このところ、大きく価値観も変わってきており、年齢層によっては、転出より転入の方が多いと、そういった逆転現象が起きている点に注目され、コロナ禍によって生じた意識の変化などをチャンスにして、山口県への人の還流を新しい形で進めていきたいとお答えになっていました。 コロナ対策以外にも、山積している課題を当然ながら進めていくとの、率直で具体的なお気持ちが伝わってきました。 先月二十二日に、令和四年度当初予算案について説明された際の会見では、この三期目は、まずは直面するコロナの危機を乗り越え、そしてその先に、山口県を安心で希望と活力に満ちた、そうした県へと高めていく、そのための重要な四年間であると考えておりますと述べられており、私たちの会派もこのお考えに強く賛同するものでございますが、その実現のためには、私たち議員も党派会派を超えて、執行部や職員の皆様と心を一つにして取り組んでいく必要があると思います。 しかし、残念なことに、昨年は、公職選挙法違反により副知事が辞職されるという問題も起きました。県民の皆様の信頼を取り戻し、これからの四年間、新たな未来づくりへの挑戦を成し遂げるためには、知事のさらなるリーダーシップが必要なのは言うまでもありませんが、不偏不党で公平・公正な県政運営が、今まで以上に求められるのではないでしょうか。 これまで、当然のこととして行われてきた様々な慣例やルールも、この際、しっかりと検証して、見直しの必要なものは改めていただきたいと思います。知事の御所見を伺います。 また、コロナ禍の中で、県民の皆様と直接お会いして、お声を聞くことがかなわない日々が続いてきたと思います。知事が県民から直接意見を聞く「元気創出!どこでもトーク」も、実施回数が少なくなっているのではないかと思います。 山口県民の皆様の思いや御要望、御意見などを反映する県政運営を実現するためには、今後どのように取り組まれるのか、この点もお尋ねいたします。 次に、長期化するコロナ禍の影響を踏まえた経済対策についてお尋ねいたします。 本定例会初日、知事は、令和四年度当初予算案の一般会計総額が、前年度当初予算に比べ、四・四%増の七千八百六十二億四千四百万円となったと説明されました。 そして、来年度予算は、コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組、長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施、そして、新たな未来に向けた県づくりの推進、この三つの柱に沿って編成したと述べられました。 私は、二つ目の柱である、長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施を中心に質問したいと思います。 誰もが、新型コロナウイルス感染症への対応がこのように長引くとは考えていなかったと思います。昨年の年末には、山口県での新規感染者数がゼロの日も増えてきて、このまま終息してほしいと願っておりましたが、残念ながら、岩国市を中心に、感染力の非常に強いオミクロン株が急拡大し、一月七日には、まん延防止等重点措置が適用されることが決定しました。 その後、県内全体に適用されたまん延防止等重点措置は、新規感染者数が減少傾向にあることなどから、先月二十日で解除となりました。しかし、今後も、変異株などの第七波、第八波も心配され、長期化するコロナ禍が社会や経済に与える影響は計り知れません。 特に、中小企業や小規模事業所は、コロナ禍以前から経営が苦しい状況であったことは、これまでの質問でも、データを示して述べてまいりました。 コロナ禍の中で、この間、様々な支援策により支えられていたところも、いよいよ経営の継続が困難になっていると聞きます。報道等によれば、倒産件数は補助金等の支援策などにより、少ないと聞きますが、気力が続かず、いよいよお店を閉めるなどの廃業が増えてきているのは、県内全体で感じておられる方が多いと思います。 県では、予算案の二つ目の柱の中の県内経済の下支えとして、企業の資金繰りに支障が生じないよう、中小企業制度融資の融資枠を確保したとされていますが、もうこれ以上、融資を申し込むのは無理だという声も多く聞きます。実際に苦しい状況の小規模事業所や商店など、苦しんでいる方々の声をしっかり聞いてほしいと思います。 夕方、近所のスーパーに買物に行くと、日頃は商売をされている時間帯なので、会うことのない料理屋さんの御主人と何度も出会いました。まん延防止等重点措置で、お店を休業されていたのだと思います。まん防の適用除外が近づいた日の夕方、もうじき解除ですねと御挨拶したところ、お店が始まっても、お客さんが戻ってきてくれればいいのですがと苦笑いされていました。 予算案の消費需要の喚起策の中には、お店側も消費者もお得な支援策がたくさん盛り込まれています。例えば、頑張るお店応援プロジェクト事業の購入型クラウドファンディングは、応援したいお店での買物や飲食が、実際に支払った金額に五〇%も上乗せされて、とってもお得です。 お店の側にも、先にお金が支払われるため、資金繰りに苦しむお店には本当に助かる喚起策となっていますので、もう頑張れないというお店もぜひ登録していただきたいと思います。 これ以外にも、山口県産のお米五キロに一キロのおまけがついたり、高級魚のお刺身などが半額となったりする「ぶちうま!キャンペーン」も、うれしい喚起策です。また、観光のV字回復に向けた「Go To やまぐち事業」も実施されます。これらの喚起策を多くの県民の皆様に知っていただいて、みんなで利用し、みんなで県内の店舗や生産者を応援したいと思います。 今日は、テレビ中継をされておりますので、県民の皆様にしっかりアピールしたいと思い、この質問を取り上げました。これらの経済対策が、県民全体の笑顔と元気につながるものとなってほしいと思っています。 そのために、県は、これらの支援策を、一人でも多くの方々に知っていただくために、どのように取り組まれるおつもりでしょうか。また、パソコンやスマホの苦手な方にも、やってみようと思っていただくために、どのように取り組まれるのかも併せてお尋ねいたします。 三点目に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてお尋ねいたします。 一昨年の十月、当時の菅総理が二〇五〇年カーボンニュートラル宣言をされたばかりの頃は、その実現の困難さばかりが報道などで取り上げられていました。しかし、最近では、温暖化への対応を、経済成長の制約やコストとする時代は終わり、国際的にも、成長の機会と捉える時代に突入したとの見方が広がっています。 これまで、山口県は、人口一人当たりの事業所から出るCO2排出量の多さが全国二位と言われており、脱炭素社会の実現に向けた取組は大変な困難を伴うと、後ろ向きに捉えられてきましたが、従来の発想を転換すれば、山口県には、CO2を多く排出する企業が多いからこそ、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えて、大胆な投資をし、イノベーションを起こしていく必要がある企業が多く、それらの企業の集積は、さまざまな可能性を秘めていると言えます。 もちろん、取り組む企業さんには大変な御負担がありますが、実際に、新たな挑戦や試みは始まっており、積極的に対策を行えば行うほど、新しい時代をリードしていく産業集積となると思います。 産業戦略部の予算案には、瀬戸内産業低炭素化加速事業として五百万円が計上されています。二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、本県経済と雇用を牽引する瀬戸内基幹企業群の低炭素化に向けた取組の加速化を図るため、山口県コンビナート連携会議による低炭素化構想の策定や各種調査等を実施するとされています。 今朝の国会審議の中でも、カーボンニュートラルコンビナートのことが取り上げられていましたが、コンビナートについては、これから国内に新たに造ることはもう無理だろうと言われています。 そのコンビナートを県内に三つも持っているのは、山口県だけです。その三つのコンビナートの各企業が得意分野を生かしながら連携し、新たなイノベーションを起こし、それらが県内全体へ、または西日本全体へ、さらに国全体、世界全体へと広がっていくかもしれません。 これまでも世界初の取組がたくさんありました。それらの情報をつなぎ、広げていくのは県の役割ではないかと思います。もちろん、コンビナートの中の企業同士の連携もあれば、技術的な競争もあると思いますので、出せない情報はしっかりと守りながら、今後の産業の形を変えていくトップランナーとなるべく、県内企業を全力で応援していただきたいと思います。 国の二〇五〇年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略には、水素は、発電、輸送、産業等、幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーと記載されています。 グリーン水素が理想でしょうが、技術の過渡期としては、山口県の副生水素の排出量が全国トップレベルという点は、大きな強みです。 それを生かそうと、以前から──平成二十五年から、周南市水素利活用協議会や、全国の六地域の港湾のうちの一つに選ばれた徳山下松港のカーボンニュートラルポート検討会などの今後の動きには、水素ハブなどの新たな挑戦も話題となっていて、注目したいと思います。 水素以外の分野でも様々な動きがあり、最近では、山口大学グリーン社会推進研究会の設立や、周南コンビナート脱炭素協議会の設立など期待が膨らみます。いずれの協議の場にも県は参加されて、協議事項や内容を把握されていると思いますが、それらの動きや情報をつなぐのも県の役割ではないかと考えます。 県は、この歴史的な動きとなるかもしれない、この動きを記録し、発信し、関連するあらゆる情報を収集しながら、脱炭素社会の実現に向けて、共に走るべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。 次に、あらゆる差別や偏見のない社会の実現についてお尋ねします。 山口県では、人間尊重を基本的な考え方として、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会を実現するための基本指針となる山口県人権推進指針を策定し、総合的な人権に関する取組を推進してこられました。 その指針を開くと、初めのページに、人権の世紀と言われている二十一世紀も、既に十年以上を経過しましたとの記載があります。平成二十四年改定版なので、現時点では、既に二十年以上経過していることになりますが、二十世紀、人類は二度にわたる世界大戦を経験して、平和のないところに人権は存在し得ない、人権のないところに平和は存在し得ないという大きな教訓を得て、人権の尊重が平和の基礎であるということが世界の共通認識になり、二十一世紀は人権の世紀と呼ばれているそうです。 残念ながら、現在のウクライナをめぐる状況は、最も人権尊重とはかけ離れた状況となっています。まさに、戦争は、最大の人権侵害であると言われていますが、一刻も早く、国際社会が力を合わせて、平和的な解決が図られることを願っています。 今年に入って、部落差別の解消を目指す全国水平社の創立から百年を迎えたとの報道が、様々な方面からありました。 地元テレビでも、これまで部落差別解消に取り組んでこられ、特に、最近のネット時代の部落差別解消に向けて、講師として全国を駆け回っておられる方の活動が取り上げられていました。 また、西日本新聞は、水平社宣言は部落問題だけでなく、水俣病や障害者、在日コリアンなどの運動にも影響を与えてきた。そして、ヘイトスピーチやLGBTQをめぐる議論をはじめ、コロナ禍での感染者に対する差別に加え、マスク着用やワクチン接種をめぐる分断など、非常時に揺らぐ人権意識のもろさも浮き彫りにしたとして、百年の節目に、人間の尊厳を重んじ、当事者を主体とした水平社宣言の精神を改めて見つめ直したいと、人権新時代と銘打った特集記事の掲載が続いています。 記事では、ネット上の悪質な書き込みを地方自治体が確認し、削除につなげるモニタリング事業が全国的に広がっていることも伝えています。 取材によれば、主に中部地方から西の二百十五市町村、二十府県が導入しているとのことでした。これまでに一万数千件の投稿が削除されましたが、悪質と判断されても削除に至らない投稿も多く、拡大するネット差別への対応の難しさも取り上げています。 しかし、その記事の最後に、大分市の担当職員の言葉、行政としてネット上の差別の実態を把握すること自体にも意味があるとの声も紹介されており、山口県でもモニタリング事業に取り組んでほしいと思いました。 さらに、人権新時代の記事には、表現の自由に配慮しながら実効性を高めていくことの困難さも、課題の一つとして挙げられていました。 そんな中、先月十五日に、大阪市ヘイトスピーチへの対処に関する条例が、表現の自由を保障する憲法に反するかどうかが問われた訴訟で、最高裁判所の戸倉三郎裁判長は、合憲とする判断を示したとの報道がありました。ヘイト規制の条例をめぐる最高裁の判決は初めてとのことですが、各地の議論に一定の影響を及ぼす可能性があると報じられています。 高校の先輩でもあります戸倉三郎裁判長のこの判決に、ほっとすると同時に、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会の実現は、様々な課題をたくさん抱えているのだと実感させられました。 差別や偏見についても、いろんな意見や考え方があります。同じように差別や偏見のない社会を願う人々の間でも、取り組み方や進め方については違った考えがあります。 例えば、部落差別の解消を目指す方々の間でもよく議論される、寝た子を起こすな論もその一つだと思います。山口県では、朝鮮学校への補助金の問題があり、各県の知事の考え方で対応が異なっています。 私は、これまで続けてきた補助金を止めるという行為そのものが、差別や見せしめに当たると、これまで何度も訴えてきました。 同じ会派の先輩であった加藤元県議も、国際社会の制止を無視して、ミサイルの発射や核実験を強行した北朝鮮に制裁を加えるための、日本に住む朝鮮学校の子供たちへの報復かと指摘されています。平成二十五年二月定例会で、来年度は補助金を予算計上しないとの山本前知事の方針に対しての質問でした。 加藤さんは、国連をはじめとする国際社会が核実験の中止を求めたにもかかわらず、強行したことは許せない暴挙であると考えますとしながら、日本に暮らす罪もない子供たちに制裁を加えるべきではありませんと主張されました。 山本前知事は、自ら答弁に立たれ、今回の対応は、決して制裁を加えるという趣旨ではないと発言されましたが、加藤元県議は、再質問に立たれ、当時の総務部長より、現在の補助要綱でありますれば、補助目的に沿った一定の成果は得られているものというふうに考えておりますとの答弁を引き出しております。 加藤元県議は、再々質問で、行政は、公平・公正・中立であります。北朝鮮がやったことが許せない。したがって、子供たちにも制裁をする。そういう県民感情があるとすれば、その過ちを改めさせるのが行政の仕事ではないかと私は思いますと、加藤節を炸裂してくれていますが、私も全く同じ思いです。 このたびの質問を準備する中で、法務省のサイトにあった文章が心に残りました。人権の世紀という言葉には、全人類の人権の実現という壮大な達成目標が示されていると同時に、過去、人権の実現のためにたゆみなく続けられてきた努力が報われ、一斉に開花し、結実する世紀であってほしいという全人類の熱望が込められているという言葉です。 私は、多くの県民の皆様の思いを背負って、県議会議員という立場を頂き、この場に立たせていただいていますが、私も、人権の世紀に生き、あらゆる差別や偏見のない社会の実現を熱望しています。 これまで、たゆみなく続けられてきた努力を継承し、ほんの一ミリでもよいので、前に進める責務を果たしたいと思います。村岡知事も、また、この議場におられる議員の皆様も、きっと同じお考えだと思います。この山口県から、あらゆる差別や偏見のない社会の実現に向けて、取組をさらに進めるべきだと思いますが、知事の御所見を伺います。 最後に、教員の多忙化解消と負担軽減についてお尋ねします。 教育の重要性は誰もが認めるところです。しかし、昨今は、教育の現場を担う教員の皆さんの多忙化が大きな問題となっています。 山口県教育委員会では、平成三十年三月に山口県学校における働き方改革加速化プランを策定し、市町の教育委員会と連携しながら、業務の見直し・効率化、勤務体制等の改善や学校支援人材の活用などに取り組んでこられました。 これらの取組により、教職員の勤務時間に対する意識の向上や時間外の在校時間の縮減など、一定の効果が得られたものの、学校では依然として厳しい勤務の実態があることから、これまでのプランに基づく取組の効果と課題を整理し、昨年七月にプランを改訂され、さらなる取組を進めておられます。 改訂版のこれまでの取組の状況の中に、目標達成に至らなかった主な要因が挙げられていますが、内容を読みますと、大量退職に伴い増加した教職経験年数の短い教員が、綿密な教材研究や授業準備に費やす時間が増加する状況があったとの調査結果が記載されていました。やはり、全体的に、教員が足りていないのではないかと感じました。いじめや不登校への対応も、教員へ大変な負担がかかると思います。 以前、相談を受けたケースは、保護者の方が、学校にいじめについて相談しても、一向に解決に向かわず、子供さんの命を第一に考えられた御両親が、既に県外の学校への転校を決意された後に受けた相談でした。 保護者の方が希望されたため、一緒に学校に行き、直接、担任の先生や部活の先生から経緯をお聞きしましたが、そこで感じたのは、やはり、先生方が忙し過ぎて、早期にいじめ対応をすべきなのは分かっていても、一人の生徒につきっきりになることはできず、日々の様々な業務もあり、助けを求めている生徒の思いにしっかりと寄り添う余裕がないのではないかということでした。 その後、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインなどができましたが、幾ら体制や取り組み方を決めても、現場の先生が対応できないのではないかという思いが残りました。 いじめ以外にも教員の多忙化につながる原因はたくさんあると思います。これらに対処するためには、私は、教員の数をもっと増やす必要があると思います。 来年度予算案に盛り込まれている、教員の長時間勤務を是正し、持続可能な学校の指導・運営体制の充実を図るための教員業務支援員配置事業や、やまぐち部活動応援事業なども、国の予算を活用して、しっかりと配置を進めてほしいと思います。 しかし、教員業務支援員の配置は、公立の小学校、中学校に限られ、高校への配置がないことは残念です。 先日の聞き取りによりますと、中学校の部活動指導員は、九市町四十二校七十三名に過ぎず、全校に配置されるわけではないそうです。さらなる支援が必要だと思いました。 文科省では、教員を目指す若者たちに仕事の魅力を伝えるため、現職の教員たちにSNSでの発信を呼びかけた「#教師のバトン」プロジェクトを始めました。 このプロジェクトは、現場で日々奮闘する現職の教師や教職を目指す方々に、学校の働き方改革や新しい教育実践の事例などを、ハッシュタグをつけて投稿を呼びかけたものでしたが、文科省の当初の想定を超えて、長時間労働や部活動の負担など、過酷な窮状を訴える内容が相次ぎ、とてもじゃないが若者にバトンを渡せないなどと、プロジェクトが呼びかけた趣旨とは真逆の思いを訴える投稿が多く見られるものとなったという報道に注目が集まりました。 NHKによれば、プロジェクトを統括する文科省の総合教育政策局長が、国としても現場から直接声を受け止める初めての試みであり、社会から注目を集めたことを前向きに捉えつつ、教師の声を推進力に、迅速に、具体的に、勤務環境の改善を進めたいと話されたことを伝えています。 教育長は、このような状況を踏まえ、教員の多忙化解消と負担軽減について、どのように取り組まれるおつもりでしょうか、御所見を伺います。 以上で、代表質問を終わりたいと思います。 私たち民政会は、働くことを軸とする安心社会の実現と、そして県民の皆様の可処分所得を増やすこと、しっかり取り組んで、笑顔あふれる山口県の実現を目指して頑張っていきたいと考えています。 これからもしっかり取り組んでいくことをお誓い申し上げまして、民政会の代表質問とさせていただきます。 御静聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)戸倉議員の代表質問にお答えします。 まず、私の県政運営についてのお尋ねです。 私は、三期目の任期となる今後の四年間において、まずは、直面するコロナの危機から県民の命と健康を守り抜くとともに、大きく傷んだ社会経済を力強く再生させ、本県の元気を取り戻すことに全力を尽くしてまいります。 このため、今後のコロナの感染拡大に備え、検査体制と医療・療養体制の継続確保を図り、三回目のワクチン接種の四月末までの完了に向けた取組を進めるとともに、県制度融資の融資枠確保等による中小企業の資金繰り支援や、消費需要の大規模な喚起策等を実施することとしています。 そして同時に、コロナ禍による社会変革を捉えて、これまで取り組んできた三つの維新をさらに進化させ、より高いレベルで安心と成長を実現していくため、県立総合医療センターの機能強化をはじめとする医療・福祉の充実や、県政の幅広い分野でのデジタル化の加速などに取り組んでまいります。 こうした県づくりの取組を進めるに当たっては、多様な主体との連携・協働が不可欠であり、私は、引き続き、県議会をはじめ市町や関係団体、企業、大学、そして県民の皆様と力を合わせて、一丸となって、より大きな成果を目指していきたいと考えています。 その基盤となるのが県民との信頼関係であり、これまでも、私は、公正・中立を旨とし、不偏不党の立場で県政運営に当たってまいりました。 また、従来の考え方や手法等に捉われることなく、その時々の諸情勢に応じ、見直すべきものは見直すという姿勢で、様々な事柄に対応してきたところです。 そうした中で、昨年末、庁内で公職選挙法の違反事案が発生いたしました。当該事案については、現在、外部の弁護士をトップとするチームが調査を行っているところであり、今後、その結果を基に、職員へのコンプライアンスの徹底をはじめとする再発防止の取組を実施してまいります。 このような事案を二度と起こさないことはもとより、なお一層誠実に県政運営に取り組むことを通じて、県民の皆様の信頼を回復し、向上させることができるよう、私自ら先頭に立って、その徹底に努めてまいります。 また、連携・協働による県づくりを進めていくためには、とりわけ、県政の主役である県民の皆様から幅広い御意見等をお聴きすることが重要であると考えています。 このため、私は、知事就任以降、県内各地で「元気創出!どこでもトーク」を開催するなど、あらゆる機会を捉え、率先して地域に出向き、様々な分野の方々と意見交換を行うとともに、県民の皆様の声や貴重な御提案を県政の運営と施策立案に生かしてまいりました。 しかしながら、二年前に始まったコロナ禍の中で、対面による活動が大きな制約を受けることとなり、残念ながら、こうした機会の多くも、現在、延期や中止を余儀なくされています。 コロナの感染状況が落ち着き次第、本格的に再開する予定としていますが、私としては、このほかにも実施している県民相談や県政世論調査等の広聴活動を通じて、引き続き、県民の皆様の御意見・御提案をしっかりとお聞きし、県政運営に反映してまいりたいと考えています。 次に、長期化するコロナ禍の影響を踏まえた経済対策についてのお尋ねにお答えします。 感染症の長期化による影響は、飲食業や観光業をはじめ取引業者など、幅広い業種の事業者に及んでおり、社会経済活動が著しく低迷するなどの課題も生じてきています。 このため、私は、来年度予算において、大きく落ち込んだ消費需要の喚起に取り組み、感染症の影響により傷んだ社会経済を力強く再生させ、本県の元気を取り戻してまいります。 まず、業種の限定なく様々な店舗の資金支援と消費需要の喚起を図る、頑張るお店応援プロジェクト事業では、クラウドファンディングの仕組みを活用し、多くの消費者にプレミアムつきチケットを購入していただけるよう規模を拡大し、過去最大となる発行総額三十億円で実施します。 実施に当たっては、より多くの消費者が購入できるよう、複数回に分けて募集を行うとともに、参加者の拡大に向け、募集期間をしっかりと確保した上で、インターネット広告の配信や地域情報誌による広報など、ターゲットに応じた実効性の高い手法により周知を図ってまいります。 また、クラウドファンディングはパソコン等により申込みを行う必要があることから、皆さんが取り組みやすいよう、支援方法等を動画やイラストを活用して視覚的に、より分かり易く説明するとともに、使用する際は、電子チケットか紙チケットを選択できるなど、利便性を高めることとしています。 さらに、各店舗においても、顧客の獲得や拡大につながるよう、店舗の事業者自らがプロジェクトのPRに加え、購入方法の説明などを行っていただけるように促してまいります。 次に、全国向けの観光需要喚起策として実施する「Go To やまぐち事業」では、宿泊料金等の割引を行うとともに、土産店等で利用できるクーポン券を発行することにしています。 その実施に当たっては、県の専用ウェブサイトに加え、テレビや新聞、雑誌等のメディアによる広報を行うとともに、事業に参加する旅行会社や宿泊施設の窓口等でのPRを行うなど、全国に向けて効果的な情報発信に努めてまいります。 また、中・四国、九州エリアで抽選販売するやまぐち割引宿泊券についても、テレビや新聞等、各種広報媒体を効果的に活用して周知を図るほか、多くの方が申込みできるよう、ウェブに加え、はがきによる応募も可能としているところです。 次に、県産農林水産物の需要回復・拡大と生産者の経営安定を図るため実施する「ぶちうま!キャンペーン」では、県産米の増量販売や、日本酒、花卉、高級魚加工品の割引販売を行います。 実施に当たっては、テレビCMや各戸配布のチラシ、特設ホームページの開設をはじめ、ぶちうまアンバサダーや地産・地消応援団「ぶちうま一〇〇」の方々にも御協力いただきながら、SNSでの情報発信を強化するなど、幅広く県民の皆様への周知を図ってまいります。 また、キャンペーンは、米や日本酒、花卉については、小売店で実施するほか、高級魚加工品は、県漁協のECサイトを主体に実施しますが、パソコン等が苦手な方には支店窓口でも柔軟に対応します。 私は、引き続き、感染拡大防止対策を講じながら、需要喚起策など必要な経済対策を適時適切に実施するとともに、支援策が一人でも多くの県民の皆様に届くよう、普及啓発に積極的に取り組んでまいります。 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 化学工業やセメント製造業など多くのエネルギーを必要とする企業が集積する本県では、産業部門・工業プロセス部門における温室効果ガスの排出割合が全国と比べて高く、これらの部門、とりわけコンビナート企業群におけるカーボンニュートラルへの対応は、県としても喫緊の課題です。 一方、二酸化炭素は化学品や合成燃料等への利用が期待されており、本県コンビナートは、そのための高濃度化技術や設備を備え、また、全国屈指の水素生成やアンモニア生産量を誇るなど、脱炭素社会をリードする大きな可能性を有しています。 既に、企業各社は、製造プロセスの高度化や燃料転換、新たな技術開発等に向けた挑戦を始めていますが、本県産業がさらなる成長を遂げるためには、こうした大胆な投資やイノベーション創出につながる企業の前向きな挑戦をしっかりと後押ししていくことが重要です。 このため、企業が挑戦しやすい環境の整備に向け、私が会長を務める山口県コンビナート連携会議において、企業等との連携の下、全国的にも優位な次世代燃料の製造技術等を生かしたコンビナート低炭素化構想の策定に取り組んでいるところです。 県では、これまで、岩国・大竹、周南、宇部・山陽小野田の各地域にコンビナート企業で構成する連携検討会議を設置して、企業の主体的な取組を促すとともに、全県組織である県コンビナート連携会議において、各地域の取組の共有を図るとともに、広域的な連携を促進してきました。 その結果、人材育成に係る教育カリキュラムの共有化や、工場立地法に係る規制緩和、さらには分解重油の新パイプラインの設置など、共通する課題の解決に向けた取組が進み、目に見える成果も出てきています。 構想の策定に当たっては、こうした成果の上に立ち、高度に最適化された製造工程でつながる各コンビナートにおいて、取組の方向性について議論を重ねているところであり、その検討状況を各地域が相互に共有しながら、地域間の広域的な連携を視野に入れた、コンビナートの将来像を描いてまいります。 また、カーボンニュートラルに向けては、本連携会議のほか、お示しの周南市水素利活用協議会や、大学が有する研究シーズを生かした山口大学グリーン社会推進研究会、徳山下松港におけるカーボンニュートラルポート検討会など、現在、複数の検討組織が活動を行っています。 これらの活動は、国や地元市町、学術研究機関など、多様な主体が、それぞれが有するリソースや専門的な知見を生かし、それぞれの分野における脱炭素化を目指すものであり、相互に連携することが効果的であることから、県としても、これらの組織に参画し、積極的な情報・意見交換を行っているところです。 こうした取組状況や情報については、企業機密に留意した上で、各企業の取組やコンビナート企業間連携、さらには地域間連携の促進につながるよう、これら会議等を通じて最大限の共有化を図るとともに、本県の進める取組について、地元市町等とも連携し、効果的な情報発信に努めてまいります。 私は、今後とも、国や市町、関係機関と一体となって、本県が有するポテンシャルを生かし、時代をリードする企業の取組を強力に後押しし、脱炭素社会の実現につなげてまいります。 次に、あらゆる差別や偏見のない社会の実現についてのお尋ねにお答えします。 人権の世紀と言われる今日、基本的人権の尊重を基本原理の一つとする日本国憲法の下で、幅広い人権問題への対応や、人権をより一層尊重した行政の推進などに取り組んでいくことが求められています。 このため、本県では、人権に関する取組の方向性を示す基本指針である山口県人権推進指針に基づき、県民一人一人の人権が尊重された心豊かな地域社会の実現に向けて、諸施策を総合的に推進しているところです。 この指針においては、県民全てが、自分の人格が尊重され、他人の人格を尊重して自由で平等な生活を共に営むことができるよう、一人一人がかけがえのない貴い命の主体者であるという、人間尊重を基本的な考え方として、取組を進めることとしています。 私は、これまで、こうした指針の考え方に沿って、常に県民の人権を尊重するという視点に立ち、様々な行政課題に対応してきたところです。 具体的には、新型コロナウイルス感染症への対応においては、感染された方やその御家族、医療従事者等への誹謗中傷や差別が大きな社会問題となる中で、こうした誹謗中傷や差別は絶対に行わないよう、私自ら県民の皆様へ繰り返し呼びかけを行ってまいりました。 また、SNS等の普及に伴い、インターネット上での特定個人への誹謗中傷が深刻化しており、その根絶に向けて、国や市町等と緊密に連携しながら、青少年を対象とした情報モラル教育や、インターネット利用者に対する意識啓発等の取組を強化しています。 さらに、LGBTなど性的指向や性自認を理由として困難な状況に置かれている方への県民の理解と認識を深めるため、性の多様性をテーマとするセミナーの開催や、リーフレットの作成等による啓発にも取り組んでいるところです。 こうした中で、お尋ねのあらゆる差別や偏見のない社会を実現していくためには、私は、まずは、人間尊重を基本的な考え方とする指針の周知を通じて、県民の人権意識の高揚を図っていくことが重要であると考えています。 そして、県民や地域、企業、団体等においても、それぞれが求められる役割に応じ、自主的・主体的に人権に関する取組を進めていく必要があると考えています。 このため、県としては、テレビ、ラジオなど各種メディアを活用した広報啓発を行うとともに、県や市町の職員をはじめ、県民、企業、団体等を対象とした人権研修の実施、人権ふれあいフェスティバル等の啓発イベントの開催などにより、積極的に指針の周知を図っているところです。 また、県民や地域、企業、団体等が指針への理解を深め、それぞれの役割を発揮していただけるよう、自主的な学習活動に活用できる研修教材の貸出しや講師の派遣、必要な情報提供などにより、引き続き、適切にその取組を支援していくこととしています。 私は、今後とも、人権推進指針に基づき、人権尊重の視点に立った県行政を積極的に推進するとともに、国や市町等と緊密に連携し、県民をはじめ、様々な主体の人権への理解を一層深めていくことにより、あらゆる差別や偏見のない社会の実現に向けて取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教員の多忙化解消と負担軽減についてのお尋ねにお答えします。 子供たちを取り巻く環境の変化を背景に、いじめや不登校への対応や学校教育に対するニーズなどが複雑化・多様化する中、教員の勤務の実態は厳しい状況にあり、その多忙化解消と負担軽減に向け、学校における働き方改革を推進することが重要であると考えています。 これまで、県教委では、平成三十年三月に学校における働き方改革加速化プランを策定し、業務の見直し・効率化、勤務体制の改善、学校支援人材の活用を三つの柱として、持続可能な学校の指導・運営体制の構築や、教職員のワーク・ライフ・バランスの実現に努めてまいりました。 具体的には、全ての県立学校へのICカードを利用した勤務時間管理システムの導入や部活動の在り方に関する方針の策定などの取組を行ってきたところです。 また、国事業を活用し、学校業務支援員や部活動指導員の配置を希望する市町教委を支援することで、教員の負担軽減を図ってまいりました。 こうした取組により、教職員の勤務時間に対する意識の向上や、時間外在校等時間の縮減等の一定の効果が得られたものの、学校では新型コロナウイルスへの対応等で新たな業務が生じるなど、依然として厳しい勤務の実態があり、引き続き、業務の効率化や削減を進めていく必要があると考えています。 このため、県教委では、昨年七月に加速化プランを改訂し、時間外在校等時間の上限である月四十五時間、年三百六十時間を超える教員の割合をゼロ%に近づけることを目標に掲げ、各学校における業務量の適切な管理に取り組んでいるところです。 具体的には、本県の強みであるICTの活用とコミュニティ・スクールの仕組みの活用を、改訂プラン全体を通した共通の視点とし、ICTの活用については、県教委が整備したタブレット端末などのICT環境や、令和四年度末までに全ての県立学校への導入が完了する統合型校務支援システムを活用し、校務の効率化を着実に進めてまいります。 また、コミュニティ・スクールの仕組みの活用については、学校運営協議会やPTAの会合等において、教職員の働き方に関する現状と課題を共有し、解決に向けて協議を行うなど、学校における働き方改革に対する保護者・地域の理解の促進と連携・協働体制の構築を図ることとしています。 県教委といたしましては、引き続き、学校支援人材の適切な配置に努めるなど、学校現場からのニーズが高い取組を進めるとともに、保護者、地域等の理解と協力を得ながら、市町教委や学校と一体となって、学校における働き方改革を推進し、教員の多忙化解消と負担軽減に努めてまいります。 副議長(二木健治君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十四分散会