1 今後の地域農業を支える農業法人等への支援強化について 2 農業用ため池の整備について 3 やまぐち観光振興支援パッケージの充実強化について 4 スポーツ振興における競技力向上支援について 5 商工会・商工会議所の支援力向上について 6 出先機関の体制・機能強化に向けた仕組みづくり等について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。 さて、先般の県知事選挙にて、村岡嗣政知事が三選を果たされ、また、県議会議員補欠選挙では三名の女性が当選され、新たな県議会議員となられました。皆様方に対し、私からも改めて心よりお祝いを申し上げます。 現在、コロナ禍により様々な制約がかかる中で、県政においては、県民生活、福祉の向上はもとより、商工振興や観光、東南アジア産業戦略など、本来大いに進めるべき事業について約二年間凍りついてしまっています。 コロナ禍がそうした未来戦略や新たなチャレンジ事業の進捗をベールに包み、進捗状況が全く見えない、見通せない状態になってしまっています。 県政運営における次のステージは、直面するコロナ対応はもちろん、コロナだからできないだけではなく、いかにあらゆる事業におけるウイズコロナ対応へのギアのシフトチェンジを県民の多くの皆様に実感してもらえるか、そうした事業の進め方が大いに期待され、求められてくると感じます。 再選された村岡知事には、そうしたリーダーシップを期待をして、通告に従いまして一般質問を行います。 最初に、今後の地域農業を支える農業法人等への支援の強化についてお伺いいたします。 他県に比べて農業従事者の減少、高齢化が進んでいる本県では、集落の農地は集落で守るという理念の下、集落営農法人の設立を進め、地域の農業が将来にわたって維持、発展できるよう、足腰の強い経営体づくりに取り組まれてきました。 県やJAなど関係機関が一体となり、こうした力強い将来の方向性を示されたことで、多くの農業関係者からの理解も得て、また、関係各位の御努力もあり、現在では県下に三百近くの集落営農法人が設立されました。 これらの法人は、国や県の支援策を活用しながら、営農施設の建設や農業機械の導入等を進め、各地域の農業を支えるほどに成長してきましたが、近年では、施設の老朽化や法人構成員の高齢化が進み、法人の維持、存続が困難となる事例も多数見受けられるようなりました。 これまで法人等を支援する役割を果たしてきた国の補助事業は、現在、経営面積の拡大率や新規就農者の有無などに基づくポイント制により採択先が決定される仕組みになっており、規模の小さな法人や、後発の法人等においては、地域の農業を将来は牽引していきたいという大きな志を持っていても、国事業の活用が難しい状況にあるようです。 このため、今後、地域の中核となるべく意欲をもって生産活動に取り組んでいるものの、ポイント制が障壁となり、国の補助事業が採択されず、機械の導入ができなかった一部の法人からは、規模の大小や実績の有無にかかわらず、意欲ある後継者・生産者の育成に向けた支援策づくりに向き合ってほしいとの声が上がっています。 また、法人構成員の高齢化により、営農の維持が難しくなっている法人も増えており、こうした状況を克服していくために、県では、複数の集落営農法人が連携する連合体を設立し、法人より、より強固な組織体制や経営基盤を持つ経営体を作ることで、存続に意欲ある地域の農業を守っていく取組を進めておられます。 私の暮らす長門市においても、地域によっては連合体が設立され、将来を見据えた取組が進められていますが、大部分の地域では農業関係者の議論が現在のところまとまらず、今後の方向性が定まらないため、連合体設立などといった地域農業の将来像づくりに向けた合意形成が進んでいない状況です。 地元関係者からは、地域農業の存続に当たっては、個人や法人単体の枠を超えて、地域全体で目指すべき将来像を描くことが必要であり、様々なしがらみを抱えている地元だけに任せるのではなく、行政がもっとイニシアチブをとって、提案、調整を進めてほしいという要望も上がっています。 県では、これまで地域農業を守るため、地域の中核となる経営体への農地集積を進め、強い経営基盤に基づく持続可能な農業を実現できるよう、様々な支援策を展開されてきましたが、地域や法人、個人によっては、それぞれの事情から、こうした支援策を活用できず、地域での農業生産について、伸び代のある者を伸ばしきれないといった事例も多数あります。 私は、県内各地で将来に不安を抱える農業者が、今後も意欲をもって農業を展開していただくためには、地域や法人、個人が一緒になって、地域農業の未来図を描き、それを共有し、目標に向けて経営基盤を強化できるよう、行政やJA等関係団体が今以上に地域に寄り添い、農業関係者の理解を深めていく作業をしていくことが不可欠であると考えます。 そこでお尋ねいたします。農業従事者の減少、高齢化が進む中、地域農業を守っていくには、地域が農業の将来像を描けるよう、県がリーダーシップを発揮して、市町の考えも尊重しながら、地元地域の合意形成を支援し、地域を牽引する強い経営体づくりを地域農業の関係者に対し、目に見える形で進めることが必要と考えますが、県として今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、農業用ため池の整備についてお伺いいたします。 本県には現在、全国五番目となる約八千か所の農業用ため池があり、県内各地の農業の貴重な水源として活用されています。 これらのため池の中には、老朽化が進み、決壊すると下流の人家や公共施設等に被害を及ぼすと懸念されるものもあり、県ではこうした防災重点農業用ため池について、国の特別措置法を踏まえ、令和十二年度までに集中的かつ計画的に整備を推進することとされています。 こうした中、私の地元でも現在、崩ノ河内第一ため池の改修工事が進められています。 崩ノ河内第一ため池は、長門市西深川地区に位置し、二十六・二ヘクタールの田畑をかんがいする重要な水源となっています。 下流域には、個人で広大な農地を有し、意欲的に耕作をされている専業農家も多く、工事により農業用水の確保に支障を来すことがあれば、そうした皆様が展開する農業に甚大な影響を与えてしまいます。 このたびの改修に当たっては、県の御尽力もあり、地元の意向を最大限に尊重していただき、他所から水源を確保しながら工事が進められてきました。 県には、引き続き地域の皆様の声に向き合った着実な事業推進をお願いしたいと考えていますが、私は今回、その地元の皆様からお話を伺い、改めてため池はもとより、受益農地全体を見据えた農業用水確保の大切さを痛感いたしました。 この崩ノ河内第一ため池から農業用水として確保された水は、準用河川である五十鈴川に流れ込み、そこから複数ある取水堰を通って農業用水路に入り、付近一帯の田畑を潤しています。 水源であるため池から末端の田畑までは、長いところで数キロメートルに及び、途中、流れが遮られてしまえば、田畑へのかん水が不十分となり、耕作に支障を及ぼしかねません。 水不足は、営農の停滞を招き、収入源の喪失へとつながります。安定した営農活動には、水源確保と併せた農業用水の流路確保は欠かせないのです。 しかしながら、下流域の五十鈴川や農業用水路では、至る所にヨシが茂り、土砂も堆積しています。 現在、営農に必要な水量は何とか確保できておりますが、これ以上流量が減ってしまえば、営農が困難となることも懸念され、年々老朽化・荒廃化する河川や水路の流路確保は待ったなしの問題となっています。 このような事例は、県下各地でも想定されることから、私は今こそ意欲ある生産者の営農活動を支えるために、水源となるため池整備に当たっては、ため池の危険除去という点だけでなく、用水系統全体を見渡した用水路網の機能保全の取組も併せて進めるべきと考えます。 防災のためのため池整備と農業用水の流路確保は、整備の目的が異なることは十分存じておりますが、住民目線で見れば、ため池と流路確保は切っても切り離せない一体のものであります。 また、水利施設はそれぞれ管理者が異なっているため、地元住民の理解を得ながら、市町などととも連携し、受益農地全体の生産性が維持されるよう計画的に取り組む必要もあります。 そこでお尋ねいたします。施設の老朽化や土砂の堆積などから、農業用水の安定確保が懸念される地域がある中、意欲ある生産者の営農活動を将来にわたって支えていくために、県として用水系統全体を見渡した農業用ため池の整備に、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、県が進めているやまぐち観光振興支援パッケージの充実強化について、お伺いいたします。 昨年十一月の定例会で、本県観光の再生に向けた支援パッケージが成立しました。コロナ禍で繁忙期の観光需要獲得が十分にできなかった令和三年の挽回を図るべく、宿泊施設の高付加価値化支援や観光需要喚起策、バスツアー企画旅行造成支援など、我が党の提言を施策に落とし込んでいただいたことに感謝いたします。 この支援パッケージは、来るべき第六波の到来を想定し、そうした中でもある程度、事業が継続できるように事業構築されたため、国内旅行需要の回復傾向と相まって、観光事業者も今後への期待を高めていたところですが、年末以降のオミクロン株の予想をはるかに上回る蔓延で状況が一変しました。 支援パッケージのうち、底堅い需要喚起策として期待の高かった旅々やまぐち割までもが、一か月半にわたって一時停止される事態に至り、多くの事業者の窮状にあえぐ声を直接伺ったところです。 この旅々やまぐち割は、まん延防止等重点措置の適用が終了した翌日の二月二十一日より、ようやく再開されたところですが、毎年二月はもともと閑散期であり、現在の苦しい時期をいかに乗り切り、次の春の行楽シーズンという繁忙期に経営をつなげていくか、経営者は日々頭を悩ませておられます。 県の観光GDPをイメージするため、県民経済計算を参考に、観光に関連する宿泊、飲食サービス業や運輸業のGDPを単純に足し上げてみると、コロナ禍前の平成三十年で約五千二百億円と県のGDPの八・二%を占める規模であり、観光が県経済の主要なエンジンの一つと言っても過言ではありません。 また、観光業の中でも宿泊業は、巨大な施設を有する装置産業であり、人・物が動くことによって事業が成立する産業でもあります。特に、観光地の多い北浦地域においては、雇用の面で大きな受皿となっていますが、コロナと闘っている二年は金融支援等を受けながらの苦しい経営を余儀なくされています。 今後もコロナウイルスのパンデミックの頻発に客足が大きく左右される業界ゆえ、事業者自身の努力だけでは到底この荒波は乗り越えることはできないのです。 現在、やまぐち観光振興支援パッケージによる支援期間は、令和五年三月までとなっておりますが、観光事業者の方々は、このパッケージの支援期間の延長や支援内容の拡充に対して、大きな期待を持っておられます。 観光需要喚起策や、好評につき早々に予算額に達し募集を終了した宿泊施設の高付加価値化等支援事業などを、今後も状況に応じてより改善した形で適時適切に実施していくと同時に、業界に寄り添った支援をしていくという姿勢・メッセージを示すためにも、さらにパッケージ支援を強化していく必要もあります。 そこで、人口減少が進む本県における重要な成長産業であるとともに、地方創生の切り札でもある観光業の着実な再生に向けて、今後、やまぐち観光振興支援パッケージの充実強化を図りながら、どのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、本県のスポーツ振興における競技力向上支援についてお伺いいたします。 スポーツの振興については、身近な生活の場にスポーツを取り入れていく生涯スポーツの推進や、県内外から競技を楽しみに来られるスポーツ関係の人口の拡大による振興、また、県や国、そして、世界にも通用する選手を育てる、いわゆる競技力向上のための育成・環境づくりなど多角的な振興の視点があります。 生涯スポーツの推進については、本県では現在「スポーツで創ろう みんなの元気 山口県」をキャッチフレーズに、県民が生涯にわたって、それぞれの関心や適性などに応じて身近にスポーツを親しむことができる取組を進められ、スポーツに親しみやすい環境づくりに取り組むスポーツ元気県やまぐち推進団体を五百八十八団体認証するなど、その成果は着実に上がっていると感じています。 スポーツ関係の人口の拡大については、レノファ山口など県内のトップスポーツクラブと連携を図りながら、ホームゲーム観戦者増はもとより、選手との交流イベントの開催など、交流人口の拡大に向けて取り組んでおられます。 また、全国大会や世界大会で本県選手が活躍する競技力向上を進める環境づくりによる振興という面では、高等学校における六十五の部活動の強化拠点校指定や、大学や企業などのトップスポーツクラブ指定など、有望な特定競技の支援制度が進められています。 しかしながら、私は、観光スポーツ文化部というように、スポーツ部局のある本県として、この部局が競技力向上の環境づくりに対して、次代の本県を担う子供たちから競技力を育むという視点をもって、今以上にリーダーシップを発揮して、高等学校や大学などの教育機関や、自治体や企業等とも連携し、競技力向上のための取組の中身を深掘りしていく必要があるのではないかと考えます。 例えば、高等学校で言えば、私立高校では、独自のカラーをより鮮明にしていこうと、学校側が主導して特定の競技に力を入れ、成果を上げているケースがあり、県立高校では、地域や地元企業が関わって、大津緑洋高校のラグビーや徳山商工高校のハンドボール、柳井商工高校のバドミントンなど、大きな成果を上げている事例もあります。 こうした高校には、県外からも生徒が入学してきますし、大学で言えば、長年、本県を牽引している徳山大学も同様に多くの有望選手が入学し、卒業後もそのまま本県にとどまるなど、定住人口の増加にもつながっているところです。 また、私の地元では、大津緑洋高校のラグビー部の取組を縁とした、ラグビーワールドカップキャンプ誘致や女子ラグビー、ながとブルーエンジェルスの拠点などのように、競技力向上に向けた取組が結果として交流人口の拡大にも寄与するなど、地域振興の有力なツールになっているところであり、こうした競技力向上による好循環は、県下に拡大していくべきと考えます。 そのためには、県として、これまで以上に、私立高校はもとより、県立高校の成功事例も積極的に横展開する必要がありますし、周南公立大学に変わっても、同大学が培っていた有望選手や指導者の確保などのノウハウが失われることがないよう、地域や大学の意思を尊重した的確な支援で、県としても引き継がせていくことが、競技力向上の進展のために大切だと感じています。 また、あわせて競技力向上に意欲ある優れた指導者の下で、選手の育成や可能性を秘めた未発掘の人材を導き出すため、若い世代の競技力向上を支えている教育部局等の取組ともリンクさせていくような、県観光スポーツ文化部の施策づくりが求められるのではないでしょうか。 今後の競技力向上に向けた県の支援が、県内市町はもちろん、現在、現場で指導に当たられている指導者の思いにも向き合い、また、選手一人一人に対しても、きめ細やかなサポートが提供でき、関係者が同じ目標を共有していけるよう、観光スポーツ文化部の施策推進に期待しています。 そこでお尋ねいたします。県として、スポーツ振興における競技力向上支援にどのように取り組んでいくのか、お伺いいたします。 次に、商工会・商工会議所の支援力向上についてお伺いいたします。 コロナ禍の影響が長期化・深刻化する中、困窮する事業者を県内各地域の最前線で支援する商工会・商工会議所の果たすべき役割は、ますます重要なものとなっています。 商工会議所等は、各種給付金等、県事業の手続の一時的窓口としての役割を果たしていることもあり、事業者からの期待の高まりも強く感じているところです。 先日、地元商工会議所の経営指導員が、県の宿泊施設の高付加価値化等支援補助金の申請をサポートする場に立ち会う機会がありました。申請者は、こうした手続に大変不慣れではあるものの、この補助金を活用し、停滞する事業を何とか前に進めたいという思いを必死に経営指導員に伝えておられました。 経営指導員は、その思いを受け止め、申請に必要となる事業計画の作成を支援され、こうした場を目の当たりにし、事業者の皆さんの商工会議所等に対する期待、また、これまでも私が強く訴えてきた伴走支援の必要性についても改めて深く感じた次第です。 また、売上げが減少する事業者に対する県の支援金は、商工会議所等の会員事業所だけでなく、会員外の小規模事業者や農業者、漁業者等も支援対象となっていますが、各業界の組合・団体等は各地域の窓口とはなっていないため、積極的な施策の広報が行われない中、地域における施策普及の鍵を握るとも言える商工会議所等の周知に対するさらなる取組を期待するといったお話も伺っています。 地元で、農、水、商工サービス事業者から実際に相談を受け、こうした状況を身をもって感じてきた中で、私は、コロナ施策に限らず、地域に県の施策普及の核となる商工会議所等窓口の体質・体制強化は、今後ますます求められてくると考えています。 商工会議所等は、コロナ関連だけでなく、事業承継、販路開拓などコロナ禍以前からの様々な課題に対しても、国、県、市町と連携し、言わば現場における実行部隊として、その支援に懸命に取り組んでおられます。 しかしながら、現場のスタッフからは、業務が年々増加、多様化する中、伴走支援をはじめとするきめ細かな支援を維持する上で経営指導員等のマンパワーが大きく不足している。人員増などにより、そうした状況が改善されなければ、新型コロナ対応や、経済再生、アフターコロナを見据えた様々な取組に対しても消極的にならざるを得ないといった声も頂いています。 新型コロナを克服して、地域経済を再生させるためには、せっかくの国、県、市町の行う支援策をより広く、そして、よりスムーズに地域の事業者、関係者に浸透させ、実効ある支援にしなければなりません。 施策をつくるだけでなく、その施策自体が真に支援を必要とされている方々へ届けなければならないのです。 そのためにも事業者に一番近い相談窓口として、事業者に寄り添い支援を行う商工会・商工会議所の個々の事業者に対する支援力を維持・向上させることは不可欠です。商工会議所等が持てる力を存分に発揮できる環境を整えるための県の手厚い支援は不可欠だと考えます。 そこでお尋ねします。商工会・商工会議所の県内事業者個々への支援力向上や、県施策の実行部隊かつ地域経済の牽引役として、今まで以上にその役割を果たしていただける環境づくりに向け、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 最後に、出先機関の体制・機能強化に向けた仕組みづくり等についてお伺いいたします。 市町と比べて相対的に住民と接する機会の少ない県の機関の中において、県内各地に知事部局で七十三か所ある県の出先機関は、県民に県の行政の存在意義を直接感じていただくことができる重要な機関・組織であります。 県出先機関は、平時においては、それぞれ特色ある県内各地域の県民生活や産業振興等、県政への窓口としての機能を果たすとともに、災害時や緊急時には、現場の住民に寄り添い、生命と財産を守るために即応的かつ機動的な対応を取る中心的な機関として、多くの県民は期待しているところです。 こうした中、コロナ禍の現下、県民の命を支える機関である健康福祉センターを数か所訪ね、お話を伺う機会がありました。 コロナ第六波の最前線に立つ健康福祉センターでは、感染者や濃厚接触者の行政検査はもちろん、接触者外来への受診調整や検体の搬送、医療機関との調整や交渉、市町との情報共有や毎日の入院患者の病状把握、そして、三つの患者管理システムへの入力などの業務が格段に増えているとの説明を受けました。 実際、私が訪問した時期は、一時期より感染者数が減少していたため、混乱した様子ではありませんでしたが、それでもひっきりなしに鳴る電話や、患者の処遇を仰ぐために所長室に間断なく出入りする職員の方の姿を拝見し、現場の緊張感や苦労の一端を強く感じた次第です。 コロナ対応は、深夜まで及ぶそうですが、何よりもつらいのは、この闘いの終わりが見通せないことだそうで、職員の方の心身の疲労は、とても計り知ることができませんし、想像を超えた負担がのしかかっているのではないかと思われます。抜本的な体制強化が急がれます。 同様に、農林水産事務所においても、専門的な知識を有する職員が減少しており、地域の期待に速やかに応えることが難しい状況となっているとも言われております。 今後、知事が熱心に進められているデジタル社会の実現を目指す上では、知事もおっしゃっているように、誰一人取り残されないことが肝要であり、また、二○五○年カーボンニュートラルや山陽側と山陰側の地域格差の問題など、本県が抱える多様な問題に対応するためには、声の届きにくい地域に県自らが寄り添う必要もあります。 特に、県では、知事の御英断により、コロナの感染拡大に対応すべく、行財政構造改革を一時凍結され、財政面では様々な対策を適時適切に打ち出しておられますが、こうした対策が県下くまなく効果を上げるためには、組織面の対策も不可欠であり、すぐに体制強化を図ることが難しいにしても、緊急時などには機動的な応援体制を取られる仕組みを整える必要があると考えます。 そこでお尋ねします。県民と接する最前線の県出先機関が、これからも県民の期待に十分応えるためには、その体制・機能強化を図るとともに、緊急時には出先機関を支える仕組みづくりも重要だと考えますが、今後、県はどう対応していかれるおつもりか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の御質問にお答えします。 まず、今後の地域農業を支える農業法人等の支援強化についてです。 県土の七割を中山間地域が占め、小規模経営が多い本県農業を持続的に発展させるためには、新規就農者の確保とともに、地域を単位とする法人経営体を核とした生産構造への転換を図ることが重要です。 このため、私は、これまで担い手支援日本一の取組に加え、JAなどの関係団体と連携し、多様な担い手が活躍できる集落営農法人の育成や、複数法人の連携が可能となる連合体の形成を積極的に推進してきたところです。 一方、お示しのとおり、担い手の高齢化等が進み、地域農業の将来に向けた合意形成が進んでいない地域もあることから、県や市町が積極的に関わりながら、地域や法人、個人が共に将来の姿を描き、そこで明らかになった課題を解決していく必要があります。 こうしたことから、私は、市町等の関係機関と連携し、地域営農のビジョンづくりをサポートするとともに、その実現に向けて支援体制を強化することとしています。 まず、ビジョンづくりのサポートについては、地域の話し合い活動を加速するため、国が新たに創設した事業を活用しながら、県や市町の担当者が直接地域に出向いて地元関係者との調整役を担うなど、地域にしっかりと寄り添いながら、ビジョンの作成を支援します。 また、集落営農法人連合体を目指す地域に対しては、県下に配置した連携推進コーディネーターが、県内の先発事例の紹介や法人間の課題の共有化等を行いながら、地域における合意形成を促進します。 次に、支援体制の強化については、地域農業が直面する収益向上や担い手確保などの課題を一体的に解決できるよう、来年度、新たに山口県農業経営・就農支援センターを県に設置し、専門家の派遣や関係機関による伴走支援を行います。 また、このたび、新規就業者向けの国の給付金制度が見直されたことを踏まえ、地域内での後継者育成が一層進むよう、本県独自に対象期間や支給額を拡充するとともに、機械・施設などの整備については、その内容に応じて、活用できる事業等を提案するなど、きめ細かな支援を行っていきます。 私は、地域や法人、個人が将来に向けて経営を継続・発展できるよう、リーダーシップを発揮し、市町やJA等との連携の下、地域等の思いや実情を十分に踏まえながら、地域を牽引する強い経営体づくりに全力で取り組んでまいります。 次に、やまぐち観光振興支援パッケージの充実強化についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルス感染症の度重なる感染拡大により、宿泊をはじめとした観光需要が大幅に減少する中、とりわけ年末以降のオミクロン株の急拡大に伴い、多くの宿泊施設が休館を余儀なくされるなど、本県観光産業は一層厳しい状況に置かれています。 私は、コロナ禍で傷んだ地域経済を力強く再生していくことが必要であり、そのためには、その屋台骨を支える観光産業の早期回復が極めて重要であると考えています。 このため、観光需要の喚起や宿泊施設の高付加価値化への支援等、総合的な支援策として、昨年十一月に創設した、やまぐち観光振興支援パッケージについて、取組の充実強化も図りながら、迅速かつ適切に実施することとしています。 具体的には、まず、宿泊をはじめとした需要喚起策である旅々やまぐち割や、やまぐち割引宿泊券については、先月二十日のまん延防止等重点措置の解除後、その翌日から直ちに事業を再開するとともに、利用期間を延長し、長期間にわたってしっかりと観光需要の喚起を図ることとしています。 また、さらなる支援策として、新年度、国の事業を活用した全国規模の需要喚起策である「Go To やまぐち事業」を実施することとしており、支援パッケージと併せて切れ目なく取り組むことにより、観光事業者の反転攻勢を強力に後押しします。 さらに、宿泊施設の高付加価値化等については、新たに開設した観光事業者向けの支援窓口を活用し、支援策の周知や働きかけに取り組み、宿泊事業者の積極的な設備投資につなげたところであり、引き続き現場のニーズ等を踏まえながら、適時適切な支援に努めていくこととしています。 私は、今後とも、感染状況や経済動向を見極めつつ、市町や関係団体等と緊密に連携し、観光事業者にしっかりと寄り添いながら、本県観光産業のV字回復に向けて、全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)農業用ため池の整備についてのお尋ねにお答えします。 生産者の経営継続に向けては、生産基盤であるため池や水路などの農業水利施設の機能が安定的に発揮される必要があることから、県ではこれまで、老朽ため池の計画的な整備や、地域ぐるみで行う泥上げや補修等の水路保全活動への支援など、施設の適切な管理・保全を推進してきたところです。 こうした中、担い手の減少や高齢化などを背景として、近年、管理が行き届かず、今後の生産活動への影響も懸念される施設が増加している現状を踏まえ、ため池と併せて、用水の安定供給に欠かせない水路や取水堰等の機能保全の取組を一体的に強化していくことが重要です。 このため現在、計画的に実施している防災重点農業用ため池の整備に当たっては、市町や土地改良区など施設ごとに異なる管理者とも十分連携を図りながら、併せて用水路等の機能保全に必要な対策を検討・実施するとともに、施設の適切な保全管理に向けた体制を構築することとしています。 まず、対策の検討については、ため池改修等の実施計画を策定する段階において、用水の利用実態や今後の営農計画を確認するとともに、ため池から受益農地までの用水経路上にある各施設の劣化状況や通水能力の調査を行うなど、用水系統全体にわたり施設ごとの現状を詳細に把握・評価します。 その上で、施設の劣化状況と中長期的なリスクに応じて、補修や更新、施設の統廃合など、適時適切な機能保全の対策を検討し、各施設管理者との役割分担の下で、地域ニーズを踏まえた整備を計画的に実施していきます。 次に、保全管理体制の構築については、地域ぐるみの保全活動を支援する多面的機能支払制度の効果的な活用や、こうした活動を行う組織の合併等による体制強化を推進します。 県としては、意欲ある生産者の営農活動を将来にわたって支えていくため、市町や土地改良区等と緊密に連携し、地域住民の声にしっかりと向き合いながら、用水系統全体を見渡した農業ため池の整備に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)スポーツ振興における競技力向上支援についてのお尋ねにお答えします。 全国大会や国際大会での本県ゆかりの選手の活躍は、県民に夢や感動を与え、県全体の活力を生み出すことから、県体育協会を中心に、各市町や競技団体、教育機関等と連携を図りながら、計画的な選手の育成強化等を通じて、競技力の向上に取り組んでいるところです。 こうした中、県では、コロナ禍の影響により、多くの大会や日々の練習環境が制約される中で、さらなる選手の育成強化を図るため、デジタル技術も活用しながら、指導者の養成や資質向上を一層進めるとともに、選手の特性に応じたきめ細かなサポートを強化することとしています。 まず、指導者の養成や資質向上に向けては、お示しのとおり、教育機関と十分に連携し、有望競技の強化拠点校等に対して、練習や試合の映像を基に、チーム戦略や選手ごとの課題を分析できるソフトを導入するなど、より科学的な指導が行える環境整備を進めてまいります。 また、全国トップレベルの指導者を招聘した研修会を開催するとともに、有望な若手指導者を県外の強豪チームに派遣するなど、県内指導者の指導力向上に向けた取組を積極的に展開することとしています。 次に、選手に対するサポートについては、県体育協会のスポーツ医・科学サポートセンターに配置した、フィジカル、メンタル、栄養の各分野の専門家が教育機関や医療機関と連携し、一層の取組強化を図ることとしています。 具体的には、運動能力やコンディション、栄養状態等を可視化できるデジタル機器を導入し、部活動において、選手の特性に応じた練習メニューを提供するとともに、医療機関とも連携し、オンラインを活用した個別相談を行うなど、きめ細かなサポートを実施することとしています。 県としては、本県スポーツの振興が一層図られるよう、県体育協会を核として、各市町や競技団体、教育機関等と一体となって、競技力の向上に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)商工会・商工会議所の支援力向上についてのお尋ねにお答えします。 商工会・商工会議所は、地域中小企業の最も身近な支援機関として、経営改善普及事業や地域産品開発など、地域経済の活性化に向けた様々な事業を総合的に実施しています。 こうした中、コロナ禍において、国や県等のコロナ関連の補助事業の申請支援を担うなど、商工会等の重要性はますます高まっていることから、その役割をこれまで以上に発揮できるよう、人材の確保・育成や支援力の向上などの環境整備に取り組むこととしています。 具体的には、まず、人材の確保・育成に向けて、事業者支援の核となる経営指導員等の配置に係る経費を十分に確保するとともに、DXを活用した事業者の成長支援に関する研修経費の補助など、経営指導員等の資質向上への支援を行ってまいります。 また、ウイズコロナ、アフターコロナにおいても、施策を着実に実施するため、その実行部隊である経営指導員等の配置に係る財政支援を拡充するよう、引き続き全国知事会等を通じて国に要望してまいります。 次に、支援力の向上に向けては、県や商工会等の支援機関相互の連携が重要であるため、関係支援機関の情報交換会の開催や中小企業の支援課題の共有等のネットワークの強化に向けた取組を行うこととしています。 特に、来年度は、コロナ禍で廃業が懸念される中小企業の早期事業承継に向けて、各地域に新たに経営課題診断員を派遣し、きめ細かく経営診断の把握や診断を行うこととしており、商工会等との連携を通じて課題等の共有をしっかりと図り、さらなる支援力の向上につなげていきたいと考えています。 県としては、地域中小企業が持続的に成長・発展できるよう、今後とも商工会等の支援力向上やその力を発揮できる環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)出先機関の体制・機能強化に向けた仕組みづくり等についてのお尋ねにお答えします。 将来にわたって、安心で希望と活力に満ちた山口県をつくり上げていくためには、自立・安定的な行財政基盤が不可欠であり、社会経済情勢の変化等に対応した簡素で効率的な組織体制の構築が重要であると考えています。 こうした考え方の下、県では、組織のスリム化や業務量の削減等を踏まえた定員管理を行う一方、児童虐待相談件数の増加や災害復旧への対応等、時々の行政課題や県民ニーズに対しては、出先機関に重点的な職員配置を行うなど、体制強化にも取り組んできたところです。 特に、新型コロナの感染拡大以降は、行財政構造改革の取組を一時凍結し、大きな負担が生じている保健所において、保健師の増員により体制強化を図るとともに、相談対応等の業務を積極的に外部委託するなど、職員の負担軽減にも努めてきました。 さらに、来年度からは、山口健康福祉センター防府支所を防府保健所に改組し、医師の所長を配置することにより、健康危機管理体制の一層の強化を図ることとしています。 こうした体制の整備に加え、感染者の急増等により業務が逼迫する保健所には、ほかの所属職員を応援派遣し、保健師の補助業務等に充てるなど、全庁を挙げた応援体制により対応してきています。 また、農林水産部や土木建築部においては、技術的研修の実施や定年退職した職員の再任用等により、専門的な知識・技能の継承に努めているほか、災害等の発生時には、現場の出先機関に、本庁等から技術職員の派遣や業務の一部支援を行うなど、出先機関を支える対応を行ってきています。 このように、出先機関が県民ニーズに十分応えるための仕組みやノウハウが、県庁の各分野に蓄積されてきていることから、今後もこれらを積極的に活用し、機動的かつ柔軟に対応してまいります。 今後とも、出先機関の適切な体制整備と機能強化を図るとともに、緊急時には、出先機関の支援を迅速に行うことにより、県民サービスの適切な提供に努めてまいります。