1 新型コロナウイルス感染症の対応について 2 中小企業支援について 3 県の特産品の海外へのPR等について 4 脱炭素化社会の実現について 5 高度な医療人財の確保・育成について 6 いじめ問題の根絶に向けた教育について 7 警察施設の充実による県民の安全・安心の確保について 8 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第五十七号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第五十七号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 井上剛君。 〔井上剛君登壇〕(拍手) 井上剛君 皆さん、こんにちは。民政会の井上剛です。 早速ですが、質問をさせていただきます。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症の対応についてお伺いします。 一点目は、ワクチン接種についてです。 ワクチン接種によって得られた抗体量は、時間とともに減少することが確認され、現在、三回目のブースター接種も実施されています。 知事は、希望する方の接種を四月末までに完了することを目指す方針を示されています。 今回の接種期間では、いろんな方が接種対象であり、混乱が予想されています。三回目の接種の方、これまで様子を見て初めて接種を受けようとする方、五歳から十一歳までの初めて受けられる子供さんなどです。 十八歳以上の三回目接種では、モデルナ社製は従来の半分の量になっています。 また、五歳から十一歳までが接種するファイザー社製では、十二歳以上と薬液量も希釈液量も違っており、厚生労働省も別の種類のワクチンとして取り扱うように求めています。 一般の医療機関では、今はファイザー社製を使っていますが、数が少ないことから途中からモデルナ社製に切り替わる可能性もあります。 また、テレビでは、ファイザー社製とモデルナ社製での接種や、交互接種での効果や副反応について取り上げられていますが、最初にアストラゼネカ社製のものを接種した方の情報が少なく、不安に思っている方もいらっしゃいます。 こうしたいろんな条件が重なる中で、混乱を起こすことなくスムーズに接種を進めていくために、県は、国や各自治体、医療関係者などとどのように対応されていくのか、お伺いいたします。 二点目は、今後の対応についてです。 昨年の十一月から暮れにかけては、ワクチン接種も進み、全国の新規感染者も二桁の日もあり、このまま収束していくのかとも期待しました。 しかし、年が明けてからのオミクロン株による爆発的な感染者の増加は、御案内のとおりです。 オミクロン株による第六波では、今までより重症化が軽いため、本県では事前の病床確保により、大きな医療逼迫の事態を招くようなことにはなっていません。 自宅療養となった方も一日に二千人以上にも達しましたが、電話による医師の観察、パルスオキシメーターの貸出し、生活必需品の配達などによって大きな問題を起こすことはありませんでした。 対応を準備してこられた県の関係者、御支援いただきました関係する皆様に心から感謝いたします。 世界中に広がった新型コロナウイルスは、今後も変異を繰り返すと考えられます。既にオミクロン株より感染力の強くなったステルスオミクロン株も確認されています。 この感染症に対する経口薬も、国内外で開発・承認中であり、年内には供給量も増える予定であり、それが十分に行き渡ることで、感染しても薬事対応が可能となれば、感染症上の分類も変わってくるものだと思います。 そして、長期間に効果が持続するワクチンが開発される、またはウイルス自体の病原性が低くなって重症化する割合が下がれば、ただの風邪と同じ扱いになるのでしょう。それまでは感染の波を繰り返すことが考えられ、感染者の年齢や症状、ワクチン接種の有無や接種からの経過時間などで対応していかなくてはならないと考えます。 また、ワクチンによって得られた抗体価も、ブースター接種後も減弱していくことも想定され、さらなるワクチン接種の影響と必要性などの研究も進め、数年はワクチン接種と経口薬で、この感染症を抑え続けていかなくてはならないのかもしれません。 県として、新型コロナウイルス感染症の今後をどのように考え、県民の命と安全を守るために、どのように国や医療機関と連携、準備・対応していかれるのか、お伺いいたします。 二点目は、中小企業支援についてお伺いします。 一点目は、県制度融資の経営安定資金についてです。 東京商工リサーチの発表によりますと、二○二一年の負債総額一千万円以上の全国企業倒産件数は、前年比二二・四%減の六千三十件で、一九六四年の四千二百十二件に次ぐ五十七年ぶりの低水準となり、負債総額も約一兆一千五百七億円と、一九七二年以降、五十年間で三番目の低水準にとどまったそうです。 倒産件数も負債規模も低水準となったのは、コロナ関連の支援策の効果とされています。 しかし、小規模事業者の倒産件数は増加傾向にあり、新型コロナ関連倒産は前年の七百九十九件から倍増となる千六百六十八件で、二○二○年二月からの累計は二千四百六十七件に達しています。 帝国データバンク山口支店によりますと、本県においても、昨年一年間に一千万円以上の負債を抱えて倒産した企業は四十五件と、統計を取り始めて以来、過去最少となりました。同支店の佐藤支店長さんも、財政状況が比較的良くても、経営を安定させるためにコロナ対策の融資を受けている企業も多く、政府の金融支援の効果は間違いなく現れていると分析されていました。 しかし、オミクロン株の感染拡大による需要の激減、原材料費の高騰など、経営環境はさらに悪化しています。 我が防府市でも、創業七十周年を迎える水産練り製品製造販売の会社が、新型コロナウイルス感染症による需要の激減、原材料費の高騰により、一月末で事業継続を断念されました。いろんなイベントにも積極的に出店し、魚ろっけは、防府市民のソウルフードとなっていただけに残念でなりません。 本県の中小企業対策では、頑張る事業者リスタート補助金では、約千八百件を交付決定し、多くの事業者の感染症対策やコロナに対応した事業展開などの取組を支援されています。 一方で、県制度融資の経営安定資金については、国の経済対策に呼応し、伴走支援枠における融資限度額を六千万円まで引き上げ、融資枠も四百二十億円から四百五十億円に拡大するなど、資金繰り支援に力を入れていますが、経営安定資金を含むセーフティーネット関連資金の融資は、一月末現在、約六百五十件、約百五億円の実績にとどまっています。 当然、経営状況を確認し、貸倒れになるおそれのありそうな事業所に融資するのが難しいのは仕方ないのでしょうが、用意した融資枠と実績が大きく乖離しています。 県内の中小企業や小規模事業者さんの現況を見たとき、この状況を県はどのように捉え、少しでも頑張る事業者さんを今後どのように支えていかれるのか、お伺いいたします。 二点目は、コロナ終息後を見据えた中小企業支援についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症は、当初の想像以上に長期化し、いつ終息するのか、終息したら以前の状況に経済は復活するのかと多くの経営者は不安に思っています。長期に及んでいるコロナ禍は、我々の消費行動を変え、ボディーブローのように心まで変えてきてしまっています。 また、経済活動が正常化したとしても、コロナ禍で受けたダメージや、原材料の供給制約の長期化による物価上昇などが続き、実質所得の回復ペースが鈍いものにとどまれば、すぐに消費の拡大とはならないおそれもあります。 したがって、コロナ禍が過ぎても、そうした影響から借入金の返済が滞ってしまう事業所が出てくることも想定され、国や県の支援をある程度中期的に考えないといけない状況だと考えます。 それぞれの企業努力や厳しい経営判断も必要となるでしょうが、県としてもそれぞれの事業所の実情に寄り添った支援や対応が求められてくると思います。 県として、コロナ終息後も見据えた中で、今後どのように中期的な中小企業支援を考えておられるのか、お伺いいたします。 三点目は、県の特産品の海外へのPRなどについてお伺いいたします。 一点目は、ウイズコロナ時代における県の特産品の海外へのPRについてです。 日本は高齢化がさらに進行する中で、二○五○年には人口一億人を下回るとの予想もあり、国内市場及び生産能力は縮小が避けられないと考えられています。そのため、人口が多く急速な経済成長が進んできたASEANを中心に、東南アジアへの興味を示す企業が多くなってきました。 そこで、県では、意欲ある企業が事業基盤を県内に維持しつつ、成長する海外市場を開拓し、その需要を取り込むためのビジネス展開を支援するため、二○一四年八月に企業や産業支援機関などを会員とする山口県海外ビジネス研究会を立ち上げ、支援してきました。 そして、農林水産物の輸出拡大に向けた販路開拓では、東南アジアやASEAN地域を中心に、二○二二年度、百五十商品の目標に対して、二○一八年度には延べ輸出商品数も百二十七商品に拡大し、二○二○年度では百九十六商品となっています。 また、中小企業の海外展開支援としても、ジェトロなどと連携し、海外展示出店支援や展示商談会などもプロモートしてきました。 特に中国山東省での商談会は、二○○一年度から毎年開催され、二○一八年度には二十三社、百三十四商談の実績を残しました。 しかし、この二年は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、渡航制限などが発令されるとともに、自粛する事業者も多く、現地に赴いての取組が困難となっています。 そうした中ですが、この二月に、本県も参加しています九州地域戦略会議輸出分科会が主催して、シンガポールと香港で農産物販売促進フェアが開催されました。本県からは、初めてイチゴが出品されたそうです。 新型コロナウイルス感染症は、すぐに落ち着く様子はありませんが、ウイズコロナとして、こうした海外への市場開拓の活動も加速させていかなくてはなりません。 県産品の良さを知っていただくには、関係者が直接現地に出向き、相手先との信頼関係を築きながら、展示や試食などにより、商品の良さを実際に見て味わってもらうことが重要です。 しかし、ウイズコロナの今は、こうした取組に加え、インターネットなどを通じた情報発信も重要となってきています。信頼を得るために、なかなか見ることのできない生産風景を含め、農産物を紹介することも有効です。 今後、県の今ある特産品の海外へのPRをどう加速していかれるのか、お伺いいたします。 二点目は、新たな市場開拓についてお伺いいたします。 今までの海外販売は、日本国内向けに生産したものを、その味や見た目の良さといった高品質を売りとし、海外の富裕層を主眼としていました。 しかし、現状では、他の輸出国でも品質や味も向上しつつあり、日本オリジナルの優良品種だったものでも、他国生産のものが安く流通しているような状況にもなっています。 東南アジアでは、グローバル化の進展を背景とした経済発展に伴って、購買力のある中間層も増えつつあります。 したがって、今後は富裕層だけでなく、中間層や一般の大衆層に向けたマーケティングも行っていく必要があります。 そのためには、国内向けの農林水産物の一部を海外向けに回すといった単純な発想ではなく、海外輸出を目標に据えた商品づくりも重要になってくると考えます。 例えば、東南アジアではリンゴを丸かじりして食べることから、日本の小玉果が人気だそうです。 そこで、青森県のリンゴ産地では、高密植・多収栽培で小玉リンゴを生産して市場開拓を目指す動きも出ているのです。 また、一昨年輸出額一位の香港の香港経済新聞は、今後さらに日本食材が浸透していくための課題として、次のように述べています。 家庭料理のテーブルや、香港人同士のレストランでの日本食材は、まだまだ主役や準主役にもなれず、時々登場する脇役のような存在。より数字を伸ばすためには、一つ一つの食材の詳細情報や使い方をふだん香港人が楽しむメニューに入り込ませるようにして解説することが必要。香港人の食のスタイルにいかになじませた料理を提案できるかが鍵となると。 今後、県の農林水産物の海外市場をより開拓し、他県に先駆けて夢のある農林水産業として発展させていくために、県はどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素社会の実現についてお伺いいたします。 一点目として、山口県地球温暖化対策実行計画における温室効果ガス削減目標の見直しについてです。 一昨年の九月議会以降、この気候変動対策は二十一世紀最大の課題であり、ビジネスチャンスでもあると考え、この取組について取り上げてきました。 山口県議会でも、脱炭素社会における産業発展方策調査特別委員会を設置し、政策提言するために調査研究をしています。 今までの県の答弁や対応には、脱炭素化を進めなくてはならない事業所の危機感や使命感とのギャップを感じています。 この見直しについて、県は、国の動きを注視するとともに、脱炭素特別委員会の提言をしっかりと踏まえた上で、県の実行計画の見直しの必要性について検討していくと答弁されました。 そして、昨年十一月に開催した環境政策推進会議の中で、削減目標の見直しなどに当たっては、事業者や市町などへのヒアリングや意見集約などに相当な時間を要することから、令和五年三月末の策定をめどに検討を開始するとしました。 国では、昨年四月に、二○三○年度において、温室効果ガスの排出量を二○一三年度比四六%削減を目指すこと。さらに五○%の高みに向けて挑戦を続けることを表明し、十月二十二日に、この新たな削減目標を組み込んだ地球温暖化対策計画を閣議決定しました。国が目標を定めたのに、なぜ県の目標設定に一年半もかかるのか、企業人としては理解できません。 到達すべき目的に対して、それを実現するための経過指標が目標です。この脱炭素化は、異常気象などによる気候変動による悪影響を最小限に抑えるという目的を達成するためには、二○五○年までに世界の二酸化炭素排出量を実質ゼロにし、二○三○年までに二○一○年比で約四五%削減することが必要とされ、目標化されたのです。 本県は、第二次産業の比率が高く、二酸化炭素の排出量と吸収量が大きく乖離していることは理解しています。 企業でも、立てた目標に対し実現する手段がすぐに考えられないこともありますが、走りながら考えるのです。 事業者や市町などへのヒアリングや意見集約などを実施して、できる数字を上げるのは目標とは言いません。少なくとも国が二六%削減を四六%削減に引き上げたのなら、県もその比率に従って一七・八%削減を三一・五%削減にするべきと考えます。 県は、目標というものをどういうものと考えておられるのでしょうか。 そして、COP26で国として宣言し、二○三○年までの期間を勝負の十年とし、全ての締約国に野心的な気候変動対策を呼びかけた岸田総理の言葉をどのように捉えられておるのでしょうか。 その上で、改めて温室効果ガス削減目標の見直しに対する県の見解をお伺いいたします。 二点目は、ゼロカーボンシティの表明についてです。 今や宣言した自治体は、五百九十八自治体にもなっています。カーボンニュートラルは、全ての方が一緒になって取り組まねばなりません。私は、この宣言は実現することを約束するのではなく、脱炭素化に向け全県を挙げて努力することを宣言するものだと捉えています。 逆を言えば、宣言しない県は脱炭素化に取り組む意思・姿勢が弱い、極端に言えば、ないと捉えられると考えています。 国内の企業、事業所は、存続・成長のためにはカーボンニュートラルへの対応は必須となっています。宣言しない県に進出しても何の支援も得られないのではと、今後の企業誘致を含め、いろんな面に影響が少なからず出てくるのではと危惧しています。 改めて、ゼロカーボンシティの表明に対する知事のお考えをお聞きいたします。 三点目は、脱炭素化を進める上でのエネルギーの安定供給についてです。 ここまで脱炭素化に対する県の姿勢について伺ってきました。ただ、これらはエネルギーの安定供給が保証されてのことだと考えています。ただ単に脱炭素化だけを進めようとすれば、資源のない我が国では、ウクライナ情勢下での天然ガス供給をめぐる問題のような事態に陥ってしまいます。 我々の生活や事業活動においては、安価で安定的なエネルギー供給が保証される計画があるということが必要なのです。 昨年十月に、第六次エネルギー基本計画が閣議決定されましたが、この中では、供給が不安定な再エネを主力電源としています。二酸化炭素回収を前提とした火力発電の活用や、再稼働がなかなか進みませんが、安全が確認された既存の原子力発電所や既に建設中のものについては、最大限に活用することをエネルギー基本計画に織り込んで、改定・策定するように国に求めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、高度な医療人材の確保・育成についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症を経験したことで、知事は、県民の命と健康を守るためには、県の中核の医療機関、最後のよりどころとしての機能を高めるためには、県立総合医療センターの建て替えが必要と言われました。 あわせて、感染症だけでなく、がん、救急、周産期といったあらゆる医療の高度化を図るとともに、5Gを活用した僻地医療の拡充などの拠点にするとし、来年度の予算に調査費用を計上されました。一人の県民として非常に心強く感じています。 県民の命と健康を守るためには、こうした県内の医療施設、設備機器の更新や充実に併せ、それを扱える高度な知識と技術を持った医療人材の確保も必要です。 全国の名医・専門医というドクター検索サイトがあり、そこでは各疾患別に精通した名医・専門医さんが掲載されています。 がんや脳神経外科など、十六診察科、八十六分野に延べ五千五十一人の医師が紹介されていますが、山口県内の医師は、延べで二十六分野、二十七人しか紹介されていません。これが全てではなく、ほかにもすばらしい医師はいるとは考えますが、専門医がいない診察科があるのも事実です。 防府市や県内に住む私の知り合いに甲状腺疾患の方が六人いますが、県内に認定専門医さんがいないことから治療で県外に通院しています。再発リスクの高い疾患で、長期にわたって医師の判断に従った服薬が必要です。 このコロナ禍では、通院も病院の待合も自家用車で行い、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が発令されると県外移動となることから、通院をやむなく延期し、感染防止に細心の注意を払うとともに、症状悪化に恐怖していました。 県民の命と健康を守り、病気となったとしても安心して治療を任せていただくには、建物や設備だけでなく、そうした高度な専門性を有した医療人材の確保や、国内に紹介されるほどの実績を有する人材を育成していかねばなりません。 山口県民であってよかったと安心してもらえるために、高度な医療人材の確保・育成にどのように取り組むのか、お伺いいたします。 六番目は、いじめ問題の根絶に向けた教育についてお伺いいたします。 この議会の議案三十九号に関連してお伺いいたします。 この事件は、周南市で二○一六年七月に県立高校の男子生徒が自殺した問題で、御遺族の方の要望を受け、県教委では、いじめ防止対策推進法に基づくいじめの重大事態に当たるとして、同年八月に調査部会を設置し、二○一七年十一月に報告書を公表しました。 その報告書では、いじめを含む学校生活に関する要因が大きいと考えられるが、様々な要因があり、いじめのみを自殺の要因と考えることはできないとされました。 しかし、調査委員会の設置やメンバーの選定について、御遺族の方と協議せずに行ったことなどから、御遺族の方が公平性や公正性に疑問があると訴えたことで、同年十二月に知事自身が御遺族の意向を確認した上で再検証が行われ、二○一九年二月、同級生からのいじめや教職員からのいじめに類する行為があったと認定されました。 そして、学校側の適切な対応があれば自殺を防げた可能性があったこと、県教委の調査についても、実施方法や御遺族との信頼関係の構築に問題があったと報告がされました。 そして、それから三年もの月日を経て、今回、やっとこの問題に対する調停成立の運びとなりました。子供さんが亡くなってから五年半、いじめを認定した調査報告書から三年もの時間を費やしました。この調停の議案を見て、御遺族の方々が苦渋の決断で受入れをしたのだと感じました。 自殺が起き、いじめが認定され、調停に結びつくまで、なぜこんなにも時間がかかってしまったのかという疑問と憤りを感じますが、何よりも大事なのは、二度とこうしたことが起こらないようにすることです。 今回の一連を振り返って、教育長はどういった気持ちでおられるのか、そして、このことを二度と発生させないように、そして風化させないように、どのように取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。 この問題でもう一つ大事なことは、御遺族に寄り添うことです。大事な御子息をいじめという問題で亡くされ、五年半という長い時間をかけ、調停ということを決断された御遺族に対し、最後に教育庁のトップとして、繁吉教育長さん自らがお会いして話を聞いてあげることが、人として大事なのではないかと考えます。御一考いただけるように強く要望いたします。 最後に警察施設の充実による県民の安全・安心の確保についてお伺いいたします。 本年一月二十六日付の人事異動により、山口県警察本部長として中西章警視長が着任され、着任時には、山口県民の安全・安心を守り抜くと意気込みを語られました。中西本部長の強いリーダーシップを発揮し、山口県民の安全・安心を実現してもらいたいと強く願うものであります。 警察力とは、人の力そのものであると言われます。警察官一人一人の力が治安の向上につながり、ひいては県民の安全・安心につながるのです。 警察は、警察署、交番、駐在所などを拠点として組織活動をしており、一人一人の能力、チームとしての能力を最大限発揮していただくには、充実した拠点が必要です。 本年一月、沖縄県では若者が警察署を襲撃、石や棒、爆竹、生卵などを投げつける騒ぎがあり、警察は機動隊を出して警戒に当たるなどし、この騒ぎで同署の電光掲示板や窓ガラスが割れるなどしました。 そして、近年は、交番襲撃事件が相次ぎ発生し、警察官が殉職される事案も発生するなどしています。 この種の事案は、国民に対して強い不安を感じさせるとともに、強い警察のイメージを低下させてしまい、割れ窓理論ではないですが、結果として治安の低下につながりかねない非常にゆゆしき事態だと感じています。 老朽化した警察施設を含め、各施設の建て替えを随時進めていくと伺っていますが、それは利用される県民はもちろんのこと、勤務する警察官の安全に配慮されたものであるべきだと考えます。 先ほどから申しますように、警察官個々の能力、警察というチームとしての能力を十分に発揮し、県民の安全・安心を守っていただくには、今後、計画的に警察施設の充実を図ることが必要不可欠です。 私の地元である防府市においても、老朽化した警察署の建て替え計画が進んでいると承知していますが、防府警察署の建設事業を含め、警察施設の充実による警察力の向上、県民の安全・安心の確保について、今後、どのように進めていかれるのか、警察本部長にお伺いいたします。 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)井上議員の御質問のうち、私からは、中小企業支援に関して、コロナ終息後を見据えた中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍が長期化する中、中小企業が持続的に成長・発展していくためには、事業者が消費行動の変容など社会経済活動の変化を捉え、既存ビジネスの見直しや、新たな取組を柔軟に進めていけるよう支援策を講じていくことが極めて重要です。 このため、私は、新たな設備の導入による生産性の向上や、新サービスの開発等の経営革新による取組等を通じて、中小企業の実情に応じた成長を支援しているところです。 こうした取組に加え、中小企業が中長期的に成長・発展していけるよう、コロナ禍で進んだデジタル化への対応による生産性の向上や、医療、環境・エネルギーなどの成長分野への進出に伴う付加価値の創出など、新たな取組に対する重点的な支援を行うこととしています。 まず、デジタル化に向けては、DX基礎研修の受講や戦略の策定、システム開発等を総合的に支援しており、今年度、食品製造業や建設業をはじめ、様々な業種において三十件を超える中小企業のDX化が進んでいます。 来年度においては、中小企業のDX化のさらなる裾野の拡大を図るため、専門家派遣を増加するなど、サポート体制を充実し、DX基盤となるクラウドサービスの導入促進や、既存ビジネスの変革による生産性の向上等を図ってまいります。 また、成長分野での新たな取組に挑戦する事業者に対しては、研究開発の実証、開発、実用化までを一体的かつきめ細やかに支援しており、現在、医療・バイオや半導体分野で新技術の確立などの取組が進められています。 こうしたイノベーションの創出の取組を通じて、新製品・新サービスの事業化や、事業化を通じた付加価値の創出につなげてまいります。 さらに、事業の多角化や新分野進出等の取組を行う事業者には、県制度融資において、来年度創設する、ビジネスモデル再構築支援資金により、資金面からも後押しをしていきたいと考えています。 私は、こうした取組等を通じて、ウイズコロナ、アフターコロナにおいても、中小企業が大きく成長し発展していけるよう関係機関と連携し、その実情に応じた中期的な事業活動を積極的に支援してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)平屋副知事。 〔副知事 平屋隆之君登壇〕 副知事(平屋隆之君)脱炭素化社会の実現についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、山口県地球温暖化対策実行計画における温室効果ガス削減目標の見直しについてです。 昨年十月に開催されましたCOP26において、岸田総理は、二○五○年カーボンニュートラルの実現を宣言されるとともに、二○三○年までの期間を勝負の十年と位置づけ、高い野心を持って、共に気候変動対策に取り組むよう各国に呼びかけられました。 このことは、気候変動という世界共通の課題に対し、我が国としても、総力を挙げて脱炭素社会の実現に取り組むことはもとより、世界の脱炭素化に向け、国際的リーダーシップを発揮していくという強い決意を示されたものと受け止めています。 県としても、こうした国の動きや社会情勢の変化等を踏まえるとともに、国の地球温暖化対策計画との整合を図るため、昨年十一月に県地球温暖化対策実行計画の改定に着手したところです。 改定に当たっては、地球温暖化対策推進法において、幅広い主体の意見を聞きながら、削減目標や社会的・自然的条件に応じた総合的かつ計画的な施策等を盛り込むこととされており、この検討に相当な時間を要することから、令和五年三月末の改定予定としています。 また、お尋ねの削減目標については、県としては、官民連携による脱炭素社会づくりに向けて、様々な取組を計画的かつ効果的に推進し、適切に進行管理していくための指標となるものと考えています。 このため、新たな削減目標については、国の削減目標との整合に十分配慮しつつ、幅広い主体の意見を聞きながら、環境審議会や庁内会議等でしっかりと議論し、検討を行ってまいります。 次に、ゼロカーボンシティの表明についてです。 県では、これまでも県民や事業者、市町、関係団体と緊密に連携し、脱炭素社会の実現につながる地球温暖化対策に積極的に取り組んできたところです。 しかしながら、CO2排出量と森林吸収量の乖離が非常に大きいという本県の実情を踏まえると、現時点では、カーボンニュートラルの実現への道筋を示すことが困難な状況にございます。 このため、お尋ねの表明については、今後予定されている県議会の脱炭素特別委員会の御提言や、来年度策定予定のコンビナート低炭素化構想の検討状況等を踏まえながら、慎重に検討したいと考えています。 副議長(二木健治君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)新型コロナウイルス感染症の対応についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、ワクチン接種についてです。 ワクチン接種は、発症予防や重症化予防等に大きな効果があることから、県では、希望される方が一日でも早く接種を受けていただけるよう、市町や医療関係団体等と一体となってその促進に努めています。 こうした中、お示しのように、現在、各市町では、三回目接種に併せて、一、二回目接種や小児向け接種が並行して行われており、ワクチンの種類や量などがそれぞれ異なることから、取扱いの誤りによる間違い接種等を防止する必要があります。 このため、県では、接種が円滑に進むよう、市町や医療関係者との連絡会議等を開催し、それぞれのワクチンの管理・運用方法や、複数のワクチンを取り扱う場合の留意点等について、周知徹底を図っているところです。 具体的には、まず三回目接種については、二種類のワクチンを併用することとなるため、実際に接種を行う郡市医師会等と協議を行い、一つの会場で扱うワクチンを一種類とすることを基本とし、異なるワクチンを使用する場合には、日時を区分するなどの対策を講じています。 また、初回接種については、混同を避けるため、他の接種と日時を分けるなどの対応を行い、小児向け接種については、小児科医を中心とした接種を進めることとしています。 なお、交互接種の副反応や効果については、国において適切に情報発信が行われるよう、全国知事会を通じて求めているところであり、そうした情報については、県のホームページ等を通じ、広く周知に努めてまいります。 次に、新型コロナウイルスへの今後の対応についてです。 本県では、これまで新たな変異株の出現等により、数度にわたり感染拡大の波を経験してきたところであり、県としては、県民の命と健康を守ることを第一に、幅広い検査の実施や、患者の症状に応じた医療療養体制の確保、ワクチン接種の促進等に取り組んでいます。 また、現在、感染が拡大しているオミクロン株に対しては、自宅療養体制の導入や、そのサポート体制の構築など、ウイルスの特性を踏まえた対策を追加しながら必要な対応を行っているところです。 県としては、今後とも繰り返す新型コロナ感染症への対応に当たっては、ウイルスが持つ特性等に即した対策を機動的かつ柔軟に実施していくことが重要であると考えています。 このため、国に対しては、拡大が懸念される変異株等について速やかに分析を行い、科学的知見等に基づいた実効的な対策が講じられるよう、引き続き、全国知事会を通じて要望してまいります。 さらに、ウイルスの増殖を抑え、重症化を予防する新たな経口薬の開発など、治療法が進化していることを踏まえ、医療現場において、患者の症状や基礎疾患等に応じた適切な治療が行われるよう、投薬症例の情報共有や研修会の実施等に取り組んでまいります。 県としましては、引き続き、ワクチン接種の促進や医療提供体制の充実など、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、高度な医療人材の確保・育成についてのお尋ねにお答えします。 医療ニーズがますます多様化・高度化する中、専門的知識と技術を有する専門医の一層の確保・育成が重要であることから、県では、山口大学医学部や県医師会等との連携の下、専門医の研修体制を構築し、質の高い医療人材の確保・育成に取り組んでいるところです。 具体的には、臨床研修から専門医取得までの一貫したキャリアアップが図られるよう、臨床研修を終えた医師が山口大学医学部附属病院など、八つの基幹病院において、日本専門医機構が定める十九領域の専門研修を全て受講できる体制を整備し、専門医を育成しています。 研修の実施に当たっては、専門医のさらなる確保に向けて、基幹病院で実施する研修プログラムや受入れ人数を増やすなど、拡充を図っており、今後とも研修体制の充実に努めてまいります。 また、より高度な知識と技術を有した専門医を育成するためには、その講師となる指導医が重要な役割を担っていることから、指導医向けの研修セミナーの開催や、国内外への研修派遣などを通じ、指導医のさらなる専門技術や指導力の向上を図ることとしています。 県としましては、今後とも、山口大学や関係団体、医療機関等との連携の下、専門医研修の充実を図り、高度な医療人材の確保・育成に努めてまいります。 副議長(二木健治君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業支援についての御質問のうち、県制度融資の経営安定資金についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍により、売上減少等の影響を受ける中小企業の経営の安定を図っていくためには、金融支援の充実により、その資金繰りを支えていくことが重要です。 このため、県では、今年度、経営安定資金において、金融機関による継続的な経営改善支援を行う伴走支援枠を新設し、融資枠も前年度比で七倍となる四百二十億円の融資枠を確保しました。 また、今年二月からは、融資限度額を六千万円まで拡大するとともに、四百五十億円に融資枠を増額するなど、資金繰り支援の充実を図ってきたところです。 こうした中、今年度の同資金を含むセーフティーネット資金の実績については、昨年三月末まで受付した新型コロナウイルス感染症対応資金の駆け込み需要や、年末一時的に消費が回復したこと等により、資金需要が落ち着いた状況となったことから、利用が抑えられたものと考えています。 しかしながら、年明け以降のオミクロン株の拡大により、個人消費への下押し圧力が強まるなど、依然、経済情勢の先行きは不透明な状況にあります。 このため、今後の資金需要に対応できるよう、来年度も経営安定資金において、三百六十億円の十分な融資枠を確保するとともに、多くの企業で返済が始まる新型コロナウイルス感染症対応資金について、据置期間の延長等を行う際に追加で生じる信用保証料補助等の支援を継続してまいります。 現在、倒産件数は低い水準で推移していますが、県としては、引き続き厳しい経営環境に置かれている中小企業の経営の安定を図るため、金融機関等の関係機関と連携し、その資金繰りを支援してまいります。 副議長(二木健治君)松岡農林水産部長。 〔農林水産部長 松岡正憲君登壇〕 農林水産部長(松岡正憲君)県の特産品の海外へのPR等についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県の特産品の海外へのPRについてです。 長期化するコロナ禍の影響により、海外への渡航や現地での活動が困難となっている中、海外市場の開拓に向け県産品の魅力を知っていただくには、インターネット等を活用し、産地や農産物などの情報発信を行うことが重要です。 また、輸出の仲立ちとなる商社においても、国内外での移動が制限され、オンライン会議等の普及が進んでおり、今後はインターネットを通じた産地との交流や商談の動きが加速することが予想されます。 このため、県では、海外への県産農林水産物の情報発信力を一層強化するため、首都圏の輸出バイヤーを対象に、新たに県内の産地にバーチャルで招聘できる本県独自のweb産地招聘システムを開発し、導入していくこととしています。 具体的には、産地に三百六十度ライブカメラ等を設置し、バイヤーはパソコン等で自分が見たい方向を自由に操作しながら生産者と意見交換できるなど、リアルタイムで産地視察を行える環境を整備し、商品の魅力をPRします。 さらに、新たに配置する輸出コンシェルジュが、首都圏のバイヤーに出向き、本システムを活用した県内産地への招聘を直接働きかけるプッシュ型セールスや、その後のフォローアップを行うなど商談の成約を促進していきます。 次に、新たな市場開拓についてです。 市場の開拓に向けては、マーケットインの発想が必要であることから、輸出先のニーズを踏まえた商品づくりや、食材の効果的な情報発信を行うことが重要です。 このため、現在、輸出の主力品目である日本酒を対象に、マーケットリサーチに基づく輸出先の選定をはじめ、現地で人気のソウルフードに合う商品開発や飲食店でのPR方法について、ジェトロや輸出コンサルタントの助言も頂きながら、酒造組合や酒米産地と連携した取組を進めています。 今後、こうした商品づくりを他の品目にも拡大するとともに、輸出を目指す農産物等が、輸出先ごとの様々な規制などに対応できるよう、JA等と一体となって、新たな栽培技術の導入や製造工程の見直しなど、輸出産地の取組を支援します。 県としては、引き続き関係団体や事業者と連携しながら、県産品の海外へのPRや新たな市場の開拓に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)三浦商工労働部理事。 〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 商工労働部理事(三浦健治君)脱炭素社会の実現についての御質問のうち、エネルギー安定供給に関するお尋ねにお答えします。 エネルギーは、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持・発展に欠くことのできないものであり、エネルギー政策は国家運営の基本です。 したがって、火力や原子力など様々なエネルギーをどう利用するかについては、エネルギー政策の基本的視点である、安全性、安定供給、経済効率性、環境適合を踏まえ、国の責任において判断されるべきものと考えています。 国が昨年閣議決定した第六次エネルギー基本計画では、火力発電は、電力の安定供給を支え、再生可能エネルギーの変動性を補うなど、重要な機能を保持しており、排出される二酸化炭素の回収、貯留、再利用等により、脱炭素化を図るとされているところです。 また、原子力発電は、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であり、必要な規模を持続的に活用していくとされています。 このようにエネルギー基本計画に記載されるなど、エネルギー政策の中で火力発電や原子力発電の位置づけがなされており、県としては、計画の改定等を国へ求めることは考えていませんが、今後も国のエネルギー政策を尊重しつつ、計画実行に向けた国の取組の動向を注視してまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)いじめ問題の根絶に向けた教育についてのお尋ねにお答えします。 答弁に先立ち、改めて亡くなられた御本人の御冥福をお祈りいたしますとともに、御遺族の皆様に対し、心からお悔やみを申し上げます。 また、本事案におきまして、一つの貴い命、未来ある若い命が失われましたことは痛恨の極みであり、生徒の自死を防げなかったことにつきまして、心からおわびを申し上げます。 これまで御遺族との間で、調停の成立に向けた話合いを重ねる中で、私はこうした痛ましい事案が二度と起こることのないよう、再発防止に向けた取組を改めて徹底していかなければならないとの思いを強くしたところでございます。 県教委では、これまで山口県いじめ調査検証委員会等による調査結果を重く受け止め、事案が発生した学校はもちろんのこと全ての県立学校において、いじめアンケートの項目を見直すとともに、いじめをより幅広く、正確に認知するよう学校を指導するなど、いじめの未然防止や早期発見に向けた対策などに取り組んでまいりました。 今後はこれまでにも増して、いじめは絶対に許されないものであるとの認識を強く持ち、児童生徒一人一人を大切にする教育を推進することはもちろん、研修等により教職員の意識を高める取組を繰り返し実施するとともに、本事案に関する教訓を踏まえ、いじめや自殺の予防に向けた教育を徹底することで、本事案を風化させることがないよう取り組んでいく決意であります。 県教委といたしましては、こうした痛ましい事案が二度と起こらないよう、いじめの防止に向けて全力を挙げて取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)警察施設の充実による県民の安全・安心確保について、お答えいたします。 警察力を最大限に発揮するためには、議員御指摘のとおり警察署、交番、駐在所といった警察施設を計画的に整備し、これを充実化することが必要不可欠であります。 また、整備に当たっては、全国で発生している警察署や交番の襲撃事件等の事例を踏まえ、県民の利便性にも配意しつつ、より高度なセキュリティーを備え、勤務する警察官の安全を確保するという視点を持つことが重要であります。 さらに、供用開始後数十年が経過し、老朽化した施設についても、改修や建て替え、移転、統廃合等を進めていく必要があります。 県警察では、限られた予算の中、こうした課題に的確に対応していくために様々な取組を行っております。 まず、警察施設のセキュリティーの高度化についてでありますが、警察署当直室や、交番・駐在所に対して、さすまた、大楯等の受傷事故防止用装備資器材の配備を完了しているほか、単独または少数で勤務することが多く、より襲撃の危険性の高い交番・駐在所には、受付カウンターヘのアクリル板、緊急通報装置、カメラつきドアホン等の整備を終了しております。 加えて、これらの施設に対する、防犯カメラやセンサーの整備も順次進めているところであります。 次に、警察施設の計画的な建て替え整備についてでありますが、県警察では、刻々と変化する治安情勢等を踏まえた上で、人口、交通量、施設の老朽化等の状況を総合的に勘案し、必要な整備を進めております。 議員御指摘の防府警察署についても、庁舎の老朽・狭隘化により警察活動の機能性や地域の方々の利便性を欠き、その建て替え整備は喫緊の課題でありました。 そうした中、平成三十年以降、防府市から知事に対し、市役所庁舎跡地への移転要望がなされてきた経緯がありますが、行政を執行する同市からの四年にわたる継続した誘致であり、警察として大変ありがたく受け止めておりました。 その上で、様々な観点からの検討を行った結果、現庁舎を運用しながら建て替え工事ができること、北側市道と東側県道の二方向に出入口が設置でき、流出入が容易になること。市役所と隣接することとなるため、災害などの事案対応における連携強化や各種手続の利便性の向上が期待できることなどのメリットが認められることから、防府警察署の新庁舎について、防府市役所庁舎跡地への移転方針を決定したところであります。 なお、防府警察署の新築に際しては、設計段階から、先ほど申し述べたようなセキュリティーの高度化の観点からの検討も進めていくこととしております。 県警察といたしましては、今後もこれらの取組を計画的に進めるとともに、治安情勢や大きく変化する社会情勢を踏まえ、警察官の適正な配置やデジタル技術の積極的な活用によって、限られた警察力を効果的に運用し、県民の安全・安心の確保に努めてまいります。 副議長(二木健治君)井上剛君。 〔井上剛君登壇〕(拍手) 井上剛君 再質自体はあまり用意していなかったんですけども、まずいじめ問題につきまして、繁吉教育長さんのほうから御遺族の方々に対する謝罪を含め温かい言葉を頂きまして、本当にありがとうございます。 やはり大切な息子さんを亡くされた御遺族の方にとっても、息子さんの死を無駄にしないために再発防止、そして風化防止というのを、先ほど繁吉教育長さんからも力強い宣言を頂きましたけども、それを確実に実行していただくようにまず御要望したいと思いますので、よろしくお願いします。 再質問のもう一つは、脱炭素化の取組についてです。カーボンニュートラル、ゼロカーボンシティの宣言であったり、電力の安定供給については、やはりいろんな今の特別委員会の御意見あるいは国の政策というものをもってやるというのは理解しますので、そこについてはしっかり特別委員会の報告を頂いた中で、県のほうで早急に対応していただきたいと思います。 ただ、私が納得できないのは、目標の見直しについてです。先ほど平屋副知事のほうも、COP26で、岸田総理が国として総力を挙げて取り組むということを世界的にも宣言されたという中で、国として先ほどの目標も設定したわけで、総力を挙げて取り組むならば、県としても早急に目標をやはり設定すべきなんですよ。決して事業所や市町の動向を気にして、それらの整合性を取れる目標を立てるのは、先ほどの質問の中でも言いましたけど、それはもう目標ではないです。何を事業所や市町に遠慮するのかが私には全く理解できません。 企業も今二〇五〇年カーボンニュートラル、いろんな企業が宣言しています。でもできる目標を、見えた企業なんて、まだ一つもありませんよ。どこの企業もやらなければならないという使命感から目標を設定しているんですよ。企業の中にはもうカーボンニュートラルではなく、九州電力なんかはもうカーボンマイナスと言っていますよ。 そこまで高い目標を掲げて取り組まないと、絶対にこれは動き出さないから掲げるんですよ。目標を掲げているからこそ、いろんな知恵が出て、やらなければならない背景が出る。なのに、もう半年過ぎたんですよ、国の目標から。なのに、あと一年も待つんですか。それが十年、野心的な対策を進めなければいけないと言った岸田総理の言葉に沿うことなんでしょうか。私には全く、その目標を設定できないことがまず理解できておりません。 決してむやみな目標を掲げるんではなく、国が目標を掲げた中として、日本国民として、それに従っていくのは当然であるし、それを宣言するのが、目標を立てるのがやはり県の役割ではないかと。そこに対してやはり国が単純に数字を上げたなら、そこにまず上げてから進めるというのが一番大事だと思います。 山口県民が大好きな吉田松陰先生も、夢なき者に実現なしという言葉があります。夢があるから目標を掲げて、それに対して実行する計画ができて、実行していくから実現していく。その夢も目標も掲げずに何ができるんですか。私には全く、この目標を掲げないことに対する本当に理解ができないというのが私の気持ちですので、いま一度この目標に対する県の認識をお聞きしたいと思います。 最後にちょっと意見になるんですけども、本当に新型コロナウイルス感染症が広がりましたけども、決して悪いことばかりではない。観光客が激減したハワイでは、水の透明度が約六〇%も向上しましたし、ロサンゼルスではロックダウンにより通行車両の減少や工場閉鎖によってPM二・五の濃度も四〇%削減されて、この七十年間で経験したことがないぐらい空気が澄んだと。 日本においても、福岡工業大学の環境科学研究所が二〇一九年末から二〇二〇年度にかけて、九州中山間部の樹氷に含まれる汚染物質を調査しましたら、中国の都市封鎖による工場閉鎖などの影響で中国から飛来する汚染物質が減ったことで、窒素酸化物や硫黄酸化物の比率が二〇一〇年以降、最高値に比べて十分の一以下にもなったということもあります。新型コロナウイルスの出現も、もしかしたらこうした地球環境破壊が進んでいる現代に対して、地球からの警告なのかもしれません。 コロナショックからもたらしたこうした自然環境の改善を一時的な減少で終わらせないためには、やはり脱炭素化に向けては、しっかりと我々人類として取り組む必要があると思いますので、その思いを申し上げ、質問を終わりたいと思います。御静聴ありがとうございます。(拍手) 副議長(二木健治君)平屋副知事。 〔副知事 平屋隆之君登壇〕 副知事(平屋隆之君)脱炭素社会の実現についてのお尋ねの中で、山口県地球温暖化対策実行計画における温室効果ガス削減目標の見直しについての再質問でございました。 先ほども御答弁を申し上げましたとおり、新たな削減目標については、県の地球温暖化対策実行計画、これを令和五年三月末を予定として今改定を進めておりますけれども、この中で国の削減目標との整合に十分留意をし、配意をしつつ、幅広い主体の意見を聞きながら、あくまでも計画を適切に進行管理していくための指標として、環境審議会あるいは庁内会議等でしっかり議論した上で検討し、定めてまいりたい、このように考えております。