討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 藤本一規君。 〔藤本一規君登壇〕(拍手) 藤本一規君 日本共産党県議団を代表して、二月定例会議に付託された議案に対する討論を行います。 反対する議案は、議案一号、十六号、三十三号、三十六号、四十一号及び五十七号です。 議案第一号、一般会計予算についてです。 新年度一般会計の歳入は、法人二税が百六十一億円増で、県税収入が前年度比三百二十二億円増、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金の増額により、国庫支出金は、前年度に比べ二百二十二億円増、また、臨時財政対策債は二百八十九億円の減額になるなど、県財政の歳入は、近年になく安定したものとなりました。 新年度は、新型コロナ対策に十分な財源を確保しつつ、県民の中に広がっている格差と貧困を解消するために県民の暮らしを支える積極的な財政支出が可能となりました。 県が当初予算案の概要の参考資料として作成した関連事業一覧を見ると、新型コロナウイルス感染症を予防する感染拡大防止対策の強化予算は、昨年度の三百三十四億円から四百九十八億円に増加しましたけれども、県内経済の下支え予算は、昨年度の三百二十九億円から二百七十三億円に減っています。 公共事業関係を見ると、産業力強化の名で推進されている幹線道路網の整備等の推進や瀬戸内沿岸の港湾事業に係る予算は、昨年度の百十三億円から今年度の百十億円と現状が維持される一方、防災、洪水、土砂災害防止に係る予算は百七十四億円から百六十二億円に減少しています。 また、コロナ禍で拡充が求められている急性期病床の削減や廃止を奨励する医療機能分化連携推進事業に五億三千六百万円が計上されています。教育現場の時間外勤務削減のため部活動の顧問に代わって引率や指導を行う部活動指導員を配置をする事業の予算は四千百万円から二千三百万円と約半減です。 当初予算案について知事は、新たな未来づくりへの挑戦と言われましたけれども、コロナ禍で未来を見いだせない県民を支援する予算となっていない点を指摘をしたいと思います。 包括支援交付金や地方創生臨時交付金など県独自施策に活用できる財源がしっかり確保されている今だからこそ、積年の県民要望である、子供の医療費助成の対象年齢の引上げや三十人学級化など、誰一人取り残さないための施策実現に取り組むことを強く要望させていただきます。 加えて、当初予算に計上されているクラスノダール地方協定締結五周年記念事業についてです。約七百三十万円の財源に国庫支出金三百万円が充てられています。この支出金は、二○一六年に安倍晋三元首相とプーチン大統領との直接交渉でつくられた日露経済協力プラン推進のため、新年度政府予算案に計上されている二十一億円の一部です。 本会議でも指摘いたしましたけれども、ロシアはウクライナ侵略戦争において、民間人を標的とした残虐行為をエスカレートさせています。クラスノダール地方政府はロシア連邦の一員であり、一連の残虐行為に加担している可能性もあります。ロシアのウクライナ侵略は断固として許されないの明確なメッセージを発するためにも、事業中止を決断されるよう強く要望するものです。 議案第四十一号は、令和三年度一般会計補正予算についてです。 財政調整用基金は、今年度当初九十五億円だったものを百六億円積み増して二百一億円とした上で、新年度百十一億円取り崩し、新年度末の基金残高は九十億円を見込んでいます。 昨年度は、当初百十一億円だったものを二十九億円積み増して、年度末百四十億円とした上で四十五億円取り崩し、今年度末の基金残高を九十五億円と見込んでいます。 今年度、四十五億円の財源不足としながら百六億円、財政調整用基金を積み増すことができたのです。財政調整用基金の積み増し額は、昨年度の三倍以上です。 その結果、今年度の最終補正である本予算は百五十七億円の減額となりました。新型コロナ対策などを行う衛生費が二十八億円減、教職員の増員が求められている教育費も十八億円の減です。差し引き百五十七億円も減額するのなら、コロナ禍で苦しむ県民の命と行き届いた教育の実現のための予算に回す必要があったことを指摘しておきたいと思います。 議案第十六号は、工業用水道事業会計予算に関わるものです。 工業用水道事業は、過大投資で大きな損失を生じさせた苦い過去を教訓にして、適切な需要見込みを前提とした経営が求められています。 昨年の決算委員会の資料によると、二○年度末の未契約水は日量十五万九千立米、前年度より五千立米増え、未稼働水も十四万五千立米を抱えています。 これに加え、工業用水道事業が抱え込んでいた弥栄ダム未事業化分(先行水源)三万二千立米、百五十五億円で一般会計に移管されましたけれども、残された企業債四億五千万円余は一般会計で負担をしているほか、毎年約四千万円のダム分担金の支出が続けられています。一般会計からの支出は膨らむばかりであります。 こうした事態を招いた過大な需要予測の誤りを率直に認め、その要因をしっかりと検証して、再発防止策を講じることが不可欠であるということを強く指摘をするものであります。 議案第三十三号は、学校職員定数の一部を改正する条例でございます。 新年度の教職員数は、特別支援学校では三十九人増ですが、小学校四十八人、中学校二人、高等学校四十七人の計九十七人の先生を減す提案です。一人の子供も取り残さないためにも、教職員の時間外勤務時間の削減のためにも求められているのは教職員の大幅増であり、本議案に反対をいたします。 議案第三十六号は、県立光丘高等学校を廃止するため、高等学校等条例の一部を改正する条例です。 県教委は二○○五年から県立高校再編整備計画に沿って、高校の統廃合を推進してまいりました。その結果、二○○五年度の六十六校四分校は、ついに今年度四十七校八分校になり、すなわち十五校が消滅、四校は分校化されました。 県教委が統廃合の基準として設けている、望ましい学校規模では、三つの教育効果が期待できるとうたわれていますが、教育学的な根拠は示されていません。 この間、結局進められた県立学校の再編整備の背景には公共施設の数、延べ面積を削減をし、更新費用や維持管理経費を削減することを狙った公共施設等総合管理計画があることは明らかです。 行政コストを削減するために県立学校の統廃合を進める計画は中止すべきことを要望したいと思います。 議案第五十七号は、今年度の建設事業に要する経費の一部負担を市町に求めるものです。 負担金総額は三十六事業で実に三十三億四千万円にも上っています。市町がコロナ対策で大変な苦労をしている最中です。せめて、建設事業に要する経費の一部を市町に負担させる制度は廃止をして、市町の財源を側面支援すべきと考え、本議案に反対をいたします。 次に、本会議に提出された請願一号及び二号についてです。 両請願とも不採択とした委員長報告に反対をいたします。 請願第一号 人道的見地から沖縄戦戦没者の遺骨等を含む土砂を埋立てに使用しないよう求めることについてです。 請願者のお一人から私に手紙が届きました。「私のおじは、山口高等商業学校にあった陸軍士官学校からビルマの戦地へ派遣されましたが、七十七年を経た今日も、日本政府は責任を取らず、遺骨を激戦地であったジャングルに放ったままです。このような御遺骨が百万柱、アジアの戦地にいまだに残されたままです。沖縄県南部地区でも同じことです。南部一帯は沖縄戦の激戦地で、多くの民間人、軍人が亡くなった場所です。いまだ御家族の元に帰還できていない御遺骨が多く残されたままとなっているんです。日本政府は戦後補償を怠って、今日までどこを見続けて国政をつかさどってきたのでしょうか。それどころか、辺野古基地埋立てに使う土砂を、平気で南部地区から採取し使うことができる訳とは。御遺骨混じりの土砂を基地建設に使うことは、戦死者、その御遺族を冒?する行為ではないでしょうか。御遺族としては二重苦なのであります。もし、県議会議員の皆様が同じ立場になられたらいかがでしょうか。」という悲痛な訴えが届きました。 同趣旨の請願は、沖縄県をはじめ、京都府、奈良県、埼玉県でも採択されています。戦死者、御遺族を冒?することになる、御遺骨が含まれる沖縄県南部地区の土砂を辺野古の埋立てに使うことがないよう、議員各位におかれましては、本請願にぜひとも賛成していただきますことを心からお願い申し上げます。 請願第二号 山口県岩国児童相談所の不作為による要保護児童の自殺についてです。 児童虐待とは、一、身体的虐待、二、性的虐待、三、ネグレクト、四、心理的虐待の四つがあると規定されています。 厚生労働省の、地方公共団体における児童虐待による死亡事案等の検証についてとする通知に、検証の対象は虐待による死亡事例とあります。 県は、これまで御遺族が求めてこられた第三者委員会での検証について、この厚生労働省の通知を盾に、本事案は虐待事案ではないとして、第三者委員会での検証を拒んできました。 私は、この案件は、ネグレクトや心理的虐待である可能性は否定できないと感じています。 県は、第三者委員会を開き、真摯に女子生徒が亡くなったケースを検証すべきです。 各議員におかれては、御遺族の気持ちに寄り添っていただき、本請願に賛成していただきますように、心からお願い申し上げます。 最後に、一言申し上げます。今年度末をもって、本会議に出席されている四人の参与員の方々をはじめ、多くの県職員の方が退職されます。 この間、議場から厳しい言葉も放ってまいりましたけれども、県職員の皆様と私たちは、県民の福祉向上を目指す立場では共通していたものと思っております。日本共産党県議団を代表して、退職される県職員の皆様に心からお礼を申し上げます。 退職される参与員及び職員の皆さん、今後も健康に十分留意をされ、新しい分野で末永く御活躍されることを心から祈念いたしております。 以上で、討論といたします。ありがとうございました。(拍手)