討論
議長(柳居俊学君)江本郁夫君。 〔江本郁夫君登壇〕(拍手) 江本郁夫君 自由民主党会派を代表して、討論を行います。 まず、私ども会派は、村岡知事から提出されている全ての議案に賛成いたします。 村岡県政三期目がスタートし、初めて迎えた今定例会において、知事は、県政運営に関する私ども自由民主党会派からの代表質問に対し、来年三月で終期を迎えるやまぐち維新プランに代わる新たな総合計画を策定するとの方針を示されました。 同時に、直面するコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させて、山口県の元気を取り戻す、そして同時に、その先を見据え、本県の新たな未来をつくっていく取組をしっかりと前へ進めていくという力強い決意をお聞かせいただいたところです。 そこで、議案第一号の令和四年度一般会計予算に関して、賛成の立場から一括して意見を述べさせていただきます。 新型コロナとの闘いが始まってはや二年、我々は幾度となく押し寄せる感染拡大の波に翻弄され続けてきました。 年明けからの第六波のあおりを受け、初めて本県にも適用されたまん延防止等重点措置ですが、県民の皆様の御協力、医療関係者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの皆さんの御尽力もあり、先月二十日に解除されました。 また、来週の月曜日をもって、全ての都道府県で、まん延防止等重点措置が解除されるとともに、水際対策も段階的に緩和されつつあります。 これからは、コロナ対策の基本姿勢、慎重さを堅持しつつ、第六波の出口に向かって着実に歩みを進め、社会経済活動を徐々に再開させていかなければなりません。 同時に、かねてから我が会派が申し上げてきたように、コロナ後を見据えた新たな山口県の未来図についても、しっかりと描いていくことが求められます。 まず、予算編成の一つの柱である、コロナの危機から県民の命と健康を守り抜く取組についてです。 本会議の議論では、自宅療養による緊急対応を解除し、軽症者を宿泊施設で療養させる方針に戻すべきとの主張もありました。ゼロリスクを目指し、やみくもに必要以上の対応を求めることは、かえって医療提供体制の逼迫を引き起こしかねない無責任な主張であると首を傾けざるを得ません。 リスクに応じて限られた医療資源を適切に配分しようとする執行部の対応は、至極妥当なものであると考えています。 このたびの予算では、オミクロン株による感染拡大に匹敵する状況にも対応可能な体制を確保することを基本として、全国トップクラスの体制にある現在の受入れ病床、宿泊療養施設を継続確保しつつ、感染急拡大に備えた自宅療養者への生活支援の充実を図るとされています。 また、一日最大八千件対応可能なPCR検査等の体制を維持するとともに、四月末までのワクチン接種完了に向け、相談体制の整備や広域接種会場の開設など、県民の安心・安全に直結する取組がしっかりと盛り込まれているものと考えています。 次に、予算編成における二つ目の柱である、長期化するコロナ禍や現下の感染状況による影響を踏まえた経済対策の実施についてです。 今年度に引き続き、中小企業の資金繰りに支障が生じることがないよう十分な融資枠が確保されています。また、私ども自由民主党が公明党とともに要請し、さきの九月補正予算に計上された、返済計画見直しにより追加で必要となる信用保証料の補助などについても、継続実施することとされています。 県内の昨年の倒産件数が過去最低となったのも、これまでのこうした取組の成果であったと確信しており、引き続き県内経済の下支えにしっかりと取り組んでいただくことを期待しています。 かねてから繰り返し申し上げてきましたが、ゼロリスクを追い求め、社会経済活動を犠牲とするやり方では長続きしません。いわゆるウイズコロナの下で、感染拡大リスクを適切に管理しながら、感染症の影響を大きく受けた分野において需要喚起に取り組むなど、一日も早く通常の社会経済活動を回復させていかなければなりません。 このたびの予算では、観光や飲食、県産農林水産物等の消費需要を強力に刺激する、予算総額百億円、事業規模三百億円を超える大規模かつ実効性の高い需要喚起策を実施することとされており、コロナ禍で傷んだ地域経済の発展的な再生に取り組もうとする知事の強い思いがはっきりと読み取れます。 予算成立後は、コロナ禍の長期化により、事業の継続に苦しんでおられる皆様が、早期にその事業効果を実感いただけるよう、速やかな執行に努めていただきますようお願いいたします。 そして、予算編成における三つ目の柱である、新たな未来に向けた県づくりの推進についてです。 知事は、単にコロナの前の状態に戻すだけでなく、より高いレベルの安心の確保と成長の実現を目指していきたいと述べられました。 特に、コロナ禍を受け、その必要性が再認識させられた医療提供体制の充実強化については、私ども自由民主党県連の要請を受け、本県医療の中核を担う県立総合医療センターの建て替えを基本としたさらなる機能強化の検討と、基本構想を策定するための予算が計上されています。 より高度で専門的な医療が提供されるとともに、僻地医療のサポート体制が強化されるものと期待しています。 加えて、感染管理の現場で要となる認定看護師の育成や、歯科医療提供体制の確保に関する予算もしっかりと盛り込まれており、いざというとき大切な命や健康が守られる体制づくりに向け、しっかりと取り組んでいただきたいと考えています。 また、本県のさらなる成長の実現に向けて、デジタル改革を加速し、県政の様々な分野において、本県ならではのデジタル技術活用等にも取り組んでいただきたいと思いますし、県民がより豊かで便利な生活を実感できるよう、人にやさしいデジタル社会の実現についても、御配慮をお願いしたいと考えております。 一方、二○五○年カーボンニュートラルへの対応に当たっては、脱炭素の特別委員会が取りまとめられた提言等を、県としてもしっかりと受け止めていただくとともに、引き続き、県内の企業等に寄り添いながら、本県産業の一層の発展の契機とすべく、最大限の取組をしていただきたいと考えております。 さて、現在国では、このたびの原油の高騰を受け、燃油価格の高騰対策の大幅拡充を行うとともに、漁業者や施設園芸事業者などに対する支援が進められています。 燃油価格高騰の要因の一つは、ウクライナ侵略に対するロシアへの経済制裁と言われております。ロシアが行った、力による一方的な現状変更は、国際秩序の根幹を揺るがす暴挙であり、県議会では、定例会の初日に、抗議と非難の意思を示し、攻撃の即時停止等を強く求める決議を、全会一致で決定いたしました。 一方で、このような事態を受け、輸入エネルギーへの依存度が高い我が国にとって、安全保障の観点からも、エネルギー政策が本当にこのままでいいのかということを真剣に議論する必要があるのではと、改めて感じています。 国民生活や企業活動に関しては、岸田総理は、今後のウクライナ情勢をにらみつつ、影響を最小限に抑えるべく、あらゆる選択肢を排除することなく、政府が一丸となって対応していくと述べられました。 県におかれましても、今後の国際情勢や、国の動向等を注視するとともに、県内経済等に対する影響の把握に努め、県民や事業者の皆様に寄り添い、必要な施策についてはちゅうちょなく、スピード感を持って対応されるようお願いいたします。 その上で、我が国においては、非道な侵略者ロシアに対し、国際社会が結束して強い対抗措置を発動し、いかにすれば侵略を断念せざるを得ない状況に追い込めるのかということを考えていかなくてはなりません。 同時に、ウクライナ情勢と、急速に厳しさを増す東アジアの安全保障環境を前に、我が国の主権と領土、そして国民の生命を守り抜いていくため、緊急事態への対応強化など、憲法改正の議論は待ったなしであると思うのであります。 以上、予算案に対して、賛成の立場からるる申し述べましたが、来年度は、新型コロナウイルス感染症を乗り越え、ポストコロナの未来を切り開くための戦略的な取組を、早急に推進していかなければなりません。 私ども自由民主党会派も、安全で安心して暮らせる、未来に希望が持てる山口県を築き上げるため、総力を挙げて取り組んでいく覚悟であることを改めて申し上げまして、討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)