1 やまぐち未来維新プランについて 2 やまぐち産業脱炭素化戦略について 3 持続可能な農畜産業の推進について 4 国際交流の推進について 5 教育行政について 6 要人警護の在り方について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十九号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質問の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において順次発言を許します。 林哲也君。 〔林哲也君登壇〕(拍手) 林哲也君 皆さん、おはようございます。自由民主党の林哲也でございます。 令和四年九月定例会に当たり、自由民主党会派を代表いたしまして、県政の諸課題について、知事、教育長及び県警本部長に質問をさせていただきます。 質問に先立ち、一言申し上げます。 憲政史上最長となる八年八か月にわたり内閣総理大臣をお務めになり、比類なき識見と行動力で我が国を牽引してこられた安倍晋三先生が、参議院選挙の応援演説中に凶弾に倒れ、非業の死を遂げられたという、筆舌に尽くし難い、つらく悲しい事件から二か月半がたちました。 今回の事件は、選挙活動のさなかに、非人道的な暴力で政治家の命を一方的に奪う、まさに民主主義への冒?であり、この理不尽とも言える蛮行は断じて許されるものではありません。今もなお、激しい憤りと怒りを禁じ得ません。 そして、それにも増して、我が国の未来と山口県の発展のため、さらなる御活躍を期待し、共に歩んでいく思いであった私ども自民党県連といたしましては、まさに断腸の思いであり、深い悲しみとともに、かけがえのないリーダーを失った寂しさは痛恨の極みであります。ここに改めて、故安倍晋三先生に哀悼の誠を捧げ、安らかなる御冥福をお祈り申し上げます。 無念の思いは、我々だけではありません。県内各所に設けられた記帳所には、僅かな期間にもかかわらず、多くの県民が足を運ばれ、七月十二日に東京増上寺で営まれた葬儀には、大勢の国民の皆様が駆けつけ、沿道から別れを惜しまれました。 また、世界各国の首脳からも哀悼の意が寄せられるとともに、明日の国葬儀においても、二百を超える海外からの代表団が参列をされます。 安倍元総理が、地元のみならず多くの国民から敬愛をされた政治家であり、世界においても卓越したリーダーであったと改めて思い知らされ、万感が胸に迫ります。 国葬に引き続き、来月十五日には、県民葬儀が執り行われることとなりました。アベノミクスによる日本経済の再生、地球儀を俯瞰する外交や日米同盟の強化による我が国のプレゼンスの向上など、内政、外交両面にわたる数々の御功績を否定することなど、できようはずがありません。 幾多の困難を乗り越え、我が国の繁栄と山口県勢の発展のために計り知れないほど御尽力を賜ったことに対しまして、最大限の敬意と感謝の念を持って、また、志半ばで亡くなられた御無念を思い、礼節を持って哀悼の意を表すことは、政治的な立場を超えて、自然なことであります。 県民葬儀には、私ども自民党県連も葬儀委員会の一員として参画いたすこととなりました。多くの皆さんの御参列の下、故安倍晋三先生の県民葬儀にふさわしい、厳粛かつ心のこもった式になりますよう、配意を尽くしてまいる所存であります。 我が自由民主党は、安倍晋三元総理の強い国づくりに対する確固たる信念と決意、そして頂戴した数々の御教示をしっかりと胸に刻み、今後とも、日本を守り、未来をつくるため、国政・県政が抱える課題解決に向けて、ひるむことなく全力を尽くしていく覚悟であります。 そのことを、県民の皆様と故安倍晋三先生にお誓い申し上げまして、通告に従い、代表質問に入ります。 初めに、やまぐち未来維新プランについてお尋ねをいたします。 知事は、六月定例会において、県づくりをより高いレベルへと押し上げるため、新たな総合計画を策定し、県政運営に全力で取り組むとの強い決意を示されました。 このたび示された新たなプランの素案では、人口減少や新型コロナウイルスによる環境変化を見つめ直し、三つの維新のさらなる強化による本県の将来像が示され、コロナの危機の克服に向けた対策や重点的な施策など、多岐にわたり盛り込まれています。 コロナへの対応については、本日から、陽性者の全数届出の見直しが全国一律に行われ、オミクロン株に対応した新型コロナワクチンの接種も今月から開始されるなど、ウイズコロナの新たな段階への移行が進められています。 これらの実施に当たっては、県民の不安や医療現場の混乱を生じさせることのないよう、現場と緊密に連携をし、しっかりと対応をいただくようにお願いをいたします。 他方、本県を取り巻く環境に目を向けますと、人口減少・少子高齢化の加速、デジタル化や脱炭素化などの大きな社会変革や、長期化する原油高・物価高騰への対策など、多くの課題が立ちはだかっています。 このような中でも、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現という目標に向かって、新たな県づくりを進めていくためには、取り組むべき課題を明確に定め、県民の皆さんとしっかりと共有し、今後どのようにして本県の未来を築いていくのかというビジョンを具体的に示していくことが重要であります。 そして、これまでの施策の成果も十分に検証した上で、具体性のある取組を打ち出し、本県がさらに豊かになっていく姿を、県民の皆さんが実感できる県づくりを描いていただきたいのであります。 そこでお尋ねいたします。本県の新たな未来の実現に向けて、どのような考えで、このたびの素案を策定されたのか、また今後どう取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、やまぐち産業脱炭素化戦略についてお尋ねをいたします。 我が自民党会派は、本県産業に大きな影響を与える脱炭素化を目下の最重要課題と考え、これまでも繰り返し、産業界の切実な思いを県政に届けてまいりました。知事はこれに応え、やまぐち産業脱炭素化戦略の骨子案を取りまとめられました。 その中では、カーボンニュートラルを原動力とした産業のさらなる成長・発展を目標として掲げ、分野横断的な施策展開が示されており、議会特別委員会の提言に沿った構成となっております。 また、戦略の核となるやまぐちコンビナート低炭素化構想では、県内のコンビナートが出す二酸化炭素の排出量を、二〇三〇年度までに二〇一八年度比で三二%削減するとの具体的な目標値が示されており、今後は、この目標の達成と競争力の維持・強化の両立という、高いハードルを乗り越えるため、真に実効性のある戦略を構築していかなければなりません。 しかしながら、目標である二〇三〇年度は刻々と迫っており、企業の対応も極めて速いスピードで進んでいます。 先月末には、周南コンビナートを牽引する主要企業四社が、脱炭素化の先進地を目指し、発電燃料を石炭からアンモニアへと転換する共同事業計画を発表されました。 また、国においても、これまで数回にわたってGX実行会議を開催され、百五十兆円規模の官民投資の実現に向け、本年度中にロードマップを示す方向で議論が進められています。 このような国の動きを、県内企業が進める脱炭素化への移行に向けた投資に、しっかりと結びつけられる戦略を描いていかなければなりません。 同時に、刻一刻と変化する現場ニーズに耳を傾け、企業のスピードに遅れることのないよう、県として進める取組を迅速に打ち出していかなければならないと考えております。 そこでお尋ねをいたします。本県の産業競争力の強化に向けた、実効性ある脱炭素化戦略を展開するためには、どのような考えで骨子案を策定され、今後どう取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、持続可能な農畜産業の推進についてお尋ねをいたします。 ロシアのウクライナ侵略などによる原油価格・物価高騰は、多くの事業者や生産者に影響を与え続けています。六月議会でも我が会派から申し上げましたように、県においては常時、状況把握に努め、きめ細かに対応していく必要があります。 今定例会においても、社会福祉施設などへの支援について補正予算案が計上されていますが、国の物価高騰の追加対策や来月取りまとめられる総合経済対策とも呼応し、引き続き、事業者や生産者に寄り添った対策を講じられるようにお願いをいたします。 その中でも、畜産業については、配合飼料の価格が急速な円安傾向と相まって、かつてない上がり幅で高騰を続けております。 本年一月時点では、トン当たり約七万円程度であったものが現在は十万円と、四割も上昇しています。県内の畜産業の中には、年間二万トンの配合飼料を使う農家の方もおられ、実に六億円の負担増となっています。 県は、六月補正予算により負担軽減策を措置されたところでありますが、負担増は畜産農家の自助努力だけでは吸収することができない状況にあり、県や我々の元にも窮状を訴える声が届けられました。 こうした状況を受け、このたびの補正予算においては、畜産農家への県独自の支援策が盛り込まれました。迅速な対応を我が会派としても評価をいたしますが、経営状況はまさに持ったなしであり、補正予算成立後には、支援が一刻も早く行き渡るよう、速やかな執行が求められます。 また、国の追加対策では、高騰を続ける配合飼料の価格を、十月以降も現在と同程度に据え置くこととされておりますが、先ほどお示ししましたように、現在の価格がそもそも高く、ウクライナ侵略前の一月時点の価格を基準にした支援を求める声を多く伺っております。 こうした声を国に伝えていくことはもちろん、県としても、今回の緊急的な対策にとどまらず、耕畜連携による県産飼料の生産・利用拡大や転換促進など、飼料の安定供給に向けて中長期的な視点に立った、さらなる対策も講じていかなければなりません。 そこでお伺いをいたします。経営存続の危機に直面している畜産農家を守り、持続可能な畜産産業の推進に向け、今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、国際交流の推進についてお尋ねをいたします。 八月二十七日、本県は米国ハワイ州と姉妹都市提携を締結いたしました。スペイン・ナバラ州以来、約二十年ぶりのことであり、本県にルーツを持っておられるデービッド・イゲ州知事を迎えての締結式は、希望に満ちたものでありました。 明治時代に多くの県民の移住が端緒となって始まったハワイ州との交流は、本県で最も古くから続く海外へのつながりであり、とりわけ、戦前から終戦期にかけてハワイから届けられた支援物資等が多くの県民を救った厚恩は、決して忘れてならない歴史でもあります。 終戦から七十七年が経過した今日、ハワイとの深い絆を知る県民は徐々に減少し、またハワイにおいても、県人会の高齢化などに見られるように、本県とのつながりの希薄さが危惧される状況となっております。 今を生きる我々は、先人が切り開いたハワイとの交流の輪を、次の時代にしっかりと引き継ぐ責務があります。このたびの姉妹都市提携は、まさにその第一歩であります。 締結式はあくまでもスタートであります。これまでの本県では、多くの海外の都市と姉妹都市提携を結んでおりましたが、五周年、十周年といった周年行事に焦点が当たっています。 こうした周年行事も大切でありますけども、姉妹都市とは、常日頃から経済、文化、教育など幅広い分野で交流を積み重ねていくことが本質であります。このことは、今後、自治体同士の交流締結が期待される台湾についても同様であります。 県議会においては、台南市議会との間でオンラインによる友好交流協定をはじめとして、コロナ禍の中でも結びつきを深めてまいりましたが、自治体間においても、若者の交流やインバウンドの回復をはじめ、多くの分野での具体的な取組をさらに充実していかなければなりません。 そこでお尋ねをいたします。このたびのハワイ州との姉妹提携締結を契機に、今後、ハワイ州との交流をどのように発展していかれるのか。また、台湾をはじめとした様々な地域との交流の推進に今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、教育行政についてお尋ねをいたします。 県教委では、少子化が進む中でも、子供たちが変化の激しい社会で求められる力を身につけられるよう、高校再編を進め、一定の学校規模を確保するとともに、特色ある学校づくりを進めてこられました。 また、昨年度は、第三期目となる県立高校将来構想を策定され、本県の高校改革の方向性を示されたところであります。しかしながら、本県の少子化は今後も加速をし続け、現時点で約一万一千人となっている中学校卒業者数は、十数年後には、約八千人にまで減少する見込みであります。 加えて、下関市や岩国市など県境の地域を中心に、いわゆる難関大学や医学部への進学を目的とした、県外中学・高校への流出にも直面をしております。 県教委によりますと、昨年三月末には、中学校卒業時点で、過去五年間で最多となる三百八十四人が、小学校卒業時点でも百五十六人の子供たちが、県外の学校へ進学をしております。 将来構想の実現に向けては、こうした現状に正面から向き合い、勉学に高い志を持つ子供を含めて、全ての子供たちが、希望する道に向かって切磋琢磨をし、成長していける教育環境を一刻も早く整えていく必要があります。 また、一定の学校規模を確保するためには、さらなる高校再編も考えられますが、その際には、遠距離通学が必要となる生徒への配慮など、子供たちが安心して学びを継続できる方策をしっかりと講じることも求められています。 県教委には、本県教育の将来を見据え、待ったなしとの危機感を持って、思い切った発想で改革に取り組んでいただきたいのであります。 そこでお尋ねをいたします。少子化の進行や、進学を目的とした小中学校卒業段階での県外流出の増加など、本県教育を取り巻く環境を踏まえ、県立高校において、将来を見据えた改革をどのように進めていかれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたします。 最後に、今後の要人警護の在り方についてお尋ねいたします。 安倍元総理への銃撃は、残念ながら、国民の安心・安全に対する信頼、さらには、日本が安全な国であるという諸外国からの信頼も損ねる結果となってしまったと言わざるを得ず、いま一度、警護の在り方が厳しく問い直される必要があります。 先般発表された、警察庁による事件の調査検討結果では、警護計画自身に問題があったことを認め、警護要則の抜本的な見直しや体制強化に取り組むとしています。 まずは、警察全体において、このような非道な事件は二度と起こさせないという断固とした覚悟の下、警護の在り方も一から見直していく必要があります。 とりわけ、安全に選挙活動が行われることは民主主義の根幹であり、警察と政党関係者がしっかりと連携を取り、安全の確保に努めていくことが、国民の安心・安全への信頼回復への第一歩であります。 また、本県においても、予断を排した検証を早急に進めなければなりません。現役閣僚や閣僚経験者が多く、おのずと要人警護の機会が多くなる本県では、他県にも増して緊張感を持った対応が求められます。 県警本部長におかれましては、先頭に立って警護態勢の見直し、再構築に取り組んでいただきたいと思います。 そして、来月十五日の安倍晋三元総理の県民葬においては、多くの県民の皆さんに加え、国会議員や海外の方にも参列いただくこととなっております。県警においては、万全の警護を期するよう、重ねてお願いする次第であります。 そこでお尋ねいたします。警護要則の抜本的な見直しを踏まえ、本県として、今後の要人警護にどのように取り組まれるのか、県警本部長の御所見をお伺いをいたしまして、代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)林議員の代表質問にお答えします。 まず、やまぐち未来維新プランについてのお尋ねです。 現行のやまぐち維新プランに基づく取組は、企業誘致による新たな雇用の創出や移住者数の増加など、多くの目に見える成果を上げている一方で、コロナの影響により、観光客数や大都市圏への県産農林水産物の売り込みなど、一部の取組に遅れが生じています。 コロナの第七波はピークを越えましたが、いまだ収束は見通せておらず、まずは何よりもコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させ、山口県の元気を取り戻していかなければなりません。 そして同時に、デジタル化や脱炭素化をはじめとする社会変革、頻発化・激甚化している自然災害、最重要課題である人口減少など、コロナ禍で生まれた新たな課題や、深刻度が増した課題にもしっかりと取り組んでいく必要があります。 このため、私は、県民の皆様の命と健康を守り抜き、コロナで傷んだ社会経済や人々のつながりを再生し、様々な社会変革の先にある、新たな未来を見据えて県づくりを進めるとの考えの下、県民の皆様と課題を共有し、「元気創出!どこでもトーク」等を通じて幅広く御意見を伺い、このたび、やまぐち未来維新プランの素案を取りまとめました。 まずは、直面するコロナの危機の克服に向けて、感染防止対策の強化と社会経済の再生に、引き続き、万全を尽くしてまいります。 また、新たな課題等の解決に向けては、安心・安全、デジタル、グリーン、ヒューマン、この四つの視点を踏まえて、本県の強みを生かし、潜在力を引き出して大きく伸ばしていくための二十の維新プロジェクトと七十二の重点施策を新たに設定しています。 今後は、これらを強力に進めることで、県民誰もが、山口ならではの豊かさと幸福を感じながら、未来に希望を持って暮らせる安心で希望と活力に満ちた山口県の実現を目指してまいります。 具体的には、まず、産業維新においては、社会変革の動きを本県産業の今後の成長につなげていけるよう、新たな価値を創造するDXの取組を一層加速させるとともに、コンビナート企業の脱炭素化に向けた取組を促進するなど、カーボンニュートラルの実現に果敢に挑戦していきます。 大交流維新においては、コロナ禍で大きな制約を受けた交流や人と人とのつながりを、これまで以上に促進し、地域を活性化していけるよう、ニーズの変化を捉えた本県ならではのツーリズムを展開するとともに、山口きらら博記念公園を拠点に、様々な分野の活動や交流を通じて新たな活力を創出し、本県の豊かさを広く発信していきます。 生活維新においては、本県医療の中核を担う県立総合医療センターの建て替え等を通じて、安心・安全を高いレベルで実現するとともに、将来を担う人材育成の取組を強化することなどにより、本県の新たな未来に向けた基盤を築いていきます。 私は、本県の新たな未来の姿と、その実現に向けた道筋を、県議会をはじめ、県民の皆様や市町、関係団体、企業、大学などと共有し、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現に向けて、全力で取り組んでまいります。 次に、やまぐち産業脱炭素化戦略についてのお尋ねにお答えします。 地球温暖化の進行が世界共通の課題となる中、産業部門・工業プロセス部門の温室効果ガス排出割合が全体の約七割を占め、全国の二倍と高い本県にとって、産業分野での脱炭素化の取組は極めて重要です。 中でも、高度に最適化された製造工程でつながるコンビナートは、本県排出量の大宗を占め、その削減には、各社が一体となった取組が必要であることから、昨年度来、関係企業等との協議を重ね、本県コンビナートの将来像や目標を示す、低炭素化構想の最終案を取りまとめたところです。 一方、環境等に配慮したESG投資やサプライチェーン全体に脱炭素化を求めるグローバルな動向は、コンビナート企業はもとより、県内企業の大多数を占める中小企業にとっても不可避の課題であり、その対応いかんによっては、本県の経済や雇用に極めて深刻な影響をもたらすことが懸念されます。 私は、本県がこの困難な状況を乗り越え、産業競争力を維持し、さらなる発展を遂げるためには、こうした危機感や取組の方向性を、産業界をはじめ広く県民の皆様と共有し、企業の取組を全力で後押しをしていくことが必要と考えています。 こうした考え方の下、産業脱炭素化戦略の策定を進めており、このたび取りまとめた骨子案では、脱炭素化という困難な課題への挑戦を成長のエネルギーに変えていく、その決意を、カーボンニュートラルを原動力とした本県産業の成長・発展として、基本目標に掲げることとしました。 また、二〇五〇年に向けた長期の時間軸の中で、早急かつ優先的に取り組むべき施策を、カーボンニュートラルコンビナートの実現や脱炭素社会においても選ばれ続ける企業への成長の促進など、五つの先行プロジェクトとして体系化するフレームをお示ししたところです。 この骨子案に沿った施策の検討に当たっては、山口県環境政策推進本部の下、副知事をトップとし、関係部局長で構成する専門部会において、部局間や関係者との連携・協働による新たな取組の創出に向け、集中的な議論を進めています。 こうした庁内での検討はもとより、企業や関係団体等の声にしっかりと耳を傾け、目指すべき将来像を共有しながら効果的な施策を立案し、ロードマップの作成等により、可能な限り具体化を図り、本年十一月中を目途に、素案として取りまとめ、実効性ある戦略策定につなげることとしています。 また、脱炭素化に向けては、お示しの周南地域における燃料転換の取組など、国レベルでの支援が不可欠であることから、時々の企業ニーズに応じた要望を行い、国の政策を最大限に引き出しながら、脱炭素化に向けた取組を強力に進めてまいります。 私は、今後とも、県議会をはじめ、県内企業、大学、市町等との緊密な連携の下、スピード感を持って本県ならではの産業戦略を構築し、本県産業競争力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、持続可能な農畜産業の推進についてのお尋ねにお答えします。 原油価格や物価が高騰し、農林水産業にも大きな影響を与え続けている中、特に畜産業においては、生産コストに占める飼料費の割合が高く、そのほとんどを海外に依存していることから、大変厳しい経営環境となっています。 こうした状況を受け、私は畜産農家が安心して経営を行えるよう、六月補正予算において、国の配合飼料価格安定制度における生産者積立金や家畜共済掛金への支援を行ったところです。 また、飼料価格高騰の長期化により、現行の制度では生産者の負担が十分に軽減できていないことから、制度の見直しや必要な基金の確保について、知事会等を通じて国に要望してまいりました。 こうした中、さらに七月以降も配合飼料の価格が上昇を続け、畜産農家の努力だけでは生産コストの増加を吸収できない状況になっています。 私自身、畜産農家の方々から、現時点でも資金繰りが苦しい上に、こうした状況が続けば、経営の維持が困難となるなどの切実な声をお聞きをしており、深刻な事態と受け止めています。 このため、私は、畜産農家の皆さんに対する当面の経営継続に向けた短期的な緊急支援に加え、今後も安定した経営が行われるよう、中長期的な視点から国際情勢等による影響を受けにくい県産飼料へのさらなる転換を進めることといたしました。 まず、短期的な緊急支援については、このたびの補正予算において、本県独自の支援策として、畜産農家の負担を軽減できるよう、配合飼料購入費の一部を助成することとしています。 加えて、お示しのとおり、一日でも早く支援が行き渡ることが重要であることから、助成金の迅速な給付に向け、関係団体等と緊密に連携しながら、対応してまいります。 また、輸入飼料が高騰する中、今後、県産飼料の需要の増加が見込まれることから、中長期的な対策となる県産への転換に向けて、飼料用米の生産を拡大するとともに、新たに飼料用トウモロコシの県全域での生産に取り組みます。 あわせて、生産者や関係団体で組織する畜産クラスター協議会を通じた耕種農家と畜産農家のマッチングにより、県産飼料の利用促進を図ることで、一貫した供給体制を整備します。 さらに、本県畜産業の持続的な発展に向けて、今議会でお示ししているやまぐち未来維新プランの素案において、強い農林水産業育成プロジェクトに、農業と畜産業の連携強化を位置づけており、こうした取組を積極的に展開することとしています。 加えて、国に対して、畜産農家の負担が飼料高騰前の水準を維持できる制度への見直しや、県産飼料の生産拡大に向けた取組に対する十分な財政措置を講じるよう、引き続き要望してまいります。 私は、国や市町、関係団体と連携し、輸入飼料から県産への転換に向けた耕畜連携を進めるなど、持続可能な農畜産業の推進に全力で取り組んでまいります。 次に、国際交流の推進についてのお尋ねにお答えします。 経済・社会のグローバル化が進展し、国際社会における連携の重要性が高まる中、私は、広く世界に目を向け、各国や地域との交流を進めていくことが、活力ある県づくりを推進する上で、大変重要と考えています。 このため、これまで中国山東省や韓国慶尚南道をはじめとした友好・姉妹提携先等との長年にわたる幅広い分野での交流を進めるとともに、本県の国際化を推進する上での大切なパートナーである在外山口県人会との関係強化を図ってまいりました。 こうした中、本県とハワイ州との交流については、これまで現地の記念行事への参加や県人会の皆様の本県への訪問など、活発な活動を積み重ねてきたところであり、私は、こうした取組により築かれた友好の絆を、次世代にしっかりと継承していく必要性を強く実感したところです。 こうしたことから、ハワイ友好促進県議会議員連盟の皆様方のお力添えを頂きながら、ハワイ州政府との協議を進め、去る八月二十七日、デービッド・イゲ州知事をはじめとするハワイ州訪問団を本県にお迎えし、周防大島町において、姉妹提携の調印を行ったところです。 私としては、今後、できるだけ早くハワイ州を訪問し、州知事との意見交換や県人会の皆様との交流を行う考えであり、州政府とのさらなる連携も図りながら、経済、教育、文化など、幅広い分野での交流を促進し、相互の信頼と理解を深め、友好関係をより一層発展させてまいります。 また、台湾との交流については、これまで観光客の誘致や県産品の販路拡大など、人や物の交流拡大に向けた取組を積極的に進めてまいりました。 とりわけ、お示しの台南市については、昨年、県議会と台南市議会との間で友好交流に関する覚書が締結されるとともに、本年七月、本県の伝統工芸品を展示した、総爺和風文化祭が開催されるなど、両地域の交流の機運が一段と高まっているところです。 私は、こうして培ってきた両地域の結びつきをさらに深めていくため、今後、台南市を訪問し、観光・物産等の分野における交流に関する覚書を交わしたいと考えており、県議会のお力添えも頂きながら、相互の交流・協力関係の一層の発展に努めてまいります。 さらに、これまで交流を積み重ねてきた中国山東省や韓国慶尚南道、ベトナム・ビンズン省などの地域については、引き続き、経済、環境、教育など、様々な分野における交流に積極的に取り組むとともに、高齢者福祉や脱炭素の取組など、新たなテーマによる交流も進めていくこととしています。 私は、今後とも、ハワイ州をはじめ、様々な国や地域との友好関係の一層の発展に向けた幅広い交流施策を進めるなど、本県に活力をもたらす海外との交流の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行やグローバル化の進展、急激な技術革新など、社会が大きく変化する中、多様な人々と協働しながら、主体的に自らの将来や社会を力強く切り開いていく子供たちを育成するためには、高校教育の一層の充実を図ることが重要であると考えています。 このため、県教委では、本年三月に、今後の高校改革の基本的な考え方や施策展開の方向性を示す、第三期県立高校将来構想を策定したところであり、本構想で示した方向性に沿って、特色ある学校づくりと学校・学科の再編整備を着実に推進するため、現在五年単位の実施計画の策定に取り組んでいるところです。 具体的には、特色ある学校づくりの一つとして、探究科を拡充し、教科等横断的な学習や発展的な学びを通して、思考力・判断力・表現力等や学びに向かう力など、新しい時代に必要となる資質・能力を育成することにより、高い志を持って大学等への進学を目指す生徒の進路実現につなげてまいります。 また、お示しのように、本県では、県境の地域を中心に、多くの児童生徒が勉学等を目的として県外の中学校や高校に進学している状況もあることから、より高いレベルでの学力向上を目指す児童生徒や保護者のニーズに対応するため、岩国・下関地域への新たな中高一貫教育校の設置について検討してまいります。 さらに、少子化に伴う学校の小規模化の進行が今後も見込まれることから、十五年先を見据えながら、選択幅の広い教育の推進や生徒が他者と協働しながら切磋琢磨する環境づくりなど、高校教育の質の確保・向上を図るため、望ましい学校規模の確保に努めてまいります。 また、大学等への進学に重点を置く取組や、高度な専門性を持った産業人材を育成する取組などを推進するための拠点的な役割を持つ学校を、県内にバランスよく配置できるよう、学校・学科の再編整備に取り組むこととしています。 一方で、再編整備に伴い、過疎地域等から遠距離通学をすることとなる生徒に対応する必要があることから、公共交通事業者に対し、利便性の向上が図られるよう働きかけを行うとともに、経済的負担の軽減についても検討してまいります。 県教委といたしましては、新しい時代に対応した学校づくりを、今、積極的に進めなければ、これからの社会を担う人材の育成は困難になるとの強い危機感を持ち、第三期県立高校将来構想の方向性に沿って、将来を見据えた高校改革を全力で推進してまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)要人警護の在り方についてお答えいたします。 本年七月八日、奈良市内において安倍晋三元内閣総理大臣が選挙運動の街頭演説中、銃撃を受け、殺害される事件が発生しました。 県警察では、この事件により生じた重大な結果を極めて重く受け止め、警護要則が抜本的に見直された背景を深く心に刻み、要人警護を実施しているところであり、その主な取組についてお答えいたします。 第一は、警護態勢の強化です。 県警察では、警察本部に統括指揮を行う警護本部を設置し、警護現場に現場指揮官を指名し、指揮体制を強化しているほか、必要な警護員や制服警察官等を配置しています。 また、警護員一人一人の現場対処能力を強化するため、要人への攻撃等を想定した実践的訓練を反復実施しております。 今後、警察庁が主催する研修への派遣を拡充するなど、人的基盤のさらなる強化を図るとともに、治安情勢の分析や現場の実地踏査等を踏まえ、的確な脅威評価に基づいた警護態勢を構築してまいります。 第二は、周到綿密な警護計画の策定です。 要人警護では、身辺の安全を確保するため、政党や施設管理者等の関係者と緊密に連携しながら、周到かつ綿密な計画を作成して実施しております。 そして、警護終了後には、必ず実施状況を検証して、その後の警護措置に反映するなど、警護計画の不断の見直しを行い、その安全性や実効性を一層高めてまいります。 第三は、装備資機材の活用と計画的な拡充です。 近年、インターネットを通じて、誰もが銃器や爆発物の製造に関する情報を容易に入手できる状況を鑑み、要人の安全確保や警護員の受傷事故防止など、警護に係る環境の整備が必要不可欠であります。 今後、警護の現場において、安全確保に必要な透明な防弾つい立て等の資機材を充実していくとともに、最新の技術を用いた警護の高度化に資するドローン等の資機材の拡充を計画的に進めてまいります。 県警察といたしましては、引き続き、警察庁や要人の関係者等と緊密に連携するとともに、的確な情勢の分析・評価を警護措置に反映させ、要人の安全確保に万全を期してまいります。