1 新型コロナウイルス感染症対策について 2 原油価格・物価高騰に伴う中小企業対策について 3 DX推進拠点を核としたデジタル改革の推進について 4 GXの実現に向けた再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進について 5 部活動の地域移行について 6 運転免許行政のデジタル化について
議長(柳居俊学君)上岡康彦君。 〔上岡康彦君登壇〕(拍手) 上岡康彦君 公明党の上岡康彦でございます。公明党山口県議団を代表して質問をさせていただきます。質問に入ります前に、一言申し上げます。 昨日、我が党は、第十四回公明党全国大会を開催し、山口那津男代表、石井啓一幹事長の続投と、新しい役員人事を承認した上で、今後二年間の活動方針について確認を行ったところであります。 また本年は、大衆とともにとの立党精神が示されてから六十周年の節目を迎えました。改めて公明党議員の不変の原点を再確認する党大会にもなりました。 立党精神の淵源は、一九六二年九月十三日、公明党の前進である公明政治連盟の第一回全国大会で示されました。 当時の日本は、高度成長期にありました。農村部から都市部へと若い労働者が増え続けるものの、市街地の整備はまだまだ未整備で、住宅は足りないし、子育てや教育環境の整備などの大衆福祉は切り捨てられたり、後回しにされておりました。 多くの庶民が、苦難に直面していながら、真正面からそうした課題に向き合い、解決に向けて取り組もうとする政治的な存在は当時にはありませんでした。 庶民の声を代弁する政党、政治家はいないのか。「大衆とともに語り、大衆とともに戦い、大衆の中に死んでいく」との公明党の立党精神には、こうした庶民の切実な願いや期待、光が当たらない人々の声なき声を拾い上げ、政治に反映させなければならないとの思いが込められています。 六十年たった現在では、新型コロナウイルスとの闘いが続いており、いまだ収束の兆しは見えません。 ロシアのウクライナ侵攻による食料やエネルギー資源の価格高騰は、円安も絡んで本県経済にも深刻な影響を及ぼしています。 しかし、時代が変わって、社会的な課題は変わっても、大衆とともにとの立党精神は、常に大衆の側に立ち、生活現場の小さな声を聞き取り、ネットワーク力を発揮して政策を実現していくことに変わりありません。 改めて公明党らしく、衆望に応える県政の実現を目指し、全力を尽くすことをお誓いし、通告に従い質問を進めさせていただきます。 初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねいたします。 全国で過去最大の感染者数を更新したオミクロン株による第七波は、一定程度収まりを見せたところではありますが、高齢者施設等でのクラスターは断続的に発生しているとともに、今後、第八波の到来など、さらなる感染の拡大、また、インフルエンザとの同時流行が懸念されるなど予断を許さない状況であります。 こうした中で、三年以上の長きにわたり、新型コロナウイルスと闘い、日々県民の健康と命を守るために御尽力いただいている医療機関をはじめ、保健所職員や応援職員等、県職員の皆さんも含め、関係者に敬意を申し上げるとともに、引き続きの御尽力をお願いいたします。 コロナの収束はいまだに見えないところではありますが、今回を上回る感染拡大が生じても、社会経済活動を維持するための対応策として、国が打ち出したウイズコロナに向けた新たな段階への移行の方針に係る二点についてお伺いいたします。 一点目は、新型コロナ患者の発生届の見直しについてであります。 オミクロン株については、若者の重症化リスクは低く、大部分の人は感染しても軽症で入院することはなく、一方で、高齢者の重症化リスクは引き続き高いという特性があります。 こうした特性を踏まえ、国は、患者の発生届の対象を高齢者等に限定する、いわゆる発生届の見直しを実施する方針を先日示しました。 この方針は、現在の感染状況を踏まえると、適切な方向性が示されたものと考えますが、本県においても国の方針と同様、まさに本日を開始時期として発生届を見直しする内容が、先日、知事の定例会見で発表されたところであります。 この見直しにより、医療機関から保健所への発生届は、高齢者等に重点化されますが、一方で療養者の九割を占め、自宅で療養をされている若者等の軽症者に対しても症状悪化の懸念があることから、丁寧で分かりやすい情報発信と、支援が必要な方をサポートする体制を引き続き確保することが必要となります。 そこでお尋ねします。発生届の見直しに伴い、対象外となる方が安心して療養できるよう、県では、今後どう支援に取り組まれるのか、お伺いいたします。 二点目は、新型コロナワクチンについてです。 これまで、重症化予防の観点から、全国的にワクチン接種が進められており、本県においても六十歳以上高齢者や医療従事者等を対象とした四回目接種が進められておりますが、現在、本県は全国トップクラスのスピードで接種が行われており、御尽力いただいている医療機関や県の職員の方々に深く感謝を申し上げます。 こうした中で、国は、現在流行しているオミクロン株に対し、従来のワクチンを上回る効果が期待されているオミクロン株対応ワクチンの接種を進める方針を示しました。 このワクチンについては、まずは高齢者等を対象とした四回目ワクチン未接種の方が対象とされていますが、今後、全国民に接種を拡大することとされており、本県においても、誰が、いつワクチンを接種できるのか、接種間隔を含めて周知し、混乱なく接種が進むよう関係機関等と緊密に連携し、準備を進めていくことが重要であります。 そこでお尋ねいたします。県では、オミクロン株対応ワクチンの接種促進に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、原油価格・物価高騰に伴う中小企業対策についてお尋ねいたします。 円安の進行に加え、原油をはじめとするエネルギー価格や半導体、農林水産物等の様々な原材料、資材価格の高騰は、社会経済活動に幅広く多大な影響を及ぼしており、その影響はまだ長期化するだろうと見込まれております。 また、現在は感染者数が減少傾向に転じていますが、新型コロナウイルスの第七波という荒波の影響もあり、幅広い事業者が複合的なリスクにさらされ、より厳しい状況に立たされています。 こうした中、国においては、足下の原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に、最大の警戒感を持って迅速に対応するため、岸田首相を本部長とする物価・賃金・生活総合対策本部が設置され、物価高騰等の影響から国民生活や事業を守っていくため、様々な対応が講じられているところであります。 今月九日に取りまとめられた国の追加策では、ガソリン価格の上昇を抑えるための石油元売会社に対する補助金の延長や、六千億円の地方創生臨時交付金の追加配分など、現下の厳しい情勢を踏まえ、さらなる支援が行われることとなり、加えて来月には補正予算を伴う総合経済対策を策定する方針も示されております。 我が公明党においても、現場の声を集めて、中小企業支援策の強化に向けた政府への提言・要請を重ねてまいりました。これにより事業再構築補助金において、新型コロナに加えて原油高などの影響を受ける事業者へ対象が拡大されたほか、資金繰りを支援するセーフティネット貸付の金利引下げ幅を拡大されるなど具体的な成果につなげてまいりました。 本県では、厳しい状況に置かれる中小企業への支援のため、当初予算においてコロナ禍を踏まえた消費需要喚起策を措置されたほか、六月補正予算では、省エネや生産性向上に取り組む中小企業への補助金を創設し、また、このたびの予算でその補助金を拡充されるなど、本県の実情に応じたきめ細やかな支援に取り組んでおられます。 コロナ禍に加え、価格転嫁のスピードを上回る勢いで押し寄せる原材料価格の上昇等に苦しむ多くの中小企業にとっては、これ以上の負担増は限界といった状況にあります。 こうした状況に置かれる事業者に、これまで措置された支援策も含めて、しっかりと届けるとともに、刻々と変化する社会経済情勢を踏まえ、事業者の声に耳を傾けながら、必要とされる支援を今後も的確に実施していかなければならないと考えます。 中小企業は、これまでも積極果敢に挑戦を続け、多くの困難を乗り越えてこられました。しかしながら、かつてない難局とも言える現状を克服するためには、国や県の支えが不可欠であります。山口県においても、中小企業は今後も本県経済の担い手・屋台骨として、それぞれの企業力を存分に発揮できるようにしっかりと支えていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。県では、原油価格・物価高騰に伴う中小企業支援に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、DX推進拠点を核としたデジタル改革の推進についてお尋ねいたします。 村岡知事は、デジタル技術によって、県民一人一人が希望するライフスタイルを自由に選択でき、かつ豊かさと幸せを実感できる社会を目指し、やまぐちデジタル改革を積極的に進められております。 昨年十一月には、本県のDXを官民挙げて推進していくための拠点、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」を開設されました。 この拠点では、企業や団体等のデジタル化に向けて、高い知見やノウハウを有する専門スタッフを配置し、AIなどの最先端技術の展示や紹介を行っています。 さらには、DX推進へのコンサルティング対応や、企業等によるアプリ開発、データ解析などの実証実験の技術支援など、様々な取組が積極果敢に進められているところであります。 我が公明党会派もデジタル化によって地域社会が抱える様々な課題の解決や新たな価値の創造を図り、それを地域の活性化につなげていくことが大変重要と考えており、こうした取組を高く評価しております。 とりわけ、デジタル技術を活用し、県内の各地域・各分野において、様々な課題解決に向けた取組を進めることは大変重要と考えておりますが、この「Y─BASE」から優良事例も幾つかつくられていると伺っております。 その一つが、私の地元、周南市のデータドリブンな野犬対策施策に向けたデータ利活用であります。 データドリブンを簡単に言えば、いわゆるKKD──勘と経験と度胸に頼らず、きちんとデータを分析して課題解決しましょうということであります。 周南市では、市民から野犬情報の提供を受けるしゅうなん通報アプリを構築していましたが、データをうまく活用できていないという課題をお持ちでした。 このため「Y─BASE」のコンサルティングを受け、市民の通報データを生かして、野犬の目撃情報を分かりやすく見える化し、効果的な情報提供へとつなげられ、市民生活に大きく貢献するものとなりました。 こうしたコンサルティングに対する利用者の満足度も九六・一%と、ほぼ一○○%に近いと伺っており、しっかりと利用者のニーズに応え、課題解決にもつながっているのではないかと考えております。 今後も地域の様々な課題解決に向けて、この「Y─BASE」をしっかりと生かしていただきたいと思っております。 そのためには、ここでつくられた優良事例を同じような課題を有する方々へと横展開を図るなど、県内各地へと波及させ、デジタルによる課題解決の好循環を全県的に拡大していくことが重要だと考えております。 また、県のデジタル化の先駆けとなる「Y─BASE」においては、より発展的な取組や新たなチャレンジをぜひとも前向きに進めていただきたいのであります。 そこでお尋ねいたします。豊かさと幸せを実感できるデジタル社会の実現に向けて、今後、DX推進拠点「Y─BASE」を核とした、やまぐちデジタル改革にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、GXの実現に向けた再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進についてお尋ねいたします。 本年七月、政府は脱炭素社会への移行に向けた政策を検討するGX実行会議の初会合を開き、議論を本格的にスタートさせました。 GXとは、グリーントランスフォーメーションの略で、化石燃料から再生可能エネルギーへの転換など、脱炭素化に向けた取組を経済成長のチャンスと捉え、社会経済や産業構造の変革を促していこうという考え方です。 脱炭素を進める最大の理由は、日本が二○三○年度までに温室効果ガスの排出量を二○一三年度比で四六%削減し、二○五○年までにカーボンニュートラルを達成することを国際的に約束している点にありますが、これは非常に高い目標であり、達成するには国を挙げたGXの実行が求められています。 GXが実現すれば、産業革命以来、化石燃料を中心に発展を遂げてきた社会経済の在り方が大きく変わることになりますが、経済産業省が今年五月に発表したクリーンエネルギー戦略の中間整理によると、脱炭素化を進めるためには二○三○年時点で官民合わせて年間約十七兆円という莫大な投資が必要と試算されています。 このため、我が公明党としても、先月九日には環境大臣に対し、GXの実現に必要な費用の確保に資するため、概算要求に関する重点施策要望として、技術革新の加速化と投資拡大を両立させるカーボンプライシングの制度設計を要望したところであります。 また一方、GXの実現に向けては、産業部門での削減に資するような企業自らの挑戦による供給基盤の変革はもちろんのこと、最終消費者である家庭や事業所、いわゆる民生部門における意識変革や行動変容などの取組も必要だと強調されています。 国の地球温暖化対策計画においても、家庭部門や事業所等が含まれる業務その他部門の削減割合が二○一三年度比で五○%以上と、どの部門よりも高い削減が求められており、先ほどお示しした年間十七兆円の投資のうち、電気自動車を含む次世代自動車や省エネ性能の高い住宅・建築物の導入など、最終消費者に関する必要な投資額は約四兆円とされています。 こうした国を挙げてのGX実行の動きに併せ、県としても最終消費者への再生可能エネルギーや電気自動車の普及など、民生部門での取組をより一層促進していく必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。グリーントランスフォーメーションの実現に向け、本県は、再生可能エネルギーや電気自動車などの普及促進に今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、部活動の地域移行についてお尋ねします。 少子化が進行する中、これまで長年続いてきた学校の部活動の在り方が、現在、大きく変わろうとしています。 近年、中学校等の生徒数や教員数の減少が進んでおり、中学校等の部活動を取り巻く環境は大きく変化しています。 国の調査によると、公立中学校の生徒数は、第二次ベビーブーム世代が中学生であった一九八六年がピークで、約五百八十九万人でしたが、昨年は約二百九十六万人とおおむね半減しています。 それに伴い、一校当たりの生徒数も減少が進み、近年では部員が集まらない部活動が増えています。例えば、サッカーは一チームで最低十一人、野球では最低九人が必要でありながら、生徒数の少ない学校では、こうした部活動の継続すら深刻な状況になっております。 こうした中、国においては、令和五年度以降、子供たちのスポーツや文化活動の機会の確保に向けて、主に公立中学校を対象として、休日の部活動の段階的な地域移行を図るとともに、休日の部活動の指導を望まない教員が、部活動に従事しない環境を構築する方針を示されました。 また、この方針の下、運動部及び文化部それぞれにおいて、部活動の地域移行に向けた有識者会議を設置し議論が進められ、本年六月、公立中学校の運動部の地域移行について、有識者会議が提言をまとめ、公表されました。 それによりますと、二○二三年度から二五年度までを改革集中期間に位置づけ、自治体などに対し、まずは休日の部活動から段階的に地域のスポーツ団体などに移行するよう求めています。 また、八月には、吹奏楽部など文化部活動の有識者会議も提言をまとめ、運動部と同様に二五年度末を目途に、休日の部活動を学校から地域の文化芸術団体などに移行するとしています。 本県においても、少子化の進行や指導する教員が減少する中、特に団体で行う部活動を中心として、学校単位での活動の維持が難しい状況も見られており、子供たちの活動機会の確保のためにも、国の示す地域移行に前向きに取り組んでいかなければならないと考えております。 また、これらの国の提言では、実現に向けた課題として、受皿となるスポーツ・文化芸術団体や指導者の確保、経済的に困窮する家庭に活動費用を援助するための財源の捻出などが掲げられています。 本県の地域移行に当たっても、様々な課題が当然予想されますが、それらの解決に向けては、県、県教委、市町や地域などが連携、役割分担の上、対応していくことが必要となります。 来年度から改革集中期間がもう始まりますが、五十年築き上げてきた学校の部活動が、今大変革のときを迎えています。今の部活動をそのまま地域に水平移動させるのではなく、学校、指導者、子供や保護者ら、参加者の皆が主体的に関わり、地域の実情に合った新しい活動として定着できるよう取り組んでいただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねいたします。受皿や指導者の確保という課題もある中で、地域で子供たちのスポーツや文化活動機会の持続的な確保が求められておりますが、部活動の地域移行に向けて、どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いいたします。 最後に、運転免許行政のデジタル化についてお尋ねします。 まず、山口県内の運転免許保有者の状況については、令和四年八月末時点で八十九万六千九百七十五人であります。高齢化の進展で運転免許を保有する高齢者が年々増加傾向にあり、免許保有者のうち六十五歳以上の高齢者は二十七万百十五人で、保有者の約三○%を占めているのが、今の山口県の状況であります。 そうした中でも県内の交通事故発生状況については、人身事故件数は平成十二年から二十二年連続で減少、負傷者数も平成十三年から二十一年連続で減少しています。 また、昨年度の死者数は三十四人で、統計を取り始めた昭和二十六年以降最少とのことで、官民一体となった長年の交通事故抑止対策が実を結んでいる結果であろうと思います。 さて、昨年六月議会の私の代表質問では、全国に先駆けてモデル事業としてスタートすることとなった優良運転者講習のオンライン化について質問させていただきました。 令和四年八月末現在のオンラインによる講習受講者数は四千二百二人であり、優良運転者講習対象者の八・二%であると聞いておりますが、利用した方たちの声として、「コロナ禍にあって密にならない講習は安心できた」「生活スタイルに応じた受講が可能であり便利」という肯定的な意見が多数であったと聞いております。 優良運転者講習のオンライン化は、全国に先駆けたモデル事業であり、今後の全国実施に向けた効果検証や必要なシステム改修はしっかりとしていただきたいと切に願っております。 また、運転免許行政の一層の合理化・効率化を図るために、奈良県、長崎県等では、運転免許の自動申請受付機をいち早く導入し、申請書作成時間の短縮や非接触での免許更新を進めているということを耳にいたしました。 このようなシステムを山口県においても導入することができれば、警察職員の業務の効率化が図られるだけでなく、県民の利便性も大きく向上させるものになるだろうと考えます。 さらに、コロナによる影響は今後もしばらく続くものと思われます。非接触であれば、感染リスクも低減できますので、県民にとっても職員にとっても安心です。こうした点に、今後の運転免許行政の課題があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。山口県における移動手段として、車は欠くことのできないものであり、必然的に膨大な運転免許に関わる手続も付随して必須のものとなっております。したがって、その手続のデジタル化は、計画的にかつ迅速に進めていかなくてはなりませんが、運転免許行政のデジタル化について、今後どのように進めていかれるのか、警察本部長にお伺いをいたしまして、私の代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)上岡議員の代表質問にお答えします。 まず、新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねのうち、発生届の見直しについてです。 国においては、感染者の大部分が軽症・無症状であるオミクロン株の特性を踏まえ、重症化リスクの高い方を守ることに重点を置くため、発生届の対象を六十五歳以上や妊婦等に限定し、本日から全国一律で導入されます。 今回の見直しにより、若い軽傷者等については、発生届の対象外とされ、基本的には自己管理での療養となることから、私は、導入に当たっては、こうした方々も安心して自宅療養できる支援体制の構築が極めて重要であると考えています。 とりわけ、体調変化時に迅速に対応するためには、対象外となる方に関する基本情報の把握が必要であることから、本県では、今般、自宅療養者フォローアップセンターに新たに登録機能を付加するとともに、健康や生活に関する相談機能の一層の拡充を図ったところです。 まず、登録に当たっては、ウェブや電話により二十四時間受け付けることとしており、また、確実に登録していただけるよう、診断時に医師から直接本人に登録を促すとともに、県のホームページを通じて、登録の必要性について広く周知してまいります。 また、療養中の健康上の不安に関し、いつでも気軽に相談できるよう、センターに医師・看護師を二十四時間配置することに加え、新たに医療機関と登録情報を共有できるデータベースを構築し、速やかに適切な医療につなげてまいります。 さらに、食事等、生活上の様々な相談にしっかりと対応できるよう、電話による相談を従来の十七時から二十時まで延長するほか、新たにウェブによる二十四時間受付を開始いたします。 こうした支援体制や支援内容については、自宅療養者に確実に伝わるよう、医療機関から本人に対してリーフレットにより個別に説明するとともに、県のホームページ等を通じて広く県民にも情報発信してまいります。 私は、発生届の対象外となる方も含め、誰一人取り残されることなく、安心して療養していただけるよう、医師会等関係機関と連携の下、自宅療養者の支援に万全を期してまいります。 次に、新型コロナワクチンについてです。 お示しのオミクロン株対応ワクチンは、重症化予防はもとより、感染予防や発症予防にも高い効果が期待されており、感染拡大防止の観点から、できるだけ多くの方に、速やかに接種していただくことが重要と考えています。 特に、今後、インフルエンザとの同時流行への懸念や、冬の感染拡大期に備えるため、私は、年末までに希望される全ての方への接種完了を目指し、先般、市町や医療関係団体と接種の促進に向けて共通認識を図ったところです。 具体的には、市町において、医療機関での個別接種や集団接種会場を増設するとともに、県においても広域集団接種会場の開設や、企業等における職域接種の支援などを行い、接種が本格化する十月半ば以降には、一日約一万回ペースの接種体制を確保してまいります。 また、接種回数や接種日など、個人ごとに接種履歴が異なることから、接種を希望される方の混乱を招かないよう、県民の皆様に分かりやすく、丁寧な周知が必要と考えています。 このため、実施主体である市町において、接種対象者や接種開始時期、ワクチンの効果・安全性などを盛り込んだリーフレットを作成・配布するとともに、県や市町のホームページを通じて、広く情報発信してまいります。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係機関等との連携の下、今後とも新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでまいります。 次に、原油価格・物価高騰に伴う中小企業対策についてのお尋ねにお答えします。 急速な円安が進行し、原材料価格が上昇する中、価格転嫁が十分進んでいない中小企業の収益が悪化するなど、原油価格・物価高騰による影響の長期化が懸念されています。 こうした情勢に対応するため、国では先般開催した対策本部において、臨時交付金の追加配分や燃料油価格の激変緩和事業の継続などの対策を決定するとともに、中小企業の活性化に向けた資金繰りをはじめとする支援パッケージが示されました。 本県においても、コロナ禍に加え、物価高騰により中小企業はさらなる打撃を受けており、私は、事業継続が図られるよう国の対策と呼応しながら、企業ニーズに対応した支援策を適切に実施することが極めて重要と考えています。 このため、当初予算で措置したこれまでにない規模の消費需要喚起策に加えて、物価高騰等の影響を最小限に抑えるため、六月補正予算において原油価格・物価高騰対策を措置し、着実かつ効果的に取り組んでいるところです。 消費需要の喚起に向けては、クラウドファンディングを活用し、事業者の資金支援と消費喚起を併せて行う頑張るお店応援プロジェクトにおいて、想定を上回るペースで目標額二十億円の支援の申込みがあり、県内の需要喚起に大きな効果があったものと考えています。 また、物価高騰対策では、収益が圧迫されている事業者の資金繰りを支援する新たな融資制度や、省エネや生産性向上に資する設備導入の補助制度を創設し、厳しい状況にある事業者に一刻も早く届くよう、スピード感を持って取り組んでいます。 こうした物価高騰の長期化等を背景に、想定を上回る多くの事業者から設備導入補助の申請を頂いており、私はこうしたニーズに的確に対応し、広く中小企業の経営改善を図るため、このたびの補正予算において、事業費を大幅に拡充することとしました。 また、国の支援パッケージに速やかに対応し、中小企業の事業再構築などに向けた資金需要に応えるため、来月から制度融資における伴走支援型の保証限度額の引上げを実施します。 さらに、経済情勢の動向や企業ニーズ、また、来月示される国の経済対策等を踏まえながら、中小企業のエネルギー価格高騰の影響緩和など、経営基盤の強化等に資する追加の対策について検討してまいります。 加えて、物価高騰には、国と地方が総力を挙げて取り組む必要があることから、国の支援パッケージの強力な推進や事業再構築補助金等の充実、価格転嫁の円滑化など、中小企業の経営改善に資する取組を国に求めてまいります。 私は、今後とも本県経済の重要な担い手である中小企業が、積極果敢に挑戦を続け、困難を乗り越えていけるよう、原油価格・物価高騰に伴う中小企業支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、DX推進拠点を核としたデジタル改革の推進についてのお尋ねにお答えします。 私は、県政の各分野でデジタル改革を強力に推進することにより、今までにない手法での地域が直面する様々な課題の解決や、新たな価値の創造を目指し、本県ならではのDX、やまぐちDXの創出に積極果敢に挑戦しています。 この取組の核となる、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」では、大手IT企業を共創パートナーとして、その技術やノウハウ等を導入し、技術紹介やDXコンサル、人材育成など、地方におけるDX推進の全国的なモデルともなる取組を先駆的かつ幅広に展開しているところです。 このうちDXコンサルについては、プロジェクト件数は既に百件を超え、専門スタッフの高いスキルと拠点の多彩な機能を生かした手厚い支援が非常に高い評価を得ています。 そうした中で、周南市の野犬対策などの行政分野の取組や、人手不足が深刻化する産業分野での生産工程の自動化の取組など、様々な分野で課題解決のモデルとなる事例が生まれています。 私は、全県的なDXの推進に向け、こうした事例の横展開を図り、それを各分野のデジタル実装と課題解決へとつなげるとともに、各地域における新たな事例創出と横展開の強化を図るため「Y─BASE」の広域展開も積極的に進めていきます。 まず、横展開に向けては、課題を抱える各主体がデジタルの可能性を知り、成果イメージを持って、取組の第一歩を踏み出すよう働きかけることが重要です。 このため、「Y─BASE」の取組事例等を分野・カテゴリー別に整理をし、その取組内容や成果を、連携する金融機関等を通じて企業などへ提示するとともに、ホームページやSNSで分かりやすく発信し、これをDXコンサルの拡大とそれを通じた取組の横展開へとつなげていきます。 次に、「Y─BASE」の広域的な展開に向けては、宇部市の創業支援施設をサテライトと位置づけ「Y─BASE」の活用環境を整備しましたが、引き続き意欲ある市町と連携してサテライト施設を設置し、各地域における課題解決事例の創出を図る取組等を進めます。 さらに、「Y─BASE」が、本県のDXを牽引できるよう、新たなチャレンジにも積極的に取り組みます。 これまでも、社会を大きく変える可能性のあるインターネット上の仮想空間メタバースの導入支援や、デジタル庁に全国をリードする取組と評価された、デザイン思考の実践人材の育成など、先進的な取組を進めており、今後も「Y─BASE」において、様々な挑戦を積み重ねていきます。 私は、「Y─BASE」を核として、県内各地域、各分野におけるDXの取組をしっかりと支援し、県民の皆様にこれまで以上の豊かさと幸せを実感していただけるよう、やまぐちデジタル改革に全力で取り組んでまいります。 次に、GXの実現に向けた再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素社会の実現に向けて、現在、国では二○五○年カーボンニュートラルという目標を掲げ、お示しのように、経済社会システム全体の変革を促すGXの実行について検討を進めているところです。 私は、こうした国の動きに呼応し、GXは経済と環境の好循環をつくり出し、将来の大きな成長につながるとの考えから、やまぐち未来維新プランにグリーンの視点を設け、脱炭素化に向けた県施策全体の基本的な方向性を示すこととしました。 このたび取りまとめたプランの素案では、脱炭素社会の実現に向けた地域づくりの推進を重点施策に掲げ、再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進などにより、家庭や事業所など民生部門の取組を積極的に進めていくこととしています。 具体的には、まず、再生可能エネルギーについて、県産品として登録した太陽光発電や蓄電池などを設置するネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの導入を支援するとともに、内覧会や宿泊体験の開催により、県民の行動変容を促し、普及につなげてまいります。 また、中小企業に対して、脱炭素セミナーを開催し、再生可能エネルギーの意識改革を図るとともに、新たに再生可能エネルギー電力の利用に積極的に取り組む事業所の認定制度を創設し、利用の拡大を後押ししているところです。 次に、電気自動車については、岩国市で実施している分散型エネルギーの実証事業において、太陽光発電と電気自動車を組み合わせた際のCO2の排出削減やコスト削減の効果とともに、多様な利用方法等についても取りまとめ、これらを広く普及啓発してまいります。 今後は、この実証で得られた成果等を生かしながら、県有施設に太陽光発電や電気自動車等を率先導入し、分散型エネルギーの普及啓発の拠点として整備することにより、市町や事業所などへの導入につなげていく考えです。 さらに、現在改定を進めている地球温暖化対策実行計画では、再生可能エネルギーの発電出力や、電気自動車等の導入割合について、二○三○年度の目標値を再設定することとしています。 これらの目標の達成に向けて、中小企業への新たな再生可能エネルギー導入支援策などの検討を進めていくとともに、今後、政府要望等を通じて、必要な財政支援等を要望していきたいと考えています。 私は、今後ともGXの実現に向けて、県民や企業の理解と積極的な参加を得ながら、総力を挙げて、家庭や事業所への再生可能エネルギーや電気自動車の普及促進に取り組んでまいります。 次に、部活動の地域移行についてのお尋ねにお答えします。 部活動は、生徒の体力や技能の向上はもとより、人間関係の構築や責任感・連帯感の涵養など、生徒の成長過程において重要な役割を果たすものとして、学校の教育活動の一環として運営されてきたところです。 しかしながら、近年、少子化や教員の働き方改革が進む中で、特に地方において、これまで中学校が担ってきた学校単位での部活動の継続が困難な状況も生じており、将来に生徒がスポーツや文化活動に親しむ機会が減少することが懸念されています。 こうした状況を踏まえ、国においては、令和二年九月に、令和五年度以降、公立中学校の休日の部活動を段階的に地域へ移行する方針を決定したところであり、今後、部活動の地域移行に関する国の有識者会議の提言を踏まえたガイドラインが示される見込みです。 私は、少子化が進む本県においても、こうした国の方針を踏まえ、持続可能で多様なスポーツ・文化環境を整備し、将来にわたって子供たちが希望するスポーツや文化活動に親しむ機会を確保していくことが必要であると考えています。 このため、これまで県教育委員会において、県内の中学校での地域移行の実践研究に取り組むとともに、県内関係機関等で構成する部活動改革推進協議会を設置し、実践研究の成果等を踏まえ、地域の実情にも即した取組の方向性の協議を進めているところです。 また、今年度新たに、各市町が設置する地域移行に向けた運営・検討協議会の開催を支援し、各地域における市町や学校、関係機関等との協議、検討を促進しているところです。 さらに、地域移行に意欲的な総合型地域スポーツクラブと地元の中学校とが連携して実施する体制整備の取組に対して支援を行うなど、地域の受皿確保に向けた取組も進めています。 今後は、県教育委員会と連携し、実践研究で明らかとなった指導者の確保や運営主体の在り方等の課題とともに、国から示されるガイドラインの内容等も踏まえながら、本県の部活動の地域移行に向けた推進計画を策定したいと考えています。 この計画には、地域移行の方向性やスケジュール、課題解決に向けた具体的な方策等を盛り込むこととしており、これにより市町が主体となって行う地域移行に向けた取組を促進することとしています。 私は、子供たちのスポーツ・文化活動の機会の確保に向け、今後とも県教育委員会と一体となって、各市町や関係機関、団体等と緊密な連携を図りながら、部活動の地域移行が着実に進むよう取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)運転免許行政のデジタル化についてお答えいたします。 運転免許は、県民の方々にとって最も身近な資格であり、運転免許行政のデジタル化を進めていくことは、業務の効率化が図られるだけでなく県民の利便性向上を実現する極めて重要なものであると考えております。 議員お示しの優良運転者のオンライン講習につきましては、全国に先駆けてモデル事業として本年二月から実施しており、受講者が増加傾向にあるほか、受講者からは「時間と場所に制限がなく受講できる」「二十四時間自宅でも受講できて便利である」「次回もオンライン講習で受講したい」など、好意的な意見が多数寄せられているところです。 令和六年度末の全国運用に向けて、県警察としても必要な効果検証を行い、国民の利便性向上に資する、より良い事業となるよう努めてまいります。 また、同じく令和六年度末までには、各都道府県警察が個別に運用している運転者管理システムが、警察庁において整備される全国共通の新たなシステムへ順次移行され、運転免許行政のデジタル化が進められることになります。 具体的には、自動申請受付機の導入や運転免許証とマイナンバーカードの一体化であり、令和四年度には必要な予算の調達、令和五年度には機器類の整備、その後、機器の接続試験等を経て、令和六年度中には運用を開始できるよう諸準備を進めております。 自動申請受付機は、議員お示しのとおり、申請者個々に必要な書類が自動的に作成されるなど、手続に要する時間の短縮が図られ、さらには新型コロナウイルスの感染リスクの低減にも効果が期待できることから、導入を計画しております。 運転免許証とマイナンバーカードとの一体化は、住所変更手続のワンストップ化や自動車等を運転する際に、マンナンバーカードとは別に運転免許証を携帯する必要がなくなるなどの効果があります。 県警察といたしましては、関係機関と連携を図り、運転免許行政のデジタル化を計画的かつ迅速に進めるとともに、県内の三か所で実施している運転免許証の即日交付施設の拡充について検討を行うなど、県民の利便性向上に資する取組を一層進めてまいります。 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時五十分休憩