1 農業試験場跡地の利活用について 2 力強い農業の実現について 3 魅力ある中山間地域づくりについて 4 子どもたちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりについて 5 地域の脱炭素ドミノ実現に向けた取組の推進について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十五号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 俵田祐児君。 〔俵田祐児君登壇〕(拍手) 俵田祐児君 皆さん、おはようございます。自由民主党の俵田祐児でございます。 質問に先立ちまして一言申し上げます。 令和四年も早いもので残り一か月を切りました。毎年この時期になりますと、その年の世相を表す漢字一文字が選ばれ、発表されています。 この一年を振り返ってみますと、ロシアによるウクライナ侵略や度重なる北朝鮮によるミサイル発射など国際情勢の不安、いまだ収束の見通せない新型コロナ感染症への不安、物価高高騰による経済や生活への不安、そして衝撃であった安倍晋三元総理の銃撃事件と、国民・県民の暮らしの様々な面での安心・安全が脅かされ、大きな不安を抱かされる年であったと感じています。 一方で、多くの方々が日々の暮らしの安心・安全の大切さを改めて認識することにより、その実現を切実に望む声が高まり、国政や県政を動かし、暮らしを支える対策がこれまで以上に進んでいくことが期待されています。 こうした皆さんの声をしっかりとお聞きし、行政へとつなぎ、そして暮らしの安心・安全対策に反映させていく、その役割を大きく担っているのが我々議員であり、その責任は極めて大きいと感じています。 来年のことを言えば鬼が笑うと言いますが、来年のこの時期には多くの県民の方々が笑顔で今年は安らかでいい年だった、今年の漢字は安心・安全の「安」だと思える年になりますよう、私自身、これからも自らの責務を全うしていくことを誓い、通告に従い一般質問に入らさせていただきます。 まず初めに、農業試験場跡地の利活用についてお尋ねいたします。 来年四月、山口市にある農業試験場、林業指導センターと防府市の農業大学校が統合され、即戦力人材の育成と先端技術の開発に一体的に取り組む、農林業の知と技の拠点が開設されます。 農業試験場は、山口の地に百二十年以上存置し、本県農業研究の中核であるだけでなく、地域の方々からも愛された施設でしたので、移転の時期が近づいてきますと、正直、寂しさを感じることもありますが、防府市で新たな拠点としてさらに機能を高め、本県農林業の活性化につなげていただきたいと思います。 かつて田園地帯であった農業試験場周辺は、現在は大型商業施設の進出や宅地開発が進む山口市の中核的な地域であることから、私は、こうした市街地における約十九ヘクタールという広大な跡地の利活用は、山口市のまちづくりと県央部の発展に大きな影響を及ぼすと同時に、未来に向けた県づくりの試金石になるとの思いで、県と市の緊密な連携が不可欠であるということを訴えてきました。 また、この地域の従来からの課題である慢性的な渋滞や雨水排水の対策、試験場跡地の土壌調査への対応が、このプロジェクトの推進に必要不可欠であることも申し上げてきました。 県は、こうしたことや地域の声をしっかりと受け止め、山口市との間で協議を重ねられ、このたび、跡地利用に係る基本構想の素案を県と市の共同により示されました。 この中では、「未来のまち」の構想に向けて、生涯活躍のまちづくり、スマートシティの実現、脱炭素化の推進など、国レベルの施策にも取り組むとされています。 また、地域住民から要望のある、既存緑地やグラウンドを含めた公園の整備や、先ほども申し上げた、この地域の諸課題への対応もしっかりと示されています。 令和二年十一月の一般質問において、私がこの問題を取り上げてから約二年を経て、将来の発展を見据えた跡地利用の大枠が見えてきたことを、私としても評価しています。 今後は、まず、この基本構想をしっかりと完成させた上で、具体的な計画策定を進めていかなければなりませんが、取り組むべき分野は、環境、福祉、土木、デジタルなど非常に多岐にわたることから、構想の具体化は、多角的な検討や調整が必要になります。 そして、これからの取組を強力に進めるため、素案の中で、やまぐちの未来のまち創造プロジェクトと掲げられているように、県と市の力を結集してプロジェクトを進めていただきたいと思います。 また、来年度からは農業試験場施設の解体も始まりますので、地元の喪失感が将来への希望へと転換されるよう、同時進行で新たな創造を着実に進めていただくとともに、渋滞緩和等の諸課題への対応については、一層のスピード感を持って取り組んでいただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。農業試験場の跡地について、このたびの基本構想の素案をどのような考えで策定され、今後、その具体化にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、力強い農業の実現についてお尋ねいたします。 来年四月に開設される農林業の知と技の拠点では、来年度、農業大学校に土地利用学科が新設され、大規模水田農業に対応できる人材を育成されることになっていますが、この学科新設に対しては、現場の農家からも期待の声が上がっていますし、私自身も、これからの本県農業の中核となる人材育成に貢献するものと、大きな期待をしているところです。 一方、大規模な水田農業を展開していくためには、こうした人材育成に加え、その基盤となる圃場整備や水田の高機能化・汎用化を進めていくことが不可欠です。 本県においては、昭和三十年代から耕地区画や用排水路の整備が本格化し、令和三年度末までに約二万三千四百ヘクタールの圃場整備が行われるなど、水田農業の生産性向上に寄与してきました。 現在においても、昭和の時代に整備を行った区画の再整備や、畑作物の安定した収量確保が可能となる水田機能の高度化へのニーズがさらに高まっていますが、その一方で、高齢化や不在地主の増加などにより、地域内の合意の難しさや金銭的負担への抵抗などから、事業への実施がちゅうちょされる地域も増えています。 こうした状況の中にあっても、本県の農業農村整備事業が円滑に進んでいるのは、地域内での話合いや事業実施の合意形成に向け、県職員の皆さんが何度も現場に出向き、土地改良事業団体連合会や市町の職員と一体となって様々な調整をされているからでもあります。 これは要望になりますが、県においては、農業農村整備事業を進める上で、専門的知見を持った技術職員の確保と育成に、引き続きしっかりと取り組んでいただくよう、お願いをしておきます。 これからの基盤整備は、水田の区画を地形や水系に合わせて広げるだけでなく、次代を担う若者たちが、少人数でも大規模経営が可能となるよう、スマート技術や機械を導入した際の効率性や実用性を考慮することが大切になってきます。 しかしながら、スマート農機等の性能が日々進化する一方で、基盤整備事業は地域の話合いから完了まで十年近い年数を要するなど、タイムラグが生じるという大きな課題があります。 また、今後、機械の大型化がさらに進んでいくことを考えれば、農地に直結する作業道や格納庫を設置する敷地を余裕を持って確保するなど、農地の有効活用だけでなく、効率性の観点を持つことも重要になります。 私は、食料安全保障の重要性が改めて認識されている今だからこそ、少人数でも効率的な経営が可能となる基盤の整備を進め、山口県の農業を力強いものにしていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。力強い本県農業の実現に向け、スマート農業など効率的な経営が可能となる農業農村整備事業に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、魅力ある中山間地域づくりについてお尋ねいたします。 中山間地域では、数多くの地域資源を有している上、多様な働き方を求める若者たちの受皿となるなど、これからの時代において、大きな可能性を秘めた地域でもあります。 それを証明するように、地方への定住・定着を図ることを目的に、平成二十一年度からスタートした国の支援制度である、地域おこし協力隊の隊員数は年々増加しており、昨年度では全国で六千十五人となっています。 本県においても、今年度、私の地元である山口市の十三名をはじめ、県下各地で七十名の隊員が活躍されていますが、私は、地域にとって本当に大切なことは、隊を卒業された後に彼らが地域に定着してくれるかどうかであると考えています。 この定着率の数値はホームページでも公表されていますが、全国が約六五%であるのに対し、本県では七七・四%と、全国よりも非常に高い数値となっています。 これは、隊員の皆さんをサポートする県や市町の職員の尽力によることはもちろんですが、本県の中山間地域の魅力や、移住者に対する地域住民の皆さんの温かい対応なども大きな理由になっていると思います。 しかしながら、こうした地域外からの若者たちの定住が進む一方で、中山間地域では、人口減少や高齢化に伴い、公共交通機関の衰退や医療・福祉サービスの不足、さらには集落機能の低下などの課題が顕在化しており、特に高齢者にとっては、生活の利便性が悪化している状況にあります。 こうした中、県では、やまぐち元気生活圏づくりの取組により、集落の枠を超えた広い範囲でサービスの拠点化と集落同士のネットワーク化を進め、周辺都市とも連携して、産業の振興や人口定住を進められるとともに、地域課題の整理や推進方針の作成、方針に位置づけた施設の導入など、地域の団体が活用可能なソフト・ハード両面での各種事業も整備されています。 こうした支援等もあり、山口市阿東地福のNPO法人ほほえみの郷トイトイのように、高齢者の買物支援、見守りや子供たちの交流体験の場の創出、空き家のリノベーションによる地域資源化など、地域住民が主体となったすばらしい取組を展開される団体も出てきています。 一方、こうした地域活動が定着していくまでには、単年ではなく、複数年の時間を要することが通常です。 このため、中山間地域の活性化に取り組んでいる方々からは、取組の初期段階だけでなく、長期間の継続した支援を求める声も届いています。 岡山市では、中山間地域の課題解決に向け、事業実施年度を五年程度に設定し、複数年の取組を対象にできる事業を創設しています。 私も、この岡山市の考え方に共感しており、中山間地域の支援に当たって、県は初期の支援のみで、その後は市町や地域に任せるというのではなく、一定の成果が上げられるまで地域や人に寄り添いながら、複数年かけて支援を行っていくという姿勢が大切だと感じています。 そこでお尋ねいたします。魅力ある中山間地域づくりに向けては、長期的な視点で地域の課題解決をサポートしていくことが重要と考えますが、県として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりについてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症は、今から三年前、令和元年十二月初旬に中国の武漢市で第一例目の感染症が報告されてから、僅か数か月ほどの間に、パンデミックと言われる世界的な流行となりました。 我が国においても、令和二年一月に最初の患者が確認された後、急速に感染が拡大し、三月には新型コロナウイルス対策の特別措置法が成立、四月には全国で緊急事態宣言が出されるなど、社会全体で行動制限がかかり、学校も長期間にわたって臨時休業し、多くの学校行事が中止となりました。 その後の感染防止対策の徹底など関係者の努力もあり、最近は、各学校現場でも以前の日常が戻り、授業や多くの行事も実施されていることに、私も大変心強く感じています。 ただ、各学校の状況を親御さんにお尋ねすると、以前どおりとはいかないようで、ここ数年間実施できなかった行事を再開しても、例えば、運動会は半日のみの実施、修学旅行の日数を短縮する、合唱コンクール等は実施しないという学校もあるようです。 こうした中、先月二十五日に変更された、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針では、学校・保育所等での感染対策については、子供の教育機会を可能な限り確保するとともに、子供や教育現場、医療現場の負担に配慮して効果的・効率的な対策に取り組むとされ、二十九日には、文部科学省が、適切な感染防止対策を施せば、小中学校などでの給食時の児童生徒同士の会話が可能との通知を発出するなど、コロナ前の教育環境の確保に向けて状況が整いつつあります。 こうした動きを踏まえ、コロナと季節性インフルエンザの同時流行などを念頭に置く必要はありますが、子供たちの生活や学びをコロナ前の状態に戻し、より充実させていく必要があると考えます。 過去の結果としての現在を振り返ることはもちろん大事ですが、未来の原因としての現在にどう種をまき、取り組んでいくかはもっと大切です。今の子供たちが、コロナ禍のこの三年間で得られなかった知識や経験等があれば、今からでも、また、来年度、進級や進学した後でも得られるように、私ども大人が、そして、教育現場が積極的に工夫すべきと考えます。 そこでお尋ねいたします。コロナの影響を受けたこの期間が、子供たちにとって失われた三年間とならないよう、コロナ前にも増して、学習環境の充実や体験機会の確保など、子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりに努める必要があると考えますが、県教委としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、地域の脱炭素ドミノ実現に向けた取組の推進についてお尋ねいたします。 先月一日、商店街、住民、企業、市の共創による市街地脱炭素化の実現を目指す山口市ゼロカーボン中心市街地の提案が、国の第二回脱炭素先行地域に選定されました。 第一回と合わせて、全国二十九道府県六十六市町村の四十六提案が選定される中、本県では初の選定となります。 市では、このたび、脱炭素先行地域の制度を生かして、民間と共同で地域新電力会社を設立し、中心商店街周辺エリアを中心に、アーケードへの太陽光発電の導入などにより調達した電気を公共施設や民間、店舗に供給することとしています。 あわせて、商店街で利用可能なエコポイントの導入により地域経済の好循環を生み出すとともに、EVシェアリングなどにより、町なか居住とウォーカブルなまちづくりを促進するなど、脱炭素化のみを目標に進めるのではなく、地域課題の解決と住民の暮らしの質の向上を実現しながら取り組むこととされています。 こうしたまちづくりと地域脱炭素を一体的に目指す山口市の取組は、他の地域のモデルケースとなり得るものであり、他の市町へ横展開を進めていくことが可能だと大いに期待しています。 今後、地域で次々と脱炭素を実現する脱炭素ドミノを本県においても生み出していくためには、まずは、山口市の事例のように、それぞれの地域が先行して進める脱炭素化の取組を応援し、しっかりと連携していくことが重要だと考えています。 また、脱炭素化の取組を円滑に進めるためには、関係者の理解が重要なポイントであり、まずは、ゼロカーボンシティ宣言をした自治体自らが具体的な脱炭素化の取組を実践することが重要だと考えます。 山口市では、国に提案するに当たり、昨年十二月に、山口市ゼロカーボンシティ宣言をし、推進体制の整備を行うとともに、EVを活用した脱炭素化等に関する連携協定を締結し、建設中の新本庁舎などに省エネ・再エネ整備導入を計画しています。 県では、再生可能エネルギーの地産地消、県内企業の環境意識の向上等を目的に、やまぐち維新でんきを創設されましたが、県有施設での再エネ電気の利用拡大はもちろん、さきの定例会の答弁の中で示された再エネ由来の水素ステーションについて、例えば県庁敷地内での運用を検討するなど、目に見える形で県民の皆さんに示していただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。先週表明された二○五○年カーボンニュートラル宣言に、今後、具体的に取り組んでいくに当たり、本県においても、地域経済の活性化と地域課題の解決を図りつつ、脱炭素ドミノを生み出していくことが求められると考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 最後に一言申し上げます。 私は、幼少の頃から流れる汗もいとわず、地域の発展に身をささげた祖父と父の背中を見て育ち、また、郷土の発展に情熱を注いだふるさと政治家吹田愰先生に師事し、先生の政策を実現する手腕や実行力を目の当たりにしてきました。そして私も、ふるさと山口市をよりよくするとの志を立て、政治家としての道を歩み始めました。 祖父と父と私と三代にわたる活動の間、ふるさと山口市は周辺町村との幾度もの合併を経て、現在は面積一千平方キロを超える県内随一の都市として発展を遂げ、山地から平野部、海にわたる多様な地形の中で、十九万人を超える市民が暮らしています。 その基盤となる山口市内の道路の延長は二千キロメートルを超え、縦横に張り巡らされた道路が市民の暮らしをはじめ経済や産業、交流など様々な活動を支え、地域の成長と発展に大きく貢献しています。 私は、これまで様々な機会を捉え、県央の中核としてふさわしい道路となるよう、高速道路や幹線道路、生活道路等に至る全ての道路が一体的に機能し、ネットワークとして最大限の効果を発揮するよう、道路整備の必要性をきめ細かく訴えてまいりました。 現在では、県内初となる湯田温泉スマートインターチェンジの開通や新山口駅長谷線の完成、泉町平川線の工事の全面展開など都市計画道路の事業促進、また、子供たちの安心・安全を守るための通学路の対策の強化など、道路整備は着実に前進し、目に見える成果を上げています。 一方で、市街地での渋滞や多発する事故、台風や豪雨時の災害による通行止め、荒天時の通行規制、橋やトンネル等の老朽化など、依然として多くの課題を抱えています。 私は、市民の皆さんの声や思いをお聞きしながら、こうした地域の課題をしっかりと把握するとともに、市役所の建て替えや農業試験場跡地の利活用など市内で進められている振興策との整合を図りながら、山口市が県央の中核都市としてさらに発展していくため、現在事業を進めている箇所の早期完成はもとより、国道二号台道から鋳銭司間や国道九号宮野上から阿東篠目間の早期事業化、市内の道の駅のリニューアルなどに力を尽くしてまいります。 加えて、私がかねてより実現を訴えてきた国道九号宮野上から阿東篠目間については、広域の産業・経済の発展や地域間の交流・連携の促進、安全・安心の確保を図るために不可欠な事業であることから、引き続き、私が先頭に立って必ず事業化につなげるとの決意を持って全力で取り組んでいくことを誓いまして、私の一般質問を終わらさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)俵田議員の御質問のうち、私からは、農業試験場跡地の利活用についてのお尋ねにお答えします。 来年四月の防府市の農林業の知と技の拠点に移転・統合される農業試験場の跡地は、約十九ヘクタールの広大な敷地であることに加え、山口市と防府市を結ぶルート上に位置し、魅力あふれる県都づくりや県央部の広域的なまちづくりにつながる大きなポテンシャルを秘めています。 このため、農業試験場跡地の利活用を総合的かつ効果的に進めることができるよう、山口市と連携し、本年度中にその指針となる跡地利用基本構想を策定することとしたところです。 この基本構想の策定に当たっては、地域が抱える諸課題の解決や地元要望を踏まえた施設等の導入に加え、人口減少や少子高齢化が進展する中で、山口の新しい「未来のまち」モデルを構築することを念頭に、先進地を視察し、民間事業者の専門的な知見も活用しながら検討を進めてきました。 本構想の素案では、みんなで紡ぐ幸せのまちづくりをコンセプトに掲げ、生涯活躍のまちづくり、スマートシティの実現、脱炭素化の推進の三つの政策テーマを融合させ、将来にわたり自立発展し、地域全体の価値が高まるまちの仕組みを構築・実証していきたいと考えています。 その核となる生涯活躍のまちづくりでは、高齢者、障害者、子育て世代など、多様な人々が個性を尊重し、能力を発揮することで、誰もが居場所と役割を持ってつながり、生涯を通じて活躍できる顔の分かるコミュニティを創造していきます。 あわせて、都市機能の最適化と暮らしの利便性・快適性の向上に向けたやまぐちDXの社会実装を進めるスマートシティの実現のほか、省エネルギーの取組や再生可能エネルギーの導入等による脱炭素化の推進も目指しています。 また、プロジェクトの具現化に当たっては、PFI事業等の民間活力の導入を念頭に、他地域への波及効果も見据えながら、新しい「未来のまち」の構築に向けた検討を進めてまいります。 今後、民間事業者や関係者と協議を進め、来年三月に基本構想を策定し、来年度からは本構想を踏まえ、導入する具体的な施設やゾーニング等を盛り込んだ基本計画の策定につなげていきます。 私は、引き続き、山口市と十分な連携の下、県議会でも御議論いただきながら、市全体のまちづくりの推進や、県央部の広域的な発展につながる効果的な跡地利用が図られるよう、スピード感を持って取組を進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)力強い農業の実現についてのお尋ねにお答えします。 小規模経営が多い本県農業を持続的に発展させるためには、意欲ある担い手に農地を集積するとともに、多様な営農展開が可能となる生産基盤の整備が重要です。 このため、県では、担い手の安定的な確保に向け、地域農業の牽引役となる集落営農法人等の育成と農地整備の推進に一体的に取り組んできたところです。 こうした中、高齢化等の進行により将来的な担い手確保が懸念され、食料安全保障の重要性が一層増していることから、少人数でも規模拡大に向けた経営が展開できるよう、さらなる生産効率の向上を図るため、スマート農業に対応した基盤整備を積極的に進めてまいります。 具体的には、大型機械やスマート農機などの導入に向け、さらなる区画の拡大や移動・旋回がスムーズに行える農道の拡幅、スロープの整備、管理・保管する格納庫敷地の確保など、機械作業の効率性を高める区画整理を推進します。 加えて、水管理等の大幅な省力化が期待できる給排水栓の遠隔操作システムやラジコン式草刈り機等が利用可能となる幅の広い畦畔の整備など、管理労力の負担軽減を図ります。 あわせて、来年度、農業大学校に新設する土地利用学科において、大規模複合経営を担い、スマート農業技術を活用できる即戦力人材を育成します。 また、農地整備の実施に当たっては、農家を中心とした十分な話合いにより、地域農業の将来の在り方などを明確にしながら整備計画づくりを進めていくことが重要です。 このため、市町、関係団体等と連携し、デジタル地図を活用した将来像の可視化などにより合意形成の期間の短縮に努め、速やかな事業導入につなげていきます。 さらに、事業実施に際しては、国の補正予算等を積極的に活用して事業進捗を図るなど、スピード感を持って取り組みます。 県としては、持続可能な力強い農業の実現に向け、次代を担う農業者が効率的な経営が可能となる農業農村整備を積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)魅力ある中山間地域づくりについてのお尋ねにお答えします。 中山間地域は、急速な人口減少や高齢化に伴い、地域や産業の担い手が不足し、集落機能の維持に支障を来す地域も生じるなど、大変厳しい状況にあります。 このため、県では、市町と連携し、集落の枠を超える広域的な範囲で集落機能や日常生活を支え合う、やまぐち元気生活圏づくりを積極的に進めており、推進方針を策定し取り組む地域は、昨年度までの四年間で二十三地域から七十地域へと大幅に増加しています。 しかしながら、人口減少には歯止めがかからず、また、長引くコロナ禍やデジタル社会の進展など、中山間地域を取り巻く環境も大きく変化しています。 こうした状況を踏まえ、県では、持続可能な中山間地域づくりを進めるため、条例に基づく基本計画である中山間地域づくりビジョンを改定することとし、このたび、素案を取りまとめたところです。 この素案では、人口減少下にあっても活力を維持・創出し続ける中山間地域の実現を基本目標に掲げ、デジタルなど新たな手法も活用しながら、中山間地域での暮らしを支え合う仕組みづくりの強化などに取り組むこととしています。 今後は、新たなビジョンの下で施策の推進を図りますが、お示しのとおり、地域活動の定着には時間を要することから、長期的な視点で取組を進める必要があります。 このため、まずは、地域を支える人材の育成を図ることとし、研修会の開催により、新たな担い手や活動の中心となるリーダー、地域を継続的にサポートする集落支援員の育成を進めるとともに、地域おこし協力隊など、意欲ある外部人材の導入を促進します。 また、元気生活圏づくりをサポートする専門家の派遣やソフト・ハード両面の事業により、地域の取組が実現できるよう継続的に支援するとともに、企業や大学生など、多様な主体との連携・協働による地域づくりを推進します。 さらに、お示しのほほえみの郷トイトイのように、経営の視点を持って、地域自らが課題の解決や生活サービスの充実に持続的に取り組む法人組織の設立を支援していきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、地域に寄り添いながら魅力ある中山間地域づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)地域の脱炭素ドミノ実現に向けた取組の推進についてのお尋ねにお答えします。 地域の脱炭素化の取組は、新たな産業と雇用を生み、地域で経済を循環させることに加え、災害に強い地域づくり等に資することから、国は、昨年六月に策定した地域脱炭素ロードマップにおいて、モデル的な取組を全国に展開する脱炭素ドミノを起こすとしています。 こうした中、県では、先週二日、二○五○年カーボンニュートラル宣言を表明し、これを契機として、地球温暖化対策実行計画や産業脱炭素化戦略等の各種計画を具現化し、地域の脱炭素化の取組を幅広い主体との連携・協働により、全県的に広げていくこととしています。 このような脱炭素ドミノを県内で生み出していくには、地域課題の解決に主体的な役割を担う市町との連携が特に重要です。 このため、お示しのまちづくりと地域脱炭素を一体的に目指す山口市の取組をはじめ、全国の脱炭素先行地域の事例を紹介する市町向けのセミナーを国と連携して開催することなどにより、各市町の地域特性に応じた取組が進むよう支援していきます。 また、地域の脱炭素化の核となる再生可能エネルギーの導入促進については、県が率先して取り組む必要があると考えています。 このため、現在、県有施設への太陽光発電等の導入ポテンシャル調査を実施しているところであり、今年度中に策定する導入計画に基づき、再生可能エネルギー等の設備導入を進めるとともに、その効果等を広く公表し、市町や民間の施設に展開することとしています。 あわせて、県有施設への導入に当たっては、県産品の省・創・蓄エネ設備を活用するなど、地域経済の活性化につながるよう検討します。 また、お示しのやまぐち維新でんきの利用促進や、再生可能エネルギー由来の水素ステーションを活用した脱炭素モデルの構築などについては、産業脱炭素化戦略の具体的な施策に位置づけており、アクションプランに沿って計画的に進めてまいります。 県としては、今後とも、市町をはじめ、国や事業者等と緊密に連携しながら、地域における経済の活性化と課題の解決に資する地域脱炭素化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)子供たちの豊かな学びを支える質の高い教育環境づくりについてのお尋ねにお答えします。 運動会や文化祭、修学旅行等の学校行事は、体験的な活動を通して主体的に集団や社会に参加し、人間関係をよりよく形成しようとする意欲や態度を育むなど、子供たちにとって有意義なものであり、こうした教育活動の機会を確保していくことは重要です。 しかしながら、新型コロナの感染が確認されて以来、多くの学校行事が中止や規模縮小での開催を余儀なくされるなど、子供たちにとってすてきな思い出ともなる学校内外での活動をふだんどおり実施することが難しい状況が続いてきました。 こうした中、感染確認からおよそ三年が経過し、教育活動が徐々に再開されるなど日常が戻りつつありますが、この間、子供たちが得ることができなかった知識や経験等をこれからでも得ることができるよう、お示しのように体験機会の確保をさらに進めるとともに、コロナ禍を契機とした学習環境の一層の充実を図ることが必要であると考えています。 このため、体験機会の確保については、学校が感染症対策を確実に講じた上で、保護者等の理解、協力を得ながら開催方法を工夫して行事等を実施できるよう、市町教委とも連携しながら支援してまいります。 また、本県の豊かな自然環境等をフィールドとして、企業や大学等と連携した体験活動の実施にも取り組んでいきたいと考えています。 学習環境の充実に向けては、子供たち一人一人に合った学びの実現や、海外・地域・他校との交流による新たな学びの機会の創出などを図るため、一人一台タブレット端末等のICT環境を効果的に活用して子供たちの可能性を広げる、やまぐちスマートスクール構想を一層推進していきます。 さらに、長引くコロナ禍の影響により停滞した地域連携教育の取組を加速させるため、コミュニティ・スクールを核として、希薄化した学校と地域とのつながりを取り戻し、子供も大人も学び合うことのできる環境づくりを進めてまいります。 県教委といたしましては、市町教委や関係機関等と緊密に連携・協力しながら、次代を担う子供たちの豊かな学びや育ちの実現に向けた教育環境の充実に全力で取り組んでまいります。