1 医療的ケアを必要とする子どもの教育について 2 中核病院について 3 農業振興について 4 企業誘致や移住に繋がるワーケーションの推進について 5 文化財の保全・活用について 6 離島振興対策について 7 その他
議長(柳居俊学君)岡生子君。 〔岡生子君登壇〕(拍手) 岡生子君 皆さん、おはようございます。自由民主党の岡生子と申します。 まず初めに、村岡知事をはじめ県の職員の皆様におかれましては、いまだ収束が見通せないコロナ感染拡大防止と社会経済の両立を図るために、全力で県民の命と健康を守り抜く万全の対策を引き続き行っていただいていることに敬意を表しますとともに、経済再生では物価高騰による影響等にも的確に把握され、国の施策とも呼応しながら切れ目のない対策を実施していただいていることに感謝申し上げます。 それでは、私の一般質問をさせていただきます。 まず初めに、医療的ケアを必要とする子供の教育についてお尋ねいたします。 我が会派の平岡議員からも一般質問で御指摘のあったところですが、医療的ケア児を介護している御家族は、たんの吸引などのケアを昼夜問わず行わなければなりません。 その負担軽減に必要な子供たちの一時預かり施設や、福祉サービス事業所等が地域によっては不足しており、居住する地域にかかわらず、適切な支援が受けられるよう、環境整備やサポートする人材の育成など、県においてはしっかりと取組を進めていただきますよう、私からもお願いいたします。 その上で、私からは、医療的ケアを必要とする子供の教育について御質問させていただきます。 先日、ある保護者の方からお話を伺う機会がありました。現在、在籍している特別支援学校では、原則として医療的ケア児は通学バスで通学することができないため、保護者の方が毎日送迎されており、送迎できないときには学校を休まなければならないことや、ケースによっては仕事も辞めざるを得ない状況があること、また学校には看護師が配置されているものの非常勤であるため、日によって違う看護師と子供の状況等について情報共有を行う必要があることなど、医療的ケア児やその保護者への負担が大きいとの現状を伺いました。 また、別の保護者の方は、我が子は人工呼吸器の管理等の高度な医療的ケアを必要とするため、学校には週に一、二回の登校しかできない状況があり、他の子供たちと一緒に学ぶことができる環境の整備をしてほしいとのことでした。 昨年九月には、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が施行され、学校設置者は、保護者の付添いがなくても子供たちが適切なケアを受けられるよう、看護師等の配置など必要な措置を講ずることが求められています。 また、本県では、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例が十月に制定され、県民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個人を尊重し、支え合いながら共に暮らすことができる社会の実現を目指しています。 県教委においては、これまでも特別支援学校への看護師の配置など、医療的ケア児ができるだけ安心して身近な学校で学べるよう取組を進められてこられたところですが、私は、法の施行や条例の制定等も踏まえて、今後、より一層子供たちや保護者に寄り添いながら高度な医療的ケアを必要とする子供を含め、ケアを必要とする全ての子供やその保護者が不安を感じることなく、教育を受けられるための体制を整備していく必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。医療的ケア児が他の子供たちと同様に、それぞれの特性に応じ、学校で安心して教育を受けることができる体制の整備を進めていく必要があると考えますが、県教委として、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、中核病院についてお尋ねいたします。 現在、県内の他の医療圏と比較して中核的な病院を欠く萩市・阿武町地域においては、この地域の救急医療体制等などには市民の間にも大きな不安があります。 これを克服するためにも、藤道前市長の下で県とも連携しながら、中核的な病院の形成に取り組まれ、その結果、民間の都志見病院と公立の市民病院を統合し、新たな病院をつくることが決まりました。 しかしながら、現在の田中市長が当選直後に、この病院統合問題は一旦棚上げされ、もろもろの経緯の下に再度の取組がされることが決まりました。 この再度の取組自体は私も一定の評価をいたしますが、しかし、その後の経緯を見ると、統合は遅々として進んでいないように思われ、市民の間にも不安を訴える方も多いようです。 医療は生活の基盤のベースであり、私は、萩市・阿武町地域における医療体制の整備として、両病院の統合をベースとした中核的な病院の整備は進めるべきと考えています。 ただし、この統合は、まずは当事者となる萩市が積極的に取り組まなければ進まないと思います。 そこで、三点お尋ねいたします。 まず、昨年十一月に田中市長が村岡知事や柳居議長を訪ね、協力要請をされて以降、どのようになっているのか、現時点での状況をお尋ねいたします。 次に、萩市では、市議会に特別委員会の設置等をされていますが、萩市から県に対して両病院の統合に向けた何らかの動きがあったのか、今後、県から何らかの助言等をされる必要があるのか、お尋ねいたします。 その上で、両病院の統合による中核的な病院を形成する上での課題について、県としてはどのように認識されているのか、お尋ねいたします。 次に、農業振興について、二点お尋ねいたします。 まず、担い手の確保・育成対策についてです。 本県は、広大な森林と優良農地、有数規模の各地産地を形成しています。加えて、私の地元でもある萩・阿武地域では、県下でも有数規模の米の産地を形成しており、たくさんの農産物を生産しています。 しかしながら、農山村地域からの若者流出には歯止めがかからず、農業従事者の大半は高齢者である現状から、今後、高齢者の離職に伴う急速な生産力の低下や耕作放棄地の増加が懸念されています。 一方、二○二一年度新規就農者調査、農林水産省によりますと、四十九歳以下の新規雇用就農者は全国で八千五百四十人と過去最大になりました。新型コロナをきっかけに地方移住を志向する人も増え、農業への関心はますます高まっているようです。 本県では、担い手の減少・高齢化が進む中、中核経営体を中心とした強い農業の育成や、担い手支援日本一の取組による新規就業者の確保・育成に積極的に取り組まれています。 その一役を担う農業大学における学生の進路状況を見ますと、過去三年間で八十九名の卒業生に対し、五十四名の方が県内就業されています。 また、来年度からは農林業の知と技の拠点のスタートに合わせて、土地利用学科を新設されるなど、即戦力人材の育成に向け、学習内容の充実強化を図ることとされています。 これから輩出される先端的な技術や知識を身につけた金の卵と言える若い力が数多く県内で就業し、将来の山口県の農業・農村を牽引する人材となっていくことを私も大いに期待しているところですが、そのためにも学生の確保や地元の法人への就業支援といった入り口・出口対策にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。今後、ますます厳しくなってくることが予測される農業経営基盤の強化のためには、それを支える担い手の確保や人材育成の取組の一層の充実が必要ではないかと考えますが、県は、今後、どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、県産農産物の安定供給に向けた種苗条例の制定についてお尋ねいたします。 さきの九月定例会の一般質問において、我が会派の笠本議員から、優良な種苗の安定的な確保に向けてどのように取り組むのかの質問に対し、知事から、条例の制定を検討するとの答弁がありました。 全国では、既に三十一の道県において、種苗の安定確保に向けた条例が制定されています。また、生産者団体からも、条例の制定に対する要望の声をお聞きしているところであり、種苗条例に対する農家の期待が高いことを感じております。 本県で取り組まれようとされている条例は、米、麦、大豆の主要作物の種子だけでなく、はなっこりーやせとみ、ユリやリンドウなどの県オリジナルの品種も含め、種苗の安定確保や知的財産権の保護等に資する本県独自の条例制定を検討されていると伺っています。 県内で安定的に食料を生産できる体制の確保や、競争力ある品質の確保がますます求められる中、県内の農家の方々が安心して生産活動に専念できる条例となるよう、現場の声もしっかりと反映していただきたいと思っています。 そこでお尋ねいたします。これまで開催された検討会においてどのような意見等が出され、それを踏まえて具体的にどのような条例を制定されようとしているのか、またこの条例の制定を契機として、本県の農業振興にどのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。 次に、企業誘致や移住につながるワーケーションの推進についてお尋ねいたします。 人口減少、少子高齢化が進む中でも、地域に活力を与え続けるには、県外から本県へと新たな人の流れをつくり出すことが重要となります。 ワーケーションの推進は、まさにこうした人口減少に歯止めをかける、また、地域に多くの人々を呼び込むための効果的な手段の一つと考えられます。 本県でも、コロナ禍によってテレワークなどの柔軟な働き方が普及したことを契機として、昨年八月に全国で初めて空港内にワーケーションの総合案内施設が整備されました。都市部のワーケーターの受入れに向けて、全国に先駆けた独自性のある取組が進められており、今後の取組にも期待しているところです。 一方で、現在、ワーケーションの推進に取り組む自治体数は五百を超えると言われており、地域間の誘致競争が激化しています。今後はさらに、本県の特色やメリットをしっかり打ち出して、他県との差別化を図っていくことが重要となります。 本年三月の国土交通省の調査において、企業のワーケーションに対する認知率が昨年から約二○%高まり、地域の方々との交流によって課題の解決を図っていく、地域課題解決型のワーケーションを導入した企業は約一八%増加したことの結果が出ています。 ワーケーションを単なる仕事とバカンスの両立にとどめることなく、地域の住民、企業との交流を通じて、イノベーションの創出や地域課題の解決などを図る新たな価値の創造ツールとして、都市部の企業や働き手に提供していくことが有効だと考えられます。 さらには、そうして生まれた新たな関わりを関係人口や地方移住といった、地域との持続的なつながりに発展させていくことが必要となるのです。 また、私の地元でも、ワーケーションという言葉はあまり浸透していなかった二○一八年頃から、当時の藤道市長の下、これまで六社の進出があったIT関係のサテライトオフィス誘致とも関連させた取組が進められてきました。 最近ではテレワーク移住者も見かけるようになり、地方での生活を満喫しながら、テレワークによって都会に勤務する光景も少しずつ増え始めています。 県におかれましては、豊かな自然や環境、歴史、文化など、本県のポテンシャルを余すことなく発揮しながら、企業のニーズに即した積極的なワーケーションの推進に取り組んでいただくと同時に、県内各地域の特色ある取組をしっかりと支援することで、地域の活性化や観光需要の拡大、さらには関係人口や移住人口の創出につなげていただきたいのです。 そこでお尋ねいたします。県は、こうした企業誘致や移住につながるワーケーションの推進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 次に、文化財の保全・活用についてお尋ねいたします。 文化財は、その時々の時代の中で、人々の生活や風土との関わりにおいて生み出された地域の中で守り伝えられてきた貴重な財産です。この先人たちから引き継がれてきた日本の文化財は、世界でも高い評価を受けており、その魅力により、世界経済フォーラムの観光魅力度ランキングで日本が初めて世界一位になりました。 本県においても、古くは縄文・弥生時代の遺跡から江戸・幕末維新に至るまで、多くの寺社仏閣や建造物、美術品、資料などがあります。住吉神社本殿や瑠璃光寺五重塔といった有形文化財だけでも三百六十三件もあり、その数は毎年少しずつ増えています。 私の地元でも、東光寺や大照院など国指定の重要有形文化財をはじめ、世界文化遺産に登録された資産群、市内の四地区にある重要伝統的建造物群など、歴史的価値のある文化財に接することができ、それが地域の魅力を高めています。 しかし、こうした歴史的価値のある文化財ですが、少子高齢化や過疎化などにより、それを守り伝えてきた地域コミュニティーの機能低下や継承者不足など、年々その保全が難しくなってきています。 この先人たちが守り抜いてきた貴重な文化財を持続的に保全していくためには、文化財の重要性を県民に理解していただくため、取組ももちろん必要ですが、私は、地域で文化財を観光に活用し、活用によって生み出される経済的価値を保全へ還元させる、好循環を創出していくことが重要であると考えます。 全国に目を向ければ、歴史的建造物をリノベーションし、その地域の町並みに溶け込んだレストランやカフェ、ホテルなどとして利用したり、美術工芸などでは、VRやARなどのデジタル技術を活用して、その魅力を細部まで楽しむことを可能にする取組などにより、誘客拡大へとつなげている地域があります。 私は、こうした取組を本県に広くつなげていくためには、文化財を観光素材として磨き上げていく取組を県が支援していくことも必要であると考えます。 県では、今年度から文化財保全に関する事務の所管が、教育委員会から観光スポーツ文化部に移管されました。私は、観光スポーツ文化部という組織の特徴を生かし、文化財の保全と活用に一体的に取り組んでいただきたいと思うのです。 また、所管は外れましたが、教育委員会と連携し、教育の中で地域の文化財を活用した学習の促進などにより、次世代の関心を高めていくことが大切であることは忘れてはなりません。 そこでお尋ねいたします。県は、今後、文化財の保全と活用にどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお尋ねいたします。 最後に、離島振興対策についてお尋ねいたします。 本県には、離島振興法の対象となる離島が二十一島あります。いずれも豊かな自然や独自の文化に恵まれており、魚介類や農産物の供給基地として重要な役割を担っています。 私の地元萩にも、見島、大島、櫃島、相島の四島が所在しており、島内では非日常的な美しい景観が数多く見られ、荒波によって彫刻された神秘的な海岸と海の透き通るコバルトブルーとの調和は、まさに自然が織りなす絶景です。 島によって状況は異なりますが、古くから伝わる文化財や伝統文化を今なお大切に継承されており、漁業をはじめ特徴ある農産物の生産にも熱心に取り組まれています。 離島における長年の課題は、やはり人口減少、高齢化による過疎化や後継者不足ですが、最近は島にお住まいの方々から、原油や物価の高騰に伴う生活費の上昇によって厳しい暮らしを強いられているとの切実な声もよくお聞きしています。 また、島の交通拠点である港と各所をつなぐ道路の整備についても、本土と比べて進捗に時間を要するとの御意見も頂戴しており、地域の実情に沿った産業基盤や生活環境の整備などの必要性を改めて痛感しているところです。 先月初め、喜ばしい報道を目にしました。俳優の山田孝之さんが、萩市の離島で自給自足を実践する活動をされているとの記事です。草木が茂った地を開拓し、自然農法で作物を栽培して既に初収穫も終えられたとのことですが、その行動力に驚きを感じていると同時に、本県の離島が持つ魅力や潜在力と可能性に改めて気づかされました。今後は、こうした若さと活力あふれる方々が、離島での新しい取組にチャレンジできる環境整備も必要だと思います。 今般、臨時国会において、離島振興法を改正する法案が成立し、十年間の延長が決まりました。この法律は、全国二百五十四の有人離島を離島振興対策実施地域に指定し、公共事業のかさ上げや交付金などの支援を行うものです。十年ぶりとなるこのたびの改正では、ドローンの活用、遠隔医療、遠隔教育などの取組を促進することで、本土からの隔絶性の解消を図ることなどが新たに盛り込まれています。 我が国の離島は、領海や排他的経済水域を保全する役割も担っていることから、離島が数多く所在する本県における離島振興は、国家的、国民的にも期待される取組です。 県におかれましては、今後も地域コミュニティーの維持に向けて、長い年月によって培われてきた産業や文化、伝統を守りながら生活しておられる方々や、離島での新たな一歩を踏み出そうとする方々が、希望と安心を持って生活できるよう、新たな国の政策とも十分呼応させながら、地域の実情に即した離島振興対策に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。これまでの取組や成果、課題等を踏まえて、県は、今後、離島振興にどのように取り組まれるのか、御所見をお尋ねいたします。 以上、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)岡議員の御質問のうち、私からは離島振興対策についてのお尋ねにお答えします。 本県は、三方が海に開け、日本海、瀬戸内海、響灘といった自然条件の異なる海洋に多様な風土を併せ持つ、個性豊かな二十一の有人離島を有しています。 これらの離島は、農水産物の安定供給や豊かな自然、固有の伝統文化が息づく、かけがえのない場所であるとともに、我が国の領海や排他的経済水域を保全する重要な役割を担っています。 その一方で、離島では、人口減少が長期にわたって継続し、高齢化が急速に進行するなど、他の地域と比較して厳しい条件下にあり、その振興を図ることは極めて重要です。 このため、県では、離島振興法に基づく県計画を策定し、住んでみたい、住み続けたい、活力に満ちた島づくりを離島振興の基本的な方向として掲げ、安心・安全で住みよい生活環境の整備など、三つの視点から施策を推進してきました。 その結果、定期船の更新・バリアフリー化による離島航路利用者の利便性向上や、患者搬送艇の整備などによる医療環境の充実など、住みよい生活環境の整備が図られてきたところです。 また、サツマイモやスダイダイなど、離島の地域資源を活用した特産品開発による産業振興、移住希望者の島暮らし体験や空き家活用など、定住者の確保に向けた新たな取組も進んでいます。 しかしながら、離島の人口減少、高齢化の進行には歯止めがかからず、地域や産業の担い手不足が顕在化するとともに、コロナ禍により島外との交流が停滞し、島内の経済活動が落ち込むなど、離島を取り巻く環境は厳しさを増しています。 このため、私は、今般、都道府県の責務が新設された改正離島振興法の趣旨等を踏まえ、新たな離島振興計画を策定し、国の政策とも呼応しながら、地域の実情に的確に対応した離島振興対策を進めていきたいと考えています。 具体的には、島民の皆様の安心・安全な暮らしを支えるため、引き続き、住環境や医療・介護サービスなど、ハード・ソフト両面における生活環境の充実を図るとともに、農水産物の高付加価値化など、地域特性に応じた持続可能な産業の育成に努めてまいります。 また、地域や産業の担い手不足に対応していくため、移住・定住対策のさらなる推進に加え、離島活性化の新たな力となる関係人口の創出・拡大に向けた取組を強化し、将来の定住人口につなげていきたいと考えています。 さらに、離島の距離的な制約の解消を図るため、物流におけるドローンの活用や暮らしを支える遠隔医療、遠隔教育など、デジタル技術の導入を促進してまいります。 私は、今後とも、関係市町と緊密に連携し、離島に暮らす皆様が将来にわたって安心して住み続けることができるよう、離島振興に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)中核病院についての三点のお尋ねにお答えします。 県民が、住み慣れた地域で安心して暮らし続けていくためには、効率的で質の高い医療提供体制を確保することが重要であり、県では、地域医療構想を策定し、医療機関や受療者の代表者等で構成する地域医療構想調整会議における議論を通じて、その実現に向けて取組を進めているところです。 まず、昨年十一月に、萩市長が知事や議長に協力要請された以降の状況についてです。 お示しのとおり、萩市においては、市長交代に伴い、萩市民病院と都志見病院の統合による中核病院の形成についてゼロベースで見直すとされましたが、独自に設置した協議会での議論を踏まえ、改めて、既に調整会議で合意された方向性に沿って病院統合を進めていくとされ、知事及び議長へ中核病院形成に向けた協力要請がされたところです。 これを受けて、県では、本年二月、調整会議を開催し、萩市から方針変更と今後のスケジュールについて説明を受け、中核病院の形成に向けた取組を進めることとしたところです。 萩市からは、外部有識者等を交えた中核病院準備委員会を設置するとともに、病院統合に必要となる都志見病院との基本合意を進めるとの説明がありましたが、現時点、準備委員会は設置されておらず、基本合意も締結に至っていない状況です。 次に、病院統合に係る萩市から県への動き等についてですが、本年二月に、萩市が調整会議で説明した基本合意に向けた取組に関しては、現在までの十か月間、市から相談等は受けていません。 次に、病院統合による中核病院を形成する上での課題についてです。 病院統合に向けては、事業主体となる萩市が中心となって地域の関係者等の理解を得ながら取り組むことが必要と考えますが、そのための具体的な動きはなく、現時点、萩市が令和六年四月の開設を目指している中核病院形成については懸念せざるを得ないところです。 病院統合は、当事者間の主体的な取組が基本であることから、県としては、基本合意がなされた際には、調整会議で議論を進め、地域の医療提供体制の確保に向け取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)農業振興についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、担い手の確保・育成対策についてです。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、新規就業者の安定的な確保が重要であることから、県では、これまで、日本一の担い手支援策を重点的に展開し、毎年百名を超える新規就業者が地域に定着しているところです。 一方、担い手の高齢化等が一層深刻化していることから、お示しのとおり、将来の本県農業・農村を牽引する先端的な技術や知識を身につけた若い人材を確保・育成していく必要があります。 特に、農業大学校においては、卒業生の約六割が県内農業を支える人材として就業し、活躍されていることから、学生を確保する入り口対策と、地元への就業を促進する出口対策を一体的に進めていくこととしています。 まず、入り口対策については、入学者の約六割を占める農業高校を中心に、県内外の高校へのリクルート活動や、高校生が農大を見学・体験できるオープンキャンパスなどの情報発信の取組を強化します。 次に、出口対策については、来年度、農大に新設する土地利用学科において、大規模複合経営を担い、スマート農機の活用ができる人材を育成し、集落営農法人等が求める即戦力人材を輩出していきます。 また、学生と法人等とのマッチングの機会が拡充されるよう、集落営農法人による学生との意見交換会や、法人等での仕事を体験するインターンシップの開催などを促進します。 さらに、農大の学生に加え、県内外から幅広い人材を確保できるよう、大都市圏での移住就農相談会の開催をはじめ、本格的な就農を目指した専門研修の実施や数か月の就農体験など、移住や就農を希望される方のニーズに沿ったきめ細かな対応を行います。 県としては、今後も、市町や関係団体と連携し、農業大学校の卒業生はもとより、本県農業の経営基盤を支え、農業・農村を牽引する若い担い手の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。 次に、県産農産物の安定供給に向けた種苗条例の制定についてです。 県では、持続可能な農業振興や県民への農産物の安定供給に向け、優良な種苗の安定確保等を図るための条例の制定に着手し、お示しのとおり、現在検討を進めているところです。 また、条例の制定に当たっては、現場の声を反映させることが重要であることから、生産者団体をはじめ、流通、消費に関わる有識者八名を委員とする条例制定検討会を設置し、これまで二回の検討会を開催し、議論を深めてきました。 これまでの検討会において、委員の方々からは、種苗の安定供給は重要であることや県オリジナル品種は県民共有の財産で知的財産権の保護が必要であること、また、本県に適した品種開発への期待や県民の理解を促進すべきなど、多数の御意見を頂いているところです。 こうした御意見を踏まえ、条例の素案では、県民の誇りや共有財産、山口県らしさなどをキーワードとし、種苗の安定供給、知的財産権の保護、県民の理解促進の三つを主な柱としています。 まず、種苗の安定供給については、旧種子法で規定されていた米、麦、大豆に加え、野菜や果樹、花卉などの県オリジナル品種も対象とし、県の責務や種苗生産者等の役割などを明確にします。 次に、知的財産権の保護については、本県の気候や土壌に適し、新たな需要の創出につなげるために開発した品種や、独自性を有する生産技術に係る知的財産権の適切な管理や保護、活用について定めます。 さらに、県民の理解促進については、品種の開発や種苗の安定供給、知的財産権の保護などの重要性について、広報活動等を通じて県民の関心や理解を深める措置を講ずることとしています。 県としては、この条例の制定を契機に、県民の理解促進を図りながら、優良な種苗の安定供給や知的財産権の保護などの取組を強化するとともに、気候変動等に対応できる新たな品種の開発・普及など、本県農業の持続的な発展に向け、しっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)企業誘致や移住につながるワーケーションの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍を契機に、テレワークによる働き方の新しいスタイルが普及し、若い世代を中心に地方移住への関心が高まっていることを受け、本県では、新たな人の流れを創出するためのワーケーションを推進しています。 具体的には、山口宇部空港内に総合案内施設「YY!GATEWAY」を設置するとともに、三十八のモデルコースや八十を超える県内関連施設の情報を提供する総合案内サイトを開設しています。 また、観光やレジャーだけでなく、県内企業や地域との交流を通じて、企業の生産性向上やイノベーションの創出につなげる山口型ワーケーションを推進しており、県外企業等を対象とした体験ツアーを実施しているところです。 こうした中、ワーケーションを推進する自治体間の誘致競争が激化しており、他県とのさらなる差別化を図るためには、本県ならではの特色あるプログラムの提供や、山口型ワーケーションの認知度を一層高めていくことが必要です。 このため、今後は、地域での受入れ事業者の拡大等を目的に開催した、山口県ワーケーション塾の参加者や、新たな事業展開を図る事業者等と連携し、地域の魅力や特色を生かしたプログラム開発を促進していきます。 また、首都圏等における認知度を高めていくため、誘客のノウハウを有する民間事業者と連携し、ワーケーション推奨企業等への働きかけやSNSなどを活用したプロモーション活動を強化していきます。 こうした取組に加え、さらなる地域活性化につなげていくためには、ワーケーションで来県したテレワーカーや企業等を、移住や企業誘致へと誘導していくことが必要です。 このため、県内のテレワーク移住者やサテライトオフィスを開設した企業を紹介するウェブセミナーを開催し、山口ならではの豊かな暮らしの魅力や優れた立地環境などを発信していきます。 また、移住の裾野の拡大を図るため、首都圏に設置した山口つながる案内所を推進拠点として、本県と継続的に関わる関係人口の創出・拡大に向けた取組を強化していきます。 県としては、市町や関係団体等と連携し、企業誘致や移住につながるワーケーションの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)文化財の保全・活用についてのお尋ねにお答えします。 文化財は、長い年月をかけて地域で守り伝えられてきた貴重な財産であり、これを次世代に確実に引き継いでいくことが重要です。 しかしながら、お示しのように本県においても、文化財を守り伝えてきたコミュニティー機能の低下や文化財継承の担い手不足等により、文化財の保存が難しくなっています。 このため、県では、令和二年に策定した文化財の保存・活用の総合的な指針である山口県文化財保存活用大綱や、このたび策定する、やまぐち未来維新プランに基づき、観光振興の視点も踏まえ、地域一体となって文化財の保存・活用に積極的に取り組んでいくこととしています。 具体的には、国や市町等と連携して、文化財の修復等により、その価値の維持や魅力ある観光素材としての整備を進めるとともに、その活用によって生み出される経済効果をさらなる文化財の修復等に還元する好循環につなげてまいります。 また、子供たちをはじめ多くの県民に文化財の理解が一層深まるよう、学校や地域での出前講座の実施等の取組を進めるとともに、文化財の魅力をウェブサイトやSNS等により国内外に広く発信することとしています。 さらに、AIを活用した鷺流狂言の体験コーナーを県内三か所の文化施設に設置し、これを周辺の文化財等と合わせて観光案内アプリに掲載するとともに、今後増加が見込まれる訪日外国人旅行者に向けて、文化財の多言語解説等の環境整備を進め、国内外からの誘客促進に努めてまいります。 県としては、今後とも文化財を次世代に確実に引き継いでいけるよう、国や県教育委員会、市町、関係団体等と連携しながら、文化財の保存・活用に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)医療的ケアを必要とする子供の教育についてのお尋ねにお答えします。 学校における医療的ケアの実施は、通学日数の増加により授業の継続性が保たれ、教育内容が深まるなど、医療的ケア児への教育面、安全面で大きな意義を持つと考えています。 このため、県教委では、医療的ケア児が身近な地域で教育を受けることができるよう、在籍する全ての特別支援学校に看護師を配置し、保護者の協力を得ながら医療的ケアの実施に取り組んできたところです。 こうした中、人工呼吸器の管理等を必要とする子供が特別支援学校に在籍するようになってきており、高度な医療的ケアへの対応が求められています。 また、お示しの医療的ケア児支援法が施行されるなど、学校における医療的ケアの実施に当たって、保護者の不安や負担の軽減は必要な視点となっています。 このため、県教委では、特別支援学校における安全な医療的ケアの実施体制を充実させるとともに、保護者の負担軽減を図る取組を進めてまいります。 具体的には、医療的ケアの多様化や医療的ケア児の在籍状況を踏まえ、個々の状態に応じたきめ細かな支援が行えるよう、看護師の拡充に努めてまいります。 また、人工呼吸器の管理等、高度な医療的ケアに関する看護師研修を実施するとともに、保護者の安心につながるよう、学校における日常的な情報共有の在り方について、看護師と教職員が協議する場を設けることとしています。 加えて、通学を含め、学校外での学習活動における医療的ケアの実施には、安全性の配慮がより必要となることから、医療の専門家や保護者代表が参画する特別支援学校医療的ケア運営協議会において、安全かつ確実な医療的ケアの実施や、保護者の負担軽減につながる体制の充実について検討を進めてまいります。 県教委といたしましては、高度な医療的ケアを必要とする子供も含め、全ての障害のある子供が安心して教育を受けることができるよう取組を進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十六分休憩