1 林業振興について 2 中小企業支援について 3 大阪・関西万博に向けたインバウンド誘客の拡大について 4 物産振興について 5 建設産業における担い手確保について 6 スクール・ミッション等の策定を通じた県立高校の特色化・魅力化について 7 その他
議長(柳居俊学君)新造健次郎君。 〔新造健次郎君登壇〕(拍手) 新造健次郎君 皆様、お疲れさまです。自由民主党の新造健次郎です。今議会の登壇の機会を頂きましたこと、柳居議長をはじめ皆様方に感謝申し上げます。 それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、林業振興についてお尋ねいたします。 本県の林業を取り巻く環境は厳しさを増しているところでありますが、高齢化による担い手不足や後継者不足の問題は喫緊の課題であります。 一方、森林においても、日本社会の少子高齢化と同様の状況が進行していると言われています。高齢な木、いわゆる老木の占める割合が増えることにより、森林の高齢化がどんどん進んでいると聞いています。山口県では、県土の七割を森林が占めていますが、そのうち四二%を占める人工林の約六割が老木であると言われています。 森林には、生物多様性の保全、土砂災害の防止、水源の涵養などの極めて多くの多面的機能を有しておりますが、カーボンニュートラルの実現に向けた脱炭素の取組においても、大きな期待が寄せられているところであります。 地球温暖化の防止には、温室効果ガスである二酸化炭素の大気中の濃度を増加させないことが重要であるということは言うまでもありませんが、地球上の二酸化炭素循環の中において、森林が吸収源としての大きな役割を果たしています。 しかしながら、森林の世代交代が十分に進まないと、この役割を十分に果たすことができません。そして二酸化炭素をたくさん吸収し、酸素を多く出すのは若い木であると言われています。若い木は成長が盛んで、より多くの二酸化炭素を吸収し、酸素を出すことができるそうです。 また聞くところによると、三十年以上経過した木は吸う二酸化炭素の量が減少するとも言われています。 こうしたことからも、森林の世代交代を着実に進めていくことが重要であり、主伐期を迎えた森林については、適切なタイミングで伐採し、有効活用していかなければなりません。 その伐採した木は、木質バイオマスとしての利用拡大が上げられるのではないでしょうか。 県内では、近年、バイオマス発電施設が各地で建設されています。私の地元である周南市でも、バイオマスを主燃料とした発電所が新設されることになりました。 木質バイオマスの需要が今後ますます高まっていくことが予想される中、供給拡大に向けての取組をさらに強化する必要があると思います。 そのためには、県内の森林の成長度合いを調査・分析し、それに基づいて伐採計画を立てるなど、計画的に取組を進めていかなければなりません。 また、切るだけではなく、切ったところに新たに植える再造林の取組も重要です。 花粉症の原因の一つである杉の木が県内には多くありますが、最近の新しい品種には花粉が少ない杉の木があるようで、それに植え替えるようにする動きもあるようです。 世代交代に伴って花粉の少ない杉を植えることが、花粉症で苦しんでいる人にとっては朗報になるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。本県の森林資源を持続可能な資源として次世代へ残していくため、森林の世代交代に向けて、また木質バイオマスの供給拡大をはじめとした林業振興に対して、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業支援についてお尋ねいたします。 コロナ禍により多くの中小企業が活力を失っています。ウイズコロナにおいて、地域経済、日本経済を再生していくためには、企業全体の九九・七%、雇用者数でも全体の七割を占める、国内約三百六十万の中小企業・小規模事業者が活力を取り戻すことが不可欠であると考えます。 そのためにはデジタル化による業務効率化や、M&Aを中心とする事業再編・統合を通じた労働生産性の向上など、様々な取組により経営力強化や収益力向上に向けた取組をしっかり進め、賃上げなど様々な経営課題を克服し、生き残れるようにしなければなりません。 そのような中、私は、地元の事業者からお話を伺う中において、新規の顧客・販売先の開拓の取組に大きな課題を抱えている企業が多いのではないかと感じています。 例えば、今までの展示会は、企業にとって潜在顧客と接触できる絶好の機会でしたが、コロナ禍において開催中止が相次ぎました。現在は、リアルとオンラインを組み合わせたハイブリッド型の展示会が開催され、中止されるということは少なくなりましたが、これまでと異なる出展方法に戸惑う企業も多いと聞いております。 また、コロナを契機に、さらに拡大するEC市場への対応ができるかも課題の一つであると考えます。EC販売はサイト構築や運営にコストがかかるものの、実店舗を出店・運営するよりは安価で、少ない資金で商圏を全国に、さらには海外にまで広げることができます。 しかしながら、流通業者を通じた販売とは異なり、集客からクレーム対応まで事業者自身が全て対応しなければならない。また、卸売業者や小売業者に販売する場合に比べて取引の単位が小さいことから、生産管理や在庫管理等の難しさもあり、ノウハウの乏しい企業にとってはなかなか参入に踏み切れない状況であります。 よって県においては、中小企業が新規販路開拓の機会を逸することがないよう、しっかり支援していただきたいと思いますが、その際重要なことは、事業者の声をよく聞き、支援ニーズを的確に捉えることだと思います。 地元のある事業者から、今回の県のEC販売の送料支援事業について、新商品を企画製造しても少量しか生産できない私のような零細事業者にとって、サンプルを送る経費も大きな負担とリスクがあります。しかし、この事業により送料を支援していただき、新商品を宣伝でき、新規顧客開拓に向けて大変助かったというお話を聞きました。 支援ニーズを捉えるには、このようにやる気が出るような支援策を行い、そして、実際に活用された事業者の声を拾い上げることも必要だと考えます。こうした声を大切にしながら、さらなる支援の充実につなげていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県内中小企業が活力を取り戻すためには、企業の新規顧客・販売先の開拓を支援していくことが必要だと考えますが、今後、県としてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、大阪・関西万博に向けたインバウンド誘客についてお尋ねいたします。 私は、世界的な旅行需要の回復が見込まれる中、国際的なビッグイベント、日本で開催される大阪・関西万博二○二五年を絶好の機会と捉え、戦略的なインバウンド誘客を進めていかなければならないと考えています。 今年十月、環境福祉委員会の県外視察において、日本国際博覧会協会がある大阪の夢洲庁舎に行き、会場となる場所を視察しました。 いのち輝く未来社会のデザインをテーマに、持続可能な開発目標とSociety5・0の実現に向けた取組について、事務局の方からお話を伺いました。 この万博では、大阪・関西のみならず、日本全国に万博のテーマやコンセプトに即したイベントを実施してもらうという計画もあるそうです。デジタルコンテンツ等を活用し、各地の魅力ある食や文化をPRしてもらい、大阪の地に世界中から集まった人々を全国各地へ、旅行につなげたいとの説明もありました。 この話を聞けば、二○二五年の国内でのインバウンド誘客をめぐっては、各地域との厳しい競争が予想されます。だからこそ、私は、いち早く大阪・関西万博をターゲットにし、戦略的プロモーションを展開していかなければならないと考えます。 私は、他地域との差別化だけを考えるのではなく、福岡県や中国地方とは連携をし、広域的な周遊につなげていくことが重要だと思っています。 旅行関係者の方から話を聞いたところ、先月からは水際対策が抜本的に緩和され、円安傾向という追い風もあり、大阪や京都、広島には欧米の旅行客が戻りつつある。また、福岡にはアジア系の観光客が戻ってきているとのことでした。 残念ながら、現在は、広島県や福岡県に向かう旅行者は山口県を素通りするということが多いようですが、まずは、大阪・関西万博を前に、広島、福岡をターゲットにして集中的な取組が必要だと思います。 特に福岡県は、ASEANを中心に多くの訪日外国人旅行客を受け入れている玄関口となっており、福岡県と連携していくことは、本県にとっては大きなチャンスになると思います。 今回ASEANを訪問した我が会派の議員から、勢いのあるASEAN各国のインバウンド需要を取り込んでいくことの重要性を肌で感じたとお聞きしました。 また、なかなか需要を取り込むことができていない欧米諸国の旅行客に対しても、このたびの大阪・関西万博開催のチャンスを生かしていかなければなりません。環境保全に対する意識が高く、サステーナブルな取組を重視することでも知られている欧米諸国の旅行客に対しては、こうした特徴も踏まえたプロモーションの展開が必要だと考えます。 欧米諸国に限った話ではありませんが、旅行者が日本や旅行に何を求めているのかを把握し、その上で、山口県の有する豊かな自然、文化財、食などをどのようにPRしていくかも考えなければなりません。 そこでお尋ねいたします。県として、世界的イベントである大阪・関西万博に向けてインバウンド誘客の拡大にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、物産振興についてお尋ねいたします。 先般、羽田空港の自動販売機で御当地商品を販売しているという情報を聞き、現地を視察しました。コロナ禍において非接触での販売ができる自動販売機は、人件費がかからず、いつでも販売できるというメリットに加え、ユニークな販売方法として多くの方々に興味や関心を持ってもらえる取組だと感じました。 山口県には、食べてもらえればきっとファンになってもらえる特産品がたくさんあります。しかし、その多くが、知ってもらうきっかけすらつかめておらず、生産者の方々はその販売促進に悪戦苦闘されています。 山口県には誇るべき特産品がたくさんあるのに、それを売り込んだり、PRすることが苦手で、他県の知り合いから、本当に損をしているとよく言われております。そのたびに、売り込みに成功している他県の取組などを参考にして、それをしっかり取り入れていかなければならないのではと思います。 私は、これまで県が実施してきた実直なPRや売り込み方について、成功している事例に関しては、これからも続けていかなければならないと思いますが、先ほど例に出しました、自動販売機での県特産品の販売などは、新たに見習う例の一つではないでしょうか。 また、民間企業のマーケティング戦略では、商品を売り込んでいく際に、アーンドメディアと呼ばれる評価されるメディア、つまり、SNSなどのコミュニティーや口コミで評価されることを最も重視しているという話を聞いたことがあります。 プロモーションでは、SNSでの発信回数などを当面の目標にしてしまいがちですが、どのように評価されているのかという視点を忘れずに取り組んでいくことが重要です。 私は、こうした取組をするに当たっては、商品の価値や魅力をしっかりと言語化し、その上で、伝えるための工夫をしていくことが大切だと思っております。生産者と一緒になって、こうしたことにも取り組んでいただきたいと思います。 そして、私は、県特産品を販売するだけにとどまらず、販売を契機として誘客につながるような取組や仕組みも重要だと考えます。 比較的、本県に近く、世界各国への魅力発信がうまい広島、福岡、大阪などをターゲットに、本県の魅力を身近な物産品を通じ積極的にPRし、本県への誘客拡大に、そして物産振興につなげていくことが重要だと思います。 そのために先ほどの自動販売機を設置する、売り込みに成功している他県の取組などをしっかり参考にする。そのように取り組んでいただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。県として、物産振興に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、建設産業における担い手確保についてお尋ねいたします。 建設産業は、道路、河川、港湾などの社会インフラの整備・維持管理や災害時の復旧・復興などを通じて、県民の安心・安全の確保に大きな役割を担っております。そしてまた、本県の雇用・経済を支える重要な産業でもあります。 今年も暑い夏でありました。そのような中でも、建設現場で黙々と作業に従事される方々を目にし、感謝の念を覚えたところであります。 今年の九月、台風十四号が襲来、県内各地で被害が発生しましたが、真っ先に被災現場に駆けつけ、危険な状況下にあっても率先して応急・復旧対策に当たられたのは、まさに地域の建設業者の方々であります。 このように社会貢献度が高く、地域にとって大切な業種でありますが、生産年齢人口の減少や、きつい、汚い、危険といった、いわゆる三K職場のイメージもあり、本県における就業者数はピーク時の約六割程度となっており、担い手確保が喫緊の課題となっています。 とりわけ、二十九歳以下の若年者の就業者比率は約一一%であり、就業者の高齢化もますます進んでいます。 その一方、近年、地球温暖化等の気候変動の影響により、災害の大規模化、甚大化が進んでおり、住民の方々の生命・財産を守るため、国を挙げて、現在進行形で国土強靱化に取り組んでいるところです。この取組を進めるために建設産業は不可欠な存在ですが、建設産業を担う人材が不足するということは、国土強靱化の取組に影響を及ぼし、将来的には住民の生命や財産を守るための基盤整備ができなくなるのではないかと、危惧をしております。 このような状況の中、県では、建設産業で働く人材、特に将来の業界を担う若者を確保するため、関係団体や建設業界と連携し、建設産業の魅力発信に取り組んでいると聞いております。 人材確保のためには、魅力の発信とともに就労環境の改善も重要であることから、適正な賃金水準や週休二日の確保をはじめ、ICT活用工事の推進等による現場の生産性向上などの新しい取組をされています。 こうした県の取組を私も評価するところでありますが、その中でも夏の季節において暑い中、熱中症のリスクを抱えながら建設現場で黙々と作業に従事される方々のことを思い出しますと、例えば、科学的な根拠のある環境改善の取組なども進めていくべきだと考えます。建設産業が、将来を担う若者に選択される産業になるためにも、そのような取組も重要な視点であると考えております。 そこでお尋ねいたします。経済活動を支え、住民の生命や財産を守るインフラ整備に重要な役割を果たしている建設産業の担い手確保に向け、これからどのような取組をされようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、スクール・ミッション等の策定を通じた県立高校の特色化・魅力化についてお尋ねいたします。 本県では、少子化の進行に伴い、中学校卒業生数が今後も急激に減少することが見込まれており、また生徒の興味や関心、希望する進路などが多様化する中、県立高校においては、特色や魅力のある教育を行い、生徒一人一人の特性に応じ、それぞれの可能性や能力を最大限伸ばしていくことが求められています。 こうした中、国においては、昨年三月に、新時代に対応した高等学校改革の一つとして、高校の特色化・魅力化に向けた制度改正を行い、都道府県などの学校設置者に対して、各高校の存在意義や社会的役割などのスクール・ミッションの再定義を求めるとともに、それぞれの学校において、入り口から出口までの教育活動の指針となるスクール・ポリシーを定め、公表するとの方針を定めました。 このスクール・ミッションとは、高校の設置者が、各高校やその立地する自治体等の関係者と連携し、歴史や伝統、校訓に加え、現在の地域社会の実情、在籍する生徒の状況や意向、期待等を踏まえ、高校の社会的役割や目指すべき学校像、理念などを生徒及び学校外の関係者に対して分かりやすく示すものとされています。 また、スクール・ポリシーについては、各高校が、その社会的役割等を踏まえて、どのような資質・能力を育成するのか、どのようなカリキュラムで育成するのか、またどのような中学生に入学してほしいのかを示すことで、生徒や保護者、地域社会に対し、その高等学校の特色・魅力を明らかにするものだとされています。 私は、本県の将来を担う子供たちには、各高校が持つ特色や魅力を、スクール・ミッションやスクール・ポリシーでしっかり見極めてもらい、社会に羽ばたく前段階としての重要な三年間を過ごす高校を選んでほしいと考えており、その上で自己の目標や希望する進路の実現に向けて、有意義で様々な経験を積んでもらいたいと思います。 とりわけ、全ての県立高校にコミュニティ・スクールを設置し、地域とともにある学校づくりを進める本県においては、学校に対する地域の期待度も踏まえながらスクール・ミッションなどの策定を進め、しっかりとその学校が持つ魅力等を中学生や保護者などへ伝えていくことも必要になると考えます。 県教委におかれましては、各学校と連携し、その社会的役割を明確にした上で、それぞれの学校が持つオンリーワンの特色化・魅力化を一層進めてほしいと思います。 そこでお尋ねいたします。少子化の進行や生徒のニーズの多様化が顕著となる中、生徒や保護者、地域等の期待や意向に応えるようなスクール・ミッション及びスクール・ポリシーの策定を進め、県立高校の一層の特色化・魅力化を図るべきだと考えますが、県教委として今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)新造議員の御質問のうち、私からは、大阪・関西万博に向けたインバウンド誘客の拡大についてのお尋ねにお答えします。 二○二五年に開催される万博は、海外から約三百五十万人の来場が見込まれる国際的な大規模イベントであり、国内を周遊する訪日外国人観光客の大幅な増加が期待されます。 私は、これを絶好の機会と捉え、本県の豊かな自然、文化、食などの観光資源を最大限活用し、海外からの一層の誘客促進に向けた取組を強力に進めることが重要と考えています。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、反転攻勢に向けたインバウンドの拡大を重点施策に掲げ、戦略的なプロモーションや受入れ環境の充実など、万博に向けた海外からの誘客拡大の取組を積極的に進めることとしています。 まず、戦略的なプロモーションについては、海外の重点市場に配置した観光プロモーターと連携し、現地の旅行会社等に対し、本県への旅行商品造成の働きかけや観光情報のPRを行っていくこととしています。 また、海外市場ごとの観光客の年代や嗜好に即したターゲティング広告を配信するとともに、海外で人気の高いバーチャルサイクリングや観光地の三百六十度映像等のデジタルコンテンツによるPRを行うなど、効果的なプロモーションを展開します。 次に、受入れ環境の充実については、誘客の基盤となる宿泊施設の高付加価値化等に向けた設備投資を支援するとともに、地域の特色を生かした観光コンテンツを整備するなど、観光地全体の魅力を高める取組を進めてまいります。 また、瀬戸内七県が参画する、せとうちDMOと連携し、万博を見据えた観光素材の磨き上げや、食や自然体験などテーマ性のある新たな周遊ルートの開発を進めていくこととしています。 さらに、福岡県と連携し、外国人観光客が多く訪れる福岡空港や北九州空港からの広域周遊ルートの開発を進めるとともに、ルート上の観光地のPR動画を制作し、海外へその魅力を発信することとしています。 私は、今後とも、関係自治体や観光事業者等との連携を密にしながら、大阪・関西万博に向けて、戦略的なプロモーションや受入れ環境の充実を進め、インバウンドの拡大に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)林業振興についてのお尋ねにお答えします。 本県の人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、この豊かな森林資源を生かし、林業の振興を図るため、県では、多様な需要に応える県産木材の供給力強化や新たな担い手の確保などに取り組んできたところです。 一方、人工林の高齢化に伴い、森林のCO2吸収能力は低下傾向にあり、吸収源としての役割を最大限発揮させるためには、お示しのように、森林の世代交代を進めながら、森林資源を有効活用していくことが重要です。 このため、県では、切って、使って、植える、循環利用の確立に向け、引き続き、県産木材の供給力強化や利用促進と併せ、主伐後の再造林による成長の旺盛な若い森林の造成を一体的に進めてまいります。 具体的には、木材の供給力強化については、施業の集約化や高性能林業機械の導入等に加え、レーザー計測を用いた高精度な森林資源量の把握による計画的な伐採により、生産性の向上と供給量の増大を図っていきます。 木材の利用促進に向けては、建築用材等として、住宅だけでなく、公共建築物や民間の非住宅建築物の木造化、内装の木質化を図るなど、幅広い分野での活用を積極的に進めてまいります。 加えて、木材生産の過程で発生する伐採残渣等を森林バイオマスとして最大限活用するため、搬出コストを低減する収集・運搬機材の導入等により供給力の強化を図り、今後、さらに増加が見込まれる発電事業者からの需要に応えてまいります。 また、成長の旺盛な若い森林の造成に向けては、主伐と再造林の一貫作業等、低コスト再造林技術の定着に取り組むとともに、成長等に優れCO2吸収能力が高く、花粉の少ないエリートツリーの供給に向け、県営林木育種園における種子の生産体制を整備していきます。 県としては、関係団体等と緊密に連携しながら、健全で豊かな森林を将来に引き継ぎ、脱炭素化にも貢献する林業の振興に向け、森林資源の循環利用の確立に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業支援についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍で大きな打撃を受けた中小企業が、活力を取り戻すためには、新たな販売先や販売ルートの開拓など、取引の拡大により収益力の向上を図っていくことが重要です。 このため、県では、これまでも、やまぐち産業振興財団等と連携し、県内外での商談会の開催や展示会の出展等により県内中小企業の販路開拓を支援してまいりました。 また、拡大するEC市場の需要を取り込むため、EC送料の負担軽減を図るほか、大手ECサイトでのやまぐちWebマーケットの開催や、リアルとオンラインを融合したハイブリッド展示会への出展支援に取り組んでいます。 こうした取組等により、Webマーケットでは五百品目を超える商品の参加や遠隔地のバイヤーとのオンラインでの商談が成立するなど、収益確保につなげています。 今後、県内中小企業がさらなる販路拡大を図っていくためには、これまでのリアルで培った販売ノウハウや経験の活用に加え、時間や距離を超えた売り込みが可能となるデジタル技術を重点的に活用していくことが重要となります。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、デジタルを活用した県産品の売り込みを位置づけ、多くの中小企業が、デジタルを有効活用しながら効果的な販路開拓に取り組めるよう支援を強化することとしています。 具体的には、多くのバイヤーや消費者との取引を可能とするハイブリッド展示会への出展やオンライン商談会の開催の充実を図るとともに、ECサイトへの出展支援を通じて、企業のEC取引に関するノウハウの習得を支援していきます。 また、様々なデジタル技術の活用による取引にも対応できるよう、メタバース等の仮想空間での展示や商談による販路開拓にも取り組んでまいります。 県としては、事業者ニーズを踏まえ、中小企業が活力を取り戻すことができるよう、販路開拓支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)物産振興についてのお尋ねにお答えします。 本県は、地域の特色ある資源を生かした魅力ある特産品を数多く有しており、こうした特産品の積極的なPRを行うことにより、本県の魅力を発信し誘客拡大につなげることは大変重要です。 このため、首都圏のアンテナショップである、おいでませ山口館においては、特産品の販売や観光PRを行うとともに、季節に応じた特色あるフェアの開催や百貨店等での出張販売を実施することにより、本県の多彩な魅力を発信することとしています。 また、関西圏では、阪急梅田駅での期間限定のアンテナショップや中四国九県合同での観光物産展を開催するとともに、大阪情報発信会では、現地の旅行会社等に対し本県の特産品を使った料理を提供し、その魅力を感じていただいたところであり、引き続きこうした取組を進めてまいります。 さらに、羽田空港において、航空会社等と連携した物産・観光フェアを開催するとともに、広島市のマツダスタジアムで実施されたプロ野球公式戦に併せ、球場内で特産品の販売や観光PRを行うなど、様々な機会を捉えた魅力発信にも取り組んでいるところです。 こうした取組に加え、県物産協会において、ECサイトでの特産品の販売を行うとともに、ホームページやSNSで広く情報発信するなど、オンラインによる特産品のPRも積極的に実施することとしています。 県としては、今後とも、各市町や関係団体等と連携し、お示しの自動販売機の設置など、他県での様々な手法も参考にしながら、本県への誘客拡大につながる物産振興の取組を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)建設産業における担い手確保についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設産業は、社会資本の整備・維持管理や、災害発生時の応急復旧などを担う中核的な存在であり、また、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 しかしながら、お示しのとおり、就業者の減少や高齢化の進行により、特に若者の就業者が少なく、近い将来、社会資本の整備や災害対応等に支障を来すおそれがあることから、持続可能な建設産業を構築することが極めて重要です。 このため、県では、やまぐち未来維新プランの重点施策に、引き続き、持続可能な建設産業の構築を掲げ、建設産業が若者にとっても働きたい職場となるよう、魅力発信や就労環境の改善を推進することとしています。 具体的には、まず、魅力発信については、高校生等を対象とした現場見学会や魅力発見フェアなどを通じて、建設産業における様々な取組を紹介し、将来の担い手である若者の入職を促進しています。 次に、就労環境の改善については、適正な賃金水準を確保するため、毎年設計労務単価を見直すとともに、週休二日の実現に向け、先月から、国、県、市町と関係団体等が連携し、毎月特定の土曜日に、公共工事の現場を一斉に閉所する取組も開始しているところです。 また、建設現場の生産性の向上に向け、ICT活用工事の推進や公共事業での三次元モデルの活用などに取り組んでいるところであり、産学官が協働してこうした取組を加速化するため、今年度中に、建設DX推進計画を策定することとしています。 さらに、建設工事従事者の安全や健康を確保するため、各建設現場において、受注者が行う熱中症対策やメンタルヘルス対策など、心身の健康を確保するための自主的な取組を促進しているところです。 とりわけ、お示しの熱中症対策については、熱中症リスクを軽減するため、リスクが高まる暑さ指数が二十五度以上となる日数に応じて、公共工事の経費を増額する制度等により、空調機能付作業服やドライミスト発生装置の活用などの取組を支援していく考えです。 県としましては、本県の基幹産業であり地域の守り手である建設産業が、将来にわたってその役割を果たしていけるよう、引き続き、魅力発信と就労環境の改善の一体的な推進を通じて、建設産業の担い手確保に一層取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)スクール・ミッション等の策定を通じた県立高校の特色化・魅力化についてのお尋ねにお答えします。 少子化の進行やグローバル化の進展など、教育を取り巻く環境が大きく変化し、生徒の興味・関心、学習ニーズ等が多様化する中、特色ある学校づくりを推進することが重要です。 このため、本県においては、各高校が教育目標を掲げ、グローバル人材や科学技術人材の育成、地域貢献活動による人間力の向上など、生徒や地域の期待に応える特色ある教育活動を展開しているところです。 こうした中、高校の教育目標等は、学校内外への共有・浸透が十分ではない、教職員の間で強く意識されていないなどの指摘もあることから、国の制度改正を踏まえて、各高校の役割や理念を分かりやすく提示できるよう、スクール・ミッションとスクール・ポリシーの策定に取り組むこととしたところです。 まず、スクール・ミッションについては、各高校に期待される社会的役割や目指すべき学校像を示すものであり、現在、県教委において、学校の歴史や伝統、地域の実情などを踏まえながら策定を進めているところです。 また、スクール・ポリシーについては、スクール・ミッションを踏まえて、各高校において、生徒の卒業後の姿を見据え、生徒にどのような資質・能力を育成するのか、そのためにどのような教育課程を実施するのかなどを明確にした上で、一貫した体系的な方針として策定することとしています。 こうした学校像や方針の策定に当たっては、教職員による校内での検討はもとより、学校運営協議会での協議を踏まえて進めることで、学校、家庭、地域が方向性を共有しながら、お示しのオンリーワンの特色化・魅力化を推進できるよう努めてまいます。 県教委といたしましては、今後策定するスクール・ミッションとスクール・ポリシーが、中学生の主体的な学校選択につながるとともに、保護者や地域の期待に応える、魅力があり、特色ある学校づくりの推進に資するものとなるよう取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時五十三分休憩