1 中小企業支援の充実について 2 医療的ケア児への支援について 3 中小企業における障害者雇用の促進について 4 自転車の安全で適正な利用の促進について 5 下関地域の国道2号の整備について 6 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第二十五号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第二十五号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 平岡望君。 〔平岡望君登壇〕(拍手) 平岡望君 皆様、おはようございます。自由民主党の平岡望です。 サッカーワールドカップ初のベストエイトを目指した昨夜の日本対クロアチア戦、最後はPKで敗れてはしまいましたが、強豪と言われるドイツやスペインに勝利し、これまでの戦いで粘り強いチームワークと大きな感動を多くの方に与えてくれたと思います。今日は、寝不足の方も多いかとは思いますが、私の質問時間、頑張ってお付き合いいただきますよう、よろしくお願いをいたします。 それでは、早速、順次質問させていただきます。 初めに、中小企業支援の充実についてお尋ねをいたします。 新型コロナウイルス感染症の発生以後、無利子・無担保融資をはじめとする様々な支援策が措置されてきたこともあり、これまで企業の倒産件数は低水準に抑えられていましたが、増加に転じてきています。 民間調査会社の調査によると、今年度上半期の全国の倒産件数は、前年同期比約七%増の三千百四十一件で三年ぶりの増加、県内での倒産件数は十九件と、コロナ禍前の二〇一八年以来四年ぶりの増加となっています。 燃料・原材料高や円安などの影響もあり、今後、倒産件数の増加傾向が強まるのではないかと危惧しております。 こうした中、地元の事業者の方からは、新型コロナ関連融資の返済開始を不安視する声を伺うことが本当に多くなっております。 もちろん中には、経済活動の再開に伴い、計画どおりに返済を進められているという企業もありますが、一方で、収益力が戻らず返済原資の確保が難しい、返済のめどが立たない、新規の借入れもできず本当に苦しいという切実な声も伺っております。 県の新型コロナウイルス対応資金の融資実行件数は一万四千五百七十七件、融資額は約二千四百十三億円、加えて日本政策金融公庫など、政府系金融機関の融資を受けられた事業者も多く、中小企業の半数が新型コロナ関連融資の借入れを行っているという民間の調査結果もあります。 融資返済という目の前に立ちはだかる大きな壁を乗り越えなければなりませんが、その準備が整っていない、その体力のない事業者もおられます。 また、原材料高など、予期せぬ経営環境の悪化により、返済が重荷となり、途中で断念せざるを得ない状況に陥ることも懸念されます。 このたび、国の経済対策では、実質無利子・無担保融資の返済負担を軽減するための借換え保証制度が創設されました。これに呼応し、県制度融資についても同様の措置が今回の補正予算に盛り込まれています。中小企業の生命線とも言える新たな資金繰り支援の措置に、多くの事業者が期待を寄せております。補正予算成立後は、事業者の実情に応じた柔軟かつ丁寧な支援を行っていただくよう、最大限の配慮をお願いしたいと思います。 また、このような状況に置かれる中小企業が、将来を見据え、歩みを進めるには、生産性向上や人材の確保・育成、高齢化が進む経営者の後継問題等、コロナ禍以前から中小企業が抱える課題への対応も不可欠であり、こうした経営力向上や企業の成長に向けた支援にも、引き続き、手厚い対応をお願いしたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。県では、中小企業支援の充実に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、医療的ケア児への支援についてお尋ねをします。 医療的ケア児は、NICU等に長期入院した後、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養などの医療的なケアが日常的に必要な子供であり、今年度、県が実施した調査によれば、県内に約百九十人がおられることが明らかとなっています。 全国では、約二万人と推測されておりますが、周産期等の医療技術の向上により、従来では助からなかった命を救えるようになり、その結果、その後の生活に医療的なデバイスが必要となる医療的ケア児が年々増加していると言われており、昨今では、医療的ケア児やその家族に対し、心身の状態に応じて、適切な支援を受けられるようにすることが重要な課題となってきています。 こうした背景の中、昨年九月、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律、いわゆる医療的ケア児支援法が施行されました。 同法では、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する基本理念をはじめ、国や地方公共団体の責務、保育・教育の拡充などに係る施策や医療的ケア児支援センターの指定などが定められており、安心して子供を産み、育てることができる社会の実現に向け、医療的ケア児への支援が法的に位置づけられました。 本県では、これに呼応し、医療的ケア児及びその家族等への相談対応や関係機関等との連絡調整などを行う医療的ケア児の支援拠点として、今年四月に医療的ケア児支援センターを県内二か所に設置しました。 センターを複数か所設置している都道府県は全国でも少なく、医療的ケア児に対する支援体制の充実に力点を置いた県の対応について感謝申し上げ、大変評価いたしております。 しかしながら、先日、私は、医療的ケア児の御家族の方からお話をお伺いする中で、医療的ケア児やその家族が地域で安心して暮らしていくためには、幅広い支援が必要であり、その支援の一層の充実が必要ではないかと感じました。 まず、お聞きしたのは、医療的ケア児の中でも、とりわけ重度のケアを要するお子さんの話ですが、人工呼吸器を首につけているため、介護用浴槽では、呼吸器の角度の関係で対応ができないことから、入浴用の椅子や特殊な風呂桶を使用して入浴を行っているとのことですが、医療的ケア児は、成長とともに体も大きくなり、その椅子や風呂桶も成長に合わせて買換えをしなければならず、経済的負担が大きいとのことでした。 こうした日常生活用具については、各市町において支給する制度が設けられておりますが、市町によって支給対象とされる用具が異なるなど、取組に差が生じているのが現状です。 私は、県内どこに住んでいても、医療的ケア児とその家族が必要とするサービスを受けることができる環境整備が早期に図られるべきであり、県におかれては、各市町の取組の差について、ぜひとも解消に努めていただきたいと願っています。 また、医療的ケア児の介護に当たる御家族の方から多くお聞きするのが、ケアによる疲労の問題です。 医療的ケア児は、常時見守りが必要であるため、ほとんどの場合、家族が在宅で介護をしていますが、たん吸引や経管栄養は原則として、医療従事者や家族以外では実施することができない医療処置であり、そのため長時間目を離すことが難しく、常に緊張状態で対応し、肉体的・精神的な疲労が積み重なっているとのことです。 こうした疲労は、医療的ケア児の生死を左右する大事故につながる危険もあることから、医療的ケア児御本人への支援だけでなく、その子を支える家族に対する支援の重要性を改めて感じたところであり、県におかれましては、今後は、こうした医療的ケア児の家族に対する支援の充実にも努めていただきたいと思います。 そこでお尋ねをいたします。医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活していくためには、医療的ケア児やその家族の声に耳を傾け、ニーズに沿った支援施策を進めていくことが重要であると考えますが、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業における障害者雇用の促進についてお尋ねをいたします。 昨年の障害者雇用数は前年比三・四%増の約五十九万八千人、また、実雇用率は前年差〇・〇五ポイント増の二・二%となり、いずれも過去最高を更新しています。 労働者数は前年比一一・四%と高い伸び率を示した精神障害者をはじめ、身体、知的、いずれの障害種別においても前年より増加している状況です。障害者の就労意欲の高まりや、積極的に障害者雇用に取り組む企業も増加するなど、障害者雇用の実績は増加傾向にあると言えます。 この背景には、障害者雇用に向けた様々な取組はもちろんのこと、故安倍晋三元首相が掲げられた、ニッポン一億総活躍プランや働き方改革実行計画で示された、障害者等が希望や能力、適性を十分に生かし、障害の特性等に応じて活躍することが普通の社会、障害者と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要があるといった考え方が社会に浸透してきたのではないかと考えます。 このように、着実に進展する障害者雇用ですが、一方で、地元の事業者の方からは、仕事の内容が障害者本人に本当に適しているのか不安だ、体への負荷の高い職場環境で働かせることに対し世間の見方が気になるといった障害者雇用に係る不安や悩みをお伺いすることも多く、個々の雇用の場において、改善すべき点はまだまだあるのではないかとも感じています。 障害者本人からすれば、自分に合わない仕事を続けなければならない状況、また逆に事業者は、職務に適さない障害者を雇用しなければならない状況は、両者にとって好ましくない状況です。 とりわけ障害者雇用に対する知識や経験に乏しい中小企業においては、こうした雇用のミスマッチが生じやすく、改善しにくい状況にあるのではないでしょうか。ノウハウ不足は、障害者雇用数がゼロ人である、いわゆる障害者雇用ゼロ企業において、障害者雇用を今後進める上でも重要な課題と言えます。 こうした中、国の労働政策審議会では、令和元年に改正された障害者雇用促進法が、施行後約三年を経過したことを踏まえ、さらなる雇用の質の向上や障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進など、障害者雇用施策の充実強化に向けた議論が進められています。 県におかれましては、こうした国の動きも捉えながら、障害者本人や事業主、関係機関としっかりと協力をし、さらなる障害者雇用を進めていくことができるよう、県内中小企業の実情に寄り添った取組を進めていただきたいと思います。 そうした取組で雇用のミスマッチを改善し、障害者の雇用の場への定着と、生き生きと働き、活躍できる社会へとつながることを期待しています。 そこでお尋ねをいたします。県では、中小企業における障害者雇用の促進に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、自転車の安全で適正な利用の促進についてお尋ねをします。 自転車は、手軽で大変便利な乗り物であると同時に、脱炭素化や渋滞緩和、健康増進にも寄与するすばらしいアイテムです。 さらには、全国屈指の絶景として有名な角島をはじめ、秋吉台や瀬戸内海沿岸など、サイクリングをするにはもってこいの資源が豊富な本県は、コロナ収束後には、国内外から多くのサイクルツーリストを誘致できる高いポテンシャルをも有しています。 しかしながら、一方で、自転車を安全で適正に利用するという視点で考えてみますと、マナーの悪いロードバイクや信号無視をする自転車、猛スピードで歩道を走行する自転車など、車や歩行者が冷や汗をかく機会も多く、自転車ルールの徹底はまだまだ不十分であると思われます。 警察庁の公表したデータを見てみましても、近年、減少しつつある交通事故の傾向に反し、自転車と歩行者の事故や自転車同士の事故件数は横ばい傾向が続いており、全ての交通事故件数に占める自転車事故の割合は二割強と、依然として高い水準にあります。 こうした自転車事故の状況に鑑み、国においては、これまでも、幾度も道路交通法の改正をはじめとする様々な対策を講じてきており、来年四月には、全ての自転車利用者にヘルメットの着用を努力義務とする、さらなる対策の強化が行われます。 日常生活に身近な自転車は、便利な乗り物である分、事故もまた身近なものとして考えておく必要があります。 自転車で一たび事故を起こせば、相手にけがを負わせたり、場合によっては、死に至らしめることもあり得ますので、自転車を利用する人は、自分のためにも、また、事故の被害者を守るという観点からも、高額な賠償が必要となった場合などに備えておくことも大変重要なことだと考えます。 さきの九月議会においても、自転車の活用推進について質問があり、それに対して県は、様々な分野に自転車の持つ役割を拡大しつつ、安心・安全な自転車の利活用を総合的かつ計画的に推進していくと答弁されました。 自転車の活用による大きな効果が期待される今だからこそ、行政や自転車利用者などの責務を明確にして、交通安全の確保を図り、また、自転車事故の当事者を保護する観点からも、自転車の安全で適正な利用を促進する総合的な条例を制定して、県として、自転車の持つ課題にしっかりと取り組んでいく必要があると思います。 そこでお尋ねをいたします。自転車の安全で適正な利用の促進に向けて、県は今後どう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、下関地域の国道二号の整備についてお尋ねをします。 私の地元である下関地域の国道二号は、王喜地区から小月、長府、勝山地区を抜け、最後は関門トンネルに至る道路であり、下関市の東部地域における重要な幹線道路となっております。 特に、長府地区周辺については、沿道に大型ショッピングセンターやブリヂストンをはじめとする工場群が存在しており、通過交通も相まって、慢性的な渋滞に悩まされております。 こうした状況から、私が県議会で初めて一般質問を行った平成二十六年九月議会で、国道二号長府印内交差点周辺の道路整備について取り上げさせていただきました。 その際には、長府印内交差点周辺における渋滞緩和や交通安全を確保するため、一日も早い事業着手をと訴えさせていただきました。それから一年半後の平成二十八年四月に訴えが実を結び、国道二号印内地区交差点改良事業として事業化されました。現在、事業化から約六年半が経過をしています。 こうした経緯を踏まえ、下関地域の国道二号の整備について、二点お尋ねをいたします。 まず、一点目は、現在事業中の印内地区交差点改良事業についてです。 印内交差点については、下関港及びその周辺の工場から下関インターチェンジや関門トンネルに向かう車両が集中することから、道路交通情報センターからのお知らせでも、毎日のように名前が挙がる、県内有数の渋滞箇所となっています。 現在、この渋滞緩和等を目的に、滑石交差点から印内交差点までの区間において、車線の増設や延長、歩道の拡幅などが計画され、一部区間では工事も行われています。この事業が完成すれば、渋滞や追突事故の抑制が図られ、近隣小学校への通学路の安全性が確保されるなど、大きな事業効果が得られるものと考えています。 今年五月には、地元で道路設計に関する説明会が開催され、地元の方も数多く参加されたことから、この事業に対する地元の皆様の期待の高さがうかがえました。こうした地元の期待に応えるために、県においても、早期の事業完成に向け、より一層努力する必要があると考えます。 二点目は、長府トンネル付近の防災対策です。 長府トンネルは、昭和三十二年の完成から六十五年が経過しており、老朽化が進んでいるほか、大型車両が数多く通行しているにもかかわらず、歩道が整備されていないといった安全上の問題を抱えています。 また、トンネル付近が土砂災害特別警戒区域に指定されており、大雨や豪雨時の通行に支障が生じています。 国においても、こうした課題を認識し、昨年十二月に有識者による国道二号長府地区防災対策検討委員会を新たに立ち上げ、防災上の課題解決に向けた検討に着手されました。今年六月にも、第二回の委員会が開催され、対策案の検討が始められたと聞いています。 私も、防災・減災、円滑な物流を実現する観点から、また、印内地区交差点改良事業の事業効果をより高めるためにも、長府トンネル付近の防災対策について、早期事業化を目指すべきだと思っています。 そこでお尋ねをいたします。多くの方々が大きな期待を寄せている長府印内地区交差点改良事業の事業促進、早期完成や長府トンネル付近の防災対策の早期事業化に向け、県では、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、今回は国道二号の整備について取り上げましたが、下関地域の経済の活性化、観光振興に向けては、下関北九州道路や山陰道の整備促進も重要です。国土強靱化の観点からも、非常に重要な道路でありますので、引き続き、国に対し、早期整備を強力に働きかけられるよう要望いたしまして、質問を終わります。 質問は以上ですが、終わりに一言申し上げます。 今年も残すところ一か月を切りました。この一年もコロナウイルスの感染は収束をせず、依然として感染者数は少しずつ増加してきており、これから年末年始に向け、インフルエンザとの同時流行も心配をされます。 また、ロシアのウクライナへの侵攻も終わりが見えなく、いまだ双方の衝突が続き、多くの国民が巻き込まれ、被害に遭うなど、一日も早い収束と終結を願っております。 そして、私にとって、本年一番の出来事は、七月の安倍元総理の銃撃事件であります。 七月八日午後五時三分、安倍元総理は凶弾に倒れ、御逝去されました。あれから、あさってで五か月となります。これまで、国葬儀や県民葬で多くの皆様が安倍元総理の最後を見送りました。 私も秘書として十八年、優しい笑顔で誰にでも気さくに接する人柄の人間安倍晋三、日本の未来のために批判を恐れず、果敢に政策を実現していく政治家安倍晋三、すぐそばで安倍先生の姿を見、多くのことを学ばせていただきました。 内閣総理大臣として八年八か月の長きにわたり、政権を運営する中にあっては、批判や反対の意見、時には大きなデモになることもありましたが、そういう考えを持つ人、そういう意見を発する人、当然のようにあるものだと私もじっと聞き、勉強させられました。 しかしながら、今回だけは私の思いを言わせてもらえるならば、総理大臣を辞め、一議員として参議院選挙中に、仲間の応援のために訪れた遊説先で、それも演説中に銃撃をされ、亡くなるという無念の死を遂げた故人に対し、前回もこの議場で、森友・加計、桜や、安倍政権当時の政策について、ああだこうだと過去を持ち出し、批判される方がいらっしゃいましたが、突然に命を奪われた故人の無念さや、朝、元気に行ってきますと出て行った家族が殺され、もう二度と会話することさえできないという悲しみに見舞われた御遺族の気持ちを思われたことはあるでしょうか。 人の命の重さは何よりも重い。最後は心穏やかに、思いやり、静かに見送ってほしかった。私は悲しい気持ちになりました。 今、生きている我々は、これからも様々な場面に遭遇し、経験をしていくことだと思います。そのようなときに、いろんな立場、角度からじっと見つめ、少し立ち止まって人に寄り添う、そんな優しい気持ちを持ち、情に厚い、日本人の心の原点をいま一度考えていただきたいと願います。その心こそが、安倍総理が目指した美しい国日本をつくり出す日本人としてのよさなのだと私は思いたい。皆様にはどうか御理解くださいますようお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)平岡議員の御質問にお答えします。 まず、中小企業支援の充実についてです。 原油価格や物価の高騰、さらには急激な円安により、多くの中小企業が売上げや利益減少等の影響を受け、倒産の増加が懸念されるなど、その経営は非常に厳しい状況にあります。 私は、地域経済を支え、雇用の受皿である中小企業が、こうした厳しい経営環境を乗り越え、事業を継続・発展させていくためには、資金繰り支援の充実により、経営の安定を図るとともに、課題への対応や経営力強化等により、将来へ向けて成長を促進していくことが極めて重要であると考えています。 まず、資金繰り支援については、国の総合経済対策において、実質無利子・無担保融資の返済負担軽減を図る借換え保証制度が創設されたことから、県としても、このたびの補正予算において、この保証制度を活用し、二百億円の融資枠による返済負担軽減借換等特別資金を創設しました。 補正予算成立後は、速やかに新たな資金の運用を図り、金融機関等による経営行動計画の策定等の伴走支援を通じて、事業者の資金需要に応じた柔軟な対応を行うことにより、中小企業の資金繰りを強力に支援してまいりたいと考えています。 また、中小企業が将来を見据え、歩みを進めるためには、生産性向上や人材の育成、事業承継などの課題の克服はもとより、経営力の強化による付加価値向上が不可欠です。 このため、やまぐち未来維新プランにおいて、こうした課題に対する取組を強化するとともに、成長のチャンスとなるデジタル化の加速やグリーン化の促進など、中小企業の持続的な成長に向けた支援を拡充することとしています。 具体的には、やまぐち産業振興財団の生産性向上・人材創造拠点を中心に、経営革新等の付加価値向上やリスキリング等の一体的な支援を行うとともに、事業承継については、M&A支援機関等との連携による第三者承継の強化や経営課題診断によるきめ細かい支援など、取組を充実します。 また、未来技術を活用した業務改革や新事業の創出等を促進するためのDXの加速を図るほか、中小企業が脱炭素の取組にしっかりと対応できるよう、商工会議所等と連携した普及啓発や新商品の開発支援等により、グリーン化を促進していきます。 私は、今後とも、関係機関との連携を一層強化し、やまぐち未来維新プランに基づく取組を着実に実行することで、本県経済の主要な担い手である中小企業がさらに成長し、雇用を生む力を発揮できるよう、中小企業支援の充実に全力で取り組んでまいります。 次に、自転車の安全で適正な利用の促進についてのお尋ねにお答えします。 自転車は環境に優しく、サイクリングを通じた健康づくりや余暇の充実等、世代を超えて気軽に利用できる便利な乗り物である一方で、重大な事故を起こし得る乗り物でもあることから、事故防止対策に取り組み、安全で適正な利用を促進することは大変重要です。 このため、私は、山口県交通安全計画に基づき、県警や市町、関係団体等で構成する交通安全山口県対策協議会を推進母体として、総合的かつ計画的に自転車の交通事故防止対策に取り組んできたところです。 具体的には、自転車の交通ルール遵守の徹底と安全確保に向け、春、秋などの交通安全運動や交通マナーアップやまぐちキャンペーンの展開による広報啓発活動のほか、学校、自治会等での出前講座の開催、交通指導を行う教職員等への研修の実施など、交通安全教育に努めています。 こうした取組の結果、本県では、自転車が関与する人身交通事故は年々減少しており、平成二十八年度以降、自転車の利用者が加害者となり、歩行者を死亡させた交通事故も発生していません。 しかしながら、全国的には、お示しのように、交通事故件数に占める自転車事故件数の割合は二割強と依然として高く、高額な損害賠償事案も発生しています。 このような状況を受けて、国は、自転車活用推進計画に損害賠償責任保険等への加入の促進を掲げるとともに、来年四月には、改正道路交通法で、全ての自転車利用者のヘルメット着用を努力義務化するなど、安全対策を一層強化することとしています。 こうしたことから、私は、県民誰もが安心・安全に暮らせる生活を実現するために、悲惨な自転車の交通事故を一件でも減少させたいという強い思いの下、本県独自の条例の制定に向け、検討に着手したいと考えています。 検討に当たっては、新たに関係団体や弁護士会等で構成する組織を立ち上げるとともに、県議会の御意見もお聞きしながら、具体的な内容等について議論を進めてまいります。 加えて、本県の実情に沿った条例となるよう、自転車事故の現状と課題を踏まえるとともに、自転車保険等の加入促進や交通ルール遵守に向けて、行政や自転車利用者等それぞれの責務を明確にしたいと考えています。 私は、今後とも、交通安全県やまぐちの実現に向け、県警や市町、関係団体等と緊密に連携し、自転車の安全で適正な利用の促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)医療的ケア児への支援についてのお尋ねにお答えします。 医療的ケア児とその家族が地域で安心して生活していくためには、市町や関係機関との連携の下、医療的ケア児の心身の状況等に応じた切れ目のない適切な支援が重要です。 このため、県では、やまぐち障害者いきいきプランに基づき、関係機関の連携促進や支援に携わる人材育成など、医療的ケア児やその家族に対する支援体制の整備に取り組んでいるところです。 具体的には、当事者団体や医療、福祉、教育などの関係機関により構成する医療的ケア児支援地域協議会を設置し、医療的ケア児と家族への支援に関する地域の課題や対応策について、意見交換や情報共有を図っています。 また、地域において、医療的ケア児等に対する支援が適切に行えるよう、様々なサービスなどの総合調整を行うコーディネーターを養成しているところです。 加えて、医療的ケア児支援法の成立を契機に、支援の一層の充実を図るため、本年四月には、支援の拠点として、医療的ケア児支援センターを県内二か箇所に設置したところです。 このセンターでは、利用可能な福祉サービス等に関する家族からの相談に応じるとともに、病院から退院する医療的ケア児の在宅生活に必要な支援について、関係機関による調整などを行っているところであり、今後もセンターを中心として、身近な地域における支援の充実に努めてまいります。 お示しの日常生活用具の給付については、子供の成長や家庭状況に応じたきめ細かな対応ができるよう、センターに寄せられた当事者等からの相談内容や、各市町における給付の状況について、協議会で情報共有を図り、市町に対して、必要な情報提供や助言を行ってまいります。 また、介護に携わる御家族の心身の負担軽減を図ることは、医療的ケア児の健やかな成長のために重要であることから、介護家族の一時的な休息を確保するためのレスパイト環境の整備について、今後、検討してまいります。 県としましては、引き続き、医療的ケア児とその家族の日常生活や社会生活を社会全体で支えるため、市町や関係機関等と緊密に連携し、一層の支援の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業における障害者雇用の促進についてのお尋ねにお答えします。 障害者が地域社会の一員として自立し、生き生きと活躍するためには、一人一人の特性や能力などに応じて働くことができるよう、障害者雇用に対する企業の理解促進や多様な就業機会を確保することが重要です。 このため、企業の理解促進に向けては、障害者雇用に関する知識や情報を掲載したガイドブックの配布や障害者の雇用と定着を推進する職場リーダーの養成を通じ、企業の取組を促進しています。 また、多様な就業機会の確保に向けては、労働局等関係機関と連携し、就職面接会を県内七会場で開催するとともに、事業所の現場を活用した実践的な職業訓練を行ってきたところです。 さらなる雇用促進のためには、より実情に寄り添った取組が必要であり、今後は、障害者の柔軟な働き方が可能となるよう、専門的な助言等を行うワークショップの開催やアドバイザー派遣、機器導入経費の助成などにより、テレワーク等の普及・定着に取り組んでまいります。 また、就業面と生活面の一体的な支援を行う障害者就業・生活支援センターやハローワーク等が連携して、就労能力や適性の客観的な評価を行うとともに、就労に関するニーズや課題を踏まえた支援を行うなど、相談機能を充実し、ミスマッチの解消につなげてまいります。 こうした中、国の労働政策審議会において、雇用の質の向上に向けた関係機関の連携の促進や、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進などについて意見が取りまとめられたところであり、制度化に向けた動きにしっかりと対応してまいります。 なお、障害者雇用率制度について、実雇用率の算定に必要となる労働時間の要件緩和に向けた検討がなされており、制度改善後は国と連携して適切に対応し、長時間の就労が困難な障害者等の雇用機会の拡大につなげてまいります。 県としては、国や関係機関と連携し、中小企業における障害者雇用の促進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)下関地域の国道二号の整備についてのお尋ねにお答えします。 国道二号は、本州と九州をつなぐ幹線道路であり、産業活動や観光交流、日常生活等を支え、災害時には、救急救命活動等に資する重要な路線です。 このため、県では、これまでも政府要望等を通じ、国道二号等の整備促進を訴えてきたところであり、また、やまぐち未来維新プランにおいても、引き続き、幹線道路網の整備を重点施策に位置づけ、計画的に進めていくこととしています。 とりわけ、下関地域は、地理的条件から、人や物が活発に行き交う交通の要衝であり、市街地の慢性的な渋滞や多発する交通事故など、いまだ弱点を抱える箇所が存在し、その解消が急務となっています。 お尋ねの国道二号の整備のうち、まず、印内地区の交差点改良については、国において、これまで滑石交差点の右折レーンの設置等を完了させ、現在、印内交差点から中土居交差点の区間の左折レーンの増設や、歩道の拡幅等の工事が鋭意進められているところです。 さらに、中土居交差点から三島交差点の区間は、地域の皆様への設計説明を終え、年明けからは用地取得に着手するなど、着実に事業が進められています。 また、長府トンネル付近の防災対策については、県としても、老朽化したトンネルへの対応や歩行者等の安全を確保するとともに、お示しのとおり、印内地区の交差点改良事業の効果をより高めるため、早期事業化を目指すべきと考えています。 こうした中、国においては、昨年十二月、有識者で構成する検討委員会を設置して、防災対策について具体的な検討に着手し、本年十月には、地域の皆様にこれまでの検討内容について御意見を頂くため、説明会を開催したところです。 県では、引き続き、こうした国の取組が円滑に進むよう、積極的に協力していくとともに、下関市とも連携しながら、印内交差点改良の事業促進や長府トンネル防災対策の早期事業化を国に強く訴えていく考えです。 県としては、今後とも、地域活力の創出や県民の安心・安全の確保を図るため、地域の実情やニーズを踏まえながら、下関地域の国道二号はもとより、県内全域の幹線道路網の整備を計画的かつ着実に推進してまいります。