1 出産・子育て支援について 2 ヤングケアラー支援について 3 発達障害のある子どもの学習支援について 4 スポーツ合宿の誘致について 5 デジタル技術を活用した買い物弱者支援について 6 盛土等の規制強化に向けた今後の対応について 7 上関原発建設計画について 8 その他
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 おはようございます。公明党の猶野克でございます。通告に従いまして、早速質問をさせていただきます。 初めに、出産・子育て支援についてお尋ねいたします。 子育て支援に関する日本の予算規模は、出生率を回復した欧州諸国と比べて低水準にあり、働き方改革もいまだその途上にあると言わざるを得ません。 さらに、コロナ禍において、少子化、人口減少は一層進み、核家族化、地域のつながりの希薄化が進む中、子供や家族を取り巻く環境は深刻な状態です。二○二一年に日本で生まれた子供の数は過去最少の八十一万千六百二十二人で、想定よりも七年程度早く少子化が進んでいます。 もとより、結婚、妊娠・出産は個人の自由な意思決定に委ねられています。一方で、次世代を育む仕組みをつくれない社会は持続することはできません。子供の幸せを最優先に、子供を安心して産み育てられる社会を構築し、少子化、人口減少という未曽有の事態を乗り越えるためには、働き方の転換や子育て負担の軽減に加え、全ての妊婦・子育て家庭が安心して出産、子育てができる環境整備が喫緊の課題であります。 このため、公明党としては、政府に対し、特に、全体の子育て支援策の中でも手薄な妊娠時からゼロから二歳児への支援を補強する対策を強く訴え、先行して総合経済対策に盛り込むよう要望してきました。 また、先月八日、公明党は、子供政策を政治の柱に据えた社会の実現と、少子化、人口減少を克服するための具体策を示した子育て応援トータルプランを発表し、妊娠時から出産、子育てまでの切れ目のない支援の充実を掲げたところであります。 こうした中、政府は、二○二二年度第二次補正予算案を閣議決定し、その中において、全ての妊婦・子育て家庭に計十万円相当を支給し、妊産婦等の支援につなげる出産・子育て応援交付金事業が盛り込まれることになりました。 来年九月末までの予算として千二百六十七億円を計上し、以降も事業を継続する方針で、来年度予算案などに引き続き盛り込むこととされています。 事業内容としては、全国の地方自治体の創意工夫に基づく柔軟な仕組みとされていますが、妊婦健診のための交通費の助成やチャイルドシート、おむつ等の育児関連用品の購入、家事支援サービスや産後ケアなど妊娠期や産後の負担軽減に充てることができるなどの経済支援策を通じ、様々なニーズに寄り添った伴走型相談支援につなげることで、妊婦や子育て家庭に必要な支援メニューが届くことが期待されています。 そこでお尋ねします。今後、実施主体となる市町において、地域の実情に応じた取組が実施されますが、その実効性を高めるためには、やまぐち版ネウボラをはじめとした、これまでの県の様々な取組としっかりと連携し進めていく必要があると考えます。 県として市町の取組をどのように支援していくのか、県の御所見を伺います。 次に、ヤングケアラー支援についてお尋ねします。 本来、大人が担うような家事や家族の世話などを日常的に行うヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の生活や教育に影響があることが全国的に大きな問題となっております。 先ほど申し上げた公明党の子育て応援トータルプランの中でも示されているように、ヤングケアラーについて、孤立することなく当たり前の社会生活を送れるよう、その不安や悩みを受け止め、福祉など関係機関へつなぐなどの体制整備を進めることを位置づけており、ヤングケアラーに対する支援の必要性について、党としても強く認識しているところであります。 本県におけるヤングケアラー支援に当たっては、我が公明党会派も、これまで昨年十一月の石丸議員の一般質問や本年六月の曽田議員の一般質問において、社会全体で支える仕組みづくりの必要性について訴え続けてきました。 これに対し、県は、本格的な対策に向けて踏み出し、まずは本年七月に、県内の小学五年生から高校三年生までの全ての児童生徒を対象にしたヤングケアラー実態調査を実施し、先般、その状況が報告されたところであります。 調査の結果によると、回答した児童生徒のうち、世話をしている家族がいると回答したのは一二%となっており、また、世話をしているためにやりたいけどできないことがあると回答したのは、回答者全体の二・三%となっておりました。 この二・三%の中には、世話をしていることで、学校に行きたくても行けないや進路の変更を考えざるを得ない、もしくは進路を変更したといった回答も含まれており、こうした深刻な影響が出ている児童生徒についてはヤングケアラーである可能性が高いことから、支援を検討していく必要があるものと考えます。 そのため、今回の調査で明らかとなった県内のヤングケアラーの実態を踏まえた、早期に把握するための仕組みづくりや相談しやすい体制づくりを進めるとともに、学校や福祉サービス事業者、行政機関、ボランティア団体等の連携を強化し、社会全体でヤングケアラーの仕組みに取り組んでいくことが重要と考えます。 そこでお尋ねします。ヤングケアラーを早期に把握し、適切な支援につなげるため、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、発達障害のある子供の学習支援についてお尋ねします。 日本では、子供の人口が減少する一方、様々な調査により発達障害と呼ばれる子供は増え続けていると言われています。国の通級による指導に関する調査では、二○○六年に発達障害の児童生徒数は約七千人でしたが、二○一九年には七万人を超えました。文科省が教職員に対して行った調査では、発達障害の可能性があるとされた児童生徒は六・五%、一クラスに二人程度いる計算となります。 発達障害はかつて、通級指導、通常学級の児童に個別指導を行うことの対象になっていませんでしたが、障害と健常と呼ばれる子供の中間に発達障害の子供がおり、その溝にいる子供への支援を連続的に行うべきだという多くの意見から、二○○二年、国で初めて発達障害の実態調査が行われ、二○○四年に発達障害の早期発見と支援を促す発達障害者支援法が成立。二○○六年には発達障害は通級指導の対象となっています。 改めて、この発達障害のある子供への学習支援を見ると、小学校以降は就学先に様々な選択肢があります。普通学級、通級指導教室、特別支援学級、特別支援学校という四つの就学先があり、発達障害をはじめ様々な障害のある子供にとって、最適な就学先を選ぶことが大切です。 通常の学級にいる発達障害の可能性がある子供に対して、まず勧められるのが通級指導です。通級指導は、通常学級に在籍しながら一部の時間だけ別の教室に通って指導を受ける特別支援教育の一つの形態と言われています。この通級指導による支援でも難しいと判断された場合は、特別支援学級への転籍が検討されます。 しかし、小中学校までは特別支援学級が設置されていますが、高校では、この特別支援学級が設置されておりません。 ある御家庭のケースでは、多動と注意欠如のADHDのお子様ですが、発達障害のみでは、原則、特別支援学校の対象とならず、通常の学校への進学となりますが、高校は義務教育ではないため、一般の生徒と同様の学力を求められます。 その入学に必要な学力を高めることも必要ですが、発達障害の特性に合わせた塾もほとんど存在しません。何とか独学で入学を勝ち取ったとしても、その先、学年が上がるたびに高度になる高校学習内容についていくためには、特別支援学級がないこともあって、進級できるかという不安も残り、その結果、発達障害の生徒の進学先がないということになります。 本年、様々なニーズに対応する高校として、山口松風館高校が誕生しましたが、全生徒が同じカリキュラムの授業が行われているとのことであり、その生徒の特性に合わせた通級指導教室は現在設置されていません。 幾つかの県内私立高校では、発達障害の生徒に対して、少しでも学力を含めた支援の手を伸ばそうと、その生徒の特性などの情報を塾と連携して共有したり、生徒を授業や課外塾でサポートしたり、発達障害に詳しい作業療法士などの専門職と相談しながら、教師の資質向上も図ったり支援の輪を広げてきています。 そこでお尋ねします。県立高校において、生徒の学習支援のための関係機関との連携や、発達障害に詳しい専門職を活用して、教師の資質向上を図ることも重要だと考えます。今後、発達障害の子供の進路・進学、特に高校の進路支援は重要性を増してくると考えられる昨今、より一層の学習支援の充実に向けて、今後どのように取り組まれるのか、県教委の御所見を伺います。 次に、スポーツ合宿の誘致についてお尋ねします。 コロナによる影響で傷んだ経済を取り戻すため、本県でも、昨年から旅々やまぐち県民割による旅行支援を続けてきましたが、本年十月からは近隣県を割引対象とした県民割から、対象が全国に拡大され、遠方への旅行が促進されています。 政府は、感染状況を見極めた上で、年明け以降についても割引率等を見直し、全国旅行支援を延長・継続することとしています。 国土交通省の旅行・観光消費動向調査によると、二○二二年にレジャーやビジネス、友人や家族に会うために何かしらの旅行に出かける可能性が高いと回答した人が半数を超えました。コロナが始まった二○一九年調査当時から年々旅行意欲が高くなっており、旅行業界にとっては明るい材料と言えます。また、旅行前後の検査や自主隔離の手間を考えて、海外よりも国内旅行を選ぶ傾向は続いています。 都市部の現役大学クラブを対象に行われた大学スポーツ合宿のアンケート調査によると、三百四十七件中、毎年の合宿地が決まっていないは百八十九件、五四%と半数を超え、そのうち、合宿地決定方法は、旅行代理店が三一%、インターネット検索が二○%、指導者・友人・知人が二六%とあり、学生にとって身近な口コミを重視している傾向もうかがえます。 合宿地を決めるときの優先事項は、費用が一位、二位は競技施設となっており、大学生の台所事情が、競技クラブの練習事情に影響を大きく与えていることも分かります。 また、三位の宿泊施設の食事や部屋などのサービス面等に関心が高くなっている一方、交通アクセスや地域は四位、五位と低く、特にこだわりはないという結果が出ています。 こうした結果を踏まえると、アフターコロナを見据え、本県に関心を持ってもらい、宿泊事業者や旅行会社とも連携を図りながら、スポーツ合宿誘致に積極的に取り組むべきと考えます。 私の地元宇部市では、スポーツ合宿応援キャンペーンとして、本年四月より、一泊当たり二千円のキャッシュバック、一団体延べ二十泊以上、上限五万円の補助を宇部市が始めています。宇部市のユーピーアールスタジアムや俵田翁記念体育館を有した恩田スポーツ公園や屋根付の夜間照明もある中央公園テニスコート、武道館やサッカーコートなどが紹介されています。 そのほか、本県のきらら博記念公園には、室内の水泳プール、サッカー・ラグビー場、スポーツ広場、ビーチ広場など、すばらしい公共施設が充実しているほか、民間においても、周防大島グリーンステイながうら、湯田温泉の西の雅常盤、COCOLAND山口・宇部、柳井グランドホテル、湯本ハイランドホテルふじ、玉仙閣など、宿泊施設においては、テニス、バドミントン、バスケット、卓球、柔道、剣道、フットサル、野球、ラグビーなど、様々なスポーツができるコートや体育館、グラウンド、運動施設が併設あるいは近隣にあるなど、スポーツ合宿に適した環境にあります。 こうした誘致の取組は、各市町の自治体だけで行うのではなく、県全体の大きな取組として行うべきだと考えております。 県内のスポーツ施設の一覧が一目で分かるサイトの作成、各大学へのPR活動、ダイレクトメール、旅行会社への売り込み、宿泊者、来県者への支援など、県が総出を上げて取組を開始し、一団体、二十名、三十名と増やしていくことで、本県の観光産業の発展にもつながり、経済復興の起爆剤になると考えます。 そこでお尋ねします。全国旅行支援が広がり、旅行・観光消費動向が回復傾向にある中、スポーツ合宿誘致に積極的に取り組み、本県の経済復興に努めるべきだと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、デジタル技術を活用した買物弱者支援についてお尋ねします。 二○一八年六月、農林水産省の発表によると、日本全国の買物弱者数は推計八百二十四万人に上り、十年前の調査から百四十七万人増加しています。 買物弱者は、従来の農村や山間部等の過疎地域だけではなく、特に高齢者の間で深刻化していると言われています。高齢になると、自分で車を運転する機会も減り、さらに免許証返納により遠方での買物が困難になるなど、高齢者は行動範囲が狭くなり、買物弱者となりがちです。若い世代であれば、徒歩や自転車で移動できますが、高齢者はそれも困難であります。若者にとって問題のない距離でも、高齢者にとっては大きな負担となります。 二○一六年の調査によると、六十歳以上の高齢者の一七%が日常の買物が不便と感じると回答されており、高齢者のおよそ五人に一人は、買物に何らかの不便を感じていることが分かっています。 経産省では買物弱者を応援するために、一、身近な場所に店をつくること、二、移動販売による家まで商品を届けること、三、バスや乗合タクシーなどによる家から出かけやすくすることを推奨しており、本県や市町でも、これまで買物弱者支援に精力的に取り組まれていますが、なかなか解消に至っておりません。 そこで、近年注目されているのが、デジタルの活用による買物弱者支援であります。 三年目を迎えるコロナの影響で、消費生活にも変化が出てきました。スマホやパソコンで非接触型の買物をする人も多くなり、様々な業界でEC、電子商取引販売が伸びています。コロナ以前からの傾向もありましたが、この三年で一層進んだという状況です。 例えば、デジタルサイネージ商店であります。これは、ディスプレーやプロジェクターなどの表示装置を使い買物をしていただくことができます。自動販売機をイメージすると分かりやすいと思いますが、大きく実物大で商品が表示され、高齢者にも分かりやすく買物が可能です。 こうした取組は、昨年十月から十二月にかけて、東京都八王子市が地場スーパーと手を組み、実証実験が行われています。こちらの実験場所は、地域の集会所でしたが、設置場所に制限はなく、長野県では病院内の売店、埼玉県ではデイサービス施設内や事業所の店舗内など、広がりも見せているようです。 今、デジタルサイネージ商店を紹介しましたが、鳥取県では、介護予防の一環として、高齢者のインターネットを使った買物支援にも取り組んでいます。IT企業と連携して方法や課題を検証し、将来的なサービス展開に向けて試行を続けています。 高齢者が介護予防の福祉施設を訪れると、体操に汗を流した後、スタッフと一緒に果物や乳製品、日用品の写真が並ぶ画面をパソコンで選びながら注文します。商品は一週間後に教室に届き、教室の送迎サービスに合わせて商品も自宅前まで運んでもらうシステムになっています。 そのほか、従来からのネット通販もありますが、高齢者にとってパソコンやスマホは非常にハードルが高く、IDやパスワードの話をしただけでそっぽを向かれ、理解が進みません。手助けをする人をつけることで高齢者も安心して操作することができます。 買物弱者対策といっても、中山間地域や各家庭のすぐそばにスーパーをつくったり、バスや乗合タクシーなど公共交通機関を通したりすることは容易ではありませんが、デジタルを活用することで物理的な距離を縮め、手軽に買物支援を実現することができます。 特に、公民館やふれあいセンター、福祉施設、公園など、高齢者が日常的に集まる場所で買物もできるサービス機能をつなげていけば、そこが新しい暮らしの拠点にもつながるすばらしい取組だと考えます。 そこでお尋ねします。本県でも、買物弱者が増える中、特に高齢者や中山間地域の買物弱者支援として、デジタルを活用した取組が大変重要と考えますが、県はどのように取り組まれるのか、御所見を伺います。 次に、盛土等の規制強化に向けた今後の対応についてお尋ねします。 盛土が原因で、災害関連死一名を含む計二十七名の方々がお亡くなりになり、多数の家屋に甚大な被害が生じた静岡県熱海市の大規模土石流発生から、はや一年以上が経過しました。改めてお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りするとともに、被災地の一日も早い復興を祈るばかりであります。 このような痛ましい災害が発生したことを受け、国は宅地造成等規制法を法律名・目的を含めて抜本的に改正し、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準により包括的に規制を行うこととし、本年五月に宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法を成立させました。 私たち公明党も、熱海市での土石流災害発生の直後から、全国の盛土の総点検や規制強化を政府に訴えており、今回の法律改正については大いに評価しております。 今回の改正法には、盛土等に伴う災害の防止に向けた措置として、隙間のない規制、盛土等の安全性の確保、責任の所在の明確化、実効性のある罰則の措置の四点が盛り込まれています。現在、来年にも予定されている法施行に向けて、国、地方公共団体双方で準備が進められている最中だと思います。 このような中、九月末に、国は盛土規制法に関する基本方針の案を公表しました。この方針案には、各地方公共団体が的確に法律の運用を行えるよう、国土全体にわたる盛土対策の包括的な考え方や基礎調査の実施方法、規制区域の指定の考え方等が示されています。今後は、この方針に沿って、県としても盛土等の規制強化に向けた対応をしていかなくてはならないと考えます。 私の地元である宇部市でも、一昨年に盛土で造成された団地で地滑りが発生し、家屋の倒壊や市道が崩壊する被害が生じたこともあり、私自身、盛土に関する質問を代表質問や一般質問の場で行ってまいりました。 昨年、県では、国の点検要領に基づき、二百一か所の盛土を点検され、その全てで安全性が確保されていることを確認していますが、今後、新たに盛土が造成されることも想定されます。県民の安心・安全を確保するためにも、改正法の施行に向け、対応には万全を期す必要があります。 そこでお尋ねします。盛土規制法が成立し、国が規制法に関する基本方針の案を示すなど、盛土等の規制強化に向けた動きが進む中、今後県としてどのように対応していかれるのか、お考えをお伺いいたします。 最後に、上関原発建設計画についてお尋ねします。 建設予定地である公有水面の埋立免許の期間伸長について、十月二十五日に中国電力から県に対して期間伸長に必要な許可申請が提出され、知事は、十一月二十八日に期間伸長の許可を決定されました。 この許可の手続については、昨日の代表質問における知事答弁にあるように、県としても公有水面埋立法に基づき、あくまでも法との整合性を慎重に審査し、客観的に判断されたものであり、知事としては法に基づき、適切に対処されたものと考えます。 また、この代表質問で、今後の対応について問われた答弁の中で、知事は、上関原発建設計画については、国のエネルギー政策と地元上関町の政策選択を尊重する方針を堅持されることを改めて示されました。 私ども公明党会派としては、上関町のまちづくりは、まずは何より地元自治体の考え方を尊重することが重要と思います。 地元上関町においては、十月二十三日に行われた町長選挙で当選された西哲夫町長が、翌々日、二十五日に開催された臨時町議会において、選挙戦では主義主張は違いましたが、ノーサイドの精神で、お互いいかにして活力と安心して住みやすいまちづくりをするか願う気持ちは同じと思っていますと述べられた上で、国や県に上関町の声をしっかりと届けることも私に課せられた使命だと思っていますと言われ、まちづくりへの西町長の強い思いを感じるところであります。 そこでお尋ねします。この西町長の思いに、知事はどのように対処されるお考えか、御所見をお伺いして、以上で私の一般質問を終わります。 御清聴大変にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、上関原発建設計画についてのお尋ねにお答えします。 エネルギーは、国民生活の安定向上並びに国民経済の維持・発展に欠くことのできないものであり、エネルギー政策は国家運営の基本です。 このため、原子力発電をどうするかについては、安全性・信頼性の確保を大前提に、国の責任において判断されるべきものと考えており、その判断については、国民の理解が得られるよう国が前面に立って取り組んでいただきたいと考えています。 また、国策である原発の立地については、県に権限が与えられていない中で、地方自治の原則から見て、住民に最も身近な地元市町の政策選択や意向を尊重すべきであると考えています。 お尋ねの上関原発については、地元上関町は町議会の議決を経て原発誘致を決定し、昭和六十三年九月に町長が中国電力に対し、原発誘致の申入れをされているところです。 このような経緯等を踏まえ、私は、上関町におかれては、原発立地によるまちづくりを進めたいという政策選択がなされていると理解しており、その政策選択は、これまで変わることがなかったと認識しています。 こうした中、このたびの町長選挙で当選された西町長からは、当選直後の臨時議会において、お示しのような発言とともに、柏原町政の継続に取り組んでいく旨の発言もあったとお聞きしています。 私としては、まちづくりに対する西町長の思いもしっかりと受け止めながら、上関原発計画に対しては、これまでと同様、地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するとともに、県民の安心と安全を守るという観点から適切に対応してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)出産・子育て支援についてのお尋ねにお答えします。 核家族化が進み、地域のつながりが希薄となる中で、全ての妊婦・子育て家庭が地域で安心して出産、子育てができる環境を整備していくことは重要です。 こうした中、国においては、令和四年度第二次補正予算において、伴走型相談支援と経済的支援を一体的に実施する、出産・子育て応援交付金が創設されたところであり、県としても、市町の取組が円滑に進むよう、今議会に所要の経費を計上したところです。 県では、これまでもやまぐち版ネウボラの推進による相談支援体制の充実や、子育ての相談に二十四時間三百六十五日対応する、子育てAIコンシェルジュの構築に取り組んできたところであり、今後、市町が行う伴走型相談支援の実効性が高まるよう、これらの取組をさらに充実することとしています。 具体的には、まず、やまぐち版ネウボラの推進については、育児相談に加え、妊娠・出産等の相談にも対応する、まちかどネウボラを現在の八十五か所から令和六年度までに百か所まで増やすことで、利便性を高め、より身近な場所で相談できる環境づくりを進めてまいります。 また、妊婦等に寄り添ったきめ細かな支援が継続的に実施されるよう、研修会等の開催を通じ、優良事例の共有を図るなど、相談対応の質の向上に取り組んでまいります。 さらに、子育てAIコンシェルジュについては、多様化する相談にも対応できるよう、問答例の改善など必要な見直しを行うことで、相談対応機能の充実を図り、市町が行う対面による相談支援と相まって、子育て家庭等がいつでも気軽に相談できる環境づくりを進めてまいります。 県としましては、全ての妊婦・子育て家庭が安心して子供を産み育てていけるよう、市町と連携し、出産・子育て支援の充実に、引き続き取り組んでまいります。 次に、ヤングケアラー支援についてのお尋ねにお答えします。 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで本人の生活や教育に影響があることから、学校や福祉サービス提供事業者、行政機関等が緊密に連携を図りながら、早期に把握し、適切な支援につなげることが重要です。 このため、県では、必要な支援の在り方を検討するため、学識経験者や福祉、教育、市町等の関係機関で構成する会議を設置し、本年七月、本県独自に実態調査を実施したところです。 調査の結果、家族の世話をしていることで学校に行きたくても行けない、進路の変更を考えざるを得ないなど、深刻な影響が出ている子供がいることが確認されました。 また、こうした子供には、学校の欠席や遅刻、忘れ物が多いなどのサインが現れることや、話を聞いてほしいが相談先が分からないという悩みがあることも明らかとなりました。 県としては、今回の調査で明らかとなった実態を踏まえ、今後、早期に把握するための仕組みづくりや相談しやすい体制づくりなど、適切な支援につなげる取組を一層強化してまいります。 具体的には、まず、早期に把握するための仕組みづくりに向けては、支援が必要な子供を見逃すことのないよう、子供に身近な学校の教職員や地域で見守り活動を行う方々などを対象として、学校生活等に現われるサインにいち早く気づくための着眼点等を学ぶ研修に取り組んでまいります。 また、相談しやすい体制づくりに向けては、子供が置かれている状況に応じ、福祉、介護、医療、教育など多岐にわたる相談に適切に対応できるよう、ヤングケアラーに関するワンストップの相談窓口の設置について検討します。 さらに、実効ある支援が切れ目なく行えるよう、市町や学校等の関係機関間で支援事例の情報共有を図るなど、多機関連携による支援体制を構築するとともに、地域において適切な福祉サービスにつなぐ人材の育成に努めるなど、社会全体で支える環境づくりを進めてまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、市町や関係機関等と連携しながら、今後とも、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)スポーツ合宿の誘致についてのお尋ねにお答えします。 旅行客のニーズが多様化する中、スポーツの参加や観戦、合宿等に合わせて、地域での観光も楽しむスポーツツーリズムの推進は、交流人口の拡大や地域の活性化を図る上で大変重要です。 このため、これまで東京二○二○オリンピック等において、県内のトレーニング施設等のガイドブックを作成し、合宿誘致に向けたPRを進めるとともに、サイクリストの誘致に向け、宿泊施設等の受入れ環境を整備するなど、スポーツを活用した誘客促進を図る取組を推進してきたところです。 こうした取組をさらに進め、一層の交流人口の拡大を図る観点から、県では、現在策定中のやまぐち未来維新プランに、スポーツと観光を結びつけたスポーツツーリズムの推進を盛り込み、積極的に取り組むこととしています。 具体的には、山口きらら博記念公園やセミナーパーク等の県立施設において、学生等に対する施設利用料や宿泊料の減免を行うとともに、スポーツ交流村においては、学生向けの安価でモデル的な合宿プランを提供するなど、スポーツ合宿の誘致に向けた取組を進めてまいります。 また、新たにスポーツ合宿に利用可能な施設等の情報を県のホームページや観光情報誌に掲載し、広く周知を図るとともに、様々な機会を捉えて、こうした情報を県内外の旅行会社等にも提供することにより、スポーツツーリズムの推進に向けた本県の認知度を高めていくこととしています。 さらに、スポーツを目的とした宿泊を伴う大規模な大会等に対しては、関係市町と連携し、開催に要する経費の一部を助成することとしており、これにより、本県へのスポーツイベント等の一層の誘致拡大につなげてまいります。 県としては、市町をはじめ関係機関等とも緊密に連携を図りながら、本県の交流人口の拡大や地域活性化に向け、スポーツ合宿の誘致等によるスポーツツーリズムの推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)デジタル技術を活用した買物弱者支援についてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進行や地元小売店の廃業等により、過疎地域のみならず都市部においても、高齢者を中心に買物弱者が増加しており、その対策は社会的な課題となっています。 このため、県では、高齢化が急速に進む中山間地域を中心に、生活店舗が撤退した地域での新たな店舗開設や路線バス等を代替・補完するデマンド交通の運行など、市町や地域が主体となった買物弱者対策の取組を支援しています。 こうした中、民間事業者によりネット通販などの取組が行われていますが、インターネットでの注文は高齢者にとってハードルが高く、普及が進まない要因となっています。 デジタル技術は、地域が抱える様々な課題を解決するための鍵となるものであり、買物弱者対策についても積極的に活用することが有効ですが、それと同時に、デジタルに不慣れな高齢者等をサポートする環境づくりが重要です。 こうした考え方を踏まえ、このたび、改定の素案を取りまとめた山口県中山間地域づくりビジョンでは、地域の暮らしサポート促進プロジェクトに買物弱者対策を掲げ、デジタル技術を活用した取組を促進することとしています。 具体的には、現在、市町や民間事業者と連携し、高齢者に寄り添いながら、道の駅を核としたスマートフォン等による買物支援などの仕組みづくりや、タブレット端末を用いた買物代行等の実証実験を進めており、引き続き、こうしたモデルづくりに努めていきます。 また、通信事業者と連携したデジタルディバイド対策として、スマートフォンによるキャッシュレス決済の体験教室など、デジタル機器の活用に不安のある高齢者等がデジタルの利便性を体感し、その活用につなげる取組も促進することとしています。 さらには、こうした取組の成果や課題の検証を行い、お示しの地域の集会所と連携した事例なども踏まえながら、高齢者等にも利用しやすい買物支援の検討を進め、市町や意欲ある地域での取組事例の創出や、構築されたモデルの横展開を図っていきます。 県としては、市町や地域団体、民間事業者など多様な主体との緊密な連携の下、デジタル技術を活用した買物弱者対策に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)盛土等の規制強化に向けた今後の対応についてのお尋ねにお答えします。 近年、記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化しており、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、土砂災害対策などの防災・減災対策は極めて重要です。 このため、県では、これまでハード対策として、土砂災害の発生を防止する砂防関係施設や治山施設などの整備に取り組むとともに、ソフト対策として、住民の円滑な避難行動につながる土砂災害警戒区域等の指定や、ため池マップの作成などを進めてきたところです。 こうした中、昨年七月、静岡県熱海市において盛土が崩壊し、発生した土石流により多くの方の貴い命が奪われました。 この事案を受けて、県では、国や市町との連携の下、昨年十一月までに県内二百一か所の盛土の点検を行い、全ての盛土について安全性が確保されていることを確認し、公表しました。 また、こうした取組に加えて、危険な盛土が行われることなどを未然に防止するため、全国知事会の緊急要望等を通じて、法制化による全国統一の基準・規制を早急に設けることなどを国に求めてきたところです。 この要望も踏まえ、国において、本年五月に国土交通省と農林水産省の共管法として、宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法を公布、九月末には基本方針等の案を公表し、現在、来年五月までの法施行に向け、政省令などの具体的な運用について検討されているところです。 こうした国の動きを受け、県では、速やかに盛土等の規制強化を図るため、法施行に先駆けて、今年度から、盛土等の規制区域の指定に向けた基礎調査に着手することとしました。 この調査は、土地利用や地形等の状況を総合的に勘案して、規制する区域の候補を抽出するもので、約一年を要すると見込んでおり、調査完了後は、市町への意見聴取等の法定手続や県民への周知等を行った上で、令和六年度中には規制区域の指定を完了させる考えです。 また、規制区域の指定後は、区域内で行われる一定規模以上の盛土等について、許可手続等の中で安全性を確認するとともに、区域指定前に行われた盛土等についても継続的に状況を把握し、危険な盛土等を確認した場合には、土地所有者等への是正指導や改善命令などを行うこととなります。 県としては、県民の安心・安全を確保するため、こうした盛土等の規制強化に向けた取組を着実に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)発達障害のある子供の学習支援についてのお尋ねにお答えします。 発達障害を含む障害のある生徒が、高校入学後、主体的に学習活動等に取り組み、将来、自立と社会参加を果たすためには、一人一人の教育的ニーズに応じた適切な指導や支援を行うことが重要です。 このため、県教委では、県立高校七校を特別支援教育を推進する拠点校として位置づけ、専門性の高い教員を配置して、地域内の高校への相談支援を行っています。 また、全ての高校で通級による指導を希望する生徒やその保護者に適切に対応できるよう、教育課程の編成や教務規定の見直しを行うなど、校内体制を整備しているところです。 こうした取組の実効性をより高めていくためには、通級による指導の一層の充実を図るとともに、全ての教員の資質向上の取組を進めていく必要があります。 このため、通級による指導の充実に向けては、担当教員向けガイドブックの活用を図るとともに、生徒や保護者へのきめ細かな情報提供による理解促進に努めてまいります。 また、教員の資質向上に向けては、発達障害のある生徒への具体的な指示や発問の仕方などを学ぶセミナーを新たに高校で開催するとともに、外部の専門職を講師とする教員研修を実施するなどにより、全ての授業において障害の特性に応じた指導方法の工夫・改善を図っていくこととしています。 こうした取組に加え、各高校ではふれあい教育センターや総合支援学校に設置している特別支援教育センターなどの関係機関と連携し、学習教材や教室環境の工夫等の助言を得ながら、一人一人に応じた学習支援の充実につなげてまいります。 また、進学や就職に当たっては、支援情報を引き継ぐための重要なツールである個別の教育支援計画を活用し、義務教育段階から高校卒業後までの切れ目ない支援に取り組んでまいります。 県教委といたしましては、今後とも、発達障害のある子供が意欲的に学び、安心して学校生活を送ることができるよう、学習支援のさらなる充実に努めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十四分休憩