1 公共交通政策について 2 その他
副議長(二木健治君)合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志です。通告に従いまして、公共交通政策について一般質問を行います。 その一は、県の役割についてであります。 マイカーの普及が進んでいる今日の時代においても、バス、電車、鉄道、タクシー等の公共交通は、地域社会にとって必要不可欠であります。 十八歳未満の青少年は、自動車の免許を持てませんし、高齢者で七十五歳以上になりますと、自動車の免許を持たない人の割合は本県では六四%でして、県総人口において自動車の免許を持たない人の割合は三二・四%であります。 こういう人たちにとって、生活上必要な移動手段としての公共交通を適切に確保していくことは、自動車による移動のために道路を整備していくのと同様に、政治行政が果たしていくべき責務であります。 我が国では、国鉄の民営化もあり、どちらかというと交通に関する事業は、公営ではなく民営で行うのが妥当と考えられ、公営だった地方バスもそのほとんどが民営化されるか民間事業者に移譲されてきました。 一方、車の保有も、一軒に一台から一人一台へと増加が続く中、公共交通の利用は減少が続き、公共交通を守っていくためには公的関与が求められるようになり、そのための法的フレームとして、国は平成十九年に地域公共交通活性化再生法を、平成二十五年には交通政策基本法を制定いたしました。 この交通政策基本法は、第二条において、交通に関する施策の推進は、国民その他の者の交通に対する基本的な需要が適切に充足されることが重要であるという基本的認識の下に行われなければならないと明記し、全ての国民の交通に対する需要の充足を重視する方向で、交通に関する施策を推進することを基本理念の一つとして位置づけ、国や地方公共団体の責務を定めています。 地方公共団体とは、都道府県及び市町村のことですが、平成の時代におけるこうした交通に関する法の制定においては、公共交通に関する地方公共団体の施策は、主に住民に密着している市町村が担うものと想定されていたように思われます。 それが、令和の時代となり、令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法においては、市町村と共に都道府県の役割を重視する方向での法改正が図られました。 このことは、公共交通はネットワークとして個別最適ではなく、広域的に全体最適の在り方が追求されるべきと考えることから、妥当な方向での法改正だと見ています。 こうした法改正を受けて、県も県下の市町と共同の当事者として、望ましい公共交通の確立に向けて、どう関与し役割を果たしていくのか、明確にしていかなければなりません。 そこで三点お伺いいたします。 まず、公共交通政策の県政における位置づけについてであります。全ての県民に交通に対する基本的需要の充足が図られるよう公共交通を確保整備していくことは、道路整備と同様に県政における重要な政策課題であると考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 次に、県民にとって望ましい公共交通の確立に向けて、県はどのように関与し、役割を果たしていくお考えなのか、所見をお伺いいたします。 第三点は、やまぐち未来維新プランにおいて、本県の公共交通政策の方針も示すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、さきの質問と関連することでありますが、県として地域公共交通計画、すなわち山口県地域公共交通計画の策定に取り組むべきとの趣旨で質問を行います。 私は、令和元年九月県議会で、交通政策についてということで一般質問を行い、交通はネットワークとして機能するものであり、全体最適が図られるべきことに留意すれば、まず県全体の大綱的な交通計画があって、それと整合する形で各市町の個別的交通計画が作成されるというのが望ましいということで、山口県総合交通計画の策定に取り組むことを提案いたしました。 これに対し、県下の各市における計画は、隣接市町との交通ネットワークについても考慮し策定されていることから、全県的な交通ネットワークの形成を目的に、山口県総合交通計画を策定することは考えていない旨の答弁がありました。 この質問当時は、令和二年の地域公共交通活性化再生法の改正以前でありましたので、国は市町村に対しては、地域公共交通網形成計画の策定を求めていましたが、都道府県に対してはそのことを求めていませんでした。したがって、そのことを踏まえての答弁であったと理解したところです。 それが、令和二年の改正で、地域公共交通網形成計画は地域公共交通計画と名称も改められ、より実効性ある計画として策定することが、全ての地方公共団体に努力義務化されました。 地方公共団体は、都道府県と市町村のことでありますので、山口県も県としての地域公共交通計画の策定に取り組むことが努力義務としてあることになりました。 このことを受けて、山口県地域公共交通計画の策定に取り組むかどうか、村岡知事の判断が問われることになりますが、私はぜひ取り組むべきだと考えます。 以下、その理由を申し上げます。 その一は、国の公共交通に関する施策が都道府県にも公共交通計画策定の努力義務を課し、そうすることが望ましいとの考えに立って推進されるようになってきていることであります。 このことは、令和二年の活性化再生法の改正に伴い、国交省が今年の三月に示した地域公共交通と乗合バスの補助制度の連動化に関する解説においても明らかであります。 この解説は、今後、乗合バスの運行費等に対する補助事業の活用のためには補助系統の地域の公共交通における位置づけや、補助事業の必要性等について、原則補助系統をまたがる全ての市町村の地域公共交通計画、または都道府県の地域公共交通計画に記載が必要であり──中略しまして──特に、幹線系統については、都道府県の計画への位置づけも想定しており、今後は都道府県による計画作成も重要となりますと述べています。 その二は、県づくりと県の公共交通計画は密接不可分と思われるからであります。 私は、先般十一月十日、岡山市に両備グループ代表の小嶋光信氏を訪ねました。 両備グループは、交通・物流部門、ICT部門、まちづくり部門等々四十四社一組合からなる岡山県を代表する企業グループであります。 そのグループ代表の小嶋氏は、自らバス、路面電車、タクシー等の公共交通の事業経営に当たるとともに、地方交通再生の請負人とも言われるほどに、全国各地の危機に瀕したローカル鉄道や地方バス等の再生を成し遂げる一方、国における交通政策基本法や地域公共交通活性化再生法の制定・改正にも大きな影響を与え貢献しています。 また、公共交通に関する優れた研究者、有識者、実務者を構成メンバーとする地域公共交通総合研究所を設立して、自ら代表となり、公共交通に関する調査・分析・コンサルティング等を行うとともに、同研究会のメンバーは、国における交通政策の検討会等の委員にもなり寄与しています。 私は、親しくしている方が小嶋氏と慶應義塾大学の同窓で友人であることから小嶋代表を知り、訪ねまして、両備グループ本部の応接室で話を伺いました。 そこで小嶋代表が強調されたことの一つは、公共交通は単に生活上必要な移動を確保するための手段の域にとどまるのではなく、住民の生活の質を高める地域づくり、まちづくりに資するものでなければならないということでした。 そして、欧州連合(EU)が策定いたしました都市交通計画の指針が、脱炭素、国民の健康、都市の交通安全を政策目標に掲げ、生活の質、QOLに焦点を当てた人に優しい計画になっていることを紹介され、日本もこれに学び、その上で日本型の望ましい公共交通の確立を目指すべき旨、語っておられました。 平成十九年に制定され、平成二十六年及び令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法は、まちづくり、地域づくりと公共交通の連携を実効あるものにするために制度環境を整えてきています。 そこで、欧州での取組や日本各地の先進事例等も参考にして、本県がある意味、全国のモデルとなる地域公共交通計画の策定に取り組むことを期待するものであります。 理由のその三は、県の公共交通計画において、本県のローカル鉄道を明確に位置づけることが、そのローカル鉄道を守り活用することにつながると思われることであります。 御案内のように、JR西日本は、今年の四月に輸送密度二千人未満の線区においては、地域と輸送サービスの確保に関する議論や検討を行う方針を公表しました。 また、七月には国の有識者検討会が、輸送密度が千人未満のローカル線は、利便性及び持続可能性が損なわれている危機的な状況の線区であるとして、国の主体的な関与により、都道府県を含む沿線自治体、鉄道事業者等の関係者からなる協議会を設置し、廃止ありき、存続ありきといった前提を置かずに、協議する枠組みを創設することが適当である旨、提言いたしました。 本県では、輸送密度が千人未満の線区は、山陰線の益田─長門市区間と長門市─小串・仙崎区間、山口線の宮野─津和野区間、小野田線の小野田─居能区間、美祢線の厚狭─長門市区間の四路線五区間ありまして、提言に沿って法整備が図られますと、これらの線区については、存廃も含め今後の在り方に関して議論を深め、方針を見出すための公的な協議会が設けられることが予想されます。 こうした事態を受けて、沿線自治体及び山口県市長会は、県に対してJRローカル線の維持・確保に向けた支援を要望し、県のリーダーシップへの期待を表明しています。 また、有識者検討会は提言の中で、国・地方自治体・鉄道事業者の責務について触れ、特に、都道府県については、各市町村の区域を超えた広域的な見地から、一層大きな役割を果たすべきであると指摘しております。 このような期待や要請に応え、役割を果たすには、県は公共交通に関して調整の域に甘んずるのではなく、全体的な構想、ビジョン、計画を持つ必要があるのではないでしょうか。 以上申し上げました理由から、山口県地域公共交通計画の策定に取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 質問の三は、コミュニティー交通への支援についてであります。 山口市は、歴史もあり、文化もあり、豊かな自然もありの適度に都会、適度に田舎のいい町で、転勤族で山口に住まわれた方で定年退職後、山口市に住もうという方も多いようです。 ただ、山口市の難点は、車が運転できなくなると一気に不便な町になることで、これへの対策が山口市にとって大きな課題であります。 山口市における基幹の公共交通は、市内を走るJRの各線と路線バスでして、コミュニティーバスやコミュニティータクシー等がこれを補完して、交通空白地の解消を図ろうとしています。 県下の市町でも、ほぼ同様の取組がなされていると思われるので、山口市の公共交通への取組を取り上げて、交通空白地解消の一環としてのコミュニティー交通への支援につきお伺いいたします。 山口市の令和四年度予算における公共交通に関する事業費は、幹線バス運行維持事業二億一千五百万円、二ルートのコミュニティバス実証運行事業六千六百万円、徳地・阿東地区の生活バス運行事業六千二百万円、市内八地区でのコミュニティタクシー運行関連事業六千万円等であります。 これらの事業のうち幹線バス運行事業に対して、県から約三千万円余の補助がありますが、それ以外は市の一般財源であります。 これらの事業費の八○%は、特別交付税措置の対象になるとはいえ、市としては財政規律を維持する観点から、公共交通への支出も一定の大枠の範囲内となります。 このため、コミュニティータクシーにおいては、運行経費の七割は市の補助の限度で、残りの三割は運賃収入と運行地区の企業等の協賛金、そして、地元負担金を充当する仕組みとなっております。 ある地区では、この地元負担金が年間約百万円にもなる見通しということで、それをどう確保するか苦慮しています。 こうした交通空白地域解消に向けた取組の実情を知るにつれ、交通政策基本法において、全ての国民の交通に対する需要の充足を重視する方針が示されているものの、そのことを実効あらしめる仕組みの構築と財源の確保は、今日においても大きな課題としてあることを感じます。 路線バスやコミュニティーバス等の基幹交通が近くを運行していない交通空白地域の人たちにとって、車が運転できなくて身近に車に乗せてくれる人がいない場合は、移動手段はタクシーになると思われます。 地域をきめ細かくカバーし、地域の中心地や基幹交通に接続する移動手段をコミュニティー交通と言いますが、その役割を主に担っているのはタクシーであります。 しかし、通常の料金でタクシーを頻繁に利用することは過重負担になるため、公的補助により、バス運賃並みでバスの代わりにタクシーを運行するコミュニティータクシーや、タクシー利用への割引券の交付などにより、タクシー利用の負担軽減を図ることがコミュニティー交通では必要となり、そのための財源確保が課題であります。 そこでお尋ねです。その一は、コミュニティー交通への県の支援についてであります。 コミュニティー交通を必要とする地域の多くは過疎地域であり、運賃収入はどうしても僅かで、運行経費の大部分は公的補助になります。この公的補助に関しては、現在本県では県の補助は行われておらず、関係市町が一般財源から充当しています。 この市町の補助金に対しては、最大で八○%が特別交付税措置の対象になりますが、県がコミュニティー交通支援のために補助した場合も同様の措置がなされることを確認しました。ついては、県も一定の方針を定めて、コミュニティー交通への支援を行い、コミュニティー交通の拡充を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 その二は、ICカードの導入についての支援であります。 県は、ICカードの導入について、バスへの支援を行っていますが、タクシーに対しては支援がないようであります。コミュニティー交通を担うタクシーにおいても、ICカードの導入が進むことが望まれます。ついては、バス同様、タクシーに対してもICカード導入への支援を行うべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 その三は、国への要望についてであります。 コミュニティー交通への国の補助は、既に運行しているところに対してはなく、新たに運行を始めるところに対して措置される制度となっています。 このことに関し市町の関係者からは、既に運行しているコミュニティー交通に対しても国の補助があるよう県から要望してほしい旨の声があります。ついては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 質問の四は、コロナ禍の公共交通事業への影響と対策についてであります。 さきに紹介しました小嶋氏が代表を務める地域公共交通総合研究所は、コロナ禍における地域公共交通の現状を知るために、全国のバス・鉄軌道・旅客船事業者約五百社に対してアンケート調査を実施し、その調査結果を今年の八月に発表しています。 それによりますと、一、輸送人員の減少は、三割以上の落ち込みがある事業者が三割を占める。二、公的補助・支援がないと一割の事業者が半年以内に経営の限界、二年以内に八割は経営の限界が来ると予想。三、コロナ禍に追い打ちして燃料高と乗務員不足が経営を大きく圧迫。四、コロナ禍対応に五割は路線廃止と減便で対応しており、将来の路線維持・経営維持への不安が高まっている。六、今後もリモートや社会生活の変化で、コロナ禍以前の利用客数には、一ないし二割は戻らないと懸念される。等々、新型コロナが地方公共交通の危機を加速させた状況が明らかになっています。 同研究所が、こうした地方公共交通の危機を救う緊急対策として、一、人流制限緩和の継続と両立するコロナ禍対策の実施。二、コロナ禍の累積損失に対する補助・支援。三、雇用調整助成金やコロナ禍対策の政府や自治体の支援継続。四、長期かつ無利子の金融支援の拡充。五、燃料費補助の緊急支援。六、乗務員不足に対する対策を提言しています。 公共交通を守るためには、公共交通の事業経営が持続可能であることが必須であります。そういう意味において、以上の提言はコロナ禍で危機に瀕する地方公共交通を守るため、国や地方自治体が直ちに実施すべき必要不可欠の事項であると思われます。 なお、この調査対象には、タクシーは含まれていませんが、コロナ禍のタクシーへの影響も深刻で、ダメージはもっと大きいと見られています。 そこで、タクシーも含めての公共交通事業についてのお尋ねであります。 まず、本県におけるコロナ禍の公共交通事業への影響をどう認識しているのか、お伺いいたします。 次に、コロナ禍による深刻な影響を克服して、本県の公共交通事業者が事業継続を図っていくためには、さきの提言に示されているような支援が必要と考えます。ついては、こうした支援の実現に県はどう取り組んでいくのか、御所見をお伺いいたします。 質問の五は、公共交通政策における大学との連携であります。 私は、さきの六月県議会において、大学は今日、地域との連携・貢献を自らの役割として位置づけ、地域課題の解決に、大学が有する知見や機能を役立て生かしていこうとしていることを指摘して、大学等の連携を一層進め、県政の地域課題解決の総合力を強化すべき旨、質問いたしました。 この質問に対して村岡知事より、新たな未来の県づくりを、より高いレベルへと押し上げていけるよう、今後とも県政各分野で展開する様々な施策において、大学との連携・協働を積極的に推進する旨の答弁がありました。 この答弁にあります、県政各分野の様々な施策において大きな柱の一つとなるのが、公共交通政策であると考えます。 さきに、未来維新プランにおいて、公共交通政策の方針を示すべきだと申し上げて、所見を伺ったのはそういう考えからであります。 この公共交通政策は、バス、鉄道、タクシー等の公共交通事業が、多種多様なニーズに応えるとともに、事業として成り立ち、持続可能性が担保される方向で施策の展開を図るものでなければなりません。 そのためには、多種多様な需要動向把握の方法を確立し、需要動向に関するビッグデータを解析して、持続可能な事業モデルを確立する。LRTやBRTに関する調査検討、自動運転等の移動手段の進化及び実用化の将来予測、公共交通におけるウーバー的手法活用の検討、デジタル技術・ICTを活用した最先端の交通システムの確立に向けた取組等々、素人の私が思いつくだけでも、極めて幅広く優れた知見が求められるのが公共交通政策であり、大学と連携して取り組むにふさわしい課題と思う次第であります。 具体的な連携の在り方は、県と大学関係者とで協議すればいいと思いますが、県には、調査研究、先進地視察、シンポジウムの開催等に大学が主体的に取り組めるよう十分にして必要な予算措置を講ずることが望まれます。 そこでお尋ねです。新たな未来の県づくりに向けて、重要な政策の柱の一つとなる公共交通政策の確立と推進において、大学との連携を一層進めるべきと考えますが、このことにつき御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終わります。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは、公共交通政策に関する県の役割についての三点のお尋ねにまとめてお答えします。 バスや鉄道などの地域公共交通は、通勤や通学、通院など、県民の日常生活はもとより、地域活性化や観光振興などの面からも大変重要な役割を果たしています。 しかしながら、人口減少や少子高齢化の進展等に加え、長引くコロナ禍の影響により、本県においては、公共交通機関の利用者が減少し、バス路線の廃止や減便が進行するなど、地域公共交通を取り巻く環境は極めて厳しい状況にあります。 私は、安心で希望と活力に満ちた山口県を築いていくためには、その基盤をなす地域公共交通の維持・活性化が、大変重要な政策課題であると認識しています。 この政策の推進に当たっては、県が地域の実情を最も把握し、まちづくりの主体でもある市町に対する適切な指導・助言を行うとともに、広域的な公共交通の維持・確保や利便性向上に向けた取組を一層促進する役割をしっかりと果たす必要があると考えています。 こうした考えの下、私はやまぐち未来維新プランにおいて、交流を活発化する交通ネットワークの機能強化や、快適で住みやすい生活環境づくりの推進を重点施策に掲げ、交流の拡大と生活交通の維持・活性化の両面から、総合的な交通政策を積極的に推進していくこととしています。 具体的には、交流の拡大に向けた一層の利便性の向上を図るため、バス等における交通系ICカードの導入をはじめ、デジタル技術を活用した新たなモビリティーサービスの導入や、公共交通情報のデジタル化・オープンデータ化などの取組を推進してまいります。 また、生活交通の維持・活性化を図るため、地域住民の日常生活に必要な生活バス路線や離島航路の確保対策に取り組むとともに、地方ローカル線の活性化に向けた利用促進などの取組を推進していくこととしています。 私は、今後とも、国や市町、交通事業者等と連携し、地域公共交通の維持・活性化に向け、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)公共交通政策に関する数点のお尋ねのうち、まず山口県地域公共交通計画の策定についてお答えします。 令和二年に改正された地域公共交通活性化再生法では、持続可能な運送サービスの提供を確保するため、地方公共団体が交通事業者等と連携して、最新技術等も活用しつつ、既存の公共交通サービスの改善・充実を徹底することが必要とされています。 このため県では、昨年三月に、法の趣旨に沿った法定計画の役割を担うものとして、学識経験者、国や市町、交通事業者の連携の下、多様化する地域公共交通の課題解決に向けた指針となる、新たな地域交通モデル形成に関する取組方針を策定したところです。 この取組方針には、法定計画に定めるべき地域公共交通の活性化及び再生に関する基本的な方針としての内容を盛り込んでおり、県内市町とその内容を共有しながら、持続可能で利便性の高い地域公共交通の実現に向けて取り組んでいるところです。 県としては、地域公共交通を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、引き続きこの取組方針が、法の趣旨に沿った法定計画としての機能を十分に果たしていくことを基本に、今後とも必要な改訂や検討を行ってまいります。 次に、コミュニティー交通への支援についての三点のお尋ねにお答えします。 まず、コミュニティー交通への県の支援についてです。 地域住民の日常生活を支える身近な移動手段として、コミュニティー交通の導入は有効な取組であり、各市町において、その運行への支援が行われているところです。 県としては、国制度に準じ、市町が新たにコミュニティー交通の運行を開始する場合に、その運行経費の一部を支援しているところであり、今後とも県内でコミュニティー交通の導入が一層進むよう市町の取組を支援してまいります。 次に、タクシーに対するICカードの導入支援についてです。 タクシーにおけるICカードやQRコード等によるキャッシュレス決済の導入については、これまでも国による補助制度などにより進められているところです。 県としても、感染防止対策の観点から、タクシー事業者がキャッシュレス決済を導入する経費に対し支援を行ってきたところであり、こうした取組により、現在、県内タクシー車両の約八割がキャッシュレス決済に対応しています。 次に、既に運行しているコミュニティー交通に対する補助に関する国への要望についてです。 県では、全国知事会等を通じて、国に対しコミュニティー交通への補助も含め、地域の生活交通を維持する取組に対する必要な財政支援を行うよう要望しているところであり、今後とも補助対象の拡大等に向け、国への働きかけを行ってまいります。 次に、コロナ禍の公共交通事業への影響と対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、本県におけるコロナ禍の公共交通事業への影響についてです。 コロナ禍の長期化に伴い、本県においても、バスやタクシーをはじめ地域公共交通の利用者が著しく減少し、交通事業者に甚大な影響を与えています。 今年度に入り、利用状況はバス、タクシー、フェリー、地域鉄道ともに一定の回復傾向にはあるものの、コロナ禍前の令和元年度と比べると六割から七割程度の回復にとどまっている状況です。 こうした状況に加え、燃料価格高騰等による影響が事業者の経営を大きく圧迫しており、地域公共交通は依然として厳しい状況が続いているものと認識しています。 次に、公共交通事業者が事業継続を図っていくための支援についてです。 県では、厳しい経営環境に置かれている公共交通事業者の事業継続を図るため、これまで事業者が実施する感染症対策の取組に対する支援や、原油価格高騰等の影響により大きな負担となっている燃料費や車両等の維持経費への支援を行っているところです。 また、資金繰り支援としては、県制度融資の経営安定資金に係る融資枠確保や、原油価格の高騰により売上げや利益が減少している中小企業の経営の安定を図るための資金を創設するなど金融支援の充実を図っています。 さらに、バスやタクシー事業者の運転手不足の解消を図るため、山口労働局や交通事業者等と連携して就職相談会を開催するなど、地域公共交通の担い手確保に取り組んでいます。 こうした取組に加え、全国知事会等を通じ、これまでも国に対して消費喚起策や資金繰り支援、さらに雇用維持・確保対策などの実施について要望をしているところです。 県としては、今後とも国や市町と連携し、コロナ禍により深刻な影響を受けている公共交通事業者の事業継続が図られるよう、必要な支援に取り組んでまいります。 次に、公共交通政策における大学との連携についてのお尋ねにお答えします。 地域の実情に応じ、将来にわたって持続可能な公共交通を実現するには、急速に進展するデジタル技術の活用や、新たなモビリティーサービスの導入等、様々な取組を効果的に推進していく必要があり、そのためには専門的知見を有する大学等との連携が重要です。 このため、県では、多様化する地域公共交通の課題解決を図るための検討委員会に、学識経験者として山口大学大学院教授に参画していただき、専門的な立場からの指導・助言を受けているところです。 また、県と交通事業者の連携によるバスロケーションシステムの実証事業に山口東京理科大学が参画するとともに、路線バス検索システムの構築に向けて、宇部市交通局と宇部高専との共同研究が行われるなど、大学等と連携した取組が進んでいます。 県としては、今後とも、公共交通政策の効果的な推進を図るため、専門的知見を有する大学等との連携・協働による取組を積極的に推進してまいります。 副議長(二木健治君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時十八分散会