1 故安倍晋三元内閣総理大臣の県民葬儀について 2 安全保障教育について 3 上関原発建設計画について 4 インクルーシブ社会の実現について 5 特別支援教育について 6 その他
議長(柳居俊学君)橋本尚理君。 〔橋本尚理君登壇〕(拍手) 橋本尚理君 私は自由民主党新生会の橋本尚理でございます。 まず、安倍晋三元内閣総理大臣の県民葬についてお尋ねをいたします。 十月二十五日、国会において、立憲民主党の野田元総理による安倍先生への追悼演説が行われました。総理経験者ならではの敬意の籠もった、大変よい演説であったと私も受け止めました。民主主義は言論による真剣勝負の闘いでありますが、その根幹として忘れてはならないのは、政敵に対する敬意であります。立憲民主党にも品位のある方がまだ少しは残っていたのだと安堵したところであります。 さて、去る十月十五日に安倍元総理の県民葬が厳かに執り行われました。御尽力をいただいた全ての皆様に深く感謝を申し上げます。 会場となった海峡メッセ下関には、四千人を超える方が参列され、また県下各地の会場にも多くの方が献花に訪れられ、中には、涙ながらに花を手向けられた方もおられたと伺っております。我々関係者はもとより、県民の皆さんにとって、凶弾に倒れられたという悲しい現実に気持ちの整理をつけ、やがて歴史に刻まれる安倍元総理の時代を胸にとどめるために、大切な場であったと感じているところであります。 そこでお尋ねをいたします。県民葬を実施されたことの意義について、改めて県はどのように受け止められておられるのか、お伺いをいたします。 次に、私は先月十八日、防衛省から、長年、戦没者の慰霊顕彰に献身的に尽力し、愛国心の高揚及び安全保障意識の啓蒙、さらに自衛隊の人材確保に寄与したとの事由で、海上幕僚長より感謝状を頂きました。そこで、その受賞に応えるべく安全保障教育についてお尋ねをいたします。 まず、現在の世界情勢はといいますと、新冷戦とも言える緊迫した様相を呈しております。ウクライナへの武力侵攻によりロシアと西側諸国との対立は決定的になっており、中国覇権主義は、G7を中心とした民主主義のシステムを敵視すらしております。さらに、北朝鮮はミサイル発射実験を頻繁に繰り返し、核実験の準備に入っているとも言われております。 核兵器保有国三国に囲まれている我が国は、いつ何どき、他国からの武力での侵略を受けても、何の不思議もない現状であり、これまでのように有事がないことを前提とした安全保障議論ではなく、常に有事を前提とした議論をしなければならない時期が来ており、平和ぼけに浸っている時間的余裕は全くないのであります。 そこで我が国は、米国をはじめG7諸国と歩調を合わせていかなければならないことは言うまでもありませんが、この緊迫した情勢の中で、自らも国家としての強靱さを備えていくことが必要なのであります。 安倍元総理が強いリーダーシップと真摯な外交で築き上げたインド太平洋構想・クアッド、日米豪印四か国協力により、アジア太平洋諸国との絆が深まり、戦争抑止力を強固にいたしました。ただ、我が国の独立と平和を守るには、先日有識者会議が提言された、我が国の軍事力の増強による抑止力の強化は当然として、我が国は私たち国民が守るという強い国家防衛意識を国民自身が持たなければならないのであります。 しかし、九月に、私が主催した日本郷友連盟中国ブロック研修会で、柳井市出身の航空自衛隊西部航空方面隊司令官、航空教育集団司令官などを歴任された廣中雅之元空将の講演を聞き、私の抱いている不安が的中をいたしました。 お話によると、戦後七十七年間、平和ぼけに浸り続けてきた日本人は、自国のために戦う覚悟はありますかという質問に、ありますと答えた人は一三・一%しかいなくなってしまったそうであります。 廣中さんは現在、大阪大学大学院招聘教授をされており、安全保障に関する講座を持っておられます。院生に、クラウゼヴィッツの「戦争論」を読んだことがあるかと尋ねると、三分の二に近い院生が読んだことがあると答えたそうです。全て海外からの留学生だったそうです。日本人の院生は、全員その本の存在すら知らなかったとのことでした。ちなみに、先日の感謝状贈呈式で酒井海上幕僚長にお尋ねをしたら、さすがによく御存じでありました。 我が国の学校教育では、安全保障を学ぶことはありません。私の記憶でも、戦争は二度としてはなりませんと原爆の恐ろしさを習ったことぐらいです。これは、単に戦争の悲惨さを学んだにすぎません。どうしたら国の独立と平和、国民の生命と財産を他国からの攻撃から守ることができるのかという安全保障について教えられた記憶はありません。 安全保障を、いまだに憲法違反だという人たちがいる自衛隊と、政府自民党にだけに任せておいてよいのでしょうか。私は戦争をしろとか戦争を賛美しろとは言っておりません。戦争は絶対に避けるべきであります。ただ、どのような要因で戦争が起こるのか、相手が攻めてきたらどう守るのか、どうしたら戦争を防げるのかを、大東亜戦争を例にするのではなく、今我が国の置かれている現情勢を基に、子供の頃から学び考える必要があるのではないかと言っているのであります。 我が国では、学校教育において安全保障は教えない、結果、自国のために戦う覚悟がない若者が増えてきたと容易に想像できます。 そこでお尋ねですが、高校における安全保障教育の現状と、安全保障教育を行うことにより、子供たちに愛国心の高揚が図られ、国防意識を持つ若者に成長していくと私は考えますが、教育長の御所見をお伺いいたします。 あわせて、事務方ではありますが、防衛省とのつながりが深い県職員に対する安全保障教育はなされているのでしょうか、併せてお伺いをいたします。 もう一点、私は、平成二十九年度に元陸上幕僚長の冨澤暉さんが名誉教授を務めておられる東洋学園大学で十回にわたる国防講座を受講しました。多くの大学でこのような安全保障に関する講座がなされていると思っておりました。 ところが、廣中さんのお話によると、全国の国公立大学で安全保障の講座があるのはただ一つ、大阪大学大学院、廣中さんの講座だけだそうであります。これでは、国防意識を持つ若者が育つことなく、平和ぼけした日本人が増え続け、結果、仮想敵国から我が国、我が国民は嘲笑されるのであります。 そこで、山口県は、陸・海・空全ての自衛隊基地があり、岩国には米軍基地もあるという、全国で最も我が国の安全保障を理解し協力している県であります。ましてや欧米列国からの植民地政策から逃れるためになされた明治維新発祥の地でもあります。 だからこそ、山口県立大学に安全保障の講座を設けるべきだと私は提言させていただきますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、上関原発建設計画について、私からもお尋ねをいたします。 去る十月二十三日に行われた上関町長選挙では、地元の将来を思い、原発推進の立場を取ってこられた西前議長が見事、大差での当選を果たされました。西新町長にお祝いを申し上げ、私自身、長年親交のある西新町長の手腕に大いに期待をしておりますことを、まずもって申し上げさせていただきます。 さて、私は、一期目に同期の県議さんたちとドイツを視察した際、原発廃棄物による大規模な土壌汚染が起こったことにより、ドイツが脱原発にかじを切ったと説明を受けました。ところが、このたびのロシアの暴挙により、ヨーロッパをはじめ世界の多くの国でエネルギー危機が勃発してしまいました。特に、脱原発・脱石炭を掲げ、再生可能エネルギーが主力となっていたドイツでは、以前から再生可能エネルギーだけでは電力供給が賄えないために、天然ガスでの発電量を年々増やしておりましたが、ロシアからの天然ガスの供給が絞られた途端、大変なエネルギー危機に陥ってしまい、今では国民の八割が脱原発の中止を求めております。ほかにも、フランスやイギリスは原発の新設を発表し、ベルギーは二○二五年の脱原発政策の中止を既に発表し、エネルギー危機を回避するために、多くの国が原発に依存しようとしております。 また、お隣の中国は、福島原発事故には目もくれず原発をつくり続け、今や原発発電量世界第二位となり、あと数年で米国を抜き、世界一位になると言われております。 一方、我が国では、八月二十四日、脱炭素社会の実現に向けたGX実行会議で岸田総理が次世代革新炉の開発・建設の検討を指示し、来年以降、新たに七基の既存原発の再稼動を目指す考えを示されました。 エネルギー政策の成否は、国の経済、国民の生命に直結する、まさに国家運営の根幹であり、国が責任を持って判断しなければならない最重要課題であります。総理が原子力発電の最大限活用を掲げられたことは、我が国のエネルギー事情を鑑みれば当然のことであります。ましてや、東日本大震災以降の社会情勢、政治情勢に思いを致せば、まさに英断であり、安倍元総理いわく、闘う政治家の姿を岸田総理に見たのであります。 私も、太陽光発電や風力発電の導入は、エネルギー自給率を上昇させる一つの手段であることは認めますが、天候に左右される再エネは、単独では安定供給源としての要件を欠いており、エネルギー危機とも言える現在において、最適解にはなり得ないと考えております。 今年三月二十二日、ちょうど私も上京中でしたが、福島県沖地震の影響で火力発電所六基が停止した中、季節外れの大寒波の襲来を控え、政府は、東京及び東北電力管内に、史上初となる電力需給逼迫警報を発令し、大規模な節電要請をされました。すわブラックアウト、大規模停電か、という非常事態に居合わせたことは、私の記憶に新しいところであります。 また、六月には、夏に向け電力の供給不足が予想されることから、全国に節電を要請する電力需給逼迫注意報が七年ぶりに発令されました。 さらには、電力需要のピークが、太陽光発電ができなくなる日没後となる冬場において、家庭での節電をはるかに超える電力供給不足が懸念され、電力需給逼迫警報が再び発令されるのではないかとも言われております。 では、なぜ、電力の逼迫などという事態がこの日本で起きるのでしょうか。その原因は、まず、平成二十三年の福島第一原子力発電所事故後、民主党政権が全ての原子力発電所の操業を停止したことであります。幾つかは再稼働しておりますが、原発による供給量は激減している状況は今もなお続いております。 次に、このような状況下にもかかわらず、電力市場の完全自由化を実施したことにより、発電コストが高く利用率の低い石油火力発電の休廃棄がなされ、電力供給量が減っていきました。 また、これに追い打ちをかけたのが、これも民主党政権下で始まった再生可能エネルギーの固定価格買取制度であります。太陽光や風力など再生可能エネルギーで発電された電気を高い価格で電力会社は買い取らなければならなくなりました。 以前、環境福祉委員会で県外の大規模太陽光発電所を視察した折、電力会社の方から聞いた、「本音は、太陽光のような不安定な電力は買いたくないのですよ」との言葉は、今でもはっきりと覚えております。 結果、このたびの中国電力をはじめとした企業向け電気料金値上げに続いて、家庭向け電気料金の大幅な値上げ申請につながり、家計や経営を著しく圧迫するのは御承知のとおりであります。北陸電力に至っては何と四五%の値上げ申請をしております。 この議場でもそうですが、共産党や社民党をはじめ多くの方が、電力供給の不確実性からはあえて目を背け、再生可能エネルギーのメリットばかりを主張し、やみくもに原発のリスクを誇張するのは、国家・国民を守る責任ある主張とは言えません。これは安倍元総理いわく、闘わない政治家の姿であります。 さらには、福島第一原発事故を教訓として、小型モジュール炉をはじめ、安心・安全な技術向上を日夜追求されている、我が国が誇る技術者の皆さんの懸命な努力と蓄積を踏みにじるような行為であります。 私は、平成二十五年六月定例会で原発の再稼働について質問をさせていただきました。私の誕生日である昭和三十二年三月三十日の中国新聞の社説をそのとき紹介をさせていただきました。ここで、いま一度紹介をさせていただきます。 「核兵器と原子力の平和利用」と題しまして、 原子力が兵器に応用されるからといって、その平和利用をも拒んでしまうということは行き過ぎた考えであり、その周到な科学的の注意の下に平和的にのみ利用するときは、人類の生活の上に大きな寄与がなされることを信じて疑わない。 英国が原発計画を急ピッチで進めているのは、動力源が窮迫して、その急速な増強の必要に迫られているからであるが、そのような点について、我が国でも大いに関心を持ち、参考とすべきではないかと考える。いずれにせよ、原子力の平和利用について、国民はさらにあらゆる意味において関心を高めることが必要であろう。 と結んであります。 まさに、今の我が国が置かれている立場を鑑みて書かれた中国新聞社説であります。 我が国のエネルギー政策は、これまで温暖化対策として太陽光や風力発電に重きを置いてまいりました。しかし、太陽光パネルの九割は中国産、風力発電設備メーカーは日本には一社もありません。また、太陽光発電に至っては、私の地元岩国や柳井でも問題となっておりますが、中国企業による買収により、環境だけではなく、我が国の安全保障までも絡めて大きな懸念材料となっております。 世界中が自国のエネルギー安全保障を考え出している中で、我が国はまだその教訓を生かしていないのではないでしょうか。 しかも、再エネ発電は雇用を生みません。これでは地方創生は程遠いのです。地方は豊かにならないのです。 そこで、冒頭申し上げましたが、先般行われた上関町長選挙では、政府が原発に対し新たな動きを見せた中で、十一年ぶりに推進・反対の両派から候補が出ての選挙となりました。上関町が原発誘致を表明してから四十年の節目の年に行われたこの選挙で、改めて原発新設の民意が大きく示されたのであります。西町長は、原子力発電所の建設による波及効果を期待し、子や孫が帰りたいと思ったときにふるさとがあるように町を持続させると話されたと伺っております。 こうした中で中国電力から提出された、上関原発に係る公有水面埋立免許延長申請について、県は先日許可を出されました。知事は、これまでも国のエネルギー政策と地元上関町の政策選択を尊重する立場を強調されており、原発回帰の動きが示されて以降、反対の立場から様々な意見もありましたが、そうした意見に惑わされることなく、我が国の置かれた状況をしっかりと見据え、国家の独立と尊厳を守るという大局的な視点に立っての適切な判断をなされたものと大いに評価をいたします。 そこで、私からも改めてお尋ねします。今回の免許延長申請に対して、どのような考えで対応されたのか。また、七割の町民が原発新設を支持した上関町の意向を踏まえ、今後どのように対応されるのか。あわせて、原子力発電をめぐる国のエネルギー政策の転換について、知事はどう受け止められているのか、御所見をお伺いいたします。 次に、趣をがらっと変えまして、私が昨年来取り組んでいるインクルーシブ社会の実現についてお尋ねをいたします。 十月二十三日、第三回ふくろう公園インクルーシブDAYを実施いたしました。今回から、障害のある子への付添いとして、看護学生に加え、岩国ユネスコ協会の中高生にも参加をしてもらい、また、障がいがありますシールをつくり、その子の愛称を書いて服に貼り、気軽に呼びかけられるよう工夫をいたしました。 さらに、日本製紙から紙を寄贈していただき、お絵描きストリートや巨大折り鶴コーナーを設け、米海兵隊からは、ふわふわドームハウス二基を持ち込んでいただきました。なお、これには落ちがありまして、日米では電圧やアンペア、プラグの違いがあり、ふくろう公園の電気設備が使えませんでした。基地内から米軍使用の発電機を持ち込んで対応をしたところであります。 このように協力者が毎回増え、内容もバージョンアップしていくことにより、今回は、障害のある子百七十八人とその家族四百四十五人、計六百二十三人の参加となり、過去最多となり、ありがたいことに明日YABさんもJチャンやまぐちで私たちの活動を三たび取り上げてくれるそうであります。 また、前回に続き、岩国総合支援学校が長年にわたり取り組んできたリングプルの回収を呼びかけたところ、前回の八キロを大幅に上回る十三・五キロのリングプルが回収できました。前回の八キロは支援施設に寄贈した電動木馬遊具の購入資金に充てられたとのことでした。 それでは、参加者からいただいたアンケートを幾つか紹介させていただきます。 まず、参加家族からですが、看護学生さんに障害のない子と遊んでもらい、私と夫と二人で障害のある子を滑り台に挑戦させました。この機会でなければ絶対にできない経験でした。 障害のある子だけでなく、兄弟も楽しめます。姉二人が「障害のある弟のおかげでこのイベントに参加でき楽しかった」と言ってくれました。 三回目にして初めて朝から参加しました。今までトラブルを避けるために人の少ない時間にしか参加できないという感覚が身にしみついていましたが、今日は、気疲れではなく、体疲れができました。 愛称シールのおかげでいろんな人が声をかけてくれ、海兵隊の人が「ハーイ」と声をかけてくれてうれしそうでした。 障害のない長男が、「動きが遅い子がいてすごく待った」と不平を言いました。私もそれを見ておりましたが、脳性麻痺と思われる全介助のお子さんと家族三人で滑り台を滑っておられたのです。長男には、インクルーシブDAYの意味を教え、体を自分の思いどおりに動かすことができないお友達もいることを伝えると納得をしてくれました。世の中にはいろんな人がいるということを知る貴重な体験でした。 次に、今回初めて参加してくれたユネスコ協会の中高生からのアンケートです。 今日まで、障害のある子が気軽に公園を利用できなくて困っていることを知りませんでした。公園はみんなが利用できる場でなければならないのに、利用しないでといった視線を向け、中には直接言う人もいると思うと悲しくなり、公園が本来のあるべき姿になってほしいと思いました。 付き添った家族の方から、「次回、ぜひ君を指名したい」と言われ、次回も参加します。また、多くの人にこのイベントを知っていただきたいと思いますとありました。 改善点としていただいたアンケートです。 元気な障害のある子がメインとなっている気がしました。寝たきりの子供などもっと重度の子が参加して、少しでも表情が変わる何かを共有できたらなと思いました。 まさに今、私たち遊びと育ちのインクルーシブ架け橋会が直面している最大の課題を指摘されたのであります。 そこでお尋ねですが、県におかれましては、十月二日から山口きらら博記念公園で山口きららインクルーシブパーク二○二二を開催されました。私も初日に架け橋会の役員さんたちと視察させていただきましたが、その成果と今後インクルーシブパークの整備に向けてどのように取り組んでいかれるのか、お伺いをいたします。 また、各部局等にまたがっての取組となりますが、インクルーシブ社会の実現に向け、県としては今後どのように取り組まれていかれるのか、お伺いをいたします。 最後に、特別支援教育についてお伺いをいたします。 我が国には、障害のある子を持つ保護者に対し選択肢として特別支援学校、特別支援学級が設置されております。 しかし、今年九月に国連の障害者権利委員会が、日本政府に対し特別支援教育の中止を要請し、分離教育の廃止に向けた行動計画の策定を求めました。 私自身、インクルーシブDAYの開催を通して、米国と日本の障害児教育は根本から異なっているとの実感は持っております。米軍岩国基地内では、発達障害や難聴、知的障害のある子約二百人、スペシャルニードと呼ばれておりますが、通常学級で学んでおり、障害の有無にかかわらず、普通に仲よく一緒に遊んでいるそうであります。今回初めてスペシャルニードの子供たちにインクルーシブDAYの案内を出しましたが、参加者は一人もなく、逆に担当者から、なぜ日本ではこのようなイベントを開くのですかと質問をされてしまいました。 私には、障害のある子にとって、どちらの国の教育がよいのかは、結論は出ません。 そこで、このたびの特別支援教育の中止を求める国連要請に対する県教委の御所見と、我が県の今後の特別支援教育の在り方について教育長にお伺いをいたします。 終わりに、障害のある子を持つお母さんから聞いたお話の中で、私が最も印象に残っている話を紹介をいたします。 私には高校生の娘と岩国総合支援学校に通う障害のある中学生の息子がいます。息子が支援学校に入学し初めての参観日に、長女を連れていきました。支援学校に初めて入った娘は、障害のある子供たちがたくさんいるのを見て驚き、「ママ、この子たちはふだんどこにいるの」と聞いてきました。私はその言葉が忘れられません。この子たちは学校が休みの日は家で過ごすことが多いんです。いや、出かける場所がないんです。 どうか一日も早くインクルーシブ社会が実現しますよう、この議場におられる全ての皆様の御協力を賜りますよう請い願いまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)橋本議員の御質問のうち、私からはインクルーシブ社会の実現に向けた県の今後の取組についてのお尋ねにお答えします。 私は、誰もが障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する、いわゆるインクルーシブ社会を実現するためには、障害に対する社会全体の理解を深め、障害のある方に対する偏見や差別をなくしていくことが重要と考えています。 このため、本年十月には、障害のある方の人権の尊重、差別の禁止、障害についての理解、これら三つを基本理念とする、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例を制定し、障害を理由とする差別の解消や障害理解の促進に向けた取組を一層強化することとしたところです。 また、このたび策定するやまぐち未来維新プランにおいても、誰もがいきいきと輝く地域社会実現プロジェクトを掲げ、障害のある人とない人の相互理解の推進に取り組むこととしています。 具体的には、障害のある人への必要な配慮を実践するあいサポート運動を、より一層浸透させるため、今後、商工団体等にも幅広く協力を頂きながら、障害のある人が利用する商業施設や公共交通機関等に対する働きかけを強化してまいります。 また、県の将来を担う子供たちが、社会性を身につけながら成長する過程において、偏見なく、障害のある人に接する心を育むことができるよう、障害のある子供とない子供の交流や、学校教育における共同学習等にも取り組むこととしています。 今後は、障害のある子供とない子供が、レクリエーションなどを通じて交流を深めるあいサポランドの内容を一層充実することに加え、新たに作成した児童向けの研修教材等を活用して、小学校低学年からの障害理解の促進を図ってまいります。 さらに、今月十七日には、広く県民に対して条例の周知を図るとともに、障害や障害のある人への理解を深めていただくことを目的としたフォーラムを開催し、共生社会の実現に向けての機運の醸成を図ることとしています。 私は、今後とも、市町や関係団体等と連携し、障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)初めに、故安倍晋三元内閣総理大臣の県民葬儀についてのお尋ねにお答えします。 故安倍晋三先生県民葬儀につきましては、去る十月十五日、細田衆議院議長をはじめとする国会議員の皆様、県・市町関係者、各種団体や企業の代表者の皆様、さらには台湾、ベトナムなど海外からも多くの参列者をお迎えし、故安倍元総理を追悼する県民葬を厳粛に執り行うことができました。 また、当日は、主会場の海峡メッセ下関をはじめ、県内七つの会場に一万人を超える方々が献花にお越しになるなど、多くの県民の皆様とともに、故安倍元総理をお見送りすることができました。 故安倍元総理は、卓越した政治手腕とリーダーシップを発揮され、憲政史上最長の八年八か月の長きにわたって内閣総理大臣の重責を務められ、アベノミクスによるデフレ脱却や日本経済の再生、国際社会における日本の地位向上などに向け、我が国を力強く導かれ、偉大なる御功績を残されました。 また、地方の元気なくして日本の再生なしとの信念の下、人口減少に歯止めをかけ、地域の活性化を目指す地方創生の実現に向けた取組を強力に推進されるとともに、地元山口県の取組にも大変な後押しを頂くなど、県政の発展にも格別の御尽力を賜りました。 こうした国内外にわたって数多くの御功績を残された故安倍元総理を、多くの県民の皆様とともに、哀悼と追慕のうちに、厳かにお見送りすることができたことは、大変意義深いものであったと考えております。 次に、安全保障教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、防衛省とのつながりが深い県職員に対する安全保障教育についてです。 お示しのように、本県には、米軍岩国基地や陸・海・空全ての自衛隊基地があることなどから、毎年度、防衛省から関係部署職員に対し、国の白書や予算に関する情報提供や概要説明が行われるとともに、その際には、その時々の国際情勢について意見交換もなされているところです。 また、国が実施する、有事の際の国民保護に関する担当者説明会や研修等の際にも、日本を取り巻く安全保障環境の説明を受けているほか、危機管理担当として配置している退職自衛官の、豊富な安全保障に関する知識や経験などは、適時、他の関係職員にも共有をされているところです。 このように、防衛省と業務上のつながりが深い職員は、平素から、安全保障に関する様々な情報に触れ、その理解を深めるよう努めており、県としては、引き続き、防衛省・自衛隊とも連携しながら、県民の皆様の安心・安全が確保されるよう、万全を期してまいります。 次に、県立大学に安全保障の講座を設けるべきとのお尋ねについてです。 県立大学では、国際文化学部を設置しており、その中で、国際社会において必要な基本的知識を身につけることを目的に、安全保障の問題や、国際紛争、民族問題等に関する内容を学ぶ国際関係論を必修科目として開講しています。 この授業は、国家や国際機関等の各政治主体が、安全保障をはじめとする世界的な問題にどのように対応しているのかについて、講義を中心に考察するものとなっています。 こうした中で、本年三月、県立大学が地域貢献型大学として、時代や社会の変化に対応し、地域と共に未来を切り開く大学であり続けるよう、県と大学で県立大学将来構想を策定したところであり、このような観点から、本構想では、国際文化学部について、学部再編に取り組むこととされています。 現下の国際情勢を踏まえると、我が国の安全保障についてより理解を深める機会を確保することは重要であり、県立大学としても、学部再編に向けた見直しの中で、こうした観点も含めて、教育内容の充実について検討することとしています。 県としては、こうした県立大学将来構想の実現に向けた大学の取組について、引き続き支援をしてまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)上関原発建設計画についてのお尋ねのうち、今回の免許延長申請に対する対応についてお答えします。 埋立免許の延長申請については、埋立免許権者として、公有水面埋立法に基づき、法令の規定に従って厳正に審査したところ、正当な事由が認められたことから許可したものです。 正当な事由が認められる場合とは、指定期間内に工事を竣功できなかったことについて合理的な理由があることと今後埋立てを続行するのに十分な理由があること、すなわち、土地需要があることの二点の要件をいずれも満たす場合です。 まず、竣功できなかった理由については、埋立工事に先立って実施する必要がある海上ボーリング調査について、調査地点付近で複数の船舶を停泊させるなどの行為が継続してあったことなどから調査を終了できず、工事を期限内に竣功できなかったこと、また、訴訟によりその解決を図ることが説明されており、合理的と認められます。 次に、今後埋立てを続行するのに十分な理由があることについては、上関原発の重要電源開発地点指定は引き続き有効であるとの国の見解を得たことが示されていることから、土地需要があると認められます。 正当な事由があると認められるときは許可しなければならないものであることから、埋立免許権者として今回許可したものです。 次に、インクルーシブ社会の実現についてのお尋ねのうち、インクルーシブパークの整備についてお答えします。 近年、全国的にもインクルーシブパークが注目されてきており、県としても、今後の公園づくりを進める上で、必要な視点であると考えています。 このため、インクルーシブパークに係るニーズや課題の把握を目的として、本年十月二日から二十三日までの間、山口きらら博記念公園の大芝生広場において、インクルーシブに配慮した遊具を試験的に設置し、実際に遊んでいただく社会実験を実施したところです。 この間、一万人を超える御来場をいただき、その際に行ったアンケート調査では、いろいろな人が遊べる工夫がすごいといった声や、トイレが少し遠く、大人用の便座しかない等の御意見を頂いており、こうした成果を今後の公園整備に生かしていく考えです。 県としては、今後とも、障害の有無等にかかわらず、多くの方が集い、誰もが安心して一緒に遊べる公園づくりに積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三浦商工労働部理事。 〔商工労働部理事 三浦健治君登壇〕 商工労働部理事(三浦健治君)上関原発建設計画に関する御質問のうち、二点のお尋ねにお答えいたします。 まず、今後の対応についてです。 上関町では、町議会の議決を経て原発誘致を決定され、町長が中国電力に対し原発誘致の申入れをされていることから、原発立地によるまちづくりを進めたいという政策選択がなされていると理解しており、現在も変わっていないと認識しております。 県としましては、上関原発建設計画に対しては、これまでと同様、地元上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するとともに、県民の安心と安全を守るという観点から適切に対応してまいります。 次に、国のエネルギー政策の受け止めについてです。 国においては、お示しのように、既設の原発の再稼働の加速や、運転期間の延長の在り方の見直し、次世代革新炉の開発・建設などが検討されています。 これらの取組は、エネルギー価格の高騰や電力需給の逼迫という足元の危機を克服するとともに、脱炭素エネルギーである原子力を将来にわたる選択肢として強化を図ろうとするものとされています。 県としては、エネルギー政策は国家運営の基本であり、原子力をどう利用するかは、安全性・信頼性の確保を大前提に、国の責任で判断すべきと考えており、国における取組の動向を引き続き見守ってまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねにお答えします。 まず、高校における安全保障教育についてです。 国際情勢が不安定であり、かつ急速に変化する現代社会において、我が国の安全保障や国際社会の平和と安全の維持について、子供たちが主体的に考え、しっかりと理解を深めることは重要であると考えています。 このため、高等学校においては、主に公民科や地理歴史科の中で安全保障に関する教育を実施しています。 具体的には、公民科において、日米安全保障条約や自衛隊が果たしている役割などを理解させた上で、我が国の平和と安全をいかにして実現していくかについて考察させる学習などを行っています。 また、地理歴史科においては、現在の国際社会が形成されていく過程を学ぶ中で、様々な戦争の原因や背景について考察させる学習などを行っています。 こうした中、今年度から実施されている高等学校学習指導要領では、生徒が主体的に課題を追求したり解決したりする探求的な学習が一層重視されているところです。 このため、公民科に新設された科目「公共」においては、例えば、変化する国際情勢の中で、我が国の安全と平和を維持するための取組としてどのようなことが有効かといった問いに対して、探求的に学ぶことで、生徒が安全保障を自分ごととして捉え、深く理解できるよう指導することとしています。 こうした安全保障に関する教育を行うことで、生徒に平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質・能力を育むことができると考えています。 県教委といたしましては、今後とも学習指導要領に基づき、安全保障に関する教育を適切に進めてまいります。 次に、特別支援教育についてです。 障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の障害の状態等に応じ、十分な教育を受けられるよう、多様で柔軟な環境を整備することは重要です。 お示しの、国連からの特別支援教育の中止要請に対して、国は、障害のある子供と障害のない子供が可能な限り共に過ごす条件整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組むという考えを示しており、本県においても、国のこうした考えに基づいて対応したいと考えています。 今後、本県では、この考えに沿って、障害のある子供が身近な地域で、きめ細かな指導、支援により、自己の持つ力や可能性を最大限に伸ばすとともに、子供たちが共に学び、支え合い、地域社会の一員として心豊かに成長できるよう、特別支援教育の取組を進めていくこととしています。 その取組を進めるに当たっては、障害のある子供一人一人の教育的ニーズに的確に応えることができるよう、特別支援学校、特別支援学級、通級による指導、通常の学級、それぞれの学びの場における教育の充実を図ってまいります。 さらに、障害のある子供と障害のない子供の相互理解とともに、保護者や地域住民の障害者理解を促進してまいります。 県教委といたしましては、こうした方向性の下、引き続き特別支援教育の一層の充実に向けた取組を着実に進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十五分休憩