討論
───────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 木佐木大助君。 〔木佐木大助君登壇〕(拍手) 木佐木大助君 日本共産党を代表して、本会議に提案された議案に対する討論を行います。 本会議に提案された二十五議案と継続審査中の六議案のうち、反対するのは議案第一号、六号、八号から十一号、十四号、十九号、継続審査中の十五号及び十八号の十議案であります。 うち、議案第一号、六号及び十四号に反対するのは、特別職の期末手当の支給割合を○・○五か月分引き上げる措置が含まれているためであります。この一点を除く補正予算には賛成をいたします。 議案第八号から十一号は、いずれもデジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律により、個人情報の保護に関する法律が改正をされて、地方公共団体の個人情報保護条例は原則廃止、そして、地方独自の運用が認められる一部の事項以外は改正法が適用されることとなったことを受けた条例改正であります。よって、一括して反対理由を述べます。 政府が個人情報の保護に関する法律を改正したのは、デジタル改革の名で、国や自治体が持つ膨大な個人情報を外部提供した企業にAI、人工知能で分析させ、もうけの種にすることが目的であります。 そのため、各自治体が築いてきた個人情報保護の優れた到達点をリセットをして、全国統一ルールの下に一元化して、データ流通の支障をなくそうというものであります。 自治体が保有する個人情報は、公権力を行使して取得したり、申請・届出に伴い義務として提供されたものです。膨大な住民サービスに関わる情報は、企業の顧客情報とは比べ物にならない個人情報の宝庫でもあります。それを匿名加工したとしても、企業のもうけのために外部提供することは、行政のするべき仕事ではないはずであります。 来年四月一日以降は、全ての都道府県に、どんなデータを持っているかの個人情報ファイル簿を公表し、民間事業者から利用の提案を募集し、審査・契約を経て、個人情報を匿名加工して民間事業者の利活用に提供することが義務づけられます。 最近でも、個人情報の漏えい事件が相次いでいます。今後は個人情報を匿名加工する作業を委託した民間業者から情報が漏えいするおそれも生まれてきます。 自治体が保有する個人情報を企業のもうけの種にすることは百害あって一利なしであります。 こうした懸念もあってか、鳥取県は、県条例の廃止ではなく見直しを選択しました。見直し案の基本的な考え方には、個人の権利利益を侵害しないよう、最大限配慮した上で利活用も図るといった、鳥取県としての個人情報保護の在り方を示すと明記をされ、死後における個人に関する情報の保護措置も規定されています。 同見直し案は、パブリックコメントを経て、現在、開会中の県議会に上程をされ、最終日の二十二日には議決される見通しであります。 これこそ地方自治のあるべき姿ではないでしょうか。 地方自治をないがしろにする政府方針に忠実に従い、パブリックコメントもしないまま提案された関係条例の改正には、到底、賛成することはできません。 議案第十九号は、平瀬ダム建設工事の請負契約の一部を変更し、約二億円増額するものであります。現時点で既に、平瀬ダムの総事業費は当初の約三百五十億円、これから約三倍の約九百二十億円にも膨張しています。 平瀬ダムについて、我が党は、計画段階から治水効果が低い上に貴重な自然環境の破壊につながると反対をしてきました。 今、国も、治水対策の基本をダムや堤防で封じ込めるのではなく、流域全体で減災を目指す流域治水に軸足を移しています。巨大ダム建設は時代遅れの産物であります。今後、限られた財源は総合的な治水対策にこそ投じるべきであります。 次に、継続審査中の議案第十五号及び十八号であります。 議案第十五号は、二○二一年度県歳入歳出諸決算です。 県の産業戦略の中心は、二○年度はSociety5・0、二一年度はデジタルトランスフォーメーションと横文字だらけのデジタル改革が続いています。 自公政権が今進めているデジタル改革は、新自由主義、この路線により規制改革とマイナンバーカードの活用範囲の拡大と、さらに自治体クラウドなどを通じて、地方自治体と国機関が所持する国民の個人情報を一元的に管理する。そして、財界・大企業の新たなもうけ口にするのが目的であります。 世界に先駆けてデジタル化を進めてきたドイツでは、デジタル機器の標準化を国家主導で進め、中小企業を含む全国的な取組にしています。あわせて、ドイツ政府は、デジタル化が労働と労働者に及ぼす影響も分析、そして労働社会政策の課題を検討して、デジタル化社会に対応する新たな労働改革を進めようとしています。 デジタル技術は使い方次第では、本当に大きな可能性を秘めています。県の産業戦略も、デジタル技術を一部の先進企業や大企業のもうけのためではなく、住民生活の向上や地域経済の再生に生かす方向に転換するよう求めます。 二一年度はコロナ感染拡大の下で、国が数次の補正予算で地方創生臨時交付金などを計上したこともあり、県民要求に応じるための財源は確保されていました。 子育て支援の拡充は、人口減がますます進む山口県にとって喫緊の課題の一つであります。しかし、子ども医療費助成制度の拡充はまた見送られました。遜色ない水準などとたかをくくっている間に、拡充を進める都道府県との差はみるみる拡大をして、知事の言う子育て日本一の看板は泣いています。 東京都も、来年度から対象年齢を高校卒業まで拡大をします。一極集中に拍車をかけることにならないのかと心配をしています。山口県も一刻も早く政治決断されるよう、強く要望いたします。 次に、議案第十八号二○二一年度工業用水道事業会計の決算についてであります。 同僚議員が本会議で指摘したように、小瀬川第二期工水は三万二千トンもの未事業化分の水源があり、二○一二年度まで、未事業化分の企業債元利償還金とダム分担金、計約百五十五億円を一般会計が負担してきました。 一般会計に移管した後、二○年度までに未事業化分の負担は約七億七千万円に上っています。さらに今後も、ダム分担金年間四千万円の負担は続いていきます。 この要因について企業局は、当時の判断に間違いはなかったと繰り返されていますが、もう思考停止はここでやめる、こうした事態を招いた過大な需要予測の誤りを率直に認めて、その原因をしっかりと検証して、再発防止策を講じることが不可欠であることを改めて指摘するものであります。 次に、賛成する四議案に対して意見を述べます。 議案第十二号及び十三号は、一般職と学校職員の給与に関する条例の一部改正です。問題は昇給制度の見直しであります。原則五十五歳を超える職員の昇給について、特に良好な成績で勤務した場合に限り行うとするための改正でありますが、恣意的な判断が行われるおそれがあります。これに係る改正については、削除するよう要望します。 議案第十五号及び十六号は、会計年度任用職員の給与、費用弁償及び旅費に関する条例の一部改正です。いずれも報酬の上限額を引き上げる内容で賛成はしますけれども、時間額の引上げは九百六十円から九百八十円と僅か二十円にとどまっています。 今年度、山口県の最低賃金の引上げ額三十一円にも及んでいません。ワーキングプアを助長する、こうした金額にとどまっています。できるだけ早く大幅な引上げを行なわれるよう要望をいたします。 また、総務省が実施した地方公務員の臨時・非常勤職員に関する調査によると、二○二○年四月時点の会計年度任用職員数は、一般行政で八百三十九人、うちフルタイムは八十人、教育部門では千五百三十三人、うちフルタイムは百四十六人であります。 次年度以降も継続を希望する人全員の雇用はもちろん、フルタイムの需要がある部署では正規職員化を図るよう要望いたします。 最後に、請願についてであります。 第一号最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める請願を不採択とした委員長報告に反対をいたします。 山口県の最低賃金は、二二年の改定で時給八百八十八円になりましたが、最も高い東京都は千七十二円であります。百八十四円もの格差が生じています。 この地域格差によって、地方から都市部への労働力が流出して、地方の人口減少を加速をさせる、そして高齢化と地域経済の疲弊を招いています。地域の衰退に歯止めをかける、地域経済を再生させる上で、最低賃金の全国一律化と抜本的な引上げこそ、今求められている経済対策であります。 よって、不採択とした委員長報告に反対をいたします。 第三号は、特別支援学校の過大・過密、教室不足の解消を図るため学校建設の国庫補助率の引上げを求める請願であります。 学校に通う子供たちの学習環境を充実させることは、一人一人の発達を保障し、社会に参加していく力をつけていくために大変重要なことであります。 しかし、特別支援学校においては、長年にわたって教室不足、これが深刻化しています。また、現在の学校規模や通学時間から児童生徒の実態に応じた教育権を保障するには、分教室の分校化や学校新設がどうしても必要なことは明らかであります。 国には、ひとしく子供たちの教育を十分に保障するための環境整備を行う義務があります。よって、国に対して、特別支援学校設置における国庫補助率の現行二分の一から三分の二への引上げと、集中取組期間の延長を求めることは不可欠であります。 よって、不採択とした文教警察委員会の委員長報告に反対をいたします。 最後に、子供たちに行き届いた教育、二十人学級の実現、私学助成の増額、教育費の父母負担軽減、障害児教育の充実などを求めることについてであります。 学校現場では、いまだにコロナ禍での混乱に対応するため厳しい状況が続いています。 教室や教員の不足はもとより、これまでの教育条件の整備の不十分な面が、子供と教職員の命と健康を脅かしている現状は、一刻も放置するわけにはいきません。 何よりもまず、全ての子供たちに行き届いた教育を進め、心が通う学校づくりに一層取り組むことが求められています。 よって、不採択とした委員長報告に反対をいたします。 以上で、日本共産党の討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手)