討論
議長(柳居俊学君)山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 自由民主党会派を代表して、提出された全ての議案に賛成するとともに、請願に関しては、第一号、三号、五号を不採択、そして、第二号、四号を採択することに賛成の立場から意見を述べさせていただきます。 まず、このたびの補正の内容については、電気代等の急激な高騰により、厳しい経営環境が続いている医療関係や社会福祉施設等への支援、債務の増大に苦しむ中小企業者の借換え等に対応する制度融資の創設などに加え、子供の安心・安全の確保や防災・減災対策など、我が会派の訴えに的確に対応されたものであり、必要性は明白です。 一方で、懸念を覚えるのは、これらは短期的な対処療法でしかなく、根本的な治癒につながる道筋が見えないということです。 ロシアのウクライナ侵略に端を発した世界的な物価高騰の影響は、今、私どもの生活面をはじめとする、あらゆる分野に深刻な影響を及ぼしています。 光熱費だけでも昨年の一・五倍を超えます、このままではとても経営できないが、かといって急上昇するコストを価格に転嫁することもできない、八方塞がりだといった窮状を訴える声が、我が会派の元に連日のように届いています。 現在の物価高騰が、短期的に落ち着くことは到底考えられず、世界的なインフレはまだ序章にすぎないといった見方もあり、この情勢がいつまで続くのか、また今後、物価が一年前の水準に戻ることがあるのかなど、先が見通せない状況にあります。 もちろん、現下の急激な物価高騰を何とか乗り越えるために、緊急的な支援が必要なことは言うまでもなく、今回の補正予算についても、その成立後、できるだけ速やかな実施を求めるところです。 しかし、この支援策はあくまで緊急的、応急処置的な対応であり、国の臨時交付金を使った支援が、いつまで続けられるのかといった懸念や不安も強いところです。 こうした中で、今、求められているのは、先に向かって軟着陸できるための中長期的な制度や仕組みをつくっていくことであり、県には、各般の緊急対策をしっかりと講じつつも、同時進行で、先を見据えた構造的な対応に果敢に取り組んでいただきたいのです。 一例を挙げますと、今回の補正予算でも対応している医療・福祉の分野において、質の高いサービスが安定的に供給されるには、診療報酬や介護報酬などの公定価格に物価動向を反映するといった制度的な対応が必要であり、そのためには国に働きかけ、国を動かさなければなりません。 また、畜産業の輸入粗飼料や配合飼料については、さきの九月議会において、我が会派が指摘したとおり、輸入依存度の低減を図るため、県が独自に、県内循環の仕組みをつくるといったことへの挑戦も期待され、そのためには、作付が始まるまでに関係者間の調整を急ぐ必要があります。 県が、国の動向を十分に注視し、経済対策などにしっかりと呼応することが大変重要であることは申し上げるまでもありませんが、それだけでは、今の急激な時代の流れの中では後手に回ってしまうおそれがあるのではないでしょうか。繰り返し言われるように、変わること、変革が必要なのです。 補正予算の中には、農林水産業の生産基盤の強化や橋梁などの老朽化対策など、来年度から本格的に始動されようとする、やまぐち未来維新プランにつながる事業も一部ありますが、プランに沿った新たな県づくりのための多くの施策は、これまでの総合計画の策定時と同様、来年度から積極的に展開しようとされています。 しかし、多くの方々から、緊急支援があるので踏ん張りたいがその先が見通せない、廃業するといった諦めにも似た声も聞きます。 今まさに必要なことは、県が中長期の対策としてどのようなことを考え、何をしようとしているかを県民の皆様に見ていただくこと。それは、文字や言葉だけではなく、予算に裏打ちされた施策として、具体的な動きを示すことです。 先への不安を抱く方々が、希望を持って前に向いて歩を進める道筋を形づくるのは、県行政に託された務めであり、その施策を当初予算に限らず、今後の追加対応も含め、ぜひ、迅速に構築されるようお願いいたします。 次に、請願のうち、第二号 私立学校運営補助金について及び障害児の教育環境、子供たちに行き届いた教育を求めることに関する第三号、四号、五号の四つの請願についてです。 建学の精神や独自の教育理念に基づき、特色ある教育活動を展開している私立学校の振興を図ることは、多様な子供のニーズに対応するとともに、今年の夏の甲子園での活躍に象徴されるように本県の教育全体を活性化し、発展させる上で重要であります。 公立・私立がともに質の高い教育環境を維持向上するため、私立学校の自助努力はもちろんですが、必要な措置はしっかりと講じていくべきです。 また、我が会派としては、子供たちの誰もが将来に希望を持って成長していける県とするために、学校教育の充実は極めて重要な課題と考えておりますが、一方で、県として推進している取組の方向や国の施策動向を踏まえ、なすべきことを重点化していくという観点で対処していくことも必要であると考えます。 したがいまして、委員長報告のとおり、請願第二号及び第四号を採択とし、第三号及び第五号を不採択とすることが妥当であります。 以上、県への期待の意も込めて意見を申し上げました。 私ども自由民主党会派は、今後とも、責任ある判断と実行力を持って、地方においても、強い経済と豊かさを実感できる社会をつくっていくことに、ひるむことなく全力を尽くす所存であることを申し上げまして、討論を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)これをもって討論を終結いたします。