1 冬場の新型コロナウイルス感染症対策について 2 マイナンバーカードの取得促進について 3 食物アレルギーに対応した避難所の運営について 4 食料の安全保障について 5 不登校対策について 6 経済安全保障に対する警察の取組みについて
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。公明党の曽田聡でございます。 会派を代表して質問に入る前に、一言申し上げます。 十一月十一日から十七日まで七日間、山口県議会ASEAN地域友好・調査訪問団の一員として、シンガポール、ベトナム、フィリピンの三か国地域を訪問する機会を頂き、大変貴重な体験をさせていただきました。柳居議長はじめ、県議会の皆様、準備などでお世話になった事務局の皆様に感謝申し上げます。 御案内のとおり、ASEANは名目GDPが二〇一八年までの十年間で二倍以上になるなど、成長著しい地域であり、ASEAN十か国の実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、一時マイナス成長となりましたが、二〇二一年には約三・四%まで回復し、今後は約五%の成長率で推移する見通しとなっています。 少子高齢化が著しい我が国、そして山口県において、ASEANとの結びつきの強化は必要と考えています。 これまでも、日本とASEANの未来を担う若者が、相互理解と友情を深めてまいりました。未来を担う世代が交流し、各国との関係を強化することは、アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠であります。 在フィリピン日本大使公邸を表敬訪問した際、越川和彦特命全権大使は、日本の国会議員はじめ地方議員、そして、あらゆる階層の人たちがフィリピンを訪れ、フィリピンの人々との交流を行っていただきたい。フィリピンの経済発展、そして日本にとって大切なことだと思いますとの趣旨の話をされていました。 ASEAN地域で様々な交流の事業をさらに推進することによって、日本、そして山口県とASEANの絆が一層深まることを期待し、通告に従い、質問させていただきます。 初めに、冬場の新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症が国内で初めて確認されてから三年を経過するところですが、この夏の過去最大の感染規模となるオミクロン株による第七波は、全国各地で過去最大の感染者数を更新し、本県においても、ピーク時には一日で三千人を超える感染者数が発生し、医療への負荷が高まるなど、猛威を振るったところです。 九月に入り感染者数は一時減少傾向が見られたものの、感染収束とまでは至らず、また、気温の低下や行楽シーズンの人の移動などを背景として、感染者数は少しずつ増加の傾向が見られるところです。 加えて、新たな脅威とされているのが、オミクロン株から派生した変異ウイルスです。全国では、通称ケルベロスと言われるBQ・1・1やグリフォンと言われるXBB、また、先日、県内でも感染が確認されたバジリスクと言われるBA・2・3・20など、新たな変異株による感染の脅威が迫ってきております。 これから年末年始による帰省や受験シーズンなど、多くの方にとって大切な時期を迎えることとなりますが、過去の傾向から、新型コロナは年末年始に感染拡大しており、一方で、今年は季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されることから、冬場に向けて一層感染対策を講ずる必要があります。 これに対し、国は十月に、新型コロナ・インフル同時流行対策タスクフォースを開催し、この冬の感染拡大について、過去最大規模の感染拡大として、全国で新型コロナウイルス感染症の患者が一日四十五万人、季節性インフルエンザの患者が一日五十万人規模で同時流行し、ピーク時には一日七十五万人の患者が生じる可能性があるとの想定の下で、医療機関への受診は高齢者や重症化リスクのある方に重点化し、そのほかの方はコロナ検査キットで自己検査の上、陽性となった方は自宅療養するとされたところです。 その一方で、私は、県民の安心・安全を確保するためには、発熱患者が急増した場合にあっても、高齢者などに限らず、診療を希望する全ての方が、可能な限り対面で受診できる医療体制の確保を望んでいるところであります。 県では、村岡知事の力強いリーダーシップの下、これまで幾たびもの感染拡大に対し、市町や医師会など、医療機関との機動的かつ緊密な連携を図り、十分な医療提供体制、検査体制を整備されるとともに、重症化予防、発症予防に効果があるとされるワクチン接種も全国トップクラスのスピードで進め、感染の波を抑えてこられたことは高く評価するものであります。 来る第八波は、過去最大クラスと予想される専門家もおられます。県民の安心・安全のため、引き続き、医療提供体制の確保など、感染拡大にさらなる万全を期していただきたいと考えています。 そこでお尋ねいたします。冬場における季節性インフルエンザと新型コロナの同時流行が懸念される中、県では、同時流行に対する感染症対策に今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、マイナンバーカードの取得促進についてお尋ねいたします。 総務省は、令和四年十月三十一日時点のマイナンバーカードの交付率を公表いたしました。 交付枚数は六千四百三十八万四千八百三十三枚で、令和四年一月一日時点の人口に対する交付率は五一・一%、都道府県別では宮崎県が最も高く六五・四%、これに兵庫県が五五・七%、奈良県が五五・四%と続いています。 ちなみに、本県は七十一万五千九百九枚で、五三・四%と全国平均を上回っております。 全国の市区町村の交付率上位は、大分県東国東郡姫島村九〇・五%で第一位、そして新潟県岩船郡粟島浦村八八・二%、宮崎県都城市八六・〇%と続いています。 県内の市町では、長門市が六〇・六%、和木町が六〇・三%、防府市が五八・五%と続いています。 政府は、地方自治体のDX化に力を入れ、令和四年度末までにマイナンバーカードを用いて各種行政手続が行える専用サイト、マイナポータルから原則全自治体で子育てや介護などの三十一の手続を可能とする方針を打ち出しています。 既に御案内されている健康保険証や運転免許証として利用されることで、鍵となるマイナンバーカードの交付率は、勢いを増しています。 人は、出生、入学、卒業、就職、結婚、出産、子育て、退職などのライフステージごとに様々な行政手続が生じます。今までは、そのたびごとに役所を訪れ、窓口で申請手続を要していました。 私も、数回の転勤を繰り返す中、引っ越しのたびに役所での申請手続、電気、水道、ガスなどのインフラサービス事業者への手続を行ってきました。 北海道北見市は、平成二十一年から現在まで窓口業務改善へ取組を続けており、令和三年一月に新庁舎に移転した際、来庁者が紙の申請書に手続するための記載台をなくし、申請書を書かない窓口を実現し、複数の部署をまたぐ手続が一つの窓口で完了するワンストップの窓口サービスを実現しています。 高福祉国家、北欧の小国、きれいな町並みとの印象を持つデンマークですが、デンマークは、国連が取りまとめる最新の電子政府指数で堂々の一位となるなど、世界でも高く評価されているデジタル先進国です。 あらゆる行政手続が電子化されており、役所の窓口に行列ができることもなく、申請手続を紙で行うこともなく、電子化が生活に根づいています。ただ、デジタル先進国となったデンマークでも、この改革には二十年の歳月を要しています。 マイナンバーカードの活用によって様々な手続の簡略化などを図り、その利便性を高めていくには、速やかに高い交付率を実現することが求められています。 そして、我が国においても、平成二十八年四月から国家公務員、平成二十九年六月からは徳島県庁で職員証として導入が進められ、行政サイド自ら取得に動いています。 また、後期高齢者、要介護者など、どうしてもデジタル機器が使えない方にも配慮したデジタル化、マイナンバーカードの取得促進が必要とも考えます。 そこでお尋ねします。本県では、全国平均よりマイナンバーカードの交付率は進んでいますが、交付率のさらなる向上に向けて、県は今後どのように取得促進に取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、食物アレルギーに対応した避難所の運営についてお尋ねいたします。 自然災害が激甚化・頻発化する中、災害弱者に配慮した避難所の運営のさらなる強化が求められています。 避難所では、赤ちゃんから高齢者まで様々な年代の方々が過ごしています。中には、国籍が違う方、持病や障害のある方、介助やサポートが必要な方もいます。食物アレルギーを持っていて、配られたパンやお弁当を口にできない方もいます。 しかしながら、このような方々が必要とする食料品をはじめ、物資がスムーズに届きにくく、十分な配慮がなされていないこともあります。 平成二十三年三月十一日に発生した東日本大震災により、長期間にわたり多くの人が避難所などでの生活を余儀なくされました。その際、気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーを持つ患者さんの避難生活が問題になりました。 山口県でも、アレルギーにフォーカスして避難所運営を考えているボランティアグループが県内各地で勉強会を開催しています。 「災害時、避難しなければいけない状況なのに、避難することをためらってしまうご家族がいます。その理由のひとつが「アレルギー」です。症状が目に見えにくいため周囲に理解してもらえず、避難所で孤立してしまったり、命の危険にさらされることもあります」と、パンフレットの冒頭、「私達のおもい」でつづられています。 このパンフレットで紹介されている事例として、配給されているものはパンや牛乳、カップラーメンなど、食べられないものばかり。避難所を何か所も回り、具の入っていないおにぎりを探した。アレルギーで食べられないというとわがままを言うなと言われ声を上げることできなくなってしまった。ぜんそくが出てしまい、夜、せき込んでしまうので、避難所を出て傾いた家で過ごしたなど、たくさんの声が掲載されています。 平成二十七年三月に公表された内閣府の調査によれば、指定避難所内で食料を備蓄している市区町村のうち、食物アレルギーに配慮した備蓄を行っている市区町村は四百六自治体で、全体の六一%であります。 備蓄物資の中で最も多かったのが、アルファー米の白米、次いで、牛乳アレルギー対応ミルク、そのほか主なものとして、おかゆ、備蓄用パン、アレルゲンフリーカレー、ビスケット、アルファー米の白米以外との回答がありました。 アレルギー反応を起こす原因となる物質アレルゲンは、卵、乳、小麦、そば、落花生、エビ、カニの特定原材料七品目と特定原材料に準じる二十一品目、合わせて二十八品目であります。 避難所では、特定原材料七品目を使わない炊き出しやお弁当を配給する配慮が求められます。また、食べられるものについて相談くださいとの声かけ、アレルゲンが混在する前に取り分ける、使用した材料の書き出し、使用した食品・調味料は全てお披露目することで、アレルギーを持つ方もみんなと一緒に食べられる環境がつくれ、孤独感を感じることも少なくなると考えています。 そこでお尋ねいたします。山口県内の避難所で食物アレルギーに対応した運営をどのように支援されるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、食料の安全保障についてお尋ねします。 世界的な食料危機が懸念される中において、食料の多くを輸入に依存している我が国では、食料安全保障の再構築が求められています。 このたび、顕在化した食料の安全保障は、我が国だけではなく、世界各国でこの問題が提起されています。 新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞、中国による食料の大量輸入、肥料原料をはじめ、農業資材などの輸出抑制、近年の異常気象による農作物の不作、そしてロシアによるウクライナ侵攻で世界有数の穀倉地帯から穀物輸出が滞る事態など、複数の要因が複雑に絡み合い、一気に噴き出しています。 今年の秋口からは、相次ぐ食料品の値上げが国民生活に大きな影響を及ぼしていますし、農業や畜産、酪農を営む生産者からは、生産資材の高騰や輸入依存度の高い肥料・飼料の高騰が経営を圧迫し、廃業を考える生産者も出てきています。 また、二〇〇五年の全国の農業経営体数は二百一万経営体に対し、二〇二〇年は百八万経営体と四六%減少しています。それは、耕地面積にも表れており、二〇〇五年四百六十九万ヘクタールだった耕地面積は、二〇二〇年には四百三十七万ヘクタールと六・八%減少しています。本県でも同様の傾向と見受けられます。 なりわいとして所得向上が見込めない中、後継者不在、後継者不足の問題も深刻化し、二〇二〇年百三十六万人の基幹的農業従事者のうち、六十五歳以上が七〇%で九十四・九万人、四十九歳以下が一一%で十四・七万人と、現役世代の従事者が少ない状況であります。 このような状況を打開するため、公明党は生産資材の高騰に苦しむ農業や畜産、酪農の経営支援とともに、輸入依存度の高い肥料、飼料、穀物の国産化の推進を政府に訴え、物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策に反映されています。 一方、総合経済対策では、円安環境を生かした輸出強化についても明記し、農林水産物・食品の輸出額を二〇二五年に二兆円とする政府目標を前倒しで達成するため、国際競争力のある農林水産物の輸出拡大に一層取り組むこととしています。 先般、県議会のASEAN訪問団で訪問したシンガポールのスーパーにおきましても、日本の食材、農産品、日本酒など、たくさん陳列されており、その人気の高さを感じてまいりました。 山口県としても、農業、畜産・酪農業に対して、先に述べた状況の中、様々な支援策でバックアップされています。また、担い手支援日本一総合対策事業で、次代を担う就業者の確保を積極的に推進されています。 そして、経営基盤強化のための認定農業者のうち、法人数は四百二十九を数えています。 そこでお尋ねいたします。世界的経済大国である我が国は、まだ食料、生産資材など、高くても輸入することができますが、このような状況がいつまで続くか誰も予断を持って答えられないと思います。 山口県では、農業者や畜産・酪農業者の経営基盤の安定など、食料の安全保障を図るため、どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、不登校対策についてお尋ねいたします。 文部科学省は、令和四年十月二十七日、令和三年度における児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果を公表しました。 全国の小中学校における長期欠席者数は四十一万三千七百五十人、このうち不登校によるものは、前年度から四万八千八百十三人増の二十四万四千九百四十人で過去最多に、新型コロナウイルスの感染回避によるものは、前年度から三万八千四百十一人増の五万九千三百十六人となりました。 高等学校における長期欠席者数は十一万八千二百三十二人、このうち不登校によるものは、前年度から七千九百三十四人増の五万九百八十五人、新型コロナウイルス感染回避によるものは三千六人増の一万二千三百八十八人となっています。 令和三年度、小中学校における不登校の主な要因の調査では、無気力、不安が四九・七%と半数を占め、生活リズムの乱れ、遊び、非行は一一・七%、いじめを除く友人関係をめぐる問題が九・七%と続いています。 この調査結果を受け、文部科学省は不登校が大幅に増えた要因として、コロナ禍での生活リズムの乱れや休むことへの抵抗感の薄れのほか、活動制限が続いて交友関係が築けないことに伴う登校意欲の低下を指摘しています。 本県では、小中学校の不登校児童生徒数は、前年度から五百三十七人増え二千六百三人で、千人当たり二十六・三人と、全国平均二十五・七人を上回っています。 高校の不登校生徒数は、前年度から八十一人増え三百四十八人で、千人当たり十一・二人と全国平均の一六・九%を下回っております。 このような中、本年四月に開校した山口県立山口松風館高校では、多様な学びのニーズに応える柔軟な教育システムを持つ新たなタイプの高校をコンセプトに、様々な生徒が通ってきています。 小学校・中学校時代に不登校を経験した生徒も数多く在籍しているとお聞きしています。しかし、それぞれ意欲的に勉強などに励み、出席率も随分高い状況であるとお聞きしており、通いやすい環境が生徒たちに受け入れられていると評価しています。 我が党は、浮島智子衆議院議員を座長に、不登校支援プロジェクトチームを設置し、不登校児童生徒を支援するフリースクールの施設関係者や不登校経験者などと意見交換をしました。 不登校経験者と不登校児童を育てた保護者からは、子供の学校復帰などに向けた支援策の周知を要望されたことに対し、浮島座長は、不登校の子供に寄り添った対策が必要だと指摘しています。 そこでお尋ねいたします。本県におきましても、小中学校、そして高等学校に在籍する児童生徒の中に、不登校を余儀なくされている児童生徒が把握されています。県教委として、今後どのような支援や対策に取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 最後に、経済安全保障に対する警察の取組についてお尋ねいたします。 日本は、世界中で利用されている先端技術に関する情報や最先端の高性能製品を数多く有しており、これらの技術情報などの中には、使用方法によっては軍事用途に転用可能なものも含まれています。 各国がポストコロナの国際秩序の在り方を模索する動向を活発化している中、日本の有する重要技術流出や、いわゆる頭脳流出の危険性、サプライチェーンの脆弱性といった、我が国をめぐる経済安全保障上の脅威が一層顕在化しつつあります。 そのような中、警察庁は、四十七都道府県警察に、千百以上の警察署を基盤とし、地域住民の生活に密着して犯罪の予防などに当たる我が国の警察の特性を生かして、技術情報などの流出の未然防止のため、外国からの働きかけの手口やそれに対する有効な対策について、技術情報などを扱う企業、研究機関に情報提供する、いわゆるアウトリーチ活動を強化しています。 また、令和四年四月、警察庁は長官官房に技術的知見やリソースを集約し、一元的に技術政策を推進する体制を構築するため、長官官房に技術総括審議官、技術企画課、通信基盤課及び情報化担当の参事官を設置しました。 政府においては、経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律案を第二百八回国会に提出し、令和四年五月十一日に成立し、同月十八日に公布されました。 これまでも国内において、技術情報などの流出が散見されています。 例えば、平成二十八年九月から平成二十九年四月までの間、合計五回にわたり、住所、氏名などを偽って日本のレンタルサーバーの契約に必要な会員登録を行った中国共産党の男を、警視庁公安部は令和三年四月、私電磁的記録不正作出罪、同供用罪で検挙しました。 この事件を通じて、宇宙航空研究開発機構はじめ、約二百の国内企業に対するサイバー攻撃に悪用されました。 また、大手化学メーカーの元社員の男は、平成三十年八月から平成三十一年一月にかけて、勤務先の営業秘密であるタッチパネルなどに使用される素材に関する技術情報を不正に領得するなどした上、SNSを介して接触してきた中国所在の企業の社員に開示し、令和二年十月、不正競争防止法違反、営業秘密侵害で検挙しています。 先にお示しした、警察によるアウトリーチ活動は、都道府県警察の取組に加え、警察庁も大企業や経済団体などへのアウトリーチ活動を行い、国レベルでの官民協力を推進しています。 令和三年下半期には、警察庁から延べ約七百の企業などに対し、情報提供を実施したと聞いております。 そこでお尋ねいたします。高度な技術を持つ企業が集積する山口県、企業の規模にかかわらず、インターネット環境の脆弱性を狙って、サイバー攻撃が仕掛けられる可能性は十分にあります。 山口県内の企業や大学など、学術機関の関係各位がこのような被害に遭わないように啓発し、最先端技術情報が搾取されないようにしなければなりません。 県警察として、経済安全保障にどのように取り組まれるお考えなのか、県警本部長に御所見をお伺いいたします。 以上で、公明党会派を代表して質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の代表質問にお答えします。 まず、冬場の新型コロナウイルス感染症対策についてのお尋ねです。 私は、新型コロナの感染が確認されて以来、約三年間、市町や関係機関との緊密な連携の下、社会経済活動との両立を図りながら、新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んできたところです。 こうした中、現在、人流の活発化等により、新規感染者数は千人を超えるなど増加傾向にあり、本県においても、いわゆる第八波に入ったものと考えています。 今後、本格的な冬場を迎えるとともに、過去二年間は流行がなかった季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されることから、さらなる感染対策に向け、医療提供体制を強化するとともに、ワクチン接種の促進に取り組んでまいります。 まず、医療提供体制の強化についてです。 私は、県民の安心・安全の観点から、発熱患者が急増した場合にあっても、症状を有し、診療を希望される方が早期に受診していただける医療提供体制を確保することが、極めて重要と考えています。 このため、医療関係者の御協力により、現在六百五十二の診療・検査医療機関等を確保し、同時流行で想定される一日当たり最大約八千人の発熱患者にも、十分対応できる外来医療体制を整備したところです。 また、想定を超える感染拡大に備え、今後、オンライン診療の導入促進や休日・夜間診療所の診療時間の延長など、診療体制の強化を図ってまいります。 さらに、発熱した場合に確実に相談でき、適切な受診につながるよう、受診・相談センターの電話回線を現行の約二倍に増設するとともに、自宅療養者フォローアップセンターの相談・診療体制を約一・五倍に拡充するなど、一層の体制強化に取り組みます。 加えて、感染に不安を感じる方を対象にした無料検査を、引き続き、県内八十三か所の身近な薬局等で実施するとともに、一日当たりの検査能力については、抗原検査キット等の活用を含め、約一万六千件から約三万件に拡充したところです。 次に、新型コロナワクチン接種の促進についてです。 現在、接種が進められているオミクロン株対応ワクチンは、重症化予防はもとより、感染予防や発症予防にも高い効果が期待されています。 このため、年末までに、希望される全ての方の接種完了に向け、市町や関係機関と連携し、接種の促進を図っており、とりわけ重症化リスクの高い特養や老健施設等の入所者については、既に、十一月末までに約七割の施設で接種が完了しているところです。 また、より多くの方に接種を検討していただけるよう、今般新たに、県ゆかりの若手スポーツ選手によるメッセージ動画の配信やCM放送を開始するなど、引き続き、接種の効果等の理解促進に努めてまいります。 私は、県民の命と健康を守ることを第一に、市町や関係機関との連携の下、今後とも、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、マイナンバーカードの取得促進についてのお尋ねにお答えします。 マイナンバーカードは、デジタル社会のパスポートとして、搭載された公的個人認証機能による各種行政手続のオンライン申請等を可能とする基盤であり、速やかにその普及を図っていくことが重要です。 このため、県では、取得促進に向けて、県と全市町で構成する連携会議で、県内外の優良事例など効果的な取組等の共有や最適な取組手法等の検討を行い、休日・夜間の申請受付やカード交付専用窓口の設置、交付予約システムの運用等の取組を進めてきたところです。 また、商業施設や事業所等における出張申請受付について、市町に積極的な実施を求めるとともに、関係団体を通じて、企業や自治会等にその活用を促してきました。 さらに、デジタル機器に不慣れな方への配慮も重要な課題であることから、県では山口県行政書士会と連携し、相談会の実施や申請サポート等を行う協力体制を構築しました。 県においても、職員やその家族に向け、本庁や出先機関で出張申請受付を実施するなど、その普及に努めてきました。 こうした取組の結果、本県のカード交付率は本年十月末現在で五三・四%と全国第九位となっており、申請率については六割を超えているところです。 一方で、令和四年度末までにマイナンバーカードがほぼ全国民に行き渡ることを目指すという、国の目標には達していません。 また、国においては、健康保険証や運転免許証との一体化の前倒しやカード機能のスマートフォン搭載等の具体的方針を決定したところであり、こうしたカードの利用拡大等を契機に、カードの取得をさらに促進していく必要があります。 そのためには、まず、未申請の方にカードの利便性や安全性を理解していただく必要があることから、カードのメリットや利活用方法、情報セキュリティー、市町の交付促進策等の情報を的確に周知していきます。 とりわけ、マイナポイント事業のカード申請期限となる年末に向けては、SNSやテレビCM等を活用した広報に、集中的に取り組むこととしています。 また、移動が困難な高齢者等へのさらなる支援として、公民館や福祉施設等、身近な場所での出張申請受付や高齢世帯への戸別訪問を行うとともに、新たに郵便局による申請サポートを実施するなど、取組の強化を市町に対して働きかけていきます。 これらの取組に加え、国に対しても、先般、私が本部長を務める全国知事会デジタル社会推進本部を通じて、事務負担の軽減に資する本人確認手続の見直しや市町村が実施するカードの交付拡大の取組へのさらなる支援等について求めたところであり、今後も、国への要請を重ねてまいります。 私は、デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードが広く県民の皆様に行き渡るよう、国や市町との連携を一層強化し、その取得促進に積極的に取り組んでまいります。 次に、食物アレルギーに対応した避難所の運営についてのお尋ねにお答えします。 避難所は、高齢者や乳幼児、妊産婦など、配慮が必要となる方々も利用されることから、こうした要配慮者ごとに異なる心身の状態や避難生活における多様なニーズに配慮しながら、避難所の良好な生活環境を確保することは極めて重要です。 お示しの食物アレルギーを有する方は、特定の食物を摂取することにより、呼吸困難など重篤な健康被害を発症する場合もあることから、避難所での食料や食事に関する要望を把握し、安全な食料等が確実に届けられるよう配慮する必要があります。 こうしたことから、市町の役割である避難所運営を支援するため、県が作成した基本指針に食物アレルギーの対応の必要性を記載しており、これを受け、全市町で備蓄等により特別食が確保されるとともに、避難所開設時には、聞き取り等により避難者のニーズ把握に努めることとされています。 加えて、私は、大規模災害時においても、食物アレルギーを有する方やその御家族が、ちゅうちょすることなく避難をし、安心して避難所で過ごすことができるよう、広域性・専門性の観点から、積極的に支援をしていく必要があると考えています。 具体的には、流通事業者との協定に基づく、食物アレルギーに配慮した食料の確保、いわゆる流通備蓄に取り組むとともに、昨年新たに県栄養士会と協定を締結し、要配慮者への健康管理や必要な食料の供給など、食に関する支援体制の強化を図っているところです。 また、大規模災害時において、自主的な避難所運営の中心的役割を担う自主防災組織等に対し、平時から自主防災アドバイザーを派遣し、避難所で食物アレルギーを有する方への声かけや使用した食材の書き出しなどの様々な配慮を行うよう、指導・助言をしています。 さらに、避難所を利用される県民の皆様が食物アレルギーに関する正しい知識を身につけ、一層理解を深めていただけるよう、昨年開設した、やまぐちアレルギーポータルや、防災・災害情報を提供する防災やまぐちなど、県のホームページを活用し、幅広く情報を発信していきます。 私は、県民の命と健康を守ることが何よりも重要との認識の下、食物アレルギーを有する方やその御家族が安心して避難をし、孤立することなく過ごすことができる避難所の運営に向け、引き続き、市町や民間団体等と緊密に連携しながら取り組んでまいります。 次に、食料の安全保障についてのお尋ねにお答えします。 食料の安全保障は、全ての国民が、将来にわたって良質な食料を合理的な価格で入手できるようにする、国の基本的な責務と考えています。 その一方で、世界的な気候変動やロシアによるウクライナ侵攻などにより、食料の安定供給に影響が及んでおり、国民の不安も高まっていることから、農産物の安定供給を担う農業振興の重要性が一層増しています。 こうした中、私は、本県農業の振興に向けて、新規就業者の確保をはじめ、地域を牽引する中核経営体の育成や生産性を向上させる農業基盤の整備などを行ってきたところです。 さらに、今年度、生産資材や肥料・飼料の価格が急激に高騰したことから、補正予算において、生産者の経営継続に向けた緊急的な対策を実施し、その負担軽減を図ってきました。 加えて、全国知事会等を通じて、国に対して生産資材等の価格高騰対策や国内生産の増大、経営安定対策など、国と地方が一体となって食料安全保障の強化に取り組むことができるよう要望してきました。 そうした中で、国においては、食料の安定供給の確保等を目的とした、食料・農業・農村基本法の見直しが開始されており、お示しの国の総合経済対策では、肥料、飼料、穀物の国産化や農産物の輸出拡大などの支援が盛り込まれています。 このような国の動きも踏まえ、私は、強い農林水産業の育成に向け、中核経営体の経営基盤強化や県産農産物の供給体制の強化、海外における販路拡大などを積極的に推進することとしています。 具体的には、中核経営体の経営基盤強化については、経営発展を目指す意欲ある担い手へのスマート農機の導入を加速するとともに、来年四月に供用開始する農林業の知と技の拠点において、経営管理や機械操作など集落営農法人等からの幅広いニーズに対応した即戦力人材を養成します。 また、国の総合経済対策も活用しながら、麦・大豆等の生産拡大や安定供給のための機械導入・施設整備を支援するとともに、多様な担い手の新規参入による産地の生産力向上を推進し、農産物の供給体制の強化を図ります。 さらに、飼料用米等の生産及び利用拡大により、輸入飼料からの脱却を図るとともに、地元で製造された堆肥を有効活用し、肥料の使用量削減を図るなど、農業と畜産業の連携を強化していきます。 加えて、県が国内外に配置している輸出プロモーターを活用し、対象国の市場調査を行うとともに、現地ネットワークを生かした海外バイヤーとの商談機会を創出するなど、海外市場の開拓に向けた取組を進めます。 私は、市町や関係団体等と連携し、農産物の供給体制の強化を積極的に進め、食料安全保障にもつながる、持続可能で強い農林水産業の実現に全力で取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)不登校対策についてのお尋ねにお答えします。 情報化の進展や少子化の進行など、児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中、本県においても、不登校児童生徒数の増加は生徒指導上の喫緊の課題であり、その支援に当たっては、一人一人の状況に応じた対策が重要であると考えています。 このため、本県では、これまで子供たちが学校への復帰を目指す場として、各市町教委において、教育支援センターを設置するとともに、不登校生徒のための学びの場として分教室を設置するなど、子供たちのニーズに応じた取組を進めてきました。 また、市町教委との協議会を設置し、フリースクールなどの民間施設等と連携した効果的な支援方法等についても、検討を行っているところです。 こうした中、お示しのように、令和三年度の文科省の調査結果では、全国の小中学校の不登校児童生徒数が過去最多となり、本県においても、同様に過去最多となっています。 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、人と人との距離が広がる中、子供たちが不安や悩みを一人で抱え込んだりする可能性があることから、今後は、子供たち同士はもちろんのこと、学校と子供たちのつながりを、これまで以上に大切にした取組を行っていかなければならないと考えています。 このため、不登校となった児童生徒に対し、担任等による日頃からの家庭訪問に加え、授業配信による学習支援やスクールカウンセラー等による相談カウンセリングをオンラインで行うなど、ICTを効果的に活用した支援の取組を一層充実してまいります。 また、学校に戻りたいものの、教室には入りづらい児童生徒を教室復帰へつなげるために、学校内に居場所を確保し、支援する体制づくりについても検討してまいります。 県教委としましては、様々な理由で不登校を余儀なくされている子供たちにしっかりと寄り添い、学校と子供たちのつながりを大切にした、不登校児童生徒に対する支援を一層充実してまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)経済安全保障に対する県警察の取組についてのお尋ねにお答えいたします。 議員御指摘のとおり、日本は世界中で利用されている先端技術に関する情報や最先端の高性能製品を数多く有しているものと承知しておりますが、こうした技術情報等を有している企業や大学研究機関につきましては、当県にも多数あるものと認識しており、警察が行う経済安全保障の取組においては、技術情報等の流出防止対策が極めて重要であると考えております。 従来から、警察では、技術情報等の流出防止対策として、産業スパイ事案や高度な技術を使った製品の不正輸出事案、サイバー攻撃事案等の実態解明と取締りを推進してまいりました。 しかし、企業等に対するサイバー攻撃事案や技術情報等流出事案は継続的に発生しており、こうした被害を生まないために、いかに未然防止を図っていくかが課題となっております。 そのため、県警察といたしましては、これまで警察が解明してきた技術情報等の流出の手口や、それに対する有効な対策のノウハウを企業等に情報提供する活動、いわゆる技術情報等の流出防止に向けたアウトリーチ活動を一層強化し、被害の未然防止に重点を置いた取組の推進が重要であると考えており、やまぐち未来維新プランにおいても、県警察の重点施策として掲げているところです。 現在、県警察においては、外事課が中心となり、サイバー攻撃等の担当部署や各警察署のほか、必要に応じて官民の関係機関とも連携しつつ、県内所在の企業等に対する個別の訪問活動や講演等を通じて、自主的な技術情報等の流出防止対策の支援に努めているところです。 警察から情報提供している内容については、相手方のニーズや情勢に応じて調整しており、主なものといたしましては、諸外国による対日有害活動やサイバー攻撃の情勢、海外や日本国内において確認されている技術情報等流出事案の紹介、技術情報等の流出防止や情報セキュリティーの向上に向けた注意点等を提供しております。 そのほか、サイバー攻撃に関しては、県内大学において企業や自治体のシステム担当者などを集め、産学官連携によるサイバー攻撃共同対処訓練を実施しているほか、重要インフラ事業者等に対して、個別に標的型メール攻撃対処訓練を実施し、サイバー攻撃に対する対処能力の向上及び危機意識の醸成を図っているところです。 県警察といたしましては、技術情報等の流出防止に向けたアウトリーチ活動やサイバー攻撃対処訓練等を通じ、県内の企業や大学・研究機関、さらには、昨今、サイバー関連事案の被害が確認されている医療機関を含めた重要インフラ事業者に対しても、技術情報等の流出防止対策を支援する活動を推進してまいります。 また、警察が行う経済安全保障の取組に従事する職員に対して、専門的な教養や実戦的な訓練等による知識、能力の底上げを図るなど、県内から技術情報等の流出事案が発生しないよう、対策に万全を期してまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十九分休憩