討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 宮本輝男君。 〔宮本輝男君登壇〕(拍手) 宮本輝男君 社民党・市民連合を代表いたしまして、議案第一号、二号及び第六号、動議、意見書案第一号、請願第一号について、討論を行います。 まず、議案第一号は、令和四年度山口県一般会計補正予算第二号であります。 この補正予算は、総額百十七億九百万円で、その主な内訳は、新型コロナ感染症対策として八十四億七千五百万円、原油価格・物価高騰対策として二十九億七千二百万円、そして、安倍元首相の県民葬へ六千三百万円が支出されます。 そもそも国葬は、岸田内閣は、七月二十二日の閣議で、安倍晋三元首相の国葬を九月二十七日に行うことが決定され、挙行されました。 もっとも、安倍元首相が、民主主義の根幹である参議院選挙中に、手製の銃で殺害されたということが起きたということは、いかなる理由があっても決して許されることではありません。 しかし、これまで繰り返し言われているように、国葬の基準、法的根拠が曖昧なこと、安倍晋三元首相に対する政治的評価は国論を二分しており、また、国民の過半数が国葬に反対しており、政府が国葬によって賛美、礼賛を国民に強要するべきではないこと、モリカケの疑惑があるだけでなく、公文書の改ざんが疑われる中での国の職員の自死や桜を見る会の疑惑に関する説明責任が果たされていないこと。加えて、それまでの内閣は認めていなかった集団的自衛権を国会に諮ることなく閣議決定をし、その後には安保法制を次々に数を頼りに成立させ、日本が戦争のできる国になっていくおそれをつくったこと、死者に対する弔意は、内心の自由に関わる問題であって、国が強制すべきではないこと、今回、改めて明らかになった旧統一教会の霊感商法や巨額の献金強要など反社会的な行為の実態を明らかにし、安倍元首相をはじめ、政治と旧統一教会との関係の解明が急務であることなどからして国葬を行うべきではなかったと思います。 我が社民党・市民連合は、九月十三日の議会運営委員会において、知事・県議会議長の出席のための本定例会の二十七日休会に反対を表明いたしました。 県民葬については、国葬と同様なことが言えると思います。県は、実施の根拠の一つに、三か所に設けた記帳所で一万三千八百人を超える多くの県民が弔意を示されたことを上げられていましたが、県民の割合で言えば一%でしかないこと。住民サービスが根幹をなしている地方自治法も根拠に挙げられていますが、先般の国葬と同様に、根拠が曖昧であり、理解し難いこと。加えて、故安倍晋三元首相の県民葬の実行委員会の構成団体は、山口県、山口県議会、県内各市町と各議会が入っており、当然県民や各自治体の住民からの税金である公費が、県民の意思にかかわらず使用されます。 このことは思想信条の自由に反し、弔意の強要につながることからも、国葬と同様に反対いたします。 したがいまして、第一号議案に反対します。 しかし、新型コロナ感染症対策や石油価格・物価高騰対策は県民生活に重要であることから、議案第一号令和四年度山口県一般会計補正予算第二号に関する組替え動議に賛成するものであります。 また、同様な趣旨から、請願第一号の安倍元首相の県民葬の中止を求めることについては、委員長報告では不採択でしたが、不採択に反対いたします。 議案第二号 令和四年度の建設事業に要する経費に関し市町が負担すべき金額を定めることについて、議案書には、各事業について、各関係法の規定により、具体的に市町への負担額が決められ、表示されています。この議案については、我が会派は反対をし続けています。 事業によっては、その負担割合は違いますが、工事費の負担額の大小はあるものの、負担率は、下は三%から、上は五○%となっています。 確かに、関係法においては、市町に負担を求めることができるようになってはいます。地方分権の掛け声とともに、地方六団体を挙げて取り組み、主張されてきた国の直轄事業負担金廃止問題は、残念ながら近年、その声が全く聞こえてきません。市町への負担金は、その延長線上の課題にあります。 とりわけ、今年の新型コロナウイルスの影響で低迷している県民生活や地域の経済の立て直しのために、県内市町は、例年以上に財政状況が厳しいのは共通をしております。 知事は、国の負担金制度廃止について強く行動していただくことを併せ要望し、本議案に反対をいたします。 次に、議案第六号 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律に基づく個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例は、対象の拡大における条項の追加ですが、我が会派は、個人番号制度に反対する立場から、今回の条項追加による改正である議案に反対をいたします。 現在、マイナポイント付与サービスキャンペーンなどで、マイナンバーカードの普及がなされ、マイナンバーカードを利用せざるを得ない状況がつくり出されています。 そもそも個人番号を利用する、しないということは、本人の意思に委ねられていることだというふうに思います。 今後、個人番号の利用可能範囲が金融機関、医療機関、ショッピング等に拡大されれば、大企業の機密情報が、サイバーテロによって漏えいされている可能性があるとされた事件も多数報道され、個人情報が漏えいする可能性が十分考えられます。 ましてや、昨今の偽メールでの個人情報をだまし取る案件が多発していますし、なりすまし被害も出るとの指摘がされています。 市町が管理する、住民票、保険、年金、資産等が、マイナンバー制度によって国家が個人の情報を管理でき、一方で、普及率の低い自治体などへはペナルティーとして、地方交付税等の減額措置の案も出されており、地方分権と言われながら、国家統制の強化につながりかねないようになる可能性が十分にあると指摘する専門家もいます。 これらの問題は、今回の条例改正は、個人番号制度に関わり、行政手続が組み込まれていく危険性を危惧し、現行行政手続では、課税証明、所得証明等で十分対応できるものであります。 最後に、意見書案第一号 台湾のCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括及び先進的な協定)参加を積極的に支援するよう求める意見書についてです。 CPTPP、環太平洋パートナーシップに関する包括及び先進的な協定は、中国も加入申請をしており、台湾のみを殊さら国において各締約国に積極的に加入実現できるよう働きかけることを要望することは、適切ではないと考えます。 我が国は、多くの工業製品を中国での生産に頼らざるを得なくなっており、参加各国に加入を働きかけるならば、中国と台湾は同等にしなければなりません。 よって、意見書案第一号に反対します。 議員の皆様方におかれましては、御深慮の上、御賛同を賜りますようお願い申し上げまして、反対討論といたします。(拍手)