1 子育てしやすい山口県について 2 空き家を活用したまちづくりについて 3 女性の視点を活かした防災対応について 4 食料自給率を上げるための取り組みについて 5 特定外来生物(アルゼンチンアリ)の駆除について 6 その他
副議長(二木健治君)磯部登志恵さん。 〔磯部登志恵さん登壇〕(拍手) 磯部登志恵さん 光風会の磯部登志恵でございます。 それでは、通告に従いまして、一般質問を始めます。 一点目、子育てしやすい山口県について。 二〇二〇年の出生数は八十四万人まで減少し、今後、その数が右肩上がりで増えることはないと言われてきましたが、今年は既に上半期で生まれた赤ちゃんの数は四十万人を下回り、八十万人割れの出生数となることが予測されるとの記事を目にいたしました。 少子化は、結婚や出産だけの問題ではなく、格差社会の進行や経済の停滞など様々な問題が相互に関連し、悪循環を生み出してきたものと言われております。 長引くコロナウイルス感染の影響で、感染の不安などから妊娠を控えるケースもあったと思われますが、子供が生まれる数が激減していることは事実であります。少子化対策の特効薬として、どのような子育て環境が必要なのでしょうか。 以前、子育て世代の方から、出産や子育て環境が充実しているか調べて、マイホームを購入するときはもちろんですが、住む場所を決めるときの大きな動機の一つになりますと言われ、ネットなどでしっかりと確認しておられることに驚いたことがあります。 さらに、夫婦共働きが当たり前の今、子育ては家族以外のサポートが必須となっております。コロナ禍の二〇二一年、子育て支援も質が大きく問われるようになりました。また、仕事もリモート化が進み、都市部以外に住む選択肢も増える中、子育て世代の移住を支援する体制も強化されております。 数年前、若い世代の様々なアンケートやデータを見たとき、希望する子供の数は現状の子供の数より多いという結果でしたけれども、先日の出生基本動向調査の発表で、希望の子供数が初めて二人を割ったという記事に、正直びっくりいたしました。 産めない理由は、子育てや教育にお金がかかり過ぎること、経済的に将来が不安で子育ての手助けもないという意見など様々ですけれども、コロナ禍の影響もあり、若い世代の結婚や出産への意欲が大きく低下しているということでもあります。 古きよき時代の日本と比べてみても、昔ながらの大家族は少なく、三世代同居などの割合は戦後から高度経済成長期を経て次第に低下し、核家族化が進行してまいりました。近年は独り親家庭が増加している状況です。 コロナ禍で出産や育児をめぐる環境は厳しさを増しており、核家族や独り親家庭など周囲の手助けを受けることができず、孤立する母親も出ており、心身の不調や虐待につながるケースも増えているのが現状であります。 国では、今後、少子化対策の一環として、出産後の授乳指導や育児相談など、産後ケアの実施状況についても、都道府県に市区町村への支援状況を尋ねられるようです。このような記事からも、少子化に歯止めがかからない状況に成果を上げる取組が模索されていると感じています。 こうした中、山口県では、結婚、出産、子育てまで、切れ目のない支援を進めておられますが、都市部と違い、地方のよさを生かす手法はないのでしょうか。 以前、私の住む光市で、子育て支援に関するアンケート調査が行われましたとき、困ったときに親の支援が求められる人が多いことに正直びっくりいたしました。子育て世代の両親が近隣に住んでおられるということなのです。 祖父母支援が難しい都市部の子育て世代と違い、地方の子育て世代は、ありがたい祖父母支援をしっかり受けてもらえる環境にあるのではないでしょうか。 山口県では、世代間の支え合いによる子育てしやすい環境づくりとして、三世代同居・近居を希望する方を支援する様々な取組を、官民連携して展開しておられます。 核家族化が進む中、仕事と育児の両立には夫婦の協力が欠かせないのですが、育児の負担は相変わらず女性に偏っているという状況も事実であります。 三世代同居などへの支援を強化することは、ありとあらゆる効果を生み出すことが分かっております。しかし、三世代同居・近居推進に関わる支援制度についてのアンケートでは、制度を知らない方が多くおられました。 そのほかにも、本県では、シニアの方を活用した世代間交流、地域交流の促進や地域の活動による子育て支援のほか、やまぐち版ネウボラの推進や子育て県民運動の推進など、みんなで子育て応援山口県を合い言葉に、子供を取り巻く社会全体で子育て世帯を支える、本県ならではの取組が積極的に進められておりますけれども、子育て世代の声に耳を傾けますと、県の取組を知らなかった、もっと知っていればよかったなど、取組の周知に関してまだまだ課題があるように感じております。 少子化がますます進む本県において、子育て世帯が県内どこに住んでいても手厚い支援を受けられるようにするためには、本県の地域性を生かした山口県らしい取組を進めることが最も重要と考えますが、その取組を様々な手段を駆使してしっかりと周知し、確実に必要な子育て世代への支援につなげていくこともまた重要です。 そこでお尋ねいたします。子育てしやすい山口県に向けて、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目、空き家を活用したまちづくりについて。 日本全国で大きな問題となっている空き家、地域の過疎化とともに深刻さが増す空き家問題は、防災や生活環境の面からも対策が必要です。 平成二十六年に、空家等対策の推進に関する特別措置法が制定され、緊急課題である除却の問題に対応することは可能となりましたが、これからは空き家の利活用が重要で、適正な管理や除却に加えて、利活用を一体的に進めていく必要があると思っています。 県内でも、古い町並みを生かした場所などで成果を上げている地域もありますが、それ以上に空き家となる家が増えているのが現状です。 空き家と言っても、移住・定住などに使えるものと長年放置され、活用もできず朽ちるものと両極端に分かれてしまっています。 私の住む地域でも、車の入らない場所などは草の管理もできていない空き家が自治会の問題にもなっており、対応に困っておられる方が多いと感じております。 そのような中、空き家をいち早くまちづくりに生かそうと、官民一体となった取組で大きな成果を上げられている町も出てきています。 活用事例を見てみますと、空き家を地域のコミュニティースペースとして活用する取組や子ども食堂を通して地域の交流拠点と進める形もできています。山口県は、子ども食堂増加率一位でありますので、各市町の参考になるのではないでしょうか。 さらには、空き家を活用した起業支援に力を入れる取組、空き家と移住・定住、就業支援をパッケージにした取組などを行えば、様々な可能性が大きなチャンスにつながることは間違いありません。 そこでお尋ねいたします。全国的に空き家が増加する中、県として空き家対策にどのように取り組んでこられたのか、また、今後、市町とも連携し、空き家を利活用したまちづくりに積極的に取り組むべきと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 三点目、女性の視点を生かした防災対応について。 東日本大震災をはじめ、日本全国様々な災害が各地を襲っていますが、避難所運営の主体に女性職員がおらず、細やかな配慮ができていないことが顕在化いたしました。その状況を受け、防災分野における女性の声を反映する動きが広がり始めています。 避難所で突然生理が始まったが、生理用品が足りずにもらえなかった。避難所に仕切りがなく、みんながいる場所で授乳しなければならず、ストレスを感じた。東日本大震災や熊本地震などの被災地では、こうした女性ならではの問題が相次ぎました。 豪雨や地震などが相次ぐ中、女性の視点を取り入れた災害対策は喫緊の課題となっております。しかし、二〇二二年五月二十七日に公表された国の調査では、全国の六割余りの自治体で、防災担当部署に女性職員が一人もいないことが明らかになりました。 国は、二〇二〇年、男女によって異なるニーズを把握して避難生活や備蓄などの備えに役立ててもらおうと、ガイドラインを作成しております。さらに、災害時の対応力を強化するため、全国千七百四十一の自治体を対象に、防災担当部署の女性職員の割合を初めて調査し、二〇二二年五月に結果を公表いたしました。 その結果、全体の六一・九%、千七十八自治体で防災担当の部署に女性の職員がゼロ、つまり一人もいないという結果が明らかになりました。 防災担当部署に女性職員がいない市町村の割合について、都道府県別のデータでは、山口県は十九分の十で五二・六%であります。 専門家の意見を見ると、台風などの大雨や地震など夜間の緊急対応や泊まり込みが必要な業務が多くなりがちなため、子育て世代の女性を中心に対応が難しいということで配置できないのではないかと指摘されています。 託児ケアを充実されるなどして女性職員の配置を増やすほか、すぐに女性を配置できない場合は、避難所の運営や備蓄などを検討する際に、ほかの部署の女性職員や地域の女性団体に参加してもらうなど、いろいろな方法があるという意見も出されています。 その後、今後それぞれの自治体でできる対策をさらに進めていく必要があると思います。そのためには、小さな子供や高齢の親を持つ職員が安心して家族を預けられる体制を整える必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。近年、想定を超えた災害がいつ起こるか分からない現状であります。常に危機意識を持って県内市町との連携、特に女性の支援を充実させる職員体制を整える必要があります。 今後、県内市町の状況を踏まえ、どのように体制を整えていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 四点目、食料自給率を上げるための取組について。 日本の食料自給率は年々低下の一途をたどり、二〇二〇年度の食料自給率はついに統計開始以降最低を記録いたしました。 地球温暖化による気候変動やロシアのウクライナ侵攻が勃発した国際情勢の緊迫化で、農作物の不作や物流が滞る事態が懸念される中、これからもっと深刻な状況が予測されるのではないかと、地元農業者の方から御意見を頂いております。 地球温暖化も影響し、今後の食料不足を想定した取組は緊急課題ではないでしょうか。特に農業に関しては、年々増えていく耕作放棄地の解消が必須であると痛感しています。 例えば、農業委員会で将来にわたる地域農業の持続を目指し、農地利用適正化活動に取り組むことも可能ではないかと考えます。 以前、私も農業委員を経験しておりまして、年一回、担当エリアをくまなく実地調査しておりました。年々耕作放棄地が増える中、その課題を解消できる手法はなかなか難しいと感じておりました。 しかし、さらに一歩進む手法として農家の意向調査を進め、農業経営の今後について個別に調査をすることが重要なのではないかと感じております。まずは、将来的に継続が困難とする農地対策が喫緊の課題でもあると考えています。 その調査結果では、地域農業の継承となる農地を生かし、担い手を応援する取組へ進むことにつながっていくのではないでしょうか。 規模拡大志向の農業者、定年帰農者、半農半X、新たな担い手につなげること、市町の空き家バンク制度とセットで推進していくこと、各市町との連携で耕作放棄地を新たな活用方法で生かすこと、稼げる農業として園芸農業、野菜、果樹に転換を進めることなどなど、積極的に取組は既に各方面で始まっております。 また、漁業については、農業と同様、漁業者の高齢化で若い人たちが安心して漁業の世界に入り、安定して漁業を続けられる環境づくりが重要です。漁師の担い手育成については、漁業就業支援として全国でも山口県は非常に充実している状況であります。 国の制度もありますが、県と各市町が連携したニューフィッシャー制度の中で、年次的に漁師の担い手を育成するために手厚い支援を進められておられ、その成果は大きいと感じております。 もう一つの課題は資源の問題で、一九八四年をピークに日本の漁業生産量は減少し続けており、海流などの海洋環境の変化の影響が大きいことは分かっていますが、環境条件が整えば、大幅に資源量を増やすことが可能だと言われています。 漁業資源の回復を積極的に行うことが、生産量を増やすことにつながると考えますので、衰退した藻場や干潟の改修が重要です。 さらに、魚市場などで大量に漁獲される旬の魚を無駄なく生かし、敬遠される魚、捨てられている魚を加工し、食べられずに廃棄される魚を工夫して売る取組も始まっております。 そこでお尋ねいたします。食料自給率を上げるため、農業、漁業それぞれの分野の現状と課題をどう捉え、今後どのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 五点目、特定外来生物アルゼンチンアリの駆除について。 特定外来生物であるアルゼンチンアリは、平成五年に広島県廿日市市で初めて確認され、県内では岩国市、柳井市、宇部市、光市、周防大島町で確認されています。 アルゼンチンアリは南米原産のアリで、日本に輸入される資材などに付着して国内に侵入したと考えられています。毒は持っておりませんが、繁殖力が強く在来のアリを駆逐してしまうなど、生態系への影響が懸念されます。 また、家屋に侵入して台所の食べ物にたかるなど、人に不快感を与えたり、農作物などへの被害も発生しております。 平成十八年三月に、アルゼンチンアリ対策を推進するため、山口・広島の関係自治体により、アルゼンチンアリ対策広域行政協議会が設置され、アリに関わる調査を実施し、情報の共有化を図ってこられました。 平成二十年度から二十二年度まで、国の生物多様性保全推進支援事業を活用し、各市の一定区域内において、住民参加の自主防除をモデル的に実施されました。取組の成果として、自治会向けのアルゼンチンアリ一斉防除マニュアルを作成しておられます。 私の住む光市では、一部地域のアルゼンチンアリ生息から広がりを食い止めるため、一斉防除など年次的な取組を進めてきております。撲滅までにはなかなか至りませんがかなりの成果を上げてきております。 しかし、先日、市内のほかの地区への広がりが確認され、今後の取組に苦慮しているところでもあります。 そこでお尋ねいたします。アルゼンチンアリの防除は地道な取組が必要ですし、これ以上広げないことが重要であります。県は、国の交付金を活用し、一斉防除マニュアルを作成されていますが、継続した関係自治体への支援が必要なのではないでしょうか。今後の進め方について、当局の御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終了いたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)磯部議員の御質問のうち、私からは、子育てしやすい山口県についてのお尋ねにお答えします。 少子化の流れを変えるためには、若い世代が結婚の希望をかなえ、安心して子供を産み育てることができる環境づくりを進めることが重要です。 このため、私は、やまぐち未来維新プランの素案において、重点的に施策を進めるプロジェクトの一つに、結婚、妊娠・出産、子育て応援を掲げ、県民や企業など地域社会総ぐるみで取り組む、みんなで子育て応援山口県を推進していくこととしています。 具体的には、企業や関係団体等で構成するやまぐち子育て連盟を設立し、子育て県民運動を展開するとともに、民間資金を活用した子ども・子育て応援ファンドによる支援や企業と子育て支援団体のコンソーシアムによる協働活動の促進に取り組んでまいります。 また、身近な場所で子育てに関する幅広い相談ができるよう、本県独自の取組として、県内約百五十か所の地域子育て支援拠点を活用し、育児相談に加え、妊娠・出産等の相談にも対応できるやまぐち版ネウボラを推進することとしています。 加えて、世代間の支え合いによる子育て支援を進めるため、市町、企業等と連携した三世代同居・近居を促進するとともに、地域の高齢者等を子育て支援の現場につなぐ子育てサポーターバンクの取組を、引き続き進めてまいります。 こうした取組については、県のホームページやSNS、テレビ等、各種媒体の活用に加え、子育て団体等を通じた情報提供や、今年度からは子育てAIコンシェルジュによるプッシュ型通知の活用により、子育て世代に直接情報が届き、必要な支援につながるよう、一層の周知に努めてまいります。 私は、若い世代に、安心して子供を産み、育てていくなら山口県と思っていただけるよう、今後とも市町や関係団体等と連携し、本県の実情を踏まえた子育て支援の充実に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)空き家を活用したまちづくりについてのお尋ねにお答えします。 町なかに点在する空き家の中には利用可能な建物もあり、県としては、これらをまちづくりの貴重な資源として活用することは有効な手法と考えています。 このため、県では、市町と連携しながら空き家に関する情報発信や相談会の開催など、利活用を促進するための取組を行っているところです。 具体的には、空き家バンクの情報を広く周知するとともに、利活用事例集を作成し、セミナーや相談会などを通じて、移住者用の住宅やカフェなどの店舗、コミュニティー施設等に改修した事例のほか、助成金等の紹介を行うなど、空き家の利活用を希望される方の様々なニーズに沿った相談に応じています。 加えて、県では、市町が福祉・商業施設の誘導施策等に合わせ、空き家の利活用などの施策も盛り込んだ立地適正化計画を策定するに当たり必要な助言を行うなど、空き家を活用したまちづくりを支援しているところです。 県としては、引き続き、こうした取組を通じ、まちづくりの主体である市町とも連携しながら、空き家を活用したまちづくりに取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)女性の視点を生かした防災対応についてのお尋ねにお答えします。 避難所運営をはじめ、平常時の備えから初動対応、復旧・復興に至るまでの各段階において、女性特有の様々な課題に的確に対応するためには、女性の視点を生かした防災対策を進めていくことが重要です。 このため、県では、防災関係部署への女性職員の継続配置に努めるとともに、県防災会議の委員に男女共同参画を担当する女性幹部職員を新たに加え、女性が防災対策の意思決定過程に参画し、その意見を反映できるよう、体制の強化に取り組んでいます。 また、地域において女性が防災リーダーとして活躍できるよう、市町と連携し、女性消防団員の確保・育成に努めるとともに、県が養成する自主防災アドバイザーを通じて、地域防災の要となる自主防災組織に対しても、女性の視点を生かす取組を促しています。 こうした県の取組に足並みをそろえ、市町の防災会議の委員に占める女性割合も向上しているほか、市町の地域防災計画においても、自主防災活動への女性の参画や避難所における生理用品など、女性に必要な生活必需品の確保に関する明文化が進んでいるところです。 お示しの、市町における防災担当部署への女性職員の配置については、市町の実情を踏まえた結果と考えていますが、国のガイドラインが示すように、女性のニーズを踏まえた防災対策を講ずるには、女性職員を配置し、その比率を高めていくことが重要です。 このため、市町の担当者会議等を通じ、災害対応に携わる女性職員への支援事例などを周知し、女性職員の配置を促すとともに、配置が困難な市町には、女性の視点から防災活動に取り組んでいる民間団体との連携事例を提供するなど、市町の体制づくりを支援していきます。 県としては、引き続き、市町と連携しながら、防災対策に女性の視点を生かし、県民誰もが安心・安全を実感できるよう、防災体制の充実に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)食料自給率を上げるための取組についてのお尋ねにお答えします。 食料自給率については、国がカロリーベースで二〇三〇年に四五%へ引き上げる目標を掲げ、この達成に向けて生産・消費両面の取組を推進することとされています。 本県においては、中核経営体の経営基盤の強化や地産地消をはじめとした国内外の販路拡大など、県産農林水産物の生産と需要の拡大を一体的に進めてきたところであり、こうした取組は、国の食料自給率向上にもつながるものと考えています。 しかしながら、お示しのとおり、気候変動や国際情勢の変化など、本県農林水産業は様々な課題に直面しており、農業においては、耕作放棄地対策や稼げる農業への転換を進めていくことが重要です。 具体的には、耕作放棄地対策として、市町が農業委員会等と連携して、個別農家の意向調査に基づき将来の担い手や農地の在り方を定める地域計画について、その策定を支援します。 これにより、意欲的な農業者への農地集積等を進め、耕作放棄地となることを未然に防止するとともに、新たな担い手による耕作放棄地を活用した有機農業の取組を支援するなど、農地の有効活用につなげてまいります。 また、稼げる農業として、収益性の高い園芸品目等への転換を図るため、来年四月に供用開始となる農林業の知と技の拠点を核としたスマート技術の開発・導入を進めるとともに、中核経営体等が取り組む園芸施設の整備を支援します。 一方、漁業においては、新規就業者の確保・育成に加え、若い漁業者が安心して漁業を続けていくため、水産資源を回復させ、安定した収入を得られる取組が重要です。 このため、トラフグ等の重要魚種の種苗放流とデジタル技術を活用した生息量調査による一体的な資源管理を強化し、水産資源の回復を図ります。 あわせて、多くの生き物の産卵・成育の場として重要な藻場・干潟の保全や機能回復の取組を進めてまいります。 さらに、漁業者グループが実施する加工機器の導入や施設整備を支援し、漁獲物の付加価値向上や消費拡大を図ることにより、安定した収入の確保に努めます。 県としては、国の食料自給率の向上に資するよう、今後とも市町や関係団体等と連携しながら、県産農林水産物の安定供給と需要拡大にしっかりと取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)特定外来生物アルゼンチンアリの駆除についてのお尋ねにお答えします。 アルゼンチンアリは、在来種を駆逐するなど生態系への影響等が懸念されており、早期に発見し速やかに防除することが重要です。 このため、県では、お示しの広域行政協議会において、自治会による自主防除活動のモデル的な実施や一斉防除マニュアルの作成など、関係自治体と連携した防除対策に取り組んできたところです。 こうした取組により一定の効果はあったものの、アルゼンチンアリは非常に繁殖力が強いため根絶には至っておらず、また、新たな地域での繁殖も確認されていることから、今後はさらなる防除対策と生息域をこれ以上拡大させない取組を一層進めていきたいと考えています。 具体的には、県民自らが早期に発見し、速やかな防除につなげることができるよう、アルゼンチンアリの簡易な識別方法や各健康福祉センターに設置している相談窓口などを広く普及啓発してまいります。 また、市町に対しては、新たに生息が確認されれば、現地に赴き生息調査範囲や効果的な防除方法等の指導を引き続き行ってまいります。 さらに、これまで発見されていない市町においても円滑な初期対応が可能となるよう、全ての市町と県の関係課による合同会議を開催し、取組事例の情報共有等を行うこととしています。 このような取組に加え、市町が継続的に対策に取り組めるよう、全国知事会等を通じて、国に必要な財政支援措置等を要望してまいります。 県としては、今後も引き続き市町や自治会等と連携して、アルゼンチンアリの防除対策に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)本日の一般質問及び提出議案に対する質疑は、これをもって終了いたします。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後二時二十分散会