1 持続可能な農業振興について 2 障害者の雇用拡大と就労支援の充実について 3 観光振興支援について 4 県政の効果的な広報について 5 山陰道の建設促進と周辺道路網の整備について 6 起業・職業教育の充実について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 おはようございます。自由民主党の笠本俊也でございます。今定例会一般質問のトップバッターを務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。 さて、日本で初めて新型コロナウイルス感染症の感染者が確認され、三年近くが経過します。この間、コロナに関する情報は、日々刻々と変化し、行政の新しい施策も次々と打ち出されてまいりました。 現在、第七波がようやく下向きに転じてきたところですが、コロナ禍を通じて私自身が地域の方々と触れ合う中で強く感じるのは、情報や施策を必要としている県民に適切に、迅速に、そして、着実に届けていくことのできる、そして、やり取りもできる体制づくりへの進化が必要だということです。 今後、情報発信や県と県民の皆様とのやり取りに関しては、DXが大きな鍵を握っていくこととなるでしょう。 私のふるさと長門市は、現在、全市内を網羅する5G化に向けたインフラ整備が進められていますが、将来、このインフラが単なる情報発信という一方通行にとどまらず、在宅でのデジタル医療や介護支援、移動手段の予約、生活用品の購入、配送など、僻地に暮らしておられる交通弱者や買物弱者、障害者や高齢者にとって暮らしの具体的な一部を大いに支える存在となり、きめ細かなサービスが提供されていくことを期待をしているところです。 これまで約二年間、デジタル改革の掛け声の下、情報や施策を届ける側である県も、職員の皆さんが限られた時間の中で懸命に対応され、民間のノウハウも活用しながら試行錯誤し、デジタル技術を活用した様々な手段や方策を講じてこられたわけですが、それが真に求められている方に届けられているのか。改めて確認する機会を持つことも大切なことだと感じます。 デジタル改革の熟度を上げていくために、誰もが情報社会の恩恵を受けられるよう、デジタルデバイドを緩和させつつ、DXによる新たなサービスの実践の場をより多くつくり、実展開されていかれるよう期待しています。 今議会から議会改革の一環として、議員が議場にタブレットを持ち込むことが可能となりました。議員自身もデジタル時代という変化に対応した施策提言が求められており、より質の高い議会運営や議員自身の活用に向けて我々も次のステップに向けた意見を精力的に出し、DXに積極的にチャレンジしていきたいと考えています。 今後、ウイズコロナ時代に必要とされる県民の皆様にとって分かりやすく、活用しやすい情報発信・収集や双方向のやり取りも可能な施策が大いに展開されるよう、県においても県民に求められるDXのチャレンジを不断の努力で進めていただきますようお願いいたします。 それでは、通告に従い一般質問をいたします。 一昨日の代表質問において、我が会派の林議員から、飼料や資材高騰等により経営が厳しくなっている畜産業に対する質問がありました。 県においては、このたびの予算措置で配合飼料価格安定制度への補?に加えて、取扱トン数に応じての支援策を打ち出され、感謝に堪えないところです。 私も地元長門は、県内有数の畜産振興地域でありますので、現状を把握するため、養鶏、和牛等、多くの地元事業者にお話を伺ってまいったところですが、県の支援が、今後も飼料・肥料価格高騰がもたらす苛酷な経営への影響を見据えながら、各事業者に適切かつ幅広く届いていくよう、また、県畜産振興の未来を担う畜産事業者が、今後、着実な自立を図っていけるよう、次を見据えた支援策を展開していただきますよう要望しておきます。 それでは、私からは、県産農産物の安定供給に向けた、持続可能な農業振興について質問をいたします。 我が国では、食料の大半を海外からの輸入に依存しており、ロシアによるウクライナ侵略以降、国際的な穀物需要の増加や、新型コロナウイルス感染症の感染拡大などと相まって、海外からの食料の調達不安など、食料需給をめぐるリスクが顕在化してきており、食料安全保障の強化が重要となっています。 食料の安定供給に向けては、輸入依存からの脱却を図り、国内生産の増大へとシフトしていくことが必要であります。 そのためには、農家が安心して生産活動に専念できる環境を整えることが重要であることから、国においては、国内農業の持続的な振興を図るため、様々な取組が行われているところです。 本県においても、これまで担い手支援日本一を掲げ、募集から研修、就業、定着までの一貫した担い手確保の取組、強い経営体の育成に向けた規模拡大や生産性向上に資する取組、農家所得向上に向けた、はなっこりーや、せとみ、ユリやリンドウなどの県オリジナル品種の開発や種苗の確保など、持続可能な農業振興に積極的に取り組んでこられました。 特に、種苗の安定的な確保に向けては、種子法が廃止されて以降、奨励品種の決定や原種、原原種の確保、種子生産農家への指導など、具体的な手続を要綱・要領に定め、種子法に規定されていた県の責務と同様の取組を着実に行ってこられました。 私は、こうしたこれまでの県の取組については高く評価しているところですが、気候変動による世界的な温暖化や病害虫の異常発生などのリスクが顕在化してきており、将来にわたる安定した農業経営に対する農家の不安の髙まりを実感しているところです。 このため、高温や病害虫に強い品種の開発、育成に加え、主要作物及び県オリジナル品種に係る優良な種苗の確保などにおける県の責務は、ますます大きくなってきています。 優良種苗の安定確保に向けた取組を一層推進していくため、本県独自の条例制定を検討するときではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。県民への農産物の安定供給に向け、米、麦、大豆の主要作物をはじめ、県オリジナル品種なども含めた県産農林水産物の生産拡大や、生産に必要となる優良な種苗の安定的な確保など持続可能な農業振興に、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、障害者の雇用拡大と就労支援の充実についてお伺いいたします。 まず、障害者の雇用拡大についてです。 現在、障害者雇用促進法により、民間企業の障害者法定雇用率は二・三%、従業員を四十三・五人以上雇用している事業主は、障害者を一人以上雇用しなければなりません。 この法定雇用率の達成を障害者雇用の目的と捉える企業も多いように感じていますが、雇用率の達成は一つの通過的にすぎず、雇い入れた方が、障害の有無を超えて戦力になってこそ初めて目的を達する。それが、ひいては少子高齢化による労働力人口の減少という社会課題の解決にもつながるのではないでしょうか。 本県に暮らしておられる多くの障害者の方々のためにも、そのような健常者とも障壁のない目標社会への変革に向け、障害者の雇用機会の拡大につながる、あらゆる可能性を追求していくことが重要だと思うのです。 こうした可能性を追求し、障害者の雇用に向け取り組む企業が岩国にあります。この企業は、東京に本社を置き、障害者雇用の仲介や雇用サポートに取り組まれていますが、岩国ではテレワーク型の障害者雇用を進めるため、新たにサテライトオフィスを設置し、都市部の企業と地方の障害者のマッチングを進めておられます。 コロナ禍で多くの企業で導入の進んだテレワークですが、障害の特性によっては、こうした雇用形式がマッチする障害者も多くおられ、通勤負担軽減や周囲に気を遣うことなく、自分に合った環境で仕事ができることから、今後の障害者雇用拡大の可能性を有しているのではないかと感じます。 同社のサテライトオフィスでは、セキュリティー対策を講じたオフィスブースを設けて、情報漏えいのリスクを軽減し、取扱業務の拡大を図るほか、障害者が安心して就業できるよう専属トレーナーの配置や、就労移行支援施設との連携によりサポート、伴走体制の充実を図り、企業の本業へつながる仕事が行えるよう取り組まれています。 私は、こうした取組に、これからの障害者雇用の拡大に向けたヒントを頂いたように感じています。 テレワーク導入により、障害による働きづらさを軽減するなど、障害者の働き方の多様化を提案・実践していくことは、大切な視点であり、県においては、こうした企業の取組事例も参考にしながら、障害の程度や特性に応じた雇用の場の創出、多様な働き方の実現に向けた支援に、しっかり取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。障害者が社会の一員として生き生きと活躍できるよう、働き方支援や雇用機会の創出に対し、どのように取り組んでいくのか、県の御所見をお伺いします。 次に、障害者の就労支援の充実についてです。 障害者の中には、企業等での就労が困難な方もおられますが、県では、雇用契約を結ぶ就労継続支援A型事業所、雇用契約を結ばないB型事業所の整備や、農福連携をはじめとした障害者の就労の場の創出、工賃向上の取組を積極的に進めておられ、本県の工賃は、全国平均を上回る増加傾向にあるなど、着実に成果を上げているところです。 しかし、その工賃は、いまだ最低賃金を大きく下回る状況にあるなど、障害者が、その特性に合わせて働き先を選択でき、心豊かな毎日を送れるためには、新たな就労の場の創出、さらなる工賃の引上げに向けた取組の充実が必要となります。 そのためには、県がこれまで行ってきた農福連携などの一層の推進に加え、先ほど申し上げたようなテレワークによる就労形態の浸透や、企業における雇用の受皿づくりの動きをしっかりと捉え、企業からの情報収集、仕事の募集や企業と施設のマッチング強化を図るなど、就労継続支援事業所における受注拡大や、一般就労への移行促進につなげていくことが重要と考えます。 また、これらの取組を円滑に進めるためにも、今議会で示されている、障害のある人もない人も共に暮らしやすい山口県づくり条例にありますように、全ての県民が障害や障害者に対する関心・理解を深めることができるよう、県におかれては、あいサポート運動などをはじめとした相互理解促進の取組をこれまで以上に推進していただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。障害者が働くことで生きがいを持ち、心豊かに暮らしていけるよう、県では障害者の就労支援の充実について、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、観光振興支援についてお尋ねいたします。 三年ぶりに行動制限が設けられなかったこの夏は、全国的にも公共交通機関の利用者や観光地の人出などが前年を上回りましたが、コロナ禍前の水準までの回復には至らず、夏の旅行シーズンと第七波が重なったこともあり、宿泊者本人が罹患者や濃厚接触者となり、直前にキャンセルとなることが増えるなど、観光産業の基盤である宿泊事業者を取り巻く環境は、依然として厳しい状況が続いています。 全国的にも宿泊者数は、減少傾向にありますが、山口県の減少率は全国の中でも低い水準に抑えられています。 コロナ禍において厳しい経営を迫られる宿泊事業者を下支えしているのは、我が党の提言を具体化した全国トップレベルの観光振興支援策であり、知事の対応について改めて感謝いたします。 こうした中で、宿泊事業者をはじめ観光産業が新たに期待を高めているのが、来月十一日から開始が予定されている全国旅行支援です。 秋の旅行シーズンにおける大規模な需要喚起が期待されています。これまでの需要喚起策開始の際には、突然の開始などにより現場が混乱してきました。事業実施に当たっては、宿泊事業者の意見等を十二分に酌み取り、適切かつ平等な制度設計が重要であることは、我が党が申し入れたとおりです。 観光客の生の声を見聞きしておられる観光・宿泊事業者と一体となり、次の山口県観光の道筋を切り開いていく契機となるよう、この事業に精力的に取り組んでいただきたいと私は考えています。 また、急速に回復することが期待されるインバウンド需要への対応も重要になってきます。 水際対策は、徐々に緩和されてきましたが、来月十一日からは入国者数の上限が撤廃され、個人旅行などが解禁されます。水際対策のさらなる緩和が実施されれば、現在の歴史的な円安を背景に、購買意欲の高い海外旅行者が大勢日本を訪れることが予想されます。 こうした好機を生かしていくためには、独自の商品開発力や多様な販売ルートを持つ旅行会社や企画会社、ニッチな市場をターゲットにしている旅行会社などの多くの現場の声を吸い上げ、本県をターゲットにした旅行商品開発等、点の取組を充実させていく必要がありますし、コロナ禍がもたらした新たな旅行スタイルにも適応した観光地域づくりも面の取組として進めていかなければなりません。 また、宿泊施設では、感染拡大防止に欠かすことができない非接触型サービスや無人の受付機の導入に当たり、その手法や必要となる施設設備も違ってくるでしょうし、ビジネスモデルを少人数化や高級化路線に展開していく施設もあるでしょう。 ウイズコロナ実現に向けては、宿泊事業者が新たな展開の足がかりとして活用している高付加価値化等事業の取組を、より現場のニーズに合わせた形で引き続き実施していくことに加え、観光地域づくりという視点にも立ち、地域が実際に稼ぐことにつながる戦略的な取組がますます重要になります。 そこでお尋ねいたします。ウイズコロナ実現と合わせた県内観光産業の早期回復に向けて、県は観光振興支援に、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いします。 次に、県政の効果的な広報について、お伺いいたします。 新型コロナウイルスの影響などによって、社会情勢が激変する中では、県民や事業者に届ける支援策などを速やかに周知することが重要だと強く感じています。 私は、以前、商工観光委員会で、県が行う宿泊施設の高付加価値化等支援事業について、地域の団体等を活用した施策の周知に関して質問いたしました。 その後、商工会議所等の御協力によって、多くの事業者に支援を届けることができ、県と地元団体が密に連携することを実践したことで、真に支援を求められている方々に迅速な施策普及が図れることを改めて実感した次第です。 七月二十九日から開始した中小企業原油・物価高騰対策補助金は、設備投資への補助率が高く、中小企業等の思い切った投資のきっかけになる有効な支援策でありました。 県では、速やかに専用ホームページや窓口を開設し、対応されたところですが、申請期限が約二十日間と短く、お盆休みや申請書類の準備期間を考慮すると周知期間を十分確保し、厳しい経営状況の中にあっても、生産性向上や省エネに対し前向きな企業の投資を喚起する広報が必要であったように感じました。 また、新型コロナウイルスへの対応については、国において全数届出や療養期間などが見直されているところですが、罹患者や濃厚接触者が取るべき対応のルールについて、変更点を分かりやすく周知することが求められます。 コロナにより深刻な影響を受ける飲食店や農林漁業者を支援する、やまぐちプレミアム食事券も、せっかくの支援策がより多くの県民の皆様に対する販売促進につながる広報が求められると感じています。 コロナ禍において、県は様々な支援策を打ち出してきましたが、県民にとって必要となる支援はもちろん一人一人で異なります。 子育て中の家庭、各産業界などターゲットを分けて、情報を分かりやすくまとめていく過程で、コロナ禍が通常業務を圧迫し続け、持続的に職員のマンパワーが不足する中でも、分かりやすい情報発信を適切に行っていけるよう、対象となる方の生活や企業実態をよく知る企業・団体のノウハウや知見も取り入れ、予算を措置して情報伝達の体制を整え、県民に十分目の届く広報活動を展開する必要があると考えます。 また、県の広報の効果的展開に当たっては、テレビCMや新聞広告などの従来の手法に加えて、市町や民間事業者とも十分に連携を図り、地域とのつながりの深い出先機関も十分機能させながら、あらゆる手法を検討していく必要もあります。 県内各地域で県民の皆様が、真に求める情報を迅速かつ正確に受け取れるよう、積極的かつ柔軟な広報を通じ、DX推進に当たって県民からもそれが見える取組になるよう力を入れていただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。今後、県民の皆様に、県政をより効果的に届ける広報活動について、県はどのように考えておられるのか、御所見をお伺いします。 次に、山陰道の建設促進と周辺道路網の整備について、お伺いいたします。 将来にわたる萩、阿武、長門地域の地域経済・観光振興や、地域住民の命を守るための基幹道路であり、災害時における代替道路となる山陰道は、平成三十年以降、四年にわたり計画段階評価中であった三隅─長門間において、三回目となる地方小委員会が七月二十七日に開催されました。 この委員会で、事業化に向けた対応方針が決定され、八月末から都市計画手続が進められることとなりました。 総延長約十キロメートル、事業費最大五百五十億円という大事業ですが、今後の事業化に向け大きく前進するとともに、路線上に中間インターチェンジが設置されることも決定されました。 この間、私も県議会山陰道建設促進議員連盟の役員として、毎年、国に強く要望を続けてきましたし、事業費の三分の一を負担することになる県に対しても早期事業化に向け取組を進めるよう県議会の場で訴えてまいりました。 また、山陰道の整備効果を、よりふるさと長門市の暮らしや経済に波及させるよう、中間インターチェンジの必要性を訴え続けてまいりました。 こうした国が地方で進める高速道路・インターチェンジ等のインフラ整備について、時期を逃すことなく、そして、切れ目なく県内各地で進めていくことは、地域が取り残されることなく、将来にわたって存続し続けていくためにも重要なことだと考えます。 長門市にとっては、観光拠点などが点在している市北部への観光客等の動線の確保や、災害時における人流・物流の確保、三次医療圏へのアクセスが必要な救急医療のためにも、また、官署のある市街地へのアクセス性を高める上でも、中間インターチェンジの設置は悲願でありました。 今後は、中間インターチェンジを核に、観光拠点等への動線を確保することや、新たな物販・観光交流施設を整備するなど、山陰道を生かした地域づくりを進めていくべきだと私は考えます。 そのためにも、市街地や青海島などに整備された観光拠点等へのアクセス道路の整備は必要不可欠です。 山陰道本体の動きと並行して、県も地域と一緒になって周辺道路網整備を考えていただかなければ、今回の道路整備により長門市は観光客等の目を向けられることのない単なる通過点となってしまうのではないかと私は大いに懸念しています。 また、予定ルート帯周辺では、鹿やイノシシなどの鳥獣が道路沿いまで出没しており、交通の安全確保の観点から対策を求める声が地元から上がっています。 山陰道の都市計画手続の地元説明会も始まっていますが、以降の整備に当たっては、住民からの切実な御意見を丁寧に受け止めながら、対応できるところは地元と一緒になって対応していくという、地元の声に寄り添った道路設計等を実施するよう、県が事業主体である国へ働きかけることを、この場で強く要望させていただき、今後のインターチェンジ設置や周辺道路網の整備についても、県も地域住民と丁寧かつ十分な協議を行っていくよう尽力いただきたいと考えます。 そこで、山陰道、三隅─長門間の事業化はもとより、未着手区間の全線事業化に向け、今後どのように取り組まれるのか、また、山陰道を生かした地域づくりを支援するに当たり、周辺道路網の整備について、どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、起業・職業教育の充実についてお伺いいたします。 本県では、生産年齢人口の減少とともに、様々な産業で担い手の不足が叫ばれており、また、経済や企業の成長の停滞、IT社会化等のうねりの中で、ビジネスモデルの変化を迫られ、それに伴い従来の終身雇用から成果重視の雇用へとかじを切る企業も見られるようになっています。 また、見通せない自身の将来設計に当たり、若い就労世代にもキャリアアップのために転職という価値観も受け入れられてきている時代です。 それゆえ、学校教育には、与えられた仕事をこなすだけでなく、自らが能力を磨き、考え、実践する力を養うなど、これまで以上に地域産業、地域社会の活性化の原動力となる質の高い人材の育成が期待されています。 こうした中、私の地元にある大津緑洋高校では、地域が漁師の高齢化や漁獲量の減少などの課題を抱える中、大好きな地元を何とかしたいという生徒の熱い思いから、数年前にスタートした小さな課外授業が、熱心な教員と生徒たちの下で進化して、アクアポニックスの研究事業という地方創生をテーマとした壮大な活動に発展しています。 アクアポニックスとは、魚の飼育水を植物プランターに循環して、栄養と水の循環を行う近年注目されている新しい時代の食料生産システムです。 生徒たちは、大学や地元企業など、様々な関係者からの協力も得ながら、数年間の試行錯誤の末、ついに大津緑洋高校独自のアクアポニックスを完成させ、今ではニジマスやトラフグなどの陸上飼育と青々とした葉野菜の生産を同時に行うことに成功しています。 この取組は、全国的にも取り上げられ、今や学校内にとどまらず、長門市や周南市を舞台にベンチャー企業としての確立が進められているのです。 私は、このように高校生の進路が決定する前の早い時期から、起業や経営など職業に係る体験的な活動を行うことは、なりわいの意義等を深く見つめ、将来の自分を想像する大きな契機となり、さらには職業人として必要な知識や技能などの基礎となる力の習得に加え、実践を通じて主体的に考え、行動する機会の増加にもつながることから、山口県の次世代の人材育成の上で非常に重要であると考えます。 また、こうした活動を通じて、様々な地域企業や団体、関係者との関わり合いを持つことにより、子供たちの職業観の醸成のみならず、郷土への誇りや愛着を持つことや、将来的な地元就職、地元定着にも結びつくものと考えております。 県教委には、各学校のカリキュラムの中での授業はもちろんのこと、コミュニティ・スクールを活用した取組や、部活動、課外活動など、様々な場面を活用して、それぞれの学校や地域の特性等を生かしながら、生徒が社会や仕事を体感し、将来活躍するために求められる力を習得できる取組を精力的に進めていくべきと考えます。 そこでお尋ねします。各学校が持つオンリーワンの特色を生かして、通常の机上の授業だけでは学べない、体験的な活動を通じた、起業・職業教育を充実させていくことが重要だと考えますが、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いし、一般質問を終わります。 御清聴、誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)笠本議員の御質問にお答えします。 まず、持続可能な農業振興についてです。 本県農業は、中山間地域での雇用の創出や県民への農産物の安定供給など、重要な役割を果たしています。 このため、私は、新規就業者の確保・育成をはじめ、中核経営体における規模拡大等の取組を支援するとともに、農業者の所得向上に向けて、野菜、果樹、花卉等の県オリジナル品種の育成など、本県独自の取組を進めてきたところです。 また、主要作物である米、麦、大豆については、優良種子の確保が重要であることから、種子法の廃止以降、県の責務である奨励品種の決定や原種の確保等の具体的な手続を要綱・要領に定め、JA等と連携し、優良種子の計画生産と安定供給に努めてまいりました。 しかしながら、お示しのとおり、ここ数年の世界的な気候変動やウクライナ情勢等により、食料需給をめぐるリスクが顕在化しています。 こうした中、県民への農産物の安定供給に向けては、気候変動に対応できる新たな品種の開発や優良種苗の安定確保、生産拡大に向けた取組を進めることが一層重要になっています。 さらに、国が開発した高級ブドウ、シャインマスカットの苗が、無断で海外に流出し、年間百億円以上の損失が発生をしているほか、他県においても育成品種が海外流出するなど、知的財産権の保護が問題となっています。 本県においても、現在三十を超えるオリジナル品種が開発され、中核経営体等の所得向上に寄与していることから、これらの知的財産権を適切に管理することも求められています。 こうしたことから、私は、種苗の安定確保や知的財産権の保護等について、県民の理解を得ながら取組を進めるため、本県独自の条例の制定に向け、検討に着手したいと考えています。 また、生産拡大に向けては、新規就業者の一層の確保や中核経営体の経営基盤の強化、地域の特性等に応じた品種の導入に加え、生産性の向上や農作業の省力化・軽労化等を可能とするスマート農機やデジタル技術の導入を加速します。 さらに、来年四月に供用を開始する、農林業の知と技の拠点においては、産学公の連携を強化し、気候変動等に対応できる新たな品種の開発・育成を進めます。 私は、県民への農産物の安定供給に向け、関係団体と緊密に連携し、生産拡大への支援や優良な種苗の安定的な確保など、持続可能な農業振興に全力で取り組んでまいります。 次に、観光振興支援についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍の長期化に伴い、宿泊をはじめとする観光需要は大幅に落ち込み、いまだにその回復には至っておらず、本県の観光産業は極めて厳しい状況に置かれています。 観光産業は、宿泊や飲食など関連する業種が多岐にわたっており、地域経済に与える影響が大きいことから、私はコロナ禍で傷んだ地域経済の力強い再生に向け、観光産業の一刻も早い回復を図ることが極めて重要であると考えています。 このため、昨年十一月に、やまぐち観光振興支援パッケージを創設し、旅々やまぐち割など観光需要を喚起する取組をはじめ、宿泊施設の高付加価値化への支援や、感染防止対策を徹底した観光イベントに対する助成など、観光産業に対する総合的な支援に積極的に取り組んできたところです。 今年度は、宿泊事業者のニーズ等を踏まえ、支援パッケージの充実強化を図ることとしており、宿泊施設の高付加価値化への支援を追加実施するとともに、今後、お示しの制度設計に配慮の上で、全国規模の観光需要喚起策である全国旅行支援を実施し、本県観光のV字回復につなげていくこととしています。 また、観光産業の早期回復に向けた誘客対策の強化を図るため、コロナ禍で変化した観光トレンドにも的確に対応できるよう、観光客の年代や嗜好に即した情報をSNS等により効果的に発信するデジタルプロモーションを新たに展開していきます。 さらに、観光産業の稼ぐ力を高める魅力ある観光地域づくりを推進するため、観光事業者が地域ぐるみで連携し、観光素材の磨き上げや着地整備を行う取組を支援するとともに、様々なデータに基づく収益力の高い観光地経営の実践を図るワークショップの開催を支援しているところです。 加えて、急速な回復が見込まれるインバウンド需要、これを確実に本県に取り込むため、海外の観光プロモーターを活用し、旅行商品造成や観光PRなどの取組を積極的に行うとともに、大阪・関西万博を見据え、本県の特色を生かした訪日外国人向けの観光コンテンツの開発を進めてまいります。 私は、今後とも市町や関係団体等と緊密に連携し、観光事業者の意向等をしっかりと把握しながら、本県観光産業の早期回復に向けて全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)障害者の雇用拡大と就労支援の充実についてのお尋ねのうち、障害者の雇用拡大についてお答えします。 障害者が希望する職に就き、地域社会の一員として生き生きと活躍するためには、一人一人の障害の程度や特性に応じた雇用機会を創出し、多様な働き方を支援することが重要です。 このため、まず雇用機会の創出に向けては、障害者雇用に関する知識と情報を掲載したガイドブックの配布等により企業の理解を深めるとともに、障害者雇用を推進する職場リーダーを養成し、企業の受入れ環境の整備を促進しています。 また、労働局等関係機関と連携し、これらの企業と障害者との出会いの場となる就職面接会を県内七会場で開催し、雇用の確保につなげています。 次に、働き方の支援に向けては、民間教育訓練機関や企業の事業所現場を活用した実践的な職業訓練を実施するとともに、訓練コーチ等を配置し、障害者の個々の適性に応じた効果的な訓練を実施しています。 これらの取組を通じ、近年では、特別支援学校の生徒について、修了者全員の就職を実現するとともに、就職後も定期的に訪問して適切な助言を行い、定着につなげています。 こうした中で、コロナ禍で導入が進んだテレワークは、時間や場所にとらわれない多様な働き方により、障害者の就業の可能性を広げるものであり、企業にとっても人材確保の有効な手段となることから、さらに推進する必要があります。 このため、テレワークなどの働き方の新しいスタイルの導入に向けて、専門家派遣に加え、ワークショップの開催や機器導入経費の助成等により、モデル企業の創出に取り組んでいます。 また、障害者の多様な働き方が各地域で実現されるよう、モデル企業やお示しの岩国等の事例を広く紹介するとともに、障害者雇用にも資するサテライトオフィスの立地など、障害者が安心して活躍できる環境整備を進めます。 県としては、関係機関と連携し、障害者の働き方支援や雇用機会の創出に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害者の雇用拡大と就労支援の充実についてのお尋ねのうち、障害者の就労支援の充実についてお答えをします。 障害のある方にとっての就労は、単に経済的自立にとどまらず、生きがいや社会とのつながり、自己実現、地域での障害のない方との相互理解の促進などの観点からも重要です。 このため、県では障害者いきいきプランにおいて、就労支援を重点施策として位置づけ、就労の場の拡充と就労継続支援事業所における工賃向上に取り組んでいるところです。 具体的には、小規模な事業所においても受注が可能となるよう、共同受注窓口である社会就労事業振興センターにコーディネーターを配置するなど、企業からの受注促進等に努めているところです。 こうした取組により、本県事業所の平均工賃月額は全国平均を上回る水準で向上しておりますが、自立した生活を送るためには、いまだ十分とは言えず、就労支援の充実に向け、販路開拓と受注機会の一層の拡大が必要と考えています。 まず、販路開拓に向けては、お示しの農福連携の取組の一つとして、事業所で生産した農産物や製品を広く県民に購入していただくノウフクマルシェを開催するとともに、各事業所の製品等を紹介したガイドブッグを作成し、商工団体等に配布することで広くPRしてまいります。 また、受注機会の拡大に向けては、これまでの施設内での軽作業だけでなく、今後は新たな業務が受注できるよう、発注元の企業等に出向いて作業を行う施設外就労の促進にも取り組んでまいります。 なお、お示しのテレワークについては、障害のある方にとって有効な働き方として期待できることから、今般、国において策定されたガイドラインを事業所向けのセミナー等を通じて周知するなど、テレワークが新たな就労形態の一つとして定着するよう取り組んでまいります。 さらに、こうした取組を進めるためには、障害や障害のある方への理解が欠かせないことから、今議会に提案している条例の制定を契機に、あいサポート運動を一層推進するなど、相互理解のさらなる促進を図ってまいります。 県としましては、今後とも障害のある方が積極的に社会参加し、地域で自立した生活ができるよう、関係団体等と緊密に連携しながら、就労支援の一層の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)県政の効果的な広報についてのお尋ねにお答えします。 新型コロナウイルスや物価高騰の影響などにより、社会経済情勢が大きく変化する中、県民の皆様に必要な県政情報をお届けする広報の役割はますます重要になっています。 こうした中、県では、県民生活や事業活動への影響が大きい取組や各種支援策等については、随時、記者会見や記者発表を行うとともに、広報誌やホームページをはじめ、テレビスポットCMや新聞広告など、様々な媒体を機動的に活用して、迅速に県政情報をお届けしているところです。 また、本年四月にホームページの全面リニューアルを行い、視認性や操作性の高いデザインに一新するとともに、タイムリーな県政情報を発信するため、拡散力が大きいツイッターの運用を開始するなど、発信力の強化に取り組んでいます。 一方で、県政の様々な情報を必要とする方々に、より的確に届けていくためには、お示しのとおり、市町や出先機関、情報に関係する団体等との連携を一層強化し、一体となって効果的に周知していくことが必要です。 このため、支援策等の対象となる方の生活や企業の状況を把握している団体などの知見も活用して、ターゲットごとに分かりやすい内容に工夫し、最適な方法を用いて情報発信するとともに、関係団体との連携による説明会の開催や相談対応など、ニーズに応じた広報活動を幅広く展開していきます。 さらに、デジタル技術を活用し、タイムリーに県政情報を発信するため、県と包括連携協定を締結している企業等に御協力いただき、商業施設や金融機関の店舗などに設置しているデジタルサイネージを新たに県広報に活用することとしています。 なお、お示しの中小企業原油価格・物価高騰等対策支援事業補助金については、幅広い業種から想定を大幅に上回る反響があったことから、今議会にお諮りし、支援枠を拡充することとしており、実施に当たっては、商工会議所等との連携を一層強化し、団体が発行する会報誌や会員へのメール配信等を活用するなど、より丁寧に周知を図っていきます。 県としては、県民の皆様が求める必要な情報を迅速かつ確実にお届けできるよう、市町や関係団体等との緊密な連携の下、効果的な広報に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)山陰道の建設促進と周辺道路網の整備についてのお尋ねにお答えします。 山陰道は、長門地域をはじめとした山陰地域の豊かな観光資源や農林水産資源を有効に活用し、地域の活性化を図るとともに、災害に強い道路網を構築し、大規模災害時の救急・救援活動を支える重要な基盤であり、全線の早期整備が必要不可欠です。 また、その整備による効果を一層高めるためには、沿線市町の地域づくりとの整合を図りながら事業を進めていくことが重要です。 このため、県では、これまでも国への要望の際に、山陰道の早期整備に加え、計画ルート等の検討に当たっては、沿線市町の地域づくりに十分配慮するよう国に求めてきました。 こうした取組の結果、先月末、国は三隅─長門間において、地元の意向も踏まえ、中間インターチェンジの設置を盛り込んだルート案を決定したところであり、これを受け、県では長門市とも連携し、都市計画の手続を迅速かつ着実に進めていくこととしています。 今後は、この機会を逃すことなく、三隅─長門間はもとより、全線の早期整備につながるよう、地元市町や期成同盟会と連携し、国への働きかけを強化してまいります。 また、産業・観光の振興など、地域が描く将来像を実現していくためには、お示しのインターチェンジを核とした地域づくりなどにより、山陰道の整備効果を最大限に生かしていくことが重要です。 このため、これまでも、地域の皆様からの意見や要望を踏まえ、俵山地区のインターチェンジから元乃隅神社等、主要な観光地へのアクセス道路となる県道美祢油谷線砂利ケ峠バイパスなど、山陰道と一体となって機能する道路の整備に取り組んできたところです。 今後とも三隅─長門間をはじめとした山陰道の整備に併せ、国や市町とも連携し、沿線地域で進められている活性化への取組との整合を図りつつ、インターチェンジと各地域の拠点とのアクセス性の向上に資する道路などの整備を進めていく考えです。 県としては、山陰道の整備効果が最大限に発揮され、地域全体の活性化につながるよう、全線の早期整備や周辺道路網の構築に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)起業・職業教育の充実についてのお尋ねにお答えします。 社会が大きく変化し、予測が困難な時代となる中、子供たち一人一人が将来、持続可能な社会の担い手となるよう職業教育や起業家精神の醸成を図る取組を充実させ、郷土への誇りや愛着を持ち、地域に貢献できる人材を育成することは重要であると考えています。 このため県教委では、全国に先駆けた取組として、令和二年度から、やまぐちハイスクールブランド創出事業を実施しており、専門高校等の生徒が、学校・学科の枠を超えて協働しながら、模擬株式会社、山口魅来の設立・経営や、ネットショップの運営、統一ロゴマークの考案による商標権の取得等に積極的に取り組むことにより、他の専門分野に関する知識・技術の習得や経営感覚の醸成、探究心の向上等が図られています。 事業三年目となる今年度は、これまでの成果を踏まえ、企業と連携した商品開発の一層の充実や販売形態の多様化を進めるなど、模擬株式会社の持続可能な経営体制の構築に取り組んでいるところです。 また、お尋ねのような各学校の持つ特性・特色を生かした取組として、専門高校等においては、例えば、商業科における地元自治体等と連携した観光に関する体験型イベントの企画・運営や、家庭科における地産地消を目指した弁当の考案・販売など、実践力の育成と専門性の深化を図っています。 普通科の高校においても、コミュニティ・スクールの仕組みを活用し、地域の特産品を用いた商品開発や六次産業化の取組を行うなど、幅広い職業観の醸成に努めています。 お示しの大津緑洋高校のアクアポニックスに関する取組は、地域課題の解決に向けて始めた高校生の探求活動が、地元企業や大学等と連携した陸上養殖の研究開発へと発展し、生徒自らが運営や資金調達にも携わるなど、起業家精神の醸成を図る先進的なプロジェクトであると考えています。 今後も、こうした学校独自の取組を着実に進めていくとともに、様々な発表の場や、一人一台タブレット端末のポータルサイトなどを活用して好事例を広く周知し、各学校における起業体験や職業教育の一層の充実に努めてまいります。 県教委といたしましては、地域と連携・協働しながら、各学校の特色や魅力を最大限生かした体験的な活動を通じて、高校生が将来、社会において活躍するために求められる力の育成を図ってまいります。