1 障害者ICTサポートセンターについて 2 地域鉄道、バスにおける再生・活性化へ向けた取り組みについて 3 県民活動の活性化について 4 不登校特例校の設置推進について 5 スクールソーシャルワーカーの配置促進について 6 副業・兼業人材の活用について 7 その他
議長(柳居俊学君)猶野克君。 〔猶野克君登壇〕(拍手) 猶野克君 公明党の猶野克でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。 初めに、障害者ICTサポートセンターについてお尋ねいたします。 本年五月、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法が公布・施行されました。 この法律は、全ての障害者が、あらゆる分野の活動に参加するためには、情報の十分な取得利用、円滑な意思疎通が極めて重要であることから、障害者による情報の取得利用、意思疎通に係る施策を総合的に推進し、共生社会の実現に資するために制定されたものであります。 基本理念として、一つ、障害の種類・程度に応じた手段を選択できるようにする。二、日常生活・社会生活を営んでいる地域にかかわらず等しく情報取得等ができるようにする。三、障害者でない者と同一内容の情報を同一時点において取得できるようにする。四、高度情報通信ネットワークの利用・情報通信技術の活用を通じて行う。 以上、申し上げた四つのことが定められています。 特に、障害者の意思疎通支援について、厚労省は、社会保障審議会の議論を踏まえて再整理されており、遠隔手話サービス等の新たなニーズの増加や、地域ごとの取組状況の格差があるとの指摘を踏まえ、障害者のICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を支援するICTサポートセンターへの後方支援を実施する事業を創設しました。 この障害者ICTサポートセンターとは、視覚・聴覚障害のある方のパソコン、スマホ、タブレット等ICT機器の利用について、相談や訪問してサポート支援することで、必要な情報を取得して積極的な社会参加ができるようお手伝いするセンターのことであります。 国では、令和五年度の障害者ICTサポート総合事業に対する予算額が、約三倍に拡充される予定であります。既に全国の約七割の三十一都道府県で、障害者ICTサポートセンターの設置が進んでおり、多いところでは、愛知県として五か所、兵庫県三か所、隣県の広島県では、県と市で四か所といった複数の設置がされており、中国地方で設置されていない県は、島根県と本県のみとなっています。 今定例会では障害者差別解消に関する条例が上程されており、本県も障害者支援に積極的に取り組まれていますが、障害者の意思疎通に資するICT機器の利用機会の拡大や活用能力の向上を支援する障害者のICTサポートセンターの設置は、欠かせないものだと強く感じています。 そこでお尋ねします。障害者ICTサポートセンターの設置について、本県はどのように取り組まれるのか。また、障害者への利用能力向上を支援するPCボランティアや訪問支援等についてどのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いします。 次に、地域鉄道、バスにおける再生・活性化へ向けた取組についてお尋ねします。 全国的に地域鉄道の赤字経営による廃止が語られるようになり、本県においても例外ではなく、これまで議会で多くの議員から質問がなされています。 私も鉄道の廃止については、地元宇部線や山口線など、子供の頃から身近に鉄道を利用した者として憂いている一人であり、公共交通機関の重要性を考えれば、鉄道だけではなく、交通バス等を含めて一体的に議論しなければならない重要課題だと認識しています。 東京をはじめ全国の都市部においては、一般的に最寄り駅近くの住宅やマンション、アパート、事務所などが資産価値が高く、駅からの距離が近ければ近いほど賃貸や売買価格が高値で取引されています。 それは移動の利便性だけではなく、駅近くには、衣類や雑貨を扱う商店やスーパー、金融、医療機関、飲食店など私たちに欠かせない施設が生活圏にそろっているからであります。言わば、自然と駅を中心に町が形成されていく仕組みとなっています。 一方、地方では、自家用車が主な移動手段とされ、駅周辺に人口は集まらず、大型ショッピングセンターや医療機関、学校の近くが人気の場所とされ、これらを中心に不動産が多く取引されています。言わば、住居が広く点在するため、それぞれの都市構造を比較すると、公共交通機関と施設の連動がしにくい状況と言えます。 どちらがよい都市づくりの在り方かということを議論するのではなく、重要な公共交通機関を維持するためには、鉄道事業者としっかり連携をし、事業者の運営方針と沿線自治体のまちづくり方針の方向性をそろえ、強い連携を図る仕組みづくりが必要と考えます。 当然のことながら、沿線自治体としては、行政サービスの提供面から公共交通機関を存続させ、住民の移動手段を確保したいと考えており、さらには、鉄道の持つ観光資源としての潜在的な魅力にも期待しています。 一方、鉄道事業者は、赤字計上をできる限り抑え、経営の安定化を図ることを望み、そのための鉄道利用促進に向けた取組を進めることであり、この両者の思いは一致します。 例えば、島根県では、通勤・通学やビジネス利用といった県民のJR路線利用促進策を検討するプロジェクトチームを設置しました。沿線の市町などとどのような施策が有効か話し合い、本年十月をめどに報告書を取りまとめるそうであります。その後、実証実験を行って取組の定着を目指すとされています。 これは行政が、鉄道事業者に対して単に赤字補?のための補助金の支援をするだけではなく、しっかりと両者が連携し、協力し合って利用者を増やそうとする重要な取組であります。 本県においては、これまでも新たな地域交通モデル形成に関する取組方針を示し、努力されているのは承知しておりますが、より一層鉄道事業者と歩調を合わせ、公共交通機関存続のための利用者拡大について議論していく必要があると考えます。 そこでお尋ねします。鉄道事業者の運営方針と沿線自治体のまちづくり方針の方向性をそろえた連携を図る仕組みづくりが必要と考えますが、県の御所見を伺います。 次に、全国の地域鉄道事業者の取組を見ますと、定期利用、生活利用、観光利用と利用者の目的別に分け、鉄道を利用した通勤・通学の促進や鉄道沿線の景観整備、他の交通機関とのセット乗車券等、戦略的にきめ細やかな再生・活性化の取組が行われています。 特に夏休みに関しては、子供や青年層が動く時期であり、子供の料金を無料にしたり、CO2削減のエコサマーとして利用料金を無料にしたりするなど、自治体の工夫によって利用促進に向けた様々な取組が行われています。 県内の中高生からお話を聞きました。 ある中学一年生の女の子のグループは、この夏休みに地域鉄道とバスを乗り継いで近隣市の大型商業施設に向かいました。中学生になって初めての夏休み、彼女たちだけで初めて公共交通機関を利用するため、鉄道切符の購入やバスの両替も分からない中、周りの乗客から教わりながら、やっとの思いで目的地に着くアドベンチャーのような体験となりました。 交通費にかかったお金は往復約千五百円、現地でもショッピングや食事で一人七千円近く費用がかかりました。中学生にとってはとても大きな出費となりました。 同じく県内在住の受験を控えた高校生は、地元市内に大手塾がなく、近隣市まで毎日夏期講習を通うことを決断。しかし、塾のほとんどが学校法人ではないため、学割での定期券購入ができず、一般と同じ定期券価格となります。彼の場合、学割定期券では約八千円のところが、一般の場合は二万円を超えます。さらに夏休みは約四十日間ですが、定期は一か月三十日単位でしか購入ができず、残り十日間は通常の切符購入で通う必要があります。夏休みの塾の交通費だけでも三万円以上の出費となりました。 夏休みはお祭りや花火大会など様々なイベントが増え、移動する人口が増える期間であります。特に小・中・高、大学生等、若者の自由な時間が増えますが、そのほとんどが車の移動手段がありません。 私は、こうした若者たちが、お金を気にせず、県内をもっと自由に移動してもらいたい。県内のいろんなところを見てもらい、知ってもらうことで、若者の山口への愛着や交流人口が生まれ、公共交通の利用者が増え、本県の元気につながると思っております。 福井県では、県内で割引サービスが受けられるデジタルバウチャーアプリ、ふく割に七月から新たにクーポンを追加し、レジャーなどでの鉄道利用を促しています。 そのほか、夏休みに親子で公共交通機関を利用すると運賃が無料になる、親子でおでかけ事業や、子供フリーパス、おでかけ応援制度等、各自治体によって利用促進に向けた様々な施策が行われています。 人が動くところに経済が動く。たくさんの若者たちが利用することで公共交通機関の活性化につながると考えます。 例えば、夏休み期間は、十八歳以下交通費無償化にするなど、思い切った行政の補助制度の取組によって地域鉄道、バスにおける再生・活性化へ向けた起爆剤となるのではないでしょうか。 そこでお尋ねします。公共交通機関の活性化に向け、特に若者の利用促進へ向けた取組が重要になると考えますが、県の御所見を伺います。 次に、県民活動の活性化についてお尋ねいたします。 令和元年十一月定例会においても、若者の県民活動への参加について一般質問をさせていただき、以来折に触れ、委員会などでもこのテーマを取り上げさせていただいております。 本県においても、多くの県民活動団体が、福祉や社会教育、まちづくりや環境保全等、幅広い分野で主体的に活動されており、行政だけでは行き届かない地域の諸課題についても御対応いただいております。 しかし、県内のNPO法人やボランティア活動といった多くの団体が、担い手の高齢化、近年ではコロナの影響により様々な行事・イベントもなくなり、地域活動が停滞するなど、地域コミュニティーの低下が懸念されています。 こうした中、私のところに県内の大学生から御相談を頂きました。 地域貢献をしたいと考えているが、どういう団体やボランティアの活動があるのか教えてほしい。また友人たちにも、それぞれの住まいに近い地域のボランティア活動も教えてあげたいが、情報を得る手段を知らないとのことでした。 ボランティアを希望する理由を詳しく聞けば、長引くコロナにより、彼の高校時代に体験学習や部活動が失われ、制限されたこと。大学に入ってからもしばらく授業が行われず、サークル活動も制限されて人と関わりを持つ機会がなくなったときに、何とも言えない心の寂しさや不安を感じたこと。今は、徐々に様々な活動の制限がなくなり平常時に戻っているが、人と交流の機会が減っている人たちや地域に何か役立てることがないかと探していたそうであります。 私は、地域貢献を望む若者から直接その熱意を伺い、非常に感動を覚えました。 前回の一般質問では、県民活動の一層の促進に向けて若者の参加が進むよう、参加機会の拡充や情報発信の充実に取り組むと御答弁を頂いておりますが、まだまだ若者たちのところに県の取組が浸透していないと考えています。 県民活動団体の高齢化が叫ばれる中、若者の参加を促すための取組や、さらに団体と若者をマッチングさせる支援など、より一層若者をはじめ、県民の参加を促進していくことが必要だと考えます。 そこでお尋ねします。県も県民活動の参加促進やその拡大に努められていると思いますが、さらなる理解と参加促進や県民活動団体の基盤強化に資する取組などを進め、県民活動の活性化を図るべきだと考えますが、県の御所見を伺います。 次に、不登校特例校の設置推進についてお尋ねします。 全国の小中学校で、二○二○年度に不登校だった児童生徒は前年度比八・二%増の十九万六千百二十七人となり、八年連続で増加し、過去最多となっています。 本県においても、年三十日以上欠席した不登校児童生徒数は二千六十六人と、前年度より二百四十四人増え、増加傾向にあります。 文科省の調査報告によりますと、不登校の要因として、いじめ等、友人や人間関係によるトラブルを連想しがちですが、学業不振や家庭内不和、進路に関わる不安、生活環境の変化など、問題は多岐にわたり、特に注目すべきは無気力、不安が四五%を超える最も高い数値で、生活リズムの乱れ、遊び、非行が多く、本人に係る状況が不登校の主たる要因と見られています。 こうした中、不登校だった子供たちが登校を始める不登校特例校の実践が注目されています。 岐阜市立草潤中学校は、ICTを活用した学習支援に力を入れた自治体主導による不登校特例校として、二○二一年四月に開校しました。不登校特例校は、不登校の子供に配慮して柔軟な教育課程が実施できるため、通常、中学校の授業時間は年間千十五時間ですが、草潤中学校は七百七十時間、定員は四十人のところ、初年度の説明会には百二十家族三百八十名が参加しました。 全ての授業がオンライン配信されているため、学校に行けない場合は、個々の状況に合わせて自宅でも受けられます。時間割は生徒と教師が相談しながら一緒に決める。さらに、学級担任は生徒が選ぶことができ、その後の変更も可能、服装・持ち物の規則はないなど特色があり、タブレット端末で絵を描いたり、学校備品の楽器を演奏したり、様々に時間を過ごすことができるようになっています。 草潤中学校では、不登校特例校開始から成果を上げ、七割近くが毎日登校を希望するようになり、三年生の中には、高校を目指して受験勉強に励む生徒も増えてきました。 その他パイオニア的な存在である八王子市立高尾山学園、私立の東京シューレ葛飾中学校や全国初の夜間中学校との併設型である京都市立洛友中学校など、本年四月時点で不登校特例校は十都道府県二十一校に広がり始めました。 教育機会確保法に基づく基本指針で、国は、自治体に対して不登校特例校の設置を促しています。公明党は本年三月十日、不登校支援プロジェクトチームを設置しました。不登校特例校の整備充実について議論を行い、四月二十二日の衆議院文部科学委員会で浮島智子衆議院議員が、不登校特例校の設置拡大を訴え、末松信介文科大臣からも、不登校特例校の設置促進を図ると応じられています。 さらに政府は、全都道府県・政令指定都市へ不登校特例校の設置を目指す方針を固め、六月に策定した、経済財政運営と改革の基本方針に初めて明記されることになりました。 不登校に関する調査研究協力者会議の報告書にもあるように、登校という結果のみを目標とするわけではありませんが、本来、義務教育とは、子供たちが安心・安全に学校に通い、仲間と共に自分の持っている能力を伸ばしていく場所であるはずで、不登校児童生徒の多様な教育機会の確保や、誰一人取り残されない学校づくりという点からも、不登校だった子供たちが登校を始める不登校特例校の実践は注目すべき取組だと感じています。 そこでお尋ねします。不登校児童生徒数が増加傾向にある中、本県においても、不登校の子供の状況に合わせた柔軟な授業カリキュラムを組むことなどができる不登校特例校の設置に向けた検討に取り組む必要があると考えますが、現段階の状況と併せてどのような取組をしていくのか、県教委の御所見を伺います。 次に、スクールソーシャルワーカーの配置促進についてお尋ねします。 先ほど不登校特例校の設置について述べましたが、いじめや暴力行為、問題行動を起こす児童生徒の背景には、心の問題だけではなく、家庭や生活環境も関わっていると考えられます。 こうした複雑な問題を学校だけで解決することは容易ではなく、子供たちの環境と直接関わり合いながら解決を目指す、スクールソーシャルワーカーが担う役割が重要と言われています。 児童生徒の抱える悩みや問題を解決する役割を持つという意味で、スクールカウンセラーとも混同されがちですが、それぞれに専門性を有する役割を持っています。 例えば、スクールソーシャルワーカーが家庭や学校、友人、地域社会など、児童生徒を取り巻く環境への働きかけによって問題の解決を目指すのに対して、スクールカウンセラーは、主に児童生徒の心の問題を解決するために配置されており、それぞれが互いの専門性の違いや機能について理解し、役割を分担しながら課題解決に取り組むことが大切であります。 本県のスクールソーシャルワーカーの実態を確認したところ、活動の実人数では県で四名、市町で四十六名とされております。 しかし、不登校、いじめ、虐待など対応件数は増加傾向にあり、必要に応じて、県のスクールソーシャルワーカーが市町のスクールソーシャルワーカーに対して指導・助言を行うと聞いていますが、県、市町を合わせたスクールソーシャルワーカーの活動人数は限られており、まだまだ実人数は足りないと言えます。 スクールソーシャルワーカーになるために必要な社会福祉士や精神保健福祉士等、資格を有し、かつ教育・福祉分野での活動実績のある専門的な人材確保を行うためには、募集条件の処遇向上も視野に市町が独自予算で採用する場合の支援体制も必要だと考えられます。 近年では、子供の貧困やヤングケアラー問題など、全体の実態把握が必要不可欠な事案において、子供の相談や家庭訪問などアウトリーチによる支援の中で、早期発見・支援につなげることが期待できるなど、今後、ますますスクールソーシャルワーカーの求められる役割は高まると考えます。 そこでお尋ねします。今後、ますます多様化・複雑化する子供たちの問題に対応するために、スクールソーシャルワーカーの人材確保やさらなる資質向上が必要となることは言うまでもありません。スクールソーシャルワーカーの配置促進について、県の御所見を伺います。 最後に、副業・兼業人材の活用についてお尋ねします。 国勢調査の人口推計によると、一九九五年には、およそ八千七百十七万人いた生産年齢人口は二○一三年に八千万人を割り、二○二○年では七千三百四十一万人、今後も毎年約一%ずつ減り続け、二○三○年には、六千七百七十三万人になると予想されています。実にわずか三十五年で約二千万人もの生産年齢人口が減るという衝撃的な数字であります。 このように生産年齢人口が減少する中、政府は働き方改革の一環として副業・兼業を積極的に推進しています。二○二七年度以降、希望者は原則として副業・兼業を行うことができる社会にするという指標を掲げ、ガイドライン策定や見直し、モデル就業規則の改定など実現に向けた取組が進められているところであります。 こうした中、大手企業等は続々と副業を解禁し始め、また、大企業に行ったアンケート調査では、若手中堅の七割以上が副業・兼業に興味あると答えるなど、今後は活用できる多様な人材も増える、つまり、副業ワーカーのマーケットが拡大するのは明らかであります。 個人のライフスタイルで捉えれば、六十歳以降、定年し余生をゆっくり過ごすといった時代ではなく、再教育から再就職を選ぶ、フリーランスとなって起業するなどマルチステージの時代となり、人生百年時代を生きる個人の法人化が増えると私は考えています。 副業・兼業は、そうした第二ステージに向けた準備としても有効だと期待されています。 こうした流れを捉え、茨城県は、新たなプログラム、iBARAKICK!を開始しました。地域に対する熱い思いを有する経営者と都市部の副業人材との協働や、副業期間中に地域と副業人材が深くつながる様々な交流ミッションを通じ、関係人口の創出を目指す取組であります。 また鳥取県では、東京での、地方創生!副業兼業サミットの開催や地域企業を実際に訪問し、経営課題をヒアリングする鳥取企業スタディツアーの実施、企業向け副業・兼業人材活用ハンドブックの作成など、より力を入れた取組が続けられています。 このような取組を進める自治体がある中、本県においても、地域企業の人材不足解消に向け、今後は県内企業における副業・兼業に対する機運醸成や受入れ環境の整備を進めるとともに、副業・兼業人材の活用に積極的に取り組むという姿勢を県内外に対して強く打ち出していただきたい。 そこでお尋ねします。生産年齢人口の減少も加速している昨今、本県では、デジタル人材や多業種での人材不足も叫ばれる中、人材確保は重要な取組であります。本県においても、積極的に副業・兼業人材の活用をする必要があると考えますが、県の御所見を伺います。 以上で、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)猶野議員の御質問のうち、私からは、県民活動の活性化についてのお尋ねにお答えします。 県民一人一人が地域の課題解決に自主的・主体的に取り組む県民活動は、地域づくりを進めていく上で重要な役割を担っています。 このため、私は、これまでも県民活動促進基本計画に基づき、活動団体と参加希望者をマッチングする、あいかさねっとを活用した参加促進や、県民活動アンバサダーの啓発活動による裾野拡大などに取り組んできたところです。 しかしながら、お示しのように、多くの団体では高齢化に加え、新規会員の獲得が困難となる中で、さらに、コロナ禍による交流の機会の減少等により、地域における人と人とのつながりが薄れ、地域コミュニティー機能が低下するなど、様々な課題を抱えています。 私は、こうした課題に立ち向かい、人々の交流とつながりを再生し、誰もが生き生きと輝く地域社会を実現するため、このたび取りまとめた、やまぐち未来維新プランの素案において、重点施策の一つに県民活動の活発化による地域の絆づくりの推進を掲げたところです。 これに併せて、今年度中に県民活動促進基本計画を改定し、県民活動への理解と参加の促進、県民活動団体の基盤強化に向けた人づくり・環境づくり、県民活動団体と多様な主体との協働の推進の三つの基本方針により、積極的に施策を展開したいと考えています。 具体的には、まず、理解と参加の促進については、イベントの開催により団体の魅力発信と団体間の交流促進の場を創出するとともに、広く県民にボランティア体験やきっかけづくりの機会を提供します。 特に、若者の参加促進に向けては、高校や大学との連携を強化し、高校の一人一台タブレット端末等への体験事例の掲載や、大学の掲示板・講義での団体の活動紹介等により、情報取得の機会を拡充していきます。 次に、基盤強化については、専門的な知識や技術を生かしてボランティア活動を行うプロボノワーカーの登録バンクの創設や、団体の課題に精通したコンシェルジュの配置等により、団体とワーカーのマッチングと活動を支援し、人材の育成・確保及び財政基盤強化につなげてまいります。 さらに、協働の推進については、あいかさねっとに写真や動画を掲載するなど内容の充実を図るとともに、特に、若者向けにSNSを通じた募集情報の配信を行うなど、デジタル機能を活用してマッチングを強化します。 加えて、県と市町の活動支援センターに、新たに協働ファシリテーターを配置し、ニーズや課題を把握することにより、きめ細やかな活動支援や団体間の情報共有を進め、多様な主体との協働による地域課題の解決を図ってまいります。 こうした取組により、若者をはじめとする多くの県民の参加促進に努めるとともに、基盤強化や協働の推進等の施策を充実強化してまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体、企業はもとより、高校や大学などと連携し、活力ある地域づくりの推進力となる県民活動の活性化に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害者ICTサポートセンターについてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が地域で安心して生活するためには、日常生活を営む上で必要な情報を入手し、円滑に意思疎通を図っていくことが重要です。 このため県では、障害者いきいきプランにおいて、地域で共に暮らせる、住みよい生活環境の整備に向け、コミュニケーションに障害のある方の情報アクセシビリティーの向上や意思疎通支援の充実に取り組んでいるところです。 具体的には、障害のある方への情報提供における配慮のポイントをまとめたマニュアルを作成し、企業等に活用を促すとともに、手話通訳者や要約筆記者の養成やオンラインによる遠隔手話サービスの提供等に努めているところです。 こうした中、本年五月に、国において、いわゆる障害者情報アクセシビリティー法が施行されたところであり、県としても、今議会に提案している条例において、障害のある方にとって分かりやすい表現や障害特性に応じた意思疎通の普及に向けた施策を講じることとしています。 特に、障害のある方にとって、ICT機器の活用は情報を得るための重要な手段となることから、お示しのICTサポートセンターの設置も含め、障害のある方のICT機器の利活用を支援する環境づくりを進めてまいります。 また、障害者のICT利用能力の向上に向けては、国において、ICT機器に不慣れな方のサポートを行うデジタル推進委員制度が今年度開始されたことから、こうした制度も活用し、障害のある方の特性やニーズに応じた支援に取り組んでまいります。 県としましては、今後とも、障害の有無によって分け隔てられることのない地域社会の実現に向け、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)地域鉄道、バスにおける再生・活性化へ向けた取組についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、鉄道事業者と沿線自治体の連携を図る仕組みづくりについてです。 鉄道は、地域の基幹的・広域的な移動手段であり、まちづくりを含めた地域の在り方にも関わる重要な基盤であることから、地域のまちづくり施策とも連携しながら、その維持・活性化を図ることが必要です。 このため、各市町においては、交通事業者や関係機関など、まちづくりに関わる幅広い関係者による地域公共交通会議を設置し、利便性の向上をはじめ、まちづくりと一体となった持続可能な公共交通ネットワークの構築に向けた取組を進めています。 また、JRの各路線においても、路線ごとに設置された利用促進協議会の場を活用し、鉄道事業者と沿線自治体が連携して、まちづくりの視点も踏まえながら、利便性向上や利用促進に向けた対策など、様々な取組を進めているところです。 さらに、県内各路線の現状や利用促進協議会における取組等についての情報共有や意見交換を行うため、新たに活性化連絡会議を設置し、県下全域における路線の活性化や鉄道利用の機運醸成を図っているところです。 県としては、今後とも、こうした体制の下で、まちづくりと一体となった地域公共交通の維持・活性化に取り組んでまいります。 次に、公共交通機関の活性化に向けた若者の利用促進についてです。 地域公共交通の利用促進を図るためには、お示しのように、とりわけ、公共交通機関が主要な移動手段となる学生など若者の利用を増やすことが重要です。 このため、県としては、利便性向上に向けてバスロケーションシステムや交通系ICカードの導入を支援するとともに、県バス協会とも連携し、子供を対象とした公共交通機関の魅力に触れるイベントの開催や、バス会社による夏休み期間中の子供五十円バスの取組への支援を行っています。 また、県も参画する各鉄道路線の利用促進協議会において、小学生の社会学習で利用する際の運賃への助成を行うとともに、若者の鉄道への関心を高めるため、企画列車の運行やSNS等を活用した効果的な情報発信にも取り組んでいるところです。 県としては、今後とも、各市町や公共交通事業者等と連携し、若者の利用にもつながる公共交通機関の利用促進に向けた幅広い取組を積極的に進めてまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)副業・兼業人材の活用についてのお尋ねにお答えします。 生産年齢人口が減少する中、企業が持続的に成長・発展していくためには、意欲や能力を存分に発揮できる多様な働き方を実現するとともに、経営課題の解決を図り生産性向上を実現することが重要です。 また、コロナ禍においてテレワークに代表される場所や時間にとらわれない働き方の普及と相まって、外部知見の活用による課題解決や、本人自らのスキルアップにつながる副業・兼業が大きく注目され、企業での導入が広がっています。 国においては、こうした状況を踏まえ、ガイドラインを策定し、副業・兼業を認める方向でモデル就業規則を改定するとともに、多様な先進事例の周知啓発を行っています。 県では、労働局等関係機関と連携し、企業に国のガイドラインを周知することなどにより機運醸成を図り、就業規則の見直し等受入れ環境の整備を進めることとしています。 また、ワークショップの開催等を通じて、企業の働き方改革を積極的に進め、副業・兼業がしやすい多様で柔軟な働き方の導入を促進するとともに、副業等の促進にも資するテレワークの積極的な導入促進も図っているところです。 さらに、こうした環境整備を行うとともに、企業の生産性向上やDX推進などの経営課題の解決を図るため、副業等多様な形態での首都圏等のプロフェッショナル人材の活用を促進しています。 具体的には、やまぐち産業振興財団にプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、県内企業への巡回訪問や相談会を通じて企業のニーズの把握に努めるとともに、副業希望者等とのマッチングを進めています。 また、今年度からは、DX人材の仲介手数料等の支援を拡充するなど、重点的にデジタル人材の確保・活用を図ることとしています。 県としては、関係機関と連携し、副業・兼業人材が活躍できる環境づくりを進めることにより、多様な働き方の実現や企業の経営課題解決を通じた生産性向上につなげてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する二点のお尋ねのうち、まず、不登校特例校の設置推進についてお答えします。 児童生徒を取り巻く環境が大きく変化する中、本県においても、不登校児童生徒数の増加は生徒指導上の喫緊の課題であり、その支援に当たっては、不登校の要因や背景を的確に把握するとともに、一人一人の状況に応じた学ぶ機会や居場所の確保を図ることが重要であると考えています。 このため、本県では、これまで不登校生徒のための学びの場として、平成二十七年度に県内二市の中学校において分教室を設置し、少人数指導によるきめ細かな学習支援や進路指導を充実させるなど、不登校生徒の社会的自立につなげる取組を進めてきました。 また、昨年度、県教委と市町教委で設置した不登校児童生徒支援協議会において、不登校の実情や支援に関する方策等についての情報を共有するとともに、フリースクールなどの民間施設等との連携による支援体制の構築や効果的な支援方法等について協議を行っているところです。 お示しの不登校特例校については、基礎学力の定着や自己肯定感の向上に加え、社会的自立にも効果が見られるなど、不登校児童生徒の多様なニーズに応じる有効な学びの場の一つであると認識しており、市町教委や関係機関と連携し、本県の不登校児童生徒の実情やニーズの把握に努めながら、設置の可能性について研究してまいります。 次に、スクールソーシャルワーカーの配置促進についてのお尋ねにお答えします。 いじめや不登校、子供の貧困やヤングケアラー問題など、児童生徒の抱える課題が複雑化・多様化する中、児童生徒を取り巻く環境に働きかけ、課題の解決を図るスクールソーシャルワーカーの役割や重要性は一層増していると認識しています。 このため、本県では、県のスクールソーシャルワーカーをスーパーバイザーとして位置づけ、各市町の取組を支援する体制を構築するとともに、スクールカウンセラーや弁護士等との連絡会議において、児童生徒の課題や家庭問題等についての事例検討や協議を行うなどにより、スクールソーシャルワーカーの資質の向上を図っています。 また、本年度から県のスクールソーシャルワーカーの一名を、全国に先駆けて正規職員として採用し、雇用の安定を図るとともに、緊急時の迅速な対応や長期の継続した支援が可能となるよう体制を強化したところです。 県教委といたしましては、今後も、国に対して、スクールソーシャルワーカーの配置拡充について働きかけるとともに、引き続き市町教委のニーズも踏まえながら、その配置の促進に努め、学校に対する支援の一層の充実を図ってまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十分休憩