1 食料安全保障の基本となる農地の整備について 2 高齢化が進む集落営農法人の今後の方向性について 3 瀬戸内海の漁業振興について 4 脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化について 5 デジタル社会を支えるインフラ整備について 6 農業高校のあり方について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十九号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十九号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 国本卓也君。 〔国本卓也君登壇〕(拍手) 国本卓也君 皆様、おはようございます。自由民主党の国本卓也でございます。 先週、故安倍元総理の国葬が、国内外から参列された多くの方々と、献花に訪れられた多くの方々に見守られる中、恭しく執り行われました。万全の警護が求められる中で、関係する全ての方の御尽力により、無事に安倍元総理をお見送りすることができたことに、心から安堵しております。 六回の国政選挙で、国民の信任を得ながら、また、憲政史上最長の通算八年八か月にわたって、内閣総理大臣を務められた、その類いまれなるリーダーシップと実行力は、我が国、そして、山口県の未来にとってなくてはならないものでありました。 改めまして、安倍元総理の偉大なる御功績に深い敬意を表しますとともに、安らかな御永眠をお祈り申し上げ、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、食料安全保障の基本となる農地の整備についてお尋ねをいたします。 私たちの身の回りで、物やサービスの値上げが相次いでいます。 民間の信用調査会社帝国データバンクは、九月一日に、上場する国内の飲料・食品メーカー百五社の値上げ調査結果を公表いたしました。 この調査結果によると、二○二二年一月から八月末までに、累計で二万五十六品目が値上げとなり、平均の値上げ率は一四%となっています。 その後も九月には二千四百二十四品目、十月には六千五百三十二品目の値上げが予定されており、値上の動きは今後も続く見込みと指摘しています。 こうした中、九月九日に、国の、食料安定供給・農林水産業基盤強化本部が開催され、今後一年をかけて、食料・農業・農村基本法の改正に取り組むこととされました。 全ての農政の根幹であるこの法律の改正は、世界の社会経済情勢、気候変動、国内の農家や農地の減少など、食料安全保障の重要性が一層増す中で、刻々と変化する国内外の状況への対応が求められていることを受けて、検討が開始されるものであります。 我が国の食料安全保障は、国内の農業生産の増大を基本として、これに輸入と備蓄とを適切に組み合わせることが基本理念となっています。 一定の輸入に頼らざるを得ないことは、現実的に考えてやむを得ませんが、輸入が縮小、または途絶したときには、農地などの農業生産資源だけが頼りであります。 ロシアのウクライナ侵略の影響により、今後も世界的な規模で、深刻な食料不足や食料価格の高騰が続くことが懸念されています。 輸入が断たれ、海外から食料が手に入らない事態は、もはやあり得ないことではなく、それに備えたリスク対策をさらに強化し、新たな時代の食料安全保障を確立していかなければなりません。 本県においても、農業生産の増大を図るため、今ある農地を優良な農地として整備し、フルに有効活用して、必要な食料を可能な限り確保できる状況をつくり出していく必要があります。 私は、このピンチとも言える状況は、農業を魅力ある産業として成長させ、美しい農村を次世代に引き継いでいくチャンスであり、極めて重要な時を迎えていると考えています。 そこでお尋ねいたします。食料安全保障の基本となる農地の整備について、今後どのような姿勢で臨まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高齢化が進む集落営農法人の今後の方向性についてお尋ねをいたします。 一昨年、本県の水稲栽培は、ウンカにより壊滅的なダメージを受けたものの、県をはじめ、市町やJA等が連携した経営支援や技術的なサポートにより、その後も、面積を大幅に減らすことなく作付が行われています。 一方、地域を回り、農家の皆さんの声を聞いていると、これからの農業経営の継続に大きな不安を持っておられることを痛切に感じています。 その不安の要因の一つに、地域の農業者の高齢化があります。もちろん、本県農業の高齢化は、ここ数年の課題ではなく、以前から指摘されている大きな課題です。 このため、県では、農業経営の基盤である圃場整備や水田の高機能化に合わせ、家族単位ではなく、地域単位で農業経営を展開する集落営農法人の育成を進め、さらに、次代を担う若者たちの就業やドローンをはじめとしたスマート農業機械の導入が可能となるよう、集落営農法人を広域化する法人連合体の形成を積極的に進めてこられました。 その結果、本県における農業経営体の平均経営規模は大幅に拡大し、毎年百名を超える新規就業者の約半数が法人に就業するという、よい流れが生まれつつあります。 一方で、こうした流れは、幼少時代から農作業を経験してきた世代が定年を迎えた後、地元に戻って農業法人の経営に参画することで成り立っているという背景があります。 しかしながら、我が国全体の高齢化が進み、定年延長などの動きもある中で、定年後に地元に戻る人が減少し、法人構成員の世代交代がなかなか進まない状況になっています。 さらに、水稲などの土地利用型作物を主体とする農業経営においては、草刈りや水回りなどの管理作業を、農業経営に携わる法人構成員だけではなく、地域の高齢者にも担ってもらっているのが実情であり、高齢を理由に、こうした農作業からリタイアされる方も増えているのです。 こうした状況が続けば、これまで本県農業を支えてきた集落営農法人の機能が低下し、経営面積の縮小を余儀なくされ、本県農業の衰退につながりかねません。 私は、地域の農業者が、高齢になりながらも、次の世代に農地や技術ノウハウをつなぐために踏ん張ってくださっている今こそ、県として、集落営農法人の今後の方向性をしっかりと示す必要があると考えています。 そこでお尋ねいたします。高齢化が進む中においても、本県農業の中核を担う集落営農法人が継続して安定した経営が可能となるよう、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、瀬戸内海の漁業振興についてお尋ねをいたします。 本県の漁業産出額は、年々減少しているものの、直近では約百四十億円と、半島や離島などを有する地域においては、若者たちが活躍できる重要な産業の一つになっています。 私の地元である熊毛郡においても、瀬戸内海の多様な水産資源を生かしながら、若者たちが新規漁業就業者、いわゆるニューフィッシャーとして定着し、活躍しています。 特に、田布施地域では、平成十一年以降、これまで八名のニューフィッシャーを受け入れられていますが、そのほとんどが県外からのIターン組であります。 初めての土地で、慣れない仕事に従事しながら暮らすことは、若者たちにとって、思い描いていた夢の実現であると同時に、生活面での不安が大きいことは容易に想像できます。 そうした中で、田布施地域に多くのニューフィッシャーが定着しているのは、若者たち本人の努力はもちろんですが、彼らをサポートする県漁協の職員をはじめ、地域の漁業者や関係者の心の籠もった対応の結果であると考えています。 田布施には、新鮮な鮮魚や加工品を直接消費者に販売する昼市を運営している、新鮮田布施というグループがあります。 このグループは、全国青年・女性漁業者交流大会で農林水産大臣賞や水産振興功労者表彰を受賞するなど、数多くの賞を受賞していますが、その理由は、ニューフィッシャーとして移住した若年就業者とベテラン漁業者たちが一体となって、地元で漁獲される低価格魚や未利用魚を一次加工し、付加価値の向上を図った上で、地元の消費者に直接販売することで、大幅に収益を向上させていることにあります。 若者たちを受け入れ、活動を共にすることで、高齢化の進みつつあった地域の漁業が活性化しているのであります。 しかし、こうした取組が評価されているのも、安定した漁獲があるからこそであります。 瀬戸内海の漁業は、日本海側に比べて経営規模は小さいものの、数多くの島々が点在し、岩礁域に富んでいることから、各種魚介類の繁殖に適しており、様々な漁法によって数多くの種類の魚が漁獲できるという特徴があります。 しかし、閉鎖系の海域であることから、現在では、水がきれいになり過ぎたことによる水産資源の減少なども指摘されており、漁業関係者の努力だけでは対応が難しい実態もあります。 県では、これまで、瀬戸内海の水産資源の確保に向けた様々な取組をされており、高く評価しているところでありますが、私は、瀬戸内海の漁業をさらに活性化させるためには、多様な魚種が安定して漁獲できる環境を維持・整備する取組を加速していくことが重要だと考えております。 そこでお尋ねいたします。瀬戸内海の漁業のさらなる振興に向け、瀬戸内海の資源管理や魚礁の整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化についてお尋ねをいたします。 近年の中小企業政策の最重要課題は、何といっても、コロナ禍を乗り越えるための事業継続支援であります。中小企業の皆さんは、幾度となく押し寄せる感染拡大の波に翻弄されながらも、歯を食いしばって耐え忍び、必死に事業を継続されています。 そして、ようやくウイズコロナの時代が近づいてくるのかと思った矢先に起こったのが、ロシアによるウクライナ侵略の影響などに伴う、海外需要の減少、急激な円安、エネルギー・原材料価格の高騰であります。 加えて、中国でのロックダウンによるサプライチェーンの崩壊は、中小企業のみならず、大企業をも巻き込み、大きな影響を及ぼしています。 部品不足から家電製品が品薄となった光景も記憶に新しく、また、新車を注文しても、いつ納車されるのか、見通しさえ立たず、新車価格と中古車価格の逆転現象さえ起こっているという話も耳にいたします。 さらに、毎年の賃金引上げは、従業員の方にとってはよいことでありますが、価格転嫁に悪戦苦闘しておられる中小企業の経営にとっては、その影響がボディーブローのように効いてきています。 そして、今後、中小企業を待ち受けているのがカーボンニュートラルであります。 中小企業の温室効果ガス排出量は一・二億トンから二・五億トンと推計されており、日本全体の温室効果ガス排出量の一割から二割弱を占めるそうであります。 近年、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指すグローバル大企業が増加し、既に一部の企業は、海外の取引先から脱炭素化の方針への準拠を求められているとのことであります。 また、金融機関でも、融資先に対して、温室効果ガス排出量の開示を求めたり、石炭等の化石燃料への供給資金を引き上げる動きがあり、現に、石炭の調達価格は、数年前の三倍近くに上昇しているともお聞きしています。 「脱炭素化の取組を進めるという政策に反対するつもりはないが、我々中小企業にとって最優先なのは、いかにして自社製品を売上げにつないでいくかだ」これは、私が近況をお聞きするため、地元企業を訪問する中でお聞きした言葉であります。中小企業の立場での率直な思いを吐露されたものだと感じております。 そもそも、財務基盤が脆弱な中小企業の多くは、人材、情報などの面で一定の制約があると同時に、いざ脱炭素化に取りかかろうにも、これまでの省エネならいざ知らず、脱炭素化の取組が直接、新たな付加価値を生み出すことはまれであり、コストを価格に転嫁することが難しい状況では、二の足を踏んでしまっているというのが実態であります。 カーボンニュートラルへの対応がいずれ必要になると感じつつも、中小企業の多くは、日々の経営に追われ、自ら進んで具体的な方策を検討できるような状況にはなく、行政がきめ細かく支援していくことが不可欠だと考えております。 そこでお尋ねいたします。脱炭素化という世界的な潮流の中、今後、中小企業は、取引先から、組織や製品単位での温室効果ガス排出量の削減を求められていくと考えていますが、脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化に、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、デジタル社会を支えるインフラ整備についてお尋ねをいたします。 デジタル技術は、人口減少や過疎化、産業の空洞化など、地方の社会課題を解決する鍵であり、新しい価値を生み出す源泉であります。また、農林水産業の振興や産業力の強化、地域再生や安心・安全の確保などの政策においても、デジタル技術の活用は大変有効であり、県でも、知事が先頭に立ち、デジタルを活用した取組を積極的に展開されています。 そうした取組の一つとして、県が、町村会や民間事業者と協定を結び、高齢者など、聴力が弱い方との意思疎通を支援する、窓口相談支援システムの実証を進められていると伺っています。 今後、県内全六町での導入に向け、各役場の窓口で実証を進められるとのことであり、特に、私の地元のように高齢化が進む地域においては、大変意義のある、効果的なサービスになると思いますので、本格運用と、さらなる横展開に期待をしております。 こうしたデジタルを生かした取組を県内各地で進めていくためには、その前提となる、デジタルインフラの整備が不可欠であります。政府が掲げるデジタル田園都市国家構想においても、デジタル基盤の整備を重要な柱に位置づけており、この核となる光ファイバーについては、二○二七年度末までに世帯カバー率を九九・九%とする目標が示されています。 このような中、県では、やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)の今後の在り方が検討されています。YSNは、平成十三年の運用開始以来、光ファイバーの基幹網として、ケーブルテレビ事業者や大学、病院など、幅広い分野と、中山間地域をはじめとする県内各地域で活用されてきており、これまで多くの県民の暮らしや事業者の活動を支えてきました。 私は、県内どの地域も取り残すことなくデジタル化を進めていくためには、YSNという貴重な財産を今後も有効に活用するとともに、国や市町、関係事業者等と連携して、光ファイバーなどが必要な地域の整備を着実に進めていただきたいと思っております。 そこでお尋ねいたします。やまぐちデジタル改革を推進していく上でも重要となる、光ファイバーなどのデジタル社会をつくり支えるインフラ整備について、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、農業高校の在り方についてお尋ねをいたします。 農業教育は、言うまでもなく、人間が生きていく上で必要な食料の生産や供給等を担う農業や、その関連産業を支える職業人を育成する重要な産業教育の一つであります。 農業教育活動の中心の場として、農業高校は、これまで大きな役割を果たしてきましたが、農業者の高齢化や農地面積の減少など、農業を取り巻く環境の変化に加え、少子化による中学校卒業生の減少や進学ニーズの変化などを背景に、全国的にも、また山口県においても、農業高校の減少が続いている状況であります。 本県では、今から十五年前には、農業学科を有する高校が七校ありましたが、現在は、山口農業高校、大津緑洋高校、田布施農工高校の三校となっています。 私の地元にある田布施農工高校は、県東部地域で唯一、農業を学べる高校ですが、平成二十二年に田布施農業高校と田布施工業高校が再編統合され、現在に至っており、一学年で農業学科が三学級、工業学科が一学級で、一学年四学級の規模を維持していますが、少子化等による学校規模の縮小が懸念されています。 こうした中、農業高校においては、従来から、地域農業と密接に関わりながら、地域の課題や文化などを踏まえた特色ある教育活動が進められてきました。 田布施農工高校では、伝統的な取組として、昭和三十一年に、熊毛杜氏の養成と蔵人の育成のために醸造科が誕生して以来、酒造りが伝統として受け継がれており、清酒製造の技術を学べる数少ない高校の一つとなっています。 また、近年では、地域との協働による教育活動を深化させるため、田布施町と連携・協働に関する協定を締結するとともに、コミュニティ・スクールの仕組みを発展させ、学校や町をはじめ、地域の農業法人、企業や団体、教育関係等が参画するコンソーシアムを構築し、農林水産業の担い手の確保と育成などの地域課題の解決を図る探求的な学びの取組も進められているところであります。 こうした地域との協働による教育活動は、地域とのつながりが深い農業高校ならではの特性を生かしたモデルとなる取組と考えており、今後の継続や発展を大いに期待しているところであります。 一方で、デジタル技術などの進展により、農業分野においても、ロボット技術やICTを活用して、省力化・精密化や、高品質生産等の実現を図る新たな農業、いわゆるスマート農業の取組が進みつつあります。 農業高校においても、こうした新しい時代の農業の担い手の育成を目指した、より専門性の高い教育活動の充実が求められるとともに、スマート農業の進展により、若者の農業に対する興味・関心や、学習ニーズの高まりが期待されるなど、今後、高校における農業教育はますます重要になってくるものと考えております。 そこでお尋ねいたします。県教育委員会では、昨年度末に、本県高校改革の指針となる第三期県立高校将来構想を策定され、今後、特色ある学校づくりに向けた具体的な取組が進められるものと考えていますが、本県における農業高校の在り方や方向性について、どのように考え、農業教育の充実に取り組んでいかれようとしているのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、一言申し上げます。 このたび、上関町の柏原重海町長が町長の職を辞されました。平成十五年の町長就任以来、原子力発電所建設計画を抱える上関町のリーダーとして、町を率いてこられた柏原町長には、そのリーダーシップで、今後も上関町の発展に尽くしていただけるものと考えていただけに、このたびの辞任は大変残念に思っております。 上関町においては、これまで一貫して、原子力発電所立地によるまちづくりを、町政の基本的な考え方として掲げてこられました。そして、県は、そうした上関町の政策選択や国のエネルギー政策を尊重するという基本姿勢を示されており、私ども自由民主党としても、この基本姿勢を一貫して支持しているところであります。 上関町は、今後、新しいリーダーの下で、未来に向けたまちづくりを続けていくことになりますが、県におかれましては、今後とも上関町の政策選択を尊重し、上関町に寄り添ったまちづくりに力強い御支援を賜りますよう、地元選出の県会議員として、心よりお願いを申し上げまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)国本議員の御質問のうち、私からは食料安全保障の基本となる農地の整備についてのお尋ねにお答えします。 農産物の安定的な生産体制の確立に向けて、農地の集積や農産物の高付加価値化などを推進し、中核経営体を中心とした次代の担い手が、多様な営農を展開できるように、その基礎となる優良な農地の確保が重要と考えています。 このため、私は、農地整備の推進と集落営農法人等の育成に一体的に取り組んできたところであり、約二万三千四百ヘクタールの区画整理や、約二千百ヘクタールの水田高機能化が実現するとともに、二百九十九の集落営農法人と十四の法人連合体が設立されたところです。 こうした中、社会経済情勢や気候変動、農家や農地の減少などにより、食料安全保障の重要性が一層増しており、国において食料・農業・農村基本法の見直しに向けた検討が開始されています。 こうしたことを踏まえ、私は、本県農業の持続的な発展に向け、農地の生産性をさらに向上させ、有効活用していくための農地整備を、強力に進めていく考えです。 具体的には、効率的な営農展開が図られるよう、意欲ある担い手への農地集積を一層促進し、自動走行農機やICT水管理等、大幅な省力化が期待できるスマート農業の導入に対応する区画整理など、より生産性を高める整備を推進します。 あわせて、これらの農地をフル活用するため、麦、大豆、園芸作物など、市場ニーズに即して様々な品目を組み合わせた営農を容易にする、地下水位制御システムの整備等、水田高機能化に引き続き取り組みます。 また、耕作条件の不利な中山間地域の農地については、地形や地域の実情を踏まえ、農業機械の作業効率を確保した上で、区画の大きさや配置を工夫した整備を行い、リモコン式草刈り機などの導入促進により、維持管理労力の負担軽減を図ります。 こうした農地整備を計画的かつ円滑に推進するためには、土地改良区や農業者を中心とした十分な話合いによる、実効性の高い整備計画づくりが不可欠であることから、市町、土地改良事業団体連合会などと緊密に連携し、地域における合意形成を支援します。 私は、美しい農村を次世代に引き継ぐため、市町や関係団体等と連携し、食料安全保障の基本となる農地の整備を積極的に進め、持続可能な力強い農業の実現に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)高齢化が進む中、集落営農法人の今後の方向性についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少・高齢化が進む中、小規模経営が多い本県農業を持続的に発展させるためには、経営規模を拡大し、効率的な経営が行えるよう、集落営農法人や広域で事業を展開する法人連合体を核とした生産構造を構築することが重要です。 このため、県では、これまで、JA等と連携し、集落営農法人等の中核経営体の育成を重点的に推進してきたところであり、これらの法人が雇用の受皿ともなり、地域農業を牽引しています。 こうした中、経営規模のさらなる拡大を志向する法人がある一方で、お示しのとおり、構成員の世代交代が円滑に進まず、今後の経営の継続が困難となる法人も見受けられるようになっています。 こうしたことから、昨年度、JA等と連携し、各法人を対象に、課題や今後の経営意向等に関する調査を実施したところであり、今後、結果の分析を行った上で、その状況に応じた支援の在り方等について検討することとしています。 具体的には、それぞれの意向に沿って、近隣の連合体への参加や法人同士の統合も視野に入れ、市町等と連携し、経営継続に向け、集積した農地の再編などの合意形成を促進します。 また、こうした再編により規模拡大を目指す法人等に対しては、専門家による経営計画の作成指導をはじめ、農業専門の求人サイト、アグポン等による外部人材の確保や、省力化に資するスマート農機の導入など、ソフト・ハード両面から支援してまいります。 加えて、若者の法人就業による世代交代を支援するため、新規就業者の確保・定着を図るとともに、来年度、農業大学校に土地利用学科を新設し、水田複合経営に取り組んでいる法人に参画できる人材の育成を進めます。 県としては、関係団体等と緊密に連携し、高齢化が進む中においても、集落営農法人等が継続して安定した経営が可能となるよう、その育成と経営基盤の強化に積極的に取り組んでまいります。 次に、瀬戸内海の漁業振興についてのお尋ねにお答えします。 近年、温暖化などによる魚介類の生息環境の変化等により、瀬戸内海においても漁獲量が減少する中、安定した漁獲を維持するためには、水産資源の維持・増大につながる資源管理や、魚礁などの漁場整備を進めることが重要であると考えています。 こうしたことから、瀬戸内海では、重要魚種であるトラフグなどの休漁期間の設定や小型魚の採捕禁止などの資源管理の取組を進めてきました。 また、付加価値の高いキジハタ等の種苗放流を行い、その生息環境の確保に向けた漁場整備を一体的に進めてきたところです。 こうした中、国は、資源量を科学的に把握し、年間漁獲量の上限などを定める新たな資源管理と、栽培漁業を一体的に進めることとされており、県としても的確に対応することが必要です。 また、栽培漁業と連動した漁場整備については、さらなる資源の増殖に向け、漁業者ニーズを踏まえた、水産生物の良好な生息・生育環境の創出に向けた取組を進めることが重要です。 このため、デジタル技術を活用した科学的な生息量調査を強化し、漁業者の意見も聞きながら、稚魚の成育場を保護区域に設定するなど、実効性のある資源管理を進めていきます。 加えて、海洋環境の変化も踏まえ、種苗放流の効果が最大限発揮されるよう、魚種ごとに最適な放流サイズや時期などを分析・検証し、資源管理と一体的な栽培漁業を推進します。 また、これまでの漁場整備の取組を進めるとともに、利用実態やニーズを把握し、新規魚種を対象とする魚礁の整備などを盛り込んだ、新たな漁場整備計画を策定することとしており、こうした取組により安定した漁獲量を確保していきます。 県としては、今後とも漁業者をはじめ、市町、関係団体と緊密に連携し、安定した漁獲ができる環境の維持・整備に向け、ソフト・ハード一体となった施策を展開することにより、瀬戸内海の漁業の振興にしっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)脱炭素化に直面する中小企業への支援の充実強化についてのお尋ねにお答えします。 脱炭素化の世界的な潮流の中、サプライチェーン全体の温室効果ガス排出量が企業価値に影響を与える状況となってきているなど、中小企業にとっても脱炭素化の取組は重要な課題となっています。 しかしながら、中小企業においては、脱炭素化への対応方策等の情報が乏しいことや、設備導入コストが高いことなどから、その必要性を理解しながらも、取組をちゅうちょする企業が多い状況にあります。 このため、現在策定を進めている、やまぐち産業脱炭素化戦略において、中小企業に対する支援機能の強化を位置づけ、普及啓発をはじめ、経営・技術支援や資金支援など、きめ細かな支援に取り組むこととしています。 まず、普及啓発に向けては、地球温暖化防止活動推進センターと連携し、省エネの効果や再生可能エネルギーの導入促進に向けたセミナーの開催や、省エネ診断の実施によるCO2削減効果の見える化などを進めていくことにより、中小企業の理解促進を図り、具体的な取組につなげてまいります。 経営・技術支援については、やまぐち産業振興財団や産業技術センター、商工会議所等の支援機能を強化するとともに、各機関が連携した一体的な支援体制の構築を検討し、その下で企業課題に応じた効果的な伴走支援を行っていきたいと考えています。 資金支援については、脱炭素化に向けた設備投資等に対する県制度融資の充実や、国の補助制度等の活用に向けたサポートを行うとともに、県独自の支援制度についても検討してまいります。 さらに、脱炭素社会への変革をビジネスチャンスと捉えた取組も重要であることから、環境・エネルギー分野など、これまで取り組んできた成果や強みを生かし、産学公が連携した研究開発や新事業展開の取組を支援してまいります。 脱炭素化への対応は、国・地方が一丸となって取り組むべきものであり、県としては、国に対して中小企業の強化を求めるとともに、これから素案を取りまとめる戦略において、しっかりと検討を進め、中小企業への支援の充実強化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)デジタル社会を支えるインフラ整備についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化の推進に当たっては、その基盤となる光ファイバー等のデジタルインフラの整備が不可欠です。 このため、県では、市町等と連携し、その整備促進に向けた取組を進めており、お示しの、やまぐち情報スーパーネットワーク(YSN)は、全県的な基幹網として、通信事業者の県内各地域への光ファイバー網の拡張等に活用されてきました。 こうした中、このたび、YSNの将来の方向性について、有識者による在り方検討会で、様々な観点から検証が行われたところです。 その結果、YSNは、コスト面で将来的にも民間サービスより優位性があることや、デジタル化が急速に進展する中で財産的価値が高まっていることなどにより、今後も、県の強みとして積極的に生かすべきとされたことから、県では、デジタル・ガバメントの推進や、教育・医療などの幅広い分野でYSNのさらなる有効活用を図っていきます。 加えて、YSNを基盤とするケーブルテレビ事業者等と連携し、光ファイバーのユニバーサルサービス化で創設が見込まれる不採算地域への支援を生かした、光ファイバーの整備促進にも取り組みたいと考えています。 また、光ファイバーなどが必要な地域における整備を着実に進めるため、デジタル田園都市国家構想を掲げる国や市町との連携を強化していきます。 まず、国に対しては、全国知事会等を通じて、地方の状況をしっかりと伝え、地方を後押しする光ファイバーの支援制度の拡充や、都市部に遅れることのない5Gの整備等を強く求めていきます。 さらに、国が都道府県や通信事業者等を構成員として設置する、地元ニーズに沿った整備を進めるための地域協議会において、県内整備への働きかけや、地域格差の是正に向けた、光ファイバー未整備地域での5Gの先行整備の提案などを行っていきます。 また、市町との連携については、光ファイバーのユニバーサルサービス化も踏まえ、個々の地域の状況をより詳細に把握し、具体的な整備手法等を協議・調整する場づくりなど、新たに検討したいと考えています。 県としては、引き続き、国や市町、通信事業者等としっかりと連携し、YSNも有効に活用しながら、光ファイバー等のデジタルインフラの整備促進に向けて、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)農業高校の在り方についてのお尋ねにお答えします。 少子高齢化や人口減少等による農林業の担い手不足が進む中、新たな時代において持続可能な農林業等を創造できる人材や、地域の農林業や関連産業を担う人間性豊かな職業人の育成が求められており、農業高校が果たす役割は重要であると考えています。 このため、本県の農業高校では、基礎的・基本的な知識・技術の習得はもとより、専門性の向上や実践力の育成のため、作物の栽培方法等について学ぶ農業現場での技術研修や、商業科等の異なる学科と協働しながら、それぞれの専門性を生かした商品開発や販売活動などに取り組んでいるところです。 また、お示しの田布施農工高校では、国の研究事業を活用し、産学官のコンソーシアムを構築することにより、地域と学校で、目指す地域人材の姿を共有しながら、担い手不足や耕作放棄地等の地域課題の解決に向けた教育活動に取り組み、将来、地域に貢献したいと考える生徒や県内就職を希望する生徒の増加へとつながっています。 こうした中、県教委では、本年三月に策定した第三期県立高校将来構想において、これからの農業教育の方向性として、生徒の興味・関心を就農につなげる教育活動や、新しい時代の農業の担い手を育てる教育活動などの充実を掲げたところです。 今後は、この方向性に沿って、若手就農者とのディスカッションや小中学校への出前講座、地元企業との共同研究など、地域や産業界と連携・協働した取組を通して、生徒に農業の魅力ややりがいを実感させるとともに、職業観や勤労観を一層育んでまいります。 また、農業用ドローンや自動操舵トラクターなど、最先端の産業教育装置を活用した教育活動を推進するとともに、スマート農業に力を入れている県立農業大学校との連携を強化するなど、農業の技術革新と高度化等に対応した教育活動の充実に取り組むこととしています。 こうした農業教育を全県的に推進するため、地域の特色を生かした農業高校を県内にバランスよく配置することも検討してまいります。 県教委といたしましては、新たな時代において、本県の地域・社会を支え、農業の持続的な発展を担う人材の育成に向け、将来構想の方向性に沿って、農業教育の一層の充実を図ってまいります。