1 企業の目線に立った産業戦略の推進について 2 水道事業の基盤強化について 3 地域の産科・小児科体制の維持について 4 次世代にとって魅力的な建設産業の構築について 5 自転車の活用推進について 6 eスポーツの推進について 7 その他
議長(柳居俊学君)有近眞知子さん。 〔有近眞知子さん登壇〕(拍手) 有近眞知子さん 皆様、おはようございます。自由民主党会派の有近眞知子です。 七月八日、世界を駆けめぐった安倍元総理御逝去の報は、あまりに突然で、今なお、私たちが失ってしまったものの大きさを痛感する日々です。 私は、六月の参議院議員選挙で自民党遊説隊の一員として、安倍先生と一日を御一緒させていただきました。この日はあいにくの雨でしたが、安倍先生は道路沿いで応援してくださる方々に、五十回以上も車から降りてグータッチをされたり、声をかけられたり、またスタッフの皆さんとの昼食では、疲れも見せず、楽しい話で皆さんをねぎらっておられました。 そんな姿を近くで拝見して、安倍先生は地域の方々との触れ合いを大切にし、国民の思いや生活を肌で感じ、動向をどうすべきかを判断できる方であったからこそ、国民のための政策を次々と実現することができるのだと思いました。 安倍先生に心より追悼の意を表しますとともに、私も同じ山口県の政治家として強い信念を持ち、山口県の未来をつくり上げるため、全力を尽くす覚悟であることを申し上げまして、通告に従い一般質問をさせていただきます。 まず、企業の目線に立った産業戦略の推進についてお尋ねします。 八月三十日、私の地元柳井市で、株式会社トクヤマによる、再生可能エネルギーの余剰電力を使って水素を製造するアルカリ水電解装置の製作・開発拠点の起工式が開催され、私も出席させていただきました。 同社では、水素製造から利活用まで、エネルギーを効率的に使用することのできるサプライチェーンを構築し、国内外での再生可能エネルギーの普及や地産地消など、水素社会の実現に貢献していこうとされています。 県では、これまで、コンビナートの苛性ソーダ工場から純度の高い副生水素が大量に供給されるという地域特性を生かし、水素先進県の実現を目指した様々な取組を進めてこられました。 中でも、水素関連の技術開発支援に関しては、平成二十五年度に策定した、やまぐち産業戦略推進計画において、最優先で取り組む重点的な戦略の一つとして位置づけ、全国でもトップクラスの補助制度を創設されたところであり、現在も継続されているこの補助制度が、株式会社トクヤマのアルカリ水電解装置の研究開発にも活用されたとお聞きしています。 一方、国内では、活用できる再生エネルギーの価格が割高であるほか、特に地方では、FCVなど水素の需要先がまだ十分にないという課題があり、水素の社会実装に向け、水素の地産地消に、県自ら率先して取り組むなど、県に対して大きな役割を期待しているとの声も聞かれます。 県内に目を向けると、周南市は、FCVの購入補助に加え、先月からは、水素ステーションで充?する水素価格を半額にするという思い切った取組を、市独自でスタートされたとお聞きしており、こうした県内企業や地元市町の将来を見据えた取組をしっかりと応援していくことが重要だと考えます。 県ではこれまで、強い産業力なくして、明日の地域の活力は生まれないとの信念の下、産業戦略の取組を強力に推進してこられました。 令和二年七月には、光市の島田川の水源を工業用水に転用し、周南地区に送水が開始されたことで、長年、水不足に悩まされてきた同地域の工業用水の安定供給が実現しました。 また、実際の給水量ではなく、契約水量に基づき料金を決定する硬直的な料金制度を、企業の節水努力が料金に適切に反映されるよう、基本料金と実際の使用量に応じた使用料金からなる制度に見直しを実施されました。 さらに、地産地消の観点からは、石灰石の生産量が全国トップクラスという地域特性を生かし、県が整備する道路で、コンクリート舗装の使用範囲を拡大するなど、地元産業を応援していくという明確なメッセージを発信されました。 環境とエネルギーセキュリティーをともに解決でき、我が国にとって究極のエネルギーともなり得る水素を例示としてお話しさせていただきましたが、産業政策を立案・実行するに当たって何より重要なのは、企業の声にしっかりと耳を傾けるとともに、企業活動にしっかりと寄り添っていくという姿勢を施策に反映させることだと考えます。 そこでお尋ねします。二○五○年カーボンニュートラルに向けたGX、グリーントランスフォーメーションにとどまらず、世界中に広がりつつあるブロックチェーンを基盤としたウェブ三・○の到来など、複雑かつ目まぐるしく変化する世界経済を前に、本県の産業戦略の推進に当たっては、将来を見据えて果敢に挑戦する地元企業の目線に立って、施策を立案・実行することが必須だと考えますが、御所見をお伺いします。 次に、水道事業の基盤強化についてお尋ねします。 昨年十月三日、和歌山市で水道用の橋が崩落し、六万世帯で一週間の断水が発生しました。また、その四日後には、千葉県北西部を震源とした震度五強の地震の影響により、東京都内の二十三か所で漏水事故が起きました。 地震発生後のSNSには、都内各所でマンホールから水が噴き出す様子を映した動画が投稿され、その映像に、自分の住む地域の水道施設に不安を感じた方もいらっしゃったのではないかと思います。 全国の水道施設は、高度経済成長期に飛躍的に整備されたため、約二割が設置から四十年以上経過し、水漏れなどの事故が毎年二万件以上も起きており、近年、水道施設の老朽化対策や耐震化が社会的な課題となっています。 しかしながら、水道事業は、主に市町が経営しているため、小規模で経営基盤が脆弱な事業が多く、今後、さらなる人口減少によって料金収入が減少すれば、水道事業の経営状況はますます厳しくなっていきます。 また、水道事業者は、こうした老朽化対策に加え、頻発する地震等の災害への対策や、不足する専門人材の確保など、単独での解決が大変困難な課題を多く抱えており、近隣の市町と連携して経営の効率化や基盤の強化を図る、広域連携の取組が大変重要となっています。 こうした状況を踏まえ、私は、令和元年九月、県議として初の一般質問において、水道事業の広域化も含めた基盤強化の必要性について質問し、県の積極的な取組をお願いしました。 その後、県では、県内の持続可能な水道事業の確立を目指して、令和二年七月に山口県水道ビジョンを策定され、各水道事業者の広域連携に向けて、市町間の調整や事業者間の理解増進などの取組を進められています。 私の地元、柳井地域でも、平成二十九年に、柳井市、田布施町、平生町、上関町、周防大島町の一市四町と二つの水道企業団で構成する柳井地域水道事業広域化検討委員会を設置し、将来的な事業統合を目指した検討が行われており、これまで、機器の共同購入や委託業務の共同発注など、事務処理の効率化につながる成果が上がっているとのことです。 水道は県民の生活に必要不可欠なものであり、水道の事故や料金の値上げは、県民の生活に直結しますので、今後も、県全体で、広域連携に向けた議論がより一層進められることを期待しています。 山口県水道ビジョンでは、山口県民にとって望ましい水道の理想像を、安心で安全な水を合理的な対価を持って今後も飲むことができることとされています。この理想像の実現に向けては、各水道事業者の自主的な努力が大切ですが、その推進役としての県の積極的な取組も強く求められていると思います。 そこでお尋ねします。県内水道事業の基盤強化に向け、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、地域の産科・小児科体制の維持についてお尋ねします。 我が家には小さい子供がおり、病気やけがの心配が絶えないのですが、先日も六歳の長男が夜中に具合が悪くなり、大変不安な思いをしました。小さな命を守らなければならない親にとって、夜中でも駆け込める小児科が近くにあるかどうかは非常に重要な事柄であり、困って初めて、そのありがたみが分かります。 小児科医は、子供の健康や発達、病気の予防や治療を担う子供の総合医であり、赤ちゃんは生まれた瞬間から小児科医の担当となります。 そのため、リスクの高い分娩や帝王切開分娩には小児科医が立ち会うことが一般的であり、病院での分娩に際して、産科医とともに小児科医は不可欠な存在ですが、全国的に小児科医不足が問題となっています。 私の地元、柳井地域でも小児科医の不足は深刻であり、柳井医療圏で唯一、お産を取り扱っていた周東総合病院では、今年四月から常勤の小児科医がいなくなり、平日昼間のみ非常勤の小児科医が派遣されることとなったことから、分娩の受入れ休止を検討せざるを得ない事態となり、地域の分娩体制を維持できなくなる危機がありました。 この件に関しては、県の健康福祉部長や担当審議監、職員の皆様をはじめ、柳井市長、圏域の各町長、地域の医療関係者などの多くの方々の粘り強い御尽力と、山口大学医学部小児・産科医局の、分娩は止めてはならないとの強い思いから、周東総合病院への非常勤小児科医の支援体制が強化され、分娩の受入れ体制が維持できる見通しとなりました。 地域の妊婦、母子へ安心を与え、地域の未来に明るさをもたらすものであり、関係者の皆様に心から感謝申し上げます。 しかしながら、地域における人口減少と医師不足などが続く限り、引き続き難しい問題として地元が背負わなくてはいけない状況に変わりがありません。分娩体制の維持・継続、安定のため、今後ともお力添えを頂きたいと思います。 こうした中、県では、医師確保に向け、医師修学資金の特定診療科枠に産婦人科・小児科を指定し、修学資金の貸与を行うとともに、山口大学でも、いわゆる地域枠による入学者を増やしてこられました。 これらの対策は、医師の地域偏在、地域内での診療科の偏在の緩和に一定の効果がありますが、対処療法であることは否めないところであり、根本的な問題解決のためには、なぜ、若者が地方に残りたがらないのか、なぜ、産婦人科や小児科を専攻する医師が不足しているのかという課題に、正面から向き合う必要があると考えます。 先日、医師の方からもお話を伺いましたが、出身地を問わず、大学教育や研修の過程で小児科医を目指す学生も多いとのことです。そういう熱意を持った若者に対し、医師となった後に、どれだけ魅力的な環境を提供できるかといった観点も重要ではないでしょうか。 例えば、地方にいても専門性を高めて技術向上ができ、キャリアを途切れさせない仕組みづくり、医師として情熱を持ち続けられる勤務体制や労働時間、賃金等の労働環境の改善に向けた支援などです。医学教育や診療報酬の在り方など、県だけで解決できることではありませんが、遠いようでも医師確保対策の王道だと考えます。 そこでお尋ねします。柳井医療圏をはじめとした地域の産科・小児科体制の維持に向け、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、次世代にとって魅力的な建設産業の構築についてお尋ねします。 建設産業は、産業活動や県民生活の基盤となるインフラの整備や維持管理を担うとともに、本県の就業者の約一割の方が従事する、重要な産業の一つです。 また、甚大な被害をもたらす災害等が全国で多発する中で、国土強靱化に向けた社会資本の整備や、災害対応を担う地域の守り手としても、建設産業の果たすべき役割はますます大きくなっています。 こうした中、建設産業は、長らく、就業者数の減少や高齢化の進行が続いており、人手不足が大きな課題となっています。そして、特に深刻なのが、若者や女性の就業者が少ないことです。 国土交通省の調査によると、令和二年における二十九歳以下の建設業就業者の割合は約一二%であり、全産業の平均値である約一七%に比べて低くなっています。 また、厚生労働省の調査では、令和二年における建設産業の女性比率は約一七%で、女性の新卒者を雇用した企業も三割にすぎません。 このように、建設産業に若者や女性の就業者が少ないことの原因として、多くの方が指摘されるのが、労働環境と待遇、そしてイメージです。 まず、労働環境については、建設産業の年間の総実労働時間は、全産業と比べて約二割、三百六十時間以上も長く、年間の出勤日数も二百四十四日と全産業と比べて三十二日も多くなっています。 また、待遇については、全ての企業に当てはまるわけではありませんが、建設産業全体としては、労働時間が他産業に比べて長いにもかかわらず、年間賃金総支給額は他産業とほぼ同じであり、また、同じ技能者である製造業と比べ低い水準となっています。 さらに、イメージについても、建設産業は今後の需要も高く、社会に貢献できる、将来にも安心できる業種だと思いますが、いまだに昔ながらの危険できつい力仕事という先入観を持つ方も多いようです。 今後、生産年齢人口の減少等に伴い、建設産業の就業者数はさらなる減少が見込まれる一方で、建設産業においても、デジタル人材の確保や技術継承の必要性が高まっており、若者や女性をはじめとする担い手の確保・育成は、建設産業にとって喫緊の課題となっています。 この解決に向けては、長時間労働の是正や休日の確保などの就業環境の改善、適正な賃金水準の確保、建設産業に対するイメージアップや理解促進などを総合的に進めていく必要があり、県には、建設産業を所管・支援する立場と、公共工事の発注者の立場の両面から、積極的に取り組んでいただきたいと考えます。 そこでお尋ねします。本県の建設産業が、インフラの整備や維持管理の担い手として、また、地域の安心・安全の確保を担う守り手として、その社会的役割を将来にわたって果たし続けていくため、次世代にとって魅力的な建設産業の構築に、県は、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、自転車の活用推進についてお尋ねします。 自転車は、身近な移動手段として多くの方に利用され、近年の健康志向の高まりやライフスタイルの変化、さらには、コロナ禍の交通行動の変化などを背景に、環境負荷の小さい交通手段として、また、人との接触を低減する移動手段として、利用ニーズが非常に高くなっています。 さらに、私の住む柳井市から周防大島にかけては、これまでに地域の観光振興の取組として、瀬戸内海の多島美を楽しめるシーサイドコースを自転車で走行する、サザンセト・ロングライドinやまぐちなどが開催されています。 また、コロナ禍での健康サイクリングや、カーボンニュートラルに向けた自転車エコ通勤の推進につながる取組として、企業の研修ツアーや体験会を行うサザンセトでのウェルネスサイクル発表イベントが企画されるなど、地域ぐるみの取組が進められています。 こうした中、国においては、環境負荷の低減や国民の健康増進など、新たな課題に対応するため、平成二十九年に自転車活用推進法が施行され、本県においても、この法律に基づき、やまぐち自転車活用推進計画を策定され、今年度、計画期間の最終年度を迎える中、様々な取組が実施されています。 この自転車活用推進法は、手続やルールを定め、何かを制限しようとする規制法ではなく、規制や罰則については特に規定せず、目指すべき理念を掲げる理念法として、自転車の活用の推進に向け、具体的に実施すべき施策が定められています。 こうした施策を実施する県や市町は、法の目的や基本方針を踏まえ、自転車を取り巻く社会情勢の変化や利用ニーズなどをしっかりと把握した上で、自転車の活用を推進するための新たな課題などについて、スピード感を持って、的確かつ積極的に対応していく必要があると考えます。 先日、猶野議員の一般質問でも、地域交通の再生、活性化に向けて非常に重要な提言がされたところですが、例えば、地域交通の利用促進につなげるため、自転車を分解せず鉄道やバスに乗車できるサイクルトレイン・バスの導入や、駅等でのレンタルサイクルやシェアサイクルとの接続強化、普及を促進するとともに、インバウンド需要の回復を見据え、サイクリストの受入れ環境の整備や、国内外のサイクリストの県内への誘客に努めるなど、積極的な取組が必要と考えます。 また、起伏に富んだ地形でも楽に走行でき、女性やシニア層を中心に人気が高い電動アシスト自転車や、今年の道路交通法の改正により、新たな移動手段として普及が期待される電動キックボードの活用も視野に入れるなど、施策を総合的に推進していくべきと考えます。 そこでお尋ねします。地域の観光振興への期待が大きく、環境にも優しい自転車の一層の活用推進に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いします。 次に、eスポーツの推進についてお尋ねします。 コロナ禍により、従来のスポーツやイベントの中止が相次ぐ中、いわゆるおうち時間の増加により、eスポーツの競技人口やファンは爆発的に拡大しました。 二○二四年には、世界の市場規模は約一千八百億円を突破、オーディエンスは約五億八千万人まで増加するとの試算もあり、プロ野球の観客動員数が約二千五百万人であることを考えると、その桁違いの成長力に改めて驚かされます。 eスポーツというと、ハイレベルなプレーヤーが高額賞品をかけて競い合い、その技術に大勢の観客が熱狂する、そんな風景が一般的ですが、実は、高齢者の認知症予防や生きがい創出、子供たちのひきこもり問題の解消など、現代の社会課題を解決する力を秘めていることはあまり知られていません。 私の地元の柳井グランドホテルでは、こうしたeスポーツの知られざる長所に着目した取組をスタートされています。 高齢者医療・デジタル教育の専門家や、難病と闘うeスポーツプレイヤーのFlowさんと連携し、eスポーツと高齢者の健康をテーマとした講演会や、米軍岩国基地関係者を対象とするeスポーツ無料体験会等の開催、学生eスポーツ部への施設や機材の無償提供に取り組まれるなど、老若男女が世代や健康・体力のハンディキャップ、言葉や文化の違いを超えて、客室で気軽にeスポーツを楽しむことのできる環境づくりを進められています。 私はもともと、eスポーツはただのゲームだろうと思っていた一人ですが、実際に、高校生のeスポーツ合宿を見学させていただき、精神面・身体面の強化、ルールや礼儀の徹底、チームの仲間と声を掛け合う真剣勝負を見て、eスポーツはスポーツそのものだと感じました。 また、eスポーツは、あらゆる人々が生き生きと、そして和気あいあいと共生できるごちゃまぜのまちづくりとも、考え方を同じくしているように感じます。 このように様々な効果が期待されるeスポーツですが、これを推進し、広く普及させていくためには、一定の資金も必要です。 それを解決する手段の一つに、企業版ふるさと納税があります。企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体の行う地方創生の取組に寄附した場合、税額控除を受けられる制度で、寄附額の最大約九割が軽減され、社会貢献によるイメージアップにもつながります。 先日、茨城県で、この制度を活用して、全国規模の高校eスポーツ大会の実施等を使途とする寄附が行われ、大きな話題となりました。 企業版ふるさと納税の活用は、財源確保につながるだけでなく、意欲ある企業と連携することで、eスポーツ自体を推進する力にもなるものだと感じています。 現在、企業の社会貢献に対する関心や実践意欲はかつてないほどまでに高まっており、そうした企業の思いや推進力を、eスポーツを通じた社会課題の解決とうまくつなぎ合わせることができれば、大きな成果につながるのではないかと考えます。 そこでお尋ねします。今後、さらなる成長が見込まれ、幅広い分野での効果も期待されるeスポーツについて、企業版ふるさと納税等も活用しながら、積極的に推進すべきと考えますが、県の御所見をお伺いします。 最後に、今議会をもって御退任されます弘田公安委員長に一言申し上げます。 弘田委員長は、前山口県知事であり、私の伯父である山本繁太郎の同級生として、選挙にあっては山本繁太郎後援会の会長も務めていただき、また、私が弁護士になったときには、繁太郎が生きちょったら喜んだじゃろうと、弁護士の大先輩として優しい言葉をかけてくださるなど、個人的ではありますが、少なからぬ御縁をいただいてきました。 このたび、九年間務められた公安委員を御退任されるに当たり、これまでの御貢献と御功績に心から感謝と敬意を表しますとともに、今後ますますの御清栄をお祈り申し上げまして、私の一般質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)有近議員の御質問のうち、私からは企業の目線に立った産業戦略の推進についてのお尋ねにお答えします。 「活力みなぎる山口県」を実現するためには、地域の活力源である強い産業力をつくることが極めて重要です。 このため、私は、知事就任以来、やまぐち産業戦略推進計画を進化させながら、また、ものづくりを中心に今後伸ばしていくべき成長分野を明確化し、この計画を再構築した、やまぐち産業イノベーション戦略に基づき、本県の高度技術や産業集積を生かした産業戦略を積極的に推進してきました。 この結果、港湾や幹線道路網の整備、お示しの島田川工業用水道の給水開始など産業インフラの充実をはじめ、水素関連では、県独自の補助制度等により三十件を超える事業化が実現するなど、目に見える成果が着実に上がってきています。 こうした中、世界的な脱炭素化の流れを受け、産業構造や社会経済の変革を促すグリーントランスフォーメーション、GXや、新型コロナウイルスを契機に急速に進展するデジタルトランスフォーメーション、DXなど、産業界を取り巻く環境は大きく変化しています。 私は、このような環境変化を本県産業のさらなる成長・発展へつなげていくためには、企業の声にしっかりと耳を傾け、実効性ある施策を構築し、将来に向けた各社の前向きな挑戦を、強力に後押しをしていくことが何より重要と考えています。 このため、施策の立案に当たっては、私自らが本部長を務め、産学公金からなる産業戦略本部において、各委員からの意見をお聞きするとともに、取組成果等を検証し、必要に応じて改善を図るPDCAサイクルにより、施策を推進しているところです。 また、分野ごとの取組においても、GXの推進に向け、関係企業や市町等との協議を重ね、本県コンビナートの低炭素化構想最終案を取りまとめたところであり、この構想を核として、さらに広く関係者の意見をお聞きしながら、産業全般の取組を促進するための戦略を策定することとしています。 さらに、ものづくり企業におけるDXの推進に向け、アクセラレーターの伴走支援により、5GやAI等の未来技術を活用した実証プロジェクトを実施するほか、本年度新たに、デジタル技術の実装に対する補助制度を創設するなど、企業に寄り添った支援を行っているところです。 こうした取組に加え、県や、地元企業に詳しい地域金融機関、産業支援機関等で構成する地域中核企業創出・支援カンファレンスチームの活動を通じて、引き続き、企業の様々な課題やニーズを把握し、各機関相互の情報共有を図りながら、それぞれの強みを生かした支援を実施してまいります。 私は、今後とも、産業戦略本部を中心に、市町や関係機関等とも緊密に連携し、企業ニーズを踏まえた産業戦略の推進に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)水道事業の基盤強化についてのお尋ねにお答えします。 水道は、私たちの生活や産業活動などを支える社会インフラであり、安全な水が将来にわたって安定的に供給されることが重要です。 このため、本県の水道事業については、市町等の水道事業者により、経営の効率化等が図られてきたところですが、お示しのように、人口減少や老朽化施設への対応、専門人材の確保など、事業者単独では解決が困難な課題を多く抱えている状況にあります。 こうした中、県では、令和二年七月に、山口県水道ビジョンを策定し、将来のあるべき姿や方向性を示したところであり、水道事業の持続可能な経営を確保するためには、広域連携による基盤強化を図る必要があると考えています。 このような考えの下、改正水道法において、広域連携の推進役として県の責務が明示されたことも踏まえ、令和三年一月に、県と事業者による検討・調整の場として水道基盤強化連絡協議会を立ち上げたところです。 さらに、今年度は、県と事業者において、現状・課題や将来の見通しを共通認識できるよう、協議会で意見交換等を行いながら、広域連携シミュレーションを実施しています。 具体的な内容としては、まず、組合せについて、水道ビジョンで示した東部、中部、西部の三圏域を基本とした広域化のパターンに加え、事業者の意向を踏まえたその他のパターンも設定します。 その上で、事業統合をはじめ、施設の共同利用や管理事務の一体化等の広域連携の類型ごとに、今後四十年間の財政収支等の見通しを推計し、現行体制を継続した場合との比較により、その効果等を検証することとしています。 このシミュレーションは、今年度末までに取りまとめて公表し、これを契機に、事業者間の認識を深め、機運をさらに醸成し、その後、地域の実情やニーズに応じた広域連携の実現に向けて、協議を進めていきたいと考えています。 県としては、こうした取組を通じて、今後とも、水道事業者等と緊密に連携し、水道事業の基盤強化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)地域の産科・小児科体制の維持についてのお尋ねにお答えします。 若い世代が安心して子供を産み育てられるよう、産科・小児科に係る地域医療提供体制を将来にわたり維持していくためには、産科医及び小児科医の安定的な確保が必要です。 県では、医師修学資金に、県内で勤務することを償還免除要件とする貸付枠を設け、若手医師の養成・確保に取り組んでおり、これまでに産婦人科医八名、小児科医十六名が勤務を開始し、今後も増加が見込まれています。 医師の着実な確保に向けては、こうした取組に加え、お示しのとおり、産科医・小児科医が県内での勤務に魅力を感じられるよう、充実したキャリアを形成できる仕組みと、持続的に働ける良質な勤務環境づくりを推進することが重要と考えています。 このため、県では、キャリア形成に向けて、十五か所の臨床研修病院と、二か所の専門医を養成する基幹病院を確保し、臨床研修から専門医取得まで、県内で一貫したキャリアアップができる研修体制を整備しているところです。 また、研修がより魅力的なものとなるよう、山口県医療対策協議会において、各病院の強みを生かした研修プログラムの充実や、指導医の資質向上等について、検討・協議しています。 さらに、特色ある研修プログラムを紹介するガイドブックの配付や、合同説明会の開催を通じて、医学生や臨床研修医に対し、本県の充実した研修体制の魅力を積極的に発信してまいります。 次に、良質な勤務環境づくりに向けては、産科医への分娩手当の支給や小児医療設備の整備など、医師の意欲向上や能力発揮に取り組む医療機関に対して、支援を行っています。 また、県に設置している医療勤務環境改善支援センターにおいて、アドバイザー派遣等を行い、医師がやりがいを持って、健康的に働ける環境づくりに向けた対処方法や好事例を紹介するなど、労働環境改善への取組を後押ししてまいります。 こうした取組に加え、産科・小児科の医療関係者で構成する県周産期医療協議会等において、医師確保対策や医療機関の連携等について協議を行い、将来を見据えた産科・小児科に係る地域医療提供体制の着実な整備を推進してまいります。 県としましては、今後とも、山口大学や県医師会などの関係機関との連携の下、地域の産科・小児科体制の維持に、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)次世代にとって魅力的な建設産業の構築についてのお尋ねにお答えします。 本県の建設産業は、社会資本の整備・維持管理や、災害発生時の応急復旧対応などを担う中核的な存在であり、また、地域経済や雇用の下支え役としても重要な役割を果たしています。 しかしながら、就業者数の減少や高齢化の進行により、特に若者や女性の就業者が少なく、近い将来、社会資本の整備や災害対応等に支障を来すおそれがあることから、持続可能な建設産業を構築することが極めて重要です。 このため、県では、建設産業を所管する立場と、公共工事の発注者の立場の両面から、就労環境の改善など建設産業の働き方改革を推進し、若者や女性にとって、魅力的な環境づくりを進めているところです。 具体的には、長時間労働の是正や休日の確保につながるよう、公共工事の施工時期の平準化や週休二日の取組を進めるとともに、ICT活用工事など、建設産業におけるDXを積極的に推進し、建設現場の生産性や安全性を向上することにより、労働環境の改善に取り組んでいます。 加えて、今後は、建設業者が工事現場で行う、女性用更衣室の設置や現場休憩所へのエアコンの設置などの取組も支援していく考えです。 また、就業者の待遇改善に向けては、毎年、設計労務単価を見直すとともに、入札参加者等に対し、適切な水準の賃金の支払い等を要請した結果、設計労務単価は、十年前と比べ四割以上、上昇しており、今後も賃金水準を向上させるための取組を進めてまいります。 さらに、これらの取組が建設産業のイメージアップにつながるよう、児童生徒やその保護者を対象とした現場見学会をはじめ、出前授業や魅力発見フェア等の様々な機会を通じて情報発信し、将来の担い手である若者の入職促進に取り組んでいます。 特に、女子学生等を対象としては、建設産業に従事している女性、けんせつ小町との座談会を設け、建設産業に対する不安を払拭し、安心して入職できるような取組も行っているところです。 その結果、建設産業における技術者・技能者の若年者比率は平成二十五年度の八・八%から令和二年度には一一・六%まで増加しており、今後、さらなる向上を図ってまいります。 県としましては、建設産業が、インフラの整備や維持管理の担い手として、また、地域の安心・安全の確保を担う地域の守り手として、将来にわたってその社会的役割を担っていけるよう、引き続き魅力的な建設産業の構築に一層取り組んでまいります。 次に、自転車の活用推進についてのお尋ねにお答えします。 自転車は、環境に優しいモビリティーであるとともに、サイクリングを通じた健康づくりや余暇の充実等、人々の行動を広げ、地域との触れ合いや仲間とのつながりを取り持つコミュニケーションツールでもあり、その活用を推進することは大変重要であると考えています。 このため、県では、令和元年十二月にお示しの、やまぐち自転車活用推進計画を策定し、こうした観点を踏まえた取組を推進しているところです。 具体的には、観光客の誘致や交流人口の拡大に向け、県内各地域の道の駅や観光施設等を巡るサザンセトオレンジ海道など、十二のサイクリングルートを設定するとともに、サイクリングマップの作成や効果的な広報により、サイクリストの誘客促進に努めています。 また、県民の健康増進や安心・安全の観点から、自転車を利用した健康づくりに関する広報啓発や、子供から高齢者まで幅広い年代を対象とした交通安全教室の開催など、安全かつ快適な自転車の利用促進に向けた取組を進めているところです。 さらに、こうした取組を推進するための環境整備として、県内各地でレンタサイクル機能を有したサイクルステーションや、道の駅や都市公園等にサイクリストが休憩等で立ち寄るためのサイクルエイドなど、サイクリストの受入れに向けての整備を進めてきたところです。 また、柳井市内の県道光柳井線において、カラー舗装により歩行者と自転車を視覚的に分離する自転車歩行者道の整備を行うなど、安全で快適な自転車通行空間の計画的な整備にも積極的に取り組んでいるところです。 こうした中、コロナ禍による交流人口の減少や、通勤などでの自転車の利用ニーズの高まり、電動アシスト自転車の普及など、自転車を取り巻く環境は大きく変化しています。 このため、こうした社会情勢の変化への対応という観点も踏まえ、今年度中に、やまぐち自転車活用推進計画を改定し、今後、さらなる安全で快適な通行環境の整備や、国内外のサイクリストの誘客等に、より一層取り組んでいく考えです。 県としては、観光の振興はもとより、県民の健康増進や自転車利用者の安全意識の醸成、交通混雑の緩和による環境負荷の低減など、様々な分野に自転車の持つ役割を拡大しつつ、安心・安全な自転車の利活用を総合的かつ計画的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)eスポーツの推進についてのお尋ねにお答えします。 eスポーツは、交流人口の拡大や地域経済の活性化に資するとともに、お示しのような福祉や教育といった幅広い分野での効果も期待されることから、全国的に、イベントの開催をはじめとした様々な取組が実施されています。 こうした中、県においては、eスポーツが本県への誘客促進やスポーツ活動の裾野拡大にもつながるものとして、スポーツ振興施策とも連携しながら、バーチャルスポーツを活用したeスポーツイベントの開催などの取組を進めてきました。 具体的には、レノファ山口のホームゲームやサイクルイベントの会場において、eスポーツの体験会等を実施し、観客の増加につなげるとともに、eスポーツの普及促進を図ってきたところです。 また、今年度は、仮想空間で秋吉台のサイクリングが体験できるコンテンツを新たに整備したところであり、これを活用し、県外の大規模サイクルイベントにおいて、本県の観光地での走行を疑似体験できるブースを出展し、本県への誘客促進を図ったところです。 さらに、このコンテンツを生かし、海外とオンラインでつないだバーチャルサイクルイベントを開催することとしており、eスポーツを活用した自転車人気の高い国や地域における観光プロモーションにも取り組むこととしています。 今後においては、お示しの幅広い分野での活用や、企業版ふるさと納税をはじめとした財源確保の手法にも配意しながら、県内各地域においてeスポーツを活用した取組が一層促進されるよう、市町等に対して働きかけを行い、さらなる機運醸成を図ってまいります。 県としては、市町や関係団体等とも連携しながら、交流人口の拡大やスポーツの裾野拡大等につながるeスポーツの推進に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時三十四分休憩