1 ウクライナ避難民への支援について 2 水素の社会実装に向けた取組の強化について 3 高度産業人材の育成・確保について 4 障害福祉サービスの充実について 5 「日本一の安心インフラやまぐち」の実現について 6 子供の体力向上について 7 その他
───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑に入ります。 一般質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 江本郁夫君。 〔江本郁夫君登壇〕(拍手) 江本郁夫君 おはようございます。令和四年度六月議会の一般質問のトップを取ります自民党会派の江本でございます。 質問に入ります前に一言申し上げます。 昨日の我が党の代表質問において、吉田議員からもありましたように、我が国をめぐる安全保障環境は非常に厳しいものであり、憲法改正を含め、国民の命と安全を万全なものとする体制整備を早急に進めなくてはならないとの吉田議員の言及に、私も大方の議員の皆様と同様、賛同する者の一人であります。 現在、私自身は、昨年五月より県議会の拉致議連の会長を仰せつかっておりまして、この場にて、最近の拉致被害者を救う動きについて少しお知らせしたいと思います。 まず、拉致被害者の会──正式に申し上げますと、北朝鮮による拉致被害者家族連絡会、この会につきましては、設立されたのは一九九七年三月でして、その会長は長い間、御存じのように横田めぐみさんのお父様の横田滋さんがお務めになっておられましたが、その横田さんは一昨年の六月お亡くなりになりました。 二○○七年に横田さんの後をお受けになられたのが、拉致された田口八重子さんのお兄さんである飯塚繁雄さんですが、その飯塚さんも昨年末、八十三歳というお年でお亡くなりになりました。 現在は、横田めぐみさんの弟さんの横田拓也さんが会長をお務めであります。 このように拉致被害の親の世代の方々が、実際にはどんどんお亡くなりになっているという現状がありまして、この問題の一刻も早い解決が急がれるわけであります。 拉致被害者を救う大きな運動としては、全拉致被害者の即時一括帰国を求める国民大集会というものがあります。 この大会には、拉致被害者を救う全国レベルでの様々な団体の参加があり、これまで春と秋と年二回開催されていました。 コロナ禍の影響で一昨年は延期や中止、昨年は春の大会については中止になっておりましたが、秋の大会につきましては、コロナ被害も若干収まってきたこともあり、十一月十三日の土曜日、久しぶりに東京にて開催され、私も行ってまいりました。 ちょうどその折は、第二次岸田内閣が発足したばかりでもあり、私自身、前日の十一月十二日には外務省に参りまして、就任されたばかりの林外務大臣にお会いし、拉致問題の早期解決についても強くお願いをいたしたところであります。 十三日の大会当日には、岸田総理自らお越しになり、総理自ら、拉致問題解決に全力を尽くす旨の意志が力強く表明されました。 現在、国会議員による拉致被害者を救う議連の事務局長に、我が県の北村経夫参議院議員が就任されておられます。 今年の三月十一日には、昨年末お亡くなりになった飯塚繁雄さんをしのぶ会が執り行われ、私も参加いたしましたが、岸田総理も参加され、改めて国を挙げて拉致被害者を救うことが確認されたところです。 そして、去る六月五日日曜日、今年度の春の大会が開催され、私と幹事長の新造議員とで参加いたしました。今回は、櫻井よしこさんが司会進行を務められまして、岸田総理も参加される中、大会宣言が採択されるなど、これまでになく力強い催しとなりました。 私自身、国においては、拉致被害者を絶対に救うという強い意志を持って今後もこの問題解決に向け、これまで以上に動き出したという印象を持ちました。 議員の皆様におかれましては、どうぞ拉致被害者を救う国レベルでの活動は、現状このような状況であることを十分に踏まえていただきまして、日頃より県民の方々と接触する機会には、ぜひこの青バッジをつけていただいて、広く拉致被害者をこのままにしておく理不尽さについて言及いただき、この問題が決して風化することのないよう、平素よりお努めいただきますようお願いを申し上げまして、通告に従い一般質問に入りたいと思います。 初めに、ウクライナ避難民への支援についてお尋ねします。 ここ数か月、ロシアによるウクライナ侵略の惨状が報道されてきました。爆撃により我が子を失った母親、家族の埋葬すらままならず、破壊された町で立ちすくむ遺族、国を守る父親を残し隣国に避難する幼い子供たち、こうした絶望にも似た現状に、強い憤りと深い悲しみを禁じ得ないのは、私だけではないと思います。 ロシアの暴挙は、一刻も早く止めなければならず、我が国もG7の一員としてロシアに対し断固とした制裁措置を取り続ける覚悟が必要であることは、申し上げるまでもありませんが、我々地方においても、窮地に立たされているウクライナ国民に思いを致し、できる限りのことをしていくというメッセージを発していくことが必要です。 とりわけ、ウクライナから戦火を逃れた七百万人を超える避難民を、我が国にも受け入れていくことは、地方自治体や民間としてできる具体的な支援であり、何よりのメッセージであると考えます。 本年四月に林外務大臣がポーランドへ赴き、政府専用機で避難民を受け入れたことを皮切りとして、既に千人以上の方が住み慣れた母国を離れ、遠い日本の地に避難しておられます。破壊されてしまった故郷に帰ることは難しく、日本での生活を第二の人生と考えてスタートされた方も多くいらっしゃると伺っています。 本県においても、現在四名の方が避難し、山口県での新たな生活を始めておられますが、こうした方々に行政としてできる支援を丁寧に届けていかねばなりません。 今定例会に提出された補正予算では、こうしたウクライナ避難民受入れに関する経費が計上されており、私としても知事の対応を高く評価しているところですが、より行き届いた支援のためには、外国人住民の支援を行う県内の様々な支援団体と連携して体制を整えることも重要です。 また、国では、ポーランドにウクライナ避難民支援チームを設置し、我が国への受入れをさらに進めており、県においても、こうした国や市町、団体と連携し、今後もウクライナ避難民の受入れに取り組むと同時に、県として受入れ体制を整えているという発信もしっかりとしていかなければならないと考えます。 そうした連帯のメッセージを示していくことが、地方としてもロシアの暴挙に抗議の意思を突きつけ、ウクライナ国民を励ます一助になると思うのです。 そこでお尋ねします。ウクライナから本県に避難されている方に寄り添い、必要な支援を迅速かつ円滑に届けていくために、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、水素の社会実装に向けた取組の強化についてお尋ねします。 水素は輸送、発電、産業など様々な分野での脱炭素化に寄与する、カーボンニュートラルに必要不可欠なエネルギー源です。 また、ウクライナ情勢などを踏まえ、エネルギー安全保障の確保が重要となる中、エネルギーの安定供給と脱炭素化を両立できる水素の社会実装の加速化が一層求められています。 県では、早くから、コンビナートの苛性ソーダ工場から副生される水素に着目し、平成十六年には、水素フロンティア山口推進構想を策定され、全国初の試みとなる水素の一般家庭での実証試験を行うなど、クリーンエネルギーとしての利活用を推進してこられました。 その後、平成二十五年には、全国で三番目となる液化水素製造工場が周南市で稼働、平成二十七年には、中四国で初の水素ステーションが同じく周南市で開業するなど、水素社会の実現に向けた基盤づくりを着実に進めるとともに、水素関連機器等の技術開発支援による産業振興にも取り組んでこられました。 こうした中、先日、私の地元山陽小野田市に本社を置く長州産業の米国法人がカリフォルニア州ランカスター市と水素分野で提携を結んだという報道を目にしました。 報道によると、同社が開発を手がけた太陽光発電による電力で水素を生成・供給するための発電機MizTomo(ミズトモ)と水素ステーションSHiPS(シップス)のセットを、令和五年春を目途にランカスター市に納入し、さらに令和七年までに同市内に発電機や水素ステーションなどの組立て工場を設置するとのことです。 この水素ステーションSHiPSは、長州産業が平成二十九、三十年度に県の補助金を活用し県内十二の企業とともに開発したものであり、地元企業のアメリカでの新たな事業展開を大変喜ばしく思っております。 しかしながら、一方で、少し複雑な心境も抱いています。と申しますのも、この製品の導入は、一件目が長野県、このたびのランカスター市が二件目となります。県内事業者が、県の補助金を活用し開発した製品であるにもかかわらず、残念なことに、県内ではいまだ活用されていないのです。 また、七年間続けてこられた周南コンビナートで発生する副生水素を利用した環境省の実証事業も、昨年度末で終了したと伺っており、ここ最近、県の掲げる水素先進県の実現に向けての取組が足踏みしているのではないのかと感じています。 先般、国が示したクリーンエネルギー戦略の中間整理では、CO2を排出しない水素やアンモニアなどのクリーンエネルギーの導入拡大に向けた支援制度を検討し、供給網などの整備を急ぐこととされています。 県におかれても、そうした国の動きも視野に入れながら、県議会、脱炭素社会における産業発展方策調査特別委員会の提言の中にもありますように、地域の特性を生かした独自の取組への支援に向け、これまでの取組の成果をしっかりと生かしつつ、水素技術の社会実装に向けた技術開発支援など、さらなる取組を進められることを期待しております。 そこでお尋ねします。脱炭素社会を見据え、水素の社会実装に向けた取組の強化に、県として今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高度産業人材の育成・確保についてお尋ねします。 ものづくりは人づくりと言われるように、新たな製品やサービスを生み出すのは人であり、本県産業にイノベーションを起こしていくには、高度な産業人材の育成や確保が不可欠です。 とりわけ、脱炭素化やデジタル化が進む現在においては、急速に進む技術革新の中で、習得した知識や技術の陳腐化のスピードが極めて速く、従来の職場の上司や先輩などが実際の仕事を通じて部下に指導する、いわゆるOJT(On the Job Training)と言われる人材育成だけでなく、改めて大学など職場を離れて学び直すOFF─JT(0ff the Job Training)と言われる取組が重視されていると言われています。 私の地元にある山口東京理科大学では、本年三月、来年度からデータサイエンス系学科を新設する構想が表明されました。従来の工学部と西日本の公立大で初めて設置された薬学部によって、全国でも珍しい薬工連携教育を行い、企業が抱える課題をサイエンスデータで解決する、データサイエンティストの育成を目指すとのことです。 全国で唯一、工学部と薬学部を併設する公立大学という特性を生かした特色ある取組であり、薬学部と相まった相乗効果により、時代が求める人材の育成や地域活性化が進むことを、地元議員としても大いに期待しています。 県内にはこうした優れた研究機能や人材育成機能を有する大学が多くあり、高度産業人材の育成にはこうした県内大学と連携した取組が、今後一層必要になると考えます。 一方で、県内大学生の定着率に目を向けると、県内での内定者の割合は、全内定者の三割程度にとどまっており、本県で育成した人材の多くが県外に流出していることは、本当に惜しいことだと思います。 県では、大学リーグやまぐちの取組によって、高等教育機関や産業界と連携し、若者の県内定着の促進に取り組まれていますが、IT人材をはじめ優れた産業人材の獲得競争が全国で激化する中では、いわゆる理系学生の県内への定着に向けても、県内企業と大学の連携を一層深めていく必要があると考えます。 こうした中、国においては、世界的に需要が高まっている、半導体や蓄電池分野などの人材の育成を強化するため、今後、東北や近畿などで産学官の連携組織の立ち上げを検討しており、有力企業や大学などが協力し、地域の実情に即した人材育成プログラムを構築していくとのことです。 私は、高い技術力のある企業や理系大学が立地する本県においてこそ、このような取組を進め、企業が求める高度な産業人材を地元大学と連携して育成・確保する取組を強化することが必要であると考えます。 こうした取組を進めることで、高度産業人材を継続的に育成・確保することが、脱炭素化やデジタル社会の中でも本県産業が勝ち抜いていくための産業戦略として重要だと思うのです。 そこでお尋ねします。本県の高度産業人材の育成・確保における県内大学との連携強化について、今後どのように取り組まれるのか、お伺いいたします。 次に、障害福祉サービスの充実についてお尋ねします。 障害のある方の数はここ数年で大きく増加し、全国で約九百六十五万人、国民の約八%の方が何らかの障害があると言われており、本県においても、障害者手帳をお持ちの方だけでも八万人以上おられます。 障害の有無にかかわらず、いつまでも安心して暮らし続けることのできる社会を実現するためには、支援が必要な方に対し、必要なサービスを安定して提供し、そして充実させていくことが重要であり、そのためにもサービスを提供する現場の職員が働きやすい環境づくりの一層の推進が求められております。 ここで、障害福祉の現場に目を向けてみますと、職員からは利用者である障害のある方との日々の関わりの中で少しずつ積み重なる信頼関係など、やりがいを感じている方も多くおられますが、給与面等の不満や、仕事そのものの負担が大きいという声も多く聞きます。 給与面等に当たっては、岸田内閣により行われているさきの経済対策において、障害福祉も含む介護職員等の賃金水準の引上げを目的とした臨時的な処遇改善が実施されているところです。 この処遇改善は今後報酬改定への反映が予定されており、県におかれましては、従前の処遇改善加算と併せて、給与・待遇面の改善に確実につながるよう、しっかりと制度周知、取組促進をお願いしたいところです。 片や、仕事面についてですが、入所系の事業所では深夜帯も含む二十四時間の体制が必要な場合もあれば、障害者が持つ個々の事情に応じて慎重・丁寧な対応が必要となるケースも多く、連日に及ぶ支援記録の作成など、精神的・体力的にも負担が大きいと感じている方も多くおられます。 こうした中で、デジタル技術の発達により、障害分野においても現場で活用できるシステムやロボットなどの開発が近年飛躍的に進んでおります。 従来アナログで対応していた記録作成や情報共有などは、システム化により業務の効率化、迅速な情報共有が可能となり、文字どおりマンパワーで対応していた移動支援や見守りなども介護ロボット等により業務負担の軽減を図ることができるようになっています。 このコロナ禍においては、従来の業務に加え、事業所では事前の感染防止対策や、感染症患者発生時の対応などが求められ、職員の負担感はさらに増加しています。少しでも現場職員の負担を軽減できるよう、システムやロボットなど、事業所のデジタル技術の導入を県が強力に後押しすることが必要と考えます。 そこでお尋ねします。障害のある方が安心して暮らしを支える障害福祉サービスの充実を図るためには、そのサービス提供の要である現場職員の処遇改善や負担軽減をより一層進めていくことが必要となりますが、県では、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、日本一の安心インフラやまぐちの実現についてお尋ねします。 県では、全国で二番目に長い総延長二千キロメートルを超える二級河川や、多くの橋梁、トンネル、ダム等を管理しておられます。 我々の社会活動や経済活動を支え、県民の安心・安全を確保するこのような社会インフラ施設について、その機能を十分に発揮するためには、適正な維持管理や更新が必要です。 しかし、我が国では、高度経済成長期以降に集中的に整備された社会インフラが、今後、一斉に老朽化を迎えることとなり、建設後五十年を経過する施設も急激に増加しています。 先月も、愛知県豊田市の取水施設で大規模な漏水が発生し、工業用水、農業用水の供給に大きな影響を与えました。この取水施設は建設から六十四年経過しており、一部報道によれば、老朽化による影響も指摘されています。 本県においても、管理するインフラの老朽化が進行しており、老朽化に起因する施設の変状や損傷も発生しております。令和二年十一月に、上関大橋において鋼棒の破断による事故が発生したことは記憶に新しいところです。 こうしたインフラの老朽化に対応するため、県では、平成二十七年度に山口県土木建築部インフラマネジメント計画を策定し、予防保全型の維持管理を行うとともに、施設ごとの点検結果に基づいて長寿命化計画を策定し、費用の縮減や平準化を図る効率的な維持管理を実施しておられます。 また、国の、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に呼応した老朽化対策予算の確保や、ドローンやAIなどのデジタル技術の活用によるインフラマネジメントの高度化に積極的に取り組むとともに、組織面では、本年度から、建設DXや長寿命化対策を担当する審議監を新設されておられます。 日本一の安心インフラやまぐちを掲げ、実施されているこうした県の取組を評価するものでありますが、一方では、本県が抱える最大の課題である人口減少、少子高齢化を克服するため、産業や観光振興に資する道路や港湾整備など、新たな整備も必要不可欠であります。 こうしたことから、県の所有する多くのインフラの適正な維持管理・更新に当たっては、限りある財源や人員の活用について一層の工夫に努められるとともに、国に対しても、必要な対策を講じるための予算の確保や地方財政措置の充実を求める必要があると考えます。 加えて、日本一の安心インフラやまぐちの実現は、県の取組のみで実現するものではなく、同じく社会インフラを管理する市町にも取組を広げることが必要と考えます。 そこでお尋ねします。県民の皆様の安心・安全を確保するため、県は、日本一の安心インフラやまぐちの実現を掲げておられますが、その実現に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、子供の体力向上についてお尋ねします。 体力は、人間のあらゆる活動の基本となるものであり、健康の維持のほか、人間の健全な発達・成長を支え、健康的で充実した生活を送る上で大変重要な要素です。 また、体力は物事に取り組むやる気、集中力、粘り強さなどの働きを高めるとされており、子供の時期に活発な身体活動を行い、体力を高めることは、運動能力が向上し、より健康で丈夫な体をつくることはもちろんのこと、精神面が安定し、意欲的に取り組む態度の育成にもつながります。 しかしながら、近年、その子供たちの体力の低下が見られます。 令和三年度の、全国体力・運動能力、運動習慣等調査の調査結果によると、本県は、体力の総合的な指標となる体力合計点が全ての調査対象学年で全国平均値に届いておらず、小学五年生男女及び中学二年生女子については、全国と同様、連続して前回調査値を下回っており、特に小学五年生男女に関しては、平成二十年の調査開始以来、過去最低の数値となっております。 こうした状況について、国は、新型コロナウイルスの影響で自宅で過ごす時間が増えたことなどにより、運動時間が減少するとともに、学習以外でのテレビ、スマートフォン、ゲーム機等による映像の視聴時間であるスクリーンタイムが増加し、子供の体力低下にさらに拍車がかかったと分析しています。 コロナ禍により、社会全体ではやむを得ず様々な活動制限が行われていますが、子供の体力の向上を図り、健全な発達、成長を促すためには、運動をしない、もしくは運動やスポーツをする時間が減少した生活習慣がこのまま定着してしまうことは避けなければなりません。 国の調査では、コロナ禍においても運動やスポーツをする時間が増加した児童生徒も見られており、その特徴としては、運動やスポーツの大切さを十分認識し、体力も高いといった傾向が認められています。 県教委は、家庭も含め関係者と連携しながら、子供たちに運動やスポーツをすることの大切さ、楽しさを実感させることで、体を動かすことが好きな子供を育み、体力の向上を図っていく取組が求められます。 また、幼少期の運動習慣づくりは、子供の体力向上はもとより、成人期以降のスポーツ習慣や高齢期以降の健康の保持にも大きな影響を及ぼすとの調査もあり、そうした観点も踏まえ、取組を進めていくことが必要です。 本県では、知・徳・体の調和が取れた生きる力を身につけるとともに、他者と協働しながら力強く生きていく人を目指すべきやまぐちっ子の具体的な姿の一つとして示しています。 県教委においては、知や徳とともに、コロナ禍で落ち込んだ体の充実に改めて努められ、人生百年時代を生きる子供たちが健やかに育ち、長い人生を健康で豊かに過ごしていけるよう、子供たちの体力向上に取り組んでいただきたいと思うのです。 そこでお尋ねします。コロナ禍により子供たちの体力低下が一層進む中、本県の未来を担う子供たちの体力の向上に向けて、県教委は今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)江本議員の御質問にお答えします。 まず、ウクライナ避難民への支援についてです。 ロシアによるウクライナへの侵攻は、ウクライナの主権と領土を侵害する断じて容認できない行為であり、これにより、多くのウクライナ国民が国内外への避難を余儀なくされ、現在、日本にも千人を超えるウクライナの方々が避難されています。 本県においても、現在四人の方が避難されており、私は、こうした慣れない避難生活に不安を抱えておられる方々の気持ちに寄り添い、きめ細かな支援を行っていくことが必要と考えています。 このため、庁内の部局横断的な組織として、ウクライナ避難民支援プロジェクトチームを設置し、国や市町、関係機関等と連携しながら、避難民が必要とする様々な支援を迅速に提供できる体制を確保しているところです。 こうした体制の下、県では、ウクライナ人道危機救援金を設け、県民の皆様からの救援金を募集しており、ウクライナでの人道危機への対応や避難民の救援活動の支援に活用することとしています。 また、本県に避難された方が、安心して生活が送れるよう、県国際交流協会に設置している外国人総合相談センターにおいて、ウクライナ語による相談にも対応できる体制を整えるとともに、避難生活の場として、無償で提供できる県営住宅を確保しているところです。 さらに、このたびの六月補正予算において、ウクライナ避難民の方々が、本県で生活を始める上で必要となる準備金として、一世帯当たり二十万円を支給するための経費を計上したところです。 こうした取組に加え、国が開設しているウクライナ避難民支援サイトで、本県の避難民向けの支援情報を発信するとともに、県においても専用サイトを開設し、県や国等の取組や支援内容を掲載することにより、避難民の方々をはじめ、広く県民の皆様への周知を図っているところです。 私は、今後とも、国や市町、関係機関等と緊密に連携しながら、ウクライナ避難民の方々の意向やニーズ等をしっかりと把握し、必要となる様々な支援に積極的に取り組んでまいります。 次に、水素の社会実装に向けた取組の強化についてのお尋ねにお答えします。 本県では、瀬戸内沿岸のコンビナートから大量かつ高純度の水素が生成される地域特性を生かし、新たな技術開発の促進による産業振興、水素利活用モデルの展開による地域づくり、水素利用の拡大に向けた基盤づくりを三つの柱として、全国に先駆けた取組を展開してまいりました。 こうした中、二○三○年度温室効果ガス排出量四六%削減、二○五○年カーボンニュートラルという脱炭素化に向けた高い目標の実現が求められており、まさに今が、本県が取り組んできた水素社会を実現させる好機であると認識しています。 このため、私は、現在策定中の新たな総合計画、やまぐち未来維新プランにおいて、四つの視点の一つにグリーンを設け、国が策定を進めているクリーンエネルギー戦略との整合を図りながら、社会実装に向けて、水素利活用の取組を加速したいと考えています。 具体的には、まず、新たな技術開発の促進による産業振興に向けては、各研究開発のフェーズや事業規模に応じて柔軟に対応できる県の補助制度などを活用し、県内企業の技術開発を支援しています。 これまでの支援により、再生可能エネルギー由来のグリーン水素を製造する水電解装置など、多様な技術や研究成果が蓄積されてきたところであり、今後は、こうした技術等を活用し、地域での実証や事業化につなげてまいります。 次に、水素利活用モデルの展開による地域づくりに向けては、国の実証事業の成果も踏まえ、水素利用のさらなる拡大に向け、今年度は燃料電池フォークリフトの試験運用を行うこととしています。 また、お示しの再生可能エネルギー活用型水素ステーションなど、県内企業が開発した優れた技術や製品について、本県が率先して普及を進め、社会実装につなげてまいります。 水素利用の拡大に向けた基盤づくりに向けては、事業者に対し水素ステーションの県内への設置を働きかけるとともに、水素やアンモニアなど次世代エネルギーの供給拠点として、県内港湾の利活用が図られるよう、カーボンニュートラルポートの形成に向けた検討を進めていきます。 また、長年培った水素利活用の経験やノウハウを生かし、水素の社会実装に向けた実証フィールドとして本県を活用していただくなど、新たな取組にも挑戦し、こうした検証で得られた成果や課題等は、国へも積極的に政策提言をしてまいります。 私は、今後とも、来るべき脱炭素社会を見据え、国の事業を積極的に活用しつつ、県議会の御意見も頂きながら、県、市町、企業、関係機関等が一体となって、水素の社会実装に向けた取組をより一層強力に進めてまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)前田産業戦略部長。 〔産業戦略部長 前田安典君登壇〕 産業戦略部長(前田安典君)高度産業人材の育成・確保についてのお尋ねにお答えします。 本県産業力の強化に向けては、高度技術や産業集積を生かしたイノベーションの加速的な展開と、これを支える高度産業人材の育成・確保が不可欠であり、そのためには、優れた研究・教育機能を有する県内大学等との連携強化が重要です。 このため、県では、県内大学や産業界等で構成する大学リーグやまぐちを通じて、大学生の県内就職を促進するとともに、山口大学との連携の下、学生や社会人を対象としたデータサイエンス講座を開講し、受講料を支援するなど、IT人材の育成に取り組んできたところです。 こうした中、企業の求める人材の多様化や、デジタル化、脱炭素化などのさらなる進展を踏まえ、大学等との連携を強化し、高度産業人材の育成・確保を一層促進することとしています。 まず、薬学部生や理系大学院生の確保に向けた奨学金返還補助制度については、就職先の対象に情報サービス業を加え、DXの推進を担う人材確保を積極的に推し進めているところです。 こうした制度の充実を図りつつ、広報活動の強化にも取り組んでおり、新たにSNSを活用するとともに、山口東京理科大学薬学部の第一期生が五年生となり、本年度初めて本制度の対象となるこの機会を捉え、当大学と連携し、積極的な周知に努めていきます。 また、県内への集積が進む医療関連産業の人材育成・確保に向け、当大学等との連携による、山口県GMPカレッジにおいて、専門性の高いプログラムを提供しており、就職活動を迎える五年生を対象に、今年度は座学に加え、新たに製薬工場での実地研修を計画しているところです。 さらに、脱炭素化を背景に電動化が進む自動車産業の人材育成・確保に向け、県内大学等と連携し、工学部等の学生を対象に、自動車産業の魅力や今後の展望等を発信するセミナーを開催するなど、若者の自動車産業への関心を高めていきます。 一方で、お示しのように、現在、国においては、半導体分野等における産学官連携による人材育成の新たな仕組みづくりが検討されるなど、国を挙げて取組の強化が進められています。 県としては、こうした国の動きも踏まえ、県内の大学や企業との連携を一層深めながら、本県の産業を支える高度産業人材の育成・確保に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)障害福祉サービスの充実についてのお尋ねにお答えします。 障害のある方が、住み慣れた地域で自立し、安心して暮らしていくためには、障害福祉サービスの担い手となる人材の確保が重要であることから、県では、施設職員等の処遇改善や介護業務の負担軽減に取り組んでいるところです。 まず、施設職員等の処遇改善については、国の福祉・介護職員処遇改善加算制度等の活用により、賃金の改善が図られるよう、施設の管理者向けの説明会や実地指導等を通じて、事業者等に対する制度の周知や助言に努めているところです。 また、お示しのとおり、国においては、今後臨時の報酬改定を行い、新たな加算制度を創設し、確実な賃金改善につなげることとしており、県では、事業者等に対して、こうした制度を積極的に活用するよう、引き続き周知、助言に努め、施設職員等の処遇改善を一層推進してまいります。 次に、介護業務の負担軽減については、ICTやロボットの導入が、業務改善や精神的・体力的な負担の軽減に大きな効果があることから、県では、機器等を整備する障害福祉サービス等事業所に対して助成を行っているところです。 助成により導入した機器には、利用者の睡眠時の心拍数や体温等をセンサーで計測する見守りロボット等があり、事業者からは、利用者の状態が遠隔で常時確認できるようになったため、夜間の巡回回数を減らし、職員の負担が軽減されたなどの報告を受けています。 引き続き、事業所に対する助成を行うとともに、その導入の効果について、セミナーの開催やホームページ等を通じて広く周知することで、県内事業所におけるICTやロボットなどの導入を一層促進し、業務の負担軽減を図ってまいります。 県としましては、今後とも、こうした取組を通じ、関係団体等と連携しながら、施設職員等の処遇改善や負担軽減を促し、働きやすい環境づくりを積極的に推進してまいります。 議長(柳居俊学君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)日本一の安心インフラやまぐちの実現についてのお尋ねにお答えします。 道路や河川等の公共土木施設は、経済活動や県民生活を支える重要な社会基盤として、恒常的に機能を発揮することが求められています。 しかしながら、おととし、上関大橋において損傷事故が発生するなど、本県においても、高度経済成長期に集中的に整備した施設の老朽化が進んでおり、今後一斉に更新時期を迎えることから、その対策が喫緊の課題となっています。 このため、県では、常日頃から適切に維持管理を行うとともに、施設ごとに長寿命化計画を策定し、計画的に老朽化対策を推進しています。 また、限りある財源や人員の中、こうした取組をより効率的・効果的に進めていくため、デジタル技術を活用したインフラマネジメントの高度化にも積極的に取り組んでいるところです。 具体的には、橋梁の異状箇所を早期に発見し、対応を図るためのAIによる点検・診断システムや、河川の変状を迅速かつ的確に把握し、効果的に対策を行うためのドローン等による監視手法などの構築を進めています。 さらに、今年度から、トンネルやダムなど、そのほかの施設にもデジタル技術の活用範囲を広げるための取組に着手したところです。 こうした老朽化対策などの取組を進めるに当たっては、お示しの五か年加速化対策の予算を積極的に活用しているところであり、引き続き、国の支援が得られるよう、必要な予算の確保と地方財政措置の充実について、政府要望等あらゆる機会を通じて国に訴えてまいります。 また、市町においても県と同様に多くの公共土木施設を管理していることから、インフラマネジメントの高度化に向けた県の取組を市町にも広げていく必要があると考えています。 このため、県では、山口大学等と連携し、地域のインフラマネジメントを担う中核的な人材の育成を図っているところであり、今後は、県が開発を進めている橋梁の点検・診断システム等を提供し、市町での取組を支援していく考えです。 県としては、日本一の安心インフラやまぐちの実現に向け、引き続き、デジタル技術を活用した高度なインフラマネジメントの取組も積極的に取り入れながら、公共土木施設の適切な維持管理や老朽化対策などを推進してまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)子供の体力向上についてのお尋ねにお答えします。 体力は、人間の活動の源であり、健康の維持のほか意欲や気力といった精神面の充実に大きく関わっており、お示しのとおり、子供の時期に体力を高めることは、健康で丈夫な体をつくるだけでなく、意欲的に取り組む態度の育成にもつながるなど、生きる力を支える重要な要素であると考えています。 このため、県教委ではこれまで、スポーツ医・科学の専門家等の意見を踏まえ、子供たちの体力の向上や運動習慣の定着に向けた様々な取組を推進してまいりました。 具体的には、特に、本県の子供たちの課題である柔軟性と投力の向上に向け、体育の授業で柔軟性を高める準備運動を行ったり、ドッジボール大会などの投げる運動を取り入れた体育行事を開催するなど、各学校が体力向上に向けた具体的なプログラムを毎年作成し、実施する取組を行ってきました。 そのような中実施された、令和三年度の全国調査においては、柔軟性を示す長座体前屈の本県の記録は、小五男子、中二男女が前回調査を上回ったものの、全国平均と比較すると、多くの種目で依然として低い状況にあり、課題があると捉えています。 こうしたことから、今年度は、従来の取組に加え、各学校の体力向上に向けた取組が、一時的でなく、年間を通した継続的、長期的なものとなるよう、研修会等における好事例の共有などにより、プログラムの改善を図ることとしています。 また、新たに小・中・高の各一校をICT体育推進校に指定し、一人一台タブレット端末等の活用により、児童生徒が自らの動きを分析したり、手本の動画と比べたりして、主体的に学びに取り組むことで、全ての子供が、運動の楽しさを実感できる授業を目指した実践研究を行うこととしています。 さらに、新型コロナウイルスの影響で運動時間の減少や、スクリーンタイムの増加が指摘されていることから、親子を対象にした出前授業の実施や、体を使った遊び等を紹介した家庭用広報誌の定期的な発行などにより、運動の大切さや楽しさを実感させたり、幼少期からの運動づくりにつなげたりする活動の充実に努めてまいります。 県教委といたしましては、今後とも、市町教委や学校、家庭、地域と連携し、スポーツ医・科学の視点も取り入れながら、子供の体力向上にしっかりと取り組んでまいります。