1 デジタルマップの活用について 2 ヤングケアラーへの支援について 3 テレワークによる障がい者雇用について 4 労働者協同組合法施行に向けての取り組み状況について 5 県内の貸切バス事業について 6 多様な学びの場について 7 その他
議長(柳居俊学君)曽田聡君。 〔曽田聡君登壇〕(拍手) 曽田聡君 皆様、おはようございます。早速ではございますが、通告に従って一般質問をさせていただきます。 初めに、デジタルマップの活用についてお尋ねいたします。 全国の自治体で導入が進んでいるデジタルマップ、国土地理院では、平成十九年に地理空間情報活用推進基本法で、基盤地図情報をあらゆる地理空間情報における位置の基準として規定されました。 都市計画区域内は二千五百分の一で、都市計画区域外では二万五千分の一で、十三項目の情報を整理され、データは、国土地理院ホームページより無償でダウンロードすることができます。 また、長らく二万五千分の一地形図を基本図としてきましたが、現在では、地図情報、オルソ画像、地名情報の三種類の情報で構成されたデータベースの電子国土基本図が新たな基本図として位置づけされています。 このような地図データの整備により、岩手県では防犯対策、土地利用規制、津波防災マップなどを可視化、茨城県では、生活に資する様々な情報を県と県内市町村が共同で整備・運営し、それぞれデジタルマップとして提供されています。 また、奈良県ではこのほど、通学路の安全対策を強化させるため、電子地図データを活用して、安全対策が必要な箇所を表示できるデジタルマップが作成されました。 これまでは、対策が必要な場所の住所を文字で表示していたため、現状把握や情報共有が進みにくい一因となっていましたが、情報をデジタルマップ化することにより、対策の必要な箇所が一目で分かるようになりました。 通学路への街灯設置や学校での登下校指導など、安全対策を進める上で活用が期待され、今後、県警察との情報共有の在り方なども検討していくとされています。 本県でも、山口県オープンデータカタログサイトをポータルとして、山口県及び県内市町が保有するオープンデータを公開するための専用サイトを用意されていますし、山口市では、オープンマップ@山口市を作成し、市内の施設情報、医療関係情報、道路情報、ハザードマップ情報、都市計画情報、AED設置情報、ウオーキングコースを地図上で確認することができます。 そこで第一点目は、全国の自治体で進むデジタルマップの活用例を幾つかお示ししましたが、本県でのデジタルマップの活用についてであります。 本県では、土砂災害警戒区域等マップ、土砂災害警戒情報システムとGISを活用したデジタルマップを、そして、さきに紹介した山口県オープンデータカタログサイトで、県が保有する他のオープンデータを県民の方々に直感的で分かりやすく情報提供するため、デジタルマップが有効と考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 第二点目は、児童生徒の通学路の安全を図るためにデジタルマップの活用であります。 県警察によりますと、令和三年中の子供の声かけ、つきまとい事案は六百七十六件、そのうち約半数が通学路での声かけ事案、そして同じく令和三年中の中学生以下の子供が登下校、また歩行中に被害に遭う交通事故は十一件となっています。 また、千葉県八街市の通学路で起きた事故以降、関係機関等が県内の通学路で行った合同点検により安全対策の必要性を認めた箇所のうち、県警による対策が必要な箇所は二百五十八か所とお聞きしました。 そこでお尋ねいたします。児童生徒の通学路での安全対策のため、デジタルマップを活用し、子供への声かけが発生した箇所、交通事故が発生しやすい箇所などを可視化し、児童生徒そして保護者、教職員で情報共有することで、その安全が強化されるものと考えますが、県教育長、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 次に、ヤングケアラーへの支援についてお尋ねいたします。 二〇一四年八月三十日付の公明新聞に、「家庭介護を担う若者たち 都内在住 ある女性の歩み」と題した記事が掲載されました。 抜粋して紹介いたします。 二〇〇八年末、東京都中野区に住む鈴木詩帆さんは二十一歳だった。認知症の祖母との二人暮らしは数年がたっていた。祖母との生活は小さなトラブルが絶えなかった。薬の飲み過ぎを祖母に注意すると、私から薬を取り上げ、殺そうとしているなどと逆に詰め寄られたことも。鈴木さんは生活保護を受けつつ、大学の通信教育部に在籍していたが、生活の中心は祖母の介護だった。 鈴木さんのように、家族介護に関わる若者の詳しい実態把握はされていないが、参考になるのは、成蹊大学専任講師の澁谷智子さんが二〇一三年に行ったアンケートによると、医療ソーシャルワーカーら四百二人のうち百四十二人、全体のおよそ三五%が、十八歳以下の子供が家族のケアをしているのではと感じた事例があると答えています。 英国では一九八〇年代から、十八歳以下の介護者をヤングケアラーと位置づけ、公的な支援を行っています。 一方、日本は支援どころか実態の把握すら進んでいない。介護を担う、こうした子供や若者に光を当てなければならないのは、大人への移行期にある彼らが抱える問題が、介護者一般とは異なるからだ。 少々長くなりましたが、記事が掲載された八年前、日本では、ヤングケアラーという定義がはっきりしていなかったため、実態の把握・調査がなされず、時が過ぎてしまいました。 そのような中、二〇二一年三月、我が党の伊藤孝江参議院議員は、予算委員会で、子供の介護や世話を担う子供、ヤングケアラーについて取り上げました。 将来のことも考えられなくなるような過度のケアを、家族思いという言葉で済まされないと、教育や福祉の垣根を超えた行政による支援体制の構築を主張しました。 結果、同月、厚生労働、文部科学両省の共同プロジェクトチームが発足するなど、当事者に寄り添う支援の歯車が回り始めました。 昨年十一月の定例会一般質問におきまして、我が会派の石丸県議は、児童虐待や子供の貧困対策など課題解決に向けては、社会全体で支える仕組みづくりが必要と考えますが、ヤングケアラーの実態調査を含め、今後の対応についてただしたことを受け、健康福祉部長からは、調査に当たっては、子供のプライバシーに配慮しながら、調査内容、方法等を検討する必要があることから、市町や関係団体の御意見をしっかりと踏まえ、具体的な検討を進めてまいります、との答弁を頂き、今年度当初予算に新しくヤングケアラー支援体制強化事業が盛り込まれました。 五月三十一日には、第一回山口県ヤングケアラー支援に関する検討会議が開催され、ヤングケアラー支援の動向、実態調査について議論されました。 本県でも、ヤングケアラーの実態把握・調査に向け、一歩踏み出されたことに感謝申し上げます。 実態の把握やその先の支援に結びつけるには、ヤングケアラーに気づける人を増やすこと、ヤングケアラーに気づくことのできる人、例えば、子供の周りにいる保育所や学校関係者、そして地域に根差した活動を展開している子ども食堂のスタッフなどとの連携も必要と思います。 そこでお尋ねいたします。これから実施する実態調査やその後の支援の具体的な検討など、ヤングケアラーへの支援に向け、今後どのように取り組まれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、テレワークによる障害者雇用についてお尋ねいたします。 働きたくても働けない、通いたくても通えないとの声を上げてきた障害者にとって、日々進歩するICTは、一筋の光明であります。 障害者が地域で自立し、社会参加していくには障害の特性に応じた就労の場が必要であります。今まで、それがかなわない社会環境がありました。ICTの進歩、特にネットワーク環境の発展でそれが解消されようとしています。 コロナ禍の中で注目された在宅でのテレワーク、テレワークでもオフィスワークと生産性が変わらない業務があることが認知され、首都圏などに拠点を置く企業では、高い賃借料のオフィスから在宅テレワークにシフトする流れも生まれています。 私の周りにも、東京のIT系企業に勤務する男性が、結婚を機に山口市に移住し、在宅テレワークで生活しています。そして、必要に応じて上京しているとお聞きしました。 総務省の行った二〇二一年の通信利用動向調査のうち、テレワークに関する質問では、テレワークを導入していると答えた企業は五〇%を超え、コロナ禍の中で導入が進み、各企業、業界が新たな可能性を見いだすことで、新たな分野でのテレワークが創出されました。 その一つが、障害者雇用におけるテレワークの可能性であります。 本県では、岩国市において、市と地元障害者福祉事業所、そして東京に本社を置き、障害者の求人開拓やテレワーク導入など障害者雇用の課題解決に向け取り組む企業の三者で、二〇一九年十二月、障害者のテレワーク推進に関する連携協定が結ばれ、障害者のテレワークによる就労機会創出を目指す取組が進められています。 また、その取組を進めるため、さきに紹介した、東京に本社を置く企業のサテライトオフィスも、昨年十二月に岩国市内に開設されております。 私は、本年三月、肢体不自由で車椅子での生活を余儀なくされている青年とその家族とともに、このサテライトオフィスを視察させていただきました。 同社支援の下、IT機器を利用して、就労移行支援から始まり、一定のスキルを身につけた後は、主に首都圏の企業との雇用マッチングを行い、テレワークで就労につなげているとお聞きしました。 視察に同行された青年は、障害特性により乗り越えなければならない課題はあるものの、テレワークによる就労への期待に胸を膨らませておられました。 二〇二一年三月から、従業員四十三・五人以上の民間企業の障害者の法定雇用率二・三%に引き上げられたこともあり、大都市圏では、障害者のテレワークを積極的に取り入れる企業が増加しております。 しかしながら、本県では岩国市の取組はあるものの、まだまだ浸透していないのが現状であります。 障害者雇用におけるテレワーク導入に当たっては、環境面や制度面の整備、障害者特性に合わせた雇用管理など、解決しなければならない課題はたくさんありますが、障害者にとっては、通勤の負担を軽減できる、住む場所により不利益を受けにくい、障害特性により一般のオフィス勤務が難しい場合でも就労が可能になる、また、企業にとっても、有能な人材、多様な人材の確保、雇用チャネルやエリアの拡大など、双方にとったメリットがあります。 障害特性に配慮しつつ、職場の有効な選択肢の一つとして、テレワークをより進めていかなければならないと考えます。 そこでお尋ねいたします。本県にとってテレワークによる在宅・サテライトオフィスの勤務の推進は、多様な働き方が求められる中、そして多様な人材の雇用機会を創出する大変大切な取組だと考えますが、県の御所見をお伺いいたします。 次に、労働者協同組合法施行に向けての取組状況についてお尋ねいたします。 この秋、十月一日に、労働者協同組合法が施行されます。 私は、令和三年二月議会におきまして、この法律の成立を受け、山口県でも多くの方々が、企業組合、NPO法人等の組織・団体で活動されていますが、このたびの労働者協同組合法が施行されるまでの約二年間、この制度の周知活動をどのようにされるのか、と質問させていただきました。 それに対し、当時の商工労働部長により、県としては、必要な情報を収集の上、市町と連携して、広く県民に制度の周知を図ること、とりわけ同法は企業組合やNPO法人から組合への移行が想定されていることから、企業組合所管の山口県中小企業団体中央会やNPO法人に関係する庁内関係部局を通じて、こうした団体に情報が十分行き渡るよう努めてまいります、との答弁がありました。 全国でもこの法律成立後の県議会、市議会で党派を超えて、たくさんの質疑、そして答弁が行われております。 例えば、広島市では、労働者協同組合法の活用や、広島市が進めてきた協同労働モデル事業についての質疑に対し、「本市では、この協同労働を活用したモデル事業を、全国に先駆けて、平成二十六年度から実施しています。郷土愛を育む新しい働き方として、また、地域コミュニティー再生のツールとして大きな可能性を持っていると考えています。こうしたことから、このたびの労働者協同組合法の成立は、協同労働という新たな働き方を地域に根づかせ、皆が互いに支え合う持続可能な活力のある地域社会の実現の追い風になると考えています」云々。 また、福井県では、「NPO法人では出資が認められず、事業も福祉やまちづくりなど二十分野に限定されており、働き手の生活を支えることが目的ではないため、報酬を追求する事業ができません。これに対して、労働者協同組合は、労働者派遣を除き事業分野に制限は設けておらず、働き手は最低賃金の保障など労働法規が指摘をされます」云々、との質疑に対し、「今までNPOだとなかなか事業の幅が狭いとか、それにもうけられないというような、こういった手かせ、足かせもあったわけですけれども、こういったことを乗り越えて、幅広く、しかも労働法規が適用になるということで最低賃金が適用になる、これも大変メリットが大きいと思います。ただ現実には、なかなかそうした地域課題解決のときに、事業として最低賃金を払って成立していくというのがなかなか難しいといったところもあると思いますので、その施行までの期間、制度の中身を十分検討していきたい」云々と。他の議会におきましても、この法律の成立には好意的に受け入れられ、特に地域課題解決、高齢化による人材不足の解決のためにも、この法の趣旨を理解促進していくため、周知・啓発を図っていく旨の答弁に終始しておられました。 そこでお尋ねいたします。労働者協同組合法施行が十月一日と迫る中、本県では、この法律の周知・啓発にこれまでどのように取り組まれてこられたのか、これからどのように取り組まれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、県内の貸切りバス事業についてお尋ねいたします。 新型コロナウイルス感染症が拡大する前、旺盛なインバウンド需要があった平成の時代、全国の貸切りバス事業の経常収支率は、平成二十九年一〇八・一%、平成三十年一〇五・八%でありましたが、令和元年度一〇一・九%と新型コロナウイルス感染症の発生で二月以降、貸切りバスの需要が急激に悪化した影響もあり、経常収支率は前年度から三・九%下回り、令和二年度は新型コロナウイルス感染症が広がり収束が見通せない中、七六・四%と前年度比二五・五%と大幅な減少となりました。 山口県バス協会の調べでは、令和元年度から令和三年度の年間運送収入を比較すると令和元年度、十五億五千六百万円に対し、令和二年度は五億五千九百万円と大幅に減少し、令和三年度はやや持ち直して七億六千万円と、令和二年度比一・三六%アップしたものの、コロナの影響を受ける前の平常時と比較して二分の一しか回復しておらず、依然として厳しい状況にあります。 例えば、本来五月は、春の行楽シーズン期であるため、収入は増加する時期でありますが、令和三年五月から六月にかけて、近県の広島県、福岡県において、緊急事態宣言が発令されていた時期であるため低迷していると推察されます。 少し感染者数が落ち着きを見せた秋の行楽シーズン期については、令和二年度十月一億一千万、十一月一億三千八百万に対し、令和三年度の十月は一億一千三百万、十一月は一億三千七百万とほぼ同程度の数字となっています。 しかし、年を越した令和四年一月から、オミクロン株の拡大により、当初は予約が多く入っていましたが、その多くがキャンセルとなり、再び厳しい状況になっています。 このような状況に加えて、山口県内の貸切りバス事業者にとって、運送収入を減少させる要因として、国土交通省が定めているブロック運賃公示の差があります。 例えば、九州運輸局の定める一キロ当たりの大型車の上限額百五十円、下限額百円に対し、中国運輸局では上限額二百十円、下限額百五十円と高く定められており、中型車・小型車においても同じように高くなっています。 このことが、下関市を中心とする山口県西部において、九州ブロックと中国ブロックの公示運賃の格差から、九州運輸局の管轄に営業所のある貸切りバス事業者が、九州ブロックの公示運賃で営業活動を行うことで、地元において地元からの輸送業務が獲得できない状況が頻発しており、山口県内の事業者の疲弊が目立つようになっています。 これからのウイズコロナ、ポストコロナの中で、政府では観光需要の再構築やインバウンド再開に向けてかじを切り出しましたが、国に対しブロック運賃の是正を求めないと山口県内の貸切りバス事業者の経営環境は、厳しい状況が続くものと考えます。 そこでお尋ねいたします。コロナ禍の中で傷んだ貸切りバス事業者の経営基盤の強化、そして合法とされる輸送ではありますが、現状では地域の輸送秩序を守り、地元の貸切りバス事業者を守れる制度設計になっていないため、貸切りバスの拡大営業区域に適用する運賃・料金の制度について、県の御所見をお伺いいたします。 最後に、多様な学びの場についてお尋ねいたします。 グローバル化していく現代社会において、様々な国から来日して暮らしている人や様々な価値観を持って暮らしている人がいます。 そのような中で、公教育のありようの見直しが求められるときが来ていると思います。 第一点目は、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育についてお尋ねいたします。 文部科学省の調査によりますと日本語指導が必要な児童生徒は、日本語指導が必要な日本国籍児童と日本語指導が必要な外国籍児童の数を合わせると、平成三十年度は五万一千百二十六人と十年間で一・五倍になっています。 山口県では、百三十六人と全国に比較して人数こそ少ないものの、小中学校の教室で先生が教えていることが理解できず、学力がついていかないまま時を過ごしている児童生徒も見受けられます。 そのような中、青年海外協力隊山口県OB会のメンバーで組織する、子供のための日本語教室では、二〇二一年三月から試験的に教室をスタートさせました。 当初は、山口市内一会場で週一回のペース、今ではオンラインを含め五会場で開催しています。 来日してから数年たち、会話もできるようになっても学校の勉強についていけない子供たち、来日して間もなく、初歩的な日本語を習得する時期に適切な支援が受けられていない子供たちなど、一年間で四十一人の子供たちに出会い、対応されたとお聞きしました。 また、山口県の現状を数字で見てみると、日本語の支援が必要な外国籍児童生徒数と在籍する学校数を、文部科学省の調査を基に整理してみました。 二〇一六年度は七十人二十六校、二〇一八年度は九十八人四十校、二〇二一年度は百二十人四十三校と増加傾向にあります。そのうち、日本語指導教員が配置されている学校は八校とお聞きしました。 文部科学省では、帰国・外国人児童生徒等教育の推進事業として、きめ細かな支援事業と就学促進事業を予算化し、各自治体にその活用を呼びかけています。 山口県では、その事業実施に至っておりません。真に必要な、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育の指導員の増員やボランティアなどで組織されている、子供のための日本語教室を持続可能とするために、早急な事業実施が必要と考えます。 そこでお尋ねいたします。外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育にどのように取り組まれるのか、県教委の御所見をお伺いいたします。 第二点目は、公立夜間中学校の設置についてお尋ねいたします。 平成二十六年十一月議会で、我が会派の上岡康彦県議が、教育再生実行会議の提言に夜間中学の設置を推進する重要性が明記されたことを受け、県教委に設置についてお尋ねし、平成二十七年六月議会で、私が、国も中学校夜間学級の設置を推進していく考えを示したことから、改めて県教委に設置についてお尋ねさせていただきました。 県教委からは、いずれも国の動向や既に設置されている他の都道府県の状況などを把握し、市町教委へ支援していくとの趣旨の答弁がありました。 その間、全国では設置・検討状況の都道府県は、令和四年四月現在、徳島県、高知県、香川県など十五都道府県四十校となりました。 令和三年一月二十五日の衆議院予算委員会で、菅前総理大臣は、夜間中学の教育活動を支援するとともに、今後五年間で全ての都道府県・指定都市に夜間中学が少なくとも一つ設置される、このことを目指し、全国知事会や指定都市市長会の協力を得て、取り組んでいきたい、このように思います、と答弁されました。 夜間中学校の必要性や設置の大切さは、多様な学びの場の機会を保障するための様々な役割が期待されています。 そこでお尋ねいたします。他県において、公立夜間中学校設置の動きが見られる中、県として現在のニーズを把握し、県内で設置に向けた検討に取り組むべきと考えますが、県教委の御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終了いたします。御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)曽田議員の御質問のうち、私からは、テレワークによる障害者雇用についてのお尋ねにお答えします。 障害者が地域社会の一員として自立し、生き生きと生活していくためには、一人一人の特性や能力などに応じて働くことができるよう、障害者雇用に対する企業の理解促進や、多様な就業機会を確保することが重要です。 このため、私は、障害者の雇用確保を経営者へ要請するとともに、障害者雇用に積極的な企業の認定や優良事業所等の表彰、事例紹介などを通じ、障害者雇用に対する理解を深め、雇用拡大に向けた機運の醸成に努めてきたところです。 また、職場において障害者の雇用と定着を推進するリーダーを養成するため、企業の人事担当者等を対象に、優良事業所や特別支援学校の見学会や研修を実施し、企業の取組を促進しています。 こうした取組により、合弁で農業法人を設立し、障害者に就業の場を提供している事例や、障害者が安心して働ける施設を開設し、障害者の雇用推進を図っている事例につながっています。 こうした中、働き方の新しいスタイルとして広がりを見せるテレワークは、障害者の就業を進めるための有効な手段の一つとなることから、その導入を積極的に促進するとともに、障害者の雇用につなげていく必要があります。 このため、テレワークによる就業が促進されるよう、障害者がパソコンの技術を習得する職業訓練を実施し、障害者のスキルアップを支援してまいります。 また、テレワーク環境を整備する企業に対し、導入に必要な助言等を行う専門家を派遣するとともに、課題を抱える企業の問題解決に向けたワークショップを今年度新たに開催し、機器導入経費等の補助制度と効果的に組み合わせることで、企業の取組を後押しすることとしています。 さらに、住み慣れた地域と職場が近く、柔軟な働き方が可能なサテライトオフィスは、女性や若者をはじめ、障害者など誰にとっても働きやすい雇用の場であることから、その創出に向け、展示会出展やWEBプロモーションなど、様々な機会を活用した情報発信による誘致活動を展開しています。 お示しの岩国市の事例では、地元市と連携した誘致活動の結果、リモートワークによる障害者の就業機会を創出する事業者の誘致と障害者の雇用を実現したところであり、引き続き、障害者雇用にも資するサテライトオフィスの立地に積極的に取り組んでいきます。 私は、様々な特性を持つ障害者が希望する就業を実現し、地域で自立して社会参加できるよう、テレワークによる障害者雇用を積極的に促進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)デジタルマップの活用に関する御質問のうち、本県でのデジタルマップの活用についてのお尋ねにお答えします。 デジタル化された地図上に様々な情報を重ねて表示するデジタルマップは、インターネットを通じて視覚的で分かりやすく情報を提供できるとともに、地図の拡大・縮小機能等を有し、迅速なデータ更新も行えるなど、デジタルの特徴を生かした効果的な情報提供手法であることから、全国で活用が進んでいます。 本県においても、オープンデータカタログサイトに、医療機関や子育て施設など、十七項目のオープンデータマップを整備しているほか、土砂災害警戒区域等マップなどにおいて、土砂災害発生の危険度や雨量状況等の防災情報をデジタルマップとして提供しているところです。 県としては、このデジタルマップが、県民の皆様に情報提供をする手法として非常に有効であることから、さらに充実を図るため、デジタルマップに利用可能なデータの拡充とその機能強化に向けて、取組を進めていきたいと考えています。 まず、データの拡充については、地域の様々なデータを有する市町と連携して取り組む必要があることから、本年二月に研修会を開催し、データ公開の重要性等について意識共有を図ったところであり、今後も、市町と一体となって、提供データ数を着実に増やせるよう取り組んでいきます。 次に、デジタルマップの機能強化については、お示しの他県の優良事例も参考にしながら、さらに使い勝手のよいものにできるよう、オープンデータマップの提供システムのインターフェース改善や操作性向上等について検討していきます。 さらに、こうした取組に加え、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」が有する「Y─Cloud」のデータ可視化ツールを活用することで、デジタルマップの作成が可能となることから、周南市の野犬対策のマップ化支援のように、DXコンサルを通じたデジタルマップの普及も促進していきます。 県としては、今後も、市町と連携し、デジタル社会の基盤となるデータの効果的な活用と、県民の皆様に対する分かりやすい情報提供に向け、県政の幅広い分野におけるデジタルマップの活用に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)ヤングケアラーへの支援についてのお尋ねにお答えします。 ヤングケアラーは、年齢や成長の度合いに見合わない、重い責任や負担を負うことで、本人の生活や教育に影響があることから、学校や福祉サービス提供事業者、行政機関等が緊密に連携を図りながら、早期に発見し、適切な支援につなげることが重要です。 このため県では、今年度、本県独自にヤングケアラーに係る実態調査を実施し、必要な支援の在り方について検討を進めることとしています。 まず、実態調査については、学年ごとに抱える問題等を詳細に把握するため、小学校五年生から高校三年生までの全ての児童生徒を対象とし、家族の世話の状況や子供の生活への影響、必要としている支援内容等を調査することとしています。 調査項目には、学校等への相談を希望する子供が自由に意見を述べる項目を追加するなど、実態調査を通じて、悩みを抱えている児童生徒に対する適切な支援につなげてまいります。 また、県では、学識経験者や福祉、教育、市町等の関係機関で構成する検討会議を設置し、調査結果を詳細に分析し、早期発見や適切な支援に向けた方策について検討を進めることとしています。 具体的には、お示しのヤングケアラーにいち早く気づくことができる仕組みづくりや、相談しやすい体制づくり、支援の中心となる市町や福祉関係機関等との連携体制の構築など、様々な観点から検討してまいります。 県としましては、次代を担う子供が安心して健やかに成長できるよう、市町や関係機関等と連携しながら、引き続き、ヤングケアラーへの支援に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)労働者協同組合法施行に向けての取組状況についてのお尋ねにお答えします。 労働者協同組合法に基づき、新たな法人形態として法制化された労働者協同組合は、多様な就労機会の創出や地域の需要に応じた事業の実施など、地域の実情に応じた様々な課題解決の有効な手段となることが期待されます。 このため県としても、これまで国の取組を注視しながら、制度の運用を円滑に開始できるよう準備を進めてきたところです。 まず、国の取組ですが、本年十月からの施行を控え、先月二十七日付で施行令、施行規則及び適正な運営に資するための指針が公布され、今月三日には、都道府県向けのオンライン説明会が開催されたところです。 こうした国の取組を踏まえ、県では、企業組合やNPO法人を所管する庁内関係部局との連絡体制を整えるとともに、労働者協同組合法について説明するホームページを作成するなど、広く制度の周知に努めてきました。 また、施行令等の公布を受けて、市町や関係団体に対し、制度の詳細について情報提供し、その周知・広報等の依頼を行ったところです。 今後は、組合の設立が円滑に行われるよう、国の事業とも連携しながら、認知度向上を図るフォーラムの開催などにより制度の周知を図るとともに、県民向け相談窓口を設置し相談・助言等を行うこととしています。 また、県内でも組合設立の動きがありますが、設立を希望する団体に対し、手続が円滑に行われるよう、きめ細かくサポートを行うとともに、設立された組合を先行事例として広く紹介することで、制度のさらなる普及・定着につなげてまいります。 県としては、国、市町や関係団体等と連携し、持続可能で活力ある地域社会の実現に資するよう、労働者協同組合法の円滑な施行に向けて取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)県内の貸切りバス事業についてのお尋ねにお答えします。 貸切りバスは、修学旅行や団体旅行をはじめ、本県への誘客促進に欠かせない重要な交通基盤ですが、近年、コロナ禍による需要の減少や、長引く燃料価格高騰等の影響により、貸切りバス事業者の経営環境は一段と厳しさを増しています。 このため県としては、バス事業者の経営基盤の強化を図り、その事業継続を支援するため、昨年度、貸切りバスを利用した宿泊を伴う旅行商品に対する助成制度を創設するとともに、経常的に必要となる車両の維持経費や高騰する燃料費などの一部を補助することとしたところです。 また、貸切りバスの運賃・料金制度については、現在、地域の経済情勢や事業者の経営状況、安全コストなどを考慮し、各地方運輸局のブロックごとに、それぞれ異なる公示運賃が設定されているところです。 そのため、お示しの下関市では、中国ブロックより低い運賃設定がされている九州ブロックの事業者が参入し、地元の事業者が業務を受注することが難しい状況となっています。 県としては、厳しい経営環境にある県内貸切りバス事業者を支援する観点から、国に対し、今後の制度の見直しに当たって、こうした地域の実態も踏まえた検討がなされるよう、働きかけてまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育に関する数点のお尋ねにお答えします。 まず、デジタルマップの活用についてのお尋ねのうち、児童生徒の通学路での安全対策についてです。 子供たちが安心して通学できる環境を整えていくためには、学校、教育委員会、道路管理者、警察等の関係機関が、家庭や地域の協力を得ながら緊密に連携し、通学路の安全対策に取り組むことが重要です。 そこで県教委では、市町教委と連携しながら通学路の危険箇所調査を実施するとともに、関係機関で構成する通学路安全対策合同会議を開催し、安全対策の着実な推進に向けて取り組んでいます。 また、学校においては、コミュニティ・スクールの仕組みを生かし、児童生徒が主体となり、地域と連携・協働した安全マップ作りや小中合同での安全点検を実施するなど、子供たちの安全に対する意識を高め、主体的に行動できる力を育んでいるところです。 お尋ねのデジタルマップにつきましては、このたび、県警が運用を始めたところであり、県警と連携し、児童や生徒、教職員、保護者、地域に向けて積極的に情報発信をしていくとともに、今後、一人一台タブレット端末による活用を含めた効果的な指導方法について検討を進めてまいります。 県教委といたしましては、子供たちのかけがえのない命を守るため、通学路に関わる全ての関係者と一体となって、安全対策に全力で取り組んでまいります。 次に、多様な学びの場についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、外国にルーツを持つ児童生徒等の日本語教育についてです。 本県における、日本語指導が必要な児童生徒は、ここ数年百人超えと一定数存在しており、そのような児童生徒が、授業の内容や互いを理解しながら共に学べるよう、個々に応じた日本語指導を行うことが重要であると考えています。 このため、県教委では、教員による日本語指導の充実を進めており、対象となる児童生徒が多く在籍する地域に、常勤の日本語指導担当教員八名と非常勤講師六名を配置しているところです。 また、その増員につながるよう、定数算定基準の見直しを国に要望しています。 さらに、日本語指導が必要な児童生徒が少ない地域への支援も欠かせないことから、本年度より、本県独自の取組として、山口県立大学と連携し、オンラインによる日本語指導を実施することとしています。 県教委といたしましては、市町教委や地域の日本語教室の取組も踏まえ、関係機関と緊密に連携しながら、引き続き日本語指導が必要な児童生徒への支援の充実に努めてまいります。 次に、公立夜間中学校についてです。 夜間中学は、義務教育を修了しないまま学齢期を経過した方や、不登校など様々な事情により十分な教育を受けられないまま中学校を卒業した方、外国籍の方などの、義務教育を受ける機会を実質的に保障するために重要な役割を果たすものと認識しています。 県教委では、これまで夜間中学の設置は地域の実情を踏まえた判断が必要であることから、国の支援制度等の周知広報や国の委託事業を活用したニーズ調査の実施、各市町教委への継続したヒアリングの実施等により、需要の把握に努めてきたところです。 現時点では、各市町における設置のニーズは確認されていませんが、国において実施された令和二年国勢調査の結果が先日公表され、本県における未就学者は八百五十一人、最終卒業学校が小学校の方は七千九百二十五人ということが明らかになりました。 こうした方々の中に、夜間中学への入学を希望する方が含まれている可能性もあることから、改めて潜在的な需要の有無を全県的に把握していく必要があると考えています。 このため県教委といたしましては、義務教育未修了者数や在留外国人数などの最新の状況を踏まえ、当事者に届く調査となるよう、手法の検討を行い、市町教委や関係機関等と連携しながら、今年度中のニーズ調査の実施に向け、取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)デジタルマップの活用についてお答えいたします。 通学路における子供の安全対策は、県警察の重要課題の一つであり、総力を挙げて取り組んでいるところであります。 議員お示しのデジタルマップを活用し、子供に対する声かけ事案や交通事故の発生場所を見える化することにより、保護者や教職員への注意喚起など、子供を守る効果的な対策の立案が期待できます。 こうした活用を通じて、子供が被害に遭う声かけ事案や交通事故の未然防止を図ってまいります。 まず、子供に対する声かけ・つきまとい事案については、性犯罪や誘拐等の重大な事件に発展するおそれが高いことから、県警察では、発生時間や発生場所、行為者の特徴などを分析して行為者の早期特定に努めているところです。 現在、声かけ事案等に関しましては、県警ホームページやメールマガジンなどで情報発信を行っておりますが、今後、危険性の高いものなどについて、さらに効果的な情報発信ができるよう、デジタルマップの活用を進めてまいります。 次に、交通事故が発生しやすい場所については、お示しの山口県オープンデータカタログサイトに人身事故情報を提供しており、デジタルマップへの事故情報の表示や、データとしての活用が可能となっております。 また、県警ホームページ上にも、県民の方々に、いつ、どこで、どのような交通事故が発生しているのかを身近に感じていただけるよう、山口県交通事故マップを掲載することとしており、様々な態様の交通情報を表示させ、分かりやすくタイムリーな情報提供を行ってまいります。 県警察としては、今度とも、デジタルマップの活用はもとより、積極的な情報発信によって、保護者や教職員で情報共有していただくとともに、引き続き教育委員会等と連携し、通学路の安全確保と保護者の方々の不安払拭に向け、各種対策の強化をしっかりと進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時四十二分休憩