提案理由説明
───◆─・──◆──── 日程第二 議案第一号から第十四号まで 議長(柳居俊学君)日程第二、議案第一号から第十四号までを議題といたします。 ────────────────────── 提出者の説明 議長(柳居俊学君)これより提案理由の説明を求めます。 村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)本日は、令和四年度一般会計補正予算その他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、お集まりをいただき、厚くお礼を申し上げます。 議案の説明に先立ち、御報告を申し上げます。 まず、新たな総合計画についてです。 平成三十年に策定した県政運営の指針、やまぐち維新プランの計画期間は今年度末までとなっており、これまで企業誘致による五千人以上の新規雇用の創出や本県への移住者数の倍増など、様々な分野で目に見える成果が上がってきています。 一方で、この二年間は新型コロナウイルスの影響により、県づくりの様々な取組が足踏みを余儀なくされており、また、デジタル化をはじめとする社会変革や世界共通の課題である気候変動問題への対応など、県政を取り巻く環境が大きく変化してきています。 今後の県づくりに向けては、何よりもまず、直面するコロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させて、山口県の元気を取り戻していかなければなりません。 そして同時に、現下の環境変化をしっかりと踏まえ、本県の新たな未来に向け、これまで取り組んできた三つの維新をさらに進化させ、安心で希望と活力に満ちた山口県をつくっていきたいと考えています。 こうした考えの下、私は、山口県の新たな未来に向けた県づくりをより高いレベルへと押し上げていけるよう、その指針となる新たな総合計画を、本年中を目途に取りまとめることとしたところであり、このたび、四月に決定した策定方針に沿って、骨子案を取りまとめました。 私としては、今後、県議会や県民の皆様の声をしっかりとお聞きしながら、本県が進める政策の基本方向を取りまとめてまいります。 次に、脱炭素社会の実現に向けた取組についてです。 温室効果ガス排出量の増加による地球温暖化の進行が地球規模の課題となる中、国においては、一昨年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、また、昨年四月に、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度から四六%削減することを目指すとされています。 本県においても、こうした国の動きと整合を図りながら、県政のあらゆる分野にわたり、脱炭素化の取組を加速していかなければなりません。 とりわけ産業部門、工業プロセス部門の温室効果ガス排出割合が極めて大きい本県にとって、産業分野における脱炭素化が本県産業の国際競争力の維持、そしてさらなる成長につながるよう、その取組を進めていくことが求められています。 こうした中、本年三月、県議会の脱炭素社会における産業発展方策調査特別委員会から、県内企業が脱炭素化に取り組むための総合戦略の策定と、組織の整備等について政策提言を頂いたところです。 私は、国の動向や社会情勢の変化、県議会からの政策提言等を踏まえ、このたび産業分野における事業者の脱炭素化に向けて取り組むべき施策の方向性を示す、やまぐち産業脱炭素化戦略を策定することといたしました。 また、脱炭素社会の実現に向けた県政各分野の取組を総合的に進めていくため、私をトップとする山口県環境政策推進本部を設置するなど、推進体制の強化を図ったところです。 私としては、新たな体制の下、県内の多様な主体との連携を図りながら、本県における脱炭素社会の実現に向けた取組を、総合的かつ計画的に推進してまいります。 次に、新型コロナウイルス感染症の状況についてです。 新型コロナウイルスの感染者数については、全国的に高止まりの状態が続いています。本県においては、県民の皆様の御理解と御協力、医療関係者の皆様の御尽力により、予定どおり、四月末をもって希望される方への三回目のワクチン接種が完了できたこと等により、全国と比較して低い感染状況が続いています。 その一方、高齢者施設等においてクラスターが発生するなど、予断を許さない状況にあることから、引き続き、気を緩めることなく、三密の回避など、基本的な感染予防対策の徹底を図っていく必要があります。 こうした中、五月末から県と市町が一体となって、重症化予防を目的とした四回目のワクチン接種を開始いたしました。これを迅速かつ円滑に進めるため、今回、補正予算に所要の経費を計上したところであり、私としては、県民の皆様の命と健康を第一に、社会経済への影響を最小限に食い止めることができるよう、感染予防対策に全力で取り組む考えです。 次に、最近の経済情勢についてです。 まず、我が国経済は、経済社会活動の正常化が進む中で、各種政策の効果もあって、持ち直していくことが期待される一方、中国における感染再拡大の影響やウクライナ情勢の長期化等が懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇等による下振れリスクに十分注意する必要があるとされています。 こうした情勢を踏まえ、政府は四月二十六日、原油価格や物価の高騰による国民生活や経済活動への影響に緊急かつ機動的に対応し、コロナ禍からの経済社会活動の回復を確かなものとするため、原油価格高騰対策や生活困窮者等への支援等を柱とした、総事業規模十三兆円を上回る総合緊急対策を決定し、五月三十一日には、その関連補正予算が成立したところです。 また、県内経済については、持ち直しのペースが鈍化しており、先行きについても、感染症や原材料価格の上昇等が、金融経済に与える影響について注視していく必要があるとされています。 県としては、このたびの国の緊急対策の趣旨を踏まえ、コロナ禍による疲弊に加え、現下の原油価格や物価高騰により、さらに深刻な打撃を受けている県内経済の下支えに取り組むため、迅速かつ機動的な対応ができるよう、生活困窮者や各事業者等への支援策について、今回の補正予算に計上したところです。 私としては、引き続き、経済情勢や国の動向等を十分に注視し、国の緊急対策にしっかりと呼応しながら、大きく傷んだ社会経済の再生に積極的に取り組む考えです。 それでは、提出議案の概要について御説明申し上げます。 議案第一号は、令和四年度一般会計補正予算です。 今回の補正予算は、国の緊急対策に伴う原油価格・物価高騰対策のほか、当面、緊急を要する経費について、所要の補正を行うものであり、補正総額は八十三億五千万円、補正後の予算規模は七千九百四十五億九千三百万円となっています。 まず、原油価格・物価高騰対策について、その主な内容を御説明申し上げます。 初めに、生活困窮者等への支援についてです。 全国的な物価高騰下においても、従前どおりの栄養バランスや量を保った給食等を提供するため、学校等に対し、材料費の価格上昇相当分に係る経費を補助し、コロナ禍における子育て世帯の負担軽減を図るほか、生活福祉資金の特例貸付資金の積み増し等を行います。 次に、事業者等への支援についてです。 まず、中小企業制度融資において、原油価格や物価高騰の影響による資金需要に対応する新たな資金を創設することとし、これに伴う損失補償について、債務負担行為の設定を行うとともに、経営悪化に苦しむ中小事業者が行う省エネや業務の効率化に資する新たな設備等の導入を支援します。 また、厳しい経営状況にある宿泊事業者が行う宿泊施設の省エネ対策や高付加価値化、収益力向上を図る取組を支援し、コロナ後を見据えた魅力ある観光地域づくりを推進します。 さらに、原油価格等の高騰に伴う燃料費や維持経費の負担の増大により、厳しい経営環境にある交通事業者に対し、負担軽減のための補助を行うことにより、県民生活にとって不可欠な地域公共交通の維持を図ります。 あわせて、燃油価格や資材費の高騰に伴い、経営状況が厳しい農業者、漁業者の経営安定と維持を図るため、肥料代等の経営費用を補助するほか、農業者等が実施する省エネ対策に必要な経費や畜産業者が加入する配合飼料価格安定制度に係る生産者積立金について、支援を行います。 以上が、原油価格・物価高騰対策の概要であり、その総額は七十六億四千万円となっています。 その他の経費としては、まず、新型コロナウイルスワクチンの四回目接種を、迅速かつ円滑に進めるため、医療機関への接種促進のための運営支援に要する経費について、六億八千万円を追加計上しています。 また、ウクライナからの避難民の方々が、本県において安心して生活を始めるために必要となる生活準備金を支給するとともに、豚熱の蔓延を防止し、畜産業者の経営安定を図るため、県内で飼養される豚等を対象としたワクチン接種等を行うこととし、それぞれ所要の経費を計上しています。 一方、歳入予算については、歳出との関連において、国庫支出金七十二億四千二百万円等を追加するほか、所要の一般財源については、繰越金一千百万円をもって措置しています。 以上が、議案第一号に係る令和四年度一般会計補正予算の概要です。 議案第二号は、企業誘致のさらなる促進を図るため、産業団地整備事業特別会計を新たに設置して、産業団地の整備を行うものです。 議案第三号から議案第十一号までは、いずれも条例の一部を改正するものであり、地方税法等の一部改正に伴い、個人県民税から住宅ローン控除を行う措置の延長等を行うものです。 議案第十二号及び議案第十三号は、事件議決に関するものであり、議案第十二号は、地方独立行政法人山口県立病院機構に係る中期計画の変更を認可することについて、県議会の議決をお願いするものです。 議案第十三号は、条例の改正に関する専決処分について、県議会の承認をお願いするものです。 議案第十四号は、人事案件に関するものであり、人事委員会の委員の選任について、県議会の同意をお願いするものです。 人事委員会委員、齊藤保夫氏は、来る七月十六日をもちまして、その任期が満了いたします。 つきましては、後任の委員の選任を要するのですが、私としては、上野清氏を最適任と考え、ここにお諮りいたします。 なお、同氏の御経歴は、お手元に配付しました履歴書のとおりです。 この際、御報告申し上げます。 令和三年度の一般会計ほか四会計につきましては、繰越計算書を調製しましたので、御報告いたします。 また、工事請負契約の一部を変更すること、訴え提起前の和解をすること及び交通事故等による損害賠償の額を定めることについては、専決処分により、処理をいたしました。 また、県が出資等を行っている法人の経営状況を説明する書類につきましては、別添のとおり作成しましたので、提出をいたします。 以上、提出議案等について、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願い申し上げます。