1 やまぐち未来維新プランについて 2 原油価格・物価高騰に直面する地域経済の回復について 3 脱炭素化に対応する産業戦略の構築について 4 企業誘致の推進について 5 地域公共交通の維持・確保について 6 教育行政について
───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 議長(柳居俊学君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑に入ります。 代表質問及び質疑の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 吉田充宏君。 〔吉田充宏君登壇〕(拍手) 吉田充宏君 おはようございます。自由民主党の吉田充宏でございます。 令和四年六月定例会に当たり、自由民主党会派を代表いたしまして、県政の諸課題について、知事、教育長に質問をいたします。 質問に先立ち、一言申し上げます。 コロナの発生から約二年半が経過し、この長期にわたる闘いに、医療や保健に従事する皆さんをはじめ、多くのエッセンシャルワーカーの皆さんが、今なお日夜懸命に取り組んでおられますことに、改めて感謝を申し上げます。 こうした皆さんの御尽力に支えられて、三年ぶりに行動制限のない大型連休となった五月のゴールデンウイークを皮切りに、県内各地で祭りやイベントが再開され、地域から人のにぎわいと活気が感じられるようになりました。 外国人観光客の受入れも今月十日に再開されるなど、少しずつですが、地域社会はコロナ禍を乗り越え日常を取り戻しつつあります。 菅内閣に引き続き岸田内閣においても、コロナへの現実的な対応として推進してきた、いわゆるウイズコロナ政策の成果が実を結んできています。我が会派としても、ワクチン接種の推進や持続的な保健医療提供体制の確保などにより、感染者の爆発的な増加を抑えながら、同時に経済をしっかり回していくことで、コロナから社会経済活動を回復させる取組を、今後とも全力で推進していく所存であります。 一方、世界各国がコロナ禍からの回復に苦闘している最中に始まったロシアによるウクライナ侵略は、多くの犠牲者を出しながら、開戦から四か月がたとうとする今もなお、激しい戦闘がやむことなく続いています。国際秩序を無視した力による一方的な現状変更は、決して許されるものではなく、ましてや無辜の民間人の殺害という暴挙は、いかなる理由があろうとも看過できるものではありません。 地域経済にも暗い影を落としているロシアの侵略行為に対しては、国による制裁措置はもちろんですが、地方においても断固とした抗議の声を上げるとともに、ウクライナ国民に心を寄せた対応をしていくことが重要であると考えます。 同時に、こうしたあってはならない事態が起こり得るのが、現在の国際社会の厳然たる事実でもあります。今回のロシアの暴挙は、海洋での軍事的行動を強めている中国による台湾有事や尖閣諸島をめぐる危機、核・ミサイルの脅威が増大した新たな局面に入っているとされる北朝鮮情勢など、東アジアの安全保障環境に計り知れない影響を及ぼすことが懸念されます。 こうした幾多の危機を前に、今日、報道各社の世論調査でも明らかなように、日本国憲法のありように対する国民の意識も変わってきております。 日本と国民を守り、次世代が安心して暮らせる国づくりを進めていくためには、今こそ、戦後の占領下でつくられ、七十五年間一度も改正されていない憲法はどうあるべきかという国民的議論を前に進めていかなければなりません。 憲法を改正するか否かを決めるのは国民・県民の皆様であり、国民投票の実施に向け、改正案の中身の議論を前に進め、国民・県民の皆様に判断していただく機会を整えることが政治の務めであります。 今国会においては、衆議院憲法審査会が毎週のように開催され、現下の世界情勢も踏まえた議論が活発に行われております。 我が自由民主党は、憲法改正の必要性と改正案をしっかりと訴え、国民・県民の皆様の理解促進と改正機運の盛り上げに全力を挙げて取り組み、党是である憲法改正の早期実現を目指してまいる所存であります。 そして、目前に迫っているのが、本年最大の政治決戦である第二十六回参議院議員通常選挙であります。我が党は、国内外に山積する危機を乗り越え、日本の未来を切り開いていくため、選挙公約と政権運営の実績をしっかり訴え、国民・県民の皆様から強力な支持を得られるよう、組織の総力を結集して全力で戦い抜く決意であることを申し上げ、通告に従い質問をさせていただきます。 初めに、やまぐち未来維新プランについてお尋ねをいたします。 村岡知事は、さきの二月定例会において、三期目の県政運営に当たり、より高いレベルの安心の確保と成長の実現を目指していくとの決意を示され、そのための指針となる新たな総合計画を取りまとめると述べられました。 コロナによりさらに加速する人口減少・少子高齢化や、デジタル化による社会変容、脱炭素化に対応した産業の構造変革など、県政の推進に当たっては、新たな課題が次々に生じています。 また、国においても、先般示された骨太の方針や、岸田総理の肝煎りである新たな資本主義の実現に向けた実行計画が取りまとめられ、デジタル田園都市国家構想の推進、人材確保や生産性向上の実現に向けた人への投資、さらには、食料安全保障や経済安全保障など、国の政策の方向性が示されたところです。 こうした中、先日の活力創出本部会議において示された、新計画の骨子案では、安心で希望と活力に満ちた山口県の実現が目標として掲げられ、デジタル、グリーンなどの新たな視点により、三つの維新をさらに進化させることが基本方針として示されています。 コロナ禍により社会経済が多くの影響を受け、現行の維新プランに基づいた政策も停滞を余儀なくされてきました。そうした中でも、産業、大交流、生活の維新に向けて、これをしっかりと推し進め、成し遂げていくことで山口県の新たな未来をつくっていくという知事の強い意志を、この骨子案からは感じ取ることができます。 一方で、やまぐち未来維新プランがその名称にふさわしく、県の新たな未来をつくる推進力あるものになるためには、プランによって本県がこれからどのように変わっていくのか、あるいは変えていこうとしているのかという未来図と道筋を、県民の皆さんが思い描けるものでなければならないと考えます。 また、乗り越えるべき課題を県全体で共有することも重要です。骨子案では、三つの維新を達成するために二十のプロジェクトを掲げられていますが、プロジェクトの目指すところや政策を、説得力のあるエビデンスを示しながらつくり上げていかねばならないと思うのです。 そして、知事におかれましては、新たな未来に向けた県づくりのビジョンを具体化していく中で、その方向性を県民の皆さんともしっかりと共有し、県全体の力を結集する力強いリーダーシップを発揮していただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。このたびの骨子案を基に、本県の新たな未来への指針となる総合計画の策定にどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、原油価格・物価高騰に直面する地域経済の回復についてお尋ねをいたします。 ロシアのウクライナ侵略などの影響による原油・物価の高騰は、コロナ禍の厳しい状況から抜け出そうとしている本県の地域経済に、第二の危機とも言うべき深刻な影響を与えています。 製造業では、物流コストや原材料価格の上昇など、生産コストの増大が重くのしかかっています。また、我が党にも支援要望のあったバス業界や、議連としても知事に窮状を伝えられたフェリー業界など、交通運輸業においては、自助努力ではいかんともし難い燃料高騰に頭を抱え続けておられます。 農林水産業においても、肥料や飼料など資材価格の高騰により、このままでは生産や出漁を断念せざるを得ないとの悲鳴にも似た声を上げておられます。 ようやく行動制限のない日常を取り戻し、本格的な回復に向かうとの期待を高めている観光業界も含め、コロナ禍で苦境の続いてきた様々な事業者の皆さんが、この冷や水を浴びせるような局面をどうにか打開しようと、苦しみながらも必死に取り組んでおられるのです。 こうした地域経済の窮状に機動的に対応するため、国においては、昨年十一月のエネルギー価格高騰対策や、本年三月の緊急対策に続き、先般、新たに原油価格・物価高騰等総合緊急対策を決定し、大きな影響を受けている運輸業や農林水産業への支援、中小企業対策など、先手先手での対応を進めていくとされたところであります。 県においても、このたびの補正予算においては、この緊急対策に迅速に呼応され、地方創生臨時交付金を活用した交通事業者への燃料費助成、中小企業や農業・漁業における省エネ対策への補助など、各種の支援策が盛り込まれています。 コロナ禍からの本県経済の回復を腰折れさせないよう、この原油価格・物価高騰の影響は、何としても最小限にとどめなければなりません。そのためには、国の対策とも連携しながら、本県ならではのきめ細やかな対策を講じることで、事業者の皆さんの声にしっかりと応えていかねばなりません。 また、まさに今、苦境に立たされている皆さんの元に、こうした支援策が迅速に届けられるよう、行政としてのスピーディーな対応が求められています。 ようやくコロナ禍から抜け出しつつある本県地域経済を確かな回復基調に乗せていくために、知事におかれては、県としても地域経済活動を今後もしっかり支えていくという、力強いメッセージを発していただきたいのです。 そこでお尋ねをいたします。原油価格・物価高騰により厳しい状況に直面する本県経済の回復に向けた取組の強化に、どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、脱炭素化に対応する産業戦略の構築についてお尋ねをいたします。 基礎素材型産業を中心とした、瀬戸内の基幹企業群を活力の源泉とする本県にとっては、脱炭素化は、本県の社会経済の屋台骨に影響を与える、極めて重要な課題です。 県内企業においては、カーボンニュートラルの実現という大きな目標に向けて具体的な取組が進められていますが、一方で、企業単体では解決が困難な代替エネルギー源の確保、設備投資に伴う大きな経済的負担といった課題を多く抱えています。 こうした現場の実情を県政にしっかりと反映させていくため、昨年度、議会特別委員会が設置され、三月には県及び国への提言として、十七の項目が取りまとめられました。 知事に対しては、県内企業がこの困難な局面を乗り越え発展できるよう、総合戦略の策定や、これを強力に推進するための組織の整備、国の施策とも連携した県独自の施策の構築などについて提言しています。 また、国への要請活動も行われ、関係省庁に対して本県の産業の実情や、国と一体的に施策を進めてきた経緯にも十分配慮して脱炭素化の取組を進めていただくよう、さらには、地域産業を支える電力の安定供給の確保には、国として責任を持って取り組んでいただくよう要請をされたところです。 こうした提言の取りまとめにより、議会としての特別委員会の活動は終了したわけですが、我が自民党会派としましては、脱炭素化への対応は目下の最重要課題として考えており、四月には新たな議員連盟を立ち上げるなど、今後も産業現場の声を県政に届け、県の施策推進をしっかりと後押ししていく所存であります。 こうした中、知事においては、議会からの提言も踏まえ、脱炭素化に対応する新たな戦略の策定を表明され、そのための組織体制の強化を図られるとともに、先日の政府要望においても、国に対し本県の実情や国の支援を訴えられました。 しかしながら、本県の脱炭素化への対応は、まさにこれからが正念場です。今後、新たな体制の下で現場の声を改めてしっかりと聞き取り、ハード・ソフト両面から県内産業にとって必要となる戦略を構築していかねばなりません。 また、国においては、先月下旬にクリーンエネルギー戦略の中間整理が取りまとめられています。今後十年間に必要な脱炭素関連の投資を約百五十兆円と試算し、二十兆円という大規模な基金設置により、脱炭素化に取り組む企業を支援する方針です。 こうした長期安定的で大規模な支援の方向性が示されたことは、脱炭素化に巨額な設備投資が必要となる企業や、産業基盤を支える地方自治体にとっては力強いものです。特に、脱炭素化に向けて様々なハードルを越えていかねばならない本県においては、こうした国の政策もしっかりと取り込んでいく必要があります。 知事におかれましては、脱炭素社会においても本県産業が国際競争力を失うことなく、さらに発展・成長していけるよう、国の政策も本県の産業発展に着実に結びつけながら、真に実効性のある戦略をつくり上げていただきたいのであります。 そこでお尋ねします。議会特別委員会からの提言も踏まえ、脱炭素化に対応する産業戦略の構築について、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、企業誘致の推進についてお尋ねをいたします。 企業誘致は、産業集積や魅力ある雇用の場の創出など、地域にとって幅広い効果が期待できるものであり、村岡知事は就任以来、特に力を入れて誘致活動を進めてこられました。 自らも大都市圏でのフォーラムや企業訪問に取り組まれ、こうした精力的なトップセールスが、テルモや小野薬品などの進出・生産設備増強といった医療関連産業の集積につながり、平成三十年には原薬出荷額が全国一位となりました。 加えて、近年では、デジタル社会の中でさらなる拡大が見込まれる半導体関連の誘致も実現されるなど、本県の産業力強化にプラスの効果をもたらす成果をしっかりと上げておられます。 こうした順調な企業誘致により、県内の産業団地の分譲が進んでいることを踏まえ、昨年度、知事は、新たな産業団地の造成に向け具体的な検討を進めることを表明されました。 今般、適地の選定を終えられ、今議会に提出された補正予算案では、権利調査や設計費など、新たな団地の整備に向けた経費を計上しておられます。今後、対象地域の市ともしっかりと連携し、取組を着実に進めていかねばなりません。 一方、日本国内における企業の設備投資状況を見ますと、昨年、世界最大の半導体メーカーである台湾のTSMCが約八千億円を投資して、熊本県の工業団地に大規模工場を建設するというニュースが新聞紙上をにぎわせたのは、記憶に新しいところです。 新型コロナウイルスの感染拡大を契機としたデジタル需要の拡大、経済安全保障政策による生産拠点の国内誘致や国内回帰といった、社会変革に伴う企業の設備投資は今後も拡大傾向にあり、地方における投資活動を後押しする力強い流れを生み出すものと考えています。 各地域において創意工夫を凝らした様々な誘致活動が行われる中、本県においても、強みである産業集積をさらに進めるため、立地競争力の充実強化に今後もしっかりと取り組んでいく必要があります。 その一方で、新たな産業団地の整備を進めるに際しては、過去の土地開発公社廃止に至った経験も十分に踏まえておく必要があります。未分譲資産の長期保有による行政コストの発生を招くことがないよう、企業ニーズや社会経済情勢を見極めた上で、その取組を推進していかねばならないと考えます。 知事におかれましては、本県の経済の持続的な発展の礎となる、多くの優良企業の誘致に向けた戦略的な取組をしっかりと進めていただきたいのであります。 そこでお尋ねいたします。デジタル化、グリーン化など新たなニーズが見込まれる中、企業誘致の推進に今後どのように取り組まれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、地域公共交通の維持・確保についてお尋ねをいたします。 バスや鉄道などの地域公共交通は、地域住民にとって、日常生活にはなくてはならない重要な生活基盤であると同時に、経済活動、観光振興、交流人口の増加など、地方創生を推進していくために必要不可欠な社会基盤でもあります。 その一方で、長期化する新型コロナウイルス感染症の影響による利用者の大幅な減少に加え、ウクライナ情勢による燃料価格高騰の影響などにより、地域公共交通は非常に厳しい状況に置かれています。 こうした中、JR西日本において、輸送密度が一日当たり二千人未満となっている、収支率が低いとされる路線が公表されたことは、沿線自治体に少なからぬ衝撃を与えています。 本県においても、美祢線・小野田線沿線の自治体である美祢市、長門市、山陽小野田市、宇部市の四市長から、知事や議会に対して、県においても、JRや国への対応に際し、地元市と強固な連携体制を取られるよう要望のあったところです。 我が会派としても、こうした動向については、地域を支える公共交通の基盤が揺らぎかねない問題であるとの強い懸念を抱いています。 現在、国においては、鉄道事業者と沿線自治体との協力・協働や、国の関与・支援など、地方ローカル線の今後の在り方や、ポストコロナにおける地域公共交通の再構築について検討がなされています。 県としても、それぞれの地域が抱える実情や沿線自治体の声を、こうした議論の場にしっかりと届けていく必要があります。 また、申し上げるまでもなく、鉄道は路線ごとの収支や利用者数だけで必要性が判断されるものではなく、一つのネットワークとして捉えられるべき移動手段ですが、その一方で、沿線自治体の人口減少やコロナ禍の影響により、地方ローカル線の利用減少に歯止めがかかっていないという厳しい現実にも目を向けなければなりません。 地方ローカル線の維持・確保を図っていくためには、利用実態を踏まえつつ、地域生活やまちづくり、県づくりにとっての必要性や位置づけを改めて考えながら、交通体系全体で利便性を高めていく取組や、新たな需要創出に向けた取組を推進していく必要があります。 そして、こうした取組は、一市町のみで完結するものではなく、広域行政を担う県においても、区域を超えた取組を沿線市町と一体となって主体的に進めていただきたいのであります。 そこでお尋ねをいたします。地域公共交通の中で基幹的役割を果たす地方ローカル線の維持・確保について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、知事の御所見をお伺いをいたします。 最後に、教育行政についてお尋ねをいたします。 近年、テクノロジーの飛躍的な向上や急速なデジタル化、グローバル化などにより、私たちの社会はこれまでの世代が経験してこなかったような激しい変化の中にあります。 また、産業構造や社会システムが急激に変化し、自然災害や新型コロナウイルス感染症の流行など、予測困難な事態も発生している現代においては、実社会で求められる能力も刻々と変わり続けています。 これからの時代を生きていく子供たちは、正解が見えない課題にも向き合っていかなければならず、状況に応じて最も適切な答えを自ら見つけ、人生を切り開いていく力を育むことが求められているのです。 本年度から高校でスタートする新たな学習指導要領においても、こうした視点が重視されており、生徒が自ら課題を見いだし、解決策を導いていく、いわゆるアクティブ・ラーニングを取り入れた授業改善を進めることなどが求められています。 また、本年度からは、一人一台端末で学んできた中学生が高校へ進学していますが、こうした生徒に対し、より質の高い学びを実現していくためには、全国に先駆けて整備してきたICT環境を、従来の対面授業などと適切に組み合わせながら、これまで以上に教育効果を高めていくことが必要となります。 さらには、個に応じた学びと協働的な学びの実現を目指した、国における新時代の高校改革が、今年度から本格スタートします。こうした改革に対しても、本県教育が全国をリードできるよう、生徒一人一人の多様な可能性、能力を最大限に伸ばしていくとともに、各高等学校の特色化・魅力化に向けた取組を進めなければなりません。 このように、令和四年度は、高校教育にとってまさに大きな節目となる年となります。折しも、本県では新たな総合計画の策定を進めているところですが、教育の充実は、県全体の中でも重要な位置を占める大きな柱であり、県教委におかれましては、新たな時代の高校教育が目指す姿を改めて深く考え、全ての子供たちの可能性を引き出す創意工夫ある取組を進めていただきたいと思うのであります。 そこでお尋ねをいたします。子供たちが、変化の激しい社会を生き抜き活躍できるよう、新学習指導要領の趣旨や国の高校改革を踏まえた本県高校教育のさらなる充実について、今後どのように取り組まれるのか、教育長の御所見をお伺いをいたしまして、私の代表質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)吉田議員の代表質問にお答えします。 まず、やまぐち未来維新プランについてのお尋ねです。 私は、これまで「活力みなぎる山口県」の実現に向け、全力で取り組んでまいりました。その結果、企業誘致による五千人以上の新規雇用の創出や本県への移住者数の倍増など、様々な分野で具体的な成果が現れているところです。 一方、長引くコロナ禍で、県民の命と健康が脅かされ、県づくりの取組の中にも、足踏みを余儀なくされているものが出ています。このため、何よりもまず、コロナの危機から県民の皆様の命と健康を守り抜き、大きく傷んだ社会経済を再生させ、山口県の元気を取り戻していかなければなりません。 また、県政を取り巻く環境は、大きく、そして急速に変化しており、頻発化・激甚化する自然災害や、デジタル化、脱炭素化をはじめとする社会変革などにしっかりと対応していくことが求められています。 さらに、本県の未来を担う人材の育成や急速に進む少子化への対応、そしてコロナ禍で生じた人々の意識や価値観等の変化を捉え、都市部からの新たな人の流れの創出・拡大等の取組を強化していく必要があります。 こうした考えの下、現在、やまぐち未来維新プランの策定作業を進めており、このたび取りまとめた骨子案では、安心・安全、デジタル、グリーン、ヒューマンの四つの視点で、三つの維新をさらに進化させ、より高いレベルの安心と成長の実現を目指すことを掲げたところです。 今後は、この骨子案を基にさらなる検討を進め、三つの維新の先に見据える、県民誰もが山口ならではの豊さと幸福を感じながら、未来に希望を持って暮らせる、安心で希望と活力に満ちた山口県の姿を描いてまいります。 そして、目指すべき将来像の実現に向け、高度な産業集積をはじめとする本県の強みを生かし、また、潜在力を引き出し、伸ばしていく重点施策を、データ等も活用しながら構築していきます。 さらに、プランを実効性あるものとしていくためには、乗り越えるべき課題や今後の県づくりの方向性を、市町や関係団体、企業等、そして県民の皆様と共有することが重要です。 このため、策定に当たっては、「元気創出!どこでもトーク」や、有識者で構成する山口県活力創出推進会議などを通じて、県の考えをお示しするとともに、直接県民の皆様の声をお聞きし、意見の反映に努めていきます。 私は、人口減少をはじめ、様々な課題が山積する中にあっても、本県の新たな未来に向け、県づくりをより高いレベルへと押し上げていけるよう、県議会の御意見も伺いながら、自ら先頭に立って、やまぐち未来維新プランを策定し、今後の県政運営に全力で取り組んでまいります。 次に、原油価格・物価高騰に直面する地域経済の回復についてのお尋ねにお答えします。 社会経済活動の正常化が進む中、原材料価格の上昇が、今後のリスクとして顕在化しており、国においては、物流等での価格転嫁の円滑化や、燃料油価格の激変緩和等の原油価格高騰対策などを柱とした総合緊急対策を決定し、先般、その関連補正予算が成立したところです。 こうした中、お示しのとおり、県内経済もコロナ禍に加えてさらに深刻な打撃を受けており、国の対策の着実な実施や活用に加え、県としても、地域の実情に応じた対策を講じて、事業者の負担を軽減し、県内経済の下支えを図っていくことが極めて重要と考えています。 このため、私は、このたびの補正予算において、物価高騰の影響を受ける県内事業者に寄り添い、国の交付金も最大限活用しながら、業種や分野に応じた事業継続と経営基盤の強化に向けた対策に、スピード感を持って取り組むこととしています。 まず、事業継続に向けては、県の制度融資において、新たに全業種を対象とした原油価格・物価高騰対応資金を創設し、事業収益が圧迫されている事業者の資金繰りを支援します。 また、交通の分野では、燃料高騰等により厳しい経営環境にあるバスやフェリー等の交通事業者に対して、燃料費や車両等の維持に必要な経費の一部を助成することにより、県民生活にとって不可欠な地域公共交通の事業継続を支援します。 さらに、農業や漁業については、肥料代等の経営費用を補助するほか、農業者等が実施する省エネ対策に必要な経費や、畜産業者が加入する配合飼料価格安定制度に係る生産者積立金への支援などにより、事業者の経営安定を図ります。 次に、経営基盤の強化に向けては、エネルギーや原材料価格の高騰により採算性が悪化している事業者等を対象として、省エネや生産性向上に資する新たな設備等の導入を支援する補助制度を創設し、経済情勢の変化にも対応できる強い中小企業への転換を後押しします。 また、観光の分野では、コロナ後を見据えた魅力ある観光地域づくりを推進するため、誘客の基盤となる宿泊施設の省エネ対策や高付加価値化、収益力向上等に向けた設備投資を支援します。 こうした取組に加え、商工会等が実施する各地域での特色ある需要喚起イベントの開催支援などにも取り組むことにより、当初予算で措置した「Go To やまぐち事業」やプレミアム食事券など、三百億円を超える事業規模の需要喚起策と併せて、県内経済の底上げを図ります。 私は、厳しい環境に置かれた事業者への影響を最小限に抑えるため、直面する課題に対応した事業者支援を積極的かつ機動的に行うとともに、官民一体となった大胆な需要喚起策を効果的に実施することにより、大きく傷んだ本県経済の回復に全力で取り組んでまいります。 次に、脱炭素化に対応する産業戦略の構築についてのお尋ねにお答えします。 地球温暖化の進行が世界共通の課題となる中、国は、二○五○年カーボンニュートラル、二○三○年度における温室効果ガス排出量の四六%削減といった高い目標を掲げ、経済社会全体の大規模な変革に取り組むこととしています。 本県においても、こうした国の動きと整合性を図りながら、県政のあらゆる分野にわたり、脱炭素化の取組を加速していくことが求められています。 とりわけ産業部門・工業プロセス部門の温室効果ガス排出割合が全体の約七割を占め、全国の二倍と高い本県にとって、脱炭素化社会の実現に向けては、産業分野での脱炭素化の取組が極めて重要です。 こうした中、これまでのビジネスモデルや戦略を根本的に変えていく大きな流れが、本県産業や地域経済に重大な影響を与えるとして、県議会特別委員会において様々な視点からの議論を重ねられ、先般の御提言を頂いたところです。 私は、こうした危機感を県議会と共有し、また、国の動向や社会情勢の変化を踏まえ、このピンチをチャンスに変え、本県産業の国際競争力の維持とさらなる成長につながるよう、本県の強みを生かしながら、産業分野の脱炭素化の取組を強力に進めていく考えです。 このため、今後の県政運営の指針となる新たな総合計画において、グリーンの視点を設け、脱炭素化に向けた県施策全体の基本的な方向性を示すとともに、産業分野における具体的な取組やロードマップを示す、やまぐち産業脱炭素化戦略を本年度中に策定することとしました。 県では、これまで、本県のポテンシャルや企業の持つ高度な技術を生かした、コンビナート低炭素化構想の策定を進めてきたところであり、脱炭素化戦略は、この構想を核としつつ、カーボンニュートラルポートの形成や中小企業支援、再エネ等電力対策など、広く産業分野全般にわたる総合的な戦略として位置づけます。 戦略の策定に当たっては、脱炭素化の取組が実効性あるものとなるよう、企業等と目指すべき将来像を共有するとともに、基盤整備や設備投資、研究開発への支援など、ハード・ソフトの両面から必要となる取組を検討し、実施主体や時間軸など可能な限りの具体化を図ります。 また、推進体制の強化に向けては、私をトップとする山口県環境政策推進本部の下、産業分野の取組を重点的に推進する専門部会や、総括的なマネジメントを行う組織を新設したところであり、産業戦略本部やコンビナート連携会議等も活用し、官民連携による全県的な体制を構築します。 さらに、お示しのような国レベルでの大胆な投資を本県に呼び込むことができるよう、今後とも、あらゆる機会を通じ地方の実情を踏まえた要望を行いながら、国の政策に呼応した脱炭素化の取組を進めてまいります。 私は、県議会をはじめ、県内企業、大学、市町等との緊密な連携の下、本県ならではの実効性ある産業戦略を構築し、本県の産業競争力の強化に全力で取り組んでまいります。 次に、企業誘致の推進についてのお尋ねにお答えします。 企業誘致は、本県産業の成長や雇用機会の拡大、地域経済の活性化などの持続的かつ多面的な効果をもたらし、本県の活力の源となる産業力を大きく伸ばすことから、その取組を強力に推進しています。 これまでの取組を通じて、お示しのテルモや小野薬品など地域経済に大きな波及効果をもたらすものづくり企業に加え、若者や女性に魅力のあるIT関連企業など二百件を超える企業立地を実現し、五千人以上の雇用を創出したところです。 こうした中、近年の社会経済情勢はコロナ禍等により足踏みが見られるものの、企業の設備投資はグリーン化やEV化、製造拠点の国内回帰、さらには、国が掲げた新しい資本主義への対応などにより、堅調に推移するものと見込まれています。 このため、私は、こうした好機を逸することなく、激化する地域間競争を勝ち抜き、本県の産業力を一層強化するため、新たに策定する総合計画の重要施策として、戦略的な企業誘致の推進を掲げ、本県の立地の優位性を最大限生かした積極的な誘致活動を展開したいと考えています。 具体的には、私自ら企業を訪問し、経営者層に対し、本県での事業展開を強力に働きかけることに加え、大都市圏でのフォーラム開催や展示会出展、さらには本県の強みを最大限にPRするターゲティング広告など、様々な機会・媒体を効果的に活用した情報発信を行ってまいります。 また、企業ニーズや社会経済情勢等を踏まえ、重点成長分野である医療関連や半導体分野などをターゲットに積極的な企業誘致を進めることとしています。 その実現に向けては、受皿となる事業用地の確保が大変重要になりますが、平成十五年には二百ヘクタールを超えていた本県の産業団地は、約五十六ヘクタールに大幅に減少しており、とりわけ県東部では紹介可能な用地が不足しています。 そのため、市町と連携し、インターチェンジへの近接性や一定規模の開発面積の確保、費用や期間の圧縮などの視点から適地を検討した結果、第一期事業として、光市において分譲面積八ヘクタールの産業団地の整備に着手したいと考えています。 さらに、長期的な視点に立って持続的な企業誘致の推進を図っていくため、第二期事業の実施に向けた調査・検討も進めてまいります。 私は、本県の強みを生かした産業集積や雇用の場の創出が図られるよう、御指摘の企業ニーズや社会経済情勢等を適時適切に見極めながら、新たな産業団地の着実な整備と早期分譲に取り組むとともに、自らが先頭に立って県経済を牽引する優良企業の誘致に全力で取り組んでまいります。 次に、地域公共交通の維持・確保についてのお尋ねにお答えします。 鉄道やバスなどの地域公共交通は、通勤や通学など沿線住民の日常生活はもとより、地域の経済活動や観光振興などに大変重要な役割を果たしていますが、人口減少や長引くコロナ禍の影響等により利用者が大幅に減少し、極めて厳しい環境に置かれています。 こうした中、本年四月、JR西日本においては、特に輸送密度が低い区間ごとの収支率などの情報を公表し、利用者の減少が著しい地方ローカル線の今後の在り方についての議論を進めたいとしています。 これを受け、先日、美祢線・小野田線沿線の各市長から要望を頂き、地域住民の日常生活への影響に対する強い危機感や路線存続への切実な思いを直接お聞きしたところです。 私は、JR西日本が大変厳しい経営状況にあることは理解していますが、路線の存廃を区間ごとの収支で判断することは適当でなく、地方ローカル線が広域的なネットワークとして維持されることが必要であると考えています。 このため、私は、国に対し、全国知事会による要望や有志知事による緊急提言に加え、さきの政府要望においても、国としての鉄道ネットワークの在り方の提示や、JRを含めた鉄道事業者に対する経営支援など、より積極的な対応を求めてきたところです。 また、JR西日本に対しては、中国地方知事会等による要望において、地域の実情を伝え、地方ローカル線存続の必要性を訴えてきたところであり、引き続き、県として沿線市町と連携し、路線が維持・確保されるよう要望してまいります。 一方で、路線を維持・確保していくためには、利用者を増加させることが不可欠であり、利便性向上や利用促進に向けた取組を一層強力に進めていくことが重要です。 このため、路線ごとに設置された利用促進協議会等と連携を図りながら、県としても、利便性の高いダイヤの実現に向けた働きかけや、日常利用の機運醸成に向けた啓発活動、さらに鉄道利用につながる観光プロモーションなど様々な取組を市町と一体となって進めていきます。 さらに、現在、国において鉄道ネットワークの在り方についての検討が行われていることから、その方向性も踏まえ、今後、沿線自治体とJR西日本との協議が行われる場合には、県としても積極的に参画し、地域の実情に即した取組を検討してまいります。 私は、今後とも、市町との緊密な連携の下、地域住民の日常生活や交流人口の拡大に不可欠な基盤である地方ローカル線の維持・確保に向けて積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育行政についてのお尋ねにお答えします。 急激な技術革新やグローバル化の進展などにより、社会が急速に変化する中、子供たち一人一人が自分の良さや可能性を認識し、多様な人々と協働しながら様々な社会の変化を乗り越え、主体的に未来を切り開いていく力を身につけることが重要であると考えています。 このため、県教委では、全ての県立学校に導入したコミュニティ・スクールの仕組みを生かし、地域社会と連携した教育活動を推進するとともに、一人一台タブレット端末等のICT環境を最大限に活用し、これまでの教育実践と組み合わせた取組を進めるなど、子供たちの可能性を広げる教育の充実に取り組んできているところです。 こうした全国に先駆けた取組をより確かなものとし、国が目指す令和の日本型学校教育を実現していくためには、新学習指導要領に基づいた教育を着実に推進するとともに、子供たちの多様な能力を伸ばす創意工夫ある取組や国の高校改革への対応を進めていく必要があります。 こうしたことから、各学校においては、教育課程の改善を通して、教育活動の質の向上を図るカリキュラム・マネジメントに取り組むとともに、総合的な探究の時間を核とした教科等横断的な学習活動の充実など、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善に努めているところです。 また、県教委では、教員向けの研究協議会を開催し、学校の好事例を共有するなど、新学習指導要領の趣旨の徹底を図るとともに、様々な専門学科で学ぶ生徒が協力して商品開発等を行う取組や、探究学習に関する生徒の研究成果発表会など、学校の枠を超えた協働的な学びの場の提供にも取り組んでいます。 これらの取組により、実生活に活用できる知識・技能や社会の変化に柔軟に対応できる思考力、判断力、表現力等を着実に身につけさせることに加えて、これからの時代に求められるグローバル人材やデジタル人材の育成に向け、オンライン等による海外との交流や、データサイエンスに関するセミナーの開催にも取り組んでいるところです。 さらに、国の高校改革に対応するため、県教委では、本年三月に策定した第三期県立高校将来構想を踏まえ、現在、各学校の社会的役割等を明確化したスクール・ミッションを作成しているところであり、これに基づき、各学校においては、学校運営協議会等の意見を踏まえながら、令和五年度末までに教育活動の方針となるスクール・ポリシーを策定し、学校の特色化・魅力化を一層推進することとしています。 県教委といたしましては、新たな時代に求められる資質・能力を見据えながら、これからの山口県を担う子供たちの育成に向け、高校教育のさらなる充実に取り組んでまいります。