1 コロナ禍と物価高騰から暮らしを守る支援について 2 コロナ禍から県民の命を守る対策について 3 女性デジタル人材の育成について 4 ユニバーサル農業の取り組みについて 5 特別支援教育の充実に向けた取り組みについて 6 通学路の安全対策について
議長(柳居俊学君)石丸典子さん。 〔石丸典子さん登壇〕(拍手) 石丸典子さん 皆様、おはようございます。公明党の石丸典子でございます。 質問の前に一言申し上げます。 公明党は次代を担う若者の声を多く集め、具体的な政策につなげる、若者への政策アンケート運動、ボイスアクションを二○一六年から展開し、これまで一千万人以上の若者の声を基に、奨学金の返還支援の充実や携帯電話料金の引下げ、不妊治療の保険適用拡大など、その実現に向けて推進してまいりました。 そして、本年、ボイスアクション二○二二を全国で展開し、去る五月八日に、私の地元の防府駅前でも、公明党青年委員会のメンバーと開催し、通りかかる若者に、大きく五つのビジョンに分けられた質問の中から、関心のあるものや実現してほしいものにシールを貼るなど、日曜日でも人通りの少ない防府駅前で行うことに不安はありましたが、思っていた以上に、若い方々が自分の考えをしっかり持ち答えてくださったことに、私自身驚き、感動すら覚えました。 福岡から来ていた女子大学生は、結婚しても働ける職場を、また、ある女子高校生は、大学に行きたいので無償化になるとうれしい。また、ある男性は、仕事がきつい、処遇改善をやってほしい。そして、ある男子高校生は、ウクライナのことがあるので、やっぱり核兵器禁止ですと、平和への思いを即答してくれました。 それぞれの回答に、若者は決して社会や政治に無関心ではないと、改めて強く思いました。これからも若者の声、女性の声を政治のど真ん中へ届けることをお約束し、公明党代表質問に入らせていただきます。 初めに、コロナ禍と物価高騰から暮らしを守る支援についてお伺いいたします。 公明党は、三月十七日に、長引くコロナ禍に加え、ウクライナ危機などに伴う原油価格や物価高騰の影響を調査する国民生活総点検・緊急対策本部を立ち上げ、その調査結果を四月十五日、岸田首相へ四十七団体から頂いた約二千に上る要望を基に、物価高騰から国民生活を守る新たな経済対策に向けた緊急提言として、申入れを行いました。 政府は、四月二十六日、原油高騰対策と生活困窮者支援などを柱とする総合緊急対策を決定し、公明党の要望に応える形で、各自治体の判断で、様々な事業に活用できる地方創生臨時交付金を拡充し、原油価格・物価高騰対応分という新たな枠をつくるなど、生活者や事業者に寄り添う支援策が盛り込まれました。 ロシアのウクライナ侵攻を背景とした原油高騰対策では、ガソリンなどの燃油価格を抑えるための石油元売りへの補助金や農業、水産業、トラック運送業及び内航海運業などへの燃料購入費補助など、各種団体からの要望に応えています。 また、コロナ禍において深刻な打撃を受けている生活困窮者等への支援については、食料品などの物価高騰により、影響を受けている学校給食費の負担軽減など、公明党がいち早く国に対応を求め、文部科学省より各自治体に、臨時交付金を活用し各自治体の判断で保護者の負担増を抑えることが可能だとする通知を発出いたしました。 この対象には、学校だけではなく、保育所、幼稚園、認定こども園、認可外保育施設の給食費にも適用可能とし、公明党の主張が反映されておりますが、その支援がコロナ禍で困窮する生活者にしっかり行き届くことが重要です。 県においても本議会に提出されております補正予算において、生活困窮者等への支援として、生活福祉資金の特例貸付資金積み増しや、学校給食費等への材料費の価格上昇相当分に係る経費補助など、国の総合緊急対策に対応する予算が計上されており、高く評価するものです。 そこでお伺いいたします。長引くコロナ禍や物価高騰において深刻な打撃を受けている生活困窮者や子育て世帯等の負担軽減を図るため、県では今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、コロナ禍から県民の命を守る対策について、二点お伺いいたします。 まず一点目、ワクチン接種の推進とコロナ後遺症への対策についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症の発生から二年半が経過し、全国の感染者数は、日々減少傾向にあり、国は経済活動再開に向け、ウイズコロナへとかじを切り始めましたが、いまだ収束の兆しが見えていないのが現状です。 厚生労働省は五月二十日に、マスク着用に関して、外せる場面など整理して見解を発表し、学校での体育の授業では原則として必要なく、運動部の活動も体育に準じることや、これまでマスク着用を推奨してきた二歳以上の未就学児については、個々の発達や体調などを踏まえる必要があるとして、一律に求めないとする従前の考え方に戻す動きを示しました。 しかし、連日の若者、十代及び十歳未満の感染者数に対し、ウイズコロナ、ポストコロナへと社会全体が大きく動き出すことに不安を感じている方は多いのではないでしょうか。 今、六十歳以上の四回目の接種が進められていますが、三回目までの接種率が、七十代以上は九割を上回っているのに対して、二十代と三十代は五割に届いておらず、感染すると重症化しやすい高齢者や基礎疾患のある方にとって、若い世代へのワクチン接種に向けた取組も重要であり、そのための正しい情報提供や接種の機会確保に向けた取組が求められます。 また、一方、最近、コロナ感染症による後遺症と思われる、様々な症状で苦しむ患者が増えており、公明党は、コロナ後遺症への対応を求める提言を政府に提出いたしました。 コロナ後遺症について、発症の仕組みが解明されておらず、治療法も確立していない現状ですが、公明党は、多くの後遺症に悩む患者を診てきた医療関係者や相談窓口を設けている自治体の担当者らにヒアリングを重ね、政府が取り組むべきこととして、医療と福祉の複合的な支援体制の構築と後遺症に関する社会的認知度の向上、さらに幅広い分野の専門医とかかりつけ医が連携して対応できる体制づくりも重要としています。 本県においても、コロナ後遺症について、後遺症で苦しむ方々のための相談体制の整備や関係機関との連携、そして県民への情報提供などが必要ではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。県民の命を守るため、ワクチン接種の推進やコロナ後遺症への対策について、どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、二点目、自殺対策についてお伺いいたします。 長引くコロナ禍で様々な理由から、自ら命を絶たれる方が少なくありません。 特に若者の数がコロナ禍で増加傾向にあり、本県でも二十歳未満の自殺者数が令和元年の二人が令和三年には十五人に、二十歳から二十九歳では、同じく十一人が二十七人に、三十歳から三十九歳では、十七人が二十八人と、合計で二百人が二百十八人と、毎年二百人以上の方が自ら命を落としています。 公明党の自殺防止対策プロジェクトチームは、先月十七日、政府に緊急提言を申し入れ、これまでの支援に加え、包括的な相談支援体制など、いわゆる聞いて終わるだけではなく、支援が具体的に各分野につながるような、抜本的強化の必要性を訴えました。 本県の電話相談窓口の状況は、精神保健福祉センターが、月曜日から金曜日、午前九時から十一時三十分、午後は十三時から十六時三十分、宇部の県立こころの医療センターが、患者の精神障害者及びその家族からの救急電話相談に二十四時間対応しています。 また県は、SNS相談として、LINEによる相談体制を令和三年七月から開始し、本年度からは三百六十五日、十八時から二十二時まで、加えて、長期休み明けの五か月間、一月、三月、四月、五月、九月には、二人体制にするなど、コロナ禍においての取組を強化されています。 しかし、県民の方からは、相談対応時間について十六時三十分までとか、二十二時までとかになっているが、深夜こそ、そういう方への対応が必要ではないかとのお声を頂きました。財政上等、様々な課題もありますが、どこまで寄り添えるのか、県の姿勢が問われているように思います。 そこでお伺いいたします。コロナ禍において孤独・孤立の問題が起こる中、自ら命を絶とうとする若者をどのように守るのか、県の御所見をお伺いいたします。 次に、女性デジタル人材の育成についてお伺いいたします。 政府は、六月三日、昨年に続き、女性活躍・男女共同参画の重点方針二○二二を決定し、女性の経済的自立を後押しするため、女性デジタル人材の育成を三年間、集中的に推進すると明記しました。 結婚が永久就職という考えは、もはや過去のものとし、女性が経済的に自立する力をつけることは喫緊の課題として、高賃金が見込まれるデジタル業界への女性の参入を促すとともに、人手不足が続くデジタル分野への人材育成に取り組むプランが策定されました。デジタル化には、誰一人取り残さないとの視点が大切です。 公明党は、女性デジタル人材育成十万人プランを、昨年の衆議院選挙に続き、本年七月に予定されている参議院選挙の重点政策に掲げ、政府にその実現を強く要望するとともに、全国の公明党女性議員によるオンライン研修会において、IT関連の民間企業の取組や、優良事例として紹介された長野県塩尻市の取組を学び、党のネットワークを生かし、各自治体で女性デジタル人材の育成を進め、就労に直結する取組の推進を確認しました。 優良事例で紹介されている人口約六万七千人の長野県塩尻市は、市が一般財団法人塩尻市振興公社を立ち上げ、クラウドソーシング、テレワーク、コワーキングを組み合わせた官民連携による塩尻オリジナルの地域就労支援モデルを構築し、二○一○年、ひとり親家庭等の在宅就業支援事業からスタートし、各省庁の補助金を受けながら、参加対象を独り親から子育て中の女性へ、働きたいけど働けない全ての人へと拡充し、現在、時短就労希望者の自営型テレワーカーは約二百五十人になり、仕事の受注額は、当初の年間二百万円程度から約十年で百二十五倍の二億五千万円へ拡大を広げ、自治体ならではの伴走型の取組による新たな働き方モデルとして、現在十自治体へ水平展開されています。 このたびの政府の女性デジタル人材育成プランでは、一、就労支援、二、経済的自立、そして三、ジェンダーギャップの解消も期待されており、女性は、ITへの苦手意識が高いという思い込みを払拭し、IT技術者や職業訓練のITコースの女性の割合が少ないなど、男女間の偏りの解消に向けた取組も必要です。 二○三○年には、情報システムで働く人材が八十万人不足すると言われ、国内においてデジタル化を国家戦略として進める今、女性のデジタル人材育成に官民連携体制の整備が求められています。 そこでお伺いいたします。女性デジタル人材の育成にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、ユニバーサル農業の取組についてお伺いいたします。 ユニバーサル農業とは、障害者に限らず、高齢者、女性、誰もが参加できる農業です。近年の農業分野における担い手不足と障害者の雇用をマッチングさせる農福連携の取組は、本県でも進んでいますが、経営度外視の福祉活動・社会貢献と捉えている方もおられるのではないでしょうか。 誰もが参加できるユニバーサル農業は、仕事に人を合わせるのではなく、人に仕事を合わせる農業を言い、この考え方は、働き方が問われている今、そして、来年度、農林業の知と技の拠点が整備され、新たな農業スタイルを目指す本県にとって、大変重要な考え方であり、取組と考えます。 私たち公明党県議団は、今から四年前の二○一八年にこれを推進し、農業経営の改善や多様な担い手の育成に取り組んでいる静岡県浜松市へ視察に伺い、行政の方や平成九年からユニバーサル農園を経営し、現在七十四人の従業員のうち二十四人の障害者を雇用し、ネギやチンゲンサイなど、全国四十市場へ出荷している農業生産法人の代表の方からお話をお聞きいたしました。 この社長と障害者との最初の出会いは、障害のあるお子さんをお持ちの親御さんが、給料は要らないから、息子を働かせてほしいとお願いに来られたことでした。社長は、そのとき初めて、障害者が置かれている状況を知り、仕事はするのに給料は要らないという意味が理解できたそうです。 社長は、そこから障害者雇用に取り組み、障害があるから雇えない、給料は要らないから働かせてほしいという、これまでの双方の考え方を変え、障害があってもできる作業工程を一緒に考え、これまで農業の弱点であった、職人かたぎの経験に基づく抽象的な指示による作業をやめ、理学療法士や作業療法士など専門家も加わり、誰にでも分かる、誰がやってもできる作業工程に、根本から考え直すことで、これまでの農業に新しい変化が生まれ、効率化が図られたそうです。 その一例を紹介しますと、実習に来ていた特別支援学校の生徒に、このトレーをきれいに洗ってくださいと、数百枚あるトレーの洗浄を指示し、一時間後に戻ってみると、その生徒は同じ一枚をずっと洗っていたそうです。そのことを特別支援学校の教師に伝えると、どんな作業指示を出したのか、きれいにとか、ちょっとなど抽象的な作業指示だから農業は担い手が育たないんだと、反対に注意されたそうです。 そこで、指示を分かりやすくし、トレーを入れるだけで均一に洗うことができる機械を開発することにより、作業スピードは以前の手洗いの二倍になったそうです。 このように、機械の開発には、お金も時間もかかります。しかし、障害者を雇うことを経営度外視の福祉活動・社会貢献と考えるのではなく、障害者ももうかる農業の担い手の一人として、スマート農業の一翼を担う一人として育てる、ユニバーサル農業の取組は、大変重要と考えます。 また、東京の大手企業が、新たな分野として農業に目を向け、法定雇用率の就業先として、浜松市に特例子会社を開設するなど、その動きは広がっています。 そこでお伺いいたします。誰もが参加できる農業の担い手育成、ユニバーサル農業の推進にどのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 次に、特別支援教育の充実に向けた取組についてお伺いいたします。 文部科学省は、昨年九月、特別支援学校の一学級の人数上限を、幼稚部五人、小学部と中学部六人、高等部は八人とする設置基準を制定いたしました。これまでは、明確な基準がなく、一学級の人数を増やすなどして、教室不足に対応するケースも見られましたが、文部科学省はこのたび、抜本的な改善を図るため、初めて設置基準を制定し、加えて二○二四年度までを集中取組期間と定め、既存施設を特別支援学校用に供する改修事業について、補助率引上げなどの特例を設け、各自治体にその推進を図ろうとしています。 公明党は、これまでも近年の在籍者数増加による特別支援学校の教室不足に取り組んでまいりましたが、抜本的解決に向けた設置基準の制定の実現を推進し、このたびの設置基準の新設に基づいた調査により、二○一九年の前回の調査から全国で五百七十八室増加の三千七百四十室の不足が明らかになったところです。 各自治体は、令和六年度までの集中取組計画を策定し、その対応を進めようとしていますが、令和六年度までに解消が計画されているのは、三千七百四十室のうち九百六十九室、約二六%にとどまり、本県においては、この十年で在籍者数が百九十二人、学級数が三十六増加し、昨年十月に行われた調査では、理科室など特別教室の転用や間仕切りなどによる一時的な対応が五十九件報告され、その対策には八教室の整備が必要とされており、国が求める集中取組期間の令和六年度までに解消を図ることが必要です。 特別支援教育の現場は、様々な障害に対応したソフト・ハードにわたる専門的な教育環境設備が必要であり、その教育効果を期待し、保護者は特別支援学校を選択されます。 また、本県の特別支援学校は、総合支援学校として、視覚障害、聴覚障害、知的障害、肢体不自由、病弱・身体虚弱などの五障害全ての障害に対応できる、さらなる教育環境の整備が求められています。 私の地元の防府総合支援学校についても、昭和四十三年設立より五十年以上が経過し、老朽化が進行している状況であり、ICT教育や災害時などの防災対策、さらに医療的ケア児の受入れなどの観点からも、計画的な整備が必要と思われます。 また、文部科学省は、本年三月三十一日、全国の教育委員会に対し、新規採用後、おおむね十年以内に全教員に特別支援学級や特別支援学校の教員を二年以上経験させるよう努力義務を課しました。 通常学級での障害の特性を踏まえた適切な指導や対応を求めるものであり、早い時期での取組は大変重要です。本県においても積極的に進めていただきたいと思います。 そこで教育長にお伺いいたします。障害がある子供たちの学びの環境整備・質の向上に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、通学路の安全対策について、県警本部長にお伺いいたします。 昨年六月、千葉県八街市で下校中の児童が死傷した事故後に行った政府の調査によると、全国公立小学校の通学路で安全対策の必要な箇所が七万六千四百四か所に上ることが分かり、二○二三年度末までに対策をおおむね完了させる方針で、二二年度予算に五五%が国費による経費が盛り込まれましたが、消えかかった横断歩道の白線を塗り直すのに何か月も待っているのが現状です。 公明党はこれまで、通学路の安全対策をはじめ、歩行者優先のドライバー意識の醸成や高齢ドライバーの事故対策など様々提案をさせていただき、令和元年十一月議会において、可搬式速度違反自動取締装置、通称可搬式オービスの導入を要望させていただきました。 本県は、翌年の令和二年十一月から一台購入し、運用を開始しています。現在、本年四月からさらに一台購入し、二台体制で県内の通学路の安全対策を求める声に対応されていますが、二台では取締りを求める声に、スピーディーに対応できていないのが現状です。 私は先日、通学路のゾーン30でもスピードを落とさない車に対し、厳重な取締りを求める声を頂き、地元の警察署に可搬式オービスによる取締りをお願いいたしました。県内の要望が多く、まずは現場を調査し、優先順位をつけて対応するとのことでした。 私の事務所前でも、児童の登下校時間に併せて、堂々と見える形で可搬式オービスによる取締りが実施されており、抑止力としての効果も大きいようです。 可搬式オービスの実施件数は、令和三年は実施場所六十か所、実施数百七十六回、検挙回数五百三十件、本年、令和四年五月末で既に七十五回実施、二百二十件検挙されています。 ドライバーにとっては、数が少ないほうがいいでしょうが、一年に一回きりの取締りでは抑止になりませんし、児童の安全を求める地域の要望に応えられません。早急な対応が必要です。 そこでお伺いいたします。白バイやパトカーによる巡回も目に見えて増えていると実感いたしますが、可搬式オービスによる通学路の安全確保対策を今後どのように取り組まれるのか、御所見をお聞かせください。 以上で代表質問を終わります。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)石丸議員の代表質問にお答えします。 まず、コロナ禍と物価高騰から暮らしを守る支援についてのお尋ねです。 私は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ウクライナ侵攻による世界経済の混乱に伴う原油価格や物価の高騰により、県民生活に深刻な影響が生じており、とりわけ、既にコロナ禍で経済的に厳しい環境に置かれた方々に対する支援が重要と考えています。 このため、お示しの国の総合緊急対策に呼応し、日常生活の維持が困難となっている方々や低所得の独り親世帯等の生活を守るセーフティーネットを強化するとともに、子育て世帯への支援として、給食費の保護者負担を軽減するため、所要の経費を六月補正予算に計上したところです。 具体的には、まず、セーフティーネットの強化として、生活福祉資金の特例貸付けや貸付けを利用できない世帯に支給する生活困窮者自立支援金の申請期限の延長に伴い、必要となる原資を積み増す等により、新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した世帯の生活をしっかりと支えてまいります。 また、経済的基盤の弱い低所得の独り親世帯に対しては、子育て世帯生活支援特別給付金を支給することにより、食料品等の物価高騰の影響を受け、悪化している家計の支援を行うこととしています。 こうした支援が必要とする方々に確実に行き届くよう、ホームページ等により各種制度の周知を図り、各福祉事務所や社会福祉協議会に設置している窓口等において、相談に丁寧に対応し、迅速な給付を行うとともに、福祉サービスの利用も含めた、きめ細かな支援につなげてまいります。 次に、子育て世帯に対しては、コロナ禍における子育て世帯の負担軽減を図るため、拡充された地方創生臨時交付金を活用し、県立学校や私立の中学校、幼稚園、保育所などの給食等において、材料費の価格上昇相当分を支援することとしています。 実施に当たっては、学校や施設に対し、制度の趣旨の徹底を図り、補助制度の活用を通じて、保護者の負担を増やすことなく、これまでと同等の質や量、栄養バランスを保った給食等の提供が継続できるよう、子育て世帯に寄り添った支援につなげてまいります。 私は、コロナ禍において物価が高騰するなど、将来の見通しが困難な中にあっても、生活に困窮されている方々や、子育て世帯が安心して生活を送ることができるよう、今後とも市町や関係機関と一体となって取り組んでまいります。 次に、コロナ禍から県民の命を守る対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、ワクチン接種の推進とコロナ後遺症への対策についてです。 私は、ワクチン接種は、感染症対策を進める上で、極めて重要であると考えており、これまで、市町や医療機関等と緊密に連携し、全国トップクラスのスピードで接種の促進を図ってきたところです。 こうした中、お示しのとおり、若年層への三回目接種は、他の世代に比べ低い水準にとどまっていることから、今後、情報発信の強化や接種機会の確保など、若年層への接種促進に重点的に取り組んでまいります。 具体的には、まず、若年層に情報がしっかりと届くよう、SNSなどの媒体を活用するとともに、今般新たに、同世代で活躍しているスポーツ選手によるメッセージ動画を制作するなど、効果的な啓発に努めてまいります。 また、活動が活発化する夏休みまでに、接種を一層促進するため、六月一日から七月一日までを強化期間と定め、市町において、休日や平日夜間の接種機会を確保するとともに、県においても、県内三か所に広域集団接種会場を設置したところです。 この県会場は、仕事帰りなどに気軽に接種できるよう、週末の金曜日の夜間に開設しており、希望に応じワクチンの種類を選択できるほか、予約なし接種を実施するなど、接種機会の拡充を図ってまいります。 県としては、先月末から開始した四回目接種と併せ、希望される方が迅速かつ安全に接種を受けることができるよう、市町、医療機関等と一丸となって取り組んでまいります。 次に、コロナ後遺症への対策についてです。 これまで県内の感染者は約四万六千人に上っており、県としては、後遺症対策の充実に向け、後遺症に悩む方への相談・診療体制の整備や情報発信等に取り組むこととしています。 まず、相談・診療体制については、各保健所を相談窓口とし、症状に応じて、かかりつけ医や専門医への受診に適切につなげるなど、関係機関が連携した体制を構築しているところです。 今年度は、後遺症に携わる関係者を対象とし、実際の症例を基に後遺症の症状や対処方法に係る研修会を開催し、連携体制のさらなる強化を図ってまいります。 また、お示しのように、現在、国による後遺症の実態解明が進められており、国の知見等を踏まえ、引き続き、必要な情報をホームページやSNS等により、積極的に発信してまいります。 私は、県民の命と健康を守るため、市町や医療機関等との連携の下、今後とも、新型コロナウイルス感染症対策に万全を期してまいります。 次に、自殺対策についてのお尋ねにお答えします。 長引くコロナ禍において、自ら命を絶つ若者が増加していることは深刻な状況であると認識しており、自殺を未然に防ぐためには、個人ではなく、社会全体の問題として捉え、サインを早めにキャッチし、適切な支援につなぐことが大変重要であると考えています。 このため、私は、若者が自殺に追い込まれないよう、市町や関係団体等と連携し、相談体制の強化や、自殺の兆候に気づき支援につなげる役割を担うゲートキーパーの養成等、取組の一層の充実を図ってまいります。 まず、相談体制の強化については、昨年七月から、若者の利用が多いLINEでの相談体制を整備し、これまで千三百件を超える相談に対して、公認心理師等の専門資格を有する相談員による、きめ細かな対応を行っているところです。 相談時間は、若者が利用しやすい十八時から二十二時までとしており、今年度は、夏休み明けなど自殺者が多くなる時期に相談員を一名増員するなど、相談体制の拡充を図ってまいります。 また、お示しの深夜帯につきましては、AIを活用し、自殺関連ワードを検索した際、自動的に自殺防止メッセージを表示する仕組みを構築しているところであり、今後とも、必要に応じ、相談体制のさらなる強化に取り組んでまいります。 次に、ゲートキーパーの養成については、学校や職場の職員等を対象に、若者の悩みや支援方法に特化した研修を昨年度初めて行い、三百十七名を養成したところであり、引き続き、研修を実施することとしています。 こうした取組に加え、今年度新たに、コロナ禍で悩む若者への支援をテーマとした講演会を開催し、県民に対して、広く周知することにより、社会全体で若者を支える環境づくりに努めてまいります。 私は、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し、市町や関係団体等と連携し、今後とも、自殺防止対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、女性デジタル人材の活用についてのお尋ねにお答えします。 女性の活躍を促進するためには、私はこれまでも、デジタルリテラシーを習得する職業訓練や研修を実施し、女性のスキルアップを図るとともに、子育て等で時間的制約を受ける女性が柔軟に働くことができる職場環境づくりを進め、女性の就業を支援してまいりました。 女性の雇用に積極的な企業と研修によりスキルをブラッシュアップした女性をマッチングするイベントを開催し、多くの女性就業につながるなどの成果が現れているところです。 こうした中、国においては、女性の就労支援や経済的自立を促進し、デジタル分野におけるジェンダーギャップの解消につなげるため、先般、女性デジタル人材育成プランを策定し、今後三年間集中して推進することとされています。 私は、こうした人への投資を拡大する国の政策とも呼応しながら、女性デジタル人材を育成し、女性の就業をさらに促進することが重要であると考えています。 このため、まず、人材育成に向けては、DX推進拠点「Y─BASE」において、幅広い主体と連携・協働してデジタル技術の習得を促進するとともに、山口大学や都市部IT企業と連携し、育成講座の受講支援を行うなど、データサイエンティストの養成に取り組みます。 また、ITスキル標準で定める資格の取得を目指す職業訓練を新たに設定し、eラーニングによる受講を可能とするなど、子育て女性等のデジタルスキルの習得を支援します。 さらに、全国に先駆け、伴走支援による女性創業に取り組んだノウハウを活用し、DX時代に求められるデジタルスキルを習得する講座を数多く開講して、企業の成長を担う女性IT技術者の拡大を図り、ジェンダーギャップの解消にもつなげてまいります。 次に、女性の就業支援に向けては、デジタルスキルを習得した女性と就業の場を結びつけるイベントを開催するとともに、山口しごとセンターに配置した女性専門のアドバイザーにより、希望や経験・スキルに応じたキャリアカウンセリングを行い、女性に寄り添った支援を進めてまいります。 また、女性が活躍できる就業の場を拡大していくことが重要であることから、県内企業と民間アドバイザーとの意見交換を行うワークショップや、専門家による伴走支援などを実施し、子育て女性等の柔軟な働き方を可能とするテレワークの導入を促進していきます。 私は、やまぐち女性活躍応援団など関係団体等と連携を図りながら、女性が就業により経済的に自立し、スキルを生かして活躍できるよう、女性デジタル人材の育成に積極的に取り組んでまいります。 次に、ユニバーサル農業の取組についてのお尋ねにお答えします。 担い手の減少や高齢化が進む中、本県農業を持続的に発展させるためには、中核経営体の育成に加え、お示しのように、地域農業を支える多様な担い手の確保が可能となる、誰もが参加できるユニバーサル農業を進めることが重要です。 このため、私は、日本一の担い手支援策の展開により、就農を志す県内外の若者たちの確保・育成に取り組むとともに、JAグループと連携して農業専門求人サイトを構築し、幅広い世代や分野の方々の農業への参画を促進してきたところです。 また、昨年度は、株式会社トクヤマが、新たに農業法人を設立し、障害のある方も作業が可能となる、最先端の技術を導入した施設園芸を開始されるなど、多様な人材確保に向けた新たな動きも始まっています。 一方で、こうした取組を推進していくためには、障害のある方をはじめ、農業経験のない若者などが、不安なく農業に従事することができるよう、作業者の特性に合わせた作業体系の確立や中核経営体における受入れ体制を構築する必要があります。 私は、こうした課題を克服し、誰もが農業に携わることができるよう、生産工程の見直しや、デジタル技術を活用した作業の簡素化・軽労化に向けた取組を加速します。 具体的には、まず、多様な人材の受皿となる中核経営体を対象に、複雑な農作業の工程を細分化して分かりやすく整理する取組や、作業者のニーズに応じた生産工程管理の導入などを支援します。 また、現在開発が進みつつある、アシストスーツや安全装置付ラジコン型草刈り機など、軽労化が可能となるデジタル技術や機械の導入に向け、JA等と連携して、現地適応性や作業効率等の実証を行います。 さらに、来年四月に供用開始となる農林業の知と技の拠点においては、これまで目に見えなかった熟練者の技術などのたくみの技をデジタルで再現する技術を確立し、誰にでも分かる、誰がやってもできるという環境を創出します。 加えて、中核経営体における人材受入れ体制の強化が必要であることから、研修会の開催等により、農作業の生産性や安全性の向上に関する経営者の意識醸成や、作業の特性に合わせた的確な指示ができる人材の育成等を図ります。 さらに、ユニバーサル農業の中核となる農福連携に意欲を示す中核経営体や障害福祉サービス事業所等を掘り起こすとともに、障害のある方が現場でスムーズに作業を進められるよう、作業体系の改善等に向けた取組を支援します。 私は、多様な人材が農業分野で活躍できるよう、市町やJA等の関係団体と緊密に連携しながら、誰もが参加できるユニバーサル農業の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)特別支援教育の充実に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 障害のある子供の自立と社会参加を見据え、一人一人の教育的ニーズに応じた指導・支援を行えるよう、特別支援教育の充実に向けて、学びの環境整備や質の向上を図ることが重要であると考えています。 このため、学びの環境整備については、特別支援学校の在籍者数の増加に対応するため、施設の増改築をはじめとして、特別教室の転用や間仕切りによる複数教室化など、多様な方法を用いて必要な教室数の確保に努めてきたところです。 これらの取組により、全国では、引き続き教室不足が増加する状況にある中、本県においては、令和元年度に七十五あった教室不足を、昨年度には八教室まで削減できた一方で、議員お示しの防府総合支援学校をはじめとして、老朽化が進行している施設もある状況です。 今後は国が求める集中取組期間内での教室不足の解消に引き続き努めるとともに、老朽化対策や障害の多様化・重度化に対応できる教育環境の整備についても、各学校の実態や緊急度・優先度を踏まえ、計画的に取り組んでまいります。 また、学びの質の向上については、全ての教員が特別支援教育に関する理解を深め、専門性を持つことが重要であることから、山口県教員育成指標に基づき、キャリアステージに応じて特別支援教育に関する資質能力の向上を図るとともに、小・中・高等学校等と特別支援学校間の人事交流を進めてきたところです。 今後は、お示しの国の通知の趣旨を踏まえ、市町教委や学校と連携しながら、より多くの教員が特別支援教育を経験できるよう、機会の確保に努めるとともに、研修用資料の充実やオンライン研修の実施等により、教員の専門性の向上を図ってまいります。 県教委といたしましては、障害のある子供たちが安心して学校生活を送り、主体的に学ぶことができるよう、学びの環境整備や質の向上のための取組を着実に進め、特別支援教育の一層の充実に努めてまいります。 議長(柳居俊学君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)通学路の安全対策についてお答えいたします。 昨年、千葉県八街市で発生した悲惨な事故を受け、関係機関と連携して通学路の合同点検を行った結果、横断歩道の補修、交差点での見守り活動や交通指導取締りなど、警察による対策が必要な箇所として、二百五十八か所を把握しました。 中でも、車両の速度違反が認められる路線では、可搬式オービスを活用して取締りを行っているところです。 この可搬式オービスは、従来取締りが困難であった幅員の狭い通学路などの速度違反の取締りを可能とするものであり、令和二年十一月に一台を導入し、今年度から一台を追加して、二台を運用しております。 現在は、こうした通学路での活用に加え、住民の要望や重大事故の発生など、取締りの必要性や緊急性が認められる時間帯や場所において、集中的に取締りを行っております。 その結果、多くの路線では、議員御指摘のとおり、実際の走行速度が低下するなど抑止力の効果が確認されております。 こうしたことから、多くの県民の方からも、可搬式オービスの活用を広げてほしいなどの声が聞かれるところです。 今後は、住民の要望に的確に対応するべく、二台の可搬式オービスの効果的な運用を図るとともに、その効果を検証しながら、運用体制の改善・強化を進めてまいりたいと考えております。 また、可搬式オービスに加え、道路管理者と連携したゾーン30プラスの整備の検討のほか、横断歩道の計画的な補修や、歩行者の横断を妨害する車両に対する集中的な取締りも行ってまいります。 さらには、夏の交通安全県民運動が来月七月十一日から二十日までの間、実施されます。 この運動の初日から、新たな取組として、歩行者による手上げ横断の励行とドライバーの歩行者優先意識の醸成を図る横断歩道ハンドサイン運動を県下一斉に展開することとしております。 県警察としては、今後とも、通学路における交通事故を未然に防止するため、可搬式オービスの効果的な運用はもとより、総合的な対策をしっかりと進めてまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は、午後一時の予定でございます。 午前十一時四十七分休憩