1 県民を守る「物価高騰対策」について 2 地球温暖化対策について 3 女性が活躍できる山口県づくりについて 4 風通しの良い職場環境の醸成について 5 教育格差への対応について
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 代表質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 副議長(二木健治君)日程第一、代表質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 小田村克彦君。 〔小田村克彦君登壇〕(拍手) 小田村克彦君 皆様、こんにちは。民政会を代表いたしまして、質問をさせていただきます。 まずは、一言申し上げますけれども、コロナウイルス感染症に罹患をされた皆様方に対しまして、まずはお見舞いを申し上げます。また、引き続き、コロナウイルス感染症に対応されておられます医療関係者、保育、介護など、県民の生活を支えていただくことを担っていただいております、いわゆるエッセンシャルワーカーの皆様方に、改めて感謝を申し上げ、質問に入りたいと思います。 まずは、県民を守る物価高騰対策について伺います。 二〇二〇年から始まった新型コロナウイルス感染症は、第六波となるなど拡大をし、全世界では約五億三千万人が罹患をし、六百三十万人の死者が報告をされています。 日本国内でも約七百八十六万人が罹患をし、経済は強い下押し圧力を受けながらも、様々な公的支援や国民の皆様の御協力により、少しずつ持ち直しの動きを続けてきましたけれども、本年二月、世界を驚愕させたロシアのウクライナへの軍事侵攻が始まりました。 核保有国であり、国連での拒否権を持つ大国ロシアは、力による一方的な現状変更という世界秩序の根幹を揺るがす暴挙へとかじを切りました。 同時に、世界各国からはロシアからの資源の輸入停止や通貨規制などの経済制裁が行われ、欧州のパン籠と呼ばれる世界の小麦輸出の一二%を占める小麦生産国であるウクライナは、輸出することができず、世界中の穀物資源高騰や輸入資源価格高騰に拍車をかける結果となっています。 そのような状況の中、米国は日本と比較をすれば、コロナの罹患率も高く、ロックダウンなど厳しい措置を当初重ねてまいりました。しかし、政府の危機管理体制の違いやワクチンの開発・生産に一兆円超を投入するなど、早期のワクチン接種の取組とともに、景気の下支えのための対策を素早く進め、バイデン大統領は、米国救済計画と名づけた新たな二百兆円規模の経済対策を行いました。 これらのことから、米国の景気は上昇いたしましたけれども、急激な上昇を抑えることも含め、連邦準備制度理事会は政策金利を引き上げました。それら含めて、為替での円安状況が続いております。 しかし、総理は物価高をめぐり、円安の影響があることは否定しないとしながら、政府はいまだに日銀の金融緩和推進を掲げる政府・日銀の共同声明を見直すことは考えていないとされています。 海外では、物価上昇と併せて、働く者や高齢者など含め、賃金水準や給付水準が高く、その分購買力も高いので、物価が上昇しても耐えられる生活ができておりますけれども、日本では賃金は抑え込まれたままとなっており、格差がより拡大をしています。 こうした中、誰よりも早く打撃を受けるのは、やはり子育て世帯やコロナ禍において経済的に厳しい環境に置かれている方々だと思います。 ガソリン減税など、総合的・全体的な原油価格高騰対策などは、国において直接実施するべきものと思いますが、子育て世帯や生活困窮者などに向けた支援については、山口県も国と連動して支援に当たるべきだと考えます。 あわせて、これまでの取組についても改めて見直す必要があるのではないでしょうか。子育て世帯や生活困窮者等の多様な相談を受け止め、確実・的確に支援につなげる体制もしっかりと整えていく必要がありますし、各種支援制度についても、対象者に対し、迅速にかつ分かりやすく伝えられるよう、積極的な情報発信を行うことも重要と考えます。 そこでお尋ねをいたしますけれども、山口県も六月の補正予算において、原油価格の高騰や物価高への対応をするとされております。これまでの取組と併せ、今後、物価高騰に苦しむ方々をどのように支援をされるのか、お尋ねをいたします。 次に、地球温暖化対策について伺います。 まずは、地球温暖化防止に向けた取組です。 近年、気温の上昇や大雨の頻度の増加など、気候変動が世界及び各地域で進んでおり、今後、さらに進行することが懸念されています。 世界的な気候変動対策を議論する場である国連気候変動枠組条約の第二十一回締約国会議、いわゆるCOP21というやつですが、では、工業化以前と比べた世界全体の平均気温の上昇を二度より低く保つとともに、一・五度までに抑える努力を追求することなどを世界共通の長期目標とするパリ協定が二〇一五年に採択をされ、全ての国が二〇二〇年以降、気候変動対策に取り組む枠組みが構築をされました。 日本も締結するとともに、国内では、地球温暖化対策の推進に関する法律に基づく地球温暖化対策計画を策定し、温室効果ガスの削減目標を設定するなど、気候変動の進行を抑えるための取組を推進をしています。 二〇二〇年十月には、温室効果ガス削減の新たな目標として、革新的なイノベーションによる二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すとの方針が示されました。 また、二〇二一年十月には、二〇三〇年度における温室効果ガス排出量を二〇一三年度比で四六%削減という、新たな削減目標を定める地球温暖化対策計画を策定するとともに、気候変動適応法に基づく気候変動適応計画も策定をし、既に顕在化あるいは将来予測される気候変動の影響を軽減するための取組も進められております。 本県でも、産業や環境、教育分野など、脱炭素を総合的に進める組織として、五月三十日に、知事をトップとした県環境政策推進本部が設置をされ、初会合を開かれました。 また、六月一日から産業戦略部内に産業脱炭素化推進室を設置をし、今年度中に自動車などを含む産業分野を対象とした産業脱炭素化戦略を策定する方針と伺っております。 本県の民間企業も脱炭素実現に向けて取組を始めており、先般、中国電力が山口県の老朽化をした発電施設となった、下関、下松の火力発電所を廃止するとの報道がありました。 電力業界も資源高に伴い、電気料金の上昇が続いておりますけれども、カーボンニュートラルという世界的潮流に対応するため、大変御苦労をされております。 また、自動車のマツダなどは、電力供給のための発電施設を、石炭火力からアンモニアの混焼などに今後改修をされて、二酸化炭素排出量の抑え込みを行っていこうというふうにされております。 さて、これら課題の根本には、地球温暖化対策があるわけですけれども、本県の地球温暖化対策実行計画については、昨年十一月に見直しに着手をされたところですけれども、政府が高い削減目標を設定し、経済界もこの脱炭素の新たなイノベーションと捉え、世界に遅れることなく取り組むと表明をされている中、今次の産業脱炭素化推進室を設置し、戦略策定を進めていくことも踏まえ、本計画の見直しにおける削減目標の再設定について、県の認識と今後の対応についてお尋ねをいたします。 また、地球温暖化対策の推進に関する法律では、都道府県及び市町村は、その区域の自然的・社会的条件に応じて、温室効果ガスの排出の削減等のための総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施するように努めるものとするとされており、昨今、脱炭素社会に向けて、二〇五〇年二酸化炭素実質排出量ゼロに取り組むことを表明した地方公共団体がますます増えてきております。 民政会も幾度となく早期に脱炭素への取組やこの表明についても思慮するべきではないかと申し上げてまいりましたけれども、本県内では、山口市、下関市及び柳井市の三市のみの表明となっております。 この表明について、環境省によれば、二〇二二年五月三十一日現在、東京都や横浜市をはじめとする七百二の自治体、そのうち都道府県は四十二都道府県が表明済みとなっております。 本県でも、るる地球温暖化対策実行計画、産業脱炭素化戦略などの策定が進んできておりますけれども、改めて、本県市町の表明を促すことも含め、本県の早期表明について、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、脱炭素に向けた農林水産業政策についてお伺いをします。 二酸化炭素の排出削減も重要ですけれども、吸収源の確保とそれに向けた計画も重要であり、主には、農林水産業の振興や対策が吸収源の確立に結びつくと考えます。 国交省も港湾での藻場の再生によって吸収源とすることや、農林水産省では、みどりの食料システム戦略など、進められようとしております。 二酸化炭素の吸収源対策として、本県の農林水産業政策をどのように進められるのか、お尋ねをいたします。 また、その中でも、林業分野では、地産地消や林業振興、地球温暖化対策を含め、未利用の木材を利活用した発電などが行われてきており、二〇〇六年には、公共施設へのペレットボイラー導入推進マニュアルを作成し、各自治体を中心にペレットボイラーの導入を進められました。 その後、ペレットストーブのある暮らしという冊子も出され、県内産ペレットの使用で、エネルギーの地産地消による地域の活性化と健全な森林づくりへとつながるとされ、補助金を交付するなど、一般家庭への普及拡大を図ってまいりました。環境意識の高い多くの方が、このペレットストーブの導入をされております。 本県のペレット供給は、岩国の県森連が製造供給基地となっておりますけれども、この四月から施設の老朽化が進んだとして、現在休止中と伺っております。 県森連の中で、更新か廃止かが議論をされると伺っておりますけれども、このマニュアルでは、ペレット価格は利用者の増加で単価が下がるとの方向性が示されておりましたけれど、現状では、燃料であるペレットは他県から導入されてきており、輸送費など加味して、十キログラム当たりが八百円と、逆に、年々高額となっております。 これまで県民の皆さんに勧めてきた経緯があることや、今後のカーボンニュートラルに向けた地産地消、林業振興など、総合的に思慮すれば、県森連への支援など県産ペレットの製造を含めて、森林バイオマス活用を進めていくべきと考えますが、本県での今後の対応についてお尋ねをいたします。 次に、異常気象に伴う県民の安心・安全対策について伺います。 各国が脱炭素社会への転換を急ぐ背景にあるのが、今、世界で頻発をしている気象災害と言われております。 気候変動に関する国連の専門家会議が発表した報告によれば、十八世紀後半の産業革命の頃から、地球の平均気温は次第に上昇し、現在、産業革命の頃より一・一度上昇していることが明らかにされました。 このまま二度前後まで上がると、高温や乾燥で熱帯雨林の大半が消失、それまで森が蓄えていた二酸化炭素が一気に大気中に放出され、さらには北極圏の永久凍土が大規模に解け出し、二酸化炭素の二十倍以上も温室効果があると言われるメタンガスが大量に放出、地球温暖化はますます加速をし、地球の平均気温がプラス四度前後まで上がってしまいますと、人類がどんなに努力をしても元には戻せなくなると報告がされております。 日本の気候変動二〇二〇に基づく地域の観測・予測情報によりますと、山口県でも時間当たり五十ミリ以上の短時間強雨の増加や夏期の気温の上昇による熱中症搬送者数の増加など、気候変動の影響と考えられる現象が既に現れてきております。 また、現行の県地球温暖化対策実行計画によると、過去百年当たりでの年平均気温は一・八四度上昇しており、日本の平均一・一九度より上昇幅が大きく、一時間降水量五十ミリ以上の年間発生回数は、一九七六年からの十年間の平均回数と比べ、二〇一〇年からの十年間の平均回数は約二・六倍に増加をしております。 このままいけば、年間降水量については、短時間強雨の発生回数が増加をし、逆に無降水日は、年間で約十日間増加、猛暑日は県全体では年間約二十六日増加すると予想されています。 気候変動の影響と思われる豪雨災害や台風被害に加え、近年の猛暑による熱中症や感染症リスクの増加、農林水産資源への影響など、今後、気象災害のリスクはさらに高まっていくと予想されております。 脱炭素の取組と併せて、既に進んでいる気候変動へ適応する社会の構築も急務となっていると考えますが、今後の対応をお尋ねをいたします。 次に、女性が活躍できる山口県づくりについてお伺いいたします。 厚生労働省が二〇二一年の人口動態統計を発表をいたしました。出生数は二〇二〇年と比べて三・五%減の八十一万一千六百四人で、六年連続で減少し、過去最少を更新をいたしました。 昨年の十一月の議会でも、本県の女性の転出超過が全国でも高い比率であることを申し上げ、何とか若い女性が県外へ流出しないように、ワーク・ライフ・バランスの取れた働き方改革の推進や環境整備など、女性に魅力ある働き方のできる社会をつくっていく必要性についてお伺いをいたしました。 日経ウーマンなどは、企業の女性活用度調査二〇二二をまとめ、協力した五百三十五社の調査結果から、女性管理職登用と働きやすさ向上の両方に取り組む企業が上位にランクをされました。 調査内容は、一つには、女性リーダーを数多く輩出する管理職登用度、そしてダイバーシティー、いわゆる多様性ですけれども、このダイバーシティー推進活動に積極的に取り組む女性活躍推進度、多様な人材が長く働き続けられる人材多様制度、そして多様な働き方に柔軟に対応するワーク・ライフ・バランス度などを調査をしております。 コロナ禍の影響もあり、場所と時間を問わない個々人の裁量度が高い働き方が進み、総労働時間の範囲内なら、どんな働き方でもできるスーパーフレックス制度と組み合わせ、働き方の自由度を高めています。 今年の調査で栄えある一位となったのは資生堂で、二〇二二年一月時点の女性管理職比率は三七・三%、史上二人目の女性代表取締役が誕生するなど、管理職層の厚みも増しているとしています。 ほかの企業でも、テレワークの対象を従前より拡大したり、働く場所さえも柔軟に決める仕組みをつくったり、二〇二〇年四月から連続で五〇%の在宅勤務実施率を維持しているものや平均有給休暇取得日数が十七日、男性社員の育休休職取得率も一〇〇%など、上位を占める企業は、それらを利用しやすい風土が醸成されていると言われています。 学生は、残業時間や休日出勤の実態、多様な働き方の制度など、入社後の働き方を男女ともに意識をし、特に女子学生では、女性の育児休業の取得率が三番目となり、関心が高くなっております。 場所と時間を問わない、個人裁量度が高い働き方が急ピッチで進んでおります。女性が働きやすい会社は、性別や年齢を問わず、誰にとっても働きやすい会社につながります。 また、人口移動を見てみますと、コロナの影響もあり、東京など都市圏から転出超過となっているものの、いまだに女性は転入超過が続いております。 本県では女性転出が多い中、その抑制に向け様々な取組を進められていることは承知をしておりますけれども、さらなる取組が必要です。 そのためには、女性が働きがいの持てる、活躍できる、そういった内容を持った企業を誘致することも一つの手法だと思います。そして、女性にとって魅力的な職場を提供するだけでなく、誘致企業から県内企業への波及効果も期待できるのではないでしょうか。 それを実現するためには、例えば、女性活躍に取り組む企業を、県の企業誘致優遇制度において厚遇するなど、これまでにない発想で取組が必要だと考えます。 また、そうした波及効果を確実なものとするためにも、女性の活躍を推進する県内企業の創出に向けた取組にも、これまで以上に力を入れなければならないと思います。 女性の県外流出に歯止めをかけるため、女性の活躍を推進する企業の誘致・創出に取り組む必要があると考えますが、知事の御所見をお伺いをいたします。 次に、風通しのよい職場環境の醸成についてお伺いをいたします。 二〇〇四年に制定をされました公益通報者保護法は、リコール隠しや食品偽装等の不祥事が内部からの通報に端を発して明るみに出たことを教訓に、公益通報した人の保護、国民の生命、身体、財産の保護に係る法令の遵守を目的に制定をされました。 この制度は、民間企業の従業員による内部通報を念頭に置いたものと考えられがちですけれども、地方公務員にとっても重要な法律であります。 同法での労働者は公務員を含んでおり、職員からの内部通報を受け付ける主体となるほか、行政機関として外部労働者からの受け付ける主体として、また、公益通報者保護制度の目的にある、国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資するためにも、民間の公益通報者保護制度の整備に取り組むことも重要であります。 本県でも、昨年末には、特定の政党から様々な政治的勧誘が、県職員の管理職を中心に行われ、政治資金パーティーにまで協力要請を受けてきた実態が明らかになりました。 報道によれば、二〇二一年十月の衆院選をめぐる山口県前副知事の公職選挙法違反事件を契機に設置をされた調査チームが調査報告書を公表、調査対象となった課長級以上の六割超えが、上司から衆議院選候補の後援会入会や部下への勧誘を依頼をされたと答え、ほぼ全員が応じておりました。 衆院選に限らず、選挙での同様の依頼が少なくとも二十五年前から県庁内で常態化していたことも分かり、公務員の政治的中立に対する意識の希薄さが浮き彫りになったとし、報告書は、前副知事が警察の調べに、県の行政運営を円滑に行う上で、自民党関係者の依頼に協力する必要があったとの趣旨の供述をされたことを踏まえ、本件の要因は、国政のみならず、県政にあっても圧倒的勢力を誇っていた自民党との関係性にあると結論づけ、公平・公正な立場で行動するという、県としてあるべき姿を明確にすることが必要と指摘をされています。 そして、報告書には、再発防止には、従前の自由民主党に対する悪しき配慮を完全に断ち切り、特定の政党に偏ることなく公平・公正な立場で行動するという県として本来あるべき姿を明確に表明をし、実践することに尽きるであろうと記述をされています。 そして、研修の強化、服務規程遵守のさらなる徹底、法令ないし服務規程違反に対する厳正な処分、公益通報制度の効果的な活用、組織として対応できる風通しのよい風土の醸成の五点を挙げられました。 事件発覚後、すぐさま知事は、組織的な勧誘を今後一切なくし、外部から求められても全て断ることを県民に誓うと明言されたことは、高く評価をしたいと思います。 私は、やはり風通しのよい職場環境が一番必要であると感じております。あわせて、平成十八年から実施をされている山口県職員等公益通報制度も、調査報告の結果を見ても、活用等是正するための方法として検討がなされなかったという事実が明らかになっています。 二〇二〇年六月に、公益通報者保護法の改正法が成立し、公布をされました。公益通報者保護法が制定されて以降も不祥事が絶えないことから、事業者に早期に是正の機会を確保し、被害の防止を図るため、二〇二二年六月一日から施行されました。 改正公益通報者保護法では、従業員数が三百人を超える事業者では、公益通報者対応体制整備義務として、受付窓口の設置や調査、是正措置等の義務づけがなされ、その実効性を高めるための行政措置として、助言、指導、勧告あるいは勧告に従わない場合の公表などが導入されました。 また、公益通報対応業務従事者の指定義務が課せられ、公益通報の対応業務従事者や、従事者であった者は守秘義務が課せられ、公益通報者の氏名など誰であるか認識できる事項を正当な理由なくして漏らしてはならないとされ、三十万以下の罰金という刑事罰が科せられることになりました。 阿武町で起きた事務処理ミスに端を発した事案など、改めて内部統制の実効性を高める必要があるとともに、自浄作用を強化するための実効性ある内部通報制度の構築が求められると考えます。 本県の山口県職員等公益通報制度には、庁内窓口が直接人事課となることは理解はできますけれども、職員とするとなかなか相談しにくい部署だと危惧をしております。もっと相談しやすい目安箱のような、アプローチがたやすい方策をつくるべきだとも思います。 改めて、県民の皆様への信頼回復に向けて、再発防止への取組と風通しのよい職場環境づくりについて、併せて公益通報制度をより活用しやすい形にするべきと考えますが、御所見をお伺いをいたします。 終わりに、教育格差への対応についてお尋ねをいたします。 日本は先進国でありながら、七人に一人の子供たちが貧困状況にあると言われています。経済協力開発機構、いわゆるOECDというものですけれども、が定める相対的貧困率を月収で表しますと、親子二人が月約十四万円以下で生活をしていることを指すと言われております。 日本全体では、二百八十万人と言われ、OECD加盟国三十四か国中、貧困率は十位、先進国の中でも有数の悪さと言われています。 貧困は世代間で連鎖をすると言われ、親世代が貧困であれば、子供の成長過程の中、体だけでなく、心にも影響を与え、結果として学力に差が生じてしまいます。また、貧困による経済格差や学力の差は、進学率にも影響をしてしまいます。まさに、子供たちは生まれてくるところを選択できるわけではありません。 学校教育現場には、様々な格差を持った子供たちが学校に通っております。 こうした中、教育の無償化は、令和元年から幼児教育・保育の無償化が開始をされ、平成二十二年からは高等学校の授業料に充てる金額が助成されるなど、親の負担は着実に減ってきていると感じています。 しかしながら、まだまだ不十分であり、公的教育費を増やしていくことが少子化対策にもつながるものと考えます。 子供は社会で育てる、教育・子育てに係る費用をできる限り無償化をする、そのぐらいのことをしなければ、日本の国の未来は望めません。 先般、大阪府河南町は、この四月から新型コロナウイルスの影響が長引く中、子育て世帯の経済的負担を減らすことを目的に、町内の公立小中学校の給食費を無償化をしております。 財源は、国から支給される交付金を活用するということでありました。 GIGAスクール構想など、一人一台パソコンとなっておりますが、家庭によっては、配付をされる前から子供が使用している家庭もあれば、ネット環境が整わない家庭もあります。 子供たちは平等であるはずですけれども、格差社会が子供たちの教育格差となっていることは、大変憂慮すべき課題だと思います。 コロナでますます広がった教育格差の解消に向けて、子育て家庭の負担軽減のための学校給食の無償化などを含め、低所得者世帯の教育支援について、しっかり取り組む必要があると考えますが、教育長の御所見をお伺いをし、代表質問を終わらせていただきます。 御清聴いただきまして、誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)小田村議員の代表質問にお答えします。 まず、県民を守る物価高騰対策についてのお尋ねです。 新型コロナウイルス感染症の影響等により、収入が減少し、日常生活の維持が困難となっている方々や、経済的基盤の弱い独り親世帯に対して、その生活を支えるため、きめ細かな支援を行うことは大変重要です。 県ではこれまで、市町や関係機関と連携の上、相談体制の充実を図り、様々な困難を抱える県民の皆様に寄り添いながら、生活に困窮する世帯に対して行う生活福祉資金の特例貸付けをはじめ、子育て世帯給付金の給付等、適切な支援の実施に努めてきたところです。 具体的には、必要とされる方々に支援が確実に行き届くよう、ホームページへの掲載やチラシの配布等により、広く情報発信を行うとともに、事務の簡素化や郵送による受付などにより、迅速な給付を行ってまいりました。 また、各福祉事務所や社会福祉協議会に設置している窓口等において、相談に丁寧に対応し、生活の立て直しに向けて、就職活動や各種福祉サービスの利用も含め、個々の実情に応じた総合的な支援につなげてきたところです。 こうした中、国において、世界経済の混乱に伴う原油価格や物価の高騰による影響を緩和するための対応を、緊急かつ機動的に実施するための総合緊急対策が策定されました。 本県においても、国の対策に呼応し、特例貸付けの原資の積み増しや生活困窮者自立支援金、子育て世帯生活支援特別給付金の支給のほか、子育て世帯の負担を軽減するための、学校などの給食等における材料費の価格上昇相当分の支援に必要な経費を、六月補正予算に計上したところです。 これらの対策の実施に当たっては、各種の制度が適切に活用されるよう、引き続き積極的な周知はもとより、相談窓口等において分かりやすい説明を行い、迅速な給付と福祉サービスの利用も含めた、きめ細かな支援を行ってまいります。 私は、コロナ禍において、物価高騰に苦しむ方々が安心して生活を送ることができるよう、今後とも、市町や関係機関と一体となって取り組んでまいります。 次に、地球温暖化対策についての数点のお尋ねにお答えします。 まず、地球温暖化防止に向けた取組についての二点の御質問のうち、初めに、温室効果ガス排出量削減目標の再設定についてです。 温室効果ガス排出量の増加による地球温暖化の進行は、猛暑や集中豪雨をもたらすなど、県民生活にも大きな影響を及ぼすことから、県では、再生可能エネルギーの導入促進など、排出量の削減に積極的に取り組んでいます。 こうした中、国においては、昨年十月に、二〇三〇年度の排出量を二〇一三年度比四六%削減という高い目標を掲げたことから、県としても、こうした国の動きに呼応し、十一月に削減目標の再設定などを内容とする地球温暖化対策実行計画の改定に着手したところです。 新たな削減目標については、脱炭素社会づくりに向けて、様々な取組を計画的かつ効果的に推進し、適切に進行管理していくための指標となるものと考えています。 とりわけ本県では、化学工業やセメント製造業など、多くのエネルギーを必要とする企業が集積し、産業部門・工業プロセス部門の温室効果ガス排出割合が約七割を占め、全国の二倍と高いことから、産業分野での脱炭素化の取組が極めて重要です。 このため、先月末に、私をトップとする環境政策推進本部を立ち上げ、同本部内に産業分野の取組を重点的に推進する専門部会や総括的にマネジメントを行う組織を新設するなど、推進体制の強化を図ったところです。 この新たな体制の下、産業分野における事業者の脱炭素化を促進するための産業脱炭素化戦略を本年度中に策定することとしており、この戦略の中で、産業分野の削減目標等を検討することとしています。 こうしたことから、県全体の削減目標の再設定については、国の削減目標との整合に十分配慮しつつ、産業脱炭素化戦略等の内容を反映させるとともに、幅広い主体の意見を聞きながら、環境審議会や庁内会議等でしっかり議論し、検討を行ってまいります。 次に、二〇五〇年二酸化炭素実質排出量ゼロの表明についてです。 温室効果ガス排出量が多い本県において、脱炭素社会を実現していくためには、産業分野をはじめ、あらゆる分野において産学官が連携し、共通の目標に向けて取組を進めていくことが重要です。 このため、私は、二〇五〇年二酸化炭素実質排出量ゼロの表明については、現在策定中の地球温暖化対策実行計画やコンビナート低炭素化構想などの検討状況を踏まえるとともに、脱炭素化に係る企業や県民の理解と積極的な参加を得られるような取組を進めながら、慎重に判断したいと考えています。 また、市町の表明については、それぞれの地域の実情を踏まえて判断されるものと考えていますが、県としては、今後とも市町と緊密に連携しながら、市町の脱炭素化に向けた取組が一層促進されるよう、必要な助言や情報提供などに努めてまいります。 次に、脱炭素に向けた農林水産業政策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、二酸化炭素の吸収源対策としての本県農林水産業政策についてです。 農林水産業の振興は、地球温暖化対策にもつながるものと考えており、これまで輸送時の二酸化炭素削減に資する地産地消の推進ややまぐち森林づくり県民税による荒廃森林の整備等に取り組んできたところです。 こうした中、国においては、昨年、お示しのみどりの食料システム戦略を策定し、食料・農林水産業の生産力の向上と持続性の両立を推進することとしています。 私は、こうした国の動きに呼応して、産学公の連携による研究・新技術の開発等により、これまでの取組を加速化させ、生産性の向上はもとより、森林や海洋における吸収源対策を着実に進めていきます。 具体的には、二酸化炭素の吸収に優れたエリートツリー等の普及による再造林の推進や非住宅建築物における木材利用の促進、藻場・干潟の保全、機能回復等による二酸化炭素の吸収・固定化を図ってまいります。 私は、今後とも、市町や関係団体等と緊密に連携し、本県農林水産業における二酸化炭素の吸収源対策に積極的に取り組んでまいります。 次に、森林バイオマスの活用についてです。 本県は、県土の七割を森林が占め、この豊富な資源の循環利用を図るため、県では主伐・再造林の推進をはじめ、住宅等での県産木材の利用を促進してきました。 加えて、山口県バイオマス活用推進計画に基づき、伐採後の未利用木材を森林バイオマスとして、発電や木質ペレットボイラー等で利用する取組を推進しており、その利用量は平成二十五年度の三万五千トンから令和二年度の六万六千トンへと大幅に増加しています。 今後、カーボンニュートラルに向け、森林バイオマスの需要量は特に発電において増加が見込まれることから、作業の効率化につながる地上レーザーやICT対応の林業機械などのスマート林業技術の導入等により、引き続き木材供給力の強化に取り組んでまいります。 なお、お示しの県産木質ペレットの供給については、山口県森林組合連合会が、施設の老朽化と需要量の減少等により、事業の見直しを検討しており、県としてはその検討に資するよう、需要に関する情報の提供や助言などを行ってまいります。 私は、今後とも関係団体と緊密に連携しながら、カーボンニュートラルや林業の振興につながる森林バイオマスの利用促進に一層努めてまいります。 次に、異常気象に伴う県民の安心・安全対策についてです。 地球温暖化による気候変動は、世界中で自然及び人間社会に影響を与えているとされており、既に国内では、大雨頻度の増加や高温による農作物の品質低下、動植物の分布域の変化など、その影響が顕在化しています。 このため、私は、温室効果ガス排出量を削減するための緩和策に加え、気候変動の影響による被害の防止・軽減等を図るための適応策を推進していくことが重要と考えています。 こうした考えの下、昨年三月に策定した地球温暖化対策実行計画において、国の気候変動適応計画に基づき、農林水産業や自然災害、健康など、七つの分野における適応の方向性を取りまとめたところです。 このうち、既に農作物の高温に強い品種への変更や集中豪雨等の気象災害対策のハザードマップ作り、熱中症予防のための啓発などの取組が実施されており、今後、こうした各分野における適応策が、事業者や県民などの多くの関係者に浸透していくよう努めてまいります。 また、適応策については、昨年十月に改定された国の計画とも整合を図り、県実行計画の改定に併せて、取組の見直し等を行うこととしています。 さらに、昨年七月に、県環境保健センター内に設置した気候変動適応センターでは、気候変動や適応策に関する情報収集や県民等への情報提供を行っており、今年度は、国や山口大学と連携し、セミナーの開催や地図情報の公開など、積極的な情報発信に取り組むこととしています。 私は、今後とも県民や事業者、関係団体、市町と緊密に連携しながら、地球温暖化対策にしっかりと取り組んでまいります。 次に、女性が活躍できる山口県づくりについてのお尋ねにお答えします。 私は、県外流出に伴う人口減少に歯止めをかけ、本県が将来にわたって活力を維持していくためには、女性や若者が働きがいを持って活躍できる企業の誘致や創出を図ることが重要と考えています。 このため、女性や若者にとって魅力ある優良企業の誘致や、仕事と家庭生活との両立ができ、女性が働きやすい職場環境づくりに積極的に取り組んでいます。 具体的には、まず、優良企業の誘致に向けては、女性や若者に人気の高い事務・研究開発部門などの本社機能移転を図るため、国や県独自の支援制度を活用し、企業への働きかけを行っており、こうした取組により、大都市圏からの研究所の移転が実現するなど、着実な成果を上げています。 また、在宅や短時間勤務など、仕事と家庭との両立が図りやすいIT関連企業やサテライトオフィスの誘致に向け、新規雇用や通信回線使用料などに対する助成制度を設け、意欲的な県内自治体の支援制度と組み合わせながら、立地促進を図っています。 こうした積極的な誘致活動により、本年三月には、女性を数多く雇用している企業が、柔軟な勤務が可能な事業所を岩国市のショッピングセンター内に開設し、多くの雇用が生まれるなど、女性にとって働きやすく、魅力的な雇用の創出につながっています。 さらに、一層の誘致活動の強化を図るため、大都市圏でのフォーラムの開催や展示会への出展等に加え、IT関連企業の誘致に向けたオンラインイベントを新たに開催するなど、様々な機会を通じ、情報発信を強力に展開してまいります。 次に、女性が働きやすい職場環境づくりに向けては、働き方改革支援センターにアドバイザーを配置し、企業に働きかけるとともに、専門家が技術的な助言・提案を行うワークショップの開催や補助事業の実施により、テレワークなどの柔軟な働き方の導入を促進してまいります。 また、女性の職域拡大に向けて、女性専用トイレや休憩室などの職場環境の整備への支援を実施しており、多くの企業で女性の新たな雇用や正社員の登用が進むなどの成果も上がっています。 こうした取組に加え、女性の社会参加を促すためには、男性の育児参画も重要であることから、男性の育児制度の活用促進セミナーを開催するとともに、男性従業員の育休取得を促進する奨励金の大幅な拡充を図ったところです。 私は、女性が働きがいを持って活躍できる環境づくりに向け、引き続き、市町等と緊密に連携し、女性に魅力ある企業の誘致・創出に積極的に取り組んでまいります。 次に、風通しのよい職場環境の醸成についてのお尋ねにお答えします。 職員がその力をいかんなく発揮できるようにするためには、自由闊達で風通しがよく、活気に満ちた職場づくりが重要であり、私は、知事就任以来、そうした職場となるよう、常に職員とのコミュニケーションに意を用いてまいりました。 こうした中、昨年発生した公職選挙法違反事案においては、私は直ちに、今後、今回のような選挙をめぐる組織的な勧誘は一切なくす、仮に外部から求められたとしても全て断るという二点を、県民の皆様にお約束しました。 そして、これを着実に履行するため、調査報告書の提言も踏まえ、甘い認識を持たない、勧誘を受けても抱え込まない、今回の事案を忘れないという観点で、再発防止に向けた五つの取組を新たに定め、県庁を挙げて、その徹底を図っているところです。 とりわけ風通しのよい職場環境の醸成にも資するよう、外部から選挙をめぐる依頼があった場合に、依頼を受けた職員の声が私まで届くようにし、職員個人に任せるのではなく、組織として対応するための仕組みを整えました。 具体的には、外部から不当な働きかけ等があった場合に、職員から私まで報告が上がる仕組みとして整備していた働きかけ対応制度について、対象を職務外にも拡大し、必要に応じて内容等を公表することとするなど、今後、同様の事案に対し、県として適切に対応する体制を強化しました。 また、お示しの公益通報制度についても、従来から全部局の総合調整やコンプライアンスを所掌している人事課に内部窓口を設置するとともに、職員が通報しやすい体制として、弁護士に委託し、外部窓口を設けているところです。 その上で、今回のような事案にも本制度が適切に活用されるよう、通報の対象を職務外に拡大するなど、働きかけ対応制度と同様の見直しを行いました。 さらに、お示しの本年六月の改正公益通報者保護法の施行に伴い、本県でも匿名による通報を可能とするなどの見直しを行い、より利用しやすく実効性のある制度へと改めたところです。 このように、それぞれの制度について見直しを行った上で、職員が制度を理解し、正しい運用が行われるよう、幹部職員をはじめ、全ての職員に対して研修等を実施し、制度や改正内容の趣旨等について周知徹底を図っています。 私は、こうした取組を通じて県民の皆様の信頼を回復し、向上させることができるよう、なお一層、誠実な県政運営に努めるとともに、今後とも幹部職員はもとより、若手職員の声にもしっかりと耳を傾け、風通しのよい組織風土の醸成に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)教育格差への対応についてのお尋ねにお答えします。 子供の現在及び将来が、その生まれ育った環境によって左右されることなく、全ての子供が夢と希望を持って成長していくことができるよう、教育の機会均等を図ることは極めて重要です。 このため、国においては、所得等一定の要件の下、幼児教育・保育から大学まで、授業料の無償化制度等を整備拡充され、教育に関する保護者の負担は着実に軽減されてきています。 こうした国の施策に呼応し、県教委では、高等学校等就学支援金制度による授業料の実質無償化に加え、奨学のための給付金等により、低所得者世帯に対して授業料以外の教育費負担の軽減を図るとともに、経済的な理由により就学が困難な生徒に対して、奨学金の貸与を行っています。 また、全国に先駆けて、全ての県立高等学校等に一人一台タブレット端末を県費で整備するとともに、家庭に通信環境が整っていない生徒に対しては、モバイルルーターを貸与しています。 さらに、コロナ禍で経済状況が深刻化する中、物価高騰による子育て世帯の負担軽減のため、国の地方創生臨時交付金を活用し、給食費の増加分に対する補助を、このたびの補正予算案に盛り込んだところです。 また、教育の機会均等を図るためには、こうした財政的な支援に加えて、経済的困難等の課題を抱える家庭や子供に対し、きめ細かな相談支援等を行うことも必要です。 そのため、スクールソーシャルワーカーを学校からの要請に応じて派遣し、保健・福祉分野の関係機関等との連携の下、多様な支援方法により問題解決を図り、子供が学習に集中できる環境づくりに努めています。 また、市町教委と連携し設置を促進している家庭教育支援チームにより、訪問型の支援等を実施しており、悩みや不安を抱える家庭の相談対応等に取り組んでいるところです。 県教委といたしましては、引き続き低所得者世帯も含めた子育て家庭への支援に努め、全ての子供が安心して教育を受けることができるよう取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)これをもって代表質問を終わります。 ───◆─・──◆──── 副議長(二木健治君)以上をもって、本日の日程は全部終了いたしました。 本日は、これをもって散会いたします。 午後一時五十三分散会