1 コンビナートの低炭素化に向けた取組について 2 アスベストの飛散防止対策について 3 へき地医療の充実について 4 豚熱まん延防止対策について 5 高齢運転者、高齢歩行者の安全対策について 6 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 坂本心次君。 〔坂本心次君登壇〕(拍手) 坂本心次君 皆様、こんにちは。自由民主党の坂本心次でございます。通告に従いまして一般質問をさせていただきます。 まず、最初にコンビナートの低炭素化に向けた取組についてお尋ねいたします。 私の地元である周南市の沿岸部は、夕暮れ時から無数の光が輝きを放ち始め、日が落ちる頃には未来都市のような美しい工場夜景に姿を変えます。この周南地域コンビナートは、明治時代に設置された旧海軍の石炭燃料基地を起源とし、石油化学をはじめ、無機化学、セメントなど多彩な基礎素材型産業が集積をする全国有数の産業拠点です。個々の企業の高い技術力によって、これまで独自の発展を遂げてきました。このことが長きにわたって地域の雇用を生み、経済を潤しているのであります。 さきの代表質問にあったように周南地域をはじめ、県内三地域のコンビナートは脱炭素化に向けた対応の中でエネルギー転換や企業戦略の変更といった経営基盤にも直結する大きな課題に直面をしています。 一昨日、出光興産がグループ全体の約一割の石油精製能力を持つ西部石油山口製油所を停止するとの方針を発表されました。新聞報道によると、今後、水素やアンモニアなど次世代エネルギーの受入れ基地への転換を検討するとのことですが、県としても地域経済や雇用への影響が最小限に食い止められるよう目配りをしていただきたいと思います。このことは脱炭素化が本県の産業や地域経済に与える影響の大きさを物語っていると感じます。 同社は徳山事業所でも既存の貯蔵施設を活用してアンモニアを海外から調達し、パイプラインによって周辺の化学工場に供給する新たなエネルギー供給拠点を構築する計画を進めるとされています。 私も昨年度、議会特別委員会の委員として脱炭素化の対応方策についての提言の取りまとめに参画をいたしましたが、こうした地元企業の果敢な挑戦を今後もしっかりと応援していきたいと思いますし、同時に企業現場が置かれた厳しい現状を県政に伝えていかなければならないと考えています。 先日開催された知事をトップとしたコンビナート連携会議では、昨年十一月から策定が進められてきたやまぐちコンビナート低炭素化構想の骨子や今後の検討項目などをまとめた中間案が示されました。この中間案では、炭素循環フローの構築により二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すとされています。 今後、乗り越えるべきハードルは非常に高いものだと思います。代替エネルギーの調達や低炭素化に必要な技術開発の見通しが十分立たない中で、様々な規制の緩和や新たな仕組みの構築なども必要となります。 一方で、私はこの構想が産学官が一致して取り組む真に実効性のあるものとなれば、本県産業をさらなる発展へと導く、そしてまた全国的な先進事例としても希望の光になり得ると思っています。 そのために県におかれては、企業現場の課題やニーズをしっかりと把握していただき、企業の低炭素化に向けた取組を支え、投資を後押しする具体性のある構想をつくり上げていただきたいのです。 そこでお尋ねをします。カーボンニュートラルに対応し、本県のコンビナートがこの局面を乗り越え、さらに発展していくためにやまぐちコンビナート低炭素化構想の中間案を踏まえ、県は今後どのように取り組んでいかれるのか御所見をお伺いいたします。 次に、アスベストの飛散防止対策について、お尋ねをいたします。 アスベストは自然界にある石の一種でありながら、軽くて綿状の性質を持ち、燃えづらく丈夫で、しかも安価であるなど多くの優れた特性を持つことから奇跡の鉱物と呼ばれ、古くから建築資材をはじめとした幅広い分野で利用されてきました。 しかしながら、アスベストの繊維は非常に細かく空気中に浮遊しているものを吸い込んでしまうと肺の深いところまで入り込み、三十年から四十年という長い年月を経て中皮腫や肺がんなどの重篤な疾病を発生することから、今では静かな時限爆弾と言われております。 このため昭和五十年から労働安全衛生法により五%を超えてアスベストを含有する資材の吹き付け作業が禁止されて以降、今日ではその使用が全面的に禁止となり、平成二十五年からは大気汚染防止法の改正により建物の解体工事などにおいてアスベスト含有建材についての事前調査の義務づけや県の立入検査の対象範囲の拡大などが規制をされ強化をされております。 アスベストは多くの場面で使われており、使用を禁止するだけでは問題の解決となるわけではありませんので、解体等の現場を規制する平成二十五年の法改正は非常に重要なものでありましたが、その後の国の調査により規制対象外の建材でも不適切な除去を行えば飛散のおそれがあることや、事業者による事前調査での見落とし、除去作業後の取り残しなど新たな課題も判明をしました。 さらに、今後は高度成長期に建てられました建物が解体のピークを迎えることから、一昨年の令和二年の六月にはアスベスト飛散防止対策のさらなる強化を目的として、再び大気汚染防止法の改正が行われました。 この改正では全てのアスベスト含有建材が規制の対象となり事前調査の結果の県への報告の義務づけや罰則の強化、作業記録の作成・保存の義務化など対策が一層強化されました。 また、来年の令和五年十月からは専門知識を有する者による工事前の調査が義務づけられます。厚生労働省の人口動態統計によりますと、二〇一九年に中皮腫で死亡された方は千四百六十六名で、一九九五年の三倍にまで増加しています。 私は日本の高度成長を支えた方々のこうした状況を目の当たりにし、四十年後にはこうして亡くなる方を一人も出さないように取り組んでいかなければならないというふうに思います。そのためには事業者等が法の趣旨を踏まえて適切に対応していくことが最も重要ですが、解体等の現場では作業員だけでなく、地域住民の健康にも大きな影響を及ぼす危険性がありますし、また、これまでの度重なる規制の強化でも分かるように、現場での作業には非常に困難な部分も多くあります。 そこでお尋ねをいたします。改正大気汚染防止法の規制に実効性を持たせるためには、権限を有する県の役割も非常に大きいというふうに思いますが、県は今後、アスベスト飛散防止対策にどう取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、僻地医療の充実についてお尋ねいたします。 本県では、僻地は県土全体の約六〇%を占めており、その中の県全体の人口の約一七%が暮らしています。人口が減少する僻地においては、急速に高齢化が進行する中で高齢者の健康や命を守る医師の高齢化や不在化、施設・設備の老朽化等により診療体制の維持が困難となっているところも増加しているなど、将来に向け僻地医療の充実は本県の重要な課題だというふうに考えます。 僻地医療の充実に当たっては、まずその担い手である医師を確保することが重要です。県では将来にわたる医療提供体制の安定的な確保に向けて就学資金貸付けを通じて若手医師確保対策の重点的な推進を図るとともに過疎地域における医療を担う医師の人材育成や定着促進に努められておられます。 私の地元、周南市鹿野地域においては、平成二十八年から常勤医師が不在となり、地域の方々からは不安の声が多く上がっていたところでございますが、今年四月、実に六年ぶりに常勤医師が就任をいたしました。就任された医師は僻地医療の充実に向けて県立総合医療センターが県と連携して取り組んでいる長州総合診療プログラムを専攻した総合診療医であり、県や総合医療センターの取組成果が目に見える形で現れたのを実感をいたしました。 県におかれましては、こうした医師確保対策について引き続き着実に進めていただきたいと考えております。さらに、僻地における医療をより充実させるためには、医療の質も高めていくことが重要となります。 県では、5Gによる遠隔医療支援のモデル事業を昨年度から実施しています。僻地等の診療所と県立総合医療センターを5G環境において接続をし、僻地の診療所など遠隔地においても県立総合医療センターのベテラン専門医からの助言等を受けられる取組であります。これが実現すれば、確実に僻地における医療の質の向上につながるものであり、今後、展開として遠隔医療支援の内容面の拡充や、実施箇所の拡充、将来的には私の地元、鹿野診療所においても実装をされることを強く期待をしております。 しかしながら、5Gの環境整備が全国レベルで急速に進められている中、国は二〇三〇年度までに人口カバー率九九%を目指すとの方針を打ち出しているものの、僻地も含め県内隅々までに行き届くかどうかは明らかではなく、あるいは行き届くとしてもまだまだ時間がかかることでしょう。そのため、僻地における医療の質を確保するためには5G遠隔医療支援の取組を進めつつ、一方でデジタル技術などの活用により、5G環境に依存しない遠隔医療支援手法を取り入れていくことが今後必要となります。 また、全ての診療が遠隔に対応できるとも限りません。僻地診療所においても都市部と同様に十分な診療ができるよう、県におかれては必要な医療機器の整備などに対する支援も引き続きお願いいたします。 そこでお尋ねをいたします。僻地を含む県内全ての県民に必要な医療を提供するためには若手医師等の人材確保に加え、5Gやデジタル技術の活用等により医療の質を確保することが重要と考えますが、県では僻地医療の充実について、今後どう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、豚熱蔓延防止対策についてお尋ねいたします。 今年の三月、岩国市において死亡している野生のイノシシから豚熱の感染が県内で初めて確認をされました。農林水産省によると豚熱は豚、イノシシの病気であり、人に感染することはなく、仮に豚熱にかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はなく、また、感染した豚の肉が市場に出回ることはないということです。 国内における豚熱は平成三十年九月に岐阜県内の養豚場の豚において二十六年ぶりとなる発生が確認をされて以降、野生のイノシシを介して東日本を中心に感染が確認をされていました。 西日本では、兵庫県で令和三年三月に野生のイノシシにおいて感染が確認されており、それが西端となっていましたが、今回、山口県にまで感染が広がってきていることに非常に驚いています。 新聞報道によりますと感染の拡大は野生のイノシシの移動によるものだけではなく、人や車両の移動によって広がった可能性もあるのではないかということです。そう考えますと、今後どこでも発生し得るのではないかと危機感を抱いているところです。 県内で豚熱が確認されたことを受け、県は山口県豚熱防疫対策本部を設置し、養豚場における飼養衛生管理指導を行うとともに、四月には県内で飼養されている豚及びイノシシのワクチン接種を手数料を減免して実施し、同月中に対象となるべく全ての豚及びイノシシの接種を完了させたということです。 私の地元である周南市にも大きな養豚場があることから、先日、現場の様子をお聞きしてまいりました。まず、養豚場へのワクチンの接種については県の指導、協力もあり全ての豚への接種が完了し、また、ワクチン接種の手数料を今回減免していただいたことに対して大変ありがたかったという声をお聞きをいたしました。 一方で、現在、畜産経営は餌代の高騰などもあり、数年前と比べると大幅に負担が増えているそうです。現在の世界情勢等も考慮すると、今後もさらに値上がりをすることが確実とされている中、一刻も早い収束を切に願っているとのことでありました。 今後の感染拡大防止に向けては、今回の補正予算においても今後生まれてくる子豚等に対するワクチンの追加接種に関する予算が計上されていますし、農林水産省などとも協力の上、野生のイノシシに対する経口ワクチンの緊急散布などの対応も始まっていると聞いています。 これまでの県の対応については高く評価をしているところでございますが、一刻も早い収束に向け今後もこういった対策の強化、継続していかなければなりません。 そこでお尋ねをいたします。県は豚熱蔓延防止に向け、今後どのように対応していかれるのか、お尋ねをいたします。 最後に、高齢運転者、高齢歩行者の安全対策についてお尋ねをいたします。 本年四月十八日、四月二十五日、私の地元であります周南市鹿野の国道三百十五号線におきまして高齢者が関係する交通死亡事故が連続発生をいたしました。今回の連続交通死亡事故に対して、山口県警には迅速に対応していただき、発生現場付近における現場講習会や交通安全指導及び関係各部署合同の現場点検により対策を検討する等県民目線で寄り添った素早い効果的な対応をしていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。 さて、昨年中の山口県内における交通事故死者数は三十二件、三十四人であり、統計を取り始めた昭和二十六年以降、最少となりました。これは山口県警の職員皆さんが交通死亡事故抑止のために昼夜を問わず三百六十五日、二十四時間、各種対策を強力に推進していただいたものが形となって現れたものだと思っています。 本年五月十三日から改正道路交通法による新たな高齢運転者対策が始まっており、実車による運転技能検査の導入や、安全運転サポート車等限定条件付き免許が導入されました。 また、近年は高齢ドライバーの安全対策の一環として運転免許証の自主返納が進められており、漫才師の西川きよしさんや二之湯国家公安委員会委員長が運転免許証を返納したことが報道で取り上げて話題となっています。 免許証の返納は高齢運転者の交通事故リスクの低減をするという観点からは効果的であるものの、高齢化率の高い山口県において運転免許証の自主返納は山間部であればあるほど一筋縄ではいかないし、難しい問題であり、様々な視点での安全対策が必要であるというふうに考えます。 山口県警によりますと、昨年中の交通事故死者数は三十四人、そのうち高齢者は十九人となっております。重複する部分もありますが、具体的には高齢運転者による死者数が十四人、高齢歩行者が被害となる死者数が六人となっており、全死者数に占める高齢者の割合も五割を超えるということで、いずれも交通死亡事故における高齢運転者、高齢歩行者の割合が高いということが分かります。 また、本年に入り、一月から五月末までの死者数については十三人、そのうち十一人は高齢者の方であり、全死者数に占める高齢者の割合は八割を超えており、先ほど申し上げた周南市鹿野における交通事故もまさに高齢運転者、高齢歩行者が関係するものでした。 昔に比べれば事故により亡くなる方は減少傾向にあることは事実でありますが、現実に交通死亡事故はいまだ発生しており、本人を含め御家族からすればかけがいのない大切な人を交通事故によって失ってしまっているということも、また事実であることを重く受け止めなくてはならないというふうに思います。 そこでお尋ねをいたします。県内の昨年中及び今年の高齢者の関係する交通事故の現状を踏まえて高齢運転者、高齢歩行者の安全対策についてどのように取り組んでいかれるのか、県警本部長の御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)坂本議員の御質問のうち、私からはコンビナートの低炭素化に向けた取組についてのお尋ねにお答えします。 本県の経済と雇用を牽引するコンビナート企業群は多くの二酸化炭素を排出する石炭火力を主力なエネルギー源としており、脱炭素化への対応と国際競争力の維持・強化の両立という極めて大きな課題に直面しています。 また、先般、宇部・山陽小野田コンビナートを構成する石油精製事業者が精製機能の停止を発表したところであり、脱炭素化が本県の産業にもたらす大きな環境の変化にしっかりと対応していかなければならないという認識を一層強くしたところです。 私は、脱炭素化に的確に対応し、県経済の維持・発展を図るためには、企業等と困難な課題や本県コンビナートが目指す将来像を共有し、企業の前向きな挑戦を後押ししていくことが重要と考えています。 このため昨年度来、山口県コンビナート連携会議において企業等との意見交換を重ねながら、本県コンビナートの低炭素化構想の策定を進め、このたびこれまでの検討状況を中間案としてお示ししたところです。 本中間案では企業の技術力や既存施設を生かした合成燃料の製造、精製等、二酸化炭素を資源として活用する炭素循環フローを構築し、脱炭素素材やエネルギーの供給拠点として地域経済を牽引し続けるコンビナートを将来像として掲げています。 また、その実現に向けて二酸化炭素の削減、利活用、回収・貯留の三つの視点を設けるとともに、それぞれの取組の時間軸を定め、当面のアンモニア・バイオマス混焼等の燃料転換から二酸化炭素の貯留に至るまで研究開発等の状況と見通しを踏まえて段階的に取組を進めていくこととしています。 こうした中、お示しのように周南地域では周南コンビナート脱炭素推進協議会を推進母体として、現在、アンモニアサプライチェーンの構築に向けた検討が進められています。 構想の策定に当たっては、こうした地域の特性や強みに応じた取組の具体化や、実施主体の明確化等を図ることとしており、今後とも関係企業や立地自治体、関係省庁等との連携を一層密にしながら本年夏頃を目途に最終案を取りまとめたいと考えています。 特に、本県コンビナートの脱炭素化に向けては、水素、アンモニア等次世代燃料の安定供給や、企業の設備投資を促進する道筋の明確化、集中的な投資など国の役割が重要であることから、引き続きあらゆる機会を通じて国に対し貴重な支援等を求めてまいります。 また、この構想を核として今年度中に策定するやまぐち産業脱炭素化戦略においては、カーボンニュートラルポートの形成や電力供給の安定化、技術交流の促進など、幅広く検討を行い、産学公金の緊密な連携の下、構想のさらなる具現化に向けた取組を進めます。 私は、企業の課題やニーズ等を踏まえ、また、県議会の御意見も頂きながら、本県コンビナートが全国に先駆け脱炭素材やエネルギーの供給拠点となり、本県経済を牽引し続けることができるよう全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)藤田環境生活部長。 〔環境生活部長 藤田昭弘君登壇〕 環境生活部長(藤田昭弘君)アスベストの飛散防止対策についてのお尋ねにお答えします。 アスベスト繊維は非常に細く、吸い込むと数十年の潜伏期間を経て重篤な健康被害を発生させるおそれがあることから、その飛散を防止することは極めて重要です。 このため、県では国と連携して建築物の解体現場や吹き付けアスベストの除去現場等への立入検査を実施し、作業基準の遵守等に係る監視指導を行ってきたところです。 こうした中、お示しのとおり国においては令和二年六月に大気汚染防止法を改正し、全てのアスベスト含有建材を規制対象とするとともに解体工事前にアスベストの有無を確認する事前調査結果の県への報告を義務化するなど、規制を強化しました。こうした規制強化に伴い、県では事業者向け講習会の開催をはじめ、文書の発出、県ホームページへの情報掲載などあらゆる機会を捉えて事業者が遵守すべき事項の周知徹底を図っています。 また、今後、建築物の解体工事が年々増加していくと見込まれる中、令和五年十月以降、専門的な知識を有する者による事前調査が義務化されることから、関係団体と連携し、県内での資格者養成講習会の継続的な開催など、必要な人材育成を通じて調査体制の整備に取り組んでまいります。 さらに、地震等の災害時においては被災建築物等からのアスベスト飛散のリスクが高まることから、今月十三日に九州・山口九県はアスベストの専門家団体との間で災害時におけるアスベスト調査等に係る協定を締結し、協力体制を強化したところです。 県としてはこうした取組を通じて県民の安心で安全な暮らしの確保に努めるとともに、引き続き関係団体や国、市町等と緊密に連携しながら、改正大気汚染防止法の趣旨を踏まえ、アスベストの飛散防止対策を積極的に推進してまいります。 副議長(二木健治君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)僻地医療の充実についてのお尋ねにお答えします。 県民誰もが生涯を通じて住み慣れた地域で健康で安心して暮らしていくためには、医療資源が限られた僻地においても必要な医療が提供できる体制の確保・充実を図ることが重要です。 このため、県では第七次山口県保健医療計画に基づき、僻地医療を担う医療従事者の確保に取り組むとともに、僻地医療を支える体制の充実を図っているところです。 具体的には僻地医療を担う医師の確保に向けて、僻地での勤務を要件とする医師就学資金の貸与や自治医科大学卒業医師の僻地医療機関への派遣などに取り組んでいます。 また、僻地診療所の医療設備や運営費への支援、僻地医療拠点病院による巡回診療、代診医派遣の経費補助等に取り組むなど僻地医療の充実に努めています。 こうした取組に加え、僻地においても十分な診療を行うことができるよう、お示しのとおりデジタル技術の活用により医療の質を高めていくことが必要であると考えています。 このため、県では僻地医療の拠点である県立総合医療センターと岩国市立美和病院を5G遠隔医療サポートシステムでつなぎ、胃カメラ検査や嚥下リハビリテーションなど、オンラインによる専門医の助言に基づいた診療の実証に取り組んでいます。 今後は、このシステムを活用し、遠隔診療支援を受ける医療機関をさらに増やすなど、専門医のいない僻地の医療機関に勤務する若手医師をサポートする体制の拡充に努めてまいります。 さらに、今年度、新たに高画質モバイル中継装置を活用し、5G環境が整備されていない離島などへの巡回診療時においてもリアルタイムで遠隔から専門医が助言できる体制づくりに取り組むこととしています。 県としましては、引き続き関係市町や医療機関等と連携・協力し、デジタル技術を活用することにより僻地における医療提供体制の充実に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)豚熱蔓延防止対策についてのお尋ねにお答えします。 本県の養豚業は、中山間地域における重要な産業であり、豚熱などの家畜伝染病が農場で一旦発生すると、その経営に甚大な被害を及ぼすことから、県では家畜防疫対策に着実に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのように豚熱の県内発生を受け、知事を本部長とする山口県豚熱防疫対策本部を速やかに設置し、県内の養豚場に消毒の徹底等を指示するとともに、全ての飼養豚等へのワクチン接種を実施いたしました。 また、養豚場での野生イノシシを介した発生を防止するため、感染確認検査や国と連携した経口ワクチンの緊急散布に加え、人や物の移動に伴う感染防止に向け、ポスター掲示などにより森林作業者等への注意喚起を図ったところです。 一方、豚熱の一刻も早い収束を図り、生産者の不安を払拭するため、養豚場での発生予防対策に併わせ、万が一の発生に備えた防疫体制を強化することとしています。 まず、発生予防対策については、このたび設置した野生いのしし豚熱経口ワクチン対策協議会を中心に感染が確認されている地域で経口ワクチンの散布を行うとともに感染状況に応じて現在東部地域に限定されている対象地域を見直すなど、より効果的な対策を実施します。 また、養豚場においては消毒や野生動物侵入防止対策など飼養衛生管理の徹底を図るとともにこのたびの補正予算により新たに生まれる子豚等へのワクチン接種などを支援することとしています。 次に、万が一の発生に備えた防疫体制については、殺処分や消毒等の手順を記載した農場防疫マニュアルを随時見直すとともに防疫演習を開催するなど、より実践的な訓練を行います。 さらに、複数の養豚場での同時発生など、本県のみでの対応が困難な場合に備え、中国五県等との協定に基づいた防疫資機材の確保や他県から派遣される獣医師の受入れなどについて一層の連携強化を図ります。 県としては生産者や関係事業者の皆さんが安心して事業を継続できるよう、国や市町、関係団体と連携しながら緊張感を持って豚熱の蔓延防止対策に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)中西警察本部長。 〔警察本部長 中西章君登壇〕 警察本部長(中西章君)高齢運転者と高齢歩行者の安全対策への取組についてお答えいたします。 議員お示しのとおり、本年四月、周南市鹿野の国道上において高齢運転者や高齢歩行者が関係する死亡事故が連続して発生しました。県警察ではこれらの事故の発生を重く受け止め、現場近くの高齢者に御参加いただく現場講習会や、道路管理者と連携した現場点検など各種対策を行ってまいりました。 ただいま議員から頂きましたお言葉を励みに引き続き交通事故実態に応じた取組を迅速かつ効果的に進めてまいります。 県内の交通事故の現状については、議員お示しのとおり、昨年中の死者数は統計が残る昭和二十六年以降で最少を更新しましたが、高齢者の割合は五割を超えております。また、本年五月末現在の死者数は十三人と前年同期より三人減少しているものの、そのうち高齢者は十一人と八割を超えており、高齢者の安全対策は喫緊の課題であると認識しております。 県警察では、こうした現状やさらなる高齢化の進展を見据え、高齢運転者と高齢歩行者に対する安全対策を一層強化してまいります。 まず、高齢運転者に対しては、本年五月に改正道路交通法が施行され、運転技能検査や安全運転サポート車等限定条件付き免許が導入されました。高齢運転者に安全に運転を行っていただくために制度の適切な運用に努めるとともに県警ホームページやテレビなど各種広報媒体を活用して制度の周知を図ってまいります。 また、自動車学校と連携し、教習車で運転指導を行う交通安全定期診断や自動車ディーラーと連携したサポカーの体験乗車を行っております。交通安全定期診断では、思った以上に運転技能が低下していることが分かったといった声のほか、サポカーの体験試乗では安全機能のよさに驚いたといった声が聞かれるなど相応の効果が認められることから、引き続き高齢運転者の安全運転を支える対策として進めてまいります。 御指摘の自主返納については、身体機能の低下を自覚された高齢者、あるいはその御家族からの相談に対し、自主返納後の公共交通料金の割引などの支援を行う運転卒業証制度を案内して自主返納につながって事例もあり、今後も適切な相談対応に努めてまいります。 次に、高齢歩行者に対しては、高齢者宅を戸別訪問するシニアセーフティ訪問指導や現場講習会、さらには高齢者が集まる介護予防教室の場をお借りするなどして、安全な道路の横断方法や夜間の反射材着用を指導してまいります。 県警察としては、今後とも関係機関、団体と連携し、高齢者が交通事故の加害者にも被害者にもならないよう、そして、高齢者御本人はもとより、御家族が悲しむことがないようしっかりと取り組んでまいります。