1 デジタル人材の育成について 2 高潮対策の推進について 3 林業の今後の展開について 4 再生可能エネルギーについて 5 投票環境の充実・強化について 6 その他
副議長(二木健治君)山手康弘君。 〔山手康弘君登壇〕(拍手) 山手康弘君 自由民主党の山手康弘です。令和四年六月定例議会の一般質問の最終登壇者として、早速、通告に従い順次質問をさせていただきます。 最初に、デジタル人材の育成についてお尋ねいたします。 昨今、デジタル化とDX、デジタルトランスフォーメーションが叫ばれていますが、我々の世界のあらゆる分野において、その潮流は避けて通れないものになってきています。 先日、土木建築部主催のドローンを用いた河川の堆積土砂量のレーザー測量を拝見させていただきました。従来は人が河川に入り、測量棒を用いて測量していたのが、レーザーの反射を拾い、即座にマップ化ができ、その便利さに驚かされました。 また、農林水産部においては、水産研究所において、漁場形成予測のシミュレーションも見学させていただき、漁師が漁獲した魚種と量を毎日データ保存し、海域をグリッドに区切り、将来的に魚種や漁獲量の予測ができるなど、デジタル技術も目に見える形になってきたなと感心をしているところです。 身近なところでは、私たちの使用しているスマートフォンで、非常に便利なアプリ機能がたくさん開発され、十年前と比べて非常に便利になっており、私もその恩恵を受けている一人です。 また、大都市と同様の働き方が地方においてもできるようになり、テレワークやサテライトオフィスなどが徐々にではありますが、山口県にも浸透し始めています。 このようにデジタルは物理的距離と時間を考えずに済み、手段や道具として捉えられることから、無限の可能性を秘めており、地方こそデジタルを生かすことで利便性を高め、地方創生の実現にも資する大きな可能性があります。 しかしながら、デジタル化が急速に進んでいるにもかかわらず、デジタル技術にたけた人材はどれほどいるのか疑問であります。 現段階の調査では、必要な人材が半分しかいないということも耳にしたことがあります。このことは非常に憂慮する問題であり、山口県においても、その使い方や性質を理解し、実務とデジタルをマッチングさせ管理することができる人材、つまりデジタル人材の確保と育成が急務と考えます。 そこでお尋ねいたします。大都市部と違い、デジタル人材が少なく、民間の育成機関も限られる本県の実情を踏まえ、デジタル改革を進めている山口県としては、即戦力としてのデジタル人材の育成にどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 あわせて、中長期的にデジタル人材を確保していくためにも、学校教育において、進路の選択肢としてデジタル人材としての働き方や魅力を周知し、子供たちがデジタル技術を意欲的に学ぶ後押しをしていく必要があると考えますが、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、高潮対策の推進についてお尋ねいたします。 県におかれては、先月二十四日、山口南沿岸、いわゆる瀬戸内海側で、高潮により相当な被害を生ずるおそれがある海岸を、水位周知海岸に指定されました。 また、想定最大規模の高潮により浸水が予測される区域を、高潮浸水想定区域として指定し、加えて、浸水区域や浸水時の水の深さ、浸水が継続する時間を地図上で示した、高潮浸水想定区域図も公表されました。 今回の措置は、平成二十七年の水防法の改正により高潮災害への取組が制度化されたことに伴い実施されたもので、今後は、今回の区域図を基に、市町が既存の高潮ハザードマップの見直しに着手されると伺っております。 高潮被害というと、南方の国々で海水面の上昇により家屋等が流される場面を想像される方が多いと思いますが、日本国内においても、過去には昭和三十四年の伊勢湾台風により名古屋市で大きな被害が発生し、近年では平成十六年にお隣の広島県においても、台風十六号、十八号の通過時に大きな被害をもたらしました。 また、山口県でも、平成十一年に台風十八号が上陸した際には、大潮の満潮と重なったことから、瀬戸内海沿岸で記録的な高潮に見舞われました。当時、山口宇部空港の駐車場で多くの車両が水没している映像を目にされた方も多かったと思います。 こうした高潮被害を防止するため、県では、海岸保全基本計画を日本海側、瀬戸内海側でそれぞれ策定され、当該計画に沿って堤防や護岸などの海岸保全施設を整備しておられます。 幸いにも、近年、山口県内においては大規模な高潮被害は生じていませんが、今回公表された高潮浸水想定区域図を拝見しますと、私の住んでいる岩国市・和木地域や、お隣の柳井地域も含め、瀬戸内海沿岸地域にある市街地エリアについて、高潮による被害の発生が想定されています。 こうしたことから、気候変動等により、今後台風がより大型化する可能性もある中、想定される被害を防止するためには、堤防の整備、護岸の強化などのハード整備の一層の推進が必要だと考えます。 また、現在の施設設備状況では、全ての高潮被害を防ぐことは難しいことから、人的被害を少しでも軽減するため、今回公表された区域図を可能な限り周知することや、ハザードマップの見直しを早期に進めるなど、ソフト対策の充実を図る必要があると考えます。 加えて、様々な分野での防災・減災対策の強化が叫ばれている中で、高潮対策を推進していくためには、国へ予算確保について強く訴えていくことも必要ではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。いずれ来ると予期される高潮被害を最小限に抑えるため、高潮対策に係る取組をこれまで以上に推し進めていく必要があると考えますが、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、林業の今後の展開についてお尋ねいたします。 県土の多くを森林が占める本県は、国策において多くの地域で戦後、主に杉・ヒノキの植林が行われてきました。 戦後七十年以上が経過し、当時植林した人工林資源が本格的な利用、主伐期を迎えていることは御承知のことと思います。 当時、貴重な木材の需要を補うために植林が行われてきましたが、その後、化石燃料などによるエネルギーの転換や外国からの安価な輸入材の流入などにより、長い間、木材の価格が下落してきました。 しかしながら、近年、木材利用を促進する法改正などにより、公共建築物において木材利用の促進が図られるとともに、県産木材を使用した一般住宅や国産木材をCLT材に加工して建築された法人施設などが注目を集めるようになってきています。 そのような中、ロシアによるウクライナへの一方的な侵攻により、ウクライナが関係する麦などの穀物や化石燃料などが大きく影響を受けており、輸入木材もその一つであります。 コロナ禍により、従前よりも様々な分野、製品で影響を受けていたのに加えて、ウクライナ危機により、私たちの生活に必要な食料品から木材、燃料、あらゆる分野で価格が高騰し、日本国がいかに外国からの輸入に依存しているのかが明らかになりました。 こうした中、今までとは考え方を改め、国産品の需要促進と地産地消をいま一度、加速させる時期が到来したのではないかと感じています。国内産、県内産の木材の利用促進についても、その一つとして上げられるのではないでしょうか。 第二次ウッドショックと言われる今、この機を逃すことなく、外国産木材が高騰する中、同じくらいの金額を払うなら、国内産、県内産の木材をさらに使用する機運を高めていく必要があるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。県が森林組合連合会などと一緒になり、需給情報を共有するとともに、県民の需要に応えられるような供給体制を強化する必要があると考えますが、御所見をお伺いいたします。 また、木材利用の促進に当たっては、伐採した跡地へ確実に植林を行うことにより、次の循環へつなげていく再造林の取組も重要であると思います。 しかしながら、一度木材需要の低迷を経験した森林所有者は、再造林に二の足を踏む者も少なくないと聞いています。再造林費用が主伐による収入を大きく上回ることが、再造林が進まない主な要因と言われているそうですが、主伐後の再造林の確保に向けてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、再生可能エネルギーについてお尋ねいたします。 今議会においては、各議員から脱炭素化の取組に関連する質問が出ているところですが、私からも、脱炭素に欠かせない再生可能エネルギーについて、二点質問させていただきます。 まず、分散型エネルギーの利用の促進についてお尋ねいたします。 政府は、CO2などの温室効果ガス排出量を二○五○年までに実質ゼロにするカーボンニュートラルという目標を掲げ、脱炭素に向けた取組を進めています。 このため、発電時にCO2を排出しない再生可能エネルギーは脱炭素に不可欠なものとして、その重要性が一層高まっています。 現在は、風力、太陽光、地熱、水力など様々な再生可能エネルギーの発電利用がされていますし、研究段階のものでは波力などもありますが、どの発電にもメリットとデメリットがあります。 デメリットとしては、風力であれば風の強さ、太陽光であれば日照時間と気温、地熱であれば、地理的条件から受ける多くの制約、波力であれば台風による高潮等により発電量が大きく左右されることなどがあり、その不安定さを補う蓄電池の活用も必要です。 実は、我が家でも家屋に太陽光パネルと蓄電池を設置しております。 平成三十年の西日本大水害の際に、私の地元玖西地区において災害が発生し、幸いにも私の居住している地区では停電はありませんでしたが、後日、災害現場を視察した際には、コンクリート製の電柱がなぎ倒されているような事例も見受けられました。 また、私自身が長い海外生活において、停電を頻繁に経験したこともあり、オール電化の我が家においては、一たび停電が発生すれば不便な生活を余儀なくされることが容易に想像でき、非常時の備えも兼ねて、太陽光パネルと蓄電池を設置しました。 停電の際の蓄電池の電力供給先の家電には、井戸の給水ポンプを選択しました。なぜなら、海外生活において停電時に一番苦慮したのは水回りで、給水ポンプが動かないと洗面やトイレなど日常生活に大きな支障が出たからです。 我が家の太陽光と蓄電池のシステムでは、五月から六月の今においては、日照時間と気温が好条件なため、自宅の電気のほとんどを賄える状況にあります。 また、最近ではEV車の普及も進んでいることもあり、さながら動く蓄電池のように捉えれば、その利用価値は大きく広がります。 こうした中、県においては、山口大学の福代教授や山口東京理科大学の貴島教授とも連携し、EVの中古バッテリーを蓄電池として再利用して、太陽光発電と組み合わせることにより、家庭などでの省エネ効果を検証する、様々な用途に活用できる実証試験を行ったと聞いています。 そして、その実証試験の成果を国際会議で発表したところ、最優秀論文賞を受賞されたとのことであり、試験の成果を生かした今後の県の取組が大いに期待されるところです。 地域コミュニティーの中で、分散している比較的小規模な再生可能エネルギーを点と捉え、その点と点を線で結び、蓄電池と組み合わせてシステム化することで、使用電力を制御して活用すれば、より多くの省エネ効果が得られますし、災害時や悪天候時の安定した電力の確保にもつながるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。地域全体での電力使用を適切に使用することで、省電力などに結びつき、ひいては、CO2削減に大きく寄与することが期待できる分散型エネルギーの利用の促進について、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 二点目に、水力発電の供給力向上について、水力発電を管理運営する企業局に対してお尋ねいたします。 先ほども触れましたとおり、再生可能エネルギーには太陽光や風力など様々なエネルギーが存在し、それぞれにメリット・デメリットがありますが、その中でも水力発電は、ダムにためた水を低いところに落とすことで得られる位置エネルギーを活用して発電機を回す仕組みのため、発電時にCO2の排出がなく、また天候に左右されにくく、昼夜を問わず一定量の電気を発電することができることから、クリーンで安定的で大切なエネルギー源であると言えます。 本県においては、県下に三十一か所の水力発電施設が設置されており、このうち企業局は十二の水力発電所を有し、最大出力は十二発電所合計で約五万二千キロワットとなっております。これは、一般家庭約五万世帯分の消費電力に相当し、県内の水力発電供給量の約半分を占める規模となっています。 県企業局においては、これまでも発電事業者として電力の安定供給に向けて適切に取り組んでこられたところであり、最近では、やまぐち維新でんきという新たなブランドを創設され、再生可能エネルギーの利用拡大・普及啓発にも積極的に取り組まれているところです。 先日行われた、やまぐち維新でんきの認証書交付式においては、県内九社に対して認証書が交付されたとのことであり、再生可能エネルギーに対する県内企業の関心の高さを改めて感じたところです。 今後、カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーに対する関心と需要はさらに高まっていくことが予期されます。長年水力発電に取り組んでこられた企業局は、そのトップランナーとして、これまで培ってこられたノウハウをお持ちであり、私は水力発電による電気がさらに利用されるよう、その供給が拡大されることを期待しているところです。 そこでお尋ねいたします。再生可能エネルギーの重要性が高まる中、企業局においては水力発電の供給力向上に向けて、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、投票環境の充実強化についてお尋ねいたします。 昨年秋から参議院議員補欠選挙、衆議院議員総選挙、山口県知事選挙と大きな選挙が続きましたが、投票率の低下に歯止めがかかりません。 来週には参議院議員通常選挙の火蓋が切られる予定ですが、そのような中で、有権者の方々から私へ、投票したいと思っているが投票所に行くことが難しい、投票しやすい環境をつくってほしいといった切実な声が多く寄せられております。 投票環境の充実や強化については、これまで我が会派からも問題提起をさせていただき、中山間地域などへのワゴン車による移動期日前投票所の導入など、移動困難な方への対策を図られていることは承知しております。 しかしながら、こうした取組は一部にとどまっており、県下全域に波及していないのが現状です。今後も著しい速さで過疎化や過疎地域などでの人口減少や高齢化が進むと予想される本県を鑑みますと、その時代に合った本県ならではの投票環境を、柔軟かつ速やかに整備していく必要があると考えます。 例えば、選挙管理委員会の指定する病院や老人ホームなどに入院中または入所中の方は、その施設で不在者投票ができますが、一方で、こうした指定施設で働く看護師や介護福祉士の方などは、入院患者や入所者のような投票方法は利用できません。 こうした方々は、不規則な勤務形態の中で、ましてや現下のコロナ禍で業務に精励される中で、現実問題としてなかなか投票所まで足を運ぶことは難しい状況にあるとお聞きしており、確かに不在者投票については、制度上、県の裁量で対象を広げることはできませんが、他県では期日前投票の仕組みを使って、こうした課題を解決した事例があります。 秋田県のある自治体では、病院内に期日前投票所を設置することによって、入院患者はもとより、勤務する看護師が休憩時間に、あるいは診察のため来院した患者が待ち時間に投票でき、課題となっていた不在者投票による病院側の事務負担も大きく軽減されたそうです。 他県において、医療関係者に対して導入されたこのような取組が、本県でもできないことはありません。本県でも、医療関係者や福祉施設関係者が、入院患者や入所者の不在者投票に併せて、勤務先で期日前投票ができるような環境を整え、投票機会の公平性を担保すべきだと考えます。 また、大学生等の投票環境についても、期日前投票所を増設するなど、本県ならではの取組が必要であります。かつて、山口市内では、山口大学のほかに山口県立大学にも期日前投票所が設置されておりましたが、現在は、利用者の減少などにより、県立大学には設けられておりません。 しかしながら、大学生などの二十歳前後の投票率が極めて低い昨今の状況を踏まえれば、積極的に大学等に期日前投票所を設けることも有効な対策であると考えます。 実際にさきの知事選では、下関市内の大学に移動期日前投票所を設けた結果、学生や地域の方々に好評であったと伺っております。 投票所の設置については、市町の選挙管理委員会の権限ではありますが、県は財政的支援を厚くするなど、積極的に導入を働きかける仕組みづくりは可能と思われます。他県では、県立高校に期日前投票所を設置し、主権者教育の一環として、高校生が投票事務に従事した事例も報告されております。 生徒からは、「学校に投票所があると便利。ちゃんと投票しようと思える」「とても緊張した。前日までインターネットや新聞でたくさん調べて、自分の思いに近いことを訴える人に投票した」といった感想があったそうです。 こうした取組は、大学等にも通じますし、むしろ、投票の権利を得たばかりの世代に、大学等と連携してアプローチすることは非常に重要なことだと考えます。選挙事務についても、大学生等を積極的に採用するのはいかがでしょうか。 以上、大きく二点ほど申し上げました。 そこでお尋ねいたします。投票環境の充実や強化に向け、選挙管理委員会におかれては、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたしまして、私の一般質問を終わります。 御清聴誠にありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)山手議員の御質問にお答えします。 まず、即戦力としてのデジタル人材の育成についてです。 デジタルの力で県が直面する様々な課題を解決し、新たな活力を生み出していくためには、産業をはじめとする各分野、各地域において、デジタル化の取組を担う人材が必要となることから、私は、その育成・確保を、やまぐちデジタル改革の重要な施策と位置づけ、取組を加速化しています。 このデジタル人材への需要は、本県のみならず全国で高まっており、外部からの即戦力となる人材を確保することが非常に厳しい状況にあるため、今県内の様々な組織の中にいる人材を、デジタル技術を理解し、現場で実装できる人材へと育てていく取組が非常に重要だと考えています。 このため、企業や行政等の内部人材が、それぞれの現場で生かせるデジタル技術を習得できるよう、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」を核に、IT企業等と連携を図りながら、人材育成に向けた様々な取組を進めています。 具体的には、DXのコア技術であり、加速度的にその活用が進むAIの仕組みから、予測モデルの開発までを学べるオンライン講座の提供や、今後の価値創造の源泉となるデータ活用に向けた、データ分析ソフト等を習得するセミナーの開催、アプリ開発の内製化を図る技術研修などを行っています。 こうした取組に加え、山口大学と連携した企業の技術力向上に向けたデータサイエンスの専門講座や、スマート農機導入の技能講習会なども開催しており、各分野における即戦力人材の育成にも力を入れています。 さらに今年度から、AIモデルの開発を競うコンペティションや、企業等のニーズが高いデザイン思考を学ぶ実践講座等を新たに開始することとしており、より高度な人材の育成に向けた取組も積極的に進めていきます。 一方で、私は、本県をはじめとする地方が必要とするデジタル人材を確保するためには、人材の都市部への偏在を是正することも必要だと考えています。 このため、私が全国知事会デジタル社会推進本部長として参画をした国の会議等において、国が主体となり、地方への人材還流に取り組むことを強く求めたところです。 こうした国への要請が実り、政府が今月閣議決定した、デジタル田園都市国家構想基本方針には、都市部からの人材還流に取り組む政策パッケージが盛り込まれており、この政策とも連携して、都市部からの即戦力人材の確保にも取り組んでいきます。 私は、やまぐちデジタル改革の推進に向け、国の取組とも連携を図りながら、即戦力となるデジタル人材の育成と確保に積極的に取り組んでまいります。 次に、分散型エネルギーの利用の促進についてのお尋ねにお答えします。 太陽光発電等の再生可能エネルギーや蓄電池など、比較的小規模で地域に分散しているエネルギーリソースを組み合わせて活用することは、地域の脱炭素化をはじめ、防災・減災、経済の活性化など、様々な効果を期待できることから、その促進が必要と考えています。 このため、本県では、全国に先駆けて、電気自動車の中古バッテリーと太陽光発電を連携させた実証試験に着手し、晴天時の余剰電力を蓄電して夜間に活用するなど、分散型エネルギーの省エネ効果等を確認したところであり、お示しのとおり、その成果は国際会議で高い評価を頂きました。 こうした中、国においては、二○五○年カーボンニュートラルの実現に向け、昨年六月に、脱炭素化の具体的な取組を示した地域脱炭素ロードマップを策定するとともに、再生可能エネルギーや電気自動車等の導入などを支援する新たな交付金を創設したところです。 私は、こうした国の動きを的確に捉え、地域脱炭素化に資する分散型エネルギーについて、その効果的な活用を明らかにした上で、普及につなげていきたいと考えています。 このため、産学公で構成するプロジェクトチームを設置し、地域に分散する太陽光発電や蓄電池、電気自動車等をネットワーク化してIoTで制御する、新たな実証試験を本年二月から開始したところです。 具体的には、太陽光発電の余剰電力を遠隔操作で蓄電池や電気自動車に充電させ、消費電力のピークカットや災害時の電源としての活用などを想定した試験を行っており、再生可能エネルギーの有効活用によるCO2削減効果やコスト等を検証しています。 また、県有施設に分散型エネルギーを率先導入するため、今年度、太陽光発電や電気自動車の導入ポテンシャル調査を行うこととしており、これらを踏まえ、来年度以降の導入計画を策定することとしています。 今後は、この導入計画に基づき、実証試験で得られた知見等も生かしながら、様々な県有施設を分散型エネルギーの普及啓発の拠点として整備することにより、市町や事業者の施設への導入につなげていきます。 私は、今後とも、県民、事業者、市町等と緊密に連携し、地域脱炭素化に有効な分散型エネルギーの導入の促進に積極的に取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)和田土木建築部長。 〔土木建築部長 和田卓君登壇〕 土木建築部長(和田卓君)高潮対策の推進についてのお尋ねにお答えします。 県では、これまで、台風接近時の高潮によって、度々、瀬戸内海沿岸域が被害を受けてきたことから、県民の生命と財産を守るためには、高潮対策は極めて重要であると考えています。 このため、海岸保全基本計画等に基づき、過去の被害状況や背後の土地利用等を勘案し、緊急度の高い箇所から、堤防の整備や護岸のかさ上げなどのハード整備を計画的に進めているところです。 また、施設の能力を上回る高潮に対しては、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、山口県土木防災情報システムによる潮位情報などの提供や、本県を襲った過去最大規模の台風による高潮を想定したハザードマップの公表など、これまで全国に先駆けてソフト対策にも取り組んできました。 こうした中、高潮による甚大な浸水被害が全国的に多発したことから、平成二十七年に水防法が改正され、我が国における過去最大規模の台風による高潮に対して、命を守り、壊滅的被害を回避するための避難体制等のさらなる充実強化を図ることとされました。 このため、県では、過去に大きな高潮被害が発生した山口南沿岸を対象に、この五月に、法改正の趣旨を踏まえた新たな高潮浸水想定区域図を作成し、公表したところです。 今後、当該区域図が、水害リスクを考慮したまちづくりなどにつながるよう、県のホームページ等で公開するとともに、出前講座等を通じて、県民の皆様への幅広い周知に努めてまいります。 さらに、山口南沿岸の関係市町では、新たな浸水想定に対応するため、今年度から高潮ハザードマップの見直しに着手したところであり、県では引き続き、市町に対する技術的支援を行ってまいります。 また、こうした高潮対策の取組を進めるに当たっては、国の、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算も活用し、一層の推進に努めているところであり、引き続き、国の支援が受けられるよう、必要な予算の確保について、政府要望等あらゆる機会を通じて国に強く訴えていく考えです。 県としては、県民の安心・安全の確保のため、今後とも、ハード・ソフト両面から高潮対策に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)林業の今後の展開についての二点のお尋ねにお答えします。 本県の人工林の多くが本格的な利用期を迎える中、森林資源を適切に循環利用していくためには、お示しのように、県産木材の需給情報の共有や供給体制の強化、主伐後の再造林の確保が重要です。 このため、まず、県産木材の需給情報については、原木流通システムを活用し、森林組合等の林業事業体は今後伐採する木材に関する供給情報を、製材事業者等は必要とする樹種や量などの需要情報をそれぞれ登録します。 その情報を共有した上で、システムを管理運営する山口県森林組合連合会が需給調整を行い、需要に応じた木材の安定供給に努めています。 また、供給体制の強化については、高性能林業機械の導入や路網の整備を推進するとともに、ICT対応の林業機械などのスマート技術の現場実装や、異業種からの新規参入の支援などによる新たな林業事業体の確保・育成に取り組んでいきます。 次に、主伐後の再造林の確保についてです。 木材価格の長期的な低迷等により、森林所有者の林業への投資意欲が薄れる中、再造林の実施率は低位な状況にとどまっています。 このため、県では、再造林の支障となっている、大きな費用負担や造林作業の担い手不足を解消するため、新たな技術を取り入れた省力かつ低コストな造林体系の確立を目指します。 具体的には、林業機械を活用しながら伐採と植林作業を同時並行して行う、主伐と再造林の一貫作業や、ドローンによる苗木等の資材運搬、年間を通じて植林作業が可能なコンテナ苗の活用など、様々な低コスト再造林技術の導入と定着に取り組んでまいります。 加えて、成長等に優れるエリートツリーを再造林することで、下刈りなどの回数削減や収穫期間の短縮が期待できることから、その種子供給に向け、県営林木育種園に現存する種子採取用母樹を順次、新しい品種に更新していきます。 県としては、関係団体等と緊密に連携しながら、需要に的確に応える県産木材の供給体制強化と、切って、使って、植える森林資源の循環利用の確立に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)繁吉教育長。 〔教育長 繁吉健志君登壇〕 教育長(繁吉健志君)デジタル人材の育成についてのお尋ねのうち、中長期的なデジタル人材の育成についてお答えします。 社会のデジタル化が急速に進展する中、子供たちには学校生活はもとより、家庭生活や職業生活等において、情報や情報技術を適切に選択し活用する力、いわゆる情報活用能力を育成することが重要です。 このため、国は、新学習指導要領において、この情報活用能力を学習の基盤となる資質・能力と位置づけ、小中学校では、プログラミングを体験しながら論理的思考力等を身につけるための学習活動が実施されています。 また、高等学校においては、今年度から学年進行で、全ての生徒が情報Ⅰの科目を履修することとなり、プログラミングや情報セキュリティー等について学びながら、問題を発見・解決する能力の育成を図っているところです。 こうした学習の基盤となる情報活用能力を育成する取組に加え、中長期的なデジタル人材の育成に向けては、意欲のある子供たちが、将来、デジタル分野での活躍を目指すことにつながるような取組も必要です。 このため、県教委では、全国に先駆けて整備した一人一台タブレット端末等のICT環境を活用し、子供たちの可能性を広げる、やまぐちスマートスクール構想を推進する中で、より高度なデジタル技術等を学ぶ機会を創出する取組も進めているところです。 具体的には、昨年度から、高校生を対象にプログラミング技術等を競うICT活用コンテストやデータサイエンティスト育成講座を開催し、ICTスキルの向上やトップレベルの人材を目指す意識の醸成に努めています。 また、こうした機会に併せて、高校生がデジタル分野の第一線で活躍する方々と交流するなど、デジタル人材としての働き方や魅力を感じることができる取組も進めているところです。 さらに、ICT活用コンテストについては、今年度から、デジタルアート部門の対象に小中学生を加え、より早い時期からデジタル分野への興味・関心を喚起する機会を設けることとしています。 県教委といたしましては、全ての子供がデジタル社会に主体的に参画するとともに、本県の次代を担うデジタル人材として活躍することができるよう、必要な資質・能力の育成等に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)正司公営企業管理者。 〔公営企業管理者 正司尚義君登壇〕 公営企業管理者(正司尚義君)再生可能エネルギーについてのお尋ねのうち、水力発電の供給力向上についてお答えします。 国における二○五○年カーボンニュートラルの宣言を契機として、CO2を排出しない再生可能エネルギーとしての水力発電が注目され、期待感も高まりを見せる中、企業局では水力発電の供給力の向上に向けて、発電施設の増強や効率的な発電による発電量の増加に取り組んでいるところです。 まず、発電施設の増強については、約千五百世帯分の電気を供給できる平瀬発電所の建設を令和六年度の運用開始を目指して進めるほか、ダムの未利用落差等を活用した新たな発電所も整備していきます。 既設の発電所においては、施設の老朽化状況や実施コスト等を勘案し、発電所全体を更新するリニューアルや機器を発電効率のよいものに交換するリパワリングを計画的に進めていきます。 効率的な発電については、定期的なオーバーホール等の適切なメンテナンスの実施により、発電所を安定的に稼働させるとともに、降雨予報に基づきダム貯留水を有効活用するなど、発電量の増加に向けた、よりきめ細かな運用を行っていきます。 また、県内のNPO法人等が主体となって取り組む小水力発電の開発に対しても、これまで培ってきたノウハウを活用した技術支援を行っているところであり、これらの取組を着実に進めることにより、県全体としての水力発電の供給力を向上させていきます。 一方で、水力発電による電気の利用を拡大することも重要であることから、これまで行ってきた水力発電所の見学ツアーやフォトコンテストなどの普及啓発に加え、お示しのように、今年度新たに中国電力株式会社と連携し、県内企業に水力発電によるCO2フリー電気を供給する、やまぐち維新でんきの取組を開始いたしました。 先日の認証書交付式において、利用いただく企業からは、環境問題への貢献に大いに役立つ、製品の製造過程における環境負荷を低減できるなどの評価を頂いたところであり、今後、さらなる需要拡大に努めるとともに、環境部局とも連携した再生可能エネルギーの普及啓発にも取り組んでいきます。 企業局としては、やまぐち維新でんきなどによる水力発電の利用拡大を図りながら、本県の豊富な水資源を活用した水力発電の供給力向上に向け、あらゆる観点から、不断の努力を積み重ねてまいります。 〔正司公営企業管理者の発言中、二木副議長に代わり、柳居議長が議長席に着く〕 議長(柳居俊学君)秋本選挙管理委員長。 〔選挙管理委員長 秋本泰治君登壇〕 選挙管理委員長(秋本泰治君)投票環境の充実強化についてのお尋ねにお答えします。 各選挙における本県の投票率が低下傾向にある中、有権者の方の投票しやすい環境を確保・整備していくことは、重要な課題であると認識しています。 投票所の設置につきましては、公職選挙法に基づき市町村の選挙管理委員会が行うこととされていますが、県選管としても、機会あるごとに市町選管に対して、投票環境の向上について積極的に取組を進めるよう働きかけてきたところです。 お示しの医療従事者等の投票環境の向上につきましては、選挙当日、投票所に出向かなくても投票できる期日前投票所の設置の検討に資するよう、先進事例の紹介や助言等を行ってきました。 特に、病院への期日前投票所の設置につきましては、秋田県の事例では、医療従事者のみならず、路線バス等により通院される高齢者等の投票環境の向上にもつながるものであったことから、大規模な病院等が立地する市町選管に対して、直接、働きかけを行ったところです。 今回の参議院選挙における期日前投票所の増設については、投票に多数の有権者が訪れることから、現下のコロナ禍における医療現場の状況を踏まえ、市町選管では、商業施設や駅等への設置を重点に対応することとされています。 県選管としては、投票環境の向上に向け、病院等、期日前投票所の設置場所の工夫を図るなど、有権者の投票機会の確保・整備を進めるよう、今後、市町選管への働きかけを強化していきたいと考えています。 次に、大学生等の投票環境の向上につきましては、各種選挙における投票率が、二十歳代前半で最も低く、十八歳及び十九歳の投票率も全体平均より低い状況にあることから、積極的に取り組むことが重要と考えています。 市町選管に対しては、若者の投票促進につながる大学等への期日前投票所の設置を進めるよう助言等を行っているところであり、参議院選挙では、例えば、下関市において、市内の二大学に設置してきた移動期日前投票所について、別の短期大学も追加して実施される予定です。 お示しの選挙事務に大学生等を採用することにつきましては、若者に選挙への関心を持っていただくため、下関市や山口市選管では、大学生を期日前投票所の投票立会人に選任し、県選管でも、県内の大学生グループと連携した啓発活動を実施することとしております。 県選管としては、こうした投票環境の向上に向けた取組や、大学生等と協力した取組が県内でさらに加速するよう、必要な選挙執行経費を確保するとともに、市町に対して様々な機会を捉え、情報提供や助言等により働きかけを行ってまいります。 今後とも、一人でも多くの有権者の方が進んで投票に参加されるよう、投票環境の充実強化にしっかりと取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)これをもって、一般質問及び提出議案に対する質疑を終結いたします。