1 地域防災力の強化について 2 アウトドアスポーツツーリズムの推進について 3 次世代モビリティサービスの推進について 4 県内中小企業のイノベーション創出について 5 文化観光の推進について 6 野生鳥獣被害防止活動の推進に向けたジビエの振興について 7 その他
議長(柳居俊学君)高井智子さん。 〔高井智子さん登壇〕(拍手) 高井智子さん 皆様、こんにちは。自由民主党の高井智子です。このたび、歴史と伝統ある山口県議会の一員に加えていただき、一般質問をさせていただくこととなりました。この機会を与えてくださいました県民の皆様に感謝申し上げますとともに、御指導いただきました、柳居議長、二木副議長をはじめ、先輩議員の皆様、執行部の皆様にも感謝の気持ちを込めて、全力で取り組ませていただきたいと思います。 緊張しており、お聞き苦しい場面も多々あろうかと思いますが、どうか温かいお気持ちでお付き合いくださいますよう、お願いいたします。 初めに、地域防災に関する取組についてお尋ねいたします。 出水期に入り、防災への備えが一段と必要となる季節となりました。線状降水帯の発生や、それに伴うゲリラ豪雨などの影響により、河川の氾濫や決壊による災害が全国各地で毎年のように発生していますが、そうした報道を目にするたびに、我が町のこととして備えなければならない、地域防災力を高めていかなければならないと強く考えさせられます。 地域防災とは、一言で言うと、地域の実情に合わせた防災を行うことであり、本県においても、地域防災計画を策定し、風水害や大規模な火災・重大事故などへの対策、地震災害への対策、原子力災害への対策などについて細かく記載され、それを基に各市町、各地域がそれぞれに計画を作成しています。 地域防災には、いわゆる自助・共助・公助の、防災の三助という言葉がありますが、このうち共助とは、町内会や小学校の区域内など、顔見知り同士の地域で助け合って災害を乗り切るという考えであり、自助でも公助でも対応できない部分を共助で賄うというものです。 私は、この共助の力を高めることが、本当の意味で地域防災計画の効果を地域に落とし込むために重要なことと考えます。 私の地元でも、自主防災組織による避難訓練などが活発に行われていますが、県においては、現在も取り組まれている防災士による地域活動や、学校と連携した防災教育を一層充実させていく必要があると考えます。 地域防災力を高めるために、もう一つ重要なのは、災害に強いまちづくりです。 住宅の耐震化や不燃化が進み、町の基盤である街路を救急車や消防車がいつでも活動できるように整備され、地域の人々が避難や救助活動するための公園・広場が確保され、貯水槽、トイレなど防災設備が整備されているような町、そんな町が災害に強い町と言えると思います。 少し例を挙げますと、東京都墨田区の向島地域では、地域と行政が連携して、公園整備や防災広場の設置を進め、路地の行き止まりをなくし、建て替えの際に建物を後退させて街路を拡幅していく道路整備などを行っています。 また、防災広場には防火用具庫や貯水槽も備え、雨水を地下に貯蔵し、日常用水や災害用水に使用できるように工夫されています。 こうして整備された広場や拡幅された道路は、平時では、盆踊りや祭りの会場にも利用され、地域を一つにする場づくりにもなっているそうです。こうした町のハードが、地域防災のソフト力を高めていくことにもつながっていくのだと考えます。 前回の南海トラフ地震から七十年以上が経過した現在では、次の南海トラフ地震発生の切迫性は高まっており、広域大規模災害の発生も、県としては現実的な課題として捉えておかねばなりません。 こうしたまちづくりは、地域や市町が主体となって推進していくこととは思いますが、広域自治体である県においても、地域防災力を高める災害に強いまちづくりをしっかりと後押しすることが、県全体の地域防災力を高めるために必要ではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。県においては、年々激甚化する災害や今後の大規模災害に備えるため、地域防災力の強化についてどのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、アウトドアスポーツツーリズムの推進についてお尋ねいたします。 コロナ禍でも、三密を回避して屋外で楽しむことができるアウトドアスポーツやキャンプが、性別、年齢を問わず、幅広い層から人気を集めています。 県では、豊かな自然環境を有する本県の強みを生かし、キャンプとアウトドアアクティビティーを結びつけた、アウトドアスポーツツーリズムの推進に取り組んでおられます。 家族連れや友人同士でキャンプを楽しむケースが増えており、時間の過ごし方として、自然の中で、大勢で気軽に楽しめるアウトドアアクティビティーは人気があります。 全国的にも観光地として有名な、角島近辺のエメラルドグリーンの美しい海では、シーカヤックや、専用ボートに乗ってパドルでこぎ進むウォータースポーツ、SUPを、また、秋吉台の雄大なカルスト大地の中では、トレッキング、ハイキング、サイクリングなどを気軽に楽しむことができます。 近くのキャンプ場にとっては、こうしたアクティビティーはなくてはならないものだと伺っています。 一方、私の地元の宇部市にはキワ・ラ・ビーチという場所があり、干潮時には日本有数の広大な砂洲が現れ、大変美しい景観を見ることができます。 条件が満たされたときには、ウユニ塩湖のようなリフレクション撮影や、だるま朝日など、幻想的な写真を撮れることでも人気のスポットです。海水浴に加え、カイトボードなどのマリンスポーツを楽しみに来られる方もあります。 非常に魅力のある場所ですが、残念ながら、角島や秋吉台に比べると、まだ多くの方に知ってもらえていないのが現状です。 県内、こういった場所はまだたくさんあると思います。地元のことをよく知る市町や、アウトドアスポーツに精通した関係団体と連携し、こうした魅力的な場所の掘り起こしに加え、その場所で楽しめるアクティビティーなどの整備を通じて、その魅力をさらに磨き上げていくことも重要だと思います。また、こうした魅力をしっかり情報発信していかねばなりません。 キャンプ場利用者の多くが、SNSなどで情報収集をする二十代から五十代の方です。本県の美しい自然の姿は写真や動画で、世界中の誰もが手軽に見ることが可能なSNSで発信することが効果的ではないでしょうか。 インフルエンサーの方の発信力をお借りしたり、アクティビティーの魅力を熟知した民間事業者からも積極的に情報発信し、誘客促進につなげていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。本県の豊かな自然環境を生かしたアウトドアツーリズムの推進について、市町、関係団体や民間事業者と連携し、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、次世代モビリティーサービスの推進についてお尋ねいたします。 私は、約三十年前に京都から嫁いでまいりましたが、当時の京都市内やその近郊では、公立中学校の修学旅行の行き先のほとんどが広島県や山口県であり、私自身も中学の頃に、修学旅行で山口県を訪れています。 移動中のバスから見た巨大なパラボラアンテナ、秋芳洞、秋吉台、萩城下町散策、萩焼絵つけ体験、下関から門司をつなぐ関門大橋、四十年以上前のことですが、今でも鮮やかな思い出として心に残っています。 私と同じような方々が、当時の思い出を胸に、旅行者として再び山口県を訪れるケースも多いのではないかと思います。しかし、バスツアーではなく、公共交通機関等を乗り継ぎ、個人で県内の名所を回られる場合は、大変苦労されるのではないでしょうか。 私の地元の宇部市においても、ときわ公園、小野の茶畑や小野湖、吉部の棚田や荒滝山からの風景など、美しい公園やすばらしい景色に恵まれ、多くの方に訪れていただきたい場所がありますが、公共交通機関の乗り継ぎなどの面で課題があるとの声をよく耳にいたします。 また、産業面においては、県内最大規模の多目的ホールを備えた、KDDI維新ホールなどを有する、山口市産業交流拠点施設が、令和三年四月から供用されていますが、アフターコロナの時代に向けて、今後、各種イベント開催などの動きが活発化し、県内外からの来訪者が増加することが見込まれます。 そこから県内各所へと移動していただき、産業や経済への波及効果を高めていくには、新山口駅を拠点とした各地域へのアクセスが課題となってくることでしょう。 分散型の都市構造を持つ本県においては、様々な魅力を持つ各地域をスムーズに往来できるよう、二次交通のさらなる充実を図っていくことが必要だと思います。 このような中、県では、県内広域での回遊性向上による、さらなる観光振興や交流人口の拡大に向け、新たなモビリティーサービスであるMaaSの導入、移動手段と多様なサービスを組み合わせた新たな価値を創出するビジネスモデルの構築に、積極的に取り組んでおられると承知しております。 さきに申し上げた、課題の解決に向けては、この取組を新たなビジネスとして、しっかりと地域に定着させ、全県的な取組へと展開させていく必要があると思います。 そうすることで、例えば、現在の拠点である新山口駅だけでなく、本県の空の玄関口である山口宇部空港などについても、今後、MaaSの取組の拠点となり得るのではないでしょうか。 地元議員としても大変期待しており、県内全域とのアクセス面での連帯をより一層深め、本県産業のさらなる発展につなげていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。令和二年度にスタートした次世代モビリティーサービスのさらなる推進に向けて、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、県内中小企業のイノベーションの創出についてお尋ねいたします。 依然として収束のめどの立たない新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、カーボンニュートラルへの対応や半導体不足によるサプライチェーンの強化、さらにはロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の高騰など、中小企業の事業環境は厳しさを増しています。 こうした状況にさらされ、企業は大変な時期を迎えていますが、一方で、テクノロジーの進展や産業構造の変化、価値観の多様化など、急速な勢いで事業環境が変化する状況の中には、大きなビジネスも隠れているのではと考えます。 苦しい中でも、時代のニーズをしっかりと捉えた付加価値の高い製品等を新たに生み出す、またそれにつながる研究開発を行うなど、新たなイノベーションの創出に向け取り組むことは、企業の持続可能な経営の実現、さらなる成長のための鍵とも言えます。 県では、医療、環境・エネルギー、バイオ関連分野の育成・集積や水素利活用の推進、宇宙利用産業の振興など、企業や大学等も連携し、本県の強みや特性を生かしたイノベーション創出に取り組み、多くの案件を事業化につなげるなど、成果を上げておられます。 これらの取組を評価するとともに、県内中小企業の成長に向けて、さらなる取組をお願いしたいと考えております。 私の地元宇部市でも、篠﨑市長の下、昨年四月に、宇部市成長産業推進協議会が設置され、産学公金が連携し、医療・健康関連や環境・エネルギー関連のほか、宇宙産業やDX、バイオなどの次世代技術関連の三つの成長産業の創出・育成と雇用の場を創出する企業誘致などの取組が進められています。 市民の憩いの場でもある、ときわ公園を、新たなビジネス創出の実証フィールドとして活用する意欲的なプロジェクトの実施など、企業の取組を支援できる大学等が立地する環境を生かした、まさに宇部ならではの取組が進められており、私も今後の展開に大いに期待しているところです。 県においては、これまで培われてきたノウハウやネットワークを生かしながら、企業のイノベーション創出をしっかりと下支えするとともに、宇部市の取組のようにイノベーション創出に向けた新たな動きとも連動し、相乗効果の創出を目指すなど、地域の強みや特性を生かした多様なイノベーション創出に向け、取組を強化していただきたいと考えます。 そこでお尋ねいたします。県内中小企業のイノベーション創出に向け、どのように取り組んでいかれるのか、県の御所見をお伺いいたします。 続いて、文化観光の推進についてお尋ねいたします。 価値観の多様化や海外交流の進展により、地域の自然や歴史が育んできた文化資源を地域資源として捉え、観光振興に生かす文化観光が、昨今、注目されています。私の地元宇部市では、彫刻を中核としてまちづくりを行っており、その歴史は一九六一年にまで遡ります。 戦争で荒廃した町の復興と、心の豊かさを取り戻したいと願う市民運動を契機として、この野外彫刻展は始まり、まちづくりにアートの要素を取り入れた、その当時の日本としては先進的な取組でした。 この野外彫刻展は、UBEビエンナーレという名称で、日本で最も長い歴史を持つ、そして県内で最も大規模なアート展覧会です。二年に一度開催されるUBEビエンナーレは、コロナ禍により一年延期となりましたが、今年、二〇二二年秋に開催されます。 四十九か国から約三百点の応募作品が寄せられ、その中から厳選された十五作品が、ときわ公園内に展示されます。宇部市にとって、UBEビエンナーレを中心とした町の文化芸術は、文化と観光の両方を併せ持つ貴重な地域資源なのです。 現在、国は、東京オリンピック・パラリンピックを契機に、地域における文化観光の推進を支援し、地域活性化につなげ、その効果を再度、文化振興へ投資していく好循環の創出に向け、取組を進めています。 先般、世界経済フォーラムが二〇二一年の旅行・観光の魅力度ランキングを公表し、日本が対象百十七か国・地域の中で、初めて一位となりました。文化に関する項目でも高い評価を得ているとのことです。 世界でも高い評価を受けている日本の文化ですが、県内に目を向けると、世界文化遺産に登録された萩市内の資産群をはじめ、瑠璃光寺五重塔、住吉神社本殿などの国宝建造物や、雪舟、香月泰男などの美術作品、萩焼や大内塗、赤間硯といった伝統的工芸品など、世界に誇れるものが多数あり、こうした地域の貴重な文化資源を観光に生かしていくことが重要だと思うのです。 そこでお尋ねいたします。本県特有の文化資源を観光資源として活用していくことについて、県としては、どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、野生鳥獣被害防止活動の推進に向けたジビエの振興についてお尋ねいたします。 県内の野生鳥獣による農作物被害は、令和三年度が約三億八千九百万円となっており、被害金額は依然として高い水準にあり、営農意欲の減退の一因として、数字に表れる以上に深刻な影響を及ぼしています。 農林水産省は、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律に基づき、現場に最も近い行政機関である市町村が中心となって実施する、野生鳥獣に対する様々な被害防止のための総合的な取組を支援しています。 県の取組としては、農林水産事務所、市町、関係団体等で構成される、地域ぐるみ推進チームを中心に、集落営農法人や自治会を対象に、地域の被害防止対策計画である、地域ぐるみ活動対策プランの作成支援や、地域活動を牽引する集落リーダーの養成、地域ぐるみ推進チーム員のレベルアップに向けた研修会を開催されるなど、地域ぐるみで取り組む鳥獣被害対策防止策を推進されています。 また、県内の飲食店へジビエのメニュー化に向けた取組も促進しておられ、令和三年度の実績として、八店舗二十四メニューが新規に開発されたとのことです。 鳥獣被害を防ぐには、農作物に近づけないよう柵を設置すること、銃やわなで捕獲し、駆除することが主な取組になるのではないかと思いますが、昨今は駆除した野生鳥獣を廃棄処理するのではなく、ジビエ肉として命を大切に頂こうという風潮が強くなりつつあります。 そのため、県の鳥獣被害防止対策の取組の活動の一つとして、飲食店へ向けてジビエ肉のメニュー化促進を取り組まれたのだと理解しておりますが、ジビエ肉を使用した料理をスタンダードメニューとして提供するには、安定した販売ルートの確保が必須となってくるかと思います。 一昨年度、県内で捕獲・駆除した野生鳥獣は三万四千頭であり、そのうち、ジビエとしての利用率はわずか七%ということで、捕殺したとしても処理施設がすぐ近くにないなどの理由により、有効活用されていないことが課題として挙げられるのではないでしょうか。 野生鳥獣を解体、精肉、販売するには、食肉処理業と食肉販売業の許可が必要です。また、薫製、ハム、ソーセージなどに加工する場合は、食肉製品製造業の許可が必要となります。これらの営業許可を得るためには、食品衛生法に基づき定められた施設が必要です。 ハンターが自分の獲物を保健所の認可を受けた施設以外でさばき、販売すると食品衛生法違反になるのです。食肉処理施設以外で皮を剥ぎ、解体をした獲物の肉は食肉としてみなされません。駆除された野生鳥獣の肉をジビエ料理として無駄なく利用するには、食肉処理施設の確保が必要となってきます。 野生鳥獣被害防止活動をさらに推進していくためにも、ジビエを有効活用できる環境の整備が重要であり、捕殺場所に近接して処理施設を設置するなど、適切な処理体制を構築していく必要があります。 そのためには、県と各市町が連携し、民間に向けて処理施設整備を積極的に呼びかけることによって、ようやく安定した流通が可能となり、飲食店へのジビエメニュー化の取組を成し得たことになるのではないでしょうか。 そこでお尋ねいたします。国からの支援を有効的に使い、捕った命を大切に使えるよう、ぜひとも踏み込んだフォローをしていただきたいと思いますが、県としてはどのようにお考えでしょうか、御所見をお伺いいたします。 以上、六つの質問を私からの質問とさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 議長(柳居俊学君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)高井議員の御質問のうち、私からは県内中小企業のイノベーション創出についてのお尋ねにお答えします。 私は、本県の活力の源である強い産業をつくるため、産業イノベーション戦略において、医療、環境・エネルギー、宇宙等を重点成長分野と設定し、産学公金連携の下、積極的な取組を進めてきたところです。 具体的には、県産業技術センターに、イノベーション推進センターや宇宙データ利用推進センターを設置して支援体制を整備するとともに、研究開発のフェーズや規模に応じたシームレスな補助制度により、企業の研究開発を支援しています。 これまでの支援により、再生医療向け細胞組織冷凍保存用フリーザーや、水素ボイラー搭載型貯湯ユニットなど、医療、環境・エネルギー関連分野などにおいて、百二十件を超える事業化が実現するなど、多くの成果が生まれてきたところです。 こうした中、先般公表された、国の骨太の方針では、官と民が協力して、科学技術・イノベーションやグリーントランスフォーメーションなどに計画的・重点的に投資することとされています。私は、こうした国の動きと呼応しながら、本県においても、大胆な投資やイノベーション創出につながる企業の果敢な挑戦を、これまで以上に力強く後押しする考えです。 まず、医療分野では、山口大学を中心として、最先端のがん免疫細胞療法や細胞培養関連技術など、再生医療・細胞療法に関する研究開発が進展しており、これらの研究開発の実用化、産業化の取組を通じて、本県における再生医療関連産業の育成・集積を進めてまいります。 次に、環境・エネルギー分野では、省エネに資する半導体用基板の高熱伝導技術やガラス用透明遮熱塗料の開発などの取組が進められているところであり、こうした脱炭素化に向けた研究開発の加速化や地域での事業化を図ってまいります。 さらに、宇宙分野では、宇宙データ利用推進センターを核として、県内企業等による衛生データの活用や解析技術、ソリューション開発を支援し、森林情報、防災、農業など、様々な分野に応用する研究開発や事業化を促進してまいります。 また、こうした成長分野の持続的なイノベーション創出に向けた取組は、企業や大学との連携はもとより、宇部市のスタートアップ支援や、ときわ公園実証フィールド活用プロジェクトなど、意欲的な市町の取組と協働することで、より強力に推進できるものと考えております。 私は、厳しい環境変化への対応を、新しい時代をリードしていく好機と捉え、県、市町、企業、大学等の関係機関が持つ力を結集して、本県の強みや特性を生かした県内中小企業のイノベーションの創出に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 議長(柳居俊学君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)地域防災力の強化についてのお尋ねにお答えします。 近年、全国的に自然災害が頻発化・激甚化する中、県民の命と暮らしを守るためには、地域住民で助け合う共助の力を高めるとともに、地域の被害軽減に資する災害に強いまちづくりを進めることで、地域防災力を強化していくことが重要です。 このため県では、市町と連携し、共助の核となる自主防災組織に、防災士が多くを占める県の自主防災アドバイザーを派遣し、必要な指導・助言を行うことで組織の活性化を図るとともに、拡張現実機器を用いた小学校での体験学習の実施など、低年齢層への防災意識の啓発に取り組んでいます。 また、住宅等の耐震化、避難場所や避難路、延焼防止帯の効果も期待できる公園や道路等の整備などにより、災害に強いまちづくりを進めているところです。 こうした中、お示しのとおり、切迫性が指摘されている南海トラフを震源とする地震や記録的な集中豪雨等により、甚大な災害の発生が懸念されていることから、ソフト・ハード両面にわたる防災対策の充実を図る必要があります。 まず、ソフト面においては、自主防災アドバイザーを対象に毎年実施しているスキルアップ研修において、より具体的な地域課題への対応を取り入れるなど、内容の充実を図り、自主防災組織に対する地域の実情に即した適切な指導・助言につなげていきます。 また、依然として若い世代の防災意識が低いことから、子供たちが自然災害に対する正しい知識を備え、かけがえのない命を守り、自助・共助の心を育むことができるよう、可能な限り多くの子供に様々な防災体験学習の機会を確保するなど、学校と連携した防災教育を一層充実させます。 次に、ハード面においては、広域的な防災力強化の観点から、公園や港湾等の広域輸送拠点や、緊急輸送道路ネットワークの整備等を進めていきます。 また、市町が主体的に取り組む災害に強いまちづくりに向けた施設整備を進めるに当たっては、国の支援制度に関する情報提供や、地域の実情に応じた助言を適宜適切に行うこととしています。 県としては、引き続き、市町ともしっかりと連携しながら、ソフト・ハード両面にわたる防災対策を推進し、地域防災力の強化に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)アウトドアスポーツツーリズムの推進についてのお尋ねにお答えします。 コロナ禍が長期化する中、三密を回避し、屋外で安心して楽しむことができる自然体験やアウトドアスポーツへの需要が高まっています。 こうした中、県では、豊かな自然に恵まれ、多くのキャンプ場を有する本県の強みを生かして、キャンプ場と周辺のアクティビティーを結びつけ、一体的に楽しめる、スポーツフィールドやまぐちの取組を積極的に推進し、本県の交流人口の拡大につなげてきたいと考えています。 このため、各地域の特性を生かしたアクティビティーの開発に向けて、市町や民間事業者が実施する資機材の整備等を支援するとともに、アウトドアの知見を有するアドバイザーによる専門的な指導・助言も行っているところです。 この結果、各地域において、ラフティングやカヤックなど魅力的なアクティビティーが開発されており、今後、こうしたアクティビティーの一層の充実を図ることとしています。 また、スポーツフィールドやまぐちのブランド化を図るため、県のポータルサイトにより、本県のアウトドアに関する情報等を県内外に向けて発信するとともに、アウトドア事業者の情報発信力の強化に向け、インスタグラムを効果的に活用するための講習会を行ったところです。 さらに、昨年秋には、多彩なアウトドアスポーツを一度に体験できるシンボルイベントを開催したところですが、今後も県内で実施される様々なイベントにおける体験ブースの出展などを通じて、県民のアウトドアスポーツに対する関心を一層高めてまいります。 こうした取組に加え、本県のキャンプ場利用者が多い広島県や福岡県の在住者を対象として、キャンプ場と周辺のアクティビティーを楽しめるモニターツアーを実施することにより、旅行会社によるツアー商品の造成につなげていきたいと考えています。 県としては、こうした取組を通じ、市町や民間事業者、関係団体等と緊密に連携し、アウトドアスポーツツーリズムの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、文化観光の推進についてのお尋ねにお答えします。 旅行者のニーズが多様化する中、本県の多彩で魅力ある文化資源を観光振興に活用する文化観光の取組を推進していくことが重要です。 このため、文化資源を生かした大内塗体験等の観光素材の開発を支援するとともに、県内各地の文化施設等を巡るスタンプラリーを実施するなど、文化観光スポットの周遊促進に取り組んでいるところです。 また、県立美術館においては、浮世絵や萩焼などの収蔵品をデジタル化し、関連する観光情報と併せ、インターネット上の仮想美術館で公開するなど、美術作品を観光素材として活用する取組を進めています。 こうした取組に加え、本年十月、県内外の伝統芸能団体が一堂に会する地域伝統芸能全国大会を本県で開催し、本県の自然や歴史、文化遺産等を紹介する映像の上映や観光PRコーナーの設置などにより、多くの来場者の県内観光周遊を促進することとしています。 さらに、無形文化財である、鷺流狂言を題材に、AIを活用したゲーム性のある体験コンテンツを制作し、県内の文化施設にその体験コーナーを設置するとともに、周辺の文化スポットと併せて観光案内アプリへ掲載し、誘客促進につなげていきます。 県としては、今後とも、市町や関係団体等とも緊密に連携し、本県の多彩な文化資源を観光振興に活用する文化観光の推進に積極的に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)前田産業戦略部長。 〔産業戦略部長 前田安典君登壇〕 産業戦略部長(前田安典君)次世代モビリティーサービスの推進についてのお尋ねにお答えします。 主要な都市や観光地が分散している本県において、交流人口の拡大による地域経済の活性化を図るためには、来訪者の交通利便性向上に向け、空港や新幹線駅などの交通拠点と観光地等を結ぶ二次交通の充実が極めて重要です。 とりわけ、昨年オープンした新山口駅北地区の山口市産業交流拠点施設には、大型イベントやコンベンションの開催により、県内外から多数の来訪者が見込まれることから、県では、令和二年度から、新山口駅を拠点とした新たなモビリティーサービスの実証事業に取り組んでいるところです。 具体的には、関係市や交通・観光事業者等と連携し、推進母体となる協議会を設置し、やまぐちMaaS用ウェブアプリ、ぶらやまを活用して、二次交通サービスのデジタルチケット化や、移動手段と多様なサービスを組み合わせた新たなビジネスモデルの実証を行っています。 また、二次交通の新たな手段として、二人乗りの超小型EVや電動バイクといった最新モビリティーの貸出しにも取り組み、このうち超小型EVについては、本年四月、山口市湯田温泉地域での民間事業者によるシェアサービス開始へとつながり、成果も上がっているところです。 今年度は、実証事業の対象地域を、これまでの山口市、長門市、萩市に宇部市、美称市を加え、お示しの山口宇部空港についても、新山口駅や宇部市街地との間のバス乗車券の特典付デジタルチケットの販売や、空港と美称市、長門市と結ぶ乗合タクシーの実証運行を行うこととしています。 こうした取組に加え、社会実装可能な新たなビジネスモデルの構築や、県内での横展開につなげていくため、交通機関の利用状況や満足度などの調査・分析を行い、実証事業の効果を検証することとしています。 県としては、今後とも、関係市や事業者等と緊密に連携しながら、MaaSの導入・定着を着実に進めるとともに、その成果を県内全域へと展開し、観光振興や交流人口の拡大、さらには本県産業の発展につながるよう、次世代モビリティーサービスの一層の推進に取り組んでまいります。 議長(柳居俊学君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)野生鳥獣被害防止活動の推進に向けたジビエの振興についてのお尋ねにお答えします。 野生鳥獣による農林業被害が深刻化する中、ジビエの有効活用は、捕獲者の所得を向上させ、捕獲に対するインセンティブが高まることから、鳥獣被害防止につながる重要な取組と考えています。 このため県では、市町等と連携して、ジビエ料理の試食会やメニュー化を支援してきたところであり、こうした取組の結果、令和二年度のジビエ利用量が平成二十八年度の二・四倍になるとともに、食肉処理施設も十か所から十五か所に増加したところです。 一方で、捕獲されたイノシシ等の利用率は一割に満たない状況であり、さらなる有効活用を図っていくため、県では、市町、猟友会など関係団体と一体となって、地域の実情に応じた処理施設の整備を推進することとしています。 具体的には、まず、施設整備の要望がある市町において、地域の合意形成に向けた勉強会等を開催するとともに、施設整備に必要な構想の策定を進めます。 また、その整備に当たっては、規模や機能、設置場所等が適切なものとなるよう、衛生管理の専門家の意見を踏まえた指導・助言を行うとともに、施設整備や機器導入に、国の交付金等を活用するなど、地域の取組をしっかりとフォローします。 さらに、ジビエの普及や利用拡大も重要であることから、新たにジビエメニューの提供が開始された県内自衛隊の取組を、他の公共施設へ広げるとともに、近年問合せが増加傾向にあるジビエのペットフード等の新商品の開発を支援します。 県としては、野生鳥獣による農林業被害の低減や、捕獲した鳥獣の有効活用につながるよう、市町や関係団体等と一体となって、地域の主体的な取組を積極的に支援しながら、ジビエの振興に取り組んでまいります。 ───◆─・──◆──── 議長(柳居俊学君)この際、暫時休憩をいたします。再開は午後一時の予定でございます。 午前十一時五十四分休憩