1 肥料価格の高騰と農産物価格の維持・向上への対策について 2 県民一斉健康づくりについて 3 中小企業の事業承継の促進について 4 中山間地域の移動手段の確保について 5 治水対策の強化について 6 介護・看護の人材確保について 7 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 岡生子君。 〔岡生子君登壇〕(拍手) 岡生子君 皆さん、こんにちは。自由民主党の岡生子でございます。「生子」と、「子供」の「子」と名前がついているのに、このようなスタイルで、女性か男性かという疑問を抱かれる方もおられるかもしれませんが、一応女性でございます。 私は小学一年生の頃、スカートを履いたときに、このスタイルではないなと感じました。以後、学校の制服以外は全てが男性のスタイルで活動してきました。今後もこのスタイルとスタンスでいきますので、御気軽に声をかけていただけたらと思います。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手) 質問に入る前に、一言述べさせていただきます。 まず初めに、村岡知事をはじめとする県の職員の皆様方におかれましては、県の新たな方針、やまぐち未来維新プランを掲げられ、県民の安全・安心と成長を目指して、山口県の運営に努められ、心から敬意を表するとともに、感謝申し上げます。 また、山口県議会議員の皆様方には、常日頃よりたくさんの御指導、御支援を頂くこと、本当に感謝申し上げます。 さて、新型コロナウイルスが少しずつ落ち着いてきている中ではありますが、一方で、長期化するロシアのウクライナ侵攻は収まる兆しはありません。 厳しい環境下にはありますが、新たな総合計画の下、明るい未来を目指し、今、何を私たちはしなければならないかを十分に理解し、共に山口県を盛り上げていきたいと考えます。 また、各地域のたくさんの課題を抱える中、私の地域の話になりますが、阿武・萩地域においては、山陰道、小郡萩道路、また中核病院の形成についての対応につき、御指導、御支援を頂いていること、誠に感謝申し上げますとともに、阿武・萩地域にとっては、道路と病院についての問題は、人命を左右する問題でもあり、とても大切なことで、地域一番の最優先事項でもありますので、早期に取り組み、皆様のお力になれるよう、進めていきたいと思っております。 何とぞ御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。 それでは、質問に入らさせていただきます。 初めに、肥料価格の高騰と農産物価格の維持・向上への対策についてお尋ねいたします。 まず、肥料価格の高騰対策についてです。 ロシアによるウクライナ侵攻は、当初の予想を大幅に超えて長期化しつつあり、その影響は、欧米のみならず世界中に波及しています。 中でも、エネルギー価格は、世界的な脱炭素の流れと相まって、世界中で高騰しつつあるという事態を招いています。このことは、輸送コストはもちろんのこと、様々な分野における原材料価格の高騰も招いており、第二次産業にとどまらず、第一次産業にも大きな負担として重くのしかかってきています。 とりわけ、農業における肥料価格の高騰は深刻であり、原料の一つである塩化カリウムは、およそ四分の一をロシアとベラルーシの輸入に頼っていたことから、輸入先の変更を余儀なくされており、そのことは供給不安を招き、輸入価格はおよそ三倍から五倍というのが現状です。 JA全農では、六月から十月に供給する秋肥を大幅に値上げしており、その値上げ幅は過去に例のない規模であるとのことです。 また、山口県では、条件不利地が多く、例えば、米の生産で言うと、農機具の占める割合は約三〇%と全国の二三%より高く、農家においては、肥料、農薬の価格上昇に加えて、燃料コストが追い打ちをかけているという深刻な状態にあります。 加えて、農産物の価格が下がる中で、小麦などの穀物価格の上昇や原材料費、輸入コストの上昇などによるコストプッシュ型インフレが家計そのものを直撃し、その経営を著しく圧迫されています。 そこでお尋ねいたします。肥料価格の高騰により、農家では今まで以上に効率的に生産をしていかなければならないのは言うまでもありません。生産現場での肥料コストをいかにして低減させるのかが課題だと思いますが、県として、どのような対策を行っていかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、農産物価格の維持・向上対策についてです。 お示ししましたように、農産物の生産に係る費用は急激に上昇しているのに対し、農産物の価格は、需給に大きく影響されるなど、生産コストの上昇分を価格に転嫁することが困難であるのが現状です。 私は、食料の安定供給は国民の生命を守る上でも欠かせないものであり、農家の方々が安心して生産活動を続けていくためにも、農家の苦労が農産物の価格に反映される取組が必要なのではないかと思っています。 県では、県産米購入者に対し、県産品等を抽せんでプレゼントするキャンペーン等による需要喚起対策などを行っておられますが、農産物価格を維持・向上させるため、今後どのような対策を行っていかれるか、御所見をお伺いいたします。 次に、県民一斉健康づくりについてお尋ねいたします。 これまで新型コロナウイルス感染症への対策としては、ワクチン接種の促進や補助金、助成金の支給という措置が講じられてきました。 また、ワクチン接種についても、山口県の対策はどこの県よりも早く接種されています。これに関しましては、感謝に堪えないところであります。また、これから四回目の接種の対策も準備されています。 今後、新型コロナウイルスに限らず、県民の健康増進のためのより一層の強化をお願いしたいところであります。 現在、県では、県民一斉健康づくりとして、健康づくりの見える化や日常化、県民の主体的な健康づくりを支援する仕組みの充実、この三つの柱を掲げ、ライフステージに応じた健康づくり対策、生活習慣の改善、社会環境の整備の取組など、県民総参加の健康づくりの促進に取り組んでおられます。 また、やまぐち健幸プロモーション推進事業により、健康寿命延伸に向け、やまぐち健幸アプリを活用し、新しい生活様式に対応した健康づくりをテーマとして全県的な健康づくりの機運醸成を図っておられます。 そこでまず、県民の主体的な健康づくりの支援についてです。 現在、コロナ禍により、家庭での在宅勤務をする機会が多くなるなど、県民はより一層体を動かす機会が低下してきています。健康づくりを始めることで、感染症に係る免疫強化や生活習慣病の予防など、医療費の削減にもつながります。 こうした中で、県が開発した健幸アプリについては、私も活用している一人ですが、イベント・ポイントのほかにも企業の方の様子も見ることができ、企業での利用、企業間での競争もできるなど、利用者の行動意欲をかき立て、非常によい取組と思います。 今後は、より多くの方がこのアプリにより健康づくりを進められるよう、さらに利活用の促進を図っていただきますようお願いいたします。 また、県では、県民の主体的な健康づくりを支援するための仕組みとして、やまぐち健康経営企業認定制度を設けておられます。従業員の健康管理を、経営的視点から実践を促す取組であり、五月末時点で四百七十二社が認定されております。 企業単位での健康増進につながる取組ではありますが、私の周りでは制度を知らない企業も多く、また、知っていてもなかなか健康経営の取組までには至らないような話も伺っております。制度周知や制度への参加促進について一層強化する必要があると考えます。 そこでお尋ねいたします。県民の皆様が主体性を持って健康づくりの取組を進められるよう、やまぐち健幸アプリや健康経営認定制度などのさらなる利活用を促進していただきたいと考えますが、県では、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、健康づくりの見える化についてお伺いいたします。 健康づくりの一環として、食事療法だけでなく、やはり身体を動かすことは、抵抗力と免疫力を一層アップする要因にもつながるものと考えます。 ある財団の調査によれば、二〇二〇年における一週間以上の散歩・ウオーキングの実施率は三五・七%であり、推計人口は三千六百九十二万人で、二十四年前から約二・五倍という結果とのことです。 健康志向の高まり、そして、私たちのライフスタイルの一部として散歩・ウオーキングが広く普及・定着してきたものと考えられます。 現在、フィットネスブームでもありますが、コロナ禍において健康への意識が向きやすい今だからこそ、しっかりと運動を継続し、運動の頻度を増やしてもらう取組が必要となります。 そのためには、個人個人が自身の健康状態や取組成果を把握する必要がありますし、健康関連データを調査分析し、個人にしっかりと周知を図っていく、見える化を一層進めていくことが重要となります。 そこで、県では、県民の健康づくりの見える化に向け、今後どのように取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中小企業の事業承継の促進についてお尋ねいたします。 企業経営者の高齢化が進む中、事業承継は、中小企業がコロナ禍以前から抱える大きな問題です。 改めて申し上げるまでもなく、中小企業は我が国の社会・経済を支える存在であり、また、雇用の受皿として極めて重要な役割を担っています。 円滑な事業承継により中小企業の活力の維持・向上を図ることは、地域経済の活力の維持・向上を図ることとイコールだと言っても過言ではありません。 このため、国においては、二〇一七年に策定した事業承継五か年計画に基づき、マッチング支援や補助金制度の運用、税制面での優遇措置など様々な支援を集中的に実施されています。 また、県においても、国事業の積極的導入・活用に加え、専門家と連携したハンズオン支援や後継者育成プログラムの実施など、力を入れて取り組まれています。 しかしながら、昨年十一月に帝国データバンクが公表した調査結果によると、二〇二一年の本県の後継者不在率は七一・〇%と、前年の七五・三%から減少したものの、全国平均の六一・五%を九・五ポイント上回る、全国で五番目に高い数値となっています。 また、同じく帝国データバンクの調査ですが、県内企業の社長の平均年齢は、昨年十二月時点で六十・三歳と過去最高を更新したという結果も示されており、引き続き積極的な対応が求められる状況です。 今後の取組において、まずは、事業承継に向けた機運醸成をしっかりと図っていくことが重要だと考えます。 私自身、親族から事業を承継した者の一人ですが、その経験から思うのは、やはり早期に事業承継に対する意識を高め、計画的に準備を行うことの重要性です。気づいたときには手遅れで、廃業するしかないといった状況は避けなければいけません。 また、事業承継は経営者にとって一大事であり、承継するのも、譲渡するのも、双方に不安や悩みがつきまといます。 国、県だけでなく、市町や支援機関、地方金融機関、士業など、様々な主体が事業承継に向けた支援を行っていますが、そうした支援が経営者の抱える不安や悩み、企業の置かれる状況や課題に応じて的確に届けられることも重要です。 私の地元萩でも、事業承継による経営者の若返りを事業拡大のきっかけとされた企業も多くあります。 県においては、支援に取り組む様々な機関とも連携しつつ、事業承継の機運醸成に向けた取組、企業のニーズに応じた支援を展開することで、後継者不在による廃業を一つでも多く回避し、また事業承継を機に成長する企業を一つでも多く生み出し、本県経済の活性化につなげていただきたいと思います。 そこでお尋ねいたします。中小企業の事業承継の促進に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、中山間地域の移動手段の確保についてお尋ねいたします。 中山間地域では、人口減少や少子高齢化により、路線バスの利用者が減り、減便や廃止が相次いでいます。また、近年、免許返納により運転ができない高齢者も増えており、中山間地域で生活する高齢者の移動手段の確保は重要な課題となっています。 こうした中、各市町では、定期路線バスから予約があった場合に、バスや乗合タクシーなどを運行するデマンド型交通への転換が進められているところです。 デマンド型交通は、事前に電話予約が必要となりますが、利用者のニーズに応じて柔軟な運行を行うことができるため、利用者にとっては利便性の向上、行政にとっては運行経費のコスト削減が期待されています。 デマンド型交通への転換に当たっては、課題も見えてきているところです。運行方式、ダイヤ、発着地などの運行形態が住民のニーズと合っていない場合には、転換後に利用者が減ってしまい、逆に、一人当たりの運行経費が増えるというケースも出てきています。こうした場合、民間や地域の方が自主的に協力し合い、高齢者の送迎を手助けされている地域もあるそうです。 また、運行を受託する地域のバス事業者やタクシー事業者では、深刻な人手不足が生じており、限られた運転者の数の中で、効率的な運行も求められています。 中山間地域に暮らす高齢者が免許返納した後でも安心して生活できるよう、地域住民にしっかりと利用される、持続可能なデマンド型交通を推進していかなければならないと考えます。 そのため、県においても、課題を抱える市町や、人手不足などに悩むバス事業者やタクシー事業者を支える対策が必要ではないかと思うのです。 また、AIの活用や自動運転をはじめとしたデジタル技術の応用が、全国各地で検討され、社会実装に向けた取組が進められています。 こうした技術の活用は、交通空白地の移動手段の確保、行政負担の軽減、運転手不足の解消などに効果を期待され、中山間地域における持続可能なデマンド型交通の推進にもつながっていくものと考えております。 県内では、これまで、山口市、宇部市、長門市が地元のタクシー事業者と連携し、AI乗合タクシーの実証実験を行い、導入に向けた検討が進められています。 一方で、将来の投資効果や費用が見通せないため、導入に向けた検討や実証実験の着手をためらっている市町もあると伺っています。 本県は、地域の課題解決を目指したデジタル改革を全国に先駆けて進められておられますが、中山間地域の大きな課題である交通手段の確保に対し、モデル的な取組を支援するなど、社会実装の実現に向け、市町の取組をしっかりと後押ししていただきたいと思うのです。 そこでお尋ねいたします。地域の実情に応じた持続可能な交通体系が求められている中、中山間地域における移動手段の確保について、県としてどのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 次に、治水対策の強化についてお伺いいたします。 近年、毎年のように日本各地で大規模な水害が発生しています。萩市においても、平成二十五年七月に、これまでに経験したことのないような大雨との発表がなされた大雨災害により、須佐川や田万川が氾濫し、大規模な浸水被害に見舞われました。 当時、私の会社通勤の路上でありましたので、被害の大きさを知り、社員の安否と現場の状況を聞きました。 また、お客様の状況を聞いたときには、家を流された方、浸水された方も多くおられました。後日現地入りしましたが、そのときに目撃した被害状況については、私の脳裏に今でも生々しく焼きついています。 発災後、県は速やかに災害復旧工事に取りかかられ、再度災害防止のため、護岸の整備や河道掘削等のハード整備が行われました。発災から九年たった現在も、継続して整備が進められています。 本年も梅雨時期を迎え、大雨により河川の氾濫等に警戒をしなければならない時期になりました。局地的に集中豪雨が増加する中、都市化の進展に伴い、降雨時には短時間に大量の雨水が河川や水路に流水するようになりました。そのため、水害のリスクは一層増大しています。 このような中、県では、本年二月に、流域全体で水害を低減させるため、二級水系における流域治水プロジェクトを策定・公表されました。 今回は、私の地元を流れる阿武川や田万川、須佐川を含め、過去に大きな水害が発生し、背後に人口・資産が集中している二十六水系が策定の対象となっています。 この中では、堤防の整備や護岸の改修、河川監視体制の強化やハザードマップの周知等、ハード・ソフト両面から、今後行うべき治水対策が指示されています。須佐川、田万川の被害状況を見ても、一たび水害が発生すると、その復旧に多大な時間と費用を要するだけでなく、住民の生命・暮らしも脅かされてしまいます。 私は、毎年のように日本各地で起こる甚大な水害被害を目の当たりにしますと、現在実施されている河川改修などのハード面の整備を、より一層加速させる必要があると考えます。 その一方で、雨の降り方が局地化、集中化、激甚化する中、施設能力を上回る被害も想定すべきだと思います。このような災害から、県民の生命・身体を守るため、避難行動を促すソフト対策も重要です。逃げ遅れにより、住民の方が住宅に取り残されてしまうケースも後を絶ちません。 こうした事態を少しでも防ぐため、例えば、デジタル技術を活用して河川の危険度の見える化を進めることで、自主的な避難を促すなど、県民目線の対策を充実させることも必要だと考えます。 そこでお尋ねいたします。県民の生活を災害から守るため、ハード・ソフト両面から治水対策を強化していく必要があると考えますが、県として今後どのように取り組んでいかれるのか、御所見をお伺いいたします。 最後に、介護・看護の人材確保についてお尋ねいたします。 本県は、高齢化率が二〇二一年で三五%と全国三位となり、全国平均に比べると十年早く高齢化が進行している状況です。 このような中、県民が健康で安心して暮らしていくためには、介護や医療の担い手である介護人材・看護人材の確保・育成の取組を一層強化することが重要と考えます。 介護人材に関しましては、高齢化に伴い福祉・介護ニーズの拡大、多様化が求められる中、二〇二五年で約二千四百人の人材不足が見込まれております。 介護業界は離職率が高いという話がありますが、実際の離職率は全産業平均をやや上回る程度です。ここ数年で現場は改善されているものの、やはり介護業界は仕事がきつい、給料が安いなどの薄給激務のイメージが依然として残っているのではないかと思います。 看護人材に関しては、医療の高度化・専門化、ニーズの多様化が進む中で、看護職員の質と量の双方の確保を図ることが求められています。特に、今後、在宅医療等の推進に向けたニーズの増大が見込まれ、さらなる看護職員の育成・確保が必要不可欠となっています。 本県の十万人当たり看護師数は全国平均を上回るものの、さきに申しましたとおり、十年早く高齢化が進行する本県において、医療現場からは不足している声を聞きます。また、新型コロナウイルスの関係もあり、今まで以上に仕事の内容は多く、複雑になってきています。 私の地元萩においては、山陽側と比べ高齢化がより早く進行し、二〇四五年にはおよそ二人に一人が高齢者になると見込まれております。 介護や医療へのニーズが日々増加する中で、地元の事業者や病院などからは、現在でもなかなか十分な人材の確保ができないという声をよく聞きます。 介護・看護の人材の確保は一朝一夕になせるものではありません。介護や看護の人材の不足を解消するには、学生など人材の参入促進に加え、職業イメージの向上、離職防止や再就職支援や資質向上など、課題に即した対応を計画的に進めることが重要になるのではないか思います。 そこでお尋ねいたします。今後、高齢化が一層進行する中においても、県民が安心して生活できるよう、介護・看護の人材確保をしっかりと進めていただきたいと考えておりますが、県ではどう取り組まれるのか、御所見をお伺いいたします。 以上で、私の質問を終わらせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)岡議員の御質問のうち、私からは、治水対策の強化についてのお尋ねにお答えします。 近年、気候変動に起因する記録的な集中豪雨等による災害が全国で頻発・激甚化しており、私は、こうした災害から県民の生命・財産を守るためには、治水対策は極めて重要であると考えています。 さらに、今後、これまで以上に水害リスクの増大が予測されていることから、河川管理者等がこれまで実施してきた対策に加え、河川流域全体のあらゆる関係者が協働して、水害を軽減させるための対策を進めていくことがますます求められています。 このため県では、関係機関と連携して、流域治水プロジェクトを策定し、比較的発生頻度の高い洪水に対しては、河川改修などのハード対策を進めるとともに、施設の能力を上回る洪水に対しては、住民の避難に資する情報の提供を柱としたソフト対策を進めているところです。 具体的には、ハード対策として、過去に甚大な浸水被害を受けた河川等において河川整備計画を策定し、中長期的な視点で河川改修等を計画的に進めるとともに、あわせて、短期的に効果を発現する河川内の土砂掘削等の対策を集中的に実施しているところです。 さらに、こうした治水対策の取組を進めるに当たっては、国による、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策の予算等も積極的に活用し、ハード対策の一層の加速化に努めていく考えです。 また、ソフト対策として、住民への的確な情報伝達や避難行動につなげるため、雨量や河川の水位、河川監視カメラによる河川の状況等、河川の危険度を山口県土木防災情報システムにおいて見える化し、インターネットを通じてリアルタイムで情報提供しています。 さらに、新たに九河川において、簡易型水位計を設置し、今月一日から、河川の水位情報の提供を開始したところであり、今後も引き続きデジタル技術も活用し、防災情報の一層の充実強化を図っていく考えです。 私は、県民の暮らしの安心・安全は、あらゆることの基本であるとの認識の下、市町や関係機関と緊密に連携し、ハード・ソフト両面から、治水対策の強化に全力で取り組んでまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員よりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)高橋農林水産部長。 〔農林水産部長 高橋博史君登壇〕 農林水産部長(高橋博史君)肥料価格の高騰と農産物価格の維持・向上への対策についての二点のお尋ねにお答えします。 まず、肥料価格の高騰対策についてです。 ロシアによるウクライナ侵攻の影響による肥料価格の高騰は、燃料等の価格高騰と併せ、農家の経営を著しく圧迫しており、肥料コストの低減は喫緊の課題となっています。 こうした中、県では、肥料の使用量を削減するための技術対策資料を作成し、土壌診断による適量散布や、地元で製造された堆肥の有効活用など、JA等と連携して、きめ細かな技術的指導・助言を行ってきたところです。 一方で、お示しのとおり、肥料価格は過去に例のない水準で急激に上昇しており、こうした従来の取組だけではなく、農家の経営継続に向けた、さらなる支援が必要となっています。 このため県では、このたびの補正予算において、農家の経営安定と維持を図るため、肥料代等の経費の一部を助成する、県独自の施策を緊急的に実施することとしています。 県としては、JA等の関係団体と緊密に連携し、肥料コストの低減を図ることにより、農家の皆様が安定した経営ができるよう、積極的に支援してまいります。 次に、農産物価格の維持・向上対策についてです。 農産物の価格は、品質や需給バランスなどによって大きく変動することから、県では、これまで価格の安定を図るため、JA等と連携し、商品価値を高めるためのブランド化を進めるとともに、キャンペーン等を通じた需要の拡大に取り組んできたところです。 こうした中、お示しのように、生産活動の継続に向けては、農家の苦労が価格に反映される取組が重要であることから、これまでの対策に加え、農産物価格の維持・向上に向けた取組を強化することとしています。 具体的には、農家と実需者をマッチングする需給連携の取組を強化することで、当事者同士であらかじめ価格や数量を決める相対取引を進め、農産物価格の維持・安定につなげます。 その上で、農産物の数量や品質等が、天候などの影響で変動した場合でも、産地情報の速やかな提供によって、量販店等が柔軟に販売できるようにし、価格変動の緩和を図ります。 加えて、生産から加工、販売までを手がける六次産業化の取組については、農家自らが価格設定できることから、やまぐち六次産業化・農商工連携サポートセンターの支援体制を強化し、魅力ある商品づくりを進めることで、農産物の付加価値を高めていきます。 県としては、これらの取組を通じて、農家の方々が安定した収益を確保できるよう、JAや関係団体等と連携しながら、積極的に支援してまいります。 副議長(二木健治君)弘田健康福祉部長。 〔健康福祉部長 弘田隆彦君登壇〕 健康福祉部長(弘田隆彦君)県民一斉健康づくりについての二点のお尋ねにお答えします。 まず、県民の主体的な健康づくりの支援についてです。 健康寿命の延伸に向けては、県民一人一人の主体的な健康づくりの促進と、それを支援する仕組みの充実が重要であることから、県では、健幸アプリや健康経営企業認定制度の普及に取り組んでいるところです。 健幸アプリについては、楽しみながら健康づくりが続けられるよう、ウオーキング歩数を視覚化する機能や、仲間との競争やポイント獲得などゲーム的な要素を加えるとともに、テレビなど様々な媒体により広く普及に努め、現在、ダウンロード数は五万件を超えています。 今後は、さらなる利用促進に向けて、企業協賛キャンペーンの拡充に努めるとともに、アプリの魅力を高めるため、県内観光地を巡るバーチャルウオーキングコースの設定や、自宅でできるストレッチ動画の紹介など、内容の充実を図ってまいります。 また、健康経営企業認定制度については、より多くの企業に、従業員の健康づくりに取り組んでいただけるよう、経済団体や協会けんぽ等と連携し、リーフレット等を活用した制度の周知を図っており、これまで四百七十二事業所を認定してきたところです。 今後、健康経営企業のさらなる拡大を図るため、認定企業の取組をホームページ等で広く紹介するとともに、認定を目指す企業に対して定期的な情報提供や保健師等による、それぞれの企業の特色に応じた健康づくりへの助言を行うなど、企業における健康経営の取組を支援してまいります。 次に、健康づくりの見える化についてです。 県民一人一人が健康づくりに対する意欲を高め、取組を継続していく上で、自身の健康状態や取組の成果を数値化して把握することは、大きな効果があります。 このため県では、健幸アプリを活用して、歩数や血圧、体重を記録し、日々の変化をグラフで表示できるようにするなど、個人の健康行動の見える化に取り組んでいるところです。 また、今年度、健康づくりに関する県民意識調査を実施し、運動や食生活等の実態を年代や市町別に分析することとしており、こうしたデータをホームページに掲載するなど、広く県民の皆様に還元し、健康づくりに役立ててまいります。 県としましては、健康寿命の延伸に向けて、今後とも、市町や関係団体、企業と連携し、県民総参加による健康づくりの推進に積極的に取り組んでまいります。 次に、介護・看護の人材確保についてのお尋ねにお答えします。 高齢化の進行等により介護や医療ニーズが増大・多様化する中、県民が生涯を通じて健康で安心して暮らしていくためには、良質な介護・看護サービスを担う人材の確保・育成が重要です。 このため県では、やまぐち高齢者プランや山口県保健医療計画に基づき、中長期的な視点に立って、計画的な人材の養成と安定的な確保及び資質の向上に取り組んでいます。 まず、介護人材については、学生への修学資金の貸付けのほか、多様な人材の参入を図るため、他業種からの転職希望者や中高年齢者に対し、求人事業者とのマッチングや、研修機会の提供、就職支援金の貸与など、求職から就職までの一貫した支援を行い、人材の確保に努めています。 また、介護職のイメージアップに向けて、若い介護職員が誇りを持って働く姿を県ホームページ等で紹介するとともに、中高生等を対象とした介護の職場体験やインターンシップを実施し、将来の担い手の育成につなげてまいります。 次に、看護人材については、看護学生の県内就職に向けた修学資金の貸付けや、潜在看護師の再就業等を支援する山口県ナースセンターにおける相談対応や職業紹介、次世代の担い手となる中高生向けの進路ガイダンスや看護体験の実施等により、人材の確保と魅力発信に取り組んでいます。 また、今後、需要の増大がさらに見込まれる在宅医療への適切な対応に向け、訪問看護師に対する褥瘡ケア等の在宅医療に必要な技能研修の実施や、医療の高度化等を踏まえ、がんや認知症など専門性の高い認定看護師を育成するなど、看護師の資質向上に努めてまいります。 県としましては、今後とも、関係団体等と連携し、介護医療現場の実情に即した実効性のある対策を推進し、介護・看護人材の確保・育成に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)小関商工労働部長。 〔商工労働部長 小関浩幸君登壇〕 商工労働部長(小関浩幸君)中小企業の事業承継の促進についてのお尋ねにお答えします。 県ではこれまで、国や市町、商工会議所等の関係機関で構成する事業承継ネットワーク会議を核に、集中月間における普及啓発をはじめ、専門家による相談対応、さらには県独自の後継者育成塾の開催等により、円滑な事業承継の推進に取り組んできました。 しかしながら、経営者の高齢化が進む中で、円滑な事業承継の一層の促進を図るためには、事業承継の早期準備に向けた意識喚起の徹底を図るとともに、企業の置かれた状況や課題に応じた的確な支援が届けられるよう、取組の強化が必要です。 このため、今年度、新たに四名の経営課題診断員を各地域に派遣し、中小企業への巡回訪問をきめ細かく行うことにより、事業承継の準備状況の確認や早期準備に対する理解の促進を図っていきます。 また、経営状況等の聞き取りを行う中で、後継者候補の有無に応じて、関係機関との連携による的確な支援を講じることで、具体的な事業承継につなげてまいります。 まず、親族等の候補のいる事業者には、商工会議所や金融機関等による、事業承継計画の策定サポートや経営者保証の解除に向けた相談対応を強化すること等により、後継者の早期確定を支援していきます。 親族等の後継者が不在の事業者には、事業承継・引継ぎ支援センターの全国データベースの活用や、M&A支援機関との連携によるマッチング強化等により、第三者による承継を進めてまいります。 こうした取組により、一つでも多くの事業承継の実現につなげるとともに、事業承継を契機に事業の成長が図られるよう、付加価値向上を目指した、経営革新による新事業展開等を支援していきます。 県としては、地域経済の活性化に向け、今後、関係機関との連携を一層強化し、中小企業の事業承継の促進に積極的に取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)三坂観光スポーツ文化部長。 〔観光スポーツ文化部長 三坂啓司君登壇〕 観光スポーツ文化部長(三坂啓司君)中山間地域の移動手段の確保についてのお尋ねにお答えします。 人口減少や高齢化が進む中山間地域においては、利用者の減少に伴うバス路線の廃止や減便が進行しており、高齢者の買物や通院をはじめ、住民の日常生活を支える身近な交通手段の確保が重要な課題となっています。 このため県では、デマンド型乗合タクシー等、地域コミュニティー交通の導入や運行に係る経費を支援することにより、地域の実情に応じた利便性の高い交通体系への転換を促進し、地域の移動手段の維持・確保を図っているところです。 また、運行を担うバスやタクシー事業者の運転手不足の解消を図るため、山口労働局等と連携した就職相談会を開催するなど、地域公共交通の担い手確保にも取り組んでいます。 こうした中、近年のデジタル技術の急速な進展を背景に、AIを活用したデマンド型乗合タクシーや自動運転など、交通分野における新たな技術の開発や社会実装が全国的に進められています。 このため県では、こうしたデジタル技術の活用等による新たな移動手段の導入や利便性向上を目指した取組が、県内市町においても一層促進されるよう、先進的な取組に関する情報提供や助言などの支援を行い、本県の交通空白地における移動手段の確保につなげていきたいと考えています。 県としては、今後とも、市町と連携し、中山間地域における高齢者をはじめとした地域住民の日常生活に不可欠な移動手段の確保に取り組んでまいります。