1 県政と大学の連携について 2 その他
───◆─・──◆──── 午後一時開議 副議長(二木健治君)休憩前に引き続き会議を開きます。 ───◆─・──◆──── 日程第一 一般質問 日程第二 議案第一号から第十四号まで 副議長(二木健治君)日程第一、一般質問を行い、日程第二、議案第一号から第十四号までを議題とし、質疑の議事を継続いたします。 合志栄一君。 〔合志栄一君登壇〕(拍手) 合志栄一君 新政クラブの合志でございます。通告に従いまして、県政と大学の連携についてということで県政における政策の形成と推進において、大学との連携を一層進めるべきとの観点から一般質問を行います。 まず、県政と大学の連携を一層進めるべきと考える理由について、私なりの所見を二つ申し上げます。 その一は、時代の方向であります。これからの時代はどういう方向に向かって進んでいくのか。この問いに対しまして、我が国の科学技術政策は、経済発展と社会的課題の解決を両立する人間中心の社会未来像としてSociety5・0を提示しています。Society5・0は、平成二十八年に閣議決定されました第五期科学技術基本計画において、我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。人間社会が狩猟社会──Society1・0、農耕社会──Society2・0、工業社会──Society3・0、そして情報社会──Society4・0と推移してきたとの時代認識に立ち、今日の情報社会──Society4・0に続く新たな社会として想定されているのがSociety5・0であります。 第五期科学技術基本計画は、Society5・0について次のように記しています。「ICTを最大限に活用し、サイバー空間とフィジカル空間(現実世界)とを融合させる取組により、人々に豊かさをもたらす超スマート社会を未来社会の姿として共有し、その実現に向けた一連の取組をさらに進化させつつ、Society5・0として強力に推進し、世界に先駆けて超スマート社会を実現していく。」 ここに記されているサイバー空間とフィジカル空間(現実世界)の融合とは、物のインターネットと言われるIoTを通してサイバー空間に蓄積された現実世界の膨大な情報ビッグデータがAIによって解析され、現実世界の課題解決の最適解が見いだされて、サイバー空間からフィジカル空間(現実世界)にフィードバックされ現実世界の課題解決が図られていくという等の関係が深まっていくことを意味していると思われます。 Society5・0において実現される超スマート社会については、次のように記されています。「必要なもの・サービスを、必要な人に、必要なときに、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かに対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、活き活きと快適に暮らすことができる社会。」こうした超スマート社会の実現に向かうSociety5・0は、情報社会の次なる新たな社会との位置づけでありますが、Society5・0を支える基盤技術がデジタル技術であることからすれば、Society5・0も広い意味での情報社会に包含される社会と見なすのが私には正確な認識だと思われます。 情報社会の出現は、世の中のあらゆる情報をゼロと一に数値化してデジタル情報に転換することを可能にした情報の理論の確立と、そうしたデジタル情報はコンピューター処理が可能で、その技術が発達し、情報通信がアナログからデジタルへと転換が図られたことにより招来されたものでありまして、その情報社会が高度に進化したのがSociety5・0であると見なすのが私は妥当な認識であると考えます。 そうした認識は、情報社会についての理解を深めれば当然共有されるものであるにも関わらず、我が国の科学技術政策においてSociety5・0が情報社会に続く新たな社会として掲げられたのは、AIやIoT等の活用により人間中心の視点からより高度にシステム化された情報社会、すなわち超スマート社会が展望されることになったことから、その実現に向けて国の力を結集する国づくりの目標として、第二期情報社会というより新たな望ましい社会の到来をイメージさせるSociety5・0という表現になったものと推察しております。 令和三年三月に閣議決定された第六期科学技術・イノベーション基本計画も、Society5・0の実現を計画の主軸に位置づけ、国民の安全と安心を確保する持続可能で強靭な社会、一人一人の多様な幸せ、ウエルビーイングが実現できる社会として提示しています。 こうしたSociety5・0に向かう国づくりの方向は、当然に地域づくりの方向でもありまして、これからの地域政策はその方向に向かって人間中心の視点から高度な情報社会の在り方を構想し、具体化する知的総合力が求められます。このことが県政と大学の連携を一層進めるべきだと考える理由その一であります。 次に、理由その二は、大学の役割であります。平成十七年に中央教育審議会は、我が国の高等教育の将来像について答申し、「大学は教育と研究を本来の使命としているが、社会貢献(地域社会・経済社会・国際社会等、広い意味での社会全体の発展への寄与)の役割を、言わば大学の第三の使命として捉えていくべき時代になっている」との見解を示しました。この答申を踏まえ、翌平成十八年の教育基本法の改正において社会貢献が大学の使命であることが明文化されました。以来、教育や研究それ自体が長期的に見れば社会貢献活動であると言えますが、より直接的な社会貢献の役割を大学は求められるようになりました。さらに、平成二十四年に文部科学省は、大学改革実行プランを策定し、地域再生の核となる大学、生涯学習の拠点となる大学、社会の知的基盤としての役割を果たす大学のCOC(Center of Community)機能の強化を大学改革の方向性の一つとして示し、地域における大学の役割を明確にしました。 全国の大学は、こうした時代の要請に応えて地域貢献を大学の在り方の主要な柱の一つに位置づけることになります。本県の国立大学法人山口大学は、大学創基二百周年を迎えた二〇一五年に明日の山口大学ビジョンを策定し、地域連携をそのビジョンの柱の一つに掲げました。そして、実際その役割を担うところとして地域未来創生センターを創設しました。 山口県立大学は、教育基本理念の一つに、地域社会との共生を掲げ、その理念を実現するための施設として地域共生センターを設置しています。 また、今年の春、公立大学として新たにスタートした周南公立大学は、「地域に根差し、地域の問題を地域とともに解決し、地域に愛され地域に信頼され、地域に輝く大学となる」ことを大学が目指す姿、ビジョンとして示し、地域振興への貢献の窓口として地域共創センターを開設しています。この共創は共に創るという共創であります。 このように今日、大学は地域との連携・貢献を自らの役割として位置づけ、地域課題の解決に大学が有する知見や機能を役立て生かしていこうとしています。こうした大学の姿勢を県政はしっかり受け止めるべきだと考えます。 そして、執行力を持つ県と知見を有する大学が連携を一層進めることにより、県政における地域課題解決の総合力を高め、強化していくことを図っていくべきではないでしょうか。そうすることにより、将来に向けてよりよい県づくりが進んでいくことを県民は県と大学に期待していると思っています。 以上、県政と大学の連携について思うところを申し上げましたが、このことにつき、まず県のお考えと基本方針をお伺いいたします。 次は、山口大学との連携についてであります。 山口県において大学との連携を進める上においては、まず本県の基幹総合大学である山口大学との連携をしっかりしたものにすることが肝要と考えます。山口大学は、先ほど紹介しましたが、大学が持つ人材や知的資源を有効に活用し、地域社会との多様な連携と地域課題の解決に寄与する拠点施設として地域未来創生センターを平成二十七年に設置しています。また、令和四年度から九年度までの六年間を計画期間とする山口大学第四期中期目標においては、最初の項目に、地域との共創、この共創も、共に創る共創であります、最初の項目に、地域との共創を掲げ、「地域の抱える社会課題を共有し、地域の企業や教育機関、行政機関と協働し、産・学・公連携の知の拠点として、シンクタンク機能を果たし、優秀な人材を提供し、課題の解決に寄与することにより、地域に頼られ、地域から必要とされる魅力ある大学をめざします」と明記して、地域連携・地域貢献の姿勢を強く打ち出しています。 そして、実際、大学の先生方は県内自治体の各種審議会や委員会等の委員になるなどの地域貢献活動に数多く関わっていて、平成二十九年から令和元年度までの間の実績が大学のホームページに公表されているのを見ますと、県関係が二百九十四件、県内の市関係が二百八十二件と、実に広範多岐にわたり数多く県及び市の施策に山口大学が関わっていることが伺われます。 また、炭鉱とセメントの町として知られた宇部市は、戦後の産業の発展とともに、ばいじんによる大気汚染が深刻化し、灰の降る町と言われていましたが、地域の産官学民の四者が協力して取り組む宇部方式により、現在の、緑と花と彫刻のまちというキャッチフレーズどおりの美しい景観を持つ町に生まれ変わりました。その宇部方式といわれる取組には山口大学の医学部、工学部の先生方の尽力指導があったことは広く知られていまして、山口大学の歴史における地域課題解決、地域貢献の輝かしい事例であります。 こうした山口大学の地域貢献活動が個別的な地域課題の解決のみならず県全体の重要課題の解決も志向するようになるのは当然の成り行きで、山口大学の関係者は、県の総合計画の策定や重要政策の形成に最初の段階から関わることにより、さらによりよい県政の実現に寄与できるとの思いがあるようです。 そこでお尋ねです。県政における政策の形成と推進において山口大学との連携を一層進めるべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 次に、大学リーグやまぐちと研究支援についてであります。 中央教育審議会大学分科会は、令和三年十二月にこれからの時代の地域における大学の在り方について、審議のまとめを公表しました。地方の活性化と地域の中核となる大学の実現をサブタイトルとするこのまとめは、「大学が地域の中核的な拠点となっていくに当たっては、地域のために大学が貢献するとともに地域も大学と一緒になって取組を進めていく、そのような大学と地域の関係の構築が重要である」と指摘し、「地域の大学やその他の高等教育機関のみならず、地方公共団体、産業界、金融機関等の様々な関係機関が一体となった恒常的な議論の場として地域連携プラットフォームを構築・活用していくことが求められている」と述べています。 本県におけるその地域連携プラットフォームに相当するのが大学リーグやまぐちでして、平成二十八年十月に設立されています。設立当初は、県内大学・短期大学を中心とした体制でしたが、令和二年八月に組織の拡充が行われ、県内全ての大学・短期大学十七校に加えて高等専門学校全三校、経営者協会等の県内経済五団体、やまぐち産業振興財団などの三支援機関、私学三団体、山口労働局や山口県、市長会等の五行政機関が会員となり、大学リーグやまぐちは三十六機関・団体を構成メンバーとする地域連携プラットフォームとして体制を整え、機能強化が図られました。 このように陣容を整えた大学リーグやまぐちが、会の設立以来取り組んできた主要課題は、若者の地元定着であります。この会には、実行組織として、県内進学・魅力向上部会、県内就職部会、地域貢献部会の三部会が設けられていますが、若者の地元定着を共通の目標として役割を分担したものと考えられます。 県内進学・魅力向上部会は、本県高校生の県内大学への進学を促進しようとする部会であります。県内就職部会は、本県の大学で学ぶ若者が県内企業への就職に向くよう課題に取り組む部会です。地域貢献部会は、県内企業が必要とする人材育成の教育プログラムの実施等、地域・企業の課題解決のため、大学シーズと地域・企業ニーズのマッチング等に取り組んでいます。 私は、そうした若者地元定着への取組と併せ、本県の地域課題解決に向けた研究への支援をこの大学リーグやまぐちの事業の柱の一つにすることを提案します。どういう仕組みにするかは、それこそ大学リーグに専門部会を設けて検討すればいいと思いますが、参考になるのは我が国の科研費と呼ばれている科学研究費助成事業であります。 科研費は、全国の大学や研究機関で行われている様々な研究活動に対して必要な資金を研究者に助成する仕組みの一つであります。科研費制度では、研究者から応募された研究計画に対してピアレビューといってそれぞれの分野に精通した審査員による厳正な審査を経て採択が決定され、研究費が助成されることになります。 この科研費に対しては、令和元年度以降、毎年、二千三百七十億円余の予算措置がなされていまして、令和二年度は約十万四千件の応募があり、約二万九千件が採択されています。こうした採択状況をどう評価するかは見解が分かれるところでしょうが、大学が直接学内研究者に配分することができる研究費が大幅に減少している昨今、この科研費が我が国の科学研究を支える上で大きな役割を果たしていることは確かであります。 そこでお尋ねです。本県の地域課題の解決に向けた研究支援を大学リーグやまぐちの主要事業の一つに位置づけ、取組を推進すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。 最後に、デジタル化の推進に関し、大学との連携についてお伺いいたします。 村岡知事は、全国知事会のデジタル社会推進本部の本部長でもあり、本県の県政運営においてデジタル化の推進は特に力が入っているように感じています。ただ、本県のデジタル化に関する施策は、どういう関係者によりどのような議論を経て政策が形成され、施策が推進しているのだろうかとの思いがあります。率直に申し上げて、本県のデジタル化は様々なデジタル化への取組はあるものの、個別的な業務・製造プロセスのデジタル化であるデジタライゼーションの域にとどまっていて、県民の立場に立った全体的、構造的なデジタル化を意味するDX、デジタルトランスフォーメーションが進んでいるとは思えません。しかし、県のデジタル化に関する施策にはDXの言葉がふんだんに出てきます。 令和四年度の県予算では、やまぐちDX推進事業に三億円余の予算措置がなされていますが、この事業のメインは山口市熊野町のニューメディアプラザ十階にある、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」の運営事業であります。予算概要にあるこの事業の説明を見ますと、専門スタッフを配置し、DXコンサルティングや技術サポートによる多様な分野におけるDXの推進とあります。 実は、私はこの施設を訪ねました。そして、ここの専門スタッフの方々が使命感を持って熱心に職務を遂行しておられる様子には感心いたしましたが、果たしてここが本県のDX推進拠点と言えるのだろうかとの思いを持ちました。ここで説明を受け、体験したデジタル技術は、私の理解ではデジタライゼーションに関するものだったからであります。 私は、こういう施設があることの意義は認めるものです。ただ、デジタル化に係る事業を担っている民間事業者が、一般市民や企業または子供たちにデジタル技術の可能性を知ってもらうために取り組んでいいはずの事業だなとの思いを正直持ちました。 私は、本県のデジタル化を進める上においては、もっと大学との連携を進めるべきだと考えています。 一口にデジタル化と言っても、デジタル化には三段階あります。第一段階は、アナログ・物理データのデジタル化でデジタイゼーションと言われています。様々な情報をデジタル情報に置き換えるデジタル化であります。第二段階は、デジタライゼーションで個別の業務・製造プロセスのデジタル化です。本県のデジタル化は、おおむねこの段階が進行中だと見ております。この第一段階のデジタイゼーション、第二段階のデジタライゼーションを土台にして進められる第三段階のデジタル化が、デジタルトランスフォーメーションでDXと称されています。このDXは、組織全体かつ横断的な業務・製造プロセスの構造的なデジタル化で、個別最適と全体最適を同時に実現するものであります。ビジネスモデルにおいては、顧客起点による構想が求められます。 山口県のデジタル化は、村岡知事の熱心な取組により第一段階を経て第二段階に至り、いよいよ本格的に第三段階のDXに向かおうという地点に立っていると見るのが現状の正確な認識だと思います。 そうした認識に立ってこれからの本県のデジタル化推進の取組を考えるとき、県民起点で県全体のデジタル化を構想していく力を持つ必要があります。その力は、デジタル化についての知識・技術は当然ですが、さらに人間・社会のことも含めた幅広い総合的な知の力があって発揮されるものと考えられます。私が県のデジタル化の推進において大学との連携を進めるべきと主張する理由はそこにあります。 二〇二〇年、二十五年ぶりに科学技術基本法の本格的な改正が行われまして、これまで科学技術の規定から除外されていた、人文・社会科学──法では人文科学と記載されていますが、これまで科学技術の規定から除外されていた人文・社会科学に係るものを同法の対象である科学技術の範囲に位置づけました。このことに関し、令和三年に閣議決定された科学技術・イノベーション基本計画はその背景について次のように説明しています。「科学技術政策が、一人一人の価値、地球規模の価値を問うことが求められるようになり、研究開発だけではなく、社会的価値を生み出す政策へと変化する中、人文・社会科学の知と自然科学の知の融合による、人間や社会の総合的理解と課題解決に資する総合知の創出・活用がますます重要になってきた」と。そして、我が国が直面する様々な課題を解決していくためには自然科学のみならず人文・社会科学も含めた多様な知の創造と総合知による現存の社会全体の再設計、さらにはこれらを担う人材育成が避けて通れないとこの基本計画は指摘しています。 先般五月に、山口大学、山口県立大学、山口学芸大学の三大学は、文部科学省のSPARCと称する地域活性化人材育成事業に応募し、令和五年秋に大学等連携推進法人を設置し、大学や学部・研究科の枠を超えて人間中心の視点から地域課題の解決に貢献する文系DX人材の育成に取り組もうとしています。 私は、国の新たな科学技術政策の要請に応える取組として、このことを評価し、この教育計画で育った文系DX人材が、本県のみならず我が国のDXを担うようになることを期待しています。 そしてまた、そういうDXを担う人材を育てる大学の知見や人材が、現在、本県が進めようとしているDXを実りあるものにするためにも生かされることを期待するものであります。 以上、るる申しましたが、いずれにせよ県民起点で一人一人の多様な幸せ、ウエルビーイングを実現できる県づくりに向けて本県のデジタル化を進め、DXを実現していくためには、総合知を結集して県全体のデジタル化を構想設計するプロセスが不可欠であり、そのためには大学との連携が重要と考えます。ついては、このことにつき御所見をお伺いいたします。 以上で、一般質問を終わります。(拍手) 副議長(二木健治君)村岡知事。 〔知事 村岡嗣政君登壇〕 知事(村岡嗣政君)合志議員の御質問のうち、私からは県政と大学の連携に関する基本方針についてのお尋ねにお答えします。 今、県政は、直面するコロナの危機の克服や原油価格・物価高騰への対応に加え、予測を上回るスピードで進行している人口減少・少子高齢化、脱炭素化に向けて求められる産業構造の転換、頻発化・激甚化する自然災害への備えなど、様々な分野にわたって困難な課題を抱えています。 こうした諸課題を克服し、将来にわたって、安心で希望と活力に満ちた山口県を築いていくためには、市町や企業、団体、そして大学など様々な分野で主体的に活動を行っておられる皆様と思いを共有し、連携・協働しながら県づくりの取組を進めていくことが重要です。 とりわけ、大学は幅広い分野にわたって豊富な専門的知見を有していることから、県では県内の各大学と連携し、若者の県内定着や産業振興、人材育成などの取組を進めているところです。 また、多くの大学では、地域貢献を重要な役割として掲げ、研究シーズと企業の技術的課題等とのマッチングや、企業等の具体的な課題をテーマとする教育プログラムの実施などの取組を進めており、県はこうした取組への支援を行っています。 お示しのありましたSociety5・0の実現に向けては、今後、情報通信分野における技術革新をあらゆる産業や社会生活に取り入れていくことが必要であり、大学にはそうした取組を担う人材の育成が強く求められています。 このため、県では、山口大学と連携し、ビッグデータを活用して新たな商品やサービス等を生み出す取組の中核を担うデータサイエンティストを養成しているところであり、さきの政府要望においても複数の大学と地域が連携・協力して行う人材育成の取組の採択を国に強く働きかけたところです。 今後は、さらに我が国の経済成長を牽引する新たなイノベーションの創出や、世界共通の課題である脱炭素化への対応等に向け、産学公が英知を結集していくことが求められ、大学との連携・協働はこれまでにも増して重要になっていきます。 私は、新たな未来に向けた県づくりをより高いレベルへと押し上げていけるよう、今後とも県政各分野で展開する様々な施策において大学との連携・協働を積極的に推進してまいります。 その他の御質問につきましては、関係参与員によりお答え申し上げます。 副議長(二木健治君)松岡総合企画部長。 〔総合企画部長 松岡正憲君登壇〕 総合企画部長(松岡正憲君)山口大学との連携についてのお尋ねにお答えいたします。 人口減少・少子高齢化が急速に進む中、地域の活力を創出し、本県の確かな未来を切り開いていくためには、県政の各分野にわたる専門的知見を有する本県唯一の総合大学である山口大学との連携は大変重要であると考えています。 このため、毎年度、本県の県づくりの取組について審議を行う山口県活力創出推進会議に山口大学からも委員として参画をいただき、御意見等を伺い、その後の施策展開に反映しているところです。 また、個別の施策の実施に当たっても、地方創生に係る包括連携協定等に基づき、県と山口大学がそれぞれの持つ知見やノウハウを結集し、より大きな成果につなげていけるよう検討を始める段階から緊密に連携・協働を行っています。 具体的には産業に関する分野においては、山口大学が持つシーズを基にした医療、環境・エネルギー、バイオ関連のイノベーション創出をはじめ、県内の製造業・情報サービス産業を支える人材育成などに連携して取り組んでいます。 生活に関する分野では、災害発生時に山口大学が衛星データを解析し、その結果を関係機関で共有して迅速な対応につなげる仕組みを構築したほか、高齢者の介護予防や認知機能等の低下の予防をテーマとする研究、本県の医療を支える人材の育成などの取組で連携を行っているところです。 こうした中、県政を取り巻く環境はデジタル化や脱炭素化をはじめ、様々な分野で大きく、そして急速に変化しており、これらの変化にしっかり対応していけるよう山口大学が持つ知見の活用をさらに進める必要があると考えています。 県としては、引き続き、山口大学と緊密に連携しながら、現在進めているやまぐち未来維新プランの策定をはじめ、県政各分野にわたる政策の形成と、その円滑な推進に努めてまいります。 次に、デジタル化の推進についてのお尋ねにお答えします。 本県のDX推進に向けては、知事をトップとするデジタル推進本部においてデジタル改革で目指す姿やそれに向けた取組内容等を決定し、全庁を挙げてデジタルによる県全体の改革への取組を進めています。 このデジタル改革では、何よりも現場での取組を重視しており、様々な課題に直面する現場に新たなデジタル技術を積極的に導入・実装し、それを実践する中でさらなる改善を図っていく、そうしたループを回し、DXを実現していくとの考えの下、取り組んでいます。 このため、やまぐちDX推進拠点「Y─BASE」においても高いスキルを有する専門スタッフが各現場のデジタルによる変革を見据えながら最適なソリューションの導入等の支援を行っており、そうした取組を着実に積み重ね、さらに、そこで生まれた優良事例の横展開も図り、全県的なDXにつなげていきたいと考えています。 そうした取組を進める上では、デジタルへの高い知見、そして優れた技術を持つパートナーとの連携が不可欠であり、現在、スタートアップも含め、先端企業などとの連携を図っていますが、お示しの大学についてもそうした形での連携が図れることを期待しています。 また、県内では、官民を問わずデジタル化の取組を担う人材の不足が大きな課題となっており、その解決に向けては、特に大学との連携が重要だと考えています。 このため、これまでも山口大学と連携し、データサイエンティストの育成に取り組んでいますが、このたび県内三大学が国の事業に応募し、地域課題の解決に貢献する文系DX人材の育成に取り組むこととされました。 県もこれを後押しするための政府要望を行ったところであり、こうした取組を通じて大学が実践的な人材を早期に育成し、その人材を県内の様々な現場に送り込んでいただくことを期待しています。 また、デジタル化の推進に向けては、官民協働フォーラムのような自由な組織の交流の中から新たなソリューション等が生まれていることから、大学にはシビックテックに挑戦するような新しい価値観を持つ人材も育成していただきたいと考えています。 こうしたことに加え、大学との連携に関して大学側から「Y─BASE」にデジタルによる大学運営の変革に係る相談が寄せられています。「Y─BASE」では、デジタルによる変革の第一歩となる業務のデジタル化等の支援をはじめ、AIとデータを活用した新たな価値を生み出す取組への支援など様々なレベルの支援が可能であることから、大学への支援もしっかりと行い、大学のDXにも貢献していきたいと考えています。 県としては、引き続き、大学をはじめ多様な主体と緊密に連携しながら本県のDXの実現に向けて取り組んでまいります。 副議長(二木健治君)内海総務部長。 〔総務部長 内海隆明君登壇〕 総務部長(内海隆明君)県政と大学の連携に関する御質問のうち、大学リーグやまぐちと研究支援についてのお尋ねにお答えします。 大学リーグやまぐちは、お示しのとおり、平成二十八年十月、県内全ての大学・短期大学が相互に連携し、県と協働しながらその魅力や地域貢献力の向上、若者の県内定着の促進を図る目的で設立されました。 その後、令和二年八月に多様な実行主体による連携・協働を図るため、全ての高等専門学校、山口労働局、経済団体、支援機関、私学団体の参画を得て、地域連携プラットフォームとして再構築し、現在、三十六機関・団体を会員として構成しています。 お示しのような地域課題の解決に向けた研究への財政支援については、高等教育行政を所管する国の役割であり、国立大学運営費交付金や私立大学に対する助成の拡充等を図るよう国に対して要望しているところです。 一方で、大学等の研究を支援するため、本年度、大学リーグやまぐちの地域貢献部会の取組として、県内大学等が有する研究シーズ集を作成・公開し、経済団体等を通じて広く発信することで共同研究等を通じた地域・企業との連携強化を図ることとしています。 県としては、今後とも大学リーグやまぐちを中心に高等教育機関をはじめとする多様な実行主体と連携・協働を図ることで地域課題の解決に取り組んでまいります。