討論
────────────────────── 討 論 議長(柳居俊学君)これより討論に入ります。 討論の通告がありますので、それぞれの持ち時間の範囲内において、順次発言を許します。 木佐木大助君。 〔木佐木大助君登壇〕(拍手) 木佐木大助君 日本共産党県議団を代表して、討論を行います。 本定例会議に提案された五十八議案のうち、議案第一号、十五号、十七号、二十七号、三十五号、三十六号、四十四号及び六十一号の八議案に反対し、残る五十議案には賛成をいたします。 反対する主な議案について理由を述べます。 議案第一号、二○二三年度一般会計当初予算についてであります。 反対する理由の第一は、コロナ禍と物価高騰で苦しめられている県民の暮らしとなりわいへの支援策が極めて不十分なことであります。 本会議でも指摘しましたが、昨年十二月の山口市の消費者物価指数は、前年同月比四・四%増、とりわけ光熱水道費は一六・八%も上昇しています。生活保護世帯を含む低所得者世帯にとっては、まさに死活問題であります。 新年度予算には、物価高騰対策事業として約六十九億円計上されていますけれども、家計を直接支援する施策は全くありません。医療、介護、福祉、教育施設向けの施策の財源は国庫であり、県費が充てられているのは中小業者向けの施策に限られています。 今こそ、家計を直接支援する施策に取り組むべきであります。 第二は、山口県の未来を見据えたときに、喫緊の課題である少子化や人口流出を食い止めるための施策が乏しいことであります。 若者が結婚して家庭を持つ、そして子供を望む家庭では産んで育てていく。以前は当たり前だったことが、もうけ最優先で働く者を犠牲にする新自由主義経済によって困難になっています。 こんなときにこそ、住民福祉の増進をイの一番の仕事とする地方自治体の出番であります。県内十九市町は、住民のニーズに応えて、子供医療費助成制度の拡充に取り組み、新年度には、下関市が十月から通院は中学校卒業まで完全無料化をする、そして通院は高校卒業まで広げます。上関、田布施、平生三町も対象年齢を高校卒業まで拡充いたします。 ところが山口県は、新年度も対象年齢は小学校未就学児、そして所得制限、一部負担金ありという水準にまた固執されました。対象年齢は十八年間据置きであります。さらに、一部負担金導入という改悪まで行ってきました。 本会議での質疑で、県が制度の拡充を拒むのは、拡充すると維持できないとの理由から、現行水準維持を基本としているわけではない旨の答弁もありました。さらに市町が拡充しているのは、それは、それぞれの自治体が住民のニーズ等を踏まえて判断されているものとも言われました。お金はある、住民ニーズもあることを知りながら、やらない理由ばかりを繰り返してきている山口県の対応には、怒りすら覚えます。 こんな理不尽な県の姿勢を変えるために、県政与党の皆さんも含めて、ぜひ声を上げていただくよう強く要望をいたします。 小中学校の給食費無償化も、県内では岩国市、萩市、和木町に続き、阿武町が新年度からの無償化を発表いたしました。下関も半額助成に踏み切ります。給食費無償化について県教委は、現時点では考えていないと答弁されました。現時点ではなく、将来的に近い将来には、こういう含みを持たせたものとして理解するものであります。 第三は、一方で、不要不急の大型公共事業、大企業への過度の支援が目立つことであります。 新年度予算には、往時より減少したとはいえ、八百八十六億円の投資的経費が計上されています。大半は道路や橋梁、港湾、河川の維持管理、防災対策など必要な事業でありますけれども、橋梁部を含めて約八キロメートルで、二千九百億円から三千五百億円の事業費が見込まれている下関北九州道路や、四百億円以上の木屋川ダムかさ上げ事業など、まさに不要不急の事業も含まれています。 こうした理由をもって、新年度一般会計当初予算に反対をいたします。 議案第四十四号、二○二二年度一般会計補正予算についてであります。 歳出では、民生費が約三十三億円、衛生費が約六十九億円と健康福祉部所管だけで百三億円もの減額であります。教育費も二十五億円の減額であります。金額だけに目を向ければ、子供医療費助成制度や少人数学級の拡充、教職員の多忙化改善などの施策に使えていたものであり、容認できません。 また、本補正では、県税収入の上振れ分などを活用して、後で触れますが、四つの基金に計二百億円が積み立てられます。基金に積み立てるのではなく、新年度の一般行政経費として使われるべきものであり、絶対に容認できません。 議案第二十七号は、資金積立基金条例の一部を改正する条例であります。 二○二一年度決算資料によると、山口県は財政調整基金など二十五の基金を持ち、合わせて約五百十七億円の積立金などを保有しています。 本条例には、新たに安心・安全基盤強化、デジタル実装推進、脱炭素社会実現、活性化・県民活力創出、そして退職手当の五つの基金を設けるものであります。 このうち定年延長など、将来にわたり必要不可欠の退職手当の支給に必要な財源を確保するための退職手当基金を設けることには賛成をいたしますが、残り四つの基金を設けることには反対をいたします。 地方自治法第二百四十一条第三項は、基金のうち、特定目的のために財産を取得し、または基金を積み立てるための基金は、当該目的のためでなければ処分はできないとしています。 提案された新たな基金のうち、退職手当基金を除く四つの基金の設置目的は、どれも極めて曖昧であります。 一例を挙げると、安心・安全基盤強化基金の目的は、県民生活における安心・安全、これを確保するための基盤の強化を図ることとありますが、解釈によっては何にでも使え、わざわざ特定目的の基金をつくる必要性はありません。 貴重な財源を目的が曖昧な基金に積み立てることで、一般行政経費が圧迫されることも考えられます。よって、本条例には反対をいたします。 議案第十七号は、二○二三年度、工業用水道条例の一部を改正して、各工業用水道の料金について、電気料金等の値上げにより使用料を上げる一方で、相対的に基本料金を下げるものであります。 工業用水道事業会計は、大量の未稼働水、未事業水などを抱え、これまでも一般会計から多額の財政支援を受けてきました。過去には、経営立て直しのため、ユーザー企業から協力金を徴収した時期もあります。今でも県の工業用水の単価は、全国で五番目に安い安価であります。大企業に限って協力金を徴収することなども検討すべきと考え、両議案には反対をいたします。 議案第三十六号は、学校職員定数条例の一部を改正する条例であります。 新年度から、小・中・高校、中等教育学校、特別支援学校の教職員を百十九人も減らすものであります。 教育委員会の当初予算案に計上された給与関係費は、新年度では一千三億円、二○一九年度と比較すると百五十五億円も減額されています。教職員定数は、この五年間で小学校百七十三人、中学校百十八人、高等学校百七十八人、中等学校二人、特別支援学校二十二人の合計四百九十三人も減らされることになります。 今、教育現場では、いじめや不登校、暴力など問題行動が増加をして、教職員の多忙化も深刻化するばかりであります。 こうした影響もあり、新年度は臨時的任用教員の確保が困難を極め、県民要望に応え、全国に先駆けて実現した小中学校の三十五人以下学級の一角が崩れる危機的状況に直面しています。 こうした下でのさらなる教職員定数の削減は、絶対に許されません。県費での採用も含め、教職員の増員に取り組まれることを強く要望いたします。 最後に、議案第六十一号、二○二二年度の建設事業に要する市町負担金についてであります。 今年度も三十八事業について、十九市町から計三十四億円の負担金を徴収します。 県内の全十九市町が、子育て世帯の強い要望に応えて子供の医療費助成制度を大幅に拡充しています。私たちが県に拡充を求めている財政を市町が負担をしているのです。せめて、建設事業に要する経費の一部を市町に負担させる制度はもう廃止して、市町の財政を側面支援すべきであり、本議案には反対をいたします。 次に、請願第一号を不採択とした総務委員会の畑原委員長報告についてであります。 同請願は、霊感商法や高額献金によって、信者やその家族への深刻な人権侵害を引き起こしてきた世界平和統一家庭連合、旧統一教会が、国政でも、地方政治でも政治家と癒着を強めてきたことを告発して、全ての議員が旧統一教会との関係を断絶するために、一、山口県議会議員一人一人が自らの責任において説明責任を果たすことなど関係をきちんと精査をして対応すること、二番目に、山口県議会として各議員にそうした対応を促していくことの決議の採択を求めるものであります。 旧統一教会によって人生をめちゃくちゃにされた元信者や、その二世の方々の心情を思えば、至極当然の内容であり、不採択とすることは、山口県議会の良識が問われることになります。どうか同請願が採択されるよう、全ての議員の皆さんにその協力を改めて呼びかけるものであります。 最後に、今年度末をもって本会議に出席されている七人の参与員の方々、三浦商工労働部理事や松田労働委員会事務局長をはじめ、多くの県職員の方々が退職されます。 この間、議場から厳しい言葉を突きつけることもありましたけれども、お互い県民福祉の向上を目指す立場では共通していたものと思います。日本共産党県議団を代表して、心からお礼を申し上げます。 また、今期をもって勇退される議員の方々もおられます。政治的立場は違うものの、県勢振興を願う気持ちには違いはなかったものと感じています。退職される職員の皆さん、また、勇退される議員の方々も健康に留意をされ、新しい分野で末永く御活躍されるよう祈念するものであります。 以上で、日本共産党県議団を代表しての討論といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)