討論
議長(柳居俊学君)笠本俊也君。 〔笠本俊也君登壇〕(拍手) 笠本俊也君 自由民主党会派を代表して、知事から提出されている全ての議案及び意見書案に賛成し、請願一号を不採択とすることに賛成の立場から討論を行います。 まず、意見書案第一号 宇部拘置支所の収容業務の継続を求める意見書及び第二号 国民皆歯科健診の実現を求める意見書については、関係する団体からも強い要望があり、我が会派から提出したものであり、満場の御賛同を頂きますようお願いを申し上げます。 次に、請願一号に対する我が会派の意見は、先ほど委員長から報告があったとおりであります。 我々議員は、特定の団体に限ることなく、いかなる宗教団体に対しても適切な対応をしていく、これが議員としてあるべき基本的なありようであり、議会の場において特定の団体だけを取り上げ、大きく言いはやす本請願に賛意を示すことはできません。 また、本請願は、議会として各議員に対応を促すことなどを求めていますが、そもそも、これらは議場の場で取り上げ、決議するしないという議論をする性質のものではなく、各議員が自身の判断と責任において行動し、その行動の全ての責任は議員自らが負うべきものであります。 他党の議員に言われるまでもなく、今回の旧統一教会に係る事案を受け、我が党は、公党としての自己責任を果たすため、ガバナンスコードを改訂し、地方議員にもその方針はしっかりと周知徹底されており、促されるまでもなく、適切な対応に努めるのは当然であります。 我々県議会議員は地域の代表です。他人を非難、中傷、否定するだけではなく、もっと前向きに、山口県の未来のため、将来を担う子供たちのための政策論争を交わすべきではありませんか。(「そうだ」と呼ぶ者あり) そのことを強く申し上げ、請願一号は委員長報告のとおり、不採択とすべきであります。 さて、村岡県政も今年で十年目に入りました。人口減少、少子高齢化がさらに進み、コロナ禍にも見舞われた中ではありますが、その中でも、山口県はどのようによりよくなってきたのかという問いに対する答えをしっかりと出していくことが求められています。 こうした思いでお尋ねした、次年度県政運営に関する私どもの代表質問に対し、知事は、本県の経済や暮らしをより高いレベルに引き上げていく発展的再生を実現させるとの決意を述べられ、目下、県民生活にとっての大きな課題である物価高騰への対応についても、現下の物価高で傷んだ社会経済を再生させると強い答弁を頂いたところであります。 県政与党である我々自由民主党会派は、村岡知事による県政運営の成果が着実に芽を出し、それがしっかりと県民に届けられるよう促していく責務があります。 そこで、議案第一号の令和五年度一般会計予算について、賛成の立場から一括して意見を述べさせていただきます。 まず、このたびの予算の柱の一つである新型コロナ対策については、ようやく出口が見えつつある中、ウイズコロナ下での万全の体制を講じるに十分な予算額が確保されており、また同時に、県立総合医療センターの建て替えをはじめ、将来に向けての対策も具体化されるなど、引き続き、県民の命と健康を守り抜く知事の強い思いが表れた予算となっています。 今後、感染症法の五類に変更されることで、県民の間に不安や医療現場に混乱を生じることがないよう、県には細心の注意を払って、まずは円滑な移行を行い、それが落ち着いた後には、このたびのパンデミックの検証に努めていただきたいと願います。 現場で何が起こっていたのか、最前線に立ち続けた保健所職員や医療関係者からの情報を改めて整理し、検証することが、コロナを経験した我々の責務であり、今後、起こり得る新たな感染症に対する万全の備えとなるからであります。 次に、コロナ禍で傷んだ地域経済の再生に追い打ちをかけている物価高騰への対応については、六十九億円に上る県独自の予算額を措置されたことを高く評価しています。 この上は、この支援策が、困難に直面している多くの県民や事業者に迅速に届けられるよう速やかな執行をお願いいたします。 また、物価高騰の根本的な解決は、物価の上昇に応じて価格への転嫁が進み、同時に、それに対応できるだけの賃金が着実に上昇するという循環が生まれることですが、それに至る道のりは決して容易なことではなく、この間、県民や事業者には大きな負担がかかり続けることにも、県はしっかりと目配りをしなければなりません。 私どもは、地域を回る中で、本当に厳しいという切実な声を日々耳にしています。特に、中小企業を経営する方は、従業員の生活を守るため何とか賃上げをしたいが、自身の経営も物価高騰により逼迫した状況にあるという、まさに苦境に立たされているのです。 困難な状況が、今、県政のあらゆる分野に及んでおり、こうしたときこそ、県民に寄り添い、頼りにされる県政でなくてはなりません。 このたびの物価高騰への対応は、言わば災害対応と同様であり、今月中に取りまとめられる国の追加対策の情報収集はもちろん、総合的な窓口の明確化や取組の一体化など、県の顔の見える対応が求められています。 県民の声にきめ細かに耳を傾け、現状を分析し、決して場当たり的な対応とならぬよう、中長期的視点を持ちながら、何ができるかを常に考え、そして迅速に対策を講じる。こうした対応を、今後も緊張感を持って取り続けていただくよう、強くお願いいたします。 次に、このたびの予算のもう一つの柱である、新たな県づくりの本格始動に関して意見を申し述べます。 まず、産業の脱炭素化については、このたび、知事は、戦略の策定に併せて七年ぶりの組織改編を決行され、また、十億円を超える規模の補助金や中小企業支援なども盛り込まれており、並々ならぬ意欲を感じているところです。 もとより、CO2排出量の多い構造である本県の産業脱炭素化と成長の両立は、国全体の脱炭素化の試金石であると言っても過言ではありません。 こうした意味で、国における前例のない規模の支援策を本県産業に結びつけるため、また、本県に工場や事業所が立地する企業が、思い切った設備投資に踏み切るためにも、県の本気度が目に見えることは非常に重要であります。 県には、新たな組織の力を最大限発揮し、これらの予算の着実な執行はもとより、事業費が不足する事態に至るぐらいの積極性で取り組んでいただきたいと思います。 次に、デジタル改革についてです。 知事は、これまで推進してこられたデジタル改革のステージを、次年度からは実装段階へと押し上げ、県民にとって実感の持てる成果を出していくとの思いを熱く述べられました。 私どもも大いに期待しているところですが、全国のどこにも見本がない中で進める改革の実現には、多くの試行錯誤やチャレンジの繰り返しが必要であることは、これまでも申し上げてきたとおりであります。 また、実証から実装の間には大きな谷があると言われており、これを乗り越えるため、可能性のあるプロジェクトには集中的な投資を行い、また、横展開の容易なものは、くまなく全県的に広げていく取組をちゅうちょなく進めなければなりません。 そうした意味で、二月補正で新たな基金を設けられることは、まさに適切な方針であると考えます。何よりも、知事のお考えを財源の裏打ちという形で示されたことこそが、我が会派が求めてきた改革の具体化につながることであり、この財源を選択と集中により大胆に活用し、県民の目に見える形での成果にしっかりとつなげていただきたいと思います。 次に、人づくりのうち、少子化対策、人口減少については、県政の最重要課題に掲げ続ける一方で、ここ十年で出生数が約三割減少するなど、歯止めがかかっていません。 少子化の解決に特効薬はなく、結婚、出産、子育て、働き方など、多岐にわたる分野の課題が交錯する難題でありますが、我が国の人口構造の面から、今後、数年のうちに手を打たねば、少子化の進行を止められなくなるといった専門家の指摘もあるところです。 我々は、こうした危機を改めて再認識し、これまで以上に踏み込んだ対策に臨む覚悟が求められています。 このたびの県の予算においては、我が会派が要望した、医療的ケア児への対応や、障害の有無にかかわらず安心して学び遊べる環境づくりなど、子供・子育てに対して、地方ならではのきめ細かな施策がしっかりと盛り込まれており、私どもは、こうした予算措置を高く評価しているところです。 その一方で、少子化という難題に向けては、これで十分とは言い切れないのも事実であります。 岸田内閣においては、子供・子育て政策を政権の最重要政策と位置づけ、来年度の骨太方針に向けて、政策の検討を重ね、方向を示すとされるなど、少子化対策に真正面から取り組む姿勢を示されています。 子供・子育て政策は、まさに最も有効な未来への投資であり、希望出生率すら達成できない現状は、何としても打破していかなければなりません。 今後、県におかれては、予算の円滑な執行と並行して、国の施策に呼応した取組を進めていくことはもとより、本県独自の思い切った政策の企画立案に果敢にチャレンジしていただくよう、強くお願いいたします。 さて、ロシアのウクライナ侵攻勃発から一年がたちました。国際社会がこの暴挙を止めることができないことへのもどかしさと同時に、このことがもたらしている物価高騰に、安全保障が国民生活の基盤となっていることを改めて痛感します。 とりわけ、エネルギー資源をはじめとした多くの物資を海洋輸入に依存する我が国にとっては、日米同盟を基軸としてシーレーンを自由で開かれたものとしておくことが、死活的に重要であり、安全保障の確保と平和で安定した国民生活の維持は密接不可分なのであります。 残念ながら、我が国周辺には多くの課題や脅威が存在しており、そのリスクは年々増しています。 こうした状況を踏まえ、岸田総理は防衛力の抜本的な強化を図る安全保障三文書の閣議決定をされたわけであります。 中国の軍事費が既に日本の六倍、北朝鮮のミサイル発射は過去に例のない頻度で繰り返されている中、理想論だけでは我が国の安全を、ひいては国民の暮らしと生命を守ることは決してできないということをこの場で申し上げておきたいと思います。(「そうだ」と呼ぶ者あり) 以上、予算案に対して賛成の立場からるる申し述べました。 知事は、このたびの予算編成に発展的再生という思いを込められました。未来に向けた財源として二百億円の基金も用意されました。ようやくコロナ禍の出口が見えてきた中、知事の言葉を借りるならば、まさに今こそ、県全体が元気を取り戻すために全力を尽くすときであります。 地域に目を凝らせば、暗い課題ばかりでなく、若者や新規事業者がまちづくりに参画する姿もあり、新たな視点での魅力的な取組によって町が発展的再生を遂げる事例も芽吹いてきています。 また、先日発表された国の調査結果では、山口県は中国地方で唯一、人口の転出超過が減少しました。今年、全国で最も高い倍率となった周南公立大や一期生の卒業を控える山口東京理科大など、若者の県内定住の可能性を秘めた多くのチャンスが本県にはあります。 今は決して尻込みをしているときではないのです。知事はじめ、執行部におかれては、県庁から山口県の元気を再生していくとの気構えで、令和五年度の県政運営に取り組んでいただくよう、切にお願いする次第です。 県民一人一人の声が政治の原動力であり、その声を政策に反映させることが県政与党である我が自由民主党の使命であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)安全で安心して暮らせる、未来に希望が持てる山口県を築き上げるため、私どもは多くの課題にひるまず、正面から向き合っていく覚悟であることを申し上げ、そしてその決意と実績を来る県議選では県民の皆様にしっかりと訴えてまいる所存であることを申し上げ、討論といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)